説明

包装体および包装機

【課題】包装体の外観を損なうことなく開封性を向上させることが可能な包装体および包装機を提供する。
【解決手段】包装体1は、被包装物30が収容される収容部12、および収容部12の開口の外周に設けられるフランジ部14を有する本体10と、フランジ部14と接着されて収容部12の開口を覆う蓋体20と、からなり、フランジ部14は、蓋体20と接着される接着領域14a、および開封用に蓋体20に接着されない領域である開封用領域14bを有し、開封用領域14bには、蓋体20から離隔する方向に窪む窪み部16が設けられ、窪み部16は、フランジ部14の外周端14d側において少なくとも一部がフランジ部14の外周端14dから間隔を空けて設けられる縁部、およびフランジ部14の外周端14dにおいて開口する凹状の開口部16c1を有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被包装物を収容して包装する包装体および包装機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、食品等の包装では、被包装物を収容する窪みである収容部を有するトレー上の本体に蓋体を接着することにより密封包装する包装体が一般的に使用されている。このような包装体は、本体における収容部の外周部分であるフランジ部に、蓋体が熱融着等によって接着されることで収容部内の被包装物が密封包装されるように構成されており、開封する際には本体と蓋体の接着部分を引き剥がすようになっている。
【0003】
従って、このような包装体では、一般的にフランジ部の角部等に蓋体と接着されない開封用の非接着領域が設けられており、このフランジ部の開封用非接着領域および蓋体の対応する部分は、本体と蓋体を引き剥がす際に指で摘まれる摘み部となっている。また、このような包装体の中には、このフランジ部の摘み部に段差や凹凸形状を設けることで、本体の摘み部および蓋体の摘み部を容易に分離して摘むことができるようにしたものも存在している(例えば、特許文献1または2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実公昭37−21987号公報
【特許文献2】特開2000−203639号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、摘み部に段差を設けた上記特許文献1に記載の包装体では、まとめて密封包装した複数の包装体を切り分ける際に、本体および蓋体の摘み部において開放端となるべき端縁が接着されてしまう場合があった。
【0006】
すなわち、このような包装体を形成する包装機では、搬送されるフィルムに複数の収容部を形成して被包装物を収容部内に収容した後に、このフィルムに別のフィルムを融着して収容部を密封し、最後に収容部と収容部の間を切断して個々の包装体に切り分けるように構成されているところ、摘み部の開放端は最後の切断によって形成される切断面であることから、融着後の残存熱と切断時におけるカッタの押圧により本体の摘み部と蓋体の摘み部の開放端の近傍同士が接着されてしまうことがあった。
【0007】
このため、せっかく摘み部に段差を設けているにも関わらず、本体の摘み部と蓋体の摘み部を分離させることが困難となり、開封を容易にするという本来の目的を達成することができない場合があった。
【0008】
一方、上記特許文献2に記載の包装体では、本体の摘み部に凹凸形状を設けて本体の摘み部と蓋体の摘み部の開放端同士を離隔させるようにすることで、切断時に両者が圧着される可能性が低くなるようにしている。
【0009】
しかしながら、そもそも上記特許文献1に記載の包装体のように本体の摘み部と蓋体の摘み部の開放端を離隔させるようにした場合、一方の摘み部が捲れる等して包装体の見栄えが悪化するだけでなく、本体と蓋体の一体感のなさから包装体の密封性に対する信頼性が失われることもあるところ、摘み部に凹凸形状を設けて本体の摘み部と蓋体の摘み部の開放端を離隔させるようにした上記特許文献2に記載の包装体では、開封性は確保されるものの、包装体の見栄えが著しく損なわれることとなるため、包装体だけではなく被包装物の商品性まで悪化するという問題があった。
【0010】
本発明は、斯かる実情に鑑み、包装体の外観を損なうことなく開封性を向上させることが可能な包装体および包装機を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
(1)本発明は、被包装物が収容される収容部、および前記収容部の開口の外周に設けられるフランジ部を有する本体と、前記フランジ部と接着されて前記収容部の開口を覆う蓋体と、からなり、前記フランジ部は、前記蓋体と接着される接着領域、および開封用に前記蓋体と接着されない領域である開封用領域を有し、前記開封用領域には、前記蓋体から離隔する方向に窪む窪み部が設けられ、前記窪み部は、前記フランジ部の外周端側において少なくとも一部が前記フランジ部の外周端から間隔を空けて設けられる縁部、および前記フランジ部の外周端において開口する凹状の開口部を有することを特徴とする、包装体である。
【0012】
(2)本発明はまた、前記窪み部における前記フランジ部の外周端側の縁部は、前記フランジ部の外周端と略平行に構成される部分を有することを特徴とする、上記(1)に記載の包装体である。
【0013】
(3)本発明はまた、前記開封用領域は、前記フランジ部の外周端において外側に向けて凸となる凸部近傍に設けられ、前記開口部は、前記凸部の頂点部分に設けられることを特徴とする、上記(1)または(2)に記載の包装体である。
【0014】
(4)本発明はまた、前記窪み部は、前記フランジ部の外周端から間隔を空けて設けられる第1の窪み部、および前記第1の窪み部から前記フランジ部の外周端にかけて設けられる第2の窪み部を有し、前記開口部は、前記第2の窪み部に設けられることを特徴とする、上記(1)乃至(3)のいずれかに記載の包装体である。
【0015】
(5)本発明はまた、前記窪み部は、前記接着領域側の縁部が前記接着領域と前記開封用領域の境界線と略一致するまたは略平行に構成されることを特徴とする、上記(1)乃至(4)のいずれかに記載の包装体である。
【0016】
(6)本発明はまた、前記接着領域と前記開封用領域の境界線は、曲折する曲折部を有して構成されることを特徴とする、上記(1)乃至(5)のいずれかに記載の包装体である。
【0017】
(7)本発明はまた、前記曲折部は、前記開封用領域側に凸となる前記曲折部を有して構成されることを特徴とする、上記(6)に記載の包装体である。
【0018】
(8)本発明はまた、前記窪み部内に、前記蓋体側に向けて突出する突起部が設けられることを特徴とする、上記(1)乃至(7)のいずれかに記載の包装体である。
【0019】
(9)本発明はまた、被包装物を収容する収容部を第1のフィルムに成型する成型装置と、前記収容部内に前記被包装物が収容された状態の前記第1のフィルムに第2のフィルムを接着するシール装置と、前記収容部内に前記被包装物が収容された状態で接着された前記第1のフィルムと前記第2のフィルムを個々の包装体に切り分ける切断装置と、を備え、前記成型装置は、前記収容部の成型と共に、前記第1のフィルムにおいて開封用に前記第2のフィルムと接着されない領域である開封用領域に窪み部を成型するように構成され、前記窪み部は、前記切断装置による切断線側において少なくとも一部が前記切断線から間隔を空けて設けられる縁部を有すると共に、前記切断線に一部が跨るように成型されることを特徴とする、包装機である。
【0020】
(10)本発明はまた、前記窪み部は、前記切断線から間隔を空けて設けられる第1の窪み部、および前記第1の窪み部から前記切断線に跨るように延出して設けられる第2の窪み部を有することを特徴とする、上記(9)に記載の包装機である。
【0021】
(11)本発明はまた、前記成型装置は、前記第1のフィルムを金型に沿わせることで前記収容部と前記窪み部を成型するように構成され、前記金型は、前記収容部を成型するための第1の雌型、および前記窪み部を成型するための第2の雌型を備えることを特徴とする、上記(9)または(10)に記載の包装機である。
【発明の効果】
【0022】
本発明に係る包装体および包装機によれば、包装体の外観を損なうことなく開封性を向上させることが可能という優れた効果を奏し得る。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】包装体の外観斜視図である。
【図2】包装体の分解斜視図である。
【図3】(a)開封用領域を拡大して示した平面図である。(b)同図(a)におけるA方向矢視図である。(c)同図(a)におけるB方向矢視図である。
【図4】(a)〜(c)図3(a)のC−C線断面図である。
【図5】(a)第1の窪み部の成型時の様子を拡大して示した断面図である。(b)第2の窪み部の成型時の様子を拡大して示した断面図である。(c)第1の窪み部の一部を拡大して示した断面図である。(d)第2の窪み部を拡大して示した断面図である。
【図6】本体の接着領域と蓋体の接着領域を引き剥がす際の剥離線の推移を示した平面図である。
【図7】(a)および(b)包装体のその他の形態の例を示した平面図である。
【図8】(a)〜(c)第2の窪み部のその他の形態の例を示した図である。
【図9】(a)および(b)第1の窪み部の内部に突起部を設けた場合の一例を示した図である。
【図10】(a)および(b)窪み部のその他の形態の一例を示した図である。
【図11】(a)および(b)開封用領域において外周端が一致しないようにした場合の一例を示した図である。
【図12】包装機の構成を示した概略図である。
【図13】(a)金型の平面図である。(b)同図(a)のH−H線断面図である。(c)同図(a)のI−I線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施の形態を、添付図面を参照して説明する。
【0025】
まず、図1〜8を用いて、本発明の実施の形態に係る包装体1について説明する。なお、これらの図では、部材の厚みを誇張して記載している。
【0026】
図1は、包装体1の外観斜視図であり、図2は、包装体1の分解斜視図である。これらの図に示されるように、包装体1は、本体10および蓋体20から構成されている。なお、本実施形態では、本体10を上にした状態を包装体1の正立状態としているが、蓋体20を上にした状態を正立状態としてもよいことはいうまでもない。
【0027】
本体10は、PEまたはPET等の適宜の樹脂から構成され、被包装物30が収容される窪みである収容部12、および収容部12の開口の外周に設けられるフランジ部14を備えて構成されている。蓋体20は、PEまたはPET等の適宜の樹脂から構成された平板状の部材である。蓋体20は、本体10のフランジ部14に接着されることによって収容部12の開口を塞ぎ、収容部12内を密封する。なお、本実施形態では、本体10および蓋体20を熱融着により接着するようにしているが、例えば接着剤による接着等、その他の接着方法を使用するようにしてもよい。
【0028】
本体10のフランジ部14には、蓋体20と接着される接着領域14aと、開封用に蓋体20と接着されない開封用非接着領域14b(以下、開封用領域14bと呼ぶ)が設けられている。同様に、蓋体20のフランジ部14に対向する部分には、本体10の接着領域14aに対応する領域に本体10と接着される接着領域20aが設けられ、本体10の開封用領域14bに対応する領域に本体10と接着されない開封用非接着領域20b(以下、開封用領域20bと呼ぶ)が設けられている。また、蓋体20における収容部12に対向する領域は、本体10と接着されない非接着領域20cとなっている。
【0029】
なお、図1および2においては、本体10の接着領域14aと開封用領域14bの境界線14c、蓋体20の接着領域20aと開封用領域20bの境界線20d、および接着領域20aと非接着領域20cの境界線20eを、破線でそれぞれ示しており、以下の図でも同様である。
【0030】
本体10の開封用領域14bおよび蓋体20の開封用領域20bは、本体10および蓋体20を互いに引き剥がして包装体1を開封する際に、指で摘む摘み部となる領域である。従って、これらの開封用領域14b、20bは、フランジ部14の1つの角部近傍において略三角形状となるように設けられている。
【0031】
包装体1の開封を容易にするためには、本体10の開封用領域14bおよび蓋体20の開封用領域20bは、それぞれを両手の指先で摘むために、容易に分離可能であることが望ましい。一方、包装体1の見栄えを向上させるためには、開封前の状態において、これら2つの開封用領域14b、20bが重なり合った状態、またはわずかに離隔した状態を維持し、本体10と蓋体20の一体感を出すことが望ましい。
【0032】
本実施形態の包装体1では、これらの相反する要求を満たすべく、本体10の開封用領域14bに蓋体20から離隔する方向に窪む窪み部16を設けると共に、この窪み部16を、フランジ部14の外周端14dから間隔を空けて(離隔して)設けられる第1の窪み部16aと、第1の窪み部16aからフランジ部14の外周端14dにかけて延出するように設けられる溝状の第2の窪み部16bとから構成している。そして、第2の窪み部16bの外周端14dにおける先端部には、外周端14dに沿って切り欠かれた切欠部16cを設けることにより開口部16c1を形成している。
【0033】
図3(a)は、開封用領域14b、20bを拡大して示した平面図(本体10側から見た図)である。また、図3(b)は、同図(a)におけるA方向矢視図であり、図3(c)は、同図(a)におけるB方向矢視図である。また、図4(a)〜(c)は、図3(a)のC−C線断面図である。
【0034】
本実施形態では、開封用領域14b、20bを、斜辺を略Z字状に曲折した略直角三角形状に構成している。すなわち、本体10の接着領域14aと開封用領域14bの境界線14cを2つの曲折部14c1を有するジグザグ形状に構成すると共に、蓋体20の接着領域20aと開封用領域20bの境界線20dを本体10の境界線14cと同一の2つの曲折部20d1を有するジグザグ形状に構成している。そして、窪み部16は、本体10の開封用領域14bの一部を蓋体20の反対側に向けて膨出させるように窪ませることで形成されている。
【0035】
窪み部16のうち、第1の窪み部16aは、平面視の形状が開封用領域14bと略相似形状となるように形成されている。具体的には、第1の窪み部16aにおけるフランジ部14の外周端14d側の縁部16a1(図2参照)は、フランジ部14の外周端14dから間隔を空けて外周端14dと略平行となるように形成されている。そして、第1の窪み部16aにおける接着領域14a側の縁部16a2(図2参照)は、本体10の境界線14cと略一致する位置において、2つの曲折部16a3を有するジグザグ状(Z字状)に形成されている。
【0036】
また、第2の窪み部16bは、第1の窪み部16aからフランジ部14の外周端14dの角部14eの頂点部分にかけて形成された略矩形状断面の溝状の窪みである。本実施形態では、第2の窪み部16bの2つの縁部16b1(図3(c)参照)を互いに略平行となるようにしている。すなわち、第2の窪み部16bは、幅が略一定の溝状に構成されている。
【0037】
第2の窪み部16bの角部14eにおける先端部は、フランジ部14の外周端14dに沿って切り欠かれた(切断された)切欠部16cとなっている。従って、切欠部16cには、外側に向けて開口する凹状の(蓋体20側に向けて凹となる)開口部16c1が形成されている(図3(c)参照)。また、本実施形態では、第1の窪み部16aの高さ(深さ)と第2の窪み部16bの高さ(深さ)を略同一に構成している。
【0038】
第1の窪み部16aは、接着領域14a側の縁部16a2を境界線14cと平行且つ略一致させることで、本体10の開封領域14bの大部分を占めるように構成されている。また、第1の窪み部16aは、外周端14d側の縁部16a1を外周端14dから間隔を空けて設けることで、第1の窪み部16aと外周端14dの間に、蓋体20の開封用領域20bに対して近接または接触した状態となる近接部14b1を形成するようになっている。
【0039】
すなわち、第1の窪み部16aは、本体10の開封用領域14bの大部分を蓋体20の開封用領域20bから離隔させることで、本体10の開封用領域14bおよび蓋体20の開封用領域20bを容易に分離することを可能としながらも、近接部14b1によってフランジ部14の外周端14dおよび蓋体20の外周端20fの近傍、すなわち開放端の近傍を近接または接触した状態とすることで、本体10と蓋体20の一体感が損なわれないように構成されている。さらに、外周端14d側の縁部16a1は、外周端14dと略平行に構成されているため目立ちにくく、すっきりとした外観を呈するようになっている。
【0040】
但し、第1の窪み部16aだけを設けたのでは、開放端であるフランジ部14の外周端14d近傍および蓋体20の外周端20fの近傍が全て近接または接触した状態となるため、本体10の開封用領域14bおよび蓋体20の開封用領域20bを分離することが困難となる。そこで、本実施形態では、第1の窪み部16aと共に第2の窪み部16bを設け、第2の窪み部16bに開口部16c1を設けることにより、フランジ部14の外周端14dと蓋体20の外周端20fを局所的に離隔させるようにしている。
【0041】
このように第2の窪み部16bおよび開口部16c1を設けることで、図4(b)に示されるように、第2の窪み部16bの先端、すなわち開口部16c1に指先を引っ掛けることで本体10の開封用領域14bおよび蓋体20の開封用領域20bを容易に分離することが可能となる。
【0042】
図5(a)は、第1の窪み部16aの成型時の様子を拡大して示した断面図であり、図5(b)は、第2の窪み部16bの成型時の様子を拡大して示した断面図である。また、図5(c)は、第1の窪み部16aの一部を拡大して示した断面図であり、図5(d)は、第2の窪み部16bを拡大して示した断面図である。
【0043】
詳細は後述するが、本実施形態では、同図(a)および(b)に示されるように、本体10となるフィルム素材40を加熱した状態で金型50に沿わせることで、窪み部16を成型するようにしている。この場合、フィルム素材40の材質や厚み、金型50の形状にもよるが、一般にフィルム素材40の曲折部42は金型50の形状通りには成型されず、成型された窪み部16には、成型戻り(スプリングバック)が生じることとなる。特に、第1の窪み部16aの縁部16a1、16a2となる部分、および第2の窪み部16bの縁部16b1となる部分は、金型50に沿いにくいため、比較的大きな成型戻りが生じることとなる。
【0044】
この窪み部16に生じる成型戻りは、同図(c)および(d)に示されるように、第1の窪み部16aおよび第2の窪み部16bをそれぞれ蓋体20から離隔させる方向に作用することとなる。また、同図(c)に示されるように、近接部14b1において成型戻りは、外周端14dを蓋体20の外周端20fに押し付けるように作用すると共に、縁部16a1を蓋体20の開封用領域20bから離隔させるように作用する。
【0045】
すなわち、近接部14b1は、成型戻りによって外周端14d、20fに近い部分では蓋体20に略接触した状態を維持しつつ、その他の部分は蓋体20から離隔した状態(隙間のある状態)を維持するようになっており、本体10と蓋体20の一体感を出しながらも、両者を分離しやすいようになっている。さらに、本実施形態では、外周端14d側の縁部16a1を外周端14dと略平行に構成しているため、本体10の外周端14dを、略均等な状態で蓋体20の外周端20fに接触させることが可能となっている。
【0046】
また、同図(d)に示されるように、第2の窪み部16bの近傍において成型戻りは、第2の窪み部16bの幅よりも広い範囲を蓋体20から離隔させるように作用すると共に、それより離れた部分を蓋体20に押し付けるように作用する。従って、第2の窪み部16bを幅狭に構成しながらも、開口部16c1の近傍に容易に指先を引っ掛けて分離の起点とすることが可能となっている。
【0047】
特に、第2の窪み部16bでは、成型戻りが生じる2つの縁部16b1が近接して設けられていることから、例えば外周端14d、20fの切断時における押圧等が加わった場合においても、第2の窪み部16bの近傍は蓋体20に接着されにくくなっている。すなわち、分離の起点となる開口部16c1の近傍は、蓋体20の外周端20fから離隔した状態に維持されやすくなっている。
【0048】
さらに、第2の窪み部16bの幅よりも広い範囲を蓋体20から離隔させるようにすることで、開口部16c1に指先を引っ掛けるのではなく、図4(c)に示されるように、開口部16c1の近傍における蓋体20の外周端20fに指先を引っ掛けて本体10の開封用領域14bおよび蓋体20の開封用領域20bを分離することも可能となる。すなわち、本体10側および蓋体20側のいずれの側からも開封用領域14b、20bを分離させることが可能となるため、開封をより容易にすることができる。
【0049】
また、本実施形態では、2つの開封用領域14b、20bを分離させようとする場合に、最も自然に指先が触れることとなる角部14e(すなわち、外周端14dにおいて外側に向けて凸となる凸部)の頂点部分近傍に第2の窪み部16bを形成しているため、目視で開口部16c1を探すことなく、ごく自然な動作で包装体1を開封することが可能となっている。また、第2の窪み部16bを目立たせないように構成することが可能となるため、包装体1の見栄えが損なわれないようにすることができる。
【0050】
さらに、本実施形態では、第1の窪み部16aの外周端14d側の縁部16a1によって第2の窪み部16bの両側に位置する近接部14b1近傍の剛性を高めているため、2つの開封用領域14b、20bを分離させる場合に、開封用領域14bが折れ曲がる等の変形が生じにくくなっている。
【0051】
これにより、本体10の開封用領域14dを蓋体20の開封用領域20bから引き離そうとする場合には、開口部16c1近傍の僅かな引っ掛かりだけであっても力を適切に伝達させることが可能となるため、2つの開封用領域14b、20bを容易に分離させることができる。また、蓋体20の開封用領域20bを本体10の開封用領域14dから引き離そうとする場合には、開封用領域14dの姿勢を維持し、開封用領域20bと共に開封用領域14dが変形しないようにすることが可能となるため、2つの開封用領域14b、20bを容易に分離させることができる。従って、例えば外周端14d、20fの切断時における押圧等によりフランジ部14の外周端14dと蓋体20の外周端20fが接着されているような場合にも、これを容易に引き剥がすことが可能となっている。
【0052】
また、縁部16a1の剛性により、近接部14b1が蓋体20の開封用領域20bに接触した状態を維持することができるため、開封用領域14bが不用意に捲れ上がった状態となって包装体1の見栄えが悪くなるといった事態を未然に防止することが可能となっている。
【0053】
このように、本実施形態の包装体1では、本体10の開封用領域14bに第1の窪み部16a、第2の窪み部16bおよび開口部16c1を有する窪み部16を設けることにより、包装体1の外観を損なうことなく本体10の開封用領域14bと蓋体20の開封用領域20bを容易に分離することが可能となっている。また、第2の窪み部16bを溝状に構成することにより、2つの開封領域14b、20bの分離をより容易に行うことが可能となっている。
【0054】
さらに、本実施形態では、本体10の接着領域14aと開封用領域14bの境界線14c、および蓋体20の接着領域20aと開封用領域20bの境界線20dに曲折部14c1、20d1を設けることにより、本体10の接着領域14aと蓋体20の接着領域20aの引き剥がしを行いやすくしている。
【0055】
図6は、本体10の接着領域14aと蓋体20の接着領域20aを引き剥がす際の剥離線PLの推移を示した平面図である。なお、同図においては、剥離線PLを二点鎖線で示している。2つの接着領域14a、20aを引き剥がしていく場合、引き剥がされた部分と接着された部分の境界である剥離線PLは、境界線14c、20dから収容部12の方に向けて漸次移動することとなるが、境界線14c、20dに曲折部14c1、20d1を設けることにより、同図に示されるように、引き剥がしの開始時において剥離線PLの幅が漸次拡大していくようにすることが可能となる。
【0056】
すなわち、境界線14c、20dに曲折部14c1、20d1を設けることにより、引き剥がしの開始時に要する力を少なくすることが可能となるため、包装体1の開封を容易にすることができる。また、曲折部14c1、20d1を適宜の位置に配置することにより、剥がれやすい方向を定めることができるため、引き剥がし方向を収容部12へと向かう適切な方向に誘導することも可能となる。
【0057】
さらに、図の左側の曲折部14c1、20d1のように、開封用領域14b、20b側に凸となる曲折部14c1、20d1を設けた場合には、収容部12から境界線14c、20dまでの接着領域14a、20aの幅D1を拡大することができる。これにより、フランジ部14に対して開封用領域14b、20bを大きめに構成して開封時に摘みやすくしたような場合においても、開封用領域14b、20b近傍における密封性を確保することが可能となる。
【0058】
また、本実施形態では、開封用領域14b、20bにおける外周端14d、20f(すなわち開放端)の長さを、収容部12から遠い方の辺(図6における上側の辺)における長さD2が、収容部12に近い方の辺(図6における左側の辺)における長さD3よりも長くなるように設定している。
【0059】
開封用領域14b、20bにおいて、角部14eの両側の開放端の長さD2、D3をこのように設定することで、収容部12の外周における接着領域14a、20aの幅D4を確保しつつ、分離した開封用領域14b、20bを摘みやすくすることが可能となる。すなわち、長さD3を縮めながらも長さD2を伸ばすことで、指先で摘むのに必要な面積を開封用領域14b、20bにおいて確保することができる。また、開放端の幅D2、D3の少なくともいずれか一方を短くすることにより、開封用領域14b、20bが捲れ上がりにくくすることが可能となるため、開封用領域14b、20bが不用意に捲れ上がるのを効果的に防止することができる。
【0060】
なお、曲折部14c1、20d1は、開封用領域14b、20b側に凸となるものを1つだけ設けるようにしてもよいし、接着領域側に凸となるもの(図の右側の曲折部14c1、20d1)を1つだけ設けるようにしてもよい。また、曲折部14c1、20d1を3つ以上設けるようにしてもよい。また、曲折部14c1、20d1をなだらかに曲折するように構成してもよく、境界線14c、20dを波形等の曲線状、または曲線と直線を組み合わせた形状に構成するようにしてもよい。また、必要でない場合には、曲折部14c1、20d1を設けずに、境界線14c、20dを直線的に構成するようにしてもよいことはいうまでもない。
【0061】
次に、図7〜11を用いて、包装体1のその他の形態の例について説明する。
【0062】
図7(a)および(b)は、包装体1のその他の形態の例を示した平面図である。同図(a)に示されるように、包装体1は、例えばフランジ部14(および蓋体20)の平面視の形状が円形状となるように構成されるものであってもよい。この場合、フランジ部14の外周端14dは、全ての部分において外側に向けて凸となっているため、開封用領域14b、20bは、外周端14d近傍のいずれの部位に設けるようにしてもよい。
【0063】
なお、収容部12の平面視の形状は、フランジ部14の平面視の相似形状であってもよいし、異なる形状であってもよいことはいうまでもない。また、同図(a)に示されるように、第1の窪み部16aの縁部16a2を、境界線14c、20dから開封用領域14b側にずらした位置に設けるようにしてもよい。
【0064】
同図(b)は、包装体1を比較的小さく構成すると共に、フランジ部14を細長の矩形状に構成した例を示している。このような場合、開封用領域14b、20bを、角部14e近傍のみではなく、例えば長手方向の一端近傍の比較的広い範囲に設けるようにしてもよい。また、開封用領域14b、20bをこのように構成した場合、同図(b)に示されるように、第2の窪み部16bおよび開口部16c1を角部14eから離れたところに設けるようにしてもよいし、図示は省略するが、一方の角部14eの近傍または両方の角部の近傍に設けるようにしてもよい。
【0065】
すなわち、第2の窪み部16bおよび開口部16c1は、必ずしもフランジ部14の外周端14dにおいて外側に向けて凸となる凸部頂点部分近傍に設ける必要はなく、包装体1の大きさやフランジ部14の形状等に応じて、開封時に指先を引っ掛けやすい適宜の位置に設ければよい。
【0066】
また、図示は省略するが、第1の窪み部16aの外周端14d側の縁部16a1は、外周端14dに対して角度を有する方向に構成されるもの(平行でないもの)であってもよい。すなわち、包装体1の形状や開封用領域14b、20bの形状によっては、縁部16a1を外周端14dに対して斜めに構成するようにしてもよいし、また、縁部16a1を適宜に曲折させるようにしてもよい。
【0067】
図8(a)〜(c)は、第2の窪み部16bのその他の形態の例を示した図であり、図3(a)のB方向矢視図である。第2の窪み部16bの断面形状は、特に限定されるものではなく、上述の略矩形状以外にも、例えば図8(a)に示される略半円形状や、同図(b)に示される略V字形状その他の形状であってもよい。また、上述の例のように、第1の窪み部16aの高さ(深さ)と第2の窪み部16bの高さ(深さ)を略同一にするのではなく、第1の窪み部16aの高さ(深さ)と第2の窪み部16bの高さ(深さ)を異ならせるようにしてもよい。例えば、同図(c)に示されるように、第2の窪み部16bの深さを第1の窪み部16aの高さ(深さ)よりも低く(浅く)構成した場合には、第2の窪み部16bをより目立たせなくすることができるため、包装体1の外観をより向上させることが可能となる。
【0068】
図9(a)および(b)は、第1の窪み部16aの内部に突起部18を設けた場合の一例を示した図である。なお、図9(a)は、開封用領域14b、20bを拡大して示した平面図であり、図9(b)は、同図(a)のE−E線断面図である。このように、第1の窪み部16aの内部に蓋体20側に向けて突出する突起部18を設けることにより、2つの開封領域14b、20bを、第1の窪み部16aにおいてより確実に離隔させることができるため、2つの開封領域14b、20bの分離をより容易にすることが可能となる。また、突起部18を、開封領域14bを指で摘む際の滑り止めとして機能させることも可能であるため、包装体1の開封をさらに容易にすることができる。
【0069】
なお、同図(a)および(b)においては、突起部18を略円柱状に構成した例を示しているが、突起部18の形状はこれに限定されるものではなく、例えば略半球状や略円錐状等、その他の形状であってもよい。また、突起部18をリブ状や格子状等に構成するようにしてもよい。さらに、突起部18を設ける位置および個数が、同図(a)および(b)に示す例に限定されないことはいうまでもない。
【0070】
図10(a)および(b)は、窪み部16のその他の形態の一例を示した図である。なお、図10(a)は、開封用領域14b、20bを拡大して示した平面図であり、図10(b)は、同図(a)のF−F線断面図である。この例では、第2の窪み部16bを省略し、第1の窪み部16aの一部をフランジ部14の外周端14dに接するように構成することで、切欠部16cおよび開口部16c1を第1の窪み部16aに設けるようにしている。
【0071】
窪み部16をこのように構成した場合においても、開口部16c1は、蓋体20側に向けて凹となるように形成されることとなる。従って、第1の窪み部16aの成型戻りによって開口部16c1近傍の外周端14d、20fを離隔させつつ、それ以外の部分の外周端14d、20fを略接触した状態とすることができる。また、近接部14b1と蓋体20の間に隙間を設けることができる。すなわち、本体10と蓋体20の一体感を損なうことなく、本体10の開封用領域14bと蓋体20の開封用領域20bを容易に分離可能とすることができる。
【0072】
このように、窪み部16の形状は、溝状の第2の窪み部16bを有する形状に限定されるものではなく、フランジ部14の外周端14d側において少なくとも一部が外周端14dから間隔を空けて設けられる縁部16a1を有すると共に、外周端14dにおいて開口する凹状の開口部16c1を有する形状であれば、どのような形状であってもよい。
【0073】
図11(a)および(b)は、開封用領域14b、20bにおいて外周端14d、20fが一致しない場合の一例を示した図である。なお、図11(a)は、開封用領域14b、20bを拡大して示した平面図であり、図11(b)は、同図(a)のG−G線断面図である。窪み部16における成型戻りの発生の状態(成型戻りの強さ)によっては、このように、本体10の開封用領域14bにおける外周端14dが、蓋体20の開封用領域20bにおける外周端20fよりも内側に位置する場合がある。
【0074】
このような場合においても、外周端14dは、開口部16c1の近傍を除いて蓋体20に略接触した状態となるため、包装体1の外観が損なわれることはない。また、このように、本体10の外周端14dと蓋体20の外周端20fの位置がずれている場合、蓋体20の外周端20fのみに指先を引っ掛けることが容易となるため、開封用領域14b、20bの分離をさらに容易とすることが可能となる。
【0075】
次に、図12および13を用いて、包装体1を形成する包装機100について説明する。
【0076】
図12は、包装機100の構成を示した概略図である。同図に示されるように、包装機100は、本体10となる下側フィルム110を第1の原反ロール112から繰り出す第1のサプライ装置120と、繰り出された下側フィルム110を両側端部を保持しつつ間欠的に搬送する搬送装置130と、下側フィルム110に収容部12を成型する成型装置140と、成型された収容部12内に被包装物30を投入する投入装置150と、を備えている。
【0077】
包装機100はまた、蓋体20となる上側フィルム160を第2の原反ロール162から繰り出し、収容部12内に被包装物30が収容された下側フィルム110の上方に送り出す第2のサプライ装置170と、上下に重ねられた下側フィルム110と上側フィルム160を熱融着により接着して真空処理するシール装置180と、接着されて一体となった下側フィルム110と上側フィルム160を切断して個々の包装体1に切り分ける(換言すれば、フランジ部14の外周端14dおよび蓋体20の外周端20fを形成する)切断装置190と、を備えている。
【0078】
なお、切断装置190は、一体となった下側フィルム110と上側フィルム160を幅方向に沿って切断する押し切りタイプの横カッタ装置192と、搬送方向に沿って切断する回転刃タイプの縦カッタ装置194と、から構成されている。また、投入装置150の代りに手動で被包装物30を収容部12内に投入するようにしてもよい。
【0079】
このように、本実施形態の包装機100は、本体10を下にした状態で包装体1を形成するように構成されている。なお、包装機100を構成する各装置は、既存のものであるため、ここでは説明を省略し、以下、成型装置140について説明する。
【0080】
成型装置140は、搬送される下側フィルム110の上方に配置される加熱装置142と、下側フィルム110の下方に配置される金型144と、を備えている。そして、加熱装置142で加熱された下側フィルム110を下方から真空吸引して金型144に沿わせることで収容部12を成型するように構成されている。また、包装体1は本体10に窪み部16を備えているため、成型装置140は、収容部12と共に窪み部16を下側フィルム110に成型するように構成されている。
【0081】
図13(a)は、金型144の平面図である。また、図13(b)は、同図(a)のH−H線断面図であり、図13(c)は、同図(a)のI−I線断面図である。なお、同図(a)においては、切断装置190による切断線CLを二点鎖線で示すことで、金型144の位置と切断線CLの位置の対応関係を示している。
【0082】
これらの図に示されるように、金型144は、収容部12を成型するための第1の雌型146と、窪み部16を成型するための第2の雌型148と、を備えている。また、金型144は、第1の雌型146に連通される第1の吸気路146aと、第2の雌型148に連通される第2の吸気路148aを備えている。
【0083】
すなわち、金型144は、この第1の吸気路および第2の吸気路146a、148aを介して第1のフィルム110と第1の雌型146および第2の雌型148の間の空気を吸引することにより、加熱により軟化した第1のフィルム110を変形させて第1の雌型146および第2の雌型148に沿わせ、第1のフィルム110に収容部12および窪み部16を成型するように構成されている。
【0084】
第2の雌型148は、本体10の開封用領域14bに対応する位置に設けられており、第1の窪み部16aを成型するための第1の成型部148bと、第2の窪み部16bを成型するための第2の成型部148cと、から構成されている。そして、第2の成型部148cは、第1の成型部148bから切断線CLに向けて延設され、切断線CLをやや超える長さの溝状、すなわち切断線CLに跨る溝状に構成されている。
【0085】
従って、第2の成型部148cによって成型される第2の窪み部16bは、切欠部16cおよび開口部16c1を有しない閉じた形状に予め成型され、その後切断装置190の横カッタ装置192によって切断されることにより、切欠部16cおよび開口部16c1が形成されるようになっている。本実施形態では、第2の窪み部16bを比較的幅狭に構成することで剛性を高めるようにしているため、押し切りタイプの横カッタ装置182による切断時においても、第2の窪み部16bは変形しにくくなっている。すなわち、本実施形態では、第2の窪み部16bが蓋体20に付着して開封が困難になるといった事態の発生を防止することが可能となっている。
【0086】
このように、本実施形態の包装機100では、成型装置140により、収容部12と同一の手法で同時に窪み部16を成型するため、窪み部16の成型を効率的に行うことが可能となっている。また、金型144の形状を変更するだけで窪み部16を成型することができるため、既存の包装機を流用して包装体1の形成を行うことが可能となっている。すなわち、低コストで効率的に包装体1の形成を行うことができる。
【0087】
なお、第1の成型部148bと第2の成型部148cの境界に切断線CLが沿うようにして、第2の成型部148cによって成型された部分を窪み部16から切り離すようにし、窪み部16を図10に示した形状に形成するようにしてもよい。また、溝状以外の形状に第2の成型部148cを構成し、その一部(例えば、角部)が切断線CLに跨るようにしてもよい。
【0088】
以上説明したように、本実施形態に係る包装体1は、被包装物30が収容される収容部12、および収容部12の開口の外周に設けられるフランジ部14を有する本体10と、フランジ部14と接着されて収容部12の開口を覆う蓋体20と、からなり、フランジ部14は、蓋体20と接着される接着領域14a、および開封用に蓋体20に接着されない領域である開封用領域14bを有し、開封用領域14bには、蓋体20から離隔する方向に窪む窪み部16が設けられ、窪み部16は、フランジ部14の外周端14d側において少なくとも一部がフランジ部14の外周端14dから間隔を空けて設けられる縁部16a1、16a2、16b1、およびフランジ部14の外周端14dにおいて開口する凹状の開口部16c1を有している。
【0089】
このような構成とすることで、包装体1の外観を損なうことなく開封性を向上させることができる。具体的には、フランジ部14の外周端14d側において、少なくとも一部の縁部(縁部16a1)を外周端14dから間隔を空けて設けることで、本体10の開封用領域14bおよび蓋体20の開封用領域20bを互いに離隔させて両者の分離を容易としながらも、開放端であるフランジ部14の外周端14d近傍および蓋体20の外周端20fの近傍を接触した状態とすることが可能となるため、包装体1の外観が損なわれないようにすることができる。さらに、凹状の開口部16c1によって指先を引っ掛ける部分を局所的に形成することが可能となるため、開封領域14b、20bの開放端の大部分を接触させて外観を向上させながらも、両者を容易に分離させることができる。
【0090】
また、窪み部16におけるフランジ部14の外周端14d側の縁部16a1、16b1は、フランジ部14の外周端14dと略平行に構成される部分(縁部16a1)を有している。このようにすることで、窪み部16の外観をすっきりとした目立ちにくいものにすると共に、本体10の外周端14dを略均等な状態で蓋体20の外周端20fに接触させることができる。さらに、縁部16a1の剛性により開封用領域14bの曲折を適宜に防止することが可能となるため、開封用領域14b、20bの分離を容易にすると共に、開封用領域14bが不用意に捲れ上がる等して包装体1の外観が損なわれるのを防止することができる。
【0091】
また、開封用領域14aは、フランジ部14の外周端14dにおいて外側に向けて凸となる凸部(角部14e)近傍に設けられ、開口部16c1は、凸部の頂点部分に設けられている。このようにすることで、利用者に意識させることなく第2の窪み部16bの先端に指先を触れさせて、開封用領域14b、20bを容易に分離させることができる。また、目視による確認を必要としないことから、開口部16c1近傍を目立たないように構成することができる。
【0092】
また、窪み部16は、フランジ部14の外周端14dから間隔を空けて設けられる第1の窪み部16a、および第1の窪み部16aからフランジ部14の外周端14dにかけて設けられる第2の窪み部16bを有し、開口部16c1は、第2の窪み部16bに設けられている。このようにすることで、第2の窪み部16bの近傍、すなわち開口部16c1の近傍において開封用領域14b、20bをより確実に離隔させることが可能となるため、開封用領域14b、20bの分離をさらに容易にすることができる。また、例えば第2の窪み部16bを幅狭に構成する等して目立たなくした場合においても、開口部16c1の近傍を確実に離隔させることができる。
【0093】
また、窪み部16は、接着領域14a側の縁部16a2が接着領域14aと開封用領域14bの境界線14cと略一致するまたは略平行に構成されている。このようにすることで、開封領域14bを広い範囲にわたって開封領域20bから離隔させることが可能となるため、開封領域14b、20bの分離をより容易にすることができる。
【0094】
また、接着領域14aと開封用領域14bの境界線14cは、曲折する曲折部14c1を有して構成されている。このようにすることで、引き剥がしの開始時に要する力を少なくすることが可能となるため、包装体1の開封を容易にすることができる。また、曲折部14c1の配置を調整することにより、引き剥がし方向を適切な方向に誘導することができる。
【0095】
また、曲折部14c1は、開封用領域14b側に凸となる曲折部14c1を有して構成されている。このようにすることで、引き剥がしの開始時に要する力を少なくすると共に、開封領域14b、20b近傍の接着領域14a、20aの面積を拡大して、密封性を確保することができる。
【0096】
また、窪み部16内に、蓋体20側に向けて突出する突起部18を設けるようにしてもよい。このようにすることで、開封領域14b、20bを、第1の窪み部16aにおいてより確実に離隔させることができる。また、開封領域14bを指で摘む際の滑り止めとすることができる。
【0097】
また、本実施形態に係る包装機100は、被包装物30を収容する収容部12を第1のフィルム(下側フィルム110)に成型する成型装置140と、収容部12内に被包装物30が収容された状態の第1のフィルム110に第2のフィルム(上側フィルム160)を接着するシール装置180と、収容部30内に被包装物30が収容された状態で接着された第1のフィルムと第2のフィルムを個々の包装体1に切り分ける切断装置190と、を備え、成型装置140は、収容部12の成型と共に、第1のフィルムにおいて開封用に第2のフィルムと接着されない領域である開封用領域14bに窪み部16を成型するように構成され、窪み部16は、切断装置190による切断線CL側において少なくとも一部が切断線CLから間隔を空けて設けられる縁部16a1、16a2、16b1を有すると共に、切断線CLに一部が跨るように成型される。
【0098】
このような構成とすることで、開封用領域14bに窪み部16を成型し、包装体1の外観を損なうことなく開封性を向上させることができる。
【0099】
また、窪み部16は、切断線CLから間隔を空けて設けられる第1の窪み部16a、および第1の窪み部16aから切断線CLに跨るように延出して設けられる第2の窪み部16bを有している。このようにすることで、開口部16c1の近傍において開封用領域14b、20bをより確実に離隔させることが可能となるため、開封用領域14b、20bの分離をさらに容易にすることができる。また、切断装置190によって切断される部分の剛性を高め、切断時において蓋体20に接着されないようにすることができる。
【0100】
また、成型装置140は、第1のフィルムを金型144に沿わせることで収容部12と窪み部16を成型するように構成され、金型144は、収容部12を成型するための第1の雌型146、および窪み部16を成型するための第2の雌型148を備えている。このようにすることで、収容部12と同一の手法で同時に窪み部16を成型することが可能となるため、包装体1の形成を効率的に行うことができる。
【0101】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明の包装体および包装機は、上記した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【産業上の利用可能性】
【0102】
本発明に係る包装体および包装機は、各種物品の包装や各種容器の分野において利用することができる。
【符号の説明】
【0103】
1 包装体
10 本体
12 収容部
14 フランジ部
14a 本体の接着領域
14b 本体の開封用領域
14c 本体の接着領域と開封用領域の境界線
14c1 境界線の曲折部
14d フランジ部(本体)の外周端
14e フランジ部(本体)の角部
16 窪み部
16a 第1の窪み部
16a1 第1の窪み部の外周端側の縁部
16a2 第1の窪み部の接着領域側の縁部
16b 第2の窪み部
16b2 第2の窪み部の縁部
16c1 開口部
18 突起部
20 蓋体
30 被包装物
100 包装機
110 下側フィルム
140 成型装置
144 金型
146 第1の雌型
148 第2の雌型
160 上側フィルム
190 切断装置
CL 切断線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被包装物が収容される収容部、および前記収容部の開口の外周に設けられるフランジ部を有する本体と、
前記フランジ部と接着されて前記収容部の開口を覆う蓋体と、からなり、
前記フランジ部は、前記蓋体と接着される接着領域、および開封用に前記蓋体と接着されない領域である開封用領域を有し、
前記開封用領域には、前記蓋体から離隔する方向に窪む窪み部が設けられ、
前記窪み部は、前記フランジ部の外周端側において少なくとも一部が前記フランジ部の外周端から間隔を空けて設けられる縁部、および前記フランジ部の外周端において開口する凹状の開口部を有することを特徴とする、
包装体。
【請求項2】
前記窪み部における前記フランジ部の外周端側の縁部は、前記フランジ部の外周端と略平行に構成される部分を有することを特徴とする、
請求項1に記載の包装体。
【請求項3】
前記開封用領域は、前記フランジ部の外周端において外側に向けて凸となる凸部近傍に設けられ、
前記開口部は、前記凸部の頂点部分に設けられることを特徴とする、
請求項1または2に記載の包装体。
【請求項4】
前記窪み部は、前記フランジ部の外周端から間隔を空けて設けられる第1の窪み部、および前記第1の窪み部から前記フランジ部の外周端にかけて設けられる第2の窪み部を有し、
前記開口部は、前記第2の窪み部に設けられることを特徴とする、
請求項1乃至3のいずれかに記載の包装体。
【請求項5】
前記窪み部は、前記接着領域側の縁部が前記接着領域と前記開封用領域の境界線と略一致するまたは略平行に構成されることを特徴とする、
請求項1乃至4のいずれかに記載の包装体。
【請求項6】
前記接着領域と前記開封用領域の境界線は、曲折する曲折部を有して構成されることを特徴とする、
請求項1乃至5のいずれかに記載の包装体。
【請求項7】
前記曲折部は、前記開封用領域側に凸となる前記曲折部を有して構成されることを特徴とする、
請求項6に記載の包装体。
【請求項8】
前記窪み部内に、前記蓋体側に向けて突出する突起部が設けられることを特徴とする、
請求項1乃至7のいずれかに記載の包装体。
【請求項9】
被包装物を収容する収容部を第1のフィルムに成型する成型装置と、
前記収容部内に前記被包装物が収容された状態の前記第1のフィルムに第2のフィルムを接着するシール装置と、
前記収容部内に前記被包装物が収容された状態で接着された前記第1のフィルムと前記第2のフィルムを個々の包装体に切り分ける切断装置と、を備え、
前記成型装置は、前記収容部の成型と共に、前記第1のフィルムにおいて開封用に前記第2のフィルムと接着されない領域である開封用領域に窪み部を成型するように構成され、
前記窪み部は、前記切断装置による切断線側において少なくとも一部が前記切断線から間隔を空けて設けられる縁部を有すると共に、前記切断線に一部が跨るように成型されることを特徴とする、
包装機。
【請求項10】
前記窪み部は、前記切断線から間隔を空けて設けられる第1の窪み部、および前記第1の窪み部から前記切断線に跨るように延出して設けられる第2の窪み部を有することを特徴とする、
請求項9に記載の包装機。
【請求項11】
前記成型装置は、前記第1のフィルムを金型に沿わせることで前記収容部と前記窪み部を成型するように構成され、
前記金型は、前記収容部を成型するための第1の雌型、および前記窪み部を成型するための第2の雌型を備えることを特徴とする、
請求項9または10に記載の包装機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2013−103727(P2013−103727A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−247295(P2011−247295)
【出願日】平成23年11月11日(2011.11.11)
【出願人】(000206093)大森機械工業株式会社 (138)
【Fターム(参考)】