説明

動物へのマクロファージの悪影響の度合いを検出する方法

【課題】本発明は、患者へのマクロファージの悪影響を直接反映するマーカーを見出すことを目的とする。
【解決手段】
試料中のジアセチルポリアミンを測定し、ヒトを含む動物における、マクロファージ由来の悪影響の度合いを検出する方法を提供する。本発明の方法により、マクロファージの代謝状態を知ることができ、ヒトを含む動物における、マクロファージ由来の悪影響の度合いを検出することが可能となった。具体的には、マクロファージ関連疾患と考えられる、癌若しくは悪性腫瘍の再発、浸潤、叉は活性化、アルツハイマー病の神経細胞の変性や変質、リウマチ、クローン病などの自己免疫疾患もしくは動脈硬化症の発症や進展をジアセチルポリアミンを測定することにより予想可能とし、臨床検査上、極めて有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、試料中のジアセチルポリアミンを測定し、ヒトを含む動物へのマクロファージの悪影響の度合いを検出する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
癌において、マクロファージの患部への集積は癌の悪性度と相関しており、マクロファージ細胞は患部での炎症反応や組織の再構築に関与していると言われている(非特許文献1)。
【0003】
もし、その炎症反応や組織の再構築に特有なマクロファージの状態を知ることができれば、病気の進行度を知ることや治療方法の選択に有用であることが期待される。
【0004】
しかし、現在までにマクロファージが産生するファクターはいくつか報告されているものの、マクロファージの代謝状態、特に患者へのマクロファージの悪影響を直接反映するマーカーは報告されていない。
【0005】
最近、ジアセチルスペルミン、ジアセチルスペルミジン等のジアセチルポリアミンが、癌特異的なマーカーとして注目を浴びてきており、その特異的な測定法も報告されている(特許文献1、2、非特許文献2、3)。
【0006】
このようなジアセチルポリアミンは、癌細胞自身が産生しているものと考えられているが、その産生メカニズム、ジアセチルポリアミンと癌の進行との関係、あるいはジアセチルポリアミン産生とマクロファージとの関係に関しては、まったく不明のままである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第3709078号
【特許文献2】WO2004−81569
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】Breast Cancer Res.,2003, 5:83−88
【非特許文献2】J.Cancer Res.Clin.Oncol., 123(1997),539−545
【非特許文献3】J.Biochem.(Tokyo), 132(2002), 783−788
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
このように、マクロファージの代謝状態、特に患者へのマクロファージの悪影響を直接反映するマーカーは現在まで報告されておらず、もし、このような特異的マーカーを見出すことができれば、たとえば、癌における浸潤度や悪性度、あるいは再発の可能性を検出することができ、極めて有用な診断マーカーとなると考えられる。
【0010】
したがって、本発明は、患者へのマクロファージの悪影響を直接反映するマーカーを見出すことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者は、癌細胞におけるジアセチルポリアミンの産生メカニズムを研究している過程で、まったく意外にも、ジアセチルポリアミンは癌細胞の産生する物質ではなく、マクロファージが産生するものであることを見出した。この知見を基に更に検討を重ねた結果、マクロファージにおけるジアセチルポリアミンの産生は、マクロファージの代謝状態、特にヒトを含む動物におけるマクロファージ由来の悪影響の度合いを直接反映し、癌、アルツハイマー、リウマチ、クローン病、動脈硬化症等のマクロファージが関与したあるいは関与の疑いの高い疾患、障害叉は症状の悪化を直接検出できることを確認し、本発明を完成させた。したがって、本発明は、以下の通りである。
【0012】
(1)試料中のジアセチルポリアミンを測定し、ヒトを含む動物における、マクロファージ由来の悪影響の度合いを検出する方法。
(2)悪影響の度合いが、ヒトを含む動物における、マクロファージ関連疾患、障害叉は症状の悪化を示すものである、(1)記載の方法。
(3)悪影響の度合いが、ヒトを含む動物における、癌若しくは悪性腫瘍の再発、浸潤、叉は活性化を示すものである、(1)記載の方法。
(4)悪影響の度合いが、ヒトを含む動物における、神経細胞の変性や変質を示すものである、(1)記載の方法。
(5)悪影響の度合いが、ヒトを含む動物における、リウマチ、クローン病より選択される1つ以上の自己免疫疾患の発症や進展を示すものである、(1)記載の方法。
(6)悪影響の度合いが、ヒトを含む動物における、動脈硬化症の発症や進展を示すものである、(1)記載の方法。
(7)ジアセチルポリアミンが、ジアセチルスペルミンおよび/またはジアセチルスペルミジンである、(1)記載の方法。
(8)試料中のジアセチルポリアミンをイムノアッセイにより測定する、(1)記載の方法。
(9)患者の検体中ジアセチルポリアミンを測定し、同様にして測定した健常者の検体中のジアセチルポリアミンの量と比較し、ジアセチルポリアミン量が高い場合にはマクロファージ関連疾患、障害叉は症状の悪化が生じていると判断する、(1)記載の方法。
(10)ヒトを含む動物における、マクロファージ関連疾患、障害叉は症状の悪化を検出するため、ジアセチルポリアミンを特異マーカーとして使用する方法。
(11)マクロファージの生体内の環境・代謝状態を判定する、(10)記載の方法。
(12)患者の検体中ジアセチルポリアミンを測定し、同様にして測定した健常者の検体中のジアセチルポリアミンの量と比較し、ジアセチルポリアミン量が高い場合には、マクロファージの存在する環境・代謝条件が、糖の枯渇条件下、ミトコンドリアの活動ポテンシャルの低下条件下、または低酸素条件下にあり、癌細胞による血管新生を増強され、癌若しくは悪性腫瘍の再発、浸潤、又は活性化が生じている可能性があることを判定する方法。
(13)マクロファージの存在する環境・代謝条件が、糖の枯渇条件下、ミトコンドリアの活動ポテンシャルの低下条件下、または低酸素条件下にあり、神経細胞の変性や変質が生じている可能性があることを判定する、(12)記載の方法。
(14)マクロファージの存在する環境・代謝条件が、糖の枯渇条件下、ミトコンドリアの活動ポテンシャルの低下条件下、または低酸素条件下にあり、自己免疫疾患や動脈硬化症の発症や進展が生じている可能性があることを判定する、(12)記載の方法。
(15)ジアセチルポリアミンが、ジアセチルスペルミンおよび/またはジアセチルスペルミジンである、(12)から(14)のいずれか1項に記載の方法。
(16)試料中のジアセチルポリアミンをイムノアッセイにより測定する、(12)から(14)のいずれか1項に記載の方法。
【発明の効果】
【0013】
試料中のジアセチルポリアミンの測定により、マクロファージの生体内の環境・代謝状態を知ることができ、ヒトを含む動物における、マクロファージ由来の悪影響の度合いを検出することが可能となった。具体的には、マクロファージ関連疾患と考えられる、癌若しくは悪性腫瘍の再発、浸潤、叉は活性化、アルツハイマー病の神経細胞の変性や変質、リウマチ、クローン病などの自己免疫疾患もしくは動脈硬化症の発症や進展をジアセチルポリアミンを測定することにより予想可能とし、臨床検査上、極めて有用な発明である。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は、横軸に培養日数、縦軸にグルコースおよびジアセチルスペルミン(DAM)の濃度をとり、プロットしたものである。
【図2】図2は、横軸に乳酸消費速度(=酸素消費速度)、縦軸にジアセチルスペルミン(DAM)の濃度をとり、プロットしたものである。なお、◆は1x105細胞、■は1.5x10細胞、▲は2x10細胞、×は2.5x10細胞をそれぞれ使用したときの結果である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本明細書において、以下の用語は次の意味を有するものである。
「ジアセチルポリアミン」とは、ジアセチルスペルミンおよび/またはジアセチルスペルミジンを意味し、具体的には、N,N−ジアセチルスペルミジン、N,N12−ジアセチルスペルミンを例示することができる。
【0016】
「マクロファージ関連疾患」とは、マクロファージが直接叉は間接的に疾患の発症、障害叉は症状の悪化に関与もしくは関与が疑われる疾患を意味する。具体的には、癌若しくは悪性腫瘍等の細胞の異常増殖によってもららされる疾患、神経細胞の変性や変質によってもたらされるアルツハイマー病などの神経障害疾患、免疫機能の異常によってもたらされるリウマチなどの自己免疫疾患、マクロファージ上のレセプターを介してコレステロールが沈着して発症する動脈硬化などの血管障害疾患などを例示することができる。
【0017】
「悪影響」とは、ヒトを含む動物において好ましくない影響なり、状態なりを示す。本来、マクロファージは、ヒトを含む動物の免疫機能を維持するためには欠かせない細胞であるものの、その細胞の生体内でのおかれている環境あるいは代謝状態によって、癌細胞における血管新生等のヒトを含む動物の体調維持に好ましくない影響を及ぼすことがある。このようなヒトを含む動物において好ましくない影響を悪影響と呼称する。
【0018】
「試料」とは、ジアセチルポリアミンを含有するものであれば特に制限されない。そのようなサンプルを具体的に例示すれば、尿、血清等を例示することができ、特に尿サンプルが使用に好適である。「再発」には、最初の発生臓器と同じ臓器での再発以外に、異なる臓器での発生である転移を含む。
【0019】
(A)ジアセチルポリアミンの測定
試料中のジアセチルポリアミンの測定は、特に制限されるものではない。その中でも、イムノアッセイが、特に簡便で好適である。イムノアッセイで使用する試薬、具体的な測定手順に関しては、公知の文献(例えば、特許文献1、2、非特許文献2、3など)を参照して実施することができる。
【0020】
(B)マクロファージ由来の悪影響の度合いを検出
上記方法により、患者の試料中ジアセチルポリアミンを測定し、同様にして測定した健常者の試料中のジアセチルポリアミンの量と比較し、ジアセチルポリアミン量が高い場合にはマクロファージによる患者への悪影響の度合いが高いと判断する。
【0021】
すなわち、後述実施例に示すように、マクロファージによるジアセチルポリアミンの産生が亢進しているということは、生体内におけるマクロファージの環境・代謝状態が、低酸素条件下あるいはグルコース等の糖が枯渇条件下であることを示し、このような環境・代謝条件下でのマクロファージは、癌細胞による血管新生を強化し、癌の再発、浸潤、叉は活性化等のヒトを含む動物の健康状態に悪影響の度合いを強めることとなる。
【0022】
このようなことは、癌に限らず、マクロファージ関連疾患全般に当てはまり、ジアセチルポリアミンの増加とマクロファージ由来の悪影響の強弱は比例関係にあるため、試料中ジアセチルポリアミンを測定し、それを健常者の対応する値と比較することで、マクロファージ由来の悪影響を検出することが可能となる。
【実施例】
【0023】
以下、本発明について実施例をあげて具体的に説明するが、本発明はこれらによって何等限定されるものではない。
【0024】
(1)マクロファージ環境中のグルコースの濃度とジアセチルポリアミンの産生の関係
チオグリコレートを注射したマウスより得た腹腔マクロファージを96穴マイクロプレートに1ウェルあたり1.25×10個の濃度で培養した。この時、ジアセチルポリアミンの原料のひとつであるスペルミンを10μM、グルコースを0,1叉は2(g/L)の濃度で添加した。なお、培地は10%ウマ血清含有RPMI1640を用いた。
【0025】
培地中のジアセチルスペルミンと残存グルコースを、常法により測定したところ、図1に示すように、グルコースの枯渇に対応してジアセチルスペルミンの産生が確認された。
【0026】
(2)ミトコンドリアの活動とジアセチルポリアミンの産生の関係(その1)
ミトコンドリアの活動ポテンシャルを強制的に低下させるアンカップラーと呼ばれる試薬のひとつであるジニトロフェノール(DNP)100μMを培地に添加し、上記と同様に2日間培養し、ジアセチルスペルミンの濃度を測定した。なお、培地中にグルコースは2g/L添加してある。
【0027】
その結果、表1に示すように、グルコースが存在している状態においても、ミトコンドリアのポテンシャルを低下させることにより、ジアセチルスペルミンの産生が確認された。
【0028】
【表1】

【0029】
(3)ミトコンドリアの活動とジアセチルポリアミンの産生の関係(その2)
ミトコンドリアの活動を低下させる別の方法である低酸素状態(約7%(v/v)、対照は21%(v/v))で、上記と同様に1日間培養し、ジアセチルスペルミンの濃度を測定した。なお、培地中にグルコースは2g/L添加してある。
【0030】
その結果、表2に示すように、グルコースが存在している状態においても、酸素濃度を下げミトコンドリアの活動を低下させることにより、ジアセチルスペルミンの産生が確認された。
【0031】
【表2】

【0032】
(4)ミトコンドリアの活動とジアセチルポリアミンの産生の関係(その3)
ジアセチルポリアミンの原料のひとつであるアセチルCoAの由来を調べるために、ミトコンドリアから細胞質にクエン酸が運び出されるときに使われるトリカルボン酸キャリアーの阻害剤である1,2,3−ベンジルトリカルボン酸(BTA)10mMをグルコースなしの培地に添加し、ジアセチルスペルミンの濃度を測定した。
【0033】
その結果、表3に示すように、BTAでジアセチルスペルミンの産生が阻害されることから、ミトコンドリアのクエン酸が細胞質に運びだされて、(ATP依存性)クエン酸リアーゼによりアセチルCoAとオキザロ酢酸に分解され、そのアセチルCoAが原料となることがわかった。
【0034】
【表3】

【0035】
(5)ミトコンドリアの活動とジアセチルポリアミンの産生の関係(その4)
酸素消費速度とジアセチルスペルミン産生量の関係を定量的に示すために、1ウェル当たりの細胞数と培養液の体積を種々に設定し、酸素濃度を種々に制限してジアセチルスペルミン産生量との関係を求めた。培養液はグルコースの代わりに乳酸を添加して用いた。定常状態では、乳酸の消費速度はクエン酸サイクルによるその消費速度と等しく、さらにそこで産生される還元型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NADH)が電子伝達系で酸素により酸化される速度と等しいと考えられる。細胞数は1ウェル当たり1.0×、1.5×、2.0×、2.5×10の4種、また、培養液の体積は100、150、200、250、300μlの5種を設定し培養した。ジアセチルスペルミン産生量は、産生が終了する培養4日目の上清を測定して求めた。
【0036】
その結果、図2に示すように、酸素が制限され乳酸の消費速度がある値以下になるとジアセチルスペルミンの産生がはじまり、減速させられるほど産生量が高くなることがわかった。図2では便宜上、同細胞数での結果を結線して表示しているが、細胞数が異なる実験系列の結果もほぼ重なることから、細胞数あるいは培養液量の独立した影響、つまり細胞間相互作用や分泌される因子の影響はなく、乳酸消費速度の減少で示される酸素の不足のみがジアセチルスペルミン産生量の決定因子と考えられた。さらにほぼ直線関係であることから、マクロファージにおける酸素不足とジアセチルスペルミンの産生量が“比例”していると考えられた。
【0037】
(4)考察
ミトコンドリアは、そのマトリックス中のクエン酸サイクルで産生したNADHを酸素によって酸化することで細胞のエネルギー(ATP)産生工場として働いており、その活動性は酸素消費速度によって示されると考えられる。ミトコンドリアはその機構上活動性を低下させられるとクエン酸を保持できないが、そのとき漏出するクエン酸量を示すジアセチルスペルミン産生量が、低下した活動性つまり酸素消費速度の低下と直線関係があることが上記で示されたことから、ジアセチルスペルミンはマクロファージがおかれている酸素不足の状態を示しているといえる。上記(1)でグルコースの枯渇がジアセチルスペルミンの産生を促しているが、これは、グルコースによって作られていたATPの供給がなくなり、ミトコンドリアのATP産生への要求、つまり酸素要求が昂進して酸素不足を起こしたためと考えられる。
【0038】
グルコース濃度や酸素濃度の低下は、生体中では血管から離れた場所や壊死部分で起こると考えられる。検体中のジアセチルスペルミンが上昇していれば、マクロファージが生体内でそのような場所に浸潤し、ミトコンドリアの活動が低下し、ヒトを含む動物へのマクロファージの悪影響が予想できる。たとえば、酸素濃度の低下は、血管新生の誘導因子といわれており、組織の再構築の能力があるマクロファージがそのような条件下に置かれると、同細胞が血管新生に直接関与し、癌若しくは悪性腫瘍の再発、浸潤、叉は活性化を起こすことが考えられる。
【0039】
このように、血管新生が予後に大きな影響を与える疾患である癌叉は悪性腫瘍の治療効果の判定や治療薬の選択、あるいは癌以外でもアルツハイマー、リウマチ、動脈硬化等のマクロファージが関与したあるいは関与の疑いの高い疾患、障害叉は症状の悪化を検出することで、治療方法の開発や病理的・生理的な現象の解明に、本発明方法は大いに貢献することができるものと考えられる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料中のジアセチルポリアミンを測定し、ヒトを含む動物における、マクロファージ由来の悪影響の度合いを検出する方法。
【請求項2】
悪影響の度合いが、ヒトを含む動物における、マクロファージ関連疾患、障害叉は症状の悪化を示すものである、請求項1記載の方法。
【請求項3】
悪影響の度合いが、ヒトを含む動物における、癌若しくは悪性腫瘍の再発、浸潤、叉は活性化を示すものである、請求項1記載の方法。
【請求項4】
悪影響の度合いが、ヒトを含む動物における、神経細胞の変性や変質を示すものである、請求項1記載の方法。
【請求項5】
悪影響の度合いが、ヒトを含む動物における、リウマチ、クローン病より選択される1つ以上の自己免疫疾患の発症や進展を示すものである、請求項1記載の方法。
【請求項6】
悪影響の度合いが、ヒトを含む動物における、動脈硬化症の発症や進展を示すものである、請求項1記載の方法。
【請求項7】
ジアセチルポリアミンが、ジアセチルスペルミンおよび/またはジアセチルスペルミジンである、請求項1記載の方法。
【請求項8】
試料中のジアセチルポリアミンをイムノアッセイにより測定する、請求項1記載の方法。
【請求項9】
患者の検体中ジアセチルポリアミンを測定し、同様にして測定した健常者の検体中のジアセチルポリアミンの量と比較し、ジアセチルポリアミン量が高い場合にはマクロファージ関連疾患、障害叉は症状の悪化が生じていると判断する、請求項1記載の方法。
【請求項10】
ヒトを含む動物における、マクロファージ関連疾患、障害叉は症状の悪化を検出するため、ジアセチルポリアミンを特異マーカーとして使用する方法。
【請求項11】
マクロファージの生体内の環境・代謝状態を判定する、請求項9記載の方法。
【請求項12】
患者の検体中ジアセチルポリアミンを測定し、同様にして測定した健常者の検体中のジアセチルポリアミンの量と比較し、ジアセチルポリアミン量が高い場合には、マクロファージの存在する環境・代謝条件が、糖の枯渇条件下、ミトコンドリアの活動ポテンシャルの低下条件下、または低酸素条件下にあり、癌細胞による血管新生を増強され、癌若しくは悪性腫瘍の再発、浸潤、又は活性化が生じている可能性があることを判定する方法。
【請求項13】
マクロファージの存在する環境・代謝条件が、糖の枯渇条件下、ミトコンドリアの活動ポテンシャルの低下条件下、または低酸素条件下にあり、神経細胞の変性や変質が生じている可能性があることを判定する、請求項12記載の方法。
【請求項14】
マクロファージの存在する環境・代謝条件が、糖の枯渇条件下、ミトコンドリアの活動ポテンシャルの低下条件下、または低酸素条件下にあり、自己免疫疾患や動脈硬化症の発症や進展が生じている可能性があることを判定する、請求項12記載の方法。
【請求項15】
ジアセチルポリアミンが、ジアセチルスペルミンおよび/またはジアセチルスペルミジンである、請求項12から14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
試料中のジアセチルポリアミンをイムノアッセイにより測定する、請求項12から14のいずれか1項に記載の方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公開番号】特開2011−64709(P2011−64709A)
【公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−370(P2011−370)
【出願日】平成23年1月5日(2011.1.5)
【分割の表示】特願2007−17213(P2007−17213)の分割
【原出願日】平成19年1月29日(2007.1.29)
【出願人】(000006770)ヤマサ醤油株式会社 (56)