説明

包装用箱

【課題】容器などの被包装体やその内部に収容した錠剤等の収容物に加わる衝撃を、良好に緩衝できるようにする。
【解決手段】4枚の側板(6・7・8・9)を連設して形成した角筒状の箱胴部(2)と、箱胴部(2)の下端を蓋する箱底部(3)と、箱胴部(2)の上端を開閉可能に蓋する箱蓋部(4)とを有する。箱胴部(2)内に収容する容器(5)は、本体胴部(21)の上部に、肩部(25)を介して首部が延設してあり、首部の上面に開口した取出口がキャップ(28)で蓋してある。首部よりも大径の挿通穴(32)を開口した肩押え板(30)が、挿通穴(32)に首部を挿通した状態で肩部(25)の上面に載置してある。肩部(25)の上面と上記のキャップ(28)の上面との間の寸法よりも大きい高さの上部支持壁(31)が、肩押え板(30)の周縁から、箱胴部(2)の内面に固定することなく立ち上げてある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、合成樹脂製容器等を包装する箱に関し、さらに詳しくは被包装体やその内部に収容した錠剤等の収容物に加わる衝撃を良好に緩衝できる、包装用箱に関する。
【背景技術】
【0002】
口腔内崩壊錠は、口中で簡単に崩壊して嚥下されるので服用が容易であるが、耐衝撃性能が低いため、通常はPTP等に個別に包装されている。このため、医療機関等で複数錠や他の薬剤等と一包化する際、或いは患者が服用する際に、各錠剤をそれぞれ個別包装体から取り出さなければならず、その取出し操作が煩雑である。そこで近年では、より簡単に錠剤を取り扱えるように、合成樹脂製瓶などの容器に多数の錠剤を収容して市場に流通させることが要望されている。
【0003】
上記の容器は、通常、包装用箱内に収容されて搬送などされる。しかし上記の耐衝撃性能が低い口腔内崩壊錠を多数収容している場合に、この容器やこれを包装した包装用箱が例えば床面上に落下するなどして外部からの衝撃を受けると、上記の錠剤が割れたり欠けたりする虞がある。
【0004】
従来、上記のような衝撃を緩衝できる包装用箱として、支持穴を開口した水平支持板を箱内に配置し、この支持穴に容器を挿通することで、その容器を包装用箱の内周面から離隔した状態に支持し、これにより側方からの衝撃を上記の水平支持板で吸収するように構成したものが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0005】
上記の包装用箱は側方からの衝撃については良好に緩衝できるが、上下方向の衝撃に対しては緩衝効果が無い。そこでこれを解消するため、上記の容器内の底部と上部にそれぞれ緩衝材を収容することが考えられる。
また、上記の包装用箱の蓋部の内面に緩衝板を形成し、この緩衝板で被包装体の上端を押えるものも提案されている(例えば、特許文献2参照、以下、従来技術という。)。
【0006】
しかしながら、これら従来の包装用箱に上記の容器を収容して落下試験を実施したところ、上部を下にして落下した場合、上記の容器内に収容した緩衝材や上記の緩衝板では、上方からの衝撃を充分に吸収しきれず、口腔内崩壊錠の一部にワレやカケなどの損傷を生じる虞があることが判明した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】実開昭53−090525号公報
【特許文献2】実開平06−030027号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の技術的課題は上記の問題点を解消し、被包装体やその内部に収容した錠剤等の収容物に加わる衝撃を良好に緩衝できる、包装用箱を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は上記の課題を解決するために、例えば本発明の実施の形態を示す図1から図13に基づいて説明すると、包装用箱を次のように構成したものである。
即ち本発明は包装用箱に関し、4枚の側板(6・7・8・9)を順次連設して形成した角筒状の箱胴部(2)と、この箱胴部(2)の下端を蓋する箱底部(3)と、箱胴部(2)の上端を開閉可能に蓋する箱蓋部(4)とを有し、この箱胴部(2)内に被包装体(5)を収容する包装用箱であって、上記の被包装体(5)は有底筒状の本体胴部(21)を備え、この本体胴部(21)の上部に、肩部(25)を介して首部(26)が延設してあり、この首部(26)の上面に開口した取出口(27)がキャップ(28)で蓋してあり、上記の首部(26)よりも大径の挿通穴(32)を開口した肩押え板(30)が、その挿通穴(32)に上記の首部(26)を挿通した状態で、上記の肩部(25)の上面に載置してあり、上記の肩部(25)の上面と上記のキャップ(28)の上面との間の寸法(L)よりも大きい高さ(h)の上部支持壁(31)が、上記の肩押え板(30)の周縁から、上記の箱胴部(2)の内面に固定することなく立ち上げてあることを特徴とする。
【0010】
上記の肩押え板は、上記の挿通穴に上記の首部を挿通した状態で、上記の被包装体の肩部の上面に載置される。この肩押え板の周縁から立ち上げた上記の上部支持壁は、上端が上記の箱蓋部の内面に受け止められるが、この上部支持壁は、上記の肩部の上面と上記のキャップの上面との間の寸法よりも大きいので、上記のキャップの上面と上記の箱蓋部の内面との間に空間が形成される。この結果、上部を下にして落下した場合に、上記の箱蓋部を介して上記のキャップに衝撃が加わることが抑制される。なお、上記の肩部の上面とは、上記の押え板が載置される高さ位置をいう。
【0011】
しかも上記の上部支持壁は箱胴部の内面に固定されていないので、この上部支持壁を周縁から立ち上げた上記の肩押え板は、上下方向へ撓み易く、上記の衝撃が良好に緩衝される。さらに、上記の肩押え板が受け止める上記の肩部は、通常、上記のキャップよりも大きいので、上記の被包装体は広い面積で上記の肩押え板に受け止められ、この結果、上記の衝撃が広い範囲に分散されて、良好に緩衝される。
【0012】
上記の肩押え板は上記の被包装体の肩部の上面に載置できればよく、この肩押え板や被包装体の肩部は特定の形状に限定されない。例えばこの被包装体は、上記の本体胴部の平面視での形状が、円形であってもよく、角部が丸みを帯びた四角形であってもよい。
また上記の挿通穴は、上記の首部を挿通できればよく、通常は上記のキャップの平面視での形状と同形かやや大形にされて着脱が容易にしてあるが、例えばこの挿通穴の周縁部に切れ目を入れて拡径可能に構成してあれば、キャップの形状より小形であってもよい。
【0013】
上記の上部支持壁の高さは、特定の寸法に限定されず、高いほど良好に衝撃を緩衝できるが、過剰に高いと包装用箱の上下寸法が大きくなる。このため、被包装体の大きさや重量、収容物の耐衝撃性、包装用箱の大きさや材質などを勘案して、包装用箱が過剰に大きくならない範囲で、被包装体やその収容物の破損若しくは損傷が良好に防止される値に設定される。具体的には、上記の肩部の上面と上記のキャップの上面との間の寸法よりも10mm以上大きいと、上記の衝撃を良好に緩衝できて好ましく、15mm以上大きいとさらに好ましい。
【0014】
上記の肩押え板は、特定の形状に限定されないが、平面視で矩形に形成され、この肩押え板の周縁のうち、少なくとも互いに対向する一対の端縁から上記の上部支持壁を立ち上げてあると、肩押え板が簡単な形状に構成され、安価に実施できて好ましい。
【0015】
また、上記の各上部支持壁は、上端が自由端であってもよいが、互いに対向する一対の上部支持壁間に緩衝板を水平方向に配置し、この緩衝板の配置を、上記のキャップよりも上方で、上記の少なくとも一方の上部支持壁の上端から下方へ所定寸法をあけた高さ位置に設定すると、上部を下にして落下した場合に受ける衝撃をこの緩衝板で一層良好に緩衝できて好ましく、さらにこの場合は、この緩衝板を介して上記の一対の上部支持壁を簡単に垂直状態にでき、上記の上部ホルダを箱胴部内へ容易に装着できる利点もある。
【発明の効果】
【0016】
本発明の包装用箱は、上記のように構成され作用することから次の効果を奏する。
【0017】
(1)上記のキャップの上面と上記の箱蓋部の内面との間に空間が形成されるので、上部を下にして落下した場合に、上記の箱蓋部を介して上記のキャップに衝撃が加わることを抑制できる。
(2)しかも上記の肩押え板は、この肩押え板の周縁から立ち上げた上記の上部支持壁が箱胴部の内面に固定されていないので、上下方向へ撓み易いうえ、上記の肩部の上方に載置してあるので、上記の被包装体を広い面積で受け止めることができる。この結果、この肩押え板で上記の衝撃を広い範囲に分散できるうえ、良好に緩衝することができ、上記の被包装体やその内部に収容した収容物が破損若しくは損傷することを効果的に防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の第1実施形態を示す、包装用箱の一部破断斜視図である。
【図2】本発明の第1実施形態の、包装用箱の縦断面図である。
【図3】本発明の第1実施形態の、包装用箱の横断平面図である。
【図4】本発明の第1実施形態の、包装用箱を製作するための台紙の展開図である。
【図5】本発明の第1実施形態の、台紙を折り曲げて製箱する工程の説明図である。
【図6】本発明の第1実施形態の、包装用箱の折り畳み状態の正面図である。
【図7】本発明の第1実施形態の、上部ホルダの展開図である。
【図8】本発明の第1変形例を示し、図8(a)は上部ホルダの斜視図、図8(b)は容器に装着した上部ホルダの縦断面図である。
【図9】本発明の第2変形例を示し、図9(a)は斜め下方から見上げた上部ホルダの一部破断斜視図、図9(b)は容器に装着した上部ホルダの縦断面図である。
【図10】本発明の第2実施形態の、包装用箱の要部の縦断面図である。
【図11】第2実施形態の、斜め下方から見上げた中間部ホルダの斜視図である。
【図12】本発明の第3変形例の、図11相当図である。
【図13】本発明の第4変形例の、図11相当図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。
図1に示す第1実施形態の包装用箱(1)は、角筒状の箱胴部(2)と、この箱胴部(2)の下端を蓋する箱底部(3)と、箱胴部(2)の上端を開閉可能に蓋する箱蓋部(4)とを有し、この箱胴部(2)内に被包装体である合成樹脂製等の容器(5)が収容される。
上記の箱胴部(2)は、前側板(6)と左側板(7)と後側板(8)と右側板(9)との、4枚の側板を順次連設して形成してある。上記の箱蓋部(4)は上蓋(10)と2枚の内蓋(11)とからなり、上記の後側板(8)の上端に上蓋(10)が連設され、左・右側板(7・9)の上端にそれぞれ内蓋(11・11)が連設してある。
【0020】
図1と図2に示すように、上記の箱胴部(2)内の上下方向中間部には、水平支持板(12)が略水平状態の姿勢で上記の前側板(6)へ片持ち状に固定してある。この水平支持板(12)には、上記の容器(5)を挿通できる支持穴(13)が形成してあり、この支持穴(13)の周縁の4か所に保持爪(14)が内方へ突設してある。上記の容器(5)は、この保持爪(14)により、ガタつくことなく支持穴(13)内に保持される。
【0021】
上記の水平支持板(12)の、上記の後側板(8)と対面する端縁は自由端となっており、この端縁から垂直支持板(15)が垂下してある。この垂直支持板(15)は上記の水平支持板(12)に支持されているが、上記の後側板(8)など、箱胴部(2)の内面には固定されていない。またこの垂直支持板(15)の下端は、上記の箱底部(3)から上方へ離隔してある。
【0022】
上記の箱底部(3)と上記の水平支持板(12)との間には、中底板(16)が略水平状態の姿勢で、上記の前側板(6)へ片持ち状に固定してある。この中底板(16)の上記の後側板(8)と対面する端縁は、上記の垂直支持板(15)の下端部に連設してあり、この中底板(16)が、上記の水平支持板(12)と略平行に保持されている。
【0023】
上記の水平支持板(12)の周縁のうち、上記の左・右側板(7・9)と対面する周縁から、それぞれ受止め板(17)が垂下してある。この受止め板(17)は、下端が上記の箱底部(3)から上方に離隔させてあるが、上記の前側板(6)と対面する受止め部(18)を有しており、この受止め部(18)がその前側板(6)で受け止められることにより、この受止め板(17)を介して上記の水平支持板(12)が、略水平状態の所定の姿勢に保持されている。
なお上記の水平支持板(12)が略水平状態の所定の姿勢となった状態では、この水平支持板(12)や上記の受止め板(17)は、いずれも後側板(8)と離隔していてもよい。しかし、この水平支持板(12)と受止め板(17)との少なくともいずれかを上記の後側板(8)へ当接するように構成してあると、包装用箱(1)を構成する台紙の折り癖などで水平支持板(12)の自由端が持ち上げられることが防止され、箱胴部(2)内へ容器(5)を容易に収容できて好ましい。
【0024】
上記の中底板(16)の下方には、前記の箱底部(3)の上面に支持立壁(19)が垂直状態に立ち上げてあり、この支持立壁(19)の上端と上記の前側板(6)との間に上壁(20)が水平状態に配設してある。上記の中底板(16)はこの上壁(20)で受け止められることによっても、水平姿勢に保持されている。上記の上壁(20)は、図3に示すように、上記の中底板(16)に比べて幅が、例えば34%程度にするなど、半分よりも小さく形成されており、且つ、平面視でこの中底板(16)の中央から外れた位置に配置してある。なおこの実施形態では、上記の上壁(20)を平面視で中底板(16)の中央から外れた位置に配置したが、本発明ではこの上壁を、平面視で中底板の中央部またはその近傍に配置してもよい。
【0025】
図2に示すように、上記の容器(5)は有底筒状の本体胴部(21)を備えており、この本体胴部(21)内の底部に下部クッション材(22)を配置して、その下部クッション材(22)の上方に、口腔内崩壊錠等の収容物(23)が収容してある。この収容物(23)の上方には上部クッション材(24)が容器(5)内に配置してあり、これにより上記の収容物(23)が容器(5)内で容易には移動しないようにしてある。上記の本体胴部(21)の上部には、肩部(25)を介して首部(26)が延設してあり、この首部(26)の上面に取出口(27)が開口され、この取出口(27)がキャップ(28)で蓋してある。
【0026】
上記の包装用箱(1)内の上部には、上記の容器(5)の首部(26)の周囲に上部ホルダ(29)が配置してある。この上部ホルダ(29)は、略水平姿勢に配置された平面視で矩形の肩押え板(30)と、この肩押え板(30)の周縁から、上記の箱胴部(2)の内面に糊付けなどで固定することなく、立ち上げた上部支持壁(31)とからなる。上記の肩押え板(30)には、上記の首部(26)や上記のキャップ(28)よりも大径の挿通穴(32)が開口してあり、この挿通穴(32)に上記の首部(26)が挿通した状態で、上記の肩押え板(30)が、上記の肩部(25)に載置してある。一方、上記の上部支持壁(31)は、少なくとも互いに対抗する一対の上部支持壁(31)の上端が、上記の箱蓋部(4)の下面に受け止めてある。具体的にこの第1実施形態では、上記の前側板(6)以外の各側板(7・8・9)と対面する上部支持壁(31)が、その上端を上記の箱蓋部(4)の下面に受け止めてある。これにより、上記の容器(5)が上方へ移動しようとすると、上記の上部支持壁(31)で支持された肩押え板(30)に受け止められる。
【0027】
上記の上部支持壁(31)のうち、左・右側板(7・9)及び後側板(8)と対面する上部支持壁(31)の高さ(h)は、上記の肩部(25)の上面、即ち上記の肩押え板(30)を載置した高さ位置と、上記のキャップ(28)の上面との間の寸法(L)よりも、例えば10mm以上、好ましくは15mm以上、大きい。これにより、上記のキャップ(28)の上面と上記の箱蓋部(4)の下面との間に、10mm以上、好ましくは15mm以上の高さの空間が形成される。この結果、包装用箱(1)が上部を下にして落下した場合に受ける衝撃が、上記の上部ホルダ(29)で緩衝され、この上部ホルダ(29)が圧壊等変形した場合も、容器(5)のキャップ(28)が箱蓋部(4)に衝突する虞が低減されて、容器(5)内の収容物(23)が上記の衝撃から効果的に保護される。
なお、上記のキャップ(28)の上方に物品説明書などを収容する場合は、上部支持壁(31)の高さ(h)は、その物品説明書などの厚みを上記の肩部(25)の上面と上記のキャップ(28)の上面との間の寸法(L)に加えた寸法よりも、大きく形成すると好ましい。
【0028】
次に、上記の第1実施形態の包装用箱の緩衝性能を、前記の従来技術と対比して測定した。
測定方法は、合成樹脂製容器内の上部クッション材と下部クッション材との間に、1錠が約570mgの口腔内崩壊錠を200錠又は300錠収容し、この容器を包装用箱内に収容し、これを高さ100cmの位置から箱蓋部を下方にして落下させ、容器内で割れたり欠けたりした錠剤の個数を計数した。なお、本発明の実施例は、キャップ(28)の上面と上記の箱蓋部(4)の下面との間に、20mmの高さの空間が形成されるものを用いた、また比較例には、前記の従来技術の包装用箱において、内蓋の内面に縦壁を介して水平方向の衝撃板が形成されており、従ってキャップの上方に上記の縦壁が形成されているものを用いた。
上記の測定を2回行った結果、前記の従来技術の包装用箱に収容した場合は3錠が破損していた。これに対し本発明の上記の第1実施形態では破損した錠剤が皆無であった。
【0029】
次に、上記の包装用箱の構造を、図4に示す台紙(40)の展開図を用いて説明する。
この台紙(40)では、前側板(6)の左側に折り目(p1・p2・p3)を介して左側板(7)と後側板(8)と側板固定片(33)とが順に連設してあり、前側板(6)の右側に折り目(p4)を介して右側板(9)が連設してある。
【0030】
上記の各側板(6・7・8・9)には、下部に折り目(q1・q2・q3・q4)を介して底フラップ(34)がそれぞれ連設してある。前・後側板(6・8)に連設した各底フラップ(34)には、傾斜状の折り目(m)を介して、フラップ固定片(35)がそれぞれ連設してある。この後側板(8)に連設した底フラップ(34)には、折り目(n1・n2・n3)を介して、支持立壁(19)と上壁(20)と上壁固定片(36)とが順に連設してある。
【0031】
上記の後側板(8)の上部には上蓋(10)が、左・右側板(7・9)の各上部には左右の内蓋(11・11)が、それぞれ折り目(r1・r2・r3)を介して連設してあり、上蓋(10)の上端には折り目(r4)を介して差込みフラップ(37)が連設してある。
【0032】
また上記の前側板(6)の上部には、折り目(t1・t2・t3・t4・t5)を介して支持板固定部(38)と水平支持板(12)と垂直支持板(15)と中底板(16)と中底固定片(39)とが順に連設してあり、この水平支持板(12)の左右に、折り目(s1・s2)を介して受止め板(17)がそれぞれ連設してある。この水平支持板(12)には、容器(5)の本体胴部(21)の外形に沿った形状の、正方形の角部を曲線状に形成した支持穴(13)が形成してあり、この支持穴(13)の内周縁の4か所に、保持爪(14)が内方へ突設してある。
【0033】
次に、上記の台紙(40)を折畳んで包装用箱(1)を製作する手順について説明する。
まず最初に、この台紙(40)を表裏反転したのち、折り目(t1)を谷折りして支持板固定部(38)を上記の前側板(6)に糊付け部(41)を介して固定し、折り目(t2)を山折りして水平支持板(12)を支持板固定部(38)に重ねる。さらに折り目(t3)を谷折りして、垂直支持板(15)と中底板(16)を水平支持板(12)に重ね、中底固定片(39)を前側板(6)に、糊付け部(42)を介して固定する。一方、上記の折り目(n2)を谷折りして、上壁(20)と上壁固定片(36)を、上記の後側板(8)に連設した底フラップ(34)に重ね、図5(a)の状態にする。
【0034】
次に、折り目(s2)を谷折りして右側板(9)側の受止め板(17)を水平支持板(12)に重ね、上記の折り目(q1・q2・q3・q4)をそれぞれ谷折りして、各底フラップ(34)をそれぞれ前・後・左・右側板(6・8・7・9)に重ね、上記の上壁固定片(36)を後側板(8)に、糊付け部(43)を介して固定する。そして、折り目(m)を山折りしてフラップ固定片(35)を底フラップ(34)に重ねて、図5(b)の状態にする。この状態で、折り目(p2・p4)をそれぞれ谷折りして左側板(7)に後側板(8)を重ね、前側板(6)に重ねた受止め板(17)に右側板(9)を重ねて、この右側板(9)を側板固定片(33)に糊付け部(44)を介して固定し、各フラップ固定片(35)を、左・右側板(7・9)の下端に連設した底フラップ(34)に、それぞれ糊付け部(45)を介して固定する。これにより包装用箱(1)の製作が完了し、表裏反転すると図6に示す折畳み状態となる。包装用箱(1)はこの折畳状態で運搬され保管されるので、場所をとらず保管管理等が容易である。
【0035】
一方、図7に示すように、上記の上部ホルダ(29)の台紙は、矩形の肩押え板(30)の周縁に、それぞれ折り目(u1・u2・u3・u4)を介して上部支持壁(31)が連設してあり、この肩押え板(30)の中央部に、所定寸法の内径を有する挿通穴(32)が形成してある。そして、上記の各折り目(u1・u2・u3・u4)を90度に谷折りすることで、図1に示す上記の上部ホルダ(29)に立体化される。なお、各上部支持壁(31)のうち、1枚の上部支持壁(31)は高さ寸法が短い。これは、包装用箱(1)内にこの上部ホルダ(29)を装着して上記の上蓋(10)で蓋した際に、この上蓋(10)に連設した差し込みフラップ(37)が、前側板(6)と対面する上部支持壁(31)と干渉することを防止するためである。
【0036】
上記の折畳まれた状態の包装用箱(1)に、図6に示すように左右方向から力(F)を加えると、左・右側板(7・9)と底フラップ(34)がそれぞれ起き上がり、底フラップ(34)が互いに係合して箱底部(3)が形成される。このとき、上記の支持立壁(19)が後側板(8)と平行状態を保ちながら底フラップ(34)から立ちあがり、上記の上壁(20)が立体化する。この状態で、上記の水平支持板(12)を下方へ押し込むと、上記の中底板(16)がこの水平支持板(12)と平行状態を保ちながら、前側板(6)に対し立ちあがり、上記の受止め板(17)が垂直姿勢となる。そして、水平支持板(12)と中底板(16)が水平状態になり、この中底板(16)が上記の上壁(20)に支持されて、図1に示す組立状態となる。
【0037】
この状態で上記の容器(5)が、上記の支持穴(13)内へ本体胴部(21)が挿通されて、包装用箱(1)内に収容され、上記の立体化された上部ホルダ(29)がこの容器(5)の肩部(25)に装着されたのち、上記の内蓋(11)と上蓋(10)とで包装用箱(1)が蓋される。
【0038】
上記の第1実施形態では、上記の上部ホルダ(29)を、矩形の肩押え板(30)とその周縁から立ち上げた4枚の上部支持壁(31)とで構成した。しかし本発明は他の形状の上部ホルダを採用してもよい。
【0039】
例えば図8に示す第1変形例では、矩形の肩押え板(30)と、その周縁から立ち上げた4枚の上部支持壁(31)とを備え、さらに、互いに対向する一対の上部支持壁(31)間に、緩衝板(48)が水平方向に配置してある。この緩衝板(48)の配置は、上記のキャップ(28)よりも上方で、一方の上部支持壁(31)の上端から下方へ所定寸法をあけた高さ位置に設定してある。このため、包装用箱が上部を下にして落下した場合に受ける衝撃を、肩押え板(30)とこの緩衝板(48)とで一層良好に緩衝できて好ましい。さらにこの場合は、この緩衝板(48)を介して、上記の一対の上部支持壁(31)を簡単に垂直状態にすることができ、この上部ホルダ(29)を上記の箱胴部(2)内へ容易に装着できる利点もある。なお、上記の緩衝板(48)には指掛け穴(47)が開口してあり、この指掛け穴(47)に指先等を挿入して引っ掛けることで、この上部ホルダ(29)を包装用箱(1)内から容易に取り出せるようにしてある。
【0040】
図9に示す第2変形例では、上記の第1変形例と異なって、全ての上部支持壁(31)の高さを揃えるとともに、一対の上部支持壁(31)の上端同士を、水平方向の姿勢保持板(46)で互いに連結し、この姿勢保持板(46)から下方へ所定寸法離隔した位置に、第1変形例と同様の緩衝板(48)が水平方向に配置してある。この第2変形例では、包装用箱が上部を下にして落下した場合に受ける衝撃を、第1変形例と同様、肩押え板(30)と上記の緩衝板(48)とで緩衝できるうえ、肩押え板(30)の周囲を全ての上部支持壁(31)で均等に支持できるので、一層良好に緩衝できて好ましい。
【0041】
上記の第1実施形態では、上記の水平支持板(12)や中底板(16)を1つの側板(6)へ片持ち状に固定して、この中底板(16)を箱底部(3)から上方へ離隔してある。しかし本発明では、上記の容器(5)が箱胴部(2)内で宙に浮いた状態となっておればよく、上記の水平支持板(12)や中底板(16)は、必ずしも側板へ片持ち状に固定する必要はない。
【0042】
例えば、図10に示す第2実施形態の包装用箱(1)は、上記の第1実施形態と同様の、各筒状の箱胴部(2)と、この箱胴部(2)の下端を蓋する箱底部(3)と、箱胴部(2)の上端を開閉可能に蓋する図外の箱蓋部(4)とを備える。しかし上記の第1実施形態と異なり、図10と図11に示すように、この箱胴部(2)内には、水平支持板(12)と中底板(16)と垂直支持板(15)とを備える中間部ホルダ(49)が配置してあり、この中間部ホルダ(49)は上記の箱胴部(2)と別体に形成してある。
【0043】
上記の第1実施形態と同様、上記の水平支持板(12)は上記の箱胴部(2)内の上下方向中間部に配置してあり、この水平支持板(12)には、上記の被包装体(5)を挿通できる支持穴(13)が形成してある。上記の容器(5)はこの支持穴(13)内に挿入されて支持される。また上記の中底板(16)は上記の箱底部(3)と上記の水平支持板(12)との間に配置してあり、上記の垂直支持板(15)は、上記の中底板(16)と水平支持板(12)とを互いに連結している。
【0044】
しかし上記の第1実施形態と異なり、上記の中底板(16)の下面には2個の支持脚部(50)が付設してあり、各支持脚部(50)は、それぞれ垂直方向に配置した一対の支持立壁(19)を備えている。図10に示すように、上記の中間部ホルダ(49)が箱胴部(2)内へ収容された状態では、上記の垂直支持板(15)の下端や、これに連結されている上記の中底板(16)が、この支持脚部(50)を介して上記の箱底部(3)から上方へ離隔されている。
【0045】
上記の支持立壁(19)の幅は、上記の中底板(16)の幅の半分以下に設定してあり、これにより、下方からの衝撃を受けると各支持脚部(50)が容易に圧壊されてその衝撃を緩衝し、上記の容器(5)や容器(5)内の収容物などが、その衝撃から良好に保護されるようにしてある。その他の構成は上記の第1実施形態と同様であり、同様に作用するので説明を省略する。
【0046】
上記の支持脚部(50)は、上記の第2実施形態のものに限定されず、例えば図12に示す第3変形例のように、中底板(16)の下面中央に1個の支持脚部(50)を付設したものであってもよく、或いは図13に示す第4変形例のように、2個の支持脚部(50)を、中底板(16)の下面中央を中心とする点対象の位置へ配置して付設したものであってもよい。
【0047】
上記の各実施形態や変形例で説明した包装用箱は、本発明の技術的思想を具体化するために例示したものであり、各部の形状や寸法、構造、材質などをこの実施形態のものに限定するものではなく、本発明の特許請求の範囲内において種々の変更を加え得るものである。
【0048】
例えば上記の第1実施形態では、所定形状の板紙などからなる台紙を折り畳みながら所定箇所で貼り付けることにより、包装用箱やその内部に装着する上部ホルダを製作した。しかしながら本発明の包装用箱は、台紙の材質が特定のものに限定されず、さらには、複数の台紙で形成した部材を互いに貼り合せることで製作されるものであってもよい。
【0049】
また上記の第1実施形態では、上記の上部ホルダを上記の箱胴部とは別体に形成したので、上記の肩押え板や上部支持壁が撓み易く、上記の衝撃を良好に緩衝できて好ましい。しかし本発明ではこの上部ホルダを、例えば上記の内蓋や前側板等に連設したものであってもよい。
【0050】
また上記の第1実施形態では、水平支持板の側縁から受止め板が垂下してあり、中底板の下方に上壁を配置した。しかし本発明では受止め板と上壁とのいずれか一方で水平支持板や中底板を支持するように構成してもよい。
また上記の第1実施形態では、この水平支持板と中底板を前側板へ片持ち状に支持したが、本発明では他の側板へ片持ち状に支持してもよい。
【0051】
また上記の第2実施形態や変形例3、4では、上記の支持脚部を中底板の下面に付設した。しかし本発明では、この中底板の下面に代えて、箱底部の上面やいずれかの側板の内面に上記の支持脚部を付設したものであってもよい。またこの支持脚部は、中底板や箱底部、側板等に連設して一体に形成したものであってもよく、その支持脚部の個数は3個以上であってもよいことは、いうまでもない。
またこの中底板や支持脚部は、上記の形状や構造のものに限定されず、さらには、これらに代えて発泡材などの緩衝材を被包装体の下方に配置したものであってもよい。
【0052】
また上記の各実施形態では、箱胴部を立体化すると箱底部も自動的に立体化する、いわゆるワンタッチ操作で立体化する箱底部に構成した。しかし本発明では、主底蓋と補助底蓋とを側板の下方に連設して、主底蓋に設けた底部差込みフラップを差し込むことで箱底部を形成するなど、他の構造の箱底部であってもよい。
さらに、上記の被包装体は合成樹脂製容器に限定されず、また上記の収容物は口腔内崩壊錠以外の収容物であってもよいことは、いうまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明の包装用箱は、被包装体やその内部に収容した錠剤等の収容物に加わる衝撃を良好に緩衝できるので、特に口腔内崩壊錠を多数収容する容器の包装に好適であるが、他の錠剤や錠剤以外のものを収容した容器をはじめ、他の被包装体の包装にも好適である。
【符号の説明】
【0054】
1…包装用箱
2…箱胴部
3…箱底部
4…箱蓋部
5…被包装体(容器)
6…前側板
7…左側板
8…後側板
9…右側板
21…本体胴部
25…肩部
26…首部
27…取出口
28…キャップ
29…上部ホルダ
30…肩押え板
31…上部支持壁
32…挿通穴
48…緩衝板
h…上部支持壁(31)の高さ
L…肩部(25)の上面とキャップ(28)の上面との間の寸法

【特許請求の範囲】
【請求項1】
4枚の側板(6・7・8・9)を順次連設して形成した角筒状の箱胴部(2)と、この箱胴部(2)の下端を蓋する箱底部(3)と、箱胴部(2)の上端を開閉可能に蓋する箱蓋部(4)とを有し、この箱胴部(2)内に被包装体(5)を収容する包装用箱であって、
上記の被包装体(5)は有底筒状の本体胴部(21)を備え、この本体胴部(21)の上部に、肩部(25)を介して首部(26)が延設してあり、この首部(26)の上面に開口した取出口(27)がキャップ(28)で蓋してあり、
上記の首部(26)よりも大径の挿通穴(32)を開口した肩押え板(30)が、その挿通穴(32)に上記の首部(26)を挿通した状態で、上記の肩部(25)の上面に載置してあり、
上記の肩部(25)の上面と上記のキャップ(28)の上面との間の寸法(L)よりも大きい高さ(h)の上部支持壁(31)が、上記の肩押え板(30)の周縁から、上記の箱胴部(2)の内面に固定することなく立ち上げてあることを特徴とする、包装用箱。
【請求項2】
上記の上部支持壁(31)の高さ(h)が、上記の肩部(25)の上面と上記のキャップ(28)の上面との間の寸法(L)よりも10mm以上大きい、請求項1に記載の包装用箱。
【請求項3】
上記の肩押え板(30)は平面視で矩形に形成してあり、上記の上部支持壁(31)は、この肩押え板(30)の周縁のうち、少なくとも互いに対向する一対の端縁から立ち上げてある、請求項1または請求項2に記載の包装用箱。
【請求項4】
上記の互いに対向する一対の上部支持壁(31)間であって、上記のキャップ(28)よりも上方で、上記の少なくとも一方の上部支持壁(31)の上端から下方へ所定寸法をあけた高さ位置に、緩衝板(48)が水平方向に配置してある、請求項3に記載の包装用箱。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−35867(P2012−35867A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−177657(P2010−177657)
【出願日】平成22年8月6日(2010.8.6)
【出願人】(000002934)武田薬品工業株式会社 (396)
【出願人】(391019500)朝日印刷株式会社 (70)
【Fターム(参考)】