説明

医療用デバイス

【課題】新規な構成の医療用デバイスを提供する。
【解決手段】動脈瘤(201)を処置するために身体の血管中への挿入のための医療用デバイスであって:第1の位置から第2の位置まで拡大可能な機械的に拡大可能なデバイス(202)であって、第2の位置に、このデバイス(202)の外面が、上記血管を通る流体経路を維持するようにこの血管の内面と係合するように半径方向の外方に拡大されるデバイス(202);およびこの機械的に拡大可能なデバイス(202)の拡大に応答して第1の位置から第2の位置に拡大可能な膜(203)を備え、この膜(203)は、第2の位置に拡大されるとき、動脈瘤への血液循環を妨害し、そしてこの膜(203)の少なくとも一部が、上記デバイス(202)に固定されて、上記第2の位置に拡大されるとき、上記デバイス(202)に対してこの膜(203)の位置を維持する。
【選択図】なし

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、動脈瘤を処置するために身体の血管中に挿入されるための医療用デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
血管の疾患は、出血、血管の閉塞を引き起こすアテローム性動脈硬化症、血管奇形および腫瘍を含む。脳内の血管閉塞または動脈瘤の破裂は、脳卒中を引き起こす。頭蓋内動脈によって供給される動脈瘤は、脳内で、それらの塊およびサイズが、脳卒中または脳卒中の症状を引き起こし、動脈瘤の除去またはその他の治療的介入のために手術を必要とする点まで成長し得る。
【0003】
冠状動脈の閉塞は、例えば、心臓麻痺の共通の原因である。疾患および妨害された冠状動脈は、心臓中の血液の流れを制限し得、そして組織虚血および壊死を引き起こす。硬化性心臓血管疾患の正確な病因はなお論議されているが、狭窄冠状動脈の処置は、さらに規定されている。冠状動脈バイパス移植片(CABG)の外科的構築は、1つまたは複数の動脈にいくつかの疾患セグメントが存在するとき、しばしば、選択の方法である。従来の開放心臓手術は、勿論、このような処置を受ける患者にとって非常に侵襲的かつ外傷性である。従って、より外傷性でない代替の方法が高度に所望される。
【0004】
代替方法の1つは、折り畳まれたバルーンが、動脈を閉塞または部分的に閉塞し、そして閉塞された動脈を開放するために膨張される、狭窄中に挿入される技法であるバルーン血管形成術である。別の代替方法は、閉塞性アテロームが動脈の内面から切除される技法であるアテローム切除術である。両者の方法は、特定の%の患者で再閉塞が生じる。
【0005】
血管閉塞に対して最近好まれる治療は、血管を開いて保持するために、血管の閉塞された領域内の、ステントを含む拡大可能な金属ワイヤフレームの配置である。このステントは、通常はカテーテルである送達手段によって血管系内の所望の位置に送達される。従来の血管手術に対するステント配置法の利点は、心肺バイパス、胸部の開放、および一般麻酔を含む、外科的曝露、除去、または欠陥血管をバイパスする必要性を未然に防ぐことを含む。
【0006】
バルーン欠陥形成術による動脈の拡張の後、身体の脈管、ダクトまたは管(「脈管」)、例えば、冠状動脈中に挿入および配備されるとき、ステントは、脈管を開いて維持するための補綴具として作用する。このステントは、通常、その側壁として相互連結するストラットを備えた開放端部の管状形態を有し、このステントが脈管を辿ってそれが配備される部位に到達することを可能にするに十分小さい第1の外径から、この部位で保持のために血管の内側裏打ちと係合するに十分大きい第2の外径までのその拡大を可能にする。ステントは、代表的には、非拡大状態で身体管腔中の所望の位置に送達され、そして次に拡大される。このステントは、バルーンのような機械的デバイスの使用により拡大されるか、またはこのステントは、自己拡大性である。
【0007】
通常、成功する介入的配置のための適切なステントは、相対的に非アレルギー反応、良好な放射線不透過性、磁気共鳴造影(MRI)に対する歪みのないこと、塑性的に変形可能である適切な弾性を備えた可撓性、血管反跳に対する強い耐性、血液(または心臓血管系以外の脈管中のその他の流体または材料)の流れに対する妨害を最小にするに十分な薄さ、および脈管再閉塞を避けるための生体適合性の特徴を所有すべきである。ステントが構成される材料の選択、およびステントの設計は、これらの特徴に影響する際に重要な役割を演じる。
【0008】
さらに、移植可能な医療用デバイスが、異なる生物学的適用のために薬物または生体試薬の送達のために利用されている。代表的には、これら薬物または生体試薬は、これら移植可能医療用デバイスの表面に被覆されるか、またはこれら移植可能医療用デバイスの表面上に被覆されるポリマー性材料内に混合される。しかし、すべての現在利用可能な方法は、制御不能な放出、薬物の形態制限、および嵩張る外観を含む1つ以上の問題を被る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従って、脈管内系、特に、頭蓋内血管に薬物または試薬を送達し得る移植可能な医療用デバイスが所望されている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
(発明の要旨)
第1の好ましい局面では、動脈瘤を処置するために身体の脈管中に挿入される医療用デバイスが提供され、このデバイスは、第1の位置から第2の位置に拡大可能な機械的に拡大可能なデバイスであって、上記第2の位置に、上記機械的に拡大可能なデバイスの外面が、上記脈管を通る流体経路を維持するようにこの脈管の内面と係合するように半径方向の外方に拡大される機械的に拡大可能なデバイス;およびこの機械的に拡大可能なデバイスの拡大に応答して第1の位置から第2の位置に拡大可能な膜であって、この第2の位置に拡大されるとき、上記動脈瘤の血液循環を妨害し、そしてこの膜の少なくとも一部分が上記機械的に拡大可能なデバイスに固定され、この第2の位置に拡大されるとき、上記機械的に拡大可能なデバイスに対するこの膜の位置を維持する膜を備える。
【0011】
上記機械的に拡大可能なデバイスは、複数の相互連結するストラットであってそれらの間に介在空間を有するストラットによって規定される、ほぼ管状の構造を備え得る。
【0012】
上記膜は、生体適合性かつエラストマー性ポリマーから作製され得る。
【0013】
上記膜は、約20〜100ミクロンのポアまたは穴サイズを備えた約0.001〜0.005インチの厚みを有し得る。
【0014】
上記膜は、ポリマー性材料または生分解性材料から作製され得る。
【0015】
上記生分解性材料は、薬物または試薬と混合された複数の下層を形成し得る。
【0016】
上記膜は、等方性拡大をし得る。上記膜は、送達システム上で圧縮(クリンプ)されるとき、送達可能な形状から、配備される形状に拡大し得る。従って、(ステントストラットに取り付けることにより製作されるような)膜の初期サイズは、1.5〜2.5mmの直径に等価であり得る。その後、この膜は、送達カテーテル上に(上記機械的に拡大可能なデバイスとともに)クリンプされる間に収縮を経験し得る。この膜を備える機械的に拡大可能なデバイスは、0.5mm〜0.9mmに等しい直径を有し得る。配備の後、この膜は、2.5〜4.5mmまでの直径に到達し得る。膜製作のための適切な材料は、600〜800%まで伸長され得るエラストマーポリマーであり得る。例えば、改変ポリウレタンまたはシリコーンである。
【0017】
上記膜は、上記デバイスの外面上に配置され得る。
【0018】
上記膜は、上記デバイスを完全に取り囲み得る。
【0019】
上記膜は、上記デバイスの一部分を周縁方向に取り囲み得る。
【0020】
上記膜は、上記デバイスの一部分を覆い得る。
【0021】
上記膜は、非多孔性および非透過性であり得、上記動脈瘤への血液循環を防ぐ。上記膜は、固形ポリマーから作製され得る。
【0022】
上記膜は、透過性および多孔性であり得る。上記膜は、主要脳動脈の穿孔および顕微鏡的分枝への血液供給が許容されるが、前記動脈瘤への血液供給が防がれるように穴またはポアを有し得る。上記膜は、サイズが20〜100ミクロンの間のポアを有し得る。上記膜は、サイズが20〜100ミクロンの間の製作された穴を有し得る。これらの穴は、レーザー穿孔によって製作され得る。これらポアまたは穴の間の距離は、100μmより小さくあり得る。
【0023】
有利には、透過可能な膜が、穿孔と命名される顕微鏡的分枝を備える脳動脈のいくつかの部分では理想的である。動脈瘤に対して膜を配置する間にこれら穿孔をブロックしないことが重要である。これは、血液供給がこの穿孔によって提供される脳の領域への接近可能性をブロックする。他方で、透過可能な膜は、動脈瘤への血液循環を妨害する。
【0024】
上記膜は、上記機械的に拡大可能なデバイスに固定される複数のポリマー性ストリップを備え得る。これらストリップは、0.075mmより短くあり得、そして隣接するストリップ間の距離が100μmより小さい。
【0025】
上記膜は、上記機械的に拡大可能なデバイスに固定されるメッシュを備え得る。上記メッシュの空間は、100μmより短く、そしてこのメッシュの幅は0.025〜0.050mmの間であり得る。
【0026】
上記動脈瘤は、通常サイズ、巨大または広い頸部の動脈瘤であり得る。
【0027】
上記機械的に拡大可能なデバイスは、自己拡大可能、またはバルーンで拡大可能であり得る。
【0028】
上記機械的に拡大可能なデバイスは、ステントであり得る。
【0029】
上記膜は上記ほぼ管状の構造によって支持され得、そして少なくとも1つのストラットに取り付けられる。
【0030】
上記膜は、上記ステントの公証初期直径に類似の直径を有する管状であり、そしてここで、この膜は、上記ステントの外面に配置されるか、上記ステント間のストラット間に浸漬被覆または噴霧によって、またはその他の適切な製造方法よって導入される。この場合、これらスラトットは、上記膜を作製するために用いられるポリマーによって被包され得る。
【0031】
上記膜は、上記ステントの外面の一部分上に配置された管状構造のセグメントであり得る。
【0032】
上記少なくとも1つの試薬は、固形錠剤、液体または粉末からなる群から選択される任意の1つの形態であり得る。
【0033】
少なくとも1つの放射線不透過性マーカーが上記機械的に拡大可能なデバイス上に提供され得、挿入の間またはその後に上記デバイスの可視性を改善する。この少なくとも1つの放射線不透過性マーカーは、金または白金から作製され得る。中央放射線不透過性マーカーおよび端部放射線不透過性マーカーが、上記機械的に拡大可能なデバイス上に提供され得る。
【0034】
第2の局面では、少なくとも2つの身体の脈管の間の2分枝または3分枝動脈瘤を処置するための医療用デバイスが提供され、このデバイスは:第1の脈管中に挿入するための第1の機械的に拡大可能なデバイス;第2の脈管中に挿入するための第2の機械的に拡大可能なデバイス;ここで、機械的に拡大可能なデバイスの各々は、第1の位置から第2の位置に拡大可能であり、上記第2の位置に、上記機械的に拡大可能なデバイスの外面が、上記脈管を通る流体経路を維持するように上記脈管の内面と係合するように半径方向の外方に拡大される機械的に拡大可能である;および上記機械的に拡大可能なデバイスの拡大に応答して第1の位置から第2の位置に拡大可能な膜であって、上記第2の位置に拡大されるとき、上記動脈瘤の血液循環を妨害し、そして上記膜の少なくとも一部分が各機械的に拡大可能なデバイスに固定され、上記第2の位置に拡大されるとき、この機械的に拡大可能なデバイスに対する上記膜の位置を維持する膜を備える。
【0035】
第3の局面では、記載されるような医療用デバイスを作製する方法が提供され、この方法は:ほぼ管状の構造をマンドレル上に配置する工程;および上記膜を前記機械的に拡大可能なデバイスの外面上に配置する工程を包含する。
【0036】
第4の局面では、記載されるような医療用デバイスを作製する方法が提供され、この補方法は:上記ほぼ管状の構造をマンドレル上に配置する工程;および上記膜を上記ステントのストラット間に取り込む工程を包含する。
【0037】
上記配置する工程は:噴霧すること、縫合糸、積層、接着、熱および浸漬被覆からなる群から選択される任意の1つであり得る。
【0038】
本発明の少なくとも1つの実施形態の1つの目的は、動脈瘤への血液循環を機械的にシールまたは妨害することであり、この動脈瘤が最終的には固まるようにする。
より特定すれば、本願発明は以下の項目に関し得る。
(項目1)
動脈瘤を処置するために身体の脈管中に挿入される医療用デバイスであって:
第1の位置から第2の位置に拡大可能な機械的に拡大可能なデバイスであって、上記第2の位置に、上記機械的に拡大可能なデバイスの外面が、上記脈管を通る流体経路を維持するように上記脈管の内面と係合するように半径方向の外方に拡大される機械的に拡大可能なデバイス;および
上記機械的に拡大可能なデバイスの拡大に応答して第1の位置から第2の位置に拡大可能な膜であって、上記第2の位置に拡大されるとき、上記動脈瘤の血液循環を妨害し、そして上記膜の少なくとも一部分が上記機械的に拡大可能なデバイスに固定され、上記第2の位置に拡大されるとき、上記機械的に拡大可能なデバイスに対する上記膜の位置を維持する膜、を備える、デバイス。
(項目2)
上記機械的に拡大可能なデバイスが、複数の相互連結するストラットであってそれらの間に介在空間を有するストラットによって規定される、ほぼ管状の構造を備える、項目1に記載のデバイス。
(項目3)
上記膜が、生体適合性かつエラストマー性ポリマーから作製される、項目1に記載のデバイス。
(項目4)
上記膜が、約20〜100ミクロンのポアまたは穴サイズを備えた約0.001〜0.005インチの厚みを有する、項目1に記載のデバイス。
(項目5)
上記膜が、ポリマー性材料または生分解性材料から作製される、項目1に記載のデバイス。
(項目6)
上記生分解性材料が、薬物または試薬と混合された複数の下層を形成する、項目5に記載のデバイス。
(項目7)
上記膜が、等方性拡大をし得る、項目1に記載のデバイス。
(項目8)
上記膜が、上記デバイスの外面上に配置される、項目1に記載のデバイス。
(項目9)
上記膜が、上記デバイスを完全に取り囲む、項目1に記載のデバイス。
(項目10)
上記膜が、上記デバイスの一部分を周縁方向に取り囲む、項目1に記載のデバイス。
(項目11)
上記膜が、上記デバイスの一部分を覆う、項目1に記載のデバイス。
(項目12)
上記膜が、非多孔性および非透過性であり、上記動脈瘤への血液循環を防ぐ、項目1に記載のデバイス。
(項目13)
上記膜が、固形ポリマーから作製される、項目12に記載のデバイス。
(項目14)
上記膜が、透過性および多孔性である、項目1に記載のデバイス。
(項目15)
上記膜が、主要脳動脈の穿孔および顕微鏡的分枝への血液供給が許容されるが、上記動脈瘤への血液供給が防がれるように穴またはポアを有する、項目14に記載のデバイス。
(項目16)
上記膜が、サイズが20〜100ミクロンの間のポアを有する、項目15に記載のデバイス。
(項目17)
上記膜が、サイズが20〜100ミクロンの間の製作された穴を有する、項目15に記載のデバイス。
(項目18)
上記穴が、レーザー穿孔によって製作される、項目17に記載のデバイス。
(項目19)
上記ポアまたは穴の間の距離が、100μmより小さい、項目16または17に記載のデバイス。
(項目20)
上記膜が、上記機械的に拡大可能なデバイスに固定される複数のポリマー性ストリップを備える、項目14に記載のデバイス。
(項目21)
上記ストリップが0.075mmより短く、そして隣接するストリップ間の距離が100μmより小さい、項目20に記載のデバイス。
(項目22)
上記膜が、上記機械的に拡大可能なデバイスに固定されるメッシュを備える、項目14に記載のデバイス。
(項目23)
上記メッシュの空間が100μmより短く、そして上記メッシュの幅が0.025〜0.050mmの間である、項目22に記載のデバイス。
(項目24)
上記動脈瘤が、通常サイズ、巨大または広い頸部の動脈瘤である、項目1に記載のデバイス。
(項目25)
上記機械的に拡大可能なデバイスが、自己拡大可能、またはバルーンで拡大可能である、項目1に記載のデバイス。
(項目26)
上記機械的に拡大可能なデバイスが、ステントである、項目1に記載のデバイス。
(項目27)
上記膜が上記ほぼ管状の構造によって支持され、そして少なくとも1つのストラットに取り付けられる、項目2に記載のデバイス。
(項目28)
上記膜が、上記ステントの公証初期直径に類似の直径を有する管状であり、そしてここで、上記膜が、上記ステントの外面に配置されるか、上記ステント間のストラット間に浸漬被覆または噴霧によって導入される、項目26に記載のデバイス。
(項目29)
上記膜が、上記ステントの外面の一部分上に配置された管状構造のセグメントである、項目26に記載のデバイス。
(項目30)
上記少なくとも1つの試薬が、固形錠剤、液体または粉末からなる群から選択される任意の1つの形態である、項目6に記載のデバイス。
(項目31)
少なくとも1つの放射線不透過性マーカーが上記機械的に拡大可能なデバイス上に提供され、挿入の間またはその後に上記デバイスの可視性を改善する、項目1に記載のデバイス。
(項目32)
上記少なくとも1つの放射線不透過性マーカーが、金または白金から作製される、項目31に記載のデバイス。
(項目33)
中央放射線不透過性マーカーおよび端部放射線不透過性マーカーが、上記機械的に拡大可能なデバイス上に提供される、項目31に記載のデバイス。
(項目34)
少なくとも2つの身体の脈管の間の2分枝または3分枝動脈瘤を処置するための医療用デバイスであって:
第1の脈管中に挿入するための第1の機械的に拡大可能なデバイス;
第2の脈管中に挿入するための第2の機械的に拡大可能なデバイス;
ここで、機械的に拡大可能なデバイスの各々は、第1の位置から第2の位置に拡大可能であり、上記第2の位置に、上記機械的に拡大可能なデバイスの外面が、上記脈管を通る流体経路を維持するように上記脈管の内面と係合するように半径方向の外方に拡大される機械的に拡大可能である;および
上記機械的に拡大可能なデバイスの拡大に応答して第1の位置から第2の位置に拡大可能な膜であって、上記第2の位置に拡大されるとき、上記動脈瘤の血液循環を妨害し、そして上記膜の少なくとも一部分が上記機械的に拡大可能なデバイスに固定され、上記第2の位置に拡大されるとき、上記機械的に拡大可能なデバイスに対する上記膜の位置を維持する膜、を備える、デバイス。
(項目35)
項目1に記載の医療用デバイスを作製する方法であって:
ほぼ管状の構造をマンドレル上に配置する工程;および
上記膜を上記機械的に拡大可能なデバイスの外面上に配置する工程、を包含する、項目1に記載の医療用デバイスを作製する方法。
(項目36)
上記方法が:
上記ほぼ管状の構造をマンドレル上に配置する工程;および
上記膜を上記ステントのストラット間に取り込む工程を包含する、項目26に記載の医療用デバイスを作製する方法。
(項目37)
上記配置する工程が:噴霧すること、縫合糸、積層、接着、熱および浸漬被覆からなる群から選択される任意の1つである、項目35または36に記載の方法。
(項目38)
上記ステントが、送達カテーテルによって上記動脈瘤に送達される、項目26に記載の方法。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】図1Aおよび1Bは、2つの例示のバルーン拡大可能なステントである。
【図2】図2は、自己拡大性ステントを示す。
【図3】図3Aは、動脈瘤の位置に配置されるステントの概略図である。図3Bは、ステントのポートが開いたセルから形成される点を除き、図3Aのような概略図である。
【図4】図4は、バルーン上に拡大されたステントを備える送達システムを示す。
【図5】図5は、ポケットを備える膜によって部分的に被覆されたステントの概略図である。
【図6】図6は、2つのリング様ステントによって支持される膜としてのスリーブの断面図である。
【図7】図7は、2分枝動脈瘤を処置するために2つのステントを接続する膜の概略図である。
【図8】図8は、動脈瘤への血液循環を妨害するためにステントの膜で被覆された動脈瘤の概略図である。
【図9】図9は、ステントの代表的な寸法の表である。
【図10】図10は、所定パターンのポアを有する膜を備えたステントの概略図である。
【図11】図11は、ポリマーストリップを有する膜を備えたステントの概略図である。
【図12】図12は、メッシュを有する膜を備えたステントの概略図である。
【図13】図13は、ステントのストラットに固定された膜の概略図である。
【図14】図14は、ステントが配備される前の膜の概略図である。
【図15】図15は、3つの異なる位置で固定され、そして3つの異なるサイズの膜を備えたステントの概略図である。
【図16】図16は、脈管壁の近くに留まるよりむしろ、脈管の内側で弾く膜の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
本発明の例を、ここで、添付の図面を参照して説明する。
【0041】
(図面の詳細な説明)
移植可能な医療用デバイスは、ヒト身体の血管内系内の所望の部位に薬物または試薬を送達するための物理的構造を含む。移植可能な医療用デバイスは、特定の適用に依存して多様化した形状および形態をとり得る。一般的な移植可能な医療用デバイスは、ステント、大静脈フィルター、移植片および動脈瘤コイルを含む。ステントが説明されるけれども、開示される構造および方法は、すべてのその他の移植可能な医療用デバイス適用可能であることを注記する。
【0042】
ヒト身体の血管内系は、血管、脳循環系、気管−気管支系、胆管肝臓系、食道腸管系、および尿路系を含む。血管中に移植可能な例示のステント202が説明されるけれども、それらは、残りの脈管内システムに適用可能である。
【0043】
ステント202は、バルーン血管形成術による動脈の拡張の後、冠状動脈の管腔の部分のような、ヒト身体の脈管および内管腔ダクトまたは路を開放および閉塞されないで維持するために採用される拡大可能な補綴具である。代表的なステント202は、複数の相互連結されたストラットであって、それらの間に介在空間を有するストラットによって規定される外面を有するほぼ管状の構造物である。このほぼ管状の構造物は、このステントが脈管内挿入のためのサイズである第1の位置から、このステントの外面の少なくとも一部分が脈管壁に接触する第2の位置まで拡大可能である。このステントが拡大することは、このほぼ管状の構造物の全体で、相互連結するストラットを屈曲すること、および曲げることによって収容される。多くの異なるステント設計が生成され得ることが企図される。無数のストラットパターンが、強度を増大すること、拡大比または適用範囲領域を最大すること、拡大に際し長軸方向可撓性または長軸方向安定性を増大することなどのような種々の設計目的を達成するために公知である。特定の適用のために特に重要であるようなパラメーターを最適化する試みで、別のパターンより1つのパターンが選択され得る。
【0044】
図1Aおよび1Bを参照して、2つの例示のバルーン拡大可能なステント設計が提供される。図1Aは、ステント100の可視性を増大するために、端部マーカー103を備えたバルーン拡大可能なステント100を示す。このステント100は、リング101、リングコネクター102、および端部マーカー103を備える。
【0045】
図1Aを参照して、ステント100は、複数の付随的なリング101から作製され、ここで、リングコネクター102が、複数のリングをその場に保持するために2つまたは3つの隣接するリング101を連結する。端部マーカー103について、図1Aは、「ディスク」形状のマーカーを示している。実際に、この形状は、このマーカーがステント100にさらなる可視性を増大するために用いられ得る限り重要ではない。図1Bは、ステント104が中央マーカー105、106を備えることを除いて、図1Aに示されるようなステント100と類似である管状の拡大可能なステント104を示す。この中央マーカー105、106は、移植操作の間に動脈瘤開口部に位置することを支援する。この中央マーカー105、106は、端部マーカー103と同じ材料および形状であり得る。
【0046】
図2を参照して、ワイヤ/リボンから作製される自己拡大するステント107が提供される。自己拡大するステントは多くの設計を有し得るけれども、図2は、溶接された端部109を備えた代表的な網組みパターン108を有するステント107を示す。このステント107は、その長軸方向軸に沿って比較的可撓性であるように設計され、曲がりくねった身体管腔を通る送達を容易にするが、半径方向に拡大された条件で、動脈のような身体管腔に移植されるとき、その開存性を維持するに十分剛直性であり、かつ安定であるように設計される。
【0047】
図4を参照して、拡大された管状ステント112が示される。この管状ステント112がその展開された直径まで完全に拡大されるとき、ストラットの格子作りは、隣接する頂上(クレスト)が広い分離を受け、そしてストラットの部分が、ステントの長軸方向軸に対して横方向のほぼ完全に側方である配向をとる形状をとる。複数のストラットのこのような側方配向は、各々の完全に開いたセルが、その完全に展開された状態でステントによって提供される機械的支持に寄与して安定させ、ステント配備後、脈管壁の萎縮に高度に抵抗性である剛直性の構造を確実にする。
【0048】
ステント112が、例えば、このステントがマウントされるバルーンカテーテルのバルーンの能動的膨張によって、外方に向けられて奏される半径方向の圧力下で半径方向拡大によって展開され得るけれども、このステント112は、自己拡大性であり得る。いくつかの事例では、予備成形された弾性(すなわち、自己開放)ステントの能動的スプリング特徴がこの目的に供される。このステントは、従って、拡大されて、いくらかの収縮は可能であるが、また脈管壁の自然の収縮に多いに抵抗するために十分な剛直性を備える十分な弾性で、脈管壁の内側裏打ち、または内側に面する面に係合する。
【0049】
1つの実施形態では、上記移植可能な医療用デバイスは、狭窄症損傷および動脈瘤201のための頭蓋内ステント202および送達システムである。頭蓋内血管の特徴に起因して、この頭蓋内ステント202は、非常に可撓性で低プロフィール(0.033インチ〜0.034インチまたは送達カテーテル上で収縮されるときなおより小さい)および薄壁(0.0027インチ〜0.0028インチ)であるように設計される。この頭蓋内ステント202は、必ずしも最も高い可能な半径方向強度を有する必要はない。なぜなら、頭蓋内適用のためには高い強度の必要性はないからである。この頭蓋内ステントの放射線不透過性は、金または白金から作製される放射線不透過性マーカー205を含むこと、またはステント202を白金/イリジウム/タングステン合金から作製することにより提供され得る。動脈瘤201を処置するためのステント202は、それらの本体の中央に特別のタイプの白金「スターマーカー」204を有し、動脈瘤頸部201に対するステント202の正確な指標および整列を支援し、そして動脈瘤201とのさらなる操作を可能にする。
【0050】
図3Aに示されるように、頭蓋内ステント202は、動脈瘤201の位置に配置される。膜203はステント202を部分的に被覆し、そして動脈瘤201の頸部をシールするように位置決めされる。放射線不透過性マーカー204は、ステント202の中央に位置され、操作および操作後の検査の間にステント202の可視性を提供する。図3Bを参照して、ステント202の一部分は、開いたセル205から形成される。この設計は、穿孔をブロックすることを避ける。これら穿孔は、重要および別個の血液供給機能を有する小毛細管をいう。管状ステントは、穿孔をブロックし得、そしてこれらの重要な機能を阻害する可能性がある。
【0051】
図4を参照して、この送達システムは、ガイドワイヤ管腔110、バルーン膨張管腔111、コネクター116、バルーンカテーテルシャフト113、およびカテーテルシャフト113上の白金マーカーバンド115を含む。ガイドワイヤ管腔110はバルーンカテーテル中にガイドワイヤを導入するため、そしてバルーン膨張管腔111は配置されるステントがその標的位置に到達した後バルーンを膨張するために用いられる。コネクター116は、ガイドワイヤ管腔110とバルーン膨張管腔111を分離するために用いられる。バルーンカテーテルシャフト113は、ガイドワイヤ管腔110とバルーン膨張管腔111を別個に保持し、代表的な長さは約135〜170cmである。カテーテルシャフト113上のリングマーカー115は、バルーンテーパーの開始およびステントのエッジを示すために用いられる。図3においては、拡大されたステント112は、拡大されたバルーン上にマウントされて示される。この送達カテーテルは、血管形成術手順のために用いられる本質的に従来のバルーン膨張カテーテルであり得る。このバルーンは、照射されたポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリ塩化ビニル、ナイロン、およびPebax(登録商標)のようなコポリマーナイロンのような適切な材料から形成され得る。その他のポリマーもまた用いられ得る。動脈内の所望の部位への送達の間、ステントがその場に残るために、ステントはバルーン上に収縮される。
【0052】
好ましい実施形態では、ステントの送達は、以下の様式で達成される。ステントは、最初、送達カテーテルの遠位先端部上の膨張可能なバルーン上にマウントされる。ステントは、折り畳まれたバルーンの外部に機械的に収縮される。このカテーテル/ステントアセンブリは、案内カテーテルを通って脈管系内に導入される。ガイドワイヤは、疾患動脈セクションを横切って配置され、そして次に、このカテーテル/ステントアセンブリは、動脈内でガイドワイヤ上を、ステントが疾患裏打ちの直接下に存在するまで進行される。カテーテルのバルーンが拡大され、ステントを動脈に対して拡大する。拡大されたステントは、カテーテルが引き抜かれた後に、動脈を開いて保持するために供される。細長いチューブからのステントの形成に起因して、ステントの円筒形要素の波状構成要素は、横方向断面が比較的平坦であり、その結果、ステントが拡大されるとき、この円筒形要素は、動脈の壁に押し付けられ、そして結果として、動脈を通る血液流れを妨害しない。動脈の壁に押し付けられるステントのこれら円筒形要素は、最終的には、内皮細胞層で被覆され、これは、血液流れ妨害をさらに最小にする。さらに、規則的な間隔で緊密に間隔を置かれた円筒形要素は、動脈の壁に対する均一な支持を提供し、そして結果として、動脈の壁中の小皮弁(flap)および解剖学的構造をその場に留め、そして保持するように良好に採用される。
【0053】
弾性または自己拡大する補綴具には、それらは、膨張バルーンなしで展開され得る。自己拡大するステントは、血管の直径またはその他の意図される固定部位に従って予備選択され得る。それらの展開は、ステント位置決めにおいて熟練を要するけれども、このような展開は、この補綴具を適切な直径まで塑性的に拡大するために注意深く拡大するさらなる熟練を必要としない。さらに、この自己拡大するステントは、固定後も少なくとも僅かに弾性的に圧縮されたままであり、そしてそれ故、急性の固定を容易にする復元力を有する。対照的に、塑性的に拡大されたステントは、変形された組織の復元力、またはフック、またはその他の独立の固定要素に依存しなければならない。
【0054】
脈管中のステントの存在は、血液が脈管を通って流れるとき、血栓形成を促進する傾向があり、これは、急性の詰まりを生じる。さらに、ステントの外方に面する表面は、脈管の内側裏打ちと接触または係合するとき、組織刺激が、過形成に寄与し得る再狭窄を増悪し得る。さらに、動脈瘤中への血流の妨害を増大するために動脈瘤中に薬物または試薬を送達することが所望される。最後に、移植可能な医療デバイスが、ヒト身体の脈管系内の特定位置に薬物または試薬を送達するためのビヒクルとして用いられている。
【0055】
1つの例では、頭蓋内ステント202は、低圧展開のために特に設計されている。このステント202は、脆弱な頭蓋内脈管の特有の環境を標的にするために適切な半径方向強度を有する。このステント202は、高いステント性能を送達すること、そして長軸方向の可撓性を絶対的に従わせることを可能にするように設計される。
【0056】
ステントの低圧力展開は、4気圧(atm)未満に等しい圧力として規定される。このレベルの圧力は、ステント202が、標的脈管の外傷または破裂を導入することなく狭窄した頭蓋内脈管または動脈瘤頸部201を支持するために完全に展開されることを可能にする。このステント202は、バルーン技法または自己拡大性であることを用いて展開され得る。
【0057】
ステント202は、可能な過剰拡大を制限する構造的要素を備え、脈管の内径に一致し、そして極度に正確な展開を行う。低圧力展開と組合せたこれら構造的要素のこの特徴は、脈管損傷、破裂または再狭窄を潜在的に減少する。
【0058】
ステント202はまた、送達カテーテルによって提供されるのと等しいか、またはそれより良好な長軸方向の可撓性を有する。これは、このステントが、デバイスに対して増加した剛直性を付加しないことを意味する。ステント202の軌道可能性は、カテーテルの機械的性質に依存し、そしてステント202単独によっては制限されない。ステント202の長軸方向可撓性は、中立線からこのステントを曲げるための力(グラム)によって測定され得る。この力は、1mmまでのステントの曲げを8グラム未満でもたらす。現存するカテーテルは、1mmの曲げあたり20〜22グラムを提供し得る。この条件はまた、特定の脈管へのステント順応性を生成するとき極度に重要であり、そして脈管を可能な外傷反力から退避する。
【0059】
ステント202の構造は、18〜19グラム/mm長さの規準化された半径方向力を提供するように設計され、そして現存する冠状ステント中で見出される値に近接する値に到達し得る。ステント構造支持体は、頭蓋内脈管壁の自然の脈動とともにステント構造体の3〜4%の曲げを提供する。これは、より大きなステント順応性および低減した脈管損傷スコアに至る。
− 頭蓋内ステント202は、圧縮された送達モードで0.020インチのプロフィールを有する。
− 頭蓋内ステント202は、ステントプロフィール0.020インチ〜0.022イントを有する低0.014インチ〜0.016インチのようなプロフィールをもつ送達カテーテル上に圧縮されるように設計される。頭蓋内ステント202は、一様な材料分布および壁適用範囲を有し、必要な脈管支持を生成する。材料比は、展開直径に依存して10〜17%の範囲である。
− 頭蓋内ステント202は、0.0028インチよりは大きくないストラット厚みおよび幅を有する。ストラット寸法は、最も少ない侵入性ステント材料容量を生成し、そして脈管損傷スコアを減少するように選択される。
【0060】
長さに対するステント表面の比は、1.1〜1.3mm/mmであるように設定され、最小の脈管損傷スコアを提供する。
【0061】
少なくとも1つの膜203が、ステント202の外面上に配置される。この膜203は、薬物または試薬のための容器として供されるポケットを備え、薬物または試薬を脈管系中に送達する。この膜203は、図3Aおよび3B中に示されるように、ステント202の一部を被覆し、ここで、この膜203のサイズは、適用に依存して可変である。1つの例では、この膜203は、ステント202の全外面を覆う。従って、この膜203は、任意の形状またはサイズであり得る。
【0062】
特定の実施形態では、上記膜203は、ステント202のような移植可能な医療用デバイスの外面に取り付けられる第1の層を備える。中間層がこの第1の層に付着され、ここでこの中間層は、互いから分離される少なくとも2つの周縁ストリップを備え、そして第2の層がこの第1の層および中間層を覆う。第1の層、周縁ストリップおよび第2の層によって取り囲まれる空間は、薬物または試薬のための容器として供されるポケットを形成する。その他の実施形態では、上記中間層は、少なくとも1つの開口部を含み、その結果、上記ポケットは、この開口部内に形成され得る。これら開口部の形状およびサイズは、特定の適用に従って変動し得る。図5に示されるように、ステント202は、第1の層206および第2の層207を備える膜203によって部分的に覆われる。図5はまた、薬物放出ポア208を示す。
【0063】
多くのポリマー性材料が、膜203のこれら層を作製するために適切である。代表的には、1つの第1の層が、ステントの外面上に配置される。この第1の層は、20〜30ミクロンのポアサイズを備えた0.002インチ〜0.005インチの厚みを有し、そして公証初期直径に類似している。
【0064】
特定の実施形態では、この第1の層は、動脈瘤201を機械的に覆い、かつシールするために独立の膜203として供される。特定の実施形態では、第1の層および/または第2の層は、持続放出のための薬物または試薬キャリアとして生分解可能な材料から構成され得る。
【0065】
上記中間層は、第1および第2の層に融合し得るか、または異なる様式で第1の層に付着する材料から形成されることが望ましい。特定の実施形態では、上記中間層は第1の層と融合され得、この融合された層の外面内に窪みを備えた単一の層を形成する。
【0066】
第2の層および中間層は、即座の、または持続制御放出のための薬物または試薬を含む生分解可能な材料から作製され得る。生分解可能な材料が、分解プロセスによってなくなった後、膜203はなお無傷(in tact)であり、脈管支持を提供する。
【0067】
第2の層は、ポリマー性材料から構成され得る。好ましい実施形態では、この第2の層は、約70〜100ミクロンのポアサイズをともなう約0.001インチの好ましい厚みを有する。
【0068】
これらのポリマー性の層はまた、フルオロポリマー、ポリイミド、シリコーン、ポリウレタン、ポリウレタンエーテル、ポリウレタンエステル、ポリウレタンウレアならびにこれらの混合物およびコポリマーからなる群から選択される材料から形成され得る。生分解可能なポリマー性材料もまた用いられ得る。
【0069】
これら融合可能なポリマー層は、接着すること、積層すること、または縫合することによって結合され得る。これらポリマー性の層の融合は、熱シーリング、溶媒結合、接着剤結合または被覆(コーティング)の使用のような種々の技法によって達成され得る。
【0070】
有益であることが証明され得る薬物または試薬のタイプは、移植可能な医療用デバイスに対する、血栓形成能、炎症または平滑筋細胞増殖応答を低減する物質を含む。例えば、細胞インヒビターが、平滑筋細胞増殖を阻害するために送達され得る。頭蓋内またはいくつかのその他の適用では、フィブリンシーラントが、動脈瘤頸部をシールするために使用かつ送達され得、そして線維芽細胞および内皮細胞成長を提供する。薬物または試薬の詳細な例は、ヘパリン、ホスホリルコリン、アルブミン、デキサメタゾン、パクリタキセルおよび血管内皮細胞成長因子(VEGF)を含み得る。
【0071】
これら薬物または試薬は、種々の方法で移植可能な医療用デバイス中に取り込まれ得る。例えば、この薬物または試薬は、上記ポケットの容器中に、ゲル、液体または粉末の形態で注入され得る。あるいは、この薬物または試薬は、上記容器中に位置決めされる固形錠剤に成形された粉末で供給され得る。
【0072】
これらの極度に小直径の脈管の首尾良い処置の別の必須条件は、上記送達システムが高度に可撓性で、それが、大脳循環の解剖学的構造に沿って進行されることを可能にすることである。さらに、全体のステント送達システムは、ほぼ1.5mm〜5mmの範囲の頭蓋内動脈を処置するために極度に小プロフィールでなければならない。
【0073】
図6を参照して、特定の実施形態では、膜203は、デバイスの両端部で2つのリング様の短いステント302によって支持されるスリーブ301として具現化され、この膜203は、デバイス302の全領域を覆う。このデバイス302の中央には足場支持はない。放射線不透過性マーカー303は、ステント302の両端部に位置される。適用に依存して、上記リングは、バルーンで拡大可能であり、そしてステンレス鋼またはNiTi(形状記憶ニッケル−チタン合金)から作製されて自己拡大可能である。
【0074】
膜203は、動脈瘤頸部を効率的に閉塞し、そして脈管を「再開通する」ように設計された出血ステント構造の一部である。それは、再構築脈管を可能にし、そして動脈瘤を本質的になくする。高価な(そして特に外傷性で、しばしば塊状過ぎる)コイル留めが予期される必要性はない。
【0075】
このデバイスは:巨大および広い頸部の動脈瘤、2分枝および3分岐動脈瘤を処置するための好ましい解決法である。それはまた、海綿静脈洞、偽動脈瘤、小嚢性動脈瘤における破裂したccフィステルのための好ましい処置解決法である。
【0076】
上記膜203は伸縮自在であり、上記ステント構造から脱一体化および離脱なくして5〜6倍のそれ自身の拡大を可能にする。この膜203の厚みは、収縮位置で0.002インチより、そして拡大された位置で0.001インチよりは大きくはない。機械的性質は、頭蓋内ステント202に余分な剛直性を導入せず、そしてステント拡大に対し抵抗性を有さない。この膜材料はまた、拡大された膜203が、通常の血圧に耐えることを可能にする。
【0077】
上記膜203は、固形ポリマーから作製され得る。あるいは、この膜203は、固形ではないが、ステントストラット間のストリップとして形成されるか、または一連の穴または卵形物を備え得る。この膜203は、従って、多孔性、または織られたメッシュであり得る。この膜203はまた、穿孔の系中には血液浸透を可能にするが、動脈瘤201中にはそれを可能にしない穴の系が存在するような方法で設計され、かつそのような構造とされ得る。
【0078】
サイホン(Siphon)上の上部脳動脈には、多孔性かつ透過性の膜203が理想的である。このような膜203は、微細血管(穿孔物)をブロックすることなく動脈瘤頸部201を処置する。介入性神経放射線学者(INR)が、動脈瘤頸部201を取り扱うために、その他の公知の技法より、膜203を用いることをより多く望むことが予期される。透過性の膜203は、100ミクロンよりは大きくないそれらの間の境界を備えた穴またはポアの系を有する。これら穴またはポアは、50〜100ミクロンの間の範囲であり得る。この膜203は、動脈瘤201の周りの血液動力学を顕著に改善し得る。なぜなら、それは、より低い送達プロフィールを有し、そして固形膜203を備えたステント202と比較してより可撓性であるからである。
【0079】
眼動脈より下にある動脈瘤201には、膜203は、好ましくは、固形ポリマーから作製される。なぜなら、穿孔物の所望されない阻害のリスクが低いからである。
【0080】
膜203は、ステントストラットに取り付けられる。この膜203は、噴霧、浸漬技法または熱結合を用いて、中間ポリマー層に付着され得る。ステント202は、マンドレル(硬PTFEまたは金属)上に配置されるか、またはフック上に引っ掛けられ、そしてPU溶液から噴霧され、そして急速乾燥プロセスで固化される。あるいは、ステント202は、マンドレルまたはフック上に配置され、そしてPU溶液中に浸される。
【0081】
生分解性可能な膜203は、薬物送達を可能にし、そして後に溶解される。配置後15〜20日を過ぎた後、膜203が存在する必要性がなく、そしてそれ故、膜203が溶解され得る適用がある。
【0082】
上記膜203は、PU、シリコーン、または任意のその他のエラストマー医療グレードポリマーから作製され得る。
【0083】
図7を参照して、2分枝または3分岐動脈瘤201を処置する2分枝ステント202のための膜203が提供される。動脈瘤の少なくとも30〜35%が、頭蓋脈管の2分枝部位に位置される。この膜203は、片側性であり、そして周辺を取り囲まない。2分枝ステント202は、膜203によって接続され、動脈瘤頸部201を覆う。同じパターンが、自己拡大性(超弾性)またはバルーン拡大可能(ステンレス鋼、CoCr、PtIr合金)ステント202に適用され得る。
【0084】
図8を参照して、動脈瘤201は、頭蓋ステント202の膜203で覆われ、虚血性または出血性脳卒中を処置し、そして防ぐ。この膜203と組合せた頭蓋ステント202は、つまった動脈を開放するための足場として、そして動脈瘤201への血液循環を防ぐ被覆とて作用する。
【0085】
この動脈瘤201への血液供給を妨害することは、この動脈瘤201を通常の血液循環から隔離し、そしてそれによって最終的には、それを固まらせる。この動脈瘤201への完全な妨害は必ずしも必要でなくて良い。
【0086】
図9は、上記膜203との使用のための頭蓋ステント202のための代表的な寸法の表を提供する。膜203のための材料は、生体適合性であり、ステンレス鋼316Lから作製されるステントストラットへの良好な接着を有し、そして安定なフィルムによって形成される。その他の実施形態では、このフィルムは、中実フィルムであるよりはむしろ、血液「透過性」である。覆われたセクション、すなわち、ポアまたは穴間の境界は、ステント202の任意の部分または膜203が穿孔体をブロックすることを防ぐように、75μmを超えない。これを達成するためにいくつかのオプションがとられ得る。この膜203は、幅が0.001インチを超えない薄膜から作製される。この膜は、良好な拡大可能性を有し、そして低い力で、400%まで拡大し得る。この膜203はまた、環境条件でシェルフライフまたは化学的安定性を有し、そして滅菌条件(Eto)で安定である。
【0087】
1つの例では、ポリウレタンがこの膜203を作製するために用いられる。特に、溶液グレードの芳香族のポリカーボネートを基礎にしたポリウレタンが用いられる。物理的性質は:デュロメーター(Shore)は75A、抗張力は7500psi、そして500%への伸長である。
【0088】
図10を参照して、透過性膜203を作製するために、穴が中実フィルム中に穿孔されポアを形成する。ポアサイズは0.025〜0.050mmの間であり、その一方、ポア間の距離は100μmより小さい。
【0089】
図11を参照して、ポリマーの細いストリップ203が、ステント202の側方で周りを覆う。これらストリップは、ステントのストラットの上下で織り交ぜられる。これらストリップの幅は、0.075mmより小さく、そして隣接するストリップ間の距離は、100μmより小さい。
【0090】
図12を参照して、織られた材料203のシートが、ステント202の周りに覆われる。このシートのメッシュサイズは、約0.025〜0.050mmであり、その一方、このポリマーの幅は、100μmより小さい。
【0091】
図13を参照して、膜203は、ステントストラットを完全に取り囲み、そしてステントのストラット間の安定な中実フィルムである。これらストラット間の膜は、ストラット内か、または外側ストラット上のいずれかにある。ポリマー性の膜は、可能な限り、脈管に近接して留まる。これは、図16に示されるような、脈管内側の膜が「弾かれること」を最小にするためである。
【0092】
図14を参照して、膜203はストラット上に固定され、そしてステント202から取り外すか、または引裂かれることは困難である。この膜203の厚みは、縮んだアセンブリに任意の有意なプロフィールは付加せず、すなわち、それは、縮んだステントプロフィールに0.001インチ未満寄与するに過ぎない。この膜203はまた、均一な収縮可能性を有する。
【0093】
図15を参照して、膜203はステント202を完全に覆うか、ステント202の中央セクションを覆うか、またはステント202の半径方向セクションを覆う。膜203は、ステントとともに拡大し、そしてステント202の拡大特徴を制限しないか、または改変しない。この膜203は、400%まで容易に拡大可能である。この膜203は、可撓性、追従可能性、拡大可能性、萎縮および短縮化のようなステント202の機械的性質に対して最小の影響を有する。この膜203はまた、通常のシェルフライフ条件で安定であり、そして滅菌条件(Eto)で安定である。ポリマー膜の性質は保存され、そして滅菌後変化しない。この膜203は、収縮後、バルーン材料(ナイロン)に固着することを防がれる。この膜203は、温度変動(60℃まで)に耐え得る。この膜203のエッジは美的に受容可能であり、そして粗いエッジでない円滑さを有する。
【0094】
広範に説明されるように、本発明の範囲または思想らか逸脱することなく、詳細な実施形態に示されるように、多くの改変および/または変更が、本発明になされ得る。現在の実施形態は、従って、すべての局面で例示であり、そして制限的でないと考えられる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
明細書に記載の発明。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2013−66749(P2013−66749A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−270162(P2012−270162)
【出願日】平成24年12月11日(2012.12.11)
【分割の表示】特願2010−269825(P2010−269825)の分割
【原出願日】平成16年12月13日(2004.12.13)
【出願人】(506330483)マーリン エムディー ピーティーイー リミテッド (5)
【Fターム(参考)】