説明

包装袋

【課題】生産性を向上しつつも、補強材の内部における本体部の反りが抑制された包装袋を提供する。
【解決手段】袋状に形成された本体部10の側縁及び上縁の一部には熱可塑性樹脂からなる補強材30が取り付けられている。補強材30は本体部10の側縁及び上縁の形状に沿う柱形状に形成されている。補強材30はその短手方向において断面視すると断面コ字状をなしている。補強材30の後面(熱可塑性樹脂が注入された側の外面)から後面シート13の外面までの補強材30の厚みは、所定の厚みX1に設定されている。補強材30の前面(熱可塑性樹脂が注入された側とは反対側の外面)から前面シート12の外面までの補強材30の厚みX2は、厚みX1よりも大きく設定されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、補強材を備えた包装袋に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、包装袋の中折れの防止や自立性の向上等を目的として、樹脂シートからなる袋状の本体部を補強材で補強する包装袋の技術が知られている。例えば、特許文献1には、包装袋の本体部の上縁及び両側縁を、熱可塑性樹脂からなる補強材で覆う技術が開示されている。
【0003】
特許文献1の包装袋は、次のような態様で製造される。図6(a)に示すように、第一樹脂射出工程では、凹部61aを有する下金型61の上に袋状の本体部63が配置されるとともに上金型62が下降し、これら下金型61及び上金型62によって本体部63が挟まれた状態となる。このとき、本体部63の上縁端あるいは側縁端が、下金型61の凹部61a内に位置するように本体部63が配置される。この状態で、上金型62に形成された第一樹脂射出部G1から下金型61の凹部61aに熱可塑性樹脂が射出され、図6(b)に示すように補強材の下半割体64が成形される。
【0004】
次いで、第二樹脂射出工程では、図6(b)に示すように、上金型62がスライドして上金型62の凹部62aと下金型61の凹部61aが対向配置される。この状態で、上金型62の凹部62aに形成された第二樹脂射出部G2から上金型62の凹部62aに熱可塑性樹脂が射出されることで補強材の上半割体が成形され、下半割体64と上半割体とで本体部63が補強される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−191964号公報。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記従来技術においては、本体部63を補強するにあたって、下半割体64を成形するための第一樹脂射出工程と上半割体を成形するための第二樹脂射出工程とが必要で、一度の樹脂射出工程で本体部63を補強する場合に比べて生産性が低いと言わざるを得ない。また、上金型62に、第一樹脂射出部G1及び第二樹脂射出部G2という二種類の樹脂射出部を形成する必要があり、また、上金型62をスライド移動させるための装置構成も必要である。それゆえ、本体部63に補強材(下半割体64及び上半割体)を成形するための装置全体のコストアップも避けられない。
【0007】
例えば、図6(c)に示すように、熱可塑性樹脂を射出する前に、下金型61の凹部61aと上金型62の凹部62aとを対向配置させ、一回の樹脂射出工程でこれら凹部61a、62a内に熱可塑性樹脂を射出して補強材を成形することが考えられる。しかし、この場合、下金型61の凹部61a及び上金型62の凹部62aに対して本体部63の上縁端及び側縁端が自由端であるため、第二樹脂射出部G2から射出される熱可塑性樹脂の流れによって、第二樹脂射出部G2とは反対側の下金型61側に向かって反りやすくなる。こうした反りが発生すると、本体部63の上縁端や側縁端が補強材から部分的に露出することもあって、その場合には包装袋の美観を損なうことになる。また、本体部63の外面から補強材の外面までの補強材の厚みが過度に薄くなる部分が生じ、補強材の剥離等の原因となり得る。
【0008】
本発明は、上記従来技術の事情を鑑みてなされたものであり、その目的は、一回の樹脂射出工程で補強材を成形可能でありながらも、補強材の内部における本体部の反りが抑制された包装袋を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するために、請求項1に記載の発明の包装袋は、袋状に形成された本体部の周縁に、前記本体部の厚み方向における一方側から熱可塑性樹脂が射出されて柱形状の補強材が成形された包装袋であって、補強材における前記一方側の外面から本体部における前記一方側の外面までの前記補強材の厚みよりも、補強材における他方側の外面から本体部における前記他方側の外面までの前記補強材の厚みの方が大きいことを特徴とする。
【0010】
上記の構成によれば、凹部が形成された一対の金型を用い、熱可塑性樹脂を射出して本体部に補強材を成形する際、熱可塑性樹脂が射出される一方側の金型の凹部よりも他方側の金型の凹部の方が深く形成されている。そのため、従来技術のように他方側の凹部が深く形成されていない場合に比較して、他方側の凹部に熱可塑性樹脂が射出されやすい。他方側の凹部に熱可塑性樹脂が射出されれば、その熱可塑性樹脂によって本体部の周縁端が支持されたようになる。そのため、一回の樹脂射出工程で両金型の凹部内に熱可塑性樹脂を射出しても、本体部の周縁が他方側に向かって反ることが抑制される。また、補強材における他方側の外面から本体部における他方側の外面までの補強材の厚みが比較的に厚いため、仮に、本体部の周縁が他方側に向かって多少反ったとしても、本体部の周縁端が補強材から露出することは抑制される。したがって、上記構成の包装袋によれば、包装袋の美観が損なわれることはない。
【発明の効果】
【0011】
本発明の包装袋によれば、一回の樹脂射出工程で補強材を成形可能で、生産性を向上できる。また、補強材の内部における本体部の反りが抑制されるので、包装袋の美観が損なわれることはない。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明に係る包装袋の分解斜視図。
【図2】本発明に係る包装袋の正面図。
【図3】本発明に係る包装袋の斜視図。
【図4】図3におけるA−A線断面図。
【図5】(a)及び(b)は、本発明に係る包装袋の製造方法の説明図。
【図6】(a)〜(c)は、従来の包装袋の製造方法の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明を適用した一実施形態を図1〜図4にしたがって説明する。なお、以下の説明では、図1及び図3の前後方向を基準に説明する。
図1に示すように、包装袋の本体部10は、折り目が上方(図1において上側)を向くように二つ折りにされた底面シート11と、底面シート11を挟み込むように対向配置された前面シート12及び後面シート13とで構成されている。底面シート11は、略四角形状に形成されている。底面シート11の四角形状の四つの角には、四角形状の切欠部11aが切欠形成されている。底面シート11は、二つ折りされた状態で前面シート12及び後面シート13と対向する側の面(外側の面)が熱溶着性を有し、内側の面が非熱溶着性を有するように形成されている。
【0014】
前面シート12は、縦長四角形状の両肩部が円弧状に切りかかれた略台形状に形成されている。前面シート12の下方の二つの角には、四角形状の切欠部12aが切欠形成されている。前面シート12の切欠部12aは、底面シート11の切欠部11aと同形同大に形成されている。後面シート13は、前面シート12と同一形状に形成されており、下方の二つの角には、切欠部13aが切欠形成されている。
【0015】
前面シート12及び後面シート13は、一方の表面が熱溶着性を有するように形成されており、底面シート11を前後両側から挟み込む際には、前面シート12及び後面シート13の熱溶着性の表面が互いに対向するように配置されている。また、前面シート12及び後面シート13は、底面シート11の切欠部11aに対して、各切欠部12a、13aが対向するように、それぞれ配置されている。
【0016】
図2及び図3に示すように、前面シート12と底面シート11、及び後面シート13と底面シート11とは、底縁接着部21において熱溶着で接着されて、四層構造となっている。図2に示すように、底縁接着部21は、正面視すると底側に向かって円弧状に凹んだ曲線と本体部10の側縁及び底縁によって囲まれた領域となるように形成されている。上述のように、底面シート11の切欠部11aに対して、前面シート12の切欠部12a及び後面シート13の切欠部13aは対向配置されているので、本体部10は下方の二つの角が切り欠かれた切欠部10aを有している。
【0017】
図2及び図3に示すように、前面シート12及び後面シート13は、その側縁同士が側縁接着部22において熱溶着で接着されている。側縁接着部22は、上方では前面シート12及び後面シート13の二層構造をなすとともに、下方では、前面シート12及び後面シート13と二つ折りされた底面シート11との四層構造をなしている。
【0018】
図2及び図3に示すように、前面シート12及び後面シート13は、その上縁で口具35を挟み込みつつ、上縁接着部23において熱溶着で接着されている。上縁接着部23は、その両端において側縁接着部22と重複しており、この重複部分では前面シート12及び後面シート13は二度接着されている。
【0019】
図2及び図3に示すように、本体部10の上縁中央には、本体部10内の内容物の流通を許容する口具35が前面シート12及び後面シート13に挟み込まれるようにして取り付け固定されている。図1及び図2に示すように、口具35は、所定の開口を有する筒状体35aと、筒状体35aの開口に対して着脱可能なキャップ35bとで構成されている。
【0020】
図2及び図3に示すように、本体部10の側縁及び上縁の一部には熱可塑性樹脂からなる補強材30が取り付けられている。補強材30は本体部10の側縁及び上縁の形状に沿う柱形状に形成されている。また、図4に示すように、補強材30はその短手方向において断面視すると断面コ字状をなしている。その補強材30によって側縁接着部22の周縁(本体部10の側縁及び上縁の一部)が、所定の被覆幅L1で覆われた状態となっている。なお、本実施形態において補強材30は、その後面側(図4において上側)から熱可塑性樹脂が射出されることにより成形されたものである。したがって、補強材30の後面には、図示しない樹脂注入痕が形成されている。
【0021】
図4に示すように、補強材30の後面(熱可塑性樹脂が注入された側の外面)から後面シート13の外面までの補強材30の厚みは、所定の厚みX1に設定されている。厚みX1の例としては、例えば0.5〜3mm程度である。補強材30の前面(熱可塑性樹脂が注入された側とは反対側の外面)から前面シート12の外面までの補強材30の厚みX2は、厚みX1よりも大きく設定されている。本実施形態では、厚みX2は、厚みX1の1.5倍で、かつ補強材30による本体部10の被覆幅L1の0.5倍以上に設定されている。厚みX1及び厚みX2は、本体部10の面方向において一定となっている。
【0022】
次に、本体部10に補強材30を成形する際に用いられる一対の金型について図5にしたがって説明する。
後側金型41には、長溝状をなす二つの後側凹部41aが凹設されている。二つの後側凹部41aは、延設方向の一方側において互いに平行に延びつつ、途中から他方側に向かうにつれて互いに近接するように延びている。すなわち、二つの後側凹部41aは、図2に示す包装袋の二つの補強材30の延設形状と同一となるようにそれぞれ延設されている。なお、図5においては、一つの後側凹部41aのみを図示している。図5(a)に示すように、後側凹部41aは、所定の深さY1に設定されている。深さY1は、補強材30の後面から後面シート13の外面までの厚みX1と同一である。
【0023】
後側凹部41aの底面(図5においては上面)には、樹脂射出部Gが開口形成されている。樹脂射出部Gは、その中心軸Aが後側金型41の厚み方向(図5において上下方向)に延びるように形成されている。樹脂射出部Gは、その開口中心Cが本体部10の周縁と対向しないように後側凹部41aの本体部10が配置される側(図5において右側)の内側壁41bから、所定の離間距離L2を確保するように形成されている。
【0024】
前側金型42には、長溝状をなす二つの前側凹部42aが凹設されている。前側金型42の二つの前側凹部42aは、後側金型41の二つの後側凹部41aと同様に延設されている。なお、図5においては、一つの前側凹部42aのみを図示している。前側凹部42aの深さY2は、後側凹部41aの深さY1の1.5倍よりもやや大きく設定されている。具体的には、前側凹部42aの深さY2は、後側凹部41aの深さY1の1.5倍に、補強材30を成形しようとしている本体部10の厚み(図5においては前面シート12の厚み及び後面シート13の厚み)を加算した深さと等しく形成されている。
【0025】
次に、前述の後側金型41及び前側金型42を用いて本体部10に補強材30を成形する方法(包装袋の製造方法)について図5にしたがって説明する。また、合わせて包装袋の作用も説明する。
【0026】
図5(a)に示すように、後側金型41及び前側金型42で本体部10を挟み込みつつ、後側金型41の後側凹部41aと前側金型42の前側凹部42aとを対向配置する。このとき、本体部10の後面シート13が後側金型41側に、前面シート12が前側金型42側になるように本体部10を配置する。また、本体部10は、その周縁(側縁及び上縁)が、後側凹部41a及び前側凹部42a内に所定の被覆幅L1を確保するように突出配置される。このときの被覆幅L1は、後側凹部41aの内側壁41bに対する樹脂射出部Gの開口中心Cの離間距離L2よりも小さく設定される。
【0027】
このような状態で、図5(b)に示すように、樹脂射出部Gから後側凹部41a及び前側凹部42a内に、溶融した熱可塑性樹脂Rが射出される。このとき、樹脂射出部Gの中心軸Aは後側金型41の厚み方向に延びており、熱可塑性樹脂Rは、ほぼ後側金型41の厚み方向に沿って前側金型42側へ射出される。そして、樹脂射出部Gの開口中心Cにおける内側壁41bからの離間距離L2は、本体部10の被覆幅L1よりも大きいことから、前側金型42側に向かって射出された熱可塑性樹脂Rが後面シート13の外面に直接的に注がれることが抑制される。したがって、熱可塑性樹脂Rが後面シート13の外面に直接的に注がれることにより本体部10が前側凹部42a側に向かって反ることが抑制される。
【0028】
また、図5(b)に示すように、本体部10の前面シート12の外面から前側凹部42aの底面までの深さY3(深さY2から本体部10の厚みを差し引いた深さ)は、後面シート13の外面から後側凹部41aの底面までの深さY1の1.5倍に設定されている。したがって、例えば、深さY3が深さY1と等しく設定されている場合に比較して、前側凹部42a内に熱可塑性樹脂Rが射出されやすい。そのため、本実施形態では、図5(b)に示すように、射出された熱可塑性樹脂Rが速やかに前側凹部42a内に充填される。前側凹部42a内に熱可塑性樹脂Rが充填されると、本体部10の周縁端は熱可塑性樹脂Rによって前側凹部42a側から支持されるため、本体部10が前側凹部42a側に向かって反ることが抑制される。
【0029】
その後、後側凹部41a内にも熱可塑性樹脂Rが射出されていき、前側凹部42a及び後側凹部41a内の全体に熱可塑性樹脂Rが充填される。充填された熱可塑性樹脂Rは、冷却されて硬化し、補強材30が成形される。なお、後側金型41と前側金型42とを離間させて、補強材30が成形された本体部10を取り出す際には、樹脂射出部G内の熱可塑性樹脂と補強材30とを切断するなどして分離させる。したがって、補強材30の後面側において樹脂射出部Gと対応する位置には、樹脂射出部Gの開口形状に応じた樹脂注入痕が形成されることになる。
【0030】
上記実施形態の包装袋によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)上記実施形態では、補強材30の後面から後面シート13までの補強材30の厚みX1よりも、補強材30の前面から前面シート12までの補強材30の厚みX2の方が大きく(1.5倍)形成されている。したがって、本体部10に補強材30を成形する際においては、後面シート13の外面から後側凹部41aの底面までの深さY1よりも、前面シート12の外面から前側凹部42aの底面までの深さY3の方が大きいこととなる。そのため、前側凹部42aに速やかに熱可塑性樹脂Rが充填され、その熱可塑性樹脂Rによって本体部10の周縁端が支持されたようになる。その結果、包装袋の本体部10の周縁が前側に向かって反ることが抑制される。
【0031】
(2)上記実施形態の包装袋は、複数回の樹脂射出工程が不要で、一回の樹脂射出工程で製造することができ、生産性の高いものである。
(3)上記実施形態では、補強材30の前面から前面シート12の外面までの補強材30の厚みX2が本体部10の被覆幅L1の0.5倍以上に設定されていることから、本体部10の周縁が前面側に向かって多少反ったとしても、本体部10の周縁端が補強材30から露出することが抑制される。
【0032】
(4)上記実施形態では、本体部10は、その被覆幅L1が後側凹部41aの内側壁41bに対する樹脂射出部Gの開口中心Cの離間距離L2よりも小さくなるように配置される。したがって、射出された熱可塑性樹脂Rが後面シート13の外面に直接的に注がれ、その勢いで本体部10が前側に反ることが抑制される。
【0033】
上記実施形態は以下のように変更してもよい。また、各変更例を組み合わせて適用してもよい。
・ 上記実施形態では、補強材30の前面から前面シート12の外面までの補強材30の厚みX2を、補強材30の後面から後面シート13の外面までの補強材30の厚みX1の1.5倍に設定したが、厚みX2の設定はこれに限らず、厚みX1よりも大きければ、自由に変更できる。この点、後面シート13の外面から後側凹部41aの底面までの深さY1、及び前面シート12の外面から前側凹部42aの底面までの深さY3についても同様である。
【0034】
・ 上述したとおり、厚みX2は、厚みX1よりも大きければよいが、本体部10の周縁が前面側に反ることをより適切に抑制するためには、厚みX2は、厚みX1の1.2倍以上であることが好ましい。一方、本体部10周縁の反りに対する抑制効果は、厚みX2と厚みX1との差に対して必ずしも比例せず、厚みX2と厚みX1との差がある程度大きくなると頭打ちになる。また、厚みX2が大きいほど、補強材30を形成するための熱可塑性樹脂Rの量が多くなる。こういった観点からは、厚みX2は、厚みX1の2倍以下であることが好ましい。
【0035】
・ 補強材30の前面から前面シート12の外面までの補強材30の厚みX2を、被覆幅L1の0.5倍未満に設定してもよい。
・ 補強材30の後面から後面シート13の外面までの厚み、補強材30の前面から前面シート12までの厚みを、本体部10の面方向において変化をつけてもよい。この場合、補強材30の後面から後面シート13の外面までの厚みのうちの最小の厚みが厚みX1に相当し、補強材30の前面から前面シート12までの厚みのうち最小の厚みが厚みX2に相当する。
【0036】
・ 上記実施形態では、本体部10の側縁及び上縁の一部に補強材30を取り付けたが、本体部10の周縁のうちの一部に補強材30が取り付けられていれば、その取り付け位置は問わない。例えば、本体部10の側縁のみ、上縁のみに補強材30を取り付けるようにしてもよいし、本体部10の両側縁のうち片側の側縁のみに補強材30を取り付けるようにしてもよい。
【0037】
・ 本体部10のシート構成は上記実施形態のものに限らない。例えば、前面シート12及び後面シート13に代えて、二つ折りした一枚のシートを採用してもよい。また、底面シート11、前面シート12及び後面シート13に代えて、複数回折り曲げたシートを採用してもよい。あるいは、四枚以上のシートを組み合わせて本体部10を構成してもよい。さらに、底面シート11を省略してもよい。
【0038】
・ 本体部10の形状は上記実施形態のものに限らず、例えば、本体部10を平面視で正方形状や三角形状等に形成してもよい。つまり、本体部10が袋状に形成されており、補強材30を取り付けることのできる周縁を有していれば、その形状は問わない。
【0039】
・ それぞれのシートの接着は熱溶着に限らず、例えば、接着剤による接着、超音波接合、高周波接合等に変更してもよい。
・ 上記実施形態では、口具35を本体部10の上縁中央に設けたが、口具35の位置はこれに限らない。例えば、本体部10の上縁の端に設けてもよいし、あるいは本体部10の側縁のうち上方側に設けてもよい。また、口具35を省略したり、口具35に代えて開閉可能なチャックを本体部10に設けたりすることも可能である。
【0040】
・ 後側凹部41aの内側壁41bに対する樹脂射出部Gの開口中心Cの離間距離L2は、自由に変更することができる。なお、離間距離L2が大きいほど、熱可塑性樹脂Rを射出する際に熱可塑性樹脂Rが後面シート13の外面に直接的に注がれることが抑制できる。こういった観点からは、樹脂射出部Gは、後側凹部41aの底面において、内側壁41bから最も離間した位置(図5(a)において最も左側)に開口形成されることが好ましい。
【0041】
・ 樹脂射出部Gの中心軸Aの方向は、後側金型41の厚み方向に限らず、後側金型41の厚み方向に対して傾斜していてもよい。例えば、樹脂射出部Gの開口が、本体部10が挟み込まれない側(図5において左側)を指向するように、樹脂射出部Gを形成してもよい。
【0042】
・ 後側金型41及び前側金型42で本体部10を挟み込む際、被覆幅L1が後側凹部41aの内側壁41bに対する樹脂射出部Gの開口中心Cの離間距離L2よりも大きくなっても良い。
【0043】
・ 樹脂射出部Gを後側凹部41aの底面に開口形成するのではなく、例えば、後側凹部41aの内側壁41bに開口形成してもよい。
なお、樹脂射出部Gの中心軸Aの延設方向、開口中心Cの形成位置によっては、熱可塑性樹脂Rを射出する際に熱可塑性樹脂Rが後面シート13の外面に直接的に注がれることがあり得る。この場合、熱可塑性樹脂Rの射出初期においては本体部10の周縁が前側金型42側に反ることになるが、前側金型42の前側凹部42aに熱可塑性樹脂Rが充填されると、その熱可塑性樹脂Rによって前側に反った本体部10の周縁が後側に持ち上げられるため、本体部10の周縁の前側への反りは抑制される。
【0044】
上記実施形態及び変更例から把握できる技術的思想について以下に追記する。
(イ)補強材における他方側の外面から本体部における他方側の外面までの補強材の厚みは、補強材における一方側の外面から本体部における一方側の外面までの補強材の厚みの1.2倍〜2倍に形成されていることを特徴とする包装袋。
【0045】
(ロ)補強材における他方側の外面から本体部における他方側の外面までの補強材の厚みは、補強材による本体部の周縁の被覆幅の0.5倍以上に形成されていることを特徴とする包装袋。
【0046】
(ハ)袋状に形成された本体部の周縁に熱可塑性樹脂からなる柱形状の補強材を成形するための一対の金型であって、一方の金型には、熱可塑性樹脂を凹部に射出するための樹脂射出口が形成され、他方の金型は、その凹部の深さが一方の金型の凹部の深さよりも大きく形成されていることを特徴とする金型。
【0047】
(ニ)袋状に形成された本体部の周縁に、一対の金型を用いて熱可塑性樹脂からなる柱形状の補強材を成形する包装袋の製造方法であって、一方の金型の凹部には、熱可塑性樹脂を射出するための樹脂射出口が形成され、他方の金型は、その凹部の深さが一方の金型の凹部の深さよりも大きく形成されており、本体部の周縁が一対の金型の凹部に突出配置されるように本体部を一対の金型で挟み込みつつ、一方の金型の凹部と他方の金型の凹部とを対向配置させ、その後、一方の金型の凹部及び他方の金型の凹部に樹脂射出口から熱可塑性樹脂を射出することを特徴とする包装袋の製造方法。
【0048】
(ホ)樹脂射出口は、一方の金型の凹部の底面に開口形成され、一対の金型の凹部に対する本体部の周縁の突出長が、一方の金型の凹部における本体部が挟み込まれている側の内側壁から樹脂射出口の開口中心までの離間距離よりも短くなるように、本体部を一対の金型に対して配置することを特徴とする包装袋の製造方法。
【符号の説明】
【0049】
10…本体部、11…底面シート、12…前面シート、13…後面シート、30…補強材、35…口具、41…後側金型、42…前側金型。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
袋状に形成された本体部の周縁に、前記本体部の厚み方向における一方側から熱可塑性樹脂が射出されて柱形状の補強材が成形された包装袋であって、
補強材における前記一方側の外面から本体部における前記一方側の外面までの前記補強材の厚みよりも、補強材における他方側の外面から本体部における前記他方側の外面までの前記補強材の厚みの方が大きいことを特徴とする包装袋。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−86846(P2013−86846A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−229134(P2011−229134)
【出願日】平成23年10月18日(2011.10.18)
【出願人】(391003794)押尾産業株式会社 (32)
【Fターム(参考)】