説明

半導体モジュール及び押圧力分散部材

【課題】弾性部材の押圧力を、半導体モジュールを構成する各部材により均一に作用させることで、半導体モジュールの動作安定性を向上させる。
【解決手段】IGBT素子2、IGBT素子2の電極層と電気的に接続される電極端子3,4を備えた半導体モジュールにおいて、IGBT素子2と電極端子4との間にばね電極6を設ける。ばね電極6は、導電板部材8を折り返し、導電板部材8を折り返すことで形成される平板部8a,8a間に、皿ばね5を挟持して構成される。さらに、皿ばね5の押圧力を分散するために、平板部8aと皿ばね5との間に、それぞれ分散板7,7(押圧力分散部材)を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧接により半導体素子の電極層と電極端子とを電気的に接続する半導体モジュール及びこの半導体モジュールに備えられる押圧力分散部材に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、産業用・車両用システムや変電設備、インバータ等電力変換装置といった分野等に用いられる絶縁形パワー半導体モジュールに対して、高耐圧、大容量のIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor:絶縁ゲートバイポーラトランジスタ)の適用が行われている。このIGBTモジュールに代表される「絶緑形パワー半導体モジュール」若しくは「Isolated power semiconductor devices」は、それぞれJEC−2407−2007、IEC60747−15にて規格が制定されている。
【0003】
一般的な絶緑形パワー半導体モジュールにおいて、スイッチング素子であるIGBTやダイオード等の半導体素子は、半導体素子の下面に備えられた電極層をDBC(Direct Bond Copper)基板(或いはDCB基板)の銅回路箔上にはんだ付けすることにより備えられる(例えば、非特許文献1)。DBC基板とは、セラミックス等からなる絶縁板に銅回路箔を直接接合したものである。
【0004】
半導体素子の上面に設けられる電極層には、超音波ボンディング等の方法によりアルミワイヤが接続され、例えば、DBC基板上の銅回路箔と電気的に結線される。そして、DBC基板の銅回路箔から外部へ電気を接続するための銅端子(リードフレームやブスバー)は、銅回路箔とはんだ付けにより接続される。さらに、この周りは(スーパー)エンジニアリングプラスチックのケースで囲まれ、その中を電気絶緑のためのシリコンゲル等が充填される。
【0005】
年々電力密度の増加に伴い半導体素子上の電極とアルミワイヤ間等の接合温度が高くなり、はんだのせん断応力、アルミワイヤの応力が大きくなってきている。これに対して熱膨張の影響が半導体モジュールの設計寿命に至るまでの期間に亘って顕在化しないように半導体モジュールの構造を設計する必要がある。SiCやGaNのような高温で使用できるワイドバンドキャップ半導体素子の出現により、さらに熱膨張の影響の低減が要求されている。このように、半導体素子の動作温度の高温化が進んでおり、動作温度が175℃〜200℃となると、この温度がはんだ材料の融点に近いため、従来のはんだ材料を用いることができない場合がある。そこで、はんだに置換する材料として、例えば、金属系高温はんだ(Bi、Zn、Au)、化合物系高温はんだ(Sn−Cu)、低温焼結金属(Ag粉、nanoAg)等が提案されている。なお、次世代の半導体素子であるSiCは、250〜300℃での動作が報告されている。
【0006】
はんだを用いた絶緑形パワー半導体モジュールには、RoHS(Restriction of Hazardous Substances)に対応するためにはんだの鉛フリー化を行うことや、温度サイクル、パワーサイクル等の信頼性の向上させるために各部材間に働く応力を低減させること等の課題がある。
【0007】
はんだの鉛フリー化の課題に対して、鉛フリーはんだを用いることやはんだを用いない半導体モジュール構造が検討されている。例えば、鉛フリーはんだ材料として、上述のようなSn−Ag系やSn−Cu系のものが検討されている。
【0008】
一方、温度サイクル、パワーサイクル等の信頼性を向上させる課題に対しては、半導体モジュールを構成する各部材(半導体、金属、セラミックス等)の熱膨張率の違いより生じる課題を改善する必要がある。すなわち、基板−銅ベース間、基板−銅端子間において、銅とセラミックスの熱膨張係数の差から間のはんだにせん断応力が働き、はんだに亀裂が生じて熱抵抗が増大したり端子が剥離したりするおそれがある。さらに、半導体素子−基板間のはんだにも亀裂が生じる場合がある。その他、半導体素子上のアルミワイヤの接続部でもアルミニウムと半導体素子の熱膨張の差で応力が発生してアルミワイヤが疲労破断する場合がある。
【0009】
この2つの課題を解決する半導体モジュールとして、はんだを用いない半導体モジュール構造、すなわち、平型圧接構造パッケージが提案されている(特許文献1、非特許文献1、2)。
【0010】
この平型圧接構造パッケージにおいて、一般的に半導体素子(例えば、IGBT、ダイオード等)の端部には、半導体素子及びコンタクト端子の位置決めをするガイドが設けられる。そして、半導体素子の上面電極層がコンタクト端子に接触した状態で半導体素子が基板(Mo基板やDBC基板等)上に設けられる。そして、これらコンタクト端子と基板が半導体素子を挟持するように押圧された状態で半導体モジュール内に設けられる。平型圧接構造パッケージでは、各部材は圧接により接続されるため、はんだを用いることがなく、さらに、各部材の熱膨張率の違いによる応力を緩和することができる。
【0011】
このような平型圧接構造パッケージでは、圧接によりコンタクト端子と半導体素子との接続、及び半導体素子と基板との接続が行われる。よって、この平型圧接構造パッケージを使用するためには、半導体モジュールの外部から半導体モジュール内に備えられる両端の電極部(コンタクト端子及び外部接続端子)に力を加えて電極部と半導体素子の電極層との圧接を行う必要がある。そこで、一般的に平型の半導体モジュールには、半導体モジュールを圧接するために、ばね等の弾性部材が備えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】米国特許第6320268号明細書
【特許文献2】特開平9−139148号公報
【非特許文献】
【0013】
【非特許文献1】電気学会高性能高機能パワーデバイス・パワーIC調査専門委員会、「パワーデバイス・パワーICハンドブック」、コロナ社、1996年7月、p289、p336
【非特許文献2】森睦宏、関康和、「大容量IGBTの最近の進歩」、電気学会誌、社団法人電気学会、1998年5月、Vol.118(5)、pp.274−277
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
この圧接構造の半導体モジュールでは、圧接力が各半導体素子等に均等にかかるように半導体モジュールを組み立てる必要がある。つまり、半導体モジュールを構成する各部材の圧接は圧接構造パッケージの上下の電極端子間とを電気的に絶緑し、弾性部材による圧接構造パッケージの圧接力が圧接構造パッケージの電極ポストに均等にかかるようにする必要がある。
【0015】
そして、この圧接が不良であった場合にはオン抵抗の増加や半導体素子温度の上昇等により半導体素子の破壊の原因となるおそれがある。
【0016】
そこで、本発明は、半導体モジュールに備えられる弾性部材の押圧力を半導体素子の電極面により均一に作用させることに貢献することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記目的を達成する本発明の半導体モジュールは、半導体モジュールに備えられる弾性部材の押圧力を分散させる押圧力分散部材を備えたことを特徴としている。また、本発明の押圧力分散部材は、当該押圧力分散部材や弾性部材の位置を、当初備えられた位置を維持するよう位置制御を行うことを特徴としている。
【0018】
すなわち、上記目的を達成する本発明の半導体モジュールは、半導体素子と、前記半導体素子の電極層と電気的に接続される電極端子とを備えた半導体モジュールであって、前記半導体素子と前記電極端子間に、導体平板を折り返し、この折り返した導体平板間に弾性部材を設けて構成される電極部材と、前記弾性部材の一端と前記導体平板との間に設けられる第1押圧力分散部材と、前記弾性部材の他端と前記導体平板との間に設けられる第2押圧力分散部材と、を備えたことを特徴としている。
【0019】
また、上記目的を達成する本発明の半導体モジュールは、上記半導体モジュールにおいて、前記第1押圧力分散部材は、前記第2押圧力分散部材に滑合する滑合部を有することを特徴としている。
【0020】
また、上記目的を達成する本発明の半導体モジュールは、上記半導体モジュールにおいて、前記第1押圧力分散部材は、前記第2押圧力分散部材に遊嵌する遊嵌部と、前記第2押圧力分散部材の側面に当接する当接部と、を有することを特徴としている。
【0021】
また、上記目的を達成する本発明の半導体モジュールは、上記半導体モジュールにおいて、前記当接部は、前記弾性部材が弾性変形した時に前記導体平板の側面と当接することを特徴としている。
【0022】
また、上記目的を達成する本発明の半導体モジュールは、上記半導体モジュールにおいて、前記第1押圧力分散部材と前記第2押圧力分散部材とを連結する中間部を有することを特徴としている。
【0023】
また、上記目的を達成する本発明の半導体モジュールは、上記半導体モジュールにおいて、前記第1押圧力分散部材及び前記第2押圧力分散部材に、前記弾性部材が嵌合する嵌合部を形成することを特徴としている。
【0024】
また、上記目的を達成する本発明の押圧力分散部材は、弾性部材を挟持する1対の押圧力分散部材であって、一方の押圧力分散部材は、他方の押圧力分散部材に滑合する滑合部を有することを特徴としている。
【0025】
また、上記目的を達成する本発明の押圧力分散部材は、弾性部材を挟持する一対の押圧力分散部材であって、一方の押圧力分散部材は、他方の押圧力分散部材に遊嵌する遊嵌部と、前記他方の押圧力分散部材に当接する当接部と、を有することを特徴としている。
【0026】
また、上記目的を達成する本発明の押圧力分散部材は、弾性部材を挟持する一対の押圧力分散部材であって、一方の押圧力分散部材と、他方の押圧力分散部材とを連結する中間部を有することを特徴としている。
【発明の効果】
【0027】
以上の発明によれば、半導体モジュールに備えられる弾性部材の押圧力を半導体素子の電極面に対してより均一に作用させることに貢献する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の実施形態1に係る半導体モジュールの要部断面図である。
【図2】本発明の実施形態1に係る電極部材の斜視図である。
【図3】本発明の実施形態2に係る電極部材の斜視図であり(a)電極部材にかかる圧力が弱い場合の状態を示す図、(b)電極部材にかかる圧力が強い場合の状態を示す図である。
【図4】本発明の実施形態3に係る電極部材の斜視図であり(a)電極部材にかかる圧力が弱い場合の状態を示す図、(b)電極部材にかかる圧力が強い場合の状態を示す図である。
【図5】本発明の実施形態4に係る電極部材の側面図であり(a)電極部材にかかる圧力が弱い場合の状態を示す図、(b)電極部材にかかる圧力が強い場合の状態を示す図である。
【図6】本発明の実施形態5に係る電極部材の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
(実施形態1)
本発明の実施形態1に係る半導体モジュール及び押圧力分散部材について、図を参照して詳細に説明する。
【0030】
図1に示すように、本発明の実施形態1に係る半導体モジュール1は、IGBT素子2(半導体素子)、IGBT素子2の電極層と電気的に接続されるコレクタ電極端子3、IGBT素子2の電極層と電気的に接続されるエミッタ電極端子4、及びIGBT素子2とエミッタ電極端子4との間に設けられるばね電極6より構成される。
【0031】
ばね電極6は、導電板部材8を折り返し、導電板部材8を折り返すことで形成される平板部8a,8a間に皿ばね5を挟持して構成される。さらに、皿ばね5の押圧力を分散させるために、平板部8aと皿ばね5との間に、それぞれ分散板7,7(押圧力分散部材)が設けられる。
【0032】
分散板7は、図2に示すように、皿ばね5が弾性変形する方向に一対設けられ、この皿ばね5を挟持した一対の分散板7,7が平板部8a,8a間に設けられる。分散板7は、平板部8aと略同じ大きさであり、複数の皿ばね5が1つの分散板7を押圧し、この分散板7が平板部8aを押圧する。分散板7としては、例えば、ステンレス板、モリブデン(Mo)板、タングステン(W)板等、既知の硬い金属からなる板を用いる(他の実施形態に係る分散板も同様である)。
【0033】
導電板部材8は、銅、アルミニウム等の導電材料より構成される。この導電板部材8の折返し部分8bはU字状に折り返す形態の他に、導電板部材8の両端を折り返す形態等、皿ばね5及び分散板7を挟持できる形態であればどのように折り返してもよい。
【0034】
IGBT素子2は、図1に示すように、コレクタ(カソード)電極端子3上にモリブデン製コンタクト電極9を介して設けられる。IGBT素子2には、図示省略するが、上面にエミッタ、ゲート(制御電極)が形成され、底面にコレクタが形成されている。つまり、コレクタ電極端子3は、コンタクト電極9を介してIGBT素子2のコレクタと電気的に接続される。なお、実施形態の説明では、便宜上、上面及び底面とするが、上下方向は、本発明をなんら限定するものではない。また、ゲート(制御電極)と制御回路との接続については、従来の接続方法を用いればよいので図示省略する。
【0035】
コレクタ電極端子3(及び、エミッタ電極端子4)は、周知の電極材料からなる電極端子を用いることができる。例えば、半導体モジュール1(IGBT素子2)の放熱性を向上させるために、コレクタ電極端子3(及び、エミッタ電極端子4)の材料に銅等の熱伝導性の良い金属を用いる。
【0036】
コンタクト電極9(及び、後述のコンタクト電極10)は、半導体モジュールに用いられるコンタクト電極を適宜選択して用いる。例えば、コンタクト電極9(コンタクト電極10)の材料にIGBT素子2を構成する材料(例えば、SiやSiC、GaN)に比較的熱膨張係数が近い材料(例えば、MoやW、その他化合物等)を用いると、コンタクト電極9(コンタクト電極10)がIGBT素子2とコレクタ電極端子3(ばね電極6)との熱応力の緩衝板として作用し、半導体モジュール1の温度サイクルに対する信頼性を向上させることができる。
【0037】
IGBT素子2のエミッタには、コンタクト電極10、ばね電極6を介してエミッタ電極端子4が設けられる。すなわち、エミッタ電極端子4は、コンタクト電極10、ばね電極6を介してIGBT素子2のエミッタと電気的に接続される。
【0038】
さらに、コレクタ電極端子3とエミッタ電極端子4をIGBT素子2方向に押圧するように、コレクタ電極端子3とエミッタ電極端子4のそれぞれに絶縁板13、13を介して冷却板11、12が設けられる。この冷却板11、12は、コレクタ電極端子3とエミッタ電極端子4をIGBT素子2方向に押圧した状態で固定される。
【0039】
冷却板11、12は、銅、アルミニウム等の金属板や熱伝導性の高いセラミックス板が用いられる。この冷却板11、12にヒートシンクを接続したり、冷却板11、12に直接冷却媒体(気体または液体)を接触させたりすることで半導体モジュール1を冷却する。この冷却板11、12を半導体モジュール1の筺体として用いることができるが、さらに図示省略の筺体に冷却板11、12に挟持されたIGBT素子2を収納してもよい。また、絶縁板13、13を備えず、冷却板11、12を半導体モジュール1の外部回路と接続される外部接続用電極として用いることも可能である。
【0040】
上記構成からなる半導体モジュール1は、コレクタ電極端子3とエミッタ電極端子4をIGBT素子2方向に押圧するように冷却板11、12が設けられるので、ばね電極6の皿ばね5に弾性エネルギーが蓄積される。ばね電極6は、皿ばね5の弾性力により、エミッタ電極端子4と絶縁板13とを冷却板12方向に押圧し、コンタクト電極10をIGBT素子2(IGBT素子2のエミッタ)方向に押圧する。また、ばね電極6の押圧により、コレクタ電極端子3及び絶縁板13は冷却板11方向に押圧され、この押圧する力の反力によりコレクタ電極端子3がコンタクト電極9をIGBT素子2(IGBT素子2のコレクタ)方向に押圧する。このように、半導体モジュール1内部で各部材を押圧する力のバランスが保たれ、各部材間に適当な圧接力が働く。
【0041】
そして、皿ばね5と平板部8aとの間に分散板7を設けることで、皿ばね5の押圧力が平板部8aにより均等にかかるようになる。つまり、皿ばね5と接触する箇所は接触面積が減少するため、皿ばね5と接触している部分の押圧力が強くなり、皿ばね5と接触している部分に凹みが発生する場合がある。凹みが生じると、皿ばね5による押圧が相殺されてしまう。半導体モジュール1は、皿ばね5の両端に分散板7を設けることで、分散板7と皿ばね5との接触部で皿ばね5の弾性力が集中しても、分散板7が変形せず、皿ばね5の弾性力を損なうことなく、均等に平板部8aに作用させることができる。
【0042】
以上のように、本発明の実施形態1に係る半導体モジュール1によれば、皿ばね5の両端に分散板7を設けることで、皿ばね5の弾性力が導電板部材8(平板部8a)の一部に集中せず、ばね電極6とエミッタ電極端子4(またはコンタクト電極10)との接続面で押圧する力がより均一になる。
【0043】
また、半導体モジュール1にばね電極6を備えるだけで、半導体素子の電極面等、半導体モジュール1に備えられる各部材に適切な圧接力を加えることができる。その結果、半導体モジュール1の組立て作業が容易になり、不適切な組立てによる半導体モジュール1の性能低下や半導体素子2の破壊の発生を防止することができる。さらに、半導体モジュール1を構成する各部材が圧接により接続されるため、はんだフリーな半導体モジュール1を得ることができる。
【0044】
また、半導体モジュール1の保管または動作時において、半導体モジュール1の温度が低下または上昇した場合、内部部品の熱収縮や熱膨張による各部材間距離の変動幅を皿ばね5(ばね電極6)の形状変化によって緩和することができ、各部材間に働く圧接力を所定の圧接力に維持することができる。すなわち、IGBT素子2と各電極端子3、4との電気的な接続が良好に保たれることで半導体モジュール1の動作安定性が向上し、各電極端子3、4と冷却部材11、12との密着性が確保され、半導体モジュール1の放熱性が向上する。
【0045】
そして、導電板部材8が皿ばね5を包むようにばね電極6を形成しているので、この導電板部材8が熱拡散板として作用し、半導体モジュール1の放熱性が向上する。
【0046】
(実施形態2)
本発明の実施形態2に係る半導体モジュール及び押圧力分散部材について、図3を参照して詳細に説明する。実施形態2に係る半導体モジュールは、半導体モジュールに備えられる分散板15,16(押圧力分散部材)の形状が、実施形態1に係る分散板7と異なること以外は、図1を例示して説明した実施形態1に係る半導体モジュール1と同じである。よって、実施形態の説明では、分散板15,16(及び、ばね電極14)について詳細に説明し、実施形態1と同様の構成については同じ符号を付し、その詳細な説明を省略する(実施形態3〜5についても同様である)。
【0047】
図3(a)に示すように、本発明の実施形態2に係るばね電極14は、導電板部材8を折り返し、導電板部材8を折り返すことで形成される平板部8a,8a間に皿ばね5を挟持して構成される。さらに、この平板部8aと皿ばね5との間にそれぞれ分散板15,16(押圧力分散部材)が設けられる。すなわち、分散板15,16は、皿ばね5が弾性変形する方向に一対設けられ、この皿ばね5を挟持した一対の分散板15,16が平板部8a,8a間に設けられる。
【0048】
皿ばね5の一端に設けられる分散板15は、皿ばね5または平板部8aと接触する中央部15aと中央部15aの側端に形成された一対の側部15b,15bより構成される。側部15bは、中央部15aと一体に形成され、側部15bの厚さは中央部15aの厚さより薄く形成される。そして、側部15bを皿ばね5方向に折り曲げることで、皿ばね5の他端に設けられる分散板16が滑合する滑合部が形成される。
【0049】
そして、分散板15の滑合部が分散板16に滑合した状態で、分散板15と分散板16との間に皿ばね5が設けられる。すなわち、分散板15と分散板16との間に皿ばね5が設けられるとともに、分散板15の側部15b,15b間に分散板16が設けられる。
【0050】
上記構成からなる本発明の実施形態2に係る分散板15,16は、分散板15の滑合部に分散板16が滑合することで、分散板15と分散板16との相対的な位置関係が所定の位置に維持される。さらに、分散板15と分散板16との相対的な位置関係が所定の位置に維持されることで、分散板15と分散板16との間に設けられる皿ばね5に圧接方向と垂直方向の力が作用することが抑制され、皿ばね5の位置ずれが防止される。なお、側部15bの内周面が皿ばね5の変位に伴い分散板16の側面と滑動するので、側部15bと分散板16の側面との接触により皿ばね5の変位が妨げられることはない。
【0051】
図3(b)に示すように、平板部8a,8aの間隔を狭めるような力がばね電極14に作用した場合、側部15bがさらに平板部8aの側面と摺動するように側部15bの長さを設定すると、皿ばね5の変位により、分散板15と平板部8aとの相対位置を当初備えられた位置を維持するよう制御することができる。また、分散板15と平板部8aの相対な位置にずれが生じていても、側部15bが平板部8aの側面に沿って摺動することで、分散板15と平板部8aとの相対位置を補正することができる。なお、分散板16と平板部8aとの境界で、側部15bの移動が妨げられないように、側部15bの端部をテーパ状(側部15bの先端ほど、分散板16の側面からの距離が広がるよう)に形成してもよい。
【0052】
なお、滑合部を形成する時に、中央部15aと側部15bとの間に間隙15cを形成すると、側部15bの分散板16と接する面の法線方向の可撓性が向上する。よって、半導体モジュールを構成する各部材の熱膨張率により、側部15b,15bとの間隔と分散板16の幅とに差が生じた場合においても、側部15bが皿ばね5の変位を妨げない。
【0053】
以上のように、本発明の実施形態2に係る分散板15,16によれば、分散板15と分散板16との相対的な位置を、当初備えられた位置を維持するよう制御することができる。よって、分散板15,16や皿ばね5の位置ずれの発生を抑制し、皿ばね5による圧接力を半導体モジュールを構成する各部材に適切に作用させることができる。
【0054】
よって、図1に示した半導体モジュール1において、ばね電極6の代わりに本発明の実施形態2に係るばね電極14を設ける半導体モジュールは、ばね電極14に備えられる皿ばね5(及び、分散板15,16)の位置ずれを防止することができる。その結果、実施形態1に係る半導体モジュール1の奏する効果に加えて、より均一な圧接力を半導体モジュールを構成する各部材(半導体素子の電極層等)に加えることができる。
【0055】
なお、本実施形態では、分散板15に滑合部を形成した形態であるが、分散板16に滑合部を形成し、この滑合部に分散板15を滑合させる形態としてもよい。
【0056】
(実施形態3)
本発明の実施形態3に係る半導体モジュール及び押圧力分散部材について、図4を参照して詳細に説明する。実施形態3に係る半導体モジュールは、半導体モジュールに備えられる分散板18,19(押圧力分散部材)の形状が、実施形態1に係る分散板7と異なること以外は、図1を例示して説明した実施形態1に係る半導体モジュール1と同じである。よって、実施形態の説明では分散板18,19が備えられるばね電極17について詳細に説明する。
【0057】
図4(a)に示すように、本発明の実施形態3に係るばね電極17は、導電板部材8を折り返し、導電板部材8を折り返すことで形成される平板部8a,8a間に皿ばね5を挟持して構成される。さらに、この平板部8aと皿ばね5との間にそれぞれ分散板18,19が設けられる。すなわち、分散板18,19は、皿ばね5が弾性変形する方向に一対設けられ、この皿ばね5を挟持した一対の分散板18,19が平板部8a,8a間に設けられる。
【0058】
皿ばね5の一端に設けられる分散板18は、皿ばね5または平板部8aと接触する中央部18aと中央部18aの側端に形成された1対の側部18b,18bより構成される。側部18bは、中央部18aと一体に形成され、側部18bの厚さは中央部18aの厚さより薄く形成される。そして、側部18bを皿ばね5方向に折り曲げることで、皿ばね5の他端に設けられる分散板19が遊嵌する遊嵌部が形成される。すなわち、折り曲げられた側部18b,18b間の距離が分散板19の幅よりも広くなるように側部18b,18bが折り返される。さらに、側部18bは、分散板19方向に凸となるように山折りされ、当接部18cが形成される。このように当接部18cを形成すると、側部18bに斜面18d,18eが形成される。
【0059】
そして、分散板18の当接部18cが分散板19の側面を摺動するように、分散板18の遊嵌部に分散板19が遊嵌され、さらに、分散板18と分散板19との間に皿ばね5が設けられる。すなわち、分散板18と分散板19との間に皿ばね5が設けられるとともに、分散板18の側部18b,18b間に分散板19が設けられる。
【0060】
図4(b)に示すように、平板部8a,8aの間隔を狭めるような力が作用した場合、当接部18cが平板部8aの側面を摺動するように当接部18cを形成する位置が設定される。
【0061】
上記構成からなる本発明の実施形態3に係る分散板18,19によれば、皿ばね5の変位に伴って当接部18cが分散板19の側面を摺動することで、分散板18と分散板19との相対的な位置を所定の状態に維持することができる。また、皿ばね5の変位に伴い当接部18cが平板部8aの側面を摺動することで、分散板18と平板部8aの相対的な位置が、当初備えられた位置を維持するよう制御することができる。
【0062】
さらに、当接部18cは、皿ばね5方向に折り曲げられた側部18bを、さらに分散板19方向に凸となるよう山折りして形成されているので、当接部18cと分散板19(または、平板部8a)の側面との接触面積が小さく、当接部18cと分散板19(または、平板部8a)の摺動により皿ばね5の変位が妨げられない。
【0063】
もし、分散板18と平板部8aとの相対位置にずれが生じた場合、当接部18cが皿ばね5の変位に伴って移動することで平板部8aが所定の状態に補正される。このとき、斜面18eにより、平板部8aが所定の位置となるように誘導される。同様に、分散板18と分散板19との相対位置にずれが生じた場合、斜面18dにより分散板19が所定の位置となるように誘導される。
【0064】
以上のように、本発明の実施形態3に係る分散板18,19によれば、分散板18と分散板19(及び、平板部8a)との相対的な位置が、当初備えられた位置を維持するように制御することができる。よって、本発明の実施形態2と同様に、分散板18,19や皿ばね5の位置ずれの発生を抑制し、皿ばね5による圧接力を半導体モジュールを構成する各部材(半導体素子の電極層等)に適切に作用させることができる。
【0065】
よって、図1に示した半導体モジュール1において、ばね電極6の代わりに本発明の実施形態3に係るばね電極17を備えた半導体モジュールは、ばね電極17に備えられる皿ばね5(及び、分散板18,19)の位置ずれを防止することができる。その結果、実施形態1に係る半導体モジュール1の奏する効果に加えて、より均一な圧接力を半導体モジュールを構成する各部材に作用させることができる。
【0066】
なお、本実施形態では、分散板18に遊嵌部及び当接部18cを形成した形態であるが、分散板19に遊嵌部及び当接部を形成する形態としても同様の効果を得ることができる。
【0067】
また、分散板18の側部18bに皿ばね5の変位方向に当接部を複数形成し、個々の当接部が分散板19の側面や平板部8aの側面に当接する形態とすると、皿ばね5の変位にかかわらず分散板18、分散板19、平板部8aの相対的な位置が所定の位置となるように維持することができる。
【0068】
(実施形態4)
本発明の実施形態4に係る半導体モジュール及び押圧力分散部材について、図5を参照して詳細に説明する。実施形態4に係る半導体モジュールは、半導体モジュールに備えられる分散板21,22(押圧力分散部材)の形状が、実施形態1に係る分散板7と異なること以外は、図1を例示して説明した実施形態1に係る半導体モジュール1と同じである。よって、実施形態の説明では、分散板21,22が備えられるばね電極20について詳細に説明する。
【0069】
図5(a)に示すように、本発明の実施形態4に係るばね電極20は、導電板部材8を折り返し、導電板部材8を折り返すことで形成される平板部8a,8a間に皿ばね5を挟持して構成される。さらに、この平板部8aと皿ばね5との間にそれぞれ分散板21,22が設けられる。すなわち、分散板21,22は、皿ばね5が弾性変形する方向に一対設けられ、この皿ばね5を挟持した一対の分散板21,22が平板部8a,8a間に設けられる。
【0070】
分散板21と分散板22は、中間部23を介して接続されている。この分散板21、中間部23、及び分散板22は、一体に形成され、さらに中間部23の厚さは、分散板21(分散板22)の厚さより薄く形成される。そして、この中間部23を折り返し、分散板21と分散板22間に皿ばね5を設ける。
【0071】
以上のように、本発明の実施形態4に係る分散板21,22は、分散板21と分散板22とが中間部23を介して一体に形成されているので、分散板21と分散板22の相対的な位置が予め固定されている。そして、分散板21,22の位置ずれが防止されているので、皿ばね5の圧接方向と垂直方向の力が皿ばね5に作用することを抑制し、皿ばね5の位置ずれを防止することができる。その結果、皿ばね5による圧接力を半導体モジュールを構成する各部材(半導体素子の電極層等)に適切に作用させることができる。
【0072】
図5(b)に示すように、中間部23の厚さが分散板21,22の厚さより薄く形成されているので、平板部8a,8aの間隔を狭めるような力が作用した場合、中間部23が撓み、皿ばね5の変位が妨げられない。
【0073】
よって、図1に示した半導体モジュール1において、ばね電極6の代わりに本発明の実施形態4に係るばね電極20を備えた半導体モジュールは、ばね電極20に備えられる分散板21,22(及び、皿ばね5)の位置ずれを防止することができる。その結果、実施形態1に係る半導体モジュール1の効果に加えて、より均一な圧接力を半導体モジュールを構成する各部材に加えることができる。
【0074】
なお、本実施形態では、分散板21と分散板22とを接続する中間部23を一体に形成した形態であるが、分散板21と分散板22を接続することができるものであれば、中間部23の形状や材質等は特に限定されるものではない。また、中間部23を形成する箇所も分散板21と分散板22の側面を接続する形態であれば特に限定されるものではなく、実施形態4で説明した半導体モジュールと同様の作用効果を得ることができる。
【0075】
(実施形態5)
本発明の実施形態5に係る半導体モジュール及び押圧力分散部材について、図6を参照して詳細に説明する。実施形態5に係る半導体モジュールは、半導体モジュールに備えられる分散板25,26(押圧力分散部材)の形状が、実施形態1に係る分散板7と異なること以外は、図1を例示して説明した実施形態1に係る半導体モジュール1と同様である。よって、分散板25,26が備えられるばね電極24について詳細に説明する。
【0076】
図6に示すように、本発明の実施形態5に係るばね電極24は、導電板部材8を折り返し、導電板部材8を折り返すことで形成される平板部8a,8a間に皿ばね5を挟持して構成される。さらに、この導電板部材8と皿ばね5との間にそれぞれ分散板25,26が設けられる。すなわち、分散板25,26は、皿ばね5が弾性変形する方向に一対設けられ、この皿ばね5を挟持した一対の分散板25,26が平板部8a,8a間に設けられる。
【0077】
分散板26は、分散板26の皿ばね5と接する面に皿ばね5が嵌合する嵌合溝26aが形成される。そして、嵌合溝26aに皿ばね5を設けることで、皿ばね5が分散板26に固定される。同様に、分散板25の皿ばね5と接する面に皿ばね5が嵌合する嵌合溝25aを形成し、この嵌合溝25aに皿ばね5を設けると、皿ばね5により分散板25と分散板26の相対的な位置が所定の位置となるように制御できる。嵌合溝25a,26aの幅及び形状は、皿ばね5の弾性変形を妨げない幅及び形状とする。
【0078】
以上のように、本発明の実施形態5に係る分散板25,26によれば、分散板26に皿ばね5が固定されるので皿ばね5の位置ずれを防止することができる。また、皿ばね5を基準として分散板25と分散板26との相対位置が所定の位置となるように維持することができる。その結果、皿ばね5による圧接力を半導体モジュールを構成する各部材(半導体素子等)に適切に作用させることができる。
【0079】
よって、図1に示した半導体モジュール1において、ばね電極6の代わりに本発明の実施形態5に係るばね電極24を備えた半導体モジュールは、ばね電極24に備えられる皿ばね5(及び、分散板25,26)の位置ずれを防止することができる。その結果、実施形態1に係る半導体モジュール1の効果に加えて、より均一な圧接力を半導体モジュールを構成する各部材に加えることができる。
【0080】
なお、実施形態5に係る分散板25,26を実施形態2〜4に記載の分散板と組み合わせることで、皿ばね5や分散板のずれの防止をさらに確実なものとすることができる。
【0081】
以上のように、本発明の半導体モジュールによれば、半導体モジュールに備えられる弾性部材の両端に押圧力分散部材を設けることで、弾性部材の押圧力を半導体素子により均一に作用させることができる。
【0082】
また、本発明の押圧力分散部材は、押圧力分散部材や弾性部材の位置を、当初備えられた位置を維持するよう制御することができるので、半導体モジュールを構成する各部材に作用する圧接力をより均一にすることができる。
【0083】
なお、実施形態のように、導電板部材に弾性部材で包んで電極部材を構成した場合、半導体素子で発生した熱が導電板部材において拡散するので、半導体モジュールの放熱性が向上する。よって、SiC、GaNなどの高温で使用可能な半導体素子の性能を生かす半導体モジュールにおいて、温度サイクル、パワーサイクル等の信頼性を向上させることができる。
【0084】
しかしながら、導電板部材を折り返すと、導電板部材を折り返すことで形成される折返し部と、導電板部材を折り返すことで形成される開口部とでは、同じ力に対する抗力が異なる場合がある。このような折返し部と開口部との抗力の違いは、弾性部材や押圧力分散部材の位置ずれの原因となる場合がある。
【0085】
そして、半導体素子等の各部材を圧接により接続する半導体モジュールでは、振動や弾性部材の変位等の影響により、押圧力分散部材や弾性部材の位置が所定の位置からずれてしまうと、半導体モジュールを構成する各部材に作用する弾性部材の圧接力にばらつきが生じるおそれがある。
【0086】
そこで、本発明の押圧力分散部材を備えた半導体モジュールは、押圧力分散部材や弾性部材が所定の位置となるように制御し、万が一押圧力分散部材や弾性部材が所定の位置からずれた場合でも、所定の位置となるように補正することができる。
【0087】
よって、本発明の押圧力分散部材を備えた半導体モジュールは、押圧力分散部材や弾性部材が所定の位置となるように維持することで、半導体モジュールを構成する各部材に作用する圧接力をより均一にすることができる。
【0088】
その結果、電極部材の弾性力により半導体モジュールに備えられる各部材を圧接する半導体モジュールの温度サイクル、パワーサイクル等の信頼性が向上する。つまり、はんだ接合あるいはワイヤーボンドを用いず、かつ使い勝手の良い絶縁形パワー半導体モジュールを得ることができ、半導体モジュールの高信頼性、環境性、利便性を同時に実現することができる。
【0089】
なお、本発明の半導体モジュール及び押圧力分散部材は、上述した実施形態1〜5に限らず、本発明の特徴を損なわない範囲で適宜設計変更が可能であり、そのように変更された形態も本発明に係る半導体モジュール及び押圧力分散部材である。
【0090】
例えば、実施形態ではIGBT素子を備えた平型圧接構造の半導体モジュールを例示して説明したが、本発明はこの実施形態に限定されるものではなく、圧接により半導体素子の電極層と外部(若しくは、内部の別の回路)に接続するための電極端子とを電気的に接続する半導体モジュールに適用可能である。
【0091】
また、半導体モジュールに備えられる半導体素子は、IGBT素子に限定されるものでなく、サイリスタ(GTOサイリスタ等)、トランジスタ(MOSFET等)、FWD素子等の半導体素子を適宜選択して用いることができる。
【0092】
また、本発明の実施形態では、電極部材に設けられた弾性部材の弾性力を分散させる押圧力分散部材を例示して説明したが、弾性部材は、弾性部材の押圧力を分散させる作用を奏する場所であれば設置場所は特に限定しない。
【0093】
また、弾性部材は、皿ばね5に限定されるものではなく、波板ばね、凸ばね、メッシュばね等を用いることができる。また、皿ばね5の数も特に限定されるものではなく、半導体モジュールを構成する各部材に作用させる圧接力に応じて、皿ばね5の数が設定される。
【0094】
また、それぞれの皿ばね5に対して押圧分散板を設ける形態としてもよいが、それぞれの皿ばね5に対して一つの分散板を設けることで、それぞれの皿ばね5の特性や皿ばね5の設けられる位置の違いによる弾性力の差異にかかわらず、分散板が導電板部材8をより均等に押圧することができる。
【符号の説明】
【0095】
1…半導体モジュール
2…半導体素子
3…コレクタ電極端子(電極端子)
4…エミッタ電極端子(電極端子)
5…皿ばね(弾性部材)
6,14,17,20,24…ばね電極(電極部材)
7,15,16,18,19,21,22,25,26…分散板(押圧力分散部材)
8…導電板部材(導体平板)
8a…平板部
8b…折返し部
15a,18a…中央部
15b,18b…側部
18c…当接部
23…中間部
25a,26a…嵌合溝

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体素子と、前記半導体素子の電極層と電気的に接続される電極端子とを備えた半導体モジュールであって、
前記半導体素子と前記電極端子間に、導体平板を折り返し、この折り返した導体平板間に弾性部材を設けて構成される電極部材と、
前記弾性部材の一端と前記導体平板との間に設けられる第1押圧力分散部材と、
前記弾性部材の他端と前記導体平板との間に設けられる第2押圧力分散部材と、を備えた
ことを特徴とする半導体モジュール。
【請求項2】
前記第1押圧力分散部材は、前記第2押圧力分散部材に滑合する滑合部を有する
ことを特徴とする請求項1に記載の半導体モジュール。
【請求項3】
前記第1押圧力分散部材は、
前記第2押圧力分散部材に遊嵌する遊嵌部と、
前記第2押圧力分散部材の側面に当接する当接部と、を有する
ことを特徴とする請求項1に記載の半導体モジュール。
【請求項4】
前記当接部は、前記弾性部材が弾性変形した時に前記導体平板の側面と当接する
ことを特徴とする請求項3に記載の半導体モジュール。
【請求項5】
前記第1押圧力分散部材と前記第2押圧力分散部材とを連結する中間部を有する
ことを特徴とする請求項1に記載の半導体モジュール。
【請求項6】
前記第1押圧力分散部材及び前記第2押圧力分散部材に、前記弾性部材が嵌合する嵌合部を形成する
ことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の半導体モジュール。
【請求項7】
弾性部材を挟持する1対の押圧力分散部材であって、
一方の押圧力分散部材は、他方の押圧力分散部材に滑合する滑合部を有する
ことを特徴とする押圧力分散部材。
【請求項8】
弾性部材を挟持する一対の押圧力分散部材であって、
一方の押圧力分散部材は、
他方の押圧力分散部材に遊嵌する遊嵌部と、
前記他方の押圧力分散部材に当接する当接部と、を有する
ことを特徴とする押圧力分散部材。
【請求項9】
弾性部材を挟持する一対の押圧力分散部材であって、
一方の押圧力分散部材と、他方の押圧力分散部材とを連結する中間部を有する
ことを特徴とする押圧力分散部材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−222239(P2012−222239A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−88375(P2011−88375)
【出願日】平成23年4月12日(2011.4.12)
【出願人】(000006105)株式会社明電舎 (1,739)