説明

化粧用エッジ材

【課題】厚さ寸法が異なる複数種類の板状体に対して使用することができ、さらに板状体の側面に貼付した後にエッジ加工が不要な化粧用エッジ材を提供することである。
【解決手段】板状の化粧用エッジ材5を折り曲げ部6,7で折り曲げ、端部8から折り曲げ部6までの領域と、端部9から折り曲げ部7までの領域を板状体1の側面2に貼着する。折り曲げ部5,6同士は中央部10を介して連続している。中央部10は板状体1の側面2から離れており、化粧用エッジ材5と板状体1の側面2の間には空間4が形成されている。中央部10から側面2までの距離を変化させることにより、折り曲げ部6,7を板状体1の側面2の縁に位置合わせする。これにより、複数種類の厚さの板状体1の側面2に対して、同一の化粧用エッジ材5で対応することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表面や裏面に化粧が施された扉板、テーブル板等の板状体(以下、単に板状体いう)側面に貼付される化粧用エッジ材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
扉板に化粧を施すと、扉板の閉鎖時には化粧面が露出し、意匠効果を奏することができる。このような扉が特許文献1に開示されている。特許文献1には、扉に化粧板を設置することにより、高級感や意匠感を高めるように工夫された構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−7908号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
図3(a)に示すように、化粧面52が設けられた板状体50の側面51に、化粧シート53を貼付することが考えられる。すなわちこれは、側面51に化粧面52と同様の化粧の化粧シート53を貼着することによって化粧効果を奏することができる範囲を拡げようとするものである。
【0005】
ところがこのような化粧シート53は、板状体50の厚さに合わせたものを使用しなければならない。また、化粧シート53を貼着した後に最終的な板状体50の幅寸法が決まるため、化粧シート53を貼付した状態でエッジ加工を施すことになる。その結果、図3(b)に示すように化粧シート53の側面がカットされてエッジ加工部54が形成されてしまう。エッジ加工部54は、化粧面52の化粧とは、視認者に与える印象が異なるものとなってしまうことが多い。
【0006】
そこで本発明は、厚さ寸法が異なる複数種類の板状体に対して使用することができ、さらに扉板の側面に貼付した後にエッジ加工が不要な化粧用エッジ材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための請求項1に記載の発明は、板状体の側面に沿って貼着される化粧用エッジ材であって、板状部材の両端部を折り曲げて折り曲げ部を設け、板状部材の中央部を変形させて当該中央部と板状体の側面の間の空間の大きさを変更させ、前記両折り曲げ部を板状体の側面の端に位置合わせし、板状部材の折り曲げ部から端の部分を板状体の側面に貼着することを特徴とする化粧用エッジ材である。
【0008】
請求項1の発明では、板状部材の中央部と板状体の側面の間に空間が形成され、この空間の大きさは任意に変更可能である。すなわち、板状部材の中央部と板状体の側面の間の空間の大きさを変更すると、両折り曲げ部の間隔が変化する。つまり、両折り曲げ部の間隔を外力により弾性に抗して変化させることができるために、厚さ寸法が異なる複数種類の板状体の側面の縁に、同一の化粧用エッジ材の両折り曲げ部を容易に位置合わせすることができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明の化粧用エッジ材は、厚さ寸法が異なる複数種類の板状体に対して、同一の化粧用エッジ材で対応することができる。また、板状体の側面に貼着した後に切削等の機械加工を施す必要がなく、化粧効果を良好に保ち、視認者に与える印象が変化することがなく、意匠性に優れている。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】(a)は本発明の化粧用エッジ材を板状体の側面に貼付する直前の状態を示す斜視図であり、(b)は(a)において板状体の側面に化粧用エッジ材を貼付した状態を示す斜視図である。
【図2】(a)、(b)は共に図1(b)に示す化粧用エッジ材とは別の形態の本発明の化粧用エッジ材を板状体の側面に貼着した状態を示す斜視図である。
【図3】(a)は板状体の側面に従来の化粧シートを貼着する直前の状態を示す斜視図で有り、(b)は(a)において板状体の側面に化粧シートを貼付してエッジ加工した状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下では、本発明の化粧用エッジ材の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下の説明は、実施形態の理解を容易にするためのものであり、これによって、本発明が制限して理解されるべきではない。
【0012】
図1(a)に示す化粧用エッジ材5は、屈曲変形加工及び湾曲変形加工が可能なプラスチック等の素材で構成された板状部材から形成される。化粧用エッジ材5を構成する板状部材は、長尺状で長さは扉板(板状体)1の側面2の長さと一致している。
【0013】
また、化粧用エッジ材5は、板状部材の両端付近における折り曲げ部6,7を折り曲げ、中央部10を屈曲部11,12の2箇所で屈曲させて空間4を形成する。端部8,9(端辺)と中央部10とが接近すると、化粧用エッジ材5の幅寸法Wが大きくなる。すなわち、両折り曲げ部6,7が離間する。逆に端部8,9と中央部10とが離間すると、幅寸法Wは小さくなる。すなわち、両折り曲げ部6,7が接近する。中央部10は、平面状であっても曲面状であっても差し支えない。
【0014】
図1(b)に示すように、板状体1には化粧面3が設けられている。化粧用エッジ材5にも化粧面3と同様の色彩及び意匠的効果を奏する化粧が施されている。
【0015】
中央部10から側面2までの距離を変化させ(すなわち、空間4の大きさを変化させ)、化粧用エッジ材5の両折り曲げ部6,7を、板状体1の側面2の両端(縁)に位置合わせし、化粧用エッジ材5を板状体1の厚さ寸法(W方向の寸法)に合わせる。その際には、折り曲げ部6,7の折り曲げ角度と、屈曲部11,12の屈曲角度が変化する。そして化粧用エッジ材5の端部8から折り曲げ部6までの領域と、端部9から折り曲げ部7までの領域を側面2に貼着(接着)し、化粧用エッジ材5で板状体1の側面2の全面を覆う。
【0016】
化粧用エッジ材5は、折り曲げ部6,7の離間または接近可能な範囲で側面2の幅寸法に対応することができる。すなわち、異なる厚さの板状体1の側面2に同一の化粧用エッジ材5を対応させることができる。また、化粧用エッジ材5は、エッジ加工(すなわち後処理の機械加工)が不要である。
【0017】
次に、化粧用エッジ材の変形例について図2(a)、図2(b)を参照しながら説明する。図2(a)に示す化粧用エッジ材15は、図1(a)の化粧用エッジ材5と同様の板状部材から構成されている。
【0018】
特に図2(a)の化粧用エッジ材15では、端部18(端辺)から折り曲げ部16までの領域と、端部19(端辺)から折り曲げ部17までの領域が板状体1の側面2に貼付されている。そして折り曲げ部16から曲面部23が立設されており、同様に折り曲げ部17からは曲面部24が立設されている。
【0019】
さらに曲面部23と曲面部24は、平面部20と連続している。すなわち、平面部20の両側に曲面部23,24がそれぞれ配置されている。図2(a)の化粧用エッジ材15は、内部の空間14が広く確保されており、曲面部23が扉板(板状体)1の化粧面3と連続するように配置される。よって、化粧用エッジ材15は、意匠性が極めて高い。
【0020】
また、図2(b)に示す化粧用エッジ材25では、板状の化粧部材の折り曲げ部26,27が板状体1の側面2の縁に位置合わせされ、板状部材における端部28(端辺)から折り曲げ部26までの領域と、端部29(端辺)から折り曲げ部27までの領域が側面2に貼付されている。そして、折り曲げ部26から曲面部33が立設され、同様に折り曲げ部27から曲面部34が立設されている。
【0021】
さらに曲面部33と曲面部34は、平面部30と連続している。すなわち、平面部30の両側に曲面部33,34がそれぞれ配置されている。図2(b)の化粧用エッジ材25は、内部の空間36が図2(a)の化粧用エッジ材15の空間14と同様に広く確保されており、曲面部33が板状体1の化粧面3と連続するように配置される。よって、化粧用エッジ材25の意匠性も極めて高い。
【0022】
ここで、化粧用エッジ材25では、空間36内に補強部材35を備えている。補強部材35は、板状体1の側面2と化粧用エッジ材25の平面部30の内部の面に当接している。そのため、化粧用エッジ材25は、外力が作用しても破損しにくい。
【0023】
なお、図1(b)に示す化粧用エッジ材5、図2(a)に示す化粧用エッジ材15、及び図2(b)に示す化粧用エッジ材25において、化粧は表面(露出面)側に施す。化粧を仮に裏面側に施す場合には、化粧用エッジ材5、15、及び25は透明な材料で形成する。
【符号の説明】
【0024】
1 板状体
2 板状体の側面
3 板状体の化粧面
4 空間
5 化粧用エッジ材
6,7 化粧用エッジ材の折り曲げ部
8,9 化粧用エッジ材の端部
10 化粧用エッジ材の中央部
11,12 化粧用エッジ材の屈曲部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
板状体の側面に沿って貼付される化粧用エッジ材であって、
板状部材の両端部を折り曲げて折り曲げ部を設け、
板状部材の中央部を変形させて当該中央部と板状体の側面の間の空間の大きさを変更させながら、前記両折り曲げ部を板状体の側面の端に位置合わせし、
板状部材の折り曲げ部から端の部分を板状体の側面に貼着することを特徴とする化粧用エッジ材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−68028(P2013−68028A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−208418(P2011−208418)
【出願日】平成23年9月26日(2011.9.26)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】