説明

動物についての、バイオテクノロジー(生物学的研究を含む)および医学的診断での適用のための、細胞、生体粒子および/または分子を液体から単離するための装置ならびに方法

【課題】好適な担体および公知の固定化方法を用いて、液体中の特定の生体粒子ならびに溶解した生体分子を認識し、かつそこから分離するための装置および方法の提供。
【解決手段】当該装置は、液体の不連続な処理と、直接的で連続的な処理の両者に用いることができる。動物、バイオテクノロジー(生物学的研究を含む)および医学的診断である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、細胞、生体粒子および/または分子を液体から単離するための装置および方法を記載する。本発明を使用し、適切な担体および公知の固定化方法を使用して、特定の生体粒子を認識し、かつ分離することができる。本発明の適用分野は、動物、バイオテクノロジー(生物学的研究を含む)および医学的診断である。
【背景技術】
【0002】
細胞、生体粒子および/または分子を液体から単離することは多くの技術分野において重要であり、そのための多数の方法もまた公知である。
【0003】
細胞の分析および細胞の分離は、数十年間、蛍光標示式細胞ソーティング(FACS)を用いて行われてきた。それは、表面マーカーによる特定の細胞集団の分析に好ましい方法である。FACSの適用は多数の細胞の単離に関する問題をもたらす。細胞を含有する媒体を高度に希釈する必要があり、大量の細胞に関しては分離時間が比較的長く、無菌的条件の確保が問題となる。総合すると、上記方法はかなりの費用を生じる。
【0004】
ここ10年以上の間、生体粒子および細胞の認識ならびに単離に磁気分離法が使用されるようになっている。この方法のためには、捕捉用分子に鉄を保持させるか、あるいは鉄のコアを含有する微粒子を捕捉用分子でコーティングする。その分離は強磁場によって行われる。とりわけDynalおよびMiltenyi Biotecによって商業的に成功している免疫磁気分離は、シンプルで比較的好都合な価格の細胞分離法として確立されている。特にフローサイトメトリーと比較して、磁気分離は、比較的まれなタイプの細胞の単離に関して、例えば出生前診断のために母親の血液から胎児細胞を単離するにあたって、その価値が証明されている。別の適用は、次の処置を開始するために原発腫瘍の外科的除去後に血液中の腫瘍細胞を検出することである。
【0005】
昨今、治療目的で、造血系のある種の悪性疾患を患っている患者由来の同系CD34末梢血幹細胞が再移植のために日常的に取得されている。これは、好ましくは、磁気ビーズにカップリングされた特異的抗体で白血球を純化することによって行われる。血液/細胞提供時の細胞分画では、重力場での分離(遠心分離)用の、血液細胞の種々のサイズおよび特有の密度を利用するいくつかの系が利用可能である。
【0006】
すべての選別方法の不都合はそれらを連続して実行できないことである。すなわち、血液またはリンパ球サンプルを採取し、細胞を免疫磁性粒子とインキュベートする。分離および洗浄後、磁性粒子から細胞を分離すると、治療目的で使用できるようになる。
【0007】
FACSおよびMACSの有用な概要は「Flow Cytometry and Sorting」(Melamed et al.編, Wiley & Sons, Inc., New York, 1990)に提供されている。
【0008】
細胞を単離および/または除去する他の方法は、EP 12311956A2、US 6900029、US 6432630、US 20020012953A1、DE 10022635A1、US 5246829、US 5739033、US 5763203、EP 0016552A1、WO 00/38762、EP 0502213B1およびEP 0554460B1に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】EP 12311956A2
【特許文献2】US 6900029
【特許文献3】US 6432630
【特許文献4】US 20020012953A1
【特許文献5】DE 10022635A1
【特許文献6】US 5246829
【特許文献7】US 5739033
【特許文献8】US 5763203
【特許文献9】EP 0016552A1
【特許文献10】WO 00/38762
【特許文献11】EP 0502213B1
【特許文献12】EP 0554460B1
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】「Flow Cytometry and Sorting」(Melamed et al.編, Wiley & Sons, Inc., New York, 1990)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、動物について、同様にバイオテクノロジー、例えば生物学的研究で、および医学的診断においても使用することができる、細胞、生体粒子および他の分子を分離するためのシンプルな系を開発するという課題に基づくものであった。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、請求項1、14および29〜30にしたがって理解され、下位の請求項は選択的なバリエーションである。
【0013】
本発明は、分離対象の物質の混合物からなる物質に関して特異的リガンドを表面上に機能的に固定することができる場合であれば常に使用することができるシンプルな分離方法を記載する。実際の分離は、粒子サイズに基づく選別(ろ過、ふるい分け)によって行われる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】PE標識ヤギ抗マウス抗体を用いて標識した抗CD4 PMA粒子の顕微鏡像を示す。
【図2】ラット全血とインキュベートした後の、抗CD4 PMA粒子の顕微鏡像を示す。
【図3】PMA粒子での処理前でのラット全血中の白血球フラクションのFACS解析を示す。
【図4】PMA粒子での処理後でのラット全血中の白血球フラクションのFACS解析を示す。
【図5】単離リンパ球フラクションのFACS解析を示す。
【図6】細胞ライセートからのタンパク質分離の分析結果を示す。
【図7】連続使用に典型的に適用可能な系を示す。点在する矢印はホース系を表し、矢印の先端は液体の流動方向を示す。
【図8】混合物中の体液の成分と相互作用する機能化粒子を模式的に示す。
【図9】細胞混合物および機能化粒子を含む媒体を導いて、スクリーンを通過させ、中空繊維メンブレンを通過させて、機能化粒子を伴わない細胞混合物と機能化粒子を伴う細胞混合物に分離する、粒子分離系の一例を示す。
【図10】中空繊維メンブレン内での分離の原理を典型例として示す。
【図11】異なるサイズの2種類の機能化粒子を用いる分離系の一例を表す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
この課題の解決のために、特異的リガンドを固体担体にカップリングさせる標準的方法が使用される。
【0016】
使用される固体担体は公知の生体高分子、例えば有機もしくは合成ポリマー由来のメンブレンまたは粒子である。表面は生体適合性であってよく、それには、コラーゲン、精製タンパク質、精製ペプチド、多糖類、例えばキトサン、アルギナート、デキストラン、セルロース、グリコサミノグリカンまたは合成ポリマー、例えばポリスチレン、ポリエステル、ポリエーテル、ポリ無水物、ポリアルキルシアノアクリラート、ポリアクリルアミド、ポリオルトエステル、ポリ酢酸ビニル、ブロックコポリマー、ポリプロピル、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)またはポリウレタンが含まれうる。それに加えて、ポリマーは乳酸ポリマーまたはコポリマー(乳酸および/またはグリコール酸(PLGA))を含有することができる。
【0017】
使用される表面は生分解性または非生分解性であってよい。
【0018】
細胞の表面上の標的分子の結合に使用される特異的リガンドは、天然であるか、あるいは合成性であってよく、例えば抗体、抗体フラグメント、ペプチド、ポリペプチド、糖ペプチド、可溶性受容体、ステロイド、ホルモン、マイトジェン、抗原、スーパー抗原、成長因子、サイトカイン、レプチン、ウイルスタンパク質、接着分子またはケモカインである。
【0019】
特定の用途では、少なくとも1種の抗体または抗体フラグメントが使用され、その場合、特異的リガンドはそれらに共有結合されているか、あるいはスペーサーまたはリンカーを介してそれらに固定されている。
【0020】
担体物質は任意の形状を呈してよい。毛細管としてのメンブレンまたは粒子は広い表面という利点を提供する。以下に記載する方法では、直径が10μmより大きく、800μmより小さい微粒子、好ましくは50〜500μmの微粒子を使用する。他の課題に関しては、より大きい粒子または小さい粒子を使用することもできる。
【0021】
特異的リガンド(例えばCD34またはCD1dに対する抗体、またはHIV−gp120に対する抗体)で活性化された微粒子を、採取された血液とex vivoで接触させる。該血液は通例の抗凝固剤で処理されたものである。これは別個の反応区画で行う。反応区画が体外循環中に設置される場合、ホース接続部、弁、フィルターおよびポンプを安全装置に連結することによって、対応する抗凝血後に患者に対する副作用を伴わずに系を作動できるよう確保する。
【0022】
標的細胞に機能化微粒子を結合させる。細胞を結合した微粒子の分離は、好ましくは管の形状の、メンブレン(スクリーン)を利用する静水圧によって行われる。該メンブレンはすべての血液成分を障害なく通過させるが(孔サイズは10μmより大きく、800μmより小さい)、微粒子を保持する。垂直方向および同様に接平面方向の圧力の両効果によってろ過を行うことができる。管中に残っている粒子は、反応容器に戻されるか、あるいは分析または調製のために導出される。
【0023】
血液の流動を停止した後、微粒子から細胞を分離するために反応容器を使用することができる。このように分離された分散細胞を同一のプロセスによって粒子から除去することができ、そして診断上の適用に利用可能である。
【0024】
別の適用は、対象となる細胞タイプがその要求される機能の達成のために表面分子および/または生体分子、例えば他の細胞タイプのサイトカインを必要とする場合に、共培養のために意図的に複数の細胞タイプを単離することである。
【0025】
必要な細胞−細胞接触のために不可欠な標的細胞の十分な近接を達成するために、いくつかの特異的リガンドを1粒子上に結合させることができる。
【0026】
この適用のための具体的細胞は、とりわけ、T細胞、B細胞または幹細胞であってよい。
【0027】
本方法は不連続に使用することができ、連続して使用することもできる。材料、直径および表面修飾に関する粒子デザインにおける高い変動性により、動物について、医学的診断での、さらにバイオテクノロジーおよび生物学的研究においての適用の可能性の非常に大きな多様性が得られる。
【実施例1】
【0028】
ラット全血からのCD4陽性細胞の単離
Ascitis抗体(RIB5/2)について、プロトコルにしたがってMillipore Montage Antibody Purification Kit(LSK2 ABG 20)を使用した。
【0029】
その後、SDS変性ゲル(10%)を用いて精製を確認した。
【0030】
抗CD4抗体とポリメチルアクリラート(PMA)粒子のカップリング
1. PMA1ml(粒径=40μm+/−10μm;10mg/ml;COOH/PEG−COOH修飾型)を3,000×gで2分間遠心分離し、上清を捨て、1mlの0.1M MESバッファー(pH6.3)中に加える。
【0031】
2. 0.5mlの0.1M MESバッファー(pH6.3)中に2mgのEDCおよび2.4mgのN−ヒドロキシスクシンイミドを溶解し、PMA粒子の懸濁液に加える。室温で1時間、撹拌しながらインキュベートする(粒子の活性化)。
【0032】
3. 遠心分離によってPMA粒子を分離し、0.1M MESバッファー(pH6.3)で2回洗浄する。
【0033】
4. 抗体100〜150μgを含む1mlの0.1M MESバッファー(pH6.3)中に活性化済みPMA粒子を加え;カップリング反応を室温で16時間(一晩)行う。
【0034】
5. 100μlの1Mエタノールアミンを加えることによって自由な結合点を機能消失させ、その後1時間インキュベートする。
【0035】
6. 遠心分離によって分離し、機能化PMA粒子をPBSで3回洗浄する。
【0036】
7. 1mlのPBS(pH7.4)中に抗CD4 PMA粒子を加え、4℃で保存する。PEで標識されたヤギ抗マウス抗体を用いて抗体のカップリングを確認する(図1)。
【0037】
全血からのCD4陽性細胞由来の特異的な細胞単離
1. 4mlの抗凝血処理ラット全血を機能化抗CD4 PMA粒子懸濁液1ml(粒子1mg)と混合する。
【0038】
2. 室温で60分間、振とうしながらインキュベートする。
【0039】
3. 細胞スクリーン(40μm)を有する特殊なチャンバーを用いて血液粒子混合物をろ過することによって、抗CD4 PMA粒子(細胞が結合している粒子および細胞が結合していない粒子)を全血から分離する。
【0040】
4. 抗CD4 PMA粒子を30mlのPBS(1%FCS)で洗浄する。
【0041】
5. スクリーンチャンバーから得た粒子を約1mlのPBSに加え、15〜20秒間ボルテックス(混合)する。
【0042】
6. 顕微鏡解析のために粒子サンプルを取り出す(図2)。
【0043】
7. 抗CD4 PMA粒子での処理前および処理後にラット全血中の白血球フラクションをFACS解析する(図3および4)。
【0044】
粒子からの細胞の分離および認定
1. 慎重な遠心分離によって細胞が付着している抗CD4 PMA粒子を沈降させる。
【0045】
2. PBS、2mM EDTA、3mMメルカプトエタノールおよび20Uパパイン中に沈降物を加える。
【0046】
3. 30分間混合しながらインキュベートする。
【0047】
4. 細胞スクリーン(40μm)を有する特殊なチャンバーを用いてろ過することによって細胞および粒子を分離し;30mlのPBS(1%FCS)で粒子を洗浄し;細胞スクリーンから得た粒子を約1mlのPBSに加え;15〜20秒間ボルテックス(混合)し、洗浄を繰り返す。
【0048】
5. 350×gでの遠心分離によって単離リンパ球フラクションを濃縮し、FACSを用いて解析する(図5)。
【実施例2】
【0049】
細胞ライセートからのタンパク質(IgG)の単離
Ascitis抗体(RIB5/2)について、プロトコルにしたがってMillipore Montage Antibody Purification Kit(LSK2 ABG 20)を使用した。
【0050】
その後、SDS変性ゲル(10%)を用いて精製を確認した。
【0051】
抗CD4抗体(マウスIgG)とポリメチルアクリラート(PMA)粒子のカップリング
1. PMA1ml(粒径=40μm+/−10μm;10mg/ml;COOH/PEG−COOH修飾型)を3.000×gで2分間遠心分離し、上清を捨て、1mlの0.1M MESバッファー(pH6.3)中に加える。
【0052】
2. 0.5mlの0.1M MESバッファー(pH6.3)中に2mgのEDCおよび2.4mgのN−ヒドロキシスクシンイミドを溶解し、PMA粒子の懸濁液に加える。室温で1時間、撹拌しながらインキュベートする(粒子の活性化)。
【0053】
3. 遠心分離によってPMA粒子を分離し、0.1M MESバッファー(pH6.3)で2回洗浄する。
【0054】
4. 抗体100〜150μgを含む1mlの0.1M MESバッファー(pH6.3)中に活性化済みPMA粒子を加え;カップリング反応を室温で16時間(一晩)行う。
【0055】
5. 100μlの1Mエタノールアミンを加えることによって自由な結合点を機能消失させ、その後1時間インキュベートする。
【0056】
6. 遠心分離によって分離し、機能化PMA粒子をPBSで3回洗浄する。
【0057】
7. 1mlのPBS(pH7.4)中にマウスIgG PMA粒子を加え、4℃で保存する。PEで標識されたヤギ抗マウス抗体を用いて抗体のカップリングを確認する(図1)。
【0058】
細胞ライセートからのヤギ抗マウスIgGの特異的単離
1. 1mlの細胞ライセート(HepG2,4×10)を1mgのヤギ抗マウスIgGと混合する。
【0059】
2. 機能化マウスIgG PMA粒子懸濁液0.1ml(粒子100μg)をタンパク質混合物に加える。
【0060】
3. 室温で60分間、振とうしながらインキュベートする。
【0061】
4. スクリーンメンブレン(10μm)を有する特殊なチャンバーを用いてろ過することによって、細胞ライセートからマウスIgG PMA粒子(ヤギ抗マウスIgGが結合している粒子およびヤギ抗マウスIgGが結合していない粒子)を分離する。
【0062】
5. 各5mlのPBSを用いてPMA粒子を3回洗浄する。
【0063】
粒子からのタンパク質の分離および確認
1. スクリーンチャンバーから得た付着タンパク質を伴う機能化PMA粒子を0.5mlのクエン酸バッファー(pH2.2)に加え;30分間インキュベートする。
【0064】
2. スクリーンメンブレン(10μm)を有する特殊なチャンバーを用いてろ過することによって粒子を分離し;2mlのクエン酸バッファーで粒子を洗浄する。
【0065】
3. クエン酸バッファー中の分離されたタンパク質を分析する(図6)。
【実施例3】
【0066】
図7〜11は、装置に基づく本発明の実現または、場合によっては、その一部分の実現の例を示す。図7は、連続使用に典型的に適用可能な系を示す。点在する矢印はホース系を表し、矢印の先端は液体の流動方向を示す。生物(哺乳動物)から出発し、血液ポンプおよび弁(図中で円形で示される)によって、体液、例えば血液をポンプするか、あるいは導いて、機能化粒子を含有する反応容器に入れる。機能化粒子は混合物中の体液の成分と相互作用することができるものである(図8)。次いで細胞混合物および機能化粒子を含む媒体を粒子分離系に導入する。一例では、細胞混合物および機能化粒子を含む媒体を導いて、スクリーンを通過させ、中空繊維メンブレンを通過させて、機能化粒子を伴わない細胞混合物と機能化粒子を伴う細胞混合物に分離する(図9)。機能化粒子を伴わない減少した濃度の混合物を弁によって導出し、該生物に導入する一方、機能化粒子を伴う細胞混合物およびそれらに結合している標的細胞/生体粒子/分子を反応容器に戻す(図7)。図10は、中空繊維メンブレン内での分離の原理を典型例として示す。細胞混合物および機能化粒子を含む媒体を導いて中空管メンブレンを通過させるが、該中空管メンブレンは細胞混合物の通過のみを許容する孔サイズ(破線)を備えていて、したがって、この時点で媒体は標的細胞/生体粒子/分子をほとんど含有せず、一方、分離対象の標的細胞/生体粒子/分子を伴う機能化粒子は中空管系の内部に残留する。
【0067】
図11は、対応する粒子分離系の詳細を表す。該粒子分離系は、直径が異なる2種類の機能化粒子に関して使用することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
動物についての、バイオテクノロジー(生物学的研究を含む)および医学的診断での適用のための、生体粒子、生体分子、またはこれらの混合物を液体から単離するための装置であって、以下のもの、すなわち
a. 生体粒子、生体分子またはそれらの混合物が配置される、生体適合性材料からなる反応容器、
b. 必要とされる生体粒子、生体分子またはそれらの混合物の集団を認識し、かつそれらを結合するリガンド結合微粒子、
c. 生体粒子、生体分子またはそれらの混合物の通過を許容するが、前記微粒子の通過を許容しない孔を有する1以上のメンブレンに基づく粒子分離系、ならびに
d. 連続使用のために、生体粒子、生体分子またはそれらの混合物の単離、分離、加工および除去のすべての工程を実行可能にするための、種々のホース系、メンブレン、ポンプおよび弁
を含む上記装置。
【請求項2】
請求項1に記載の装置であって、
特定の生体粒子、生体分子またはそれらの混合物が細胞レベル以下の構造、タンパク質、核酸もしくはこれらの混合物であり、ならびに液体が分泌物および排泄物、血液、リンパ、体液、洗浄サンプル、あるいは器官採取物または栄養培地もしくは発酵沈殿由来の懸濁液であり、かつ生体粒子、生体分子またはそれらの混合物を含有するものであり、かつ/または
追加のリガンド結合微粒子を使用することによって、生体粒子/生体分子の分離を生体粒子、生体分子またはそれらの混合物の吸着の原理と組み合わせ、併用されるリガンド結合微粒子同士がそのサイズに関して異なっており、かつ/または
前記リガンド結合微粒子が2種以上の特異的リガンドを保持し、ゆえに2種以上の異なる生体粒子、生体分子またはそれらの混合物が該微粒子に特異的に吸着する、
上記装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の装置であって、
リガンド結合微粒子が液体に懸濁され、自由可動性であり、かつ/または
機械的作用によって微粒子を懸濁状態で維持し、かつ/または
微粒子が配備されている反応区画由来の液体をろ過によって微粒子と分離させるものであり、かつ/または
特異的に吸着されないすべての成分の通過を許容するが、使用される微粒子の通過を許容しない直径を有する孔を特徴とするメンブレンをろ過に使用するものであり、かつ/または
孔の直径が1μmより大きく、1,000μmより小さい平面状または中空管メンブレンを分離に使用するものであり、かつ/または
反応容器を使用して単離された生体粒子及び/もしくは生体分子の追加の加工を行う、
上記装置。
【請求項4】
動物についての、バイオテクノロジー(生物学的研究を含む)および医学的診断での適用のための、生体粒子および分子を液体から単離するための請求項1〜3のいずれか一項に記載の装置であって、以下のもの、すなわち
a. 生体粒子および生体分子の混合物が配置される、生体適合性材料からなる反応容器、
b. 必要とされる生体粒子および/もしくは生体分子の集団を認識し、かつそれらを結合するリガンド結合微粒子であって、自由可動性であり、反応容器から粒子分離系へ導出することができる微粒子、
c. 生体粒子、生体分子またはそれらの混合物の通過を許容するが、前記微粒子の通過を許容しない孔を有する1以上のメンブレン/スクリーンに基づく粒子分離系であって、
生体粒子および/もしくは生体分子の混合物および微粒子を含む媒体を、静水圧によって、微粒子を伴う生体粒子および/もしくは生体分子の混合物と微粒子を伴わない生体粒子および/もしくは生体分子の混合物とに分離するための、または
生体粒子および/もしくは生体分子の混合物および微粒子を含む媒体を、静水圧によって、微粒子を伴う生体粒子および/もしくは生体分子の混合物と、微粒子を伴わない生体粒子および/もしくは生体分子の混合物とに分離する、
または
生体粒子および/もしくは生体分子の混合物および微粒子を含む媒体を、静水圧によって、メンブレンを通過する、生体粒子および/もしくは生体分子に結合していない遊離の微粒子を含む生体粒子および/もしくは生体分子の混合物と、リガンド結合微粒子および標的生体粒子および/もしくは生体分子からなる特異的複合体のみを含有する、メンブレンの手前の媒体とに分離するための粒子分離系、
d. スクリーン/中空繊維メンブレンであって、微粒子を伴わない生体粒子および/もしくは生体分子の混合物のみの通過を許容する孔サイズを備えているもの、
e. 弁によって反応容器中へ液体をポンプ/導入するためのポンプ、
f. 反応容器中へ液体をポンプ/導入するための弁、
g. 微粒子を伴わない生体粒子および/もしくは生体分子の混合物を粒子分離系から導出するための弁、
h. (A)生体粒子および/もしくは生体分子の混合物を含む液体を、リガンド結合微粒子を含有する反応容器中へ弁によって導入またはポンプするためのホース系、(B)反応容器から細胞混合物およびリガンド結合微粒子を含む媒体を導いて、リガンド結合微粒子を伴わない生体粒子および/もしくは生体分子の混合物とリガンド結合微粒子を伴う生体粒子および/もしくは生体分子の混合物とに該媒体を分離するための中空繊維メンブレンを有するスクリーンを通過させるためのホース系、または反応容器から生体粒子および/もしくは生体分子の混合物およびリガンド結合微粒子を含む媒体を導いて、該媒体を、メンブレンを通過する、生体粒子および/もしくは生体分子に結合していない遊離の微粒子を含む生体粒子および/もしくは生体分子の混合物と、リガンド結合微粒子および標的生体粒子および/もしくは生体分子からなる特異的複合体のみを含有するメンブレンの手前の媒体とに分離するためのスクリーンを通過させるホース系、(C)リガンド結合微粒子を伴わない分離済み細胞混合物を弁によって導出するためのホース系、および(D)リガンド結合微粒子およびそれに結合している生体粒子/生体分子を伴う分離済みの生体粒子および/もしくは生体分子の混合物を導いて反応容器に戻すホース系、またはリガンド結合微粒子およびそれに結合している生体粒子/分子を伴う生体粒子および/もしくは生体分子の混合物を分析または調製のために導出するためのホース系、ならびに
i. 連続使用のために、生体粒子、生体分子またはそれらの混合物の単離、分離、加工および除去のすべての工程を実行可能にするための、種々のホース系、メンブレン、ポンプおよび弁
を含む上記装置。
【請求項5】
生体粒子、生体分子またはそれらの混合物を液体から分離するための方法であって、以下のステップ、すなわち
生体粒子、生体分子またはそれらの混合物を含む液体をポンプするか、または弁によって導いて、混合物中の該液体の成分と相互作用するリガンド結合微粒子を含有する生体適合性反応容器に入れるステップ、
生体粒子および/もしくは生体分子またはそれらの混合物およびリガンド結合粒子を含む媒体を、反応容器から、スクリーンおよび中空繊維メンブレンを有する粒子分離系に導入し、該スクリーンおよび中空繊維メンブレンは、リガンド結合粒子を伴わない生体粒子および/もしくは生体分子の混合物の通過のみを許容する孔サイズを備えており、その結果として、生体粒子および/もしくは生体分子の混合物およびリガンド結合粒子を含む該媒体を静水圧によって該スクリーンおよび中空繊維メンブレンを通過させて、リガンド結合粒子を伴わない生体粒子および/もしくは生体分子の混合物とリガンド結合粒子を伴う生体粒子および/もしくは生体分子の混合物とに分離するステップ、
リガンド結合粒子を伴わない分離済み生体粒子および/もしくは生体分子の混合物を弁によって粒子分離系から導出するステップ、および
リガンド結合粒子を伴う細胞混合物および、標的生体粒子/生体分子を導いて反応容器に戻すか、あるいは分析または調製のために導出するステップ
を含む上記方法。
【請求項6】
体外循環においてex vivoで血液を処理するための、請求項1〜4のいずれか1項に記載の装置。
【請求項7】
診断またはさらなる加工のための、生体粒子、生体分子またはそれらの混合物の浄化、富化または濃縮に適している、請求項1〜4および6のいずれか1項に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−196212(P2012−196212A)
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−96915(P2012−96915)
【出願日】平成24年4月20日(2012.4.20)
【分割の表示】特願2007−522913(P2007−522913)の分割
【原出願日】平成17年7月29日(2005.7.29)
【出願人】(510234962)プルリセレクト ゲーエムベーハー (2)
【Fターム(参考)】