説明

半導体光源装置

【課題】装置自身が発光した光を検出可能とすることにより発光状態を管理し、輝度制御の精度向上を図ることが可能な光源装置を提供する。
【解決手段】基板201の一方の表面上に複数の発光ダイオードチップ202を搭載してなる光源装置において、基板の一部に、前記一方の表面に搭載した複数の発光ダイオードチップの少なくとも一部からの光を検出するための光センサ223を形成し、更に、その基板上の絶縁層には、ピンホールレンズ効果を得る間隙を備えた遮光膜が形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板の上に複数の発光ダイオードを配置して構成される半導体光源装置に関し、特に、発光素子の発光状態を自身で管理することが可能な、改良された構造の半導体光源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体素子である発光ダイオードは、光の三原色である、赤(R)、緑(G)及び青(B)を発光することが出来ることから、例えば、カラーディスプレイをはじめ、更には、これら赤(R)、緑(G)及び青(B)の成分から白色光を発光することが可能な光源装置としても注目を集めている。なお、例えば、以下の特許文献1によれば、半導体素子である発光ダイオードのチップを多数、共有するサブマウント上に搭載した構造の半導体LEDアセンブリが既に知られている。
【0003】
また、例えば、以下の特許文献2によれば、小型で、部品の組み立てや作製工程を削減することによって量産を可能とし、もって、安価で高い信頼性を実現することが出来る血流計のセンサ部において、発光素子である半導体レーザを利用したものも、既に知られている。
【0004】
【特許文献1】特開2003−008083号公報
【特許文献2】特開2004−229920号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来技術になる光源装置としての発光ダイオード(LED)では、その発光状態を管理するため、例えば、その供給電流を検出することが行なわれている。しかしながら、発光ダイオード(LED)への供給電流を検出する方式では、実際に、当該発光ダイオード(LED)が所望の発光を行なっていることを、直接、検出することは出来ない。一方、上記の方式に代え、光源装置とは別に、光源装置からの光を検出するためのセンサを設けることにより、装置から発光する光を検出することも可能であるが、しかしながら、その場合、光源装置が高価になってしまうという問題点があった。
【0006】
そこで、本発明では、上述した従来技術における問題点に鑑みて成されたものであり、すなわち、光源装置自身が、発光した光を検出することを可能とすることにより、装置自体で発光状態を管理することにより、発光ダイオード(LED)の輝度制御の精度向上を図ることが出来る、新たな光源装置の構造を提供することをその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、上述した目的を達成するため、まず、基板の一方の表面上に複数の発光ダイオードチップを搭載してなる光源装置であって、前記基板は透光性を有し、その一部には、前記一方の表面に搭載した複数の発光ダイオードチップの少なくとも一部からの光を検出するための光センサー部を形成した半導体光源装置が提供される。
【0008】
なお、本発明によれば、前記した半導体光源装置において、前記基板における前記光センサ部の形成部に対応して、ピンホールレンズ効果を得る間隙を備えた遮光膜が形成されていることが、加えて、前記ピンホールレンズ効果を得る間隙は、円形の孔であることが好ましい。
【0009】
なお、本発明によれば、前記の半導体光源装置において、更に、前記基板の一部の表面には、色フィルター膜を形成してもよく、又は、前記光センサ部は、当該基板の端部に形成されてもよい。
【発明の効果】
【0010】
以上に述べた本発明によれば、光源装置自身が、発光した光を検出することを可能とすることにより、装置自体で発光状態を管理することにより、発光ダイオード(LED)の輝度制御の精度向上を図ることが出来る、優れた光源装置を提供することが可能となるという、優れた効果を発揮する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について、添付の図面を用いて詳細に説明する。
【0012】
まず、添付の図1は、本発明の一実施の形態になる、熱拡散板上に複数の発光ダイオードチップを備えた光源装置100の側面断面を示している。即ち、この光源装置は、例えば、銅やアルミニウム等の熱伝導に優れた部材により、図からも明らかなように、その裏面(図の下側の面)に多数の放熱フィン101を形成した放熱板110の上に、後にも詳細に説明するが、例えばSi等の半導体材料の上に絶縁膜と導体パターンを形成した基板の表面に多数の半導体発光ダイオード(LED)のチップを搭載した、所謂、LED光源モジュール200が搭載されている。なお、通常、このアルミニウム等の放熱板110の周囲には、例えば、樹脂の枠体102が接着剤などによって取り付けられており、上記LED光源モジュール200を放熱板110の表面に搭載し、例えば、Auワイヤによるワイヤボンディング103によって電気的な接続を行った後、更に、例えば、透明な樹脂を枠体102の内部に充填して透明樹脂層300を形成し、光源装置100として完成する。
【0013】
次に、添付の図2には、上記光源装置100の一部表面(但し、透明樹脂層300の形成前)を拡大して示している。即ち、図において、その裏面に多数の放熱フィンを形成した放熱板110の表面上には、例えば、金属のフィラー等を混入した、又は、熱伝導性に優れた接着剤やボンディング材により、上述したLED光源モジュール200が取り付けられており、このモジュールを構成する上記透光性の基板201の表面には、多数の半導体LEDチップ202、202が搭載されていることが分る。なお、この図2におけるA−A断面を、添付の図3に示す。
【0014】
図3に示すように、裏面に多数の放熱フィンを形成したアルミニウムの放熱板110の表面上(放熱フィンが形成された面とは反対側の面)には、上記熱伝導性に優れた接着剤203を介して、上記の基板201が固定されており、この基板201の表面には、例えば、酸化雰囲気中において形成した酸化シリコンの絶縁層204が形成されており、更に、その表面には、例えば、金属の蒸着工程により、所定の配線パターン105が形成されている。なお、この図中の符号205は、上記アルミニウムの放熱板110上に形成された絶縁層であり、更に、その表面には、やはり、例えば上記金属の蒸着工程によって、所定の配線パターン206が形成されている。そして、この配線パターン206は、上記のワイヤボンディング103によって、上記の基板201上の、即ち、LED光源モジュール200の配線パターン105と、適宜、電気的に接続されている。また、この配線パターン206は、例えば、Ag、又は、Au/Cuの金属層によって形成されている。
【0015】
次に、図4には、上記LED光源モジュール200の一部を切り出して拡大して示した詳細断面を示す。図からも明らかなように、例えば、サファイアやガリウム燐から構成された半導体LEDチップ202の下面には、電極211、211が取り付けられている。これら電極211、211は、所謂、バンプ207、207を介して、上記透光性基板201の上に形成された酸化シリコンの絶縁層204の表面に形成された配線パターン105、105の上に、電気的に接続されている。
【0016】
一方、上記した半導体LEDチップがその上面に搭載される半導体基板201には、その表面の所定の位置に、例えば、PINフォトダイオード、MOSフォトトランジスタ、MOSFETフォトトランジスタ等の、所謂、受光素子が、図示しない配線と共に、光センサ223として形成されている。そして、この半導体基板201の表面には、図にも示すように、例えば、プラズマCVD等により、2層のSiOからなる透光性の絶縁膜(層)221、222が積層され、もって、上記酸化シリコンの絶縁層204を形成する。
【0017】
なお、これら透光性の絶縁膜(層)の内、下側の絶縁膜(層)221は、その表面(即ち、上側の絶縁膜(層)222との境界(中間層)部分)に、孔(ピンホール)213を含む遮光膜212を形成している。更に、この下側の絶縁膜(層)221の表面に積層される上側の絶縁膜(層)222の表面には、上述した配線パターン105、105が形成されており、もって、上記バンプ207、207を介して、その上に半導体LEDチップ202を搭載する。なお、これら半導体LEDチップ202を上記透光性基板201の上に搭載した後、その間に形成される間隙は、そのままその内部に空気を充填したままにしてもよく、又は、シリコン等の樹脂を充填してもよい。即ち、この間隙を光が通過しやすい構造とすることが重要である。
【0018】
そして、上述の構成によれば、図に矢印によって示すように、上記半導体LEDチップ202で発生されて電極211、211間の隙間から漏れ出した一部の光が、透光性の上側の絶縁膜(層)222、遮光膜212の孔(ピンホール)213を通過し、更には、透光性の下側の絶縁膜(層)221を通過した後、半導体基板201に形成した光センサ223の検出面に照射される。その際、図に点線で示すように、上記半導体LEDチップ202の下面側から漏れ出した光は、上記遮光膜212に形成された孔(ピンホール)213による、所謂、ピンホールレンズ効果によって、より多くの漏洩光が集光されて光センサ223の検出面に照射されることとなる。なお、上記の遮光膜212は、例えば、Alを蒸着することによって形成されており、更に、その略中央部には、所定の径(例えば、直径10μm又はそれ以下)の円形の孔(ピンホール)213が開口されている。
【0019】
図5には、上述した透光性の基板201の一部を切り出して拡大・展開して示す一部拡大・展開斜視図を示す。なお、この図からも明らかなように、上記の基板201は、例えば、以下のようにして製造される。
【0020】
まず、上記透光性の基板201、例えば、Si基板を用意し、その一方の面上の所定位置(単数、又は、複数)に、上記光センサ223(単数、又は、複数)を図示しない配線と共に形成する。その後、その上面に、例えば、上述したプラズマCVD等により、透光性の下側絶縁膜(層)221を形成する。次に、上記透光性の絶縁膜(層)221の上面には、例えば、Alを蒸着することにより、上記光センサ223と対応する所定の位置に、孔(ピンホール)213を含む遮光膜212を形成する。続いて、上記下側絶縁膜(層)221の上面、即ち、上記遮光膜212を形成した面の上に、やはり、例えばプラズマCVD等により、透光性の縁膜(層)、即ち、上側絶縁膜(層)222を積層して形成する。更に、このようにして形成された基板の上面に、上記の配線パターン105、105を形成して上記透光性の基板201を完成する。
【0021】
なお、この図においても、半導体LEDチップ202の下面側から漏れ出した光(矢印)が、上記基板201の上面に形成された上記の構造を有する酸化シリコンの絶縁層204内において、遮光膜212の孔(ピンホール)213によるピンホールレンズ効果によって集光されて光センサ223の検出面に照射される様子が、点線により示されている。なお、この光センサ223によって検出された光は、電気信号として、図示しない配線パターンを介して、上記半導体基板201の外部に導かれる。
【0022】
以上に詳細に説明した半導体光源装置、特に、上記の半導体基板201によれば、その表面に多数搭載した半導体発光ダイオード(LED)チップ202の動作、即ち、発光状態を、直接、光として、当該チップの下方に配置された光センサ223によって検出することが出来る。なお、上記のようにして検出した光は、上記光センサ223から電気信号として取り出すことが可能であり、この検出信号を利用することにより、例えば、光源装置の状態を監視し、又は、故障により発光を停止した光源モジュールを検出して警報を発したりすることが可能となる。
【0023】
なお、上記の半導体基板201では、その光センサ223、更には、当該光センサに対応して絶縁層間に設けられる孔(ピンホール)213を含む遮光膜212を、当該基板の表面に搭載される半導体発光ダイオード(LED)チップの全てに対して設けてもよい。この場合、複数の発光ダイオードチップを備えた光源装置100の各発光素子の動作状態について、詳細に監視することが可能となる。かかる構成に代えて、又は、例えば、多数配列されたLEDチップの各列について所定の数だけ設ける構造、又は、所定の数の行と列の半導体発光ダイオード(LED)チップを単位とすることも可能である。なお、かかる構成によれば、半導体基板201に形成する光センサ223や孔(ピンホール)213を含む遮光膜212の数を低減することが可能となり、より経済的な透光性の基板201を得ることが可能となる。
【0024】
更に、添付の図6には、本発明の他の実施形態になる光源装置100の一部を拡大した側面断面を示している。即ち、図6(a)において円Cで示すように、その表面に多数の半導体発光ダイオード(LED)チップが搭載される上記半導体基板201の上端部における拡大断面が、図6(b)に示されている。即ち、この他の実施形態になる光源装置では、上述した実施の形態とは異なり、光センサ223や孔(ピンホール)213を含む遮光膜212が、上記半導体基板201の端部において、その表面の絶縁層204内に形成されている。更に、この他の実施形態になる上記半導体基板201の表面、より具体的には、上記透光性の上側基板222の表面には、図にも示すように、形成された光センサ223や孔(ピンホール)213を含む遮光膜212の位置に対応して、所謂、色フィルター膜230が形成されている。
【0025】
即ち、上記に説明した他の実施形態になる透光性の基板201の構造(例えば、上記の構成を光源モジュールの各端面に設ける)によれば、孔(ピンホール)213形成した遮光膜212を含む光センサ223の数を大幅に低減することが可能となり、即ち、経済的に有利となる。加えて、上記透光性の上側絶縁膜(層)222の表面に設けた色フィルター膜230により、上記光センサ223により検出する光の波長を適宜選択することが可能となり、例えば、光源モジュールからの特定の波長の出力状態を監視する場合において有利となる。
【0026】
なお、上述した実施の形態においては、ピンホールレンズ効果を生じるため、孔(ピンホール)213が上記遮光膜212に形成されるものとして説明したが、しかしながら、本発明では、これに限ることなく、上記の円形の孔に代えて、例えば、スリット状の間隙(図5の一点鎖線を参照)として形成しても、上記と同様の効果を得ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の一実施の形態になる光源装置の全体構造を示す側面断面である。
【図2】前記光源装置のLED光源モジュールを示すため、その一部表面を拡大して示す一部拡大斜視図である。
【図3】上記図2に示したLED光源モジュールのA−A断面を拡大して示す一部拡大断面図である。
【図4】上記LED光源モジュール一部を切り出して拡大して示す断面図である。
【図5】上述した半導体基板一部を切り出して拡大・展開して示す一部拡大・展開斜視図である。
【図6】本発明の他の実施形態になる光源装置一部を拡大した側面断面、及び、その端部における拡大断面を示す断面図である。
【符号の説明】
【0028】
100 光源装置
105 配線パターン
200 LED光源モジュール
201 半導体基板
202 半導体LEDチップ
207 バンプ
211 電極
212 遮光膜
213 孔(ピンホール)
221 下側の絶縁膜(層)
222 上側の絶縁膜(層)
223 光センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の一方の表面上に複数の発光ダイオードチップを搭載してなる光源装置であって、前記基板は透光性を有し、その一部には、前記一方の表面に搭載した複数の発光ダイオードチップの少なくとも一部からの光を検出するための光センサ部を形成したことを特徴とする半導体光源装置。
【請求項2】
前記請求項1に記載した半導体光源装置において、前記基板における前記光センサ部の形成部に対応して、ピンホールレンズ効果を得る間隙を備えた遮光膜が形成されていることを特徴とする半導体光源装置。
【請求項3】
前記請求項2に記載した半導体光源装置において、前記ピンホールレンズ効果を得る間隙は、円形の孔であることを特徴とする半導体光源装置。
【請求項4】
前記請求項1に記載した半導体光源装置において、更に、前記基板の一部の表面には、色フィルター膜を形成したことを特徴とする半導体光源装置。
【請求項5】
前記請求項1に記載した半導体光源装置において、前記光センサ部は、当該基板の端部に形成されていることを特徴とする半導体光源装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−188999(P2007−188999A)
【公開日】平成19年7月26日(2007.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−4633(P2006−4633)
【出願日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【出願人】(000005474)日立ライティング株式会社 (130)
【Fターム(参考)】