説明

半導体パッケージおよび半導体装置

【課題】熱による不具合の発生を防止することができる半導体パッケージおよび半導体装置を提供すること。
【解決手段】本発明の半導体パッケージ1は、基板21と、基板21の一方の面側に設けられた導体パターン221と、基板21の他方の面側に設けられ、導体パターン221と電気的に接続された導体パターン224とを備える配線基板2と、基板21の一方の面に接合され、導体パターン221に電気的に接続される半導体素子3と、基板21の半導体素子3側の面の、半導体素子3が接合されていない部分に接合され、基板21よりも熱膨張係数が小さい第1補強部材4と、基板21の半導体素子3とは反対側の面に接合され、基板21よりも熱膨張係数が小さい第2補強部材5と、基板21の外周面上に設けられ、第1補強部材4と第2補強部材5とを接続し、基板21よりも熱伝導性の高い熱伝導部24とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体パッケージおよび半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の電子機器の高機能化並びに軽薄短小化の要求に伴い、電子部品の高密度集積化、さらには高密度実装化が進んできており、これらの電子機器に使用される半導体パッケージは、従来にも増して益々小型化かつ多ピン化が進んできている。
【0003】
半導体パッケージはその小型化に伴って、従来のようなリードフレームを使用した形態のパッケージでは、小型化に限界がきているため、最近では回路基板上にチップを実装したものとして、BGA(Ball Grid Array)や、CSP(Chip Scale Package)と言った、エリア実装型の新しいパッケージ方式が提案されている。
【0004】
BGAやCSP等の新しいパッケージに用いられるインターポーザは、一般に、繊維基材に樹脂組成物を含浸してなる基板に導体パターンや導体ポストが形成されてなる。
【0005】
このようなインターポーザは、チップとの熱膨張係数差が大きい。また、インターポーザは、通常、チップよりも大面積となるため、チップと接触していない部分の面積が大きい。このようなチップと接触していない部分は、剛性が極めて低く、前述したようなチップとインターポーザの熱膨張差に起因して、高温時にチップ側に反りやすく、電気的接続の信頼性を低下させるという問題があった。
また、チップは発熱するため、インターポーザには優れた放熱性が要求されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−81261号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、熱による不具合の発生を防止することができる半導体パッケージおよび半導体装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
このような目的は、下記(1)〜(11)の本発明により達成される。
(1) 基板と、前記基板の一方の面側に設けられた第1導体パターンと、前記基板の他方の面側に設けられ、前記第1導体パターンと電気的に接続された第2導体パターンとを備える配線基板と、
前記基板の前記一方の面に接合され、前記第1導体パターンに電気的に接続される半導体素子と、
前記基板の前記半導体素子側の面の、前記半導体素子が接合されていない部分に接合され、前記基板よりも熱膨張係数が小さい第1補強部材と、
前記基板の前記半導体素子とは反対側の面に接合され、前記基板よりも熱膨張係数が小さい第2補強部材と、
前記基板の外周面上に設けられ、前記第1補強部材と前記第2補強部材とを接続し、前記基板よりも熱伝導性の高い熱伝導部とを有することを特徴とする半導体パッケージ。
【0009】
(2) 前記熱伝導部は、前記基板の外周面の周方向に沿って均等に設けられている上記(1)に記載の半導体パッケージ。
【0010】
(3) 前記熱伝導部は、前記第1補強部材および前記第2補強部材とは別体として形成されている上記(1)または(2)に記載の半導体パッケージ。
【0011】
(4) 前記熱伝導部は、板部材を折り曲げ加工することにより形成されたものである上記(3)に記載の半導体パッケージ。
【0012】
(5) 前記熱伝導部は、金属材料で構成されている上記(4)に記載の半導体パッケージ。
【0013】
(6) 前記熱伝導部は、熱伝導性を有する材料を成膜することにより形成されたものである上記(3)に記載の半導体パッケージ。
【0014】
(7) 前記熱伝導部は、無機フィラーおよび樹脂材料を含む樹脂組成物で構成されている上記(6)に記載の半導体パッケージ。
【0015】
(8) 前記熱伝導部は、前記第1補強部材または前記第2補強部材の外周部を折り曲げることにより形成されたものである上記(1)または(2)に記載の半導体パッケージ。
【0016】
(9) 前記第1補強部材および前記第2補強部材は、それぞれ、金属材料で構成されている上記(1)ないし(8)のいずれかに記載の半導体パッケージ。
【0017】
(10) 前記金属材料は、Fe−Ni系合金である上記(9)に記載の半導体パッケージ。
【0018】
(11) 上記(1)ないし(10)のいずれかに記載の半導体パッケージを備えることを特徴とする半導体装置。
【発明の効果】
【0019】
本発明の半導体パッケージによれば、半導体素子と接合された部分以外の部分においても、配線基板(インターポーザ)の両面が第1補強部材および第2補強部材により補強されるため、半導体パッケージ全体の剛性が増す。特に、第1補強部材および第2補強部材の熱膨張係数がそれぞれ基板よりも小さいため、半導体素子が配線基板の全面に亘って設けられているのと同様に、配線基板と半導体素子との熱膨張係数差に起因する配線基板の反りを抑制または防止することができ、その結果、半導体素子と基板を接続する金属バンプの接続信頼性、基板内部の導体パターン・導体ポストの接続信頼性、および、基板とマザーボードを接続する金属バンプの接続信頼性を向上させる。
【0020】
また、第1補強部材から熱伝導部を介して第2補強部材へ熱を効率的に伝達することができる。また、熱伝導部は基板の側面上に設けられているので、第1補強部材から熱伝導部を介して第2補強部材へ熱を伝達する際に、その熱を外部へ放出しやすい。そのため、本発明の半導体パッケージの放熱性を向上させることができる。これにより、半導体素子および配線基板の昇温を抑えることができるので、この点でも、配線基板と半導体素子との熱膨張係数差に起因する配線基板の反りを抑制または防止することができる。
【0021】
また、熱伝導部は、基板の側面上に設けられているので、基板内の配線の設計に影響を与えず、また、既存の基板に対して設置することもできる。そのため、半導体パッケージの設計および製造が簡単になるという利点もある。
【0022】
また、本発明の半導体装置によれば、前述したような半導体パッケージを備えるので、信頼性に優れる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の第1実施形態に係る半導体パッケージを模式的に示す断面図である。
【図2】図1に示す半導体パッケージを示す上面図である。
【図3】図1に示す半導体パッケージを示す下面図である。
【図4】図1に示す半導体パッケージの製造方法の一例を示す図である。
【図5】本発明の第2実施形態に係る半導体パッケージを模式的に示す断面図である。
【図6】図5に示す半導体パッケージを示す上面図である。
【図7】本発明の第3実施形態に係る半導体パッケージを模式的に示す断面図である。
【図8】図7に示す半導体パッケージを示す上面図である。
【図9】本発明の半導体装置の実施形態の一例を模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、添付図面に基づき、本発明の半導体パッケージおよび半導体装置の好適な実施形態について説明する。
【0025】
<第1実施形態>
(半導体パッケージ)
まず、本発明の半導体パッケージを説明する。
【0026】
図1は、本発明の第1実施形態に係る半導体パッケージを模式的に示す断面図、図2は、図1に示す半導体パッケージを示す上面図、図3は、図1に示す半導体パッケージを示す下面図、図4は、図1に示す半導体パッケージの製造方法の一例を示す図である。なお、以下の説明では、説明の便宜上、図1中の上側を「上」、下側を「下」と言う。また、図1ないし4では、それぞれ、説明の便宜上、半導体パッケージの各部が誇張して描かれている。
【0027】
図1に示すように、半導体パッケージ1は、配線基板2と、この配線基板2上に搭載された半導体素子3と、第1補強部材4と、第2補強部材5と、熱伝導部24とを有する。
【0028】
このような半導体パッケージ1によれば、半導体素子3と接合された部分以外の部分においても、配線基板2が第1補強部材4および第2補強部材により補強されるため、半導体パッケージ1全体の剛性が増す。特に、第1補強部材4および第2補強部材5の熱膨張係数がそれぞれ配線基板2(具体的には後述する基板21)よりも小さいため、半導体素子3が配線基板2の全面に亘って設けられているのと同様に、配線基板2と半導体素子3との熱膨張係数差に起因する配線基板2の反りを抑制または防止することができる。
【0029】
また、第1補強部材4から熱伝導部24を介して第2補強部材5へ熱を効率的に伝達することができる。また、熱伝導部24は基板21の側面に設けられているので、第1補強部材4から熱伝導部24を介して第2補強部材5へ熱を伝達する際に、その熱を外部へ放出しやすい。そのため、本発明の半導体パッケージ1の放熱性を向上させることができる。これにより、半導体素子3および配線基板2の昇温を抑えることができるので、この点でも、配線基板2と半導体素子3との熱膨張係数差に起因する配線基板2の反りを抑制または防止することができる。
【0030】
以下、半導体パッケージ1の各部を順次詳細に説明する。
[配線基板]
配線基板2は、半導体素子3を支持する基板(第1配線基板)であり、例えば、その搭載した半導体素子3と後述するようなマザーボード200との電気的接続を中継する中継基板(インターポーザ)である。また、配線基板2は、その平面視形状は、通常、正方形、長方形等の四角形とされる。
【0031】
配線基板2は、基板21と、導体パターン221、222、223、224と、導体ポスト231、232、233と、複数の熱伝導部24とを有している。
【0032】
なお、本実施形態では、導体パターン221は、基板21の一方の面側に設けられた第1導体パターンを構成し、導体パターン224は、基板21の他方の面側に設けられ、前記第1導体パターンと電気的に接続された第2導体パターンを構成する。
【0033】
基板21は、複数(本実施形態では3層)の絶縁層211、212、213で構成されている。より具体的には、基板21は、絶縁層211、絶縁層212、絶縁層213がこの順で積層されて構成されている。なお、基板21を構成する絶縁層の数は、これに限定されず、1層または2層であってもよいし、4層以上であってもよい。
【0034】
各絶縁層211、212、213は、絶縁性を有する材料で構成されている。
具体的には、各絶縁層211、212、213は、基材(繊維基材)と、その基材に含浸された樹脂組成物とで構成されている。なお、絶縁層211、212、213のうちの少なくとも1層は、基材を含まずに樹脂組成物のみで構成されていてもよい。
【0035】
基材は、各絶縁層211、212、213の芯材として用いられるものである。このような基材を有することにより、基板21の剛性を高めることができる。
【0036】
基材としては、例えば、ガラス織布、ガラス不織布等のガラス繊維で構成されたガラス繊維基材、ポリアミド樹脂繊維、芳香族ポリアミド樹脂繊維、全芳香族ポリアミド樹脂繊維等のポリアミド系樹脂繊維、ポリエステル樹脂繊維、芳香族ポリエステル樹脂繊維、全芳香族ポリエステル樹脂繊維等のポリエステル系樹脂繊維、ポリイミド樹脂繊維、フッ素樹脂繊維等を主成分とする織布または不織布で構成される合成繊維基材、クラフト紙、コットンリンター紙、リンターとクラフトパルプの混抄紙等を主成分とする紙基材等が挙げられる。これらの中でも、かかる基材としては、ガラス繊維基材が好ましい。これにより、基板21の剛性を高めるとともに、基板21の薄型化を図ることができる。さらに、基板21の熱膨張係数も小さくすることができる。
【0037】
このようなガラス繊維基材を構成するガラスとしては、例えば、Eガラス、Cガラス、Aガラス、Sガラス、Dガラス、NEガラス、Tガラス、Hガラス等が挙げられる。これらの中でもTガラスが好ましい。これにより、ガラス繊維基材の熱膨張係数を小さくすることができ、それによって基板21の熱膨張係数を小さくすることができる。
【0038】
また、絶縁層211、212、213が基材を含む場合、絶縁層211、212、213における基材の含有率は、それぞれ、30〜70wt%であることが好ましく、40〜60wt%であることがより好ましい。これにより、これらの絶縁層のひび割れ等の破損を確実に防ぎつつ、各絶縁層の電気絶縁性および熱膨張係数を十分に低いものとすることができる。
【0039】
このような基材に含浸される樹脂組成物は、樹脂材料が含まれている。かかる樹脂材料としては、熱硬化性樹脂が好適に用いられる。
【0040】
前記熱硬化性樹脂としては、例えば、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、ビスフェノールAノボラック樹脂等のノボラック型フェノール樹脂、未変性のレゾールフェノール樹脂、桐油、アマニ油、クルミ油等で変性した油変性レゾールフェノール樹脂等のレゾール型フェノール樹脂等のフェノール樹脂、ビスフェノールAエポキシ樹脂、ビスフェノールFエポキシ樹脂等のビスフェノール型エポキシ樹脂、ノボラックエポキシ樹脂、クレゾールノボラックエポキシ樹脂等のノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂等のエポキシ樹脂、シアネート樹脂、ユリア(尿素)樹脂、メラミン樹脂等のトリアジン環を有する樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ビスマレイミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ジアリルフタレート樹脂、シリコーン樹脂、ベンゾオキサジン環を有する樹脂、シアネートエステル樹脂等が挙げられる。
【0041】
これらの中でも、特に、シアネート樹脂が好ましい。これにより、基板21の熱膨張係数を十分に小さくすることができる。さらに、基板21の電気特性(低誘電率、低誘電正接等)を優れたものとすることができる。
【0042】
また、前記樹脂組成物は、フィラーを含むのが好ましい。すなわち、絶縁層211、212、213は、それぞれ、フィラーを含むことが好ましい。これにより、絶縁層211、212、213の熱膨張係数を低くすることができる。
【0043】
前記フィラーとしては、各種無機フィラーまたは有機フィラーが挙げられる。
無機フィラー(無機充填材)としては、例えば、シリカ、アルミナ、ケイ藻土、酸化チタン、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、金属フェライト等の酸化物、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等の水酸化物、炭酸カルシウム(軽質、重質)、炭酸マグネシウム、ドロマイト、ドーソナイト等の炭酸塩、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、硫酸アンモニウム、亜硫酸カルシウム等の硫酸塩または亜硫酸塩、タルク、マイカ、クレー、ガラス繊維、ケイ酸カルシウム、モンモリロナイト、ベントナイト等のケイ酸塩、ホウ酸亜鉛、メタホウ酸バリウム、ホウ酸アルミニウム、ホウ酸カルシウム、ホウ酸ナトリウム等のホウ酸塩、カーボンブラック、グラファイト、炭素繊維等の炭素、その他鉄粉、銅粉、アルミニウム粉、亜鉛華、硫化モリブデン、ボロン繊維、チタン酸カリウム、チタン酸ジルコン酸鉛が挙げられる。
【0044】
また、有機フィラーとしては、合成樹脂粉末が挙げられる。この合成樹脂粉末としては、例えば、アルキド樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、フェノール樹脂、ポリエステル、アクリル樹脂、アセタール樹脂、ポリエチレン、ポリエーテル、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリスルホン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、フッ素樹脂、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体等の各種熱硬化性樹脂または熱可塑性樹脂の粉末、またはこれらの樹脂の共重合体の粉末が挙げられる。また、有機フィラーの他の例としては、芳香族または脂肪族ポリアミド繊維、ポリプロピレン繊維、ポリエステル繊維、アラミド繊維等が挙げられる。
【0045】
前述したようなフィラーの中でも、無機フィラーを用いるのが好ましい。これにより、絶縁層211、212、213の熱膨張係数を効果的に低めることができる。また、絶縁層211、212、213の伝熱性を高めることもできる。
【0046】
特に、無機フィラーの中でも、シリカが好ましく、溶融シリカ(特に球状溶融シリカ)が低熱膨張性に優れる点で好ましい。
【0047】
無機フィラーの平均粒子径は、特に限定されないが、0.05〜2.0μmが好ましく、特に0.1〜1.0μmが好ましい。これにより、絶縁層211、212、213中で、無機フィラーは、より均一に分散することができ、絶縁層211、212、213の物理的強度および絶縁性を特に優れたものとすることができる。
【0048】
なお、上記無機フィラーの平均粒子径は、例えば、粒度分布計(HORIBA製、LA−500)により測定することができる。また、本明細書において、平均粒子径とは、体積基準での平均粒子径を指す。
【0049】
絶縁層211、212、213における無機充填材の含有量は、それぞれ、特に限定されないが、基材を除く樹脂組成物を100wt%としたときに、30〜80wt%が好ましく、特に45〜75wt%が好ましい。含有量が前記範囲内であると、絶縁層211、212、213は、熱膨張係数が十分に低く、吸湿性が特に低いものとなる。
【0050】
また、前記樹脂組成物は、前述した熱硬化性樹脂の他、フェノキシ樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリフェニレンオキサイド樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂等の熱可塑性樹脂含んでいてもよい。
【0051】
また、前記樹脂組成物は、必要に応じて、顔料、酸化防止剤等の上記成分以外の添加物を含んでいてもよい。
【0052】
また、絶縁層211、212、213は、互いに同じ材料で構成されていてもよいし、互いに異なる材料で構成されていてもよい。
【0053】
上述したような複数の層で構成された基板21の平均厚さは、特に限定されないが、30μm以上800μm以下であることが好ましく、30μm以上400μm以下であることがより好ましい。
【0054】
このような基板21の絶縁層211の上面上には、導体パターン221が設けられている。また、絶縁層211と絶縁層212との間には、導体パターン222が介挿されている。また、絶縁層212と絶縁層213との間には、導体パターン223が介挿されている。また、絶縁層213の下面上には、導体パターン224が設けられている。
【0055】
本実施形態では、絶縁層211の上面上には、例えばソルダーレジストのような絶縁層251が設けられており、導体パターン221は、絶縁層211と絶縁層251との間に介挿されている。また、絶縁層213の下面上には、例えばソルダーレジストのような絶縁層252が設けられており、導体パターン224は、絶縁層213と絶縁層252との間に介挿されている。
【0056】
この導体パターン221、222、223、224は、それぞれ、複数の配線を有する回路として機能するものである。
【0057】
また、導体パターン221は、半導体素子3に電気的に接続される複数の端子221aを有する。
【0058】
導体パターン221、222、223、224の構成材料としては、導電性を有するものであれば、特に限定されず、例えば、銅、銅系合金、アルミ、アルミ系合金等の各種金属および各種合金が挙げられる。中でも、かかる構成材料としては、銅および銅系合金を用いるのが好ましい。銅および銅系合金は、電気伝導率が比較的高いものである。そのため、配線基板2の電気的特性を良好なものとすることができる。また、銅および銅系合金は熱伝導性にも優れるので、配線基板2の放熱性を向上させることもできる。
【0059】
また、導体パターン221、222、223、224の平均厚さは、特に限定されないが、5μm以上30μm以下であることが好ましい。
【0060】
また、絶縁層211には、その厚さ方向に貫通するビアホールが形成され、そのビアホール内に導体ポスト(ビアポスト)231が設けられている。この導体ポスト231は、絶縁層211をその厚さ方向に貫通しており、上端部が導体パターン221に接続されるとともに、下端部が導体パターン222に接続されている。これにより、導体パターン221と導体パターン222とが導通している。
【0061】
導体パターン221の複数の端子221aには、後述する複数の金属バンプ31を介して半導体素子3が接合されている。この複数の金属バンプ31は、絶縁層251を厚さ方向に貫通している。
【0062】
また、絶縁層212には、その厚さ方向に貫通する導体ポスト(ビアポスト)232が設けられている。この導体ポスト232は、上端部が導体パターン222に接続されるとともに、下端部が導体パターン223に接続されている。これにより、導体パターン222と導体パターン223とが導通している。
【0063】
また、絶縁層213には、その厚さ方向に貫通する導体ポスト(ビアポスト)233が設けられている。この導体ポスト233は、上端部が導体パターン223に接続されるとともに、下端部が導体パターン224に接続されている。これにより、導体パターン223と導体パターン224とが導通している。
【0064】
また、絶縁層251には、その厚さ方向に貫通する複数の開口部が設けられ、その各開口部から導体パターン221の一部(端子221a)が露出している。そして、その導体パターン221の露出した各端子221a上には、後述するように金属バンプ31が接合され、この金属バンプ31を介して半導体素子3が電気的に接続されている。
【0065】
また、絶縁層252には、その厚さ方向に貫通する複数の開口部が設けられ、その各開口部から導体パターン224の一部(端子)が露出している。そして、その導体パターン224の露出した各部分(端子)上には、金属バンプ71が接合されている。すなわち、第2導体パターンである導体パターン224の基板21と反対側の面には、複数の金属バンプ71が接合されている。
【0066】
この金属バンプ71は、半導体パッケージ1を例えば後述するようなマザーボードに対して電気的に接続するためのものである。
【0067】
本実施形態では、金属バンプ71は、略球状をなしている。なお、金属バンプ71の形状は、これに限定されない。
【0068】
金属バンプ71の構成材料としては、特に限定されないが、例えば、錫−鉛系、錫−銀系、錫−亜鉛系、錫−ビスマス系、錫−アンチモン系、錫−銀−ビスマス系、錫−銅系、錫−銀−銅系等の各種ろう材(半田)を用いることができる。
【0069】
[半導体素子]
半導体素子(第1半導体素子)3は、例えば、集積回路素子(IC)であり、より具体的には、例えば、ロジックIC、メモリおよび受発光素子等である。
【0070】
この半導体素子3は、前述した配線基板2の基板21の上面(一方の面)側に設けられ、第1導体パターンである導体パターン221に電気的に接続されている。
【0071】
具体的には、半導体素子3は、その下面に、図示しない複数の端子が設けられており、その各端子が金属バンプ31を介して、前述した導体パターン221の複数の端子221aに電気的に接続されている。
【0072】
金属バンプ31の構成材料としては、特に限定されないが、前述した金属バンプ71と同様、例えば、錫−鉛系、錫−銀系、錫−亜鉛系、錫−ビスマス系、錫−アンチモン系、錫−銀−ビスマス系、錫−銅系、錫−銀−銅系等の各種ろう材(半田)を用いることができる。
【0073】
また、半導体素子3は、接着層32を介して、配線基板2の上面に接着(接合)されている。
【0074】
この接着層32は、接着性および絶縁性を有する材料で構成され、例えば、アンダーフィル材の硬化物で構成されている。
【0075】
アンダーフィル材としては、特に限定されず、公知のアンダーフィル材を用いることができるが、後述する絶縁材81を形成するための半田接合用レジストと同様のものを用いることもできる。
【0076】
[第1補強部材]
第1補強部材(スティフナー)4は、前述した配線基板2の基板21の上面(一方の面)の、半導体素子3が接合されていない部分に接合されている。
【0077】
この第1補強部材4と基板21とは、例えば接着剤を介して接合することができる。これにより、第1補強部材4の設置が簡単となる。
【0078】
かかる接着剤としては、接着機能を有するものであれば、特に限定されず、各種接着剤を用いることができるが、熱伝導性に優れたものが好ましく、無機フィラーおよび樹脂材料を含んで構成された樹脂組成物を用いることができる。かかる樹脂組成物としては、後述する第2実施形態の熱伝導部24Aに用いる樹脂組成物と同様のものと用いることができる。
【0079】
また、かかる接着剤は、前述した絶縁層251の少なくとも一部を構成することができる。
【0080】
この第1補強部材4は、基板21よりも熱膨張係数が小さい。これにより、基板21の熱膨張を抑えることができる。
【0081】
また、第1補強部材4は、板状をなしている。これにより、第1補強部材4の構成を簡単かつ小型なものとすることができる。
【0082】
本実施形態では、第1補強部材4の基板21と反対側の面(すなわち上面)が、半導体素子3の基板21と反対側の面(すなわち上面)よりも基板21側に位置している。これにより、半導体パッケージ1の製造に際し、第1補強部材4の設置後に半導体素子3を設置する場合、半導体素子3の設置が容易となる。
【0083】
また、第1補強部材4は、半導体素子3の周囲を囲むような形状をなしている。本実施形態では、第1補強部材4は、半導体素子3を囲むように環状(より具体的には四角環状)をなしている。これにより、第1補強部材4と半導体素子3との一体性が増し、第1補強部材4による配線基板2の剛性を高める効果を優れたものとすることができる。
【0084】
また、図2に示すように、第1補強部材4には、その厚さ方向に貫通する複数の貫通孔42が形成されている。これにより、第1補強部材4の表面積を大きくして、第1補強部材4の放熱性を向上させることができる。
【0085】
本実施形態では、各貫通孔42は、平面視にて、円形をなしている。なお、各貫通孔42の平面視形状は、円形に限定されず、例えば、四角形、五角形、六角形等の多角形であってもよい。
【0086】
また、第1補強部材4は、半導体素子3との間の距離(第1補強部材4の内周面41と半導体素子3の外周面33との間の距離)が半導体素子3の全周に亘って一定となるように形成されている。これにより、第1補強部材4および半導体素子3の一体性が増し、これらによる配線基板2の補強効果が好適に発揮される。
【0087】
また、第1補強部材4は、半導体素子3との熱膨張係数差が7ppm/℃以下であるのが好ましい。これにより、半導体素子3および第1補強部材4が一体的に配線基板2を補強し、半導体パッケージ1全体の熱膨張を抑えることができる。
【0088】
また、第1補強部材4の構成材料としては、前述したような熱膨張係数を有するものであれば、特に限定されず、例えば、金属材料、セラミックス材料等を用いることができるが、金属材料を用いるのが好ましい。第1補強部材4が金属材料で構成されていると、第1補強部材4の放熱性を高めることができる。その結果、半導体パッケージ1の放熱性を向上させることができる。
【0089】
かかる金属材料としては、前述したような熱膨張係数を有するものであれば、特に限定されず、各種金属材料を用いることができるが、放熱性および低熱膨張を実現する観点から、Feを含む合金を用いるのが好ましい。
【0090】
かかるFeを含む合金としては、例えば、Fe−Ni系合金、Fe−Co−Cr系合金、Fe−Co系合金、Fe−Pt系合金、Fe−Pd合金等が挙げられ、特に、Fe−Ni系合金を用いるのが好ましい。
【0091】
このような金属材料は、放熱性に優れるだけでなく、熱膨張係数が低く、かつ、一般的な半導体素子3の熱膨張係数に近い熱膨張係数を有する。そのため、半導体素子3および第1補強部材4が一体的に配線基板2を補強することができる。
【0092】
Fe−Ni系合金としては、FeおよびNiを含むものであれは、特に限定されず、FeおよびNiの他に、残部(M)として、Co、Ti、Mo、Cr、Pd、Pt等の金属のうちの1種または2種以上の金属を含んでいてもよい。
【0093】
より具体的には、Fe−Ni系合金としては、例えば、Fe−36Ni合金(インバー)等のFe−Ni合金、Fe−32Ni−5Co合金(スーパーインバー)、Fe−29Ni−17Co合金(コバール)、Fe−36Ni−12Co合金(エリンバー)等のFe−Ni−Co合金、Fe−Ni−Cr−Ti合金、Ni−28Mo−2Fe合金等のNi−Mo−Fe合金等が挙げられる。また、Fe−Ni−Co合金は、例えば、KV−2、KV−4、KV−6、KV−15、KV−25等のKVシリーズ(NEOMAXマテリアル社製)、Nivarox等の商品名で市販されている。また、Fe−Ni合金は、例えば、NS−5、D−1(NEOMAXマテリアル社製)等の商品名で市販されている。また、Fe−Ni−Cr−Ti合金は、例えば、Ni−Span C−902(大同スペシャルメタル社製)、EL−3(NEOMAXマテリアル社製)等の商品名で市販されている。
【0094】
また、Fe−Co−Cr系合金としては、Fe、CoおよびCrを含むものであれは、特に限定されないが、例えば、Fe−54Co−9.5Cr(ステンレスインバー)等のFe−Co−Cr合金が挙げられる。なお、Fe−Co−Cr系合金は、Fe、CoおよびCrの他に、Ni、Ti、Mo、Pd、Pt等の金属のうちの1種または2種以上の金属を含んでいてもよい。
【0095】
また、Fe−Co系合金としては、FeおよびCoを含むものであれは、特に限定されず、FeおよびCoの他に、Ni、Ti、Mo、Cr、Pd、Pt等の金属のうちの1種または2種以上の金属を含んでいてもよい。
【0096】
また、Fe−Pt系合金としては、FeおよびPtを含むものであれは、特に限定されず、FeおよびPtの他に、Co、Ni、Ti、Mo、Cr、Pd等の金属のうちの1種または2種以上の金属を含んでいてもよい。
【0097】
また、Fe−Pd系合金としては、FeおよびPdを含むものであれは、特に限定されず、FeおよびPdの他に、Co、Ni、Ti、Mo、Cr、Pt等の金属のうちの1種または2種以上の金属を含んでいてもよい。
【0098】
特に、第1補強部材4の熱膨張係数は、0.5ppm/℃以上10ppm/℃以下であるのが好ましく、1ppm/℃以上7ppm/℃以下であるのがより好ましく、1ppm/℃以上5ppm/℃以下であるのがさらに好ましい。これにより、半導体素子3と第1補強部材4との熱膨張係数差を小さくし、これらが一体として配線基板2を補強することができる。そのため、配線基板2の反りを効果的に防止することができる。
【0099】
また、第1補強部材4と半導体素子3との熱膨張係数差の絶対値は、7ppm/℃以下であるのが好ましく、5ppm/℃以下であるのがより好ましく、2ppm/℃以下であるのがさらに好ましい。これにより、半導体素子3と第1補強部材4との熱膨張係数差を小さくし、これらが一体として配線基板2を補強することができる。そのため、配線基板2の反りを効果的に防止することができる。
【0100】
上述したような熱膨張係数の観点から、第1補強部材4を構成する金属材料がFe−Ni系合金である場合、前記Fe−Ni系合金は、Niの含有量が30wt%以上50wt%以下であるのが好ましく、Niの含有量が35wt%以上45wt%以下であるのがより好ましい。これにより、第1補強部材4の熱膨張係数を半導体素子3の熱膨張係数に近づけることができる。この場合、前記Fe−Ni系合金は、Feの含有量が50wt%以上70wt%以下であるのが好ましく、Feの含有量が55wt%以上65wt%以下であるのがより好ましい。
【0101】
また、第1補強部材4を構成する金属材料がFe−Ni系合金である場合、前記Fe−Ni系合金は、FeおよびNiの合計含有量が85wt%以上100wt%以下であるのが好ましく、FeおよびNiの合計含有量が90wt%以上100wt%以下であるのがより好ましい。すなわち、前記Fe−Ni系合金は、残部(M)の含有量が0wt%以上15wt%以下であるのが好ましく、残部(M)の含有量が0wt%以上10wt%以下であるのがより好ましい。これにより、第1補強部材4の熱膨張係数を半導体素子3の熱膨張係数に近づけることができる。
【0102】
また、第1補強部材4の平均厚さは、配線基板2の熱膨張係数、配線基板2の第1補強部材4および第2補強部材5の形状、大きさ、構成材料等に応じて決められるものであり、特に限定されないが、例えば、0.02mm以上0.8mm以下程度である。なお、本実施形態では第1補強部材4の厚さは均一であるが、厚さの異なる部分を有していてもよい。例えば、第1補強部材4の内側から外側に向けて厚さが連続的または段階的に減少または増加していてもよい。
【0103】
また、第1補強部材4と半導体素子3との間には、熱伝導性材料が充填されていてもよい。これにより、半導体素子3から熱伝導性材料を介して第1補強部材4へ効率的に熱を伝達することができる。その結果、半導体パッケージ1の放熱性を向上させることができる。
【0104】
このような熱伝導性材料としては、特に限定されないが、無機フィラーおよび樹脂材料を含んで構成された樹脂組成物が挙げられる。この樹脂組成物としては、後述する第2実施形態の熱伝導部24Aに用いる樹脂組成物と同様のものを用いることができる。
【0105】
また、この熱伝導性材料は、前述した接着層32(アンダーフィル材)と同様のものを用いてもよく、また、熱伝導性材料および接着層32を一括して形成することもできる。
【0106】
[第2補強部材]
第2補強部材(スティフナー)5は、配線基板2の基板21の下面(他方の面)に接合されている。
【0107】
この第2補強部材5と基板21とは、接着剤を介して接合することができる。これにより、第2補強部材5の設置が簡単となる。
【0108】
かかる接着剤としては、接着機能を有するものであれば、特に限定されず、各種接着剤を用いることができるが、熱伝導性に優れたものが好ましく、無機フィラーおよび樹脂材料を含んで構成された樹脂組成物を用いることができる。かかる樹脂組成物としては、後述する第2実施形態の熱伝導部24Aに用いる樹脂組成物と同様のものを用いることができる。
【0109】
また、かかる接着剤は、前述した絶縁層252の少なくとも一部を構成することができる。
【0110】
この第2補強部材5は、前述した第1補強部材4と同様、基板21よりも熱膨張係数が小さい。
【0111】
第2補強部材5は、板状をなしている。これにより、第2補強部材5の構成を簡単かつ小型なものとすることができる。
【0112】
また、図3に示すように、第2補強部材5は、配線基板2(基板21)の外周部(導体パターン224よりも外側)に沿って設けられた部分(枠部)52と、金属バンプ71同士の間に設けられた部分53とを有している。第2補強部材5の部分52と配線基板2(基板21)との接合により、第2補強部材5が配線基板2を効果的に補強することができる。また、第2補強部材5の部分53と配線基板2との接合により、第2補強部材5の剛性が高められる。
【0113】
より具体的に説明すると、第2補強部材5は、前述した各金属バンプ71に非接触で各金属バンプ71を囲むように形成された複数の開口部51を有する。これにより、第2補強部材5が配線基板2の下面に占める面積の割合を大きくすることができる。その結果、第2補強部材5による配線基板2の剛性を高める効果を優れたものとすることができる。
【0114】
本実施形態では、各開口部51は、平面視にて、円形をなしている。なお、各開口部51の平面視形状は、これに限定されず、例えば、楕円形、多角形等であってもよい。
【0115】
また、各開口部51は、各金属バンプ71に対応して(一対一で対応して)設けられている。これにより、第2補強部材5の剛性の均一化を図ることができる。また、第2補強部材5の放熱性も向上させることができる。
【0116】
また、第2補強部材5は、各金属バンプ71との間の距離(平面視における開口部51の壁面と金属バンプ71の外周面との間の距離)が金属バンプ71の全周に亘って一定となるように形成されている。これにより、第2補強部材5および各金属バンプ71の一体性が増し、これらによる配線基板2の補強効果が好適に発揮される。
【0117】
また、前述した第1補強部材4と同様、第2補強部材5は、半導体素子3との熱膨張係数差が7ppm/℃以下であるのが好ましい。これにより、第2補強部材5が効果的に配線基板2を補強し、半導体パッケージ1全体の熱膨張を抑えることができる。
【0118】
また、第2補強部材5は、金属材料で構成されているのが好ましい。これにより、第2補強部材5の放熱性を高めることができる。その結果、半導体パッケージ1の放熱性を向上させることができる。
【0119】
かかる金属材料としては、特に限定されないが、放熱性および低熱膨張を実現する観点から、Fe−Ni系合金を用いるのが好ましい。
【0120】
Fe−Ni系合金としては、前述した第1補強部材4と同様のものを用いることができる。
【0121】
特に、第2補強部材5の熱膨張係数は、0.5ppm/℃以上10ppm/℃以下であるのが好ましく、1ppm/℃以上7ppm/℃以下であるのがより好ましく、1ppm/℃以上5ppm/℃以下であるのがさらに好ましい。これにより、半導体素子3と第2補強部材5との熱膨張係数差を小さくし、第2補強部材5が配線基板2を効果的に補強することができる。そのため、配線基板2の反りを効果的に防止することができる。
【0122】
また、第2補強部材5と半導体素子3との熱膨張係数差の絶対値は、7ppm/℃以下であるのが好ましく、5ppm/℃以下であるのがより好ましく、2ppm/℃以下であるのがさらに好ましい。これにより、半導体素子3と第2補強部材5との熱膨張係数差を小さくし、第2補強部材5が配線基板2を効果的に補強することができる。そのため、配線基板2の反りを効果的に防止することができる。
【0123】
また、第2補強部材5と第1補強部材4との熱膨張係数差の絶対値は、2ppm/℃以下であるのが好ましく、1ppm/℃以下であるのがより好ましく、0ppm/℃であるのがさらに好ましい。これにより、第1補強部材4と第2補強部材5との熱膨張係数差を小さくし、これらの熱膨張差に起因する配線基板2の反りを防止することができる。
【0124】
このような観点から、第2補強部材5の構成材料は、第1補強部材4の構成材料と同種または同じであるのが好ましい。
【0125】
また、第2補強部材5の平均厚さは、配線基板2の熱膨張係数、配線基板2の第1補強部材4および第2補強部材5の形状、大きさ、構成材料等に応じて決められるものであり、特に限定されないが、例えば、0.02mm以上0.8mm以下程度である。
【0126】
また、第2補強部材5と各金属バンプ71との間には、絶縁材81が設けられている(充填されている)。これにより、第2補強部材5と各金属バンプ71との接触を防止することができる。そのため、半導体パッケージ1の信頼性を優れたものとしつつ、第2補強部材5の剛性および放熱性を高めることができる。
【0127】
また、絶縁材81は、金属バンプ71の基板21側の部分(上部)の周囲を囲むような形状をなし、かつ、各金属バンプ71に接合されている。これにより、絶縁材81は、金属バンプ71を補強している。
【0128】
また、絶縁材81は、前述した配線基板2の基板21よりも高い熱伝導性を有するのが好ましい。これにより、金属バンプ71と第2補強部材5の間の熱伝導性を優れたものとし、半導体パッケージ1の放熱性を向上させることができる。
【0129】
このような絶縁材81は、絶縁性を有し、樹脂材料を含んで構成されている。
このような絶縁材81は、特に限定されないが、例えば、熱硬化性を有する半田接合用樹脂により形成されるのが好ましい。
【0130】
このような半田接合用樹脂(以下、「硬化性フラックス)とも言う)は、半田接合時にフラックスとして作用し、次いで加熱することにより、硬化して半田接合部の補強材として作用する。また、かかる半田接合用樹脂は、半田接合の際に、半田接合面および半田材料の酸化物などの有害物を除去し、半田接合面を保護するとともに、半田材料の精錬を行って、強度の大きい良好な接合を可能にする。さらに、半田接合用樹脂は、半田接合後に洗浄などにより除去する必要がなく、そのまま加熱することにより、三次元架橋した樹脂となり、半田接合部の補強材として作用する。
【0131】
かかる半田接合用樹脂は、例えば、フェノール性ヒドロキシル基を有する樹脂(A)および該樹脂の硬化剤(B)を含んで構成することができる。
【0132】
フェノール性ヒドロキシル基を有する樹脂(A)としては、特に制限はないが、例えば、フェノールノボラック樹脂、アルキルフェノールノボラック樹脂、多価フェノールノボラック樹脂、レゾール樹脂、ポリビニルフェノール樹脂などを挙げることができる。
【0133】
また、硬化性フラックスにおいて、フェノール性ヒドロキシル基を有する樹脂(A)の含有量は、硬化性フラックス全体の20〜80重量%であることが好ましく、25〜60重量%であることがより好ましい。樹脂(A)の含有量が20重量%未満であると、半田および金属表面の酸化物などの汚れを除去する作用が低下し、半田接合性が不良となるおそれがある。樹脂(A)の含有量が80重量%を超えると、十分な物性を有する硬化物が得られず、接合強度と信頼性が低下するおそれがある。
【0134】
また、フェノール性ヒドロキシル基を有する樹脂(A)のフェノール性ヒドロキシル基は、その還元作用により、半田および金属表面の酸化物などの汚れを除去するので、半田接合のフラックスとして効果的に作用する。
【0135】
また、フェノール性ヒドロキシル基を有する樹脂(A)の硬化剤(B)としては、例えば、エポキシ化合物、イソシアネート化合物などを挙げることができる。エポキシ化合物およびイソシアネート化合物としては、例えば、ビスフェノール系、フェノールノボラック系、アルキルフェノールノボラック系、ビフェノール系、ナフトール系、レゾルシノール系などのフェノールベースのエポキシ化合物、イソシアネート化合物や、飽和脂肪族、環状脂肪族、不飽和脂肪族などの骨格をベースとして変性されたエポキシ化合物、イソシアネート化合物などを挙げることができる。
【0136】
また、硬化剤(B)の配合量は、硬化剤のエポキシ基、イソシアネート基などの反応性の官能基が、樹脂(A)のフェノール性ヒドロキシル基の0.5〜1.5当量倍であることが好ましく、0.8〜1.2当量倍であることがより好ましい。硬化剤の反応性の官能基がヒドロキシル基の0.5当量倍未満であると、十分な物性を有する硬化物が得られず、補強効果が小さくなって、接合強度と信頼性が低下するおそれがある。硬化剤の反応性の官能基がヒドロキシル基の1.5当量倍を超えると、半田および金属表面の酸化物などの汚れを除去する作用が低下し、半田接合性が不良となるおそれがある。
【0137】
このような半田接合用樹脂(硬化性フラックス)は、フェノール性ヒドロキシル基を有する樹脂(A)と該樹脂の硬化剤(B)の反応により、良好な物性を有する硬化物が形成されるために、半田接合後に洗浄によりフラックスを除去するが必要なく、硬化物により半田接合部が保護されて、高温、多湿雰囲気でも電気絶縁性を保持し、接合強度と信頼性の高い半田接合が可能となる。
【0138】
なお、前述したような半田接合用樹脂は、フェノール性ヒドロキシル基を有する樹脂(A)と該樹脂の硬化剤(B)の他に、硬化性酸化防止剤(C)、微結晶状態で分散するフェノール性ヒドロキシル基を有する化合物(D)および該化合物の硬化剤(E)、溶剤(F)、硬化触媒、密着性や耐湿性を向上させるためのシランカップリング剤、ボイドを防止するための消泡剤、あるいは液状または粉末の難燃剤等を含んでいてもよい。
【0139】
[熱伝導部]
熱伝導部24は、前述した配線基板2の基板21の外周面上に設けられている。
【0140】
この熱伝導部24は、図2および図3に示すように、平面視にて、四角形をなす基板21の各辺に対応して設けられた4つの熱伝導部材24aで構成されている。本実施形態では、熱伝導部24が基板21の外周部に沿って均等に配置されている。これにより、配線基板2の温度分布を均一化することができる。
【0141】
また、熱伝導部24は、図1に示すように、基板21の厚さ方向全域に亘って設けられ、上端部が第1補強部材4に接続され、下端部が第2補強部材5に接続されている。これにより、熱伝導部24は、第1補強部材4と第2補強部材5とを熱的に接続している。
【0142】
本実施形態では、熱伝導部24は、横断面でみたときに、基板21の厚さ方向に延在する第1部分241と、第1部分241の両端から基板21の板面に平行な方向に延在する1対の第2部分242、243とで構成されている。そして、熱伝導部24は、基板21、第1補強部材4および第2補強部材5の外周部を一括して銜えこむように設けられている。また、熱伝導部24は、弾性力により第1補強部材4と第2補強部材5とを基板21側に付勢するように構成されているのが好ましい。これにより、熱伝導部24と第1補強部材4および第2補強部材5との熱的接続が確実になされる。
【0143】
また、熱伝導部24は、第1補強部材4および第2補強部材5とは別体として形成されている。これにより、半導体パッケージ1を製造する際に、基板21と第1補強部材4および第2補強部材5との位置関係と、基板21、第1補強部材4および第2補強部材5と熱伝導部24との位置関係を独立して調整することができる。
【0144】
また、熱伝導部24は、板部材を折り曲げ加工することにより形成されたものであるのが好ましい。これにより、熱伝導部24を簡単に製造することができる。
【0145】
この熱伝導部24は、前述した基板21(絶縁層)よりも高い伝熱性を有する。これにより、第1補強部材4から熱伝導部24を介して第2補強部材5へ熱を効率的に伝達することができる。その結果、半導体パッケージ1の放熱性を向上させることができる。
【0146】
また、熱伝導部24は、基板21の内部を経由せずに、基板21の外側を経由して第1補強部材4と第2補強部材5とを接続するので、第1補強部材4から熱伝導部24を介して第2補強部材5へ熱を伝達する際に、その熱を外部へ放出しやすい。また、熱伝導部24は、後述するように簡単に設置することができる。
【0147】
このような熱伝導部24の構成材料としては、前述した基板21(絶縁層)よりも高い伝熱性を有するものであれば、特に限定されないが、金属材料を用いるのが好ましい。
【0148】
かかる金属材料としては、例えば、銅、銅系合金、アルミ、アルミ系合金等の各種金属および各種合金が挙げられる。中でも、かかる金属材料としては、伝熱性に優れるので、銅、銅系合金、アルミ、アルミ系合金を用いるのが好ましい。
【0149】
また、熱伝導部24と基板21、第1補強部材4および第2補強部材5との間には、接着剤が介在していてもよい。かかる接着剤としては、熱伝導性に優れるものを好適に用いることができ、例えば、錫−鉛系、錫−銀系、錫−亜鉛系、錫−ビスマス系、錫−アンチモン系、錫−銀−ビスマス系、錫−銅系、錫−銀−銅系等の各種ろう材(半田)、無機フィラーおよび樹脂材料を含んで構成された樹脂組成物等が挙げられる。
【0150】
以上説明したように構成された半導体パッケージ1によれば、半導体素子3と接合された部分以外の部分においても、配線基板2が第1補強部材4および第2補強部材5により補強されるため、半導体パッケージ1全体の剛性が増す。特に、第1補強部材4および第2補強部材5の熱膨張係数がそれぞれ配線基板2(具体的には基板21)よりも小さいため、半導体素子3が配線基板2の全面に亘って設けられているのと同様に、配線基板2と半導体素子3との熱膨張係数差に起因する配線基板2の反りを抑制または防止することができる。
【0151】
また、第1補強部材4から熱伝導部24を介して第2補強部材5へ熱を効率的に伝達することができる。また、熱伝導部24は基板21の側面に設けられているので、第1補強部材4から熱伝導部24を介して第2補強部材5へ熱を伝達する際に、その熱を外部へ放出しやすい。そのため、本発明の半導体パッケージ1の放熱性を向上させることができる。これにより、半導体素子3および配線基板2の昇温を抑えることができるので、この点でも、配線基板2と半導体素子3との熱膨張係数差に起因する配線基板2の反りを抑制または防止することができる。
【0152】
また、熱伝導部24は、基板21の側面上に設けられているので、基板21内の配線の設計に影響を与えず、また、基板21が既存のものであっても基板21に対して設置することもできる。そのため、半導体パッケージ1の設計および製造が簡単になるという利点もある。
【0153】
(半導体パッケージの製造方法)
以上説明したような半導体パッケージ1は、例えば、以下のようにして製造することができる。なお、半導体パッケージ1の製造方法は、これに限定されるものではない。
【0154】
以下、図4に基づき、半導体パッケージ1の製造方法の一例を簡単に説明する。
[A1]
まず、図4(a)に示すように、基板21を用意する。
【0155】
[A2]
次に、図4(b)に示すように、第1補強部材4を形成するためのシート状部材104を用意し、そして、基板21の上面に、シート状部材104を接着剤106を介して接合する。
【0156】
シート状部材104は、後述する加工により第1補強部材4となる部材であり、前述した第1補強部材4の構成材料と同様の構成材料で構成されている。
【0157】
また、接着剤106は、樹脂材料を含んで構成され、絶縁層251となるものである。この接着剤106がシート状部材104および基板21のうちの少なくとも一方に塗布された状態で、接着剤106を介してシート状部材104と基板21とを貼り合わせることにより、シート状部材104と基板21とを接合する。
【0158】
この接合の際、シート状部材104の基板21との接合面には、接続部261となるべき金属バンプを形成しておき、その状態でシート状部材104と基板21とを貼り合わせることにより、その金属バンプが接着剤106を突き抜けて熱伝導部24と接続される。これにより、かかる金属バンプが接続部261を構成する。
【0159】
このようなシート状部材104の接合と同様に、基板21の下面に、第2補強部材5を形成するためのシート状部材105を接着剤107を介して接合する。
【0160】
シート状部材105は、後述する加工により第2補強部材5となる部材であり、前述した第2補強部材5の構成材料と同様の構成材料で構成されている。
【0161】
また、接着剤107は、樹脂材料を含んで構成され、絶縁層252となるものである。この接着剤107がシート状部材105および基板21のうちの少なくとも一方に塗布された状態で、接着剤107を介してシート状部材105と基板21とを貼り合わせることにより、シート状部材105と基板21とを接合する。
【0162】
この接合の際、シート状部材105の基板21との接合面には、接続部262となるべき金属バンプを形成しておき、その状態でシート状部材105と基板21とを貼り合わせることにより、その金属バンプが接着剤107を突き抜けて熱伝導部24と接続される。これにより、かかる金属バンプが接続部262を構成する。
【0163】
[A3]
次に、シート状部材104の一部を除去することにより、図4(c)に示すように、第1補強部材4を形成する。同様に、シート状部材105の一部を除去することにより、第2補強部材5を形成する。
【0164】
シート状部材104、105の一部を除去する方法(すなわち、貫通孔42および開口部51等の形成方法)としては、それぞれ、特に限定されないが、例えば、レーザーの照射により除去する方法、エッチングにより除去する方法等が挙げられる。これらの方法は、加工精度に優れる。そのため、金属バンプ71等が挟ピッチで配される場合においても、金属バンプと第1補強部材4との接触や、金属バンプ71と第2補強部材5との接触を防止することができる。
【0165】
前記レーザーとしては、例えばCOレーザー、UV−YAGレーザー等を用いることができる。
【0166】
また、前記エッチングは、ドライエッチングであっても、ウエットエッチングであってもよいが、ウエットエッチングであるのが好ましい。これにより、基板21の損傷を防止しつつ、第1補強部材4および第2補強部材5を形成することができる。
【0167】
また、このようなシート状部材104、105の一部を除去するに際しては、シート状部材104、105または基板21に設けられたアライメントマークに基づいて、除去位置を定めるのが好ましい。
【0168】
[A4]
次に、図4(d)に示すように、配線基板2の下面に、金属バンプ71を半田リフローにより半田接合するとともに、絶縁材81を形成する。
【0169】
かかる半田接合は、特に限定されないが、配線基板2の下面に各金属バンプ71が当接するように配置し、その状態で、例えば200〜280℃×10〜60秒間加熱することにより行うことができる。
【0170】
また、絶縁材81の形成は、例えば、熱硬化性を有する絶縁材を配線基板2の下面に塗布し、前述したような半田接合の後、加熱により当該絶縁材を硬化させることにより、絶縁材81を得る。
【0171】
このようにして得られた絶縁材81は、前述したように金属バンプ71の周囲を囲むように形成される。
【0172】
また、図4(d)に示すように、配線基板2の上面に、アンダーフィル材を塗布した後、半導体素子3を金属バンプ31を介して半田リフローにより接合する。なお、この場合、アンダーフィル材として前述した絶縁材81と同じようなフラックス活性のある樹脂を用いる。また、半導体素子3を搭載し、フラックスあるいは半田ペースト等を用いてリフローにより半導体素子3を配線基板2に接合させた後、通常のキャピラリーアンダーフィル材を配線基板2と半導体素子3との間に充填・硬化させることもできる。
【0173】
また、図4(d)に示すように、熱伝導部24を設置する。
具体的には、例えば、熱伝導部24を構成する4つの熱伝導部材24aをそれぞれ、基板21、第1補強部材4および第2補強部材5からなる積層体の外周部に嵌め込むことにより、熱伝導部24を形成する。
以上のようにして半導体パッケージ1が得られる。
【0174】
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態を説明する。
【0175】
図5は、本発明の第2実施形態に係る半導体パッケージを模式的に示す断面図、図6は、図5に示す半導体パッケージを示す上面図である。なお、以下の説明では、説明の便宜上、図5中の上側を「上」、下側を「下」と言う。また、図5および図6では、説明の便宜上、半導体パッケージの各部が誇張して描かれている。
【0176】
以下、第2実施形態の半導体パッケージについて、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。なお、図5および図6において、前述した実施形態と同様の構成については、同一符号を付している。
【0177】
第2実施形態の半導体パッケージは、熱伝導部の構成が異なる以外は、第1実施形態とほぼ同様である。
【0178】
図5に示すように、半導体パッケージ1Aは、基板21の外周面上に設けられ、第1補強部材4と第2補強部材5とを接続し、基板21よりも熱伝導性の高い熱伝導部24Aを有する。
【0179】
この熱伝導部24Aは、基板21の側面と、第1補強部材4の側面と、第2補強部材5の側面とに亘って形成されている。これにより、熱伝導部24Aは、第1補強部材4と第2補強部材5とを熱的に接続している。
【0180】
また、熱伝導部24Aは、その横断面が基板21の厚さ方向に延在する部分のみで構成されている。したがって、熱伝導部24Aは、第1補強部材4の上面上および第2補強部材5の下面上には形成されていない。なお、熱伝導部24Aは、第1補強部材4の上面上および第2補強部材5の下面上には形成されていてもよい。
【0181】
また、熱伝導部24Aは、図6に示すように、基板21の外周に沿って周方向での全域に亘って形成されている。これにより、基板21の温度分布を均一化することができる。
【0182】
このような熱伝導部24Aは、熱伝導性を有する材料を成膜することにより形成されたものである。これにより、簡単かつ確実に、熱伝導部24Aと第1補強部材4および第2補強部材5との密着性を高め、その結果、半導体パッケージ1の放熱性を高めることができる。
【0183】
また、熱伝導部24Aの構成材料としては、熱伝導性を有するとともに成膜可能な材料であれば、特に限定されないが、無機フィラーおよび樹脂材料を含む樹脂組成物を用いるのが好ましい。これにより、熱伝導部24Aの熱伝導性を優れたものとすることができる。また、このような熱伝導部24Aは、かかる樹脂組成物を塗布し硬化または固化させることにより簡単に形成することができる。
【0184】
かかる樹脂組成物に用いる無機フィラー(無機充填材)としては、例えば、Au、Ag、Pt等の金属、シリカ、アルミナ、ケイ藻土、酸化チタン、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、金属フェライト等の酸化物、窒化ホウ素、窒化ケイ素、窒化ガリウム、窒化チタン等の窒化物、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等の水酸化物、炭酸カルシウム(軽質、重質)、炭酸マグネシウム、ドロマイト、ドーソナイト等の炭酸塩、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、硫酸アンモニウム、亜硫酸カルシウム等の硫酸塩または亜硫酸塩、タルク、マイカ、クレー、ガラス繊維、ケイ酸カルシウム、モンモリロナイト、ベントナイト等のケイ酸塩、ホウ酸亜鉛、メタホウ酸バリウム、ホウ酸アルミニウム、ホウ酸カルシウム、ホウ酸ナトリウム等のホウ酸塩、カーボンブラック、グラファイト、炭素繊維等の炭素、その他鉄粉、銅粉、アルミニウム粉、亜鉛華、硫化モリブデン、ボロン繊維、チタン酸カリウム、チタン酸ジルコン酸鉛が挙げられる。なお、無機フィラーとして導電性を有するものを用いた場合、必要に応じて、絶縁処理を施す。
【0185】
中でも、前記無機フィラーとしては、絶縁性および熱伝導性に優れるという観点から、シリカ、アルミナ、ケイ藻土、酸化チタン、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、金属フェライト等の酸化物、窒化ホウ素、窒化ケイ素、窒化ガリウム、窒化チタン等の窒化物が好ましい。
【0186】
また、かかる樹脂組成物に用いる樹脂材料としては、各種熱可塑性樹脂、各種熱硬化性樹脂が挙げられる。
【0187】
また、かかる樹脂組成物に用いる熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のポリオレフィン、変性ポリオレフィン、ポリアミド(例:ナイロン6、ナイロン46、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン612、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン6−12、ナイロン6−66)、熱可塑性ポリイミド、芳香族ポリエステル等の液晶ポリマー、ポリフェニレンオキシド、ポリフェニレンサルファイド、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリエーテル、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリアセタール、スチレン系、ポリオレフィン系、ポリ塩化ビニル系、ポリウレタン系、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリブタジエン系、トランスポリイソプレン系、フッ素ゴム系、塩素化ポリエチレン系等の各種熱可塑性エラストマー等、またはこれらを主とする共重合体、ブレンド体、ポリマーアロイ等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を混合して用いることができる。
【0188】
また、かかる樹脂組成物に用いる熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、ポリエステル(不飽和ポリエステル)樹脂、ポリイミド樹脂、シリコーン樹脂、ポリウレタン樹脂等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を混合して用いることができる。
【0189】
また、本実施形態では、図5および図6に示すように、第1補強部材4と半導体素子3との間に、熱伝導性材料6が充填されている。これにより、半導体素子3から熱伝導性材料6を介して第1補強部材4へ効率的に熱を伝達することができる。その結果、半導体パッケージ1の放熱性を向上させることができる。
【0190】
このような熱伝導性材料6としては、特に限定されないが、無機フィラーおよび樹脂材料を含んで構成された樹脂組成物が挙げられる。
【0191】
熱伝導性材料6(樹脂組成物)に用いる無機フィラー(無機充填材)としては、例えば、Au、Ag、Pt等の金属、シリカ、アルミナ、ケイ藻土、酸化チタン、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、金属フェライト等の酸化物、窒化ホウ素、窒化ケイ素、窒化ガリウム、窒化チタン等の窒化物、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等の水酸化物、炭酸カルシウム(軽質、重質)、炭酸マグネシウム、ドロマイト、ドーソナイト等の炭酸塩、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、硫酸アンモニウム、亜硫酸カルシウム等の硫酸塩または亜硫酸塩、タルク、マイカ、クレー、ガラス繊維、ケイ酸カルシウム、モンモリロナイト、ベントナイト等のケイ酸塩、ホウ酸亜鉛、メタホウ酸バリウム、ホウ酸アルミニウム、ホウ酸カルシウム、ホウ酸ナトリウム等のホウ酸塩、カーボンブラック、グラファイト、炭素繊維等の炭素、その他鉄粉、銅粉、アルミニウム粉、亜鉛華、硫化モリブデン、ボロン繊維、チタン酸カリウム、チタン酸ジルコン酸鉛が挙げられる。なお、無機フィラーとして導電性を有するものを用いた場合、必要に応じて、熱伝導性材料6の接する部位に絶縁処理を施す。
【0192】
中でも、前記無機フィラーとしては、絶縁性および熱伝導性に優れるという観点から、シリカ、アルミナ、ケイ藻土、酸化チタン、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、金属フェライト等の酸化物、窒化ホウ素、窒化ケイ素、窒化ガリウム、窒化チタン等の窒化物が好ましい。
【0193】
また、熱伝導性材料6(樹脂組成物)に用いる樹脂材料としては、各種熱可塑性樹脂、各種熱硬化性樹脂が挙げられる。
【0194】
熱伝導性材料6(樹脂組成物)に用いる熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のポリオレフィン、変性ポリオレフィン、ポリアミド(例:ナイロン6、ナイロン46、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン612、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン6−12、ナイロン6−66)、熱可塑性ポリイミド、芳香族ポリエステル等の液晶ポリマー、ポリフェニレンオキシド、ポリフェニレンサルファイド、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリエーテル、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリアセタール、スチレン系、ポリオレフィン系、ポリ塩化ビニル系、ポリウレタン系、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリブタジエン系、トランスポリイソプレン系、フッ素ゴム系、塩素化ポリエチレン系等の各種熱可塑性エラストマー等、またはこれらを主とする共重合体、ブレンド体、ポリマーアロイ等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を混合して用いることができる。
【0195】
また、熱伝導性材料6(樹脂組成物)に用いる熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、ポリエステル(不飽和ポリエステル)樹脂、ポリイミド樹脂、シリコーン樹脂、ポリウレタン樹脂等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を混合して用いることができる。
【0196】
中でも、熱伝導性材料6(樹脂組成物)に用いる樹脂材料としては、熱硬化性樹脂(特に硬化前に液状をなすもの)を用いるのが好ましく、フェノール樹脂、エポキシ樹脂を用いるのがより好ましく、フェノール樹脂を用いるのが特に好ましい。これにより、熱伝導性材料6を第1補強部材4と半導体素子3との間に隙間なく充填できるとともに、熱伝導性材料6の熱膨張係数を効果的に抑えることができる。
【0197】
かかるフェノール樹脂としては、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、ビスフェノールAノボラック樹脂等のノボラック型フェノール樹脂、未変性のレゾールフェノール樹脂、桐油、アマニ油、クルミ油等で変性した油変性レゾールフェノール樹脂等のレゾール型フェノール樹脂等のフェノール樹脂等が挙げられる。
【0198】
また、この熱伝導性材料6は、前述した接着層32(アンダーフィル材)と同様のものを用いてもよく、また、熱伝導性材料6および接着層32を一括して形成することもできる。
【0199】
以上説明したような第2実施形態の半導体パッケージ1Aによっても、熱による不具合の発生を防止することができる。
【0200】
<第3実施形態>
次に、本発明の第3実施形態を説明する。
【0201】
図7は、本発明の第3実施形態に係る半導体パッケージを模式的に示す断面図、図8は、図7に示す半導体パッケージを示す上面図である。なお、以下の説明では、説明の便宜上、図7中の紙面手前側を「上」、紙面奥側を「下」と言う。また、図7および図8では、説明の便宜上、半導体パッケージの各部が誇張して描かれている。
【0202】
以下、第3実施形態の半導体パッケージについて、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。なお、図7および図8において、前述した実施形態と同様の構成については、同一符号を付している。
【0203】
第3実施形態の半導体パッケージは、第1補強部材および熱伝導部の構成が異なる以外は、第1実施形態とほぼ同様である。
【0204】
図7に示すように、半導体パッケージ1Bは、配線基板2の上面に接合された第1補強部材4Bを有する。
【0205】
この第1補強部材4Bは、その外周部が基板21側に折り曲げられ、第2補強部材5に接触している。ここで、第1補強部材4Bの外周部は、基板21の外周面上に設けられ、第1補強部材4Bと第2補強部材5とを接続する熱伝導部24Bを構成する。
【0206】
すなわち、熱伝導部24Bは、第1補強部材4Bの外周部を折り曲げることにより形成されたものである。このような熱伝導部24Bは、第1補強部材4Bと第2補強部材5との間の熱伝導性を優れたものとすることができる。また、第1補強部材4Bの設置と同時に熱伝導部24Bを設置することができるので、半導体パッケージ1の製造が簡単になる。
【0207】
なお、本実施形態では、第1補強部材4Bの外周部を折り曲げることにより熱伝導部24Bを形成した例を説明したが、第2補強部材の外周部を折り曲げることにより熱伝導部を形成してもよい。
【0208】
以上説明したような第3実施形態の半導体パッケージ1Bによっても、熱による不具合の発生を防止することができる。
【0209】
(半導体装置)
次に、本発明の半導体装置について好適な実施形態に基づいて説明する。
【0210】
図9は、本発明の半導体装置の実施形態の一例を模式的に示す断面図である。
図9に示すように、半導体装置100は、マザーボード(基板)200と、このマザーボード200に搭載された半導体パッケージ1とを有している。
【0211】
このような半導体装置100においては、半導体パッケージ1の金属バンプ71がマザーボード200の端子201に接合されている。これにより、半導体パッケージ1とマザーボード200とが電気的に接続され、これらの間で電気的信号の伝送が行われる。また、この接合部を介して、半導体パッケージ1の熱をマザーボード200へ逃すことができる。
【0212】
以上説明したような半導体装置100によれば、前述したような放熱性および信頼性に優れた半導体パッケージ1を備えるので、信頼性に優れる。
【0213】
以上、本発明の半導体パッケージおよび半導体装置を、図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれらに限定されるものでない。
【0214】
例えば、前述した実施形態では、第1補強部材4が半導体素子3の全周に亘って囲むように設けられていたが、これに限定されず、例えば、半導体素子3の周囲の一部に欠損した部分(切り欠き)が形成されていてもよい。
【0215】
また、第2補強部材5に形成される開口部は、各金属バンプ71と一対一で対応していなくてもよい。すなわち、第2補強部材5には、複数の金属バンプ71に対して1つが対応するように、開口部が形成されていてもよい。
【符号の説明】
【0216】
1 半導体パッケージ
1A 半導体パッケージ
1B 半導体パッケージ
2 配線基板
3 半導体素子
4 第1補強部材
4B 第1補強部材
5 第2補強部材
6 熱伝導性材料
21 基板
24 熱伝導部
24A 熱伝導部
24a 熱伝導部材
24B 熱伝導部
31 金属バンプ
32 接着層
33 外周面
41 内周面
42 貫通孔
51 開口部
52 部分
53 部分
71 金属バンプ
81 絶縁材
100 半導体装置
104 シート状部材
105 シート状部材
106 接着剤
107 接着剤
200 マザーボード
201 端子
211 絶縁層
212 絶縁層
213 絶縁層
221 導体パターン
221a 端子
222 導体パターン
223 導体パターン
224 導体パターン
231 導体ポスト
232 導体ポスト
233 導体ポスト
241 第1部分
242 第2部分
243 第2部分
251 絶縁層
252 絶縁層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、前記基板の一方の面側に設けられた第1導体パターンと、前記基板の他方の面側に設けられ、前記第1導体パターンと電気的に接続された第2導体パターンとを備える配線基板と、
前記基板の前記一方の面に接合され、前記第1導体パターンに電気的に接続される半導体素子と、
前記基板の前記半導体素子側の面の、前記半導体素子が接合されていない部分に接合され、前記基板よりも熱膨張係数が小さい第1補強部材と、
前記基板の前記半導体素子とは反対側の面に接合され、前記基板よりも熱膨張係数が小さい第2補強部材と、
前記基板の外周面上に設けられ、前記第1補強部材と前記第2補強部材とを接続し、前記基板よりも熱伝導性の高い熱伝導部とを有することを特徴とする半導体パッケージ。
【請求項2】
前記熱伝導部は、前記基板の外周面の周方向に沿って均等に設けられている請求項1に記載の半導体パッケージ。
【請求項3】
前記熱伝導部は、前記第1補強部材および前記第2補強部材とは別体として形成されている請求項1または2に記載の半導体パッケージ。
【請求項4】
前記熱伝導部は、板部材を折り曲げ加工することにより形成されたものである請求項3に記載の半導体パッケージ。
【請求項5】
前記熱伝導部は、金属材料で構成されている請求項4に記載の半導体パッケージ。
【請求項6】
前記熱伝導部は、熱伝導性を有する材料を成膜することにより形成されたものである請求項3に記載の半導体パッケージ。
【請求項7】
前記熱伝導部は、無機フィラーおよび樹脂材料を含む樹脂組成物で構成されている請求項6に記載の半導体パッケージ。
【請求項8】
前記熱伝導部は、前記第1補強部材または前記第2補強部材の外周部を折り曲げることにより形成されたものである請求項1または2に記載の半導体パッケージ。
【請求項9】
前記第1補強部材および前記第2補強部材は、それぞれ、金属材料で構成されている請求項1ないし8のいずれかに記載の半導体パッケージ。
【請求項10】
前記金属材料は、Fe−Ni系合金である請求項9に記載の半導体パッケージ。
【請求項11】
請求項1ないし10のいずれかに記載の半導体パッケージを備えることを特徴とする半導体装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−84861(P2013−84861A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−225266(P2011−225266)
【出願日】平成23年10月12日(2011.10.12)
【出願人】(000002141)住友ベークライト株式会社 (2,927)