説明

加熱調理器

【課題】外観および保守性を損なうことなく、防水性能を確保できる加熱調理器を提供する。
【解決手段】この加熱調理器1では、キャビネット2の天面部2Aにかかった水等が継ぎ合わせ部である外縁部11に来ても、その水等を溝10に沿って側方へ流すことができるので、外縁部11に水等が来ても調理器1の内部へ浸入するのを防止できる。また、キャビネット2の屈曲部12がコントロールパネル7の溝10内に延在しているので、屈曲部12が、溝10を越えて漏れ出そうとする水に対する防水壁となり、外部からコントロールパネル7の溝10にかかった水等が溝10を越えて上記キャビネット2内へ浸入するのを防止できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば、電子レンジ,蒸気調理器,やオーブンレンジ等の加熱調理器に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、IEC(International Electrotechnical Commission)やEN(European Norm)において、電子レンジ等の家庭用電気製品に関する安全基準の一つとして防水性(水漏れに対する電気部品の保護)の規格化が検討されている。
【0003】
ここで、図5に示すように、例えば、ビルトイン型の電子レンジ等の調理器100において、2つの部材の継ぎ合わせ部分としてのキャビネット101とコントロールパネル102との継ぎ合わせ部分107から水や煮汁等が浸入すると、内部の電気部品の故障や感電を招く恐れが生じる。
【0004】
そこで、従来、図5の一点鎖線で囲まれた部分Jの拡大断面図である図6に示すように、キャビネット101の継ぎ合わせ部103とコントロールパネル102の継ぎ合わせ部104との間にシリコンゴム等からなるパッキン,防水クッション,接着材等によるシール部材105を貼り付けたり挟んだりして、上記継ぎ合わせ部分107から内部に水分等が浸入しないようにしている。これにより、例えば、キャビネット101の継ぎ合わせ部103に隣接する配線用連絡孔106,コントロールパネル102の継ぎ合わせ部104に隣接する配線用連絡孔107から内部の電気部品に水分等が浸入することを防止できる。
【0005】
しかし、上記従来の調理器100では、上記パッキン,防水クッション等によるシール部材105が外から見えると見栄えが悪く外観が損なわれる。特に、シール部材105が継ぎ目からはみ出すと見栄えが悪くなる。
【0006】
また、ゴム等のシール部材の劣化により、長期にわたって使用すると、防水性が損なわれるという問題がある。
【0007】
また、上記キャビネット101の継ぎ合わせ部103とコントロールパネル102の継ぎ合わせ部105とを接着材によるシール部材で接着してしまうと上記キャビネット101とコントロールパネル102とを容易に分離できないので、メンテナンスに支障が生じる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2000−12209号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
そこで、この発明の課題は、外観および保守性を損なうことなく、防水性能を長期にわたって確保できる加熱調理器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため、この発明の加熱調理器は、天面部を有する本体ケーシングと、
上記本体ケーシングの天面部に接続される天面部を有すると共に内側に電装部品を有する前面パネルと
を備え、
上記本体ケーシングの天面部と上記前面パネルの天面部のうちの一方の天面部は、
上記本体ケーシングの天面部と上記前面パネルの天面部のうちの他方の天面部の外縁部の直上まで延在している外縁部を有し、
上記一方の天面部の外縁部は、下方に向かって屈曲した水滴滴下部を含み、
上記他方の天面部の外縁部は、上記水滴滴下部から滴下された水滴が上記一方の天面部側に流れることを防ぐ水滴浸入防止部を有することを特徴としている。
【0011】
この発明の加熱調理器によれば、本体ケーシングもしくは前面パネルの一方の天面部にかかった水等が外縁部に来ても、その水等を上記屈曲した水滴滴下部が上記他方の天面部の外縁部の水滴浸入防止部に滴下する。この水滴浸入防止部は、上記水滴滴下部から滴下された水滴が上記一方の天面部側に流れることを防ぐ。例えば、上記水滴浸入防止部は、上記水滴を、上記他方の天面部に沿って側方もしくは上記一方の天面部から離れる方向へ導く。これにより、本体ケーシングまたは前面パネルの天面部にかかった水等が加熱調理器の内部へ浸入するのを防止できる。
【0012】
したがって、この発明によれば、耐久性に劣るパッキン,防水クッション,接着材等によるシール部材を用いることなく、本体ケーシングと前面パネルとの継ぎ合せ部となる外縁部から内部に水分等が浸入することを防止できる。よって、この発明によれば、外観および保守性を損なうことなく、長期にわたって確実に防水性能を確保できる。
【0013】
また、一実施形態の加熱調理器では、上記水滴浸入防止部は、
上記水滴滴下部の下端に対向するように配置されていると共に上方に開口していて側方に延在する溝である。
【0014】
この実施形態によれば、上記水滴滴下部から上記溝へ水滴が滴下され、この溝に沿って、水を側方へ流すことができるので、本体ケーシングと前面パネルとの継ぎ合せ部となる外縁部から加熱調理器の内部へ水が浸入するのを防止できる。
【0015】
また、一実施形態の加熱調理器では、上記水滴滴下部は、上記溝の開口から上記溝内に延在しており、
上記水滴滴下部と、上記溝の上記一方の天面部側の溝壁および上記溝の溝底の少なくとも一方との間に隙間を設けた。
【0016】
この実施形態によれば、上記水滴滴下部と、上記溝の上記一方の天面部側の溝壁との間に隙間を設けた場合、上記一方の天面部の上記外縁部と、上記他方の天面部の外縁部の溝の溝壁との間の隙間を、毛細管現象が生じないようにあけることで水等が上記溝壁と水滴滴下部との間の隙間で毛細管現象により上方へ吸い上げられるのを防止できる。よって、上記溝に沿って水滴を円滑に流して、水分等が内部へ浸入することを防止できる。また、上記水滴滴下部と上記溝の溝底との間に隙間を設けた場合、上記他方の天面部の外縁部の溝と上記一方の天面部の外縁部の水滴滴下部とがラビリンス構造をなすことによって、上記溝から内部に水等が浸入することを防止できる。
【0017】
また、一実施形態の加熱調理器では、上記溝は、少なくとも一つの溝端に向けて下方に傾斜している。
【0018】
この実施形態によれば、外部から上記他方の天面部の外縁部の溝にかかった水等を、上記傾斜した溝に沿って下降させて少なくとも一つの溝端に向けて排出できるので、上記溝内に水等が溜ることを防止でき、防水性能を向上できる。
【0019】
なお、上記溝の中央部から両方の溝端(2つの溝端)に向けて下方に傾斜していてもよい。
【0020】
また、一実施形態の加熱調理器では、上記他方の天面部の外縁部は、上記水滴滴下部から滴下された水滴を上記一方の天面部から離れる方向へ導く水滴浸入防止部を有し、
上記水滴浸入防止部は、
上記一方の天面部から離れる方向へ向かって下り勾配で傾斜した傾斜面を有する。
【0021】
この実施形態によれば、上記一方の天面部の水滴滴下部から上記他方の天面部の傾斜面へ水滴が滴下され、この傾斜面に沿って、水を上記一方の天面部から離れる方向へ向かって導くので、本体ケーシングと前面パネルとの継ぎ合せ部となる外縁部から加熱調理器の内部へ水が浸入するのを防止できる。
【発明の効果】
【0022】
この発明の加熱調理器によれば、本体ケーシングもしくは前面パネルの一方の天面部にかかった水等が外縁部に来ても、その水等を上記屈曲した水滴滴下部が上記他方の天面部の外縁部の水滴浸入防止部に滴下する。この水滴浸入防止部は上記水滴滴下部から滴下された水滴が上記一方の天面部側に流れることを防ぐ。これにより、本体ケーシングまたは前面パネルの天面部にかかった水等が加熱調理器の内部へ浸入するのを防止できる。
【0023】
したがって、この発明によれば、耐久性に劣るパッキン,防水クッション,接着材等によるシール部材を用いることなく、本体ケーシングと前面パネルとの継ぎ合せ部となる外縁部から内部に水分等が浸入することを防止できる。よって、この発明によれば、外観および保守性を損なうことなく、長期にわたって確実に防水性能を確保できる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】この発明の加熱調理器の実施形態の部分側面図である。
【図2A】上記実施形態のキャビネットとコントロールパネルとの継ぎ合せ部の構造を示す断面図である。
【図2B】上記加熱調理器のキャビネットとコントロールパネルとの継ぎ合せ部の構造の変形例を示す断面図である。
【図3A】上記実施形態のコントロールパネルに形成された溝の形状を模式的に示す正面図である。
【図3B】上記実施形態のコントロールパネルに形成された溝の変形例の形状を模式的に示す正面図である。
【図4A】上記実施形態のキャビネットとコントロールパネルとの継ぎ合せ部の構造のもう1つの変形例を示す断面図である。
【図4B】上記実施形態のキャビネットとコントロールパネルとの継ぎ合せ部の構造のさらに別の変形例を示す断面図である。
【図5】従来の調理器の部分側面図である。
【図6】上記従来の調理器のキャビネットとコントロールパネルとの継ぎ合せ部の構造を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、この発明を図示の実施の形態により詳細に説明する。
【0026】
図1は、この発明の加熱調理器1の側面を部分的に示す部分側面図であり、図2Aは、図1の一点鎖線で囲まれた部分Kの拡大断面図であり、上記加熱調理器1のキャビネット2とコントロールパネル7との継ぎ合わせ部分を示す部分断面図である。
【0027】
この加熱調理器1は、図1では示されていないが、キッチンユニットに収容されるビルトイン型であって、被調理物が収容されるキャビネット2と、このキャビネット2の開口部4の下端に開閉自在に軸支されたドア5と、上記キャビネット2の開口部4の上方部分6に取り付けられたコントロールパネル7とを備える。上記キャビネット2は、上記被調理物が収容される収容部(図示せず)を有し、さらに、上記キャビネット2には、上記収容部に収容された被調理物を加熱調理する加熱部(図示せず)および電源部(図示せず)等が内蔵されている。上記コントロールパネル7が本体ケーシングの一例をなし、上記キャビネット2が前面パネルの一例をなす。
【0028】
図2Aに示すように、上記キャビネット2の天面部2Aの外縁部11は、上記コントロールパネル7の天面部7Aの外縁部8の直上まで延在している。上記コントロールパネル7の天面部7Aは、上記キャビネット2の天面部2Aの外縁部11との継ぎ合わせ部となる外縁部8に上方に向けて開口した溝10を有する。この溝10が水滴浸入防止部をなす。また、上記キャビネット2の天面部2Aは、上記コントロールパネル7の天面部7Aの外縁部8との継ぎ合わせ部となる外縁部11に、下方に略逆L字形状に屈曲した屈曲部12を有する。この屈曲部12は、水滴滴下部をなし、上記溝10の開口から溝10内に延在するように屈曲している。
【0029】
また、上記コントロールパネル7の溝10の溝底10Aと上記キャビネット2の屈曲部12との間には、隙間13が設けられている。また、上記キャビネット2の屈曲部12と上記コントロールパネル7の溝10のキャビネット2側の溝壁10Bとの間には、隙間15が設けられている。
【0030】
また、上記コントロールパネル7の後面部17と上記キャビネット2の前面部18とは、図示しないビス等で締結される。また、上記コントロールパネル7の後面部17は、図2Aに示すように、部分的に上方へ突出している突出部20を有し、この突出部20の先端部が上記キャビネット2の外縁部11の裏面に当接している。
【0031】
また、コントロールパネル7の後面部17には、配線用連絡孔21が形成され、この配線用連絡孔21は、キャビネット2の前面部18に形成された配線用連絡孔22に対向している。この配線用連絡孔21,22を通して制御用配線(図示せず)がコントロールパネル7から上記キャビネット2に内蔵された上記加熱部の制御部に接続される。また、上記配線用連絡孔21,22を通して電源用配線(図示せず)が上記キャビネット2に内蔵された上記電源部から上記コントロールパネル7に内蔵された電装部品9に接続される。この電装部品9は、図示しない操作部,表示部等に接続される。
【0032】
また、この実施形態の加熱調理器では、図3Aの正面図に示すように、上記コントロールパネル7の外縁部8に形成した溝10の溝底10Aを側方の一端から他端に向かって下り勾配となるように傾斜させた。
【0033】
この実施形態の加熱調理器1によれば、例えば、ユーザが水等をこぼして、キャビネット2の天面部2Aにかかった水等が継ぎ合わせ部である外縁部11に来ても、その水等を屈曲部12で溝10内に案内し、溝10に沿って側方へ流すことができるので、外縁部11に水等が来ても加熱調理器1の内部へ浸入するのを防止できる。また、上記キャビネット2の屈曲部12がコントロールパネル7の溝10内に延在している。したがって、屈曲部12が、溝10を越えて漏れ出そうとする水に対する防水壁となり、外部からコントロールパネル7の溝10にかかった水等が溝10を越えてキャビネット2内へ浸入するのを防止できる。また、キャビネット2の屈曲部12と、コントロールパネル7の溝10の溝壁10Bとの間の隙間15を、毛細管現象が生じないように設定することで水等が溝壁10Bと屈曲部12との間の隙間15で毛細管現象により上方へ吸い上げられるのを防いで溝10に沿って水を円滑に流すことができる。よって、水分等が内部へ浸入することを防止できる。
【0034】
したがって、この実施形態の加熱調理器1によれば、耐久性に劣るパッキン,防水クッション,接着材等によるシール部材を用いることなく、キャビネット2とコントロールパネル7との継ぎ合わせ部をなす外縁部11,8から内部に水等が浸入することを防止できる。したがって、この実施形態によれば、外観および保守性を損なうことなく、長期にわたって確実に防水性能を確保できる。
【0035】
また、この実施形態の加熱調理器1では、上記コントロールパネル7の溝10の溝底10Aと上記キャビネット2の屈曲部12との間に隙間13があいているので、上記コントロールパネル7の溝10と上記キャビネット2の屈曲部12とがなすラビリンス構造によって、溝10から内部に水等が浸入することを防ぐことができる。なお、上記隙間13がなく、上記キャビネット2の屈曲部12の先端12Aが上記コントロールパネル7の溝10の溝底10Aに接触していてもよい。この場合にも、上記溝10から上記屈曲部12と溝壁10Bとの間の隙間15への水等の浸入を防止できる。
【0036】
また、この実施形態の加熱調理器1では、上記キャビネット2の屈曲部12の先端12Aは、図2Aに示すように、溝10内で溝底10Aに向けられているので、ユーザが触れることがなく、先端12Aで怪我をすることがない。また、上記屈曲部12,コントロールパネル7の溝10の溝壁10Bは、図2Aに示すように、折り曲げた板金が二重に重なっている構造であるので、屈曲部12の先端12A,溝壁10Bの先端10Gがエッジの取れた湾曲形状になっている。よって、メンテナンス時に屈曲部12の先端12Aに触れたとしても怪我をするおそれがない。
【0037】
また、この実施形態の加熱調理器1では、上記コントロールパネル7の溝10は、図3Aに示すように、溝底10Aが側方の一端から他端に向かって下り勾配となるように傾斜している。これにより、外部から上記コントロールパネル7の溝10にかかった水等を、上記溝10に沿って下降させて溝端10Cに向けて排出できるので、上記溝10内に水等が溜ることを防止でき、防水性能を向上できる。なお、上記コントロールパネル7,上記前開きドア5の側部に、上記溝10の溝端10Cに連なる縦溝7E,5Eを形成して、上記溝端10Cから縦溝7E,5Eに水等や調味料等の液体を導いて排出するようにしてもよい。さらに、上記コントロールパネル7の側部に形成した縦溝7Eを上記外縁部8に形成した溝10が上記側部にまで延長したものとすると共に、上記キャビネット2の外縁部11に形成した屈曲部12を上記キャビネット2の側部にまで延長したものとして、上記延長した縦溝7E内に上記延長した屈曲部12が延在するものとしてもよい。これにより、コントロールパネル2の側方から水等がかかった場合の防水性を向上できる。
【0038】
また、図3Bに示すように、上記コントロールパネル7の溝10が、溝底10A‐1,溝底10A‐2が延在方向の略中央から両端に向かって下り勾配となるように傾斜していてもよい。この場合も、外部から上記コントロールパネル7の溝10にかかった水等を、上記溝底10Aに沿って下降させて溝端に向けて排出できる。また、上記コントロールパネル7,上記前開きドア5の両側部に、上記溝10の溝底10A‐1,溝底10A‐2の溝端に連なる縦溝7E,7F,5E,5Fを形成して、上記溝底10A‐1,溝底10A‐2の溝端から縦溝7E,5E,7F,5Fに水等を排出するようにしてもよい。
【0039】
尚、上記実施形態の加熱調理器1では、図2Aに示すように、一方のケーシング部材を上記コントロールパネル7とし、他方のケーシング部材を上記キャビネット2として、コントロールパネル7に溝10を形成し、キャビネット2に屈曲部12を形成したが、逆に、図2Bに示す変形例のように、キャビネット72の天面部72Aの外縁部71に上方に向けて開口した溝80を形成し、コントロールパネル77の天面部77Aの外縁部78に上記溝80の開口から上記溝80内に延在する屈曲部82を形成してもよい。また、上記実施形態の加熱調理器1では、コントロールパネル7の溝10を側方の延在方向に傾斜させたが、平坦に延在する溝としてもよい。
【0040】
また、図4Aに、上記実施形態のキャビネットとコントロールパネルとの継ぎ合せ部の構造のもう1つの変形例の断面を示す。この変形例は、図2Aに示すコントロールパネル7に替えて、コントロールパネル87を備えた点が、前述の実施形態と異なる。この変形例は、前述の実施形態と同様のキャビネット2を備える。この変形例のコントロールパネル87は、上記コントロールパネル7とは異なり、水滴浸入防止部としての溝10を備えていない。すなわち、このコントロールパネル87は、天面部87Aの外縁部88が上記キャビネット2から離れる方向である前方へ向かって下り勾配で傾斜していると共に湾曲した傾斜面90Aを含む傾斜部90を水滴浸入防止部として有している。そして、キャビネット2の天面部2Aの外縁部11に形成された水滴滴下部としての屈曲部12は、上記コントロールパネル87の天面部87Aの外縁部88の傾斜部90の直上まで延在している。上記屈曲部12の先端12Aと外縁部88との間には隙間83が設けられている。また、上記キャビネット2の屈曲部12と上記コントロールパネル87の外縁部88のキャビネット2側の端壁88Bとの間には、隙間85が設けられている。また、コントロールパネル87の後面部84には、配線用連絡孔89が形成されている。また、上記屈曲部12の先端12A,上記端壁88Bの先端88Gは、折り曲げた板金が二重に重なっていてエッジの取れた湾曲形状であるので、ユーザが触れても怪我をするおそれがない。
【0041】
この変形例によれば、上記キャビネット2の天面部2Aの水滴滴下部としての屈曲部12から上記コントロールパネル87の天面部87Aの傾斜面90Aへ水滴が滴下され、この滴下された水滴を傾斜面90Aに沿って、上記キャビネット2の天面部2Aから離れる方向つまり前方へ向かって導く。よって、本体ケーシングとしてのキャビネット2と前面パネルとしてのコントロールパネル87との継ぎ合せ部となる外縁部88,11から加熱調理器の内部へ水が浸入するのを防止できる。なお、上記変形例では、水滴浸入防止部としての傾斜面90Aを湾曲させたが湾曲していない平面状の傾斜面でもよい。
【0042】
また、図4Bに、上記実施形態のキャビネットとコントロールパネルとの継ぎ合せ部の構造のさらに別の変形例の断面を示す。この変形例は、図2Bに示すキャビネット72に替えて、キャビネット91を備えた点が、図2Bに示す変形例と異なる。この変形例は、図2Bの変形例と同様のコントロールパネル77を備える。
【0043】
この変形例のキャビネット91は、図2Bのキャビネット72とは異なり、水滴浸入防止部としての溝80を備えていない。すなわち、このキャビネット91は、天面部91Aの外縁部92が上記コントロールパネル77から離れる方向である後方に向かって下り勾配で傾斜している傾斜面93Aを含む傾斜部93を水滴浸入防止部として有している。そして、コントロールパネル77の天面部77Aの外縁部78に形成された水滴滴下部としての屈曲部82は、キャビネット91の天面部91Aの傾斜面93Aの直上まで延在している。この変形例によれば、上記コントロールパネル77の天面部77Aの屈曲部82からキャビネット91の天面部91Aの傾斜面93Aへ水滴が滴下され、この滴下された水滴を傾斜面93Aに沿って、上記コントロールパネル77の天面部77Aから離れる方向つまり後方へ向かって導く。よって、本体ケーシングとしてのキャビネット91と前面パネルとしてのコントロールパネル77との継ぎ合せ部となる外縁部78,94から加熱調理器の内部へ水が浸入するのを防止できる。
【0044】
尚、本発明は、電子レンジ,蒸気調理器やオーブンレンジ等の加熱調理器に適用でき、キッチンカウンター下に収納されるビルトイン式の加熱調理器だけでなく、単体で独立して使用される加熱調理器にも適用できる。
【符号の説明】
【0045】
1 加熱調理器
2,72,91 キャビネット
2A,72A,91A 天面部
4 開口部
5 ドア
5E,5F 縦溝
6 上方部分
7,77,87 コントロールパネル
7A,77A,87A 天面部
7E,7F 縦溝
8,78,88 外縁部
9 電装部品
10,80 溝
10A,10A-1,10A-2 溝底
10B 溝壁
10C,10D 溝端
10G 先端
11,71,94 外縁部
12,82, 屈曲部
12A 先端
13,15,83,85 隙間
17 後面部
20 突出部
21,22 配線用連絡孔
90,93 傾斜部
90A,93A 傾斜面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
天面部を有する本体ケーシングと、
上記本体ケーシングの天面部に接続される天面部を有すると共に内側に電装部品を有する前面パネルと
を備え、
上記本体ケーシングの天面部と上記前面パネルの天面部のうちの一方の天面部は、
上記本体ケーシングの天面部と上記前面パネルの天面部のうちの他方の天面部の外縁部の直上まで延在している外縁部を有し、
上記一方の天面部の外縁部は、下方に向かって屈曲した水滴滴下部を含み、
上記他方の天面部の外縁部は、上記水滴滴下部から滴下された水滴が上記一方の天面部側に流れることを防ぐ水滴浸入防止部を有することを特徴とする加熱調理器。
【請求項2】
請求項1に記載の加熱調理器において、
上記水滴浸入防止部は、
上記水滴滴下部の下端に対向するように配置されていると共に上方に開口していて側方に延在する溝であることを特徴とする加熱調理器。
【請求項3】
請求項2に記載の加熱調理器において、
上記水滴滴下部は、上記溝の開口から上記溝内に延在しており、
上記水滴滴下部と、上記溝の上記一方の天面部側の溝壁または上記溝の溝底の少なくとも一方との間に隙間を設けたことを特徴とする加熱調理器。
【請求項4】
請求項2または3に記載の加熱調理器において、
上記溝は、少なくとも一つの溝端に向けて下方に傾斜していることを特徴とする調理器。
【請求項5】
請求項1に記載の加熱調理器において、
上記他方の天面部の外縁部は、上記水滴滴下部から滴下された水滴を上記一方の天面部から離れる方向へ導く水滴浸入防止部を有し、
上記水滴浸入防止部は、
上記一方の天面部から離れる方向へ向かって下り勾配で傾斜した傾斜面を有することを特徴とする加熱調理器。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−93019(P2012−93019A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−239541(P2010−239541)
【出願日】平成22年10月26日(2010.10.26)
【特許番号】特許第4884555号(P4884555)
【特許公報発行日】平成24年2月29日(2012.2.29)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】