説明

印刷システム及び印刷装置並びに印刷方法、印刷方法を実行するプログラム

【課題】 第1の印刷装置と第2の印刷装置を接続するシステムにおいて、第2の印刷装置内での画像データの生成が第1の印刷装置の排紙よりも遅くなると、オーバーランが起きる。
【解決手段】 第1の色材を用いて印刷を行う第1の印刷装置の排紙部と、第2の色材を用いて印刷を行う第2の印刷装置の給紙部が接続された印刷システムにおいて、第1の印刷装置は、入力された印刷データから、第1の印刷データと第2の印刷データを生成し、第2の印刷データを第2の印刷装置に送信する。そして、第1の印刷データに対して画像処理を施して第1の画像データを生成し、これを第1の色材を用いて用紙に印刷して排紙する。第2の印刷装置は、第1の画像データが印刷され排紙された用紙を給紙し、第1の画像データと同じ印刷データから生成された第2の印刷データに対して画像処理を施して第2の画像データを生成し、第2の色材を用いて印刷することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の印刷装置を用いて、1枚の用紙に第1のトナーと第2のトナーを用いて画像を形成する印刷システム及び印刷装置並びに印刷方法、印刷方法を実行するプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、特殊記録剤であるクリアトナーを用いた電子写真装置が提案されている。クリアトナーとは透過性がある画像を付加する特徴を有する透明記録剤である。
【0003】
このクリアトナーを用いることで、様々な表現ができるようになり、出力物の付加価値が向上する。CMYK等の有色トナーの他にクリアトナーを付加する仕組みを1台の電子写真装置に組み込み、クリアトナーを使った出力物の作成を可能にする電子写真装置がある。しかしこのような装置において、クリアトナーのような特殊記録剤を用いて印刷をする際に、従来の4色トナーでの印刷と比較して、印刷に使用される総トナー量が大幅に増えてしまうという点が挙げられる。
【0004】
特に電子写真方式のカラー印刷に適応した場合、従来のC、M、Y、Kの4色トナー像に加え、特殊記録剤像が中間転写体上に形成され、それをさらに用紙上に転写する必要がある。
【0005】
各々の電子写真プロセスにおいて印刷のために必要なトナーの量であるトナー載り量が増えることにより、各々のプロセスに負荷が大きくかかることになる。
【0006】
この課題に対して、例えば特許文献1において、特殊記録剤により記録可能な載り量をC、M、Y、Kの4色トナーの載り量から算出する方法が開示されている。
【0007】
しかしながら、特許文献1で示された方法のように特殊記録剤の載り量を算出すると、特殊記録剤の載り量が0になってしまう場合がある。
例えば、4色トナーの合計の載り量が、印刷装置の許容する良好に用紙上に定着可能な総載り量を上回る場合である。
このような場合、ユーザが特殊記録剤を用いた印刷を指示しても、ユーザ指示に従った特殊記録剤を用いた印刷ができないため、特殊記録剤による視覚的な効果を得ることができない。
【0008】
この課題に対して、特許文献2では、1回の定着により上記のユーザの指示に従った特殊記録剤を用いた印刷ができないと判断すると、特殊記録剤像の形成方法を変更する。
【0009】
まず、特殊記録剤以外のトナーを用いて印刷、定着して用紙を出力する。そして、トナーを用いて印刷された用紙上に、特殊記録剤を用いて印刷、再び定着をする。この2回定着を行う印刷を2パス印刷と呼ぶ。
2パス印刷を用いると、印刷装置が許容する総載り量を考慮した上で決まった特殊記録剤の量以上の特殊記録剤を用いて印刷することが可能になる。このため、ユーザが所望する特殊記録剤による視覚的効果を有した出力物を得ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2007-011028号公報
【特許文献2】特開2008−139589号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
このようにクリアトナーに対応した仕組みを導入することでトナー量の制限などの問題を解消することが可能となる。しかし、クリアトナーを使用しないユーザに対してはクリアトナーに特化した仕組みはコストや機能等の観点で無駄である。
【0012】
そこで有色トナーを使う印刷装置と特殊記録剤を使う印刷装置を別体とし、有色トナーを使う第1の印刷装置の排紙部と特殊記録剤を使う第2の印刷装置の給紙部を接続し特殊記録剤を使った出力物の作成が一括で行えるシステムを構築する。そして、例えば、特殊記録剤を用いた印刷を行うユーザに対しては有色トナーを使う印刷装置と特殊記録剤を使う印刷装置を接続したシステムを提供する。特殊記録剤を使用しないユーザに対しては有色トナーを使う印刷装置のみ提供する。このように2つの印刷装置を接続する仕組みを作ることで、ユーザの要望に応じたシステムの構築が可能となる。
【0013】
しかしながら、第1の印刷装置と第2の印刷装置を接続するシステムにおいて、第2の印刷装置内での画像データの生成が第1の印刷装置の排紙よりも遅くなると、オーバーランが起きてしまうという課題がある。オーバーランとは、画像データを印刷する際に、画像データ生成の終了時間が印刷開始時間よりも遅くなることにより、画像データ生成が不完全な状態で印刷を開始してしまうことである。つまり印刷開始に対して画像データ生成が間に合わない状態のことである。オーバーランによって、紙詰まり、もしくは、用紙の途中から印刷が途切れる印刷不良が起こり得る。
【0014】
例えば、第2の印刷装置においてクリアトナーを用いた印刷に必要なデータ(以下、クリア画像データ)の転送や生成に時間がかかる場合、第1の印刷装置において画像データの生成、印刷が行われ、第2の印刷装置へ搬送された紙に対して印刷が間に合わない。
【0015】
そして、第2の印刷装置が印刷出来ないにもかかわらず、第1の印刷装置がさらに次の紙に対して有色トナーを用いて印刷し、第2の印刷装置に給紙をすると、紙詰まりが起きてしまう。
【0016】
この紙詰まりを避けるために、第2の印刷装置においてクリア画像データが生成されていないうちに第2の印刷装置へ印刷用紙が搬送され、印刷が開始されてしまうとオーバーランが生じる。この場合、クリア画像データが印刷されないままの排紙、もしくは、クリア画像データの印刷位置のずれ、もしくは、クリア画像データを印刷するページのずれ等の印刷不良が起きてしまう。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上述した課題を解決するために、本発明の印刷システムは、第1の色材を用いて印刷を行う第1の印刷装置の排紙部と、第2の色材を用いて印刷を行う第2の印刷装置の給紙部が接続された印刷システムであって、前記第1の印刷装置は、入力された印刷データから、第1の印刷データと第2の印刷データを生成する手段、前記第2の印刷データを前記第2の印刷装置に送信する手段、前記第1の印刷データに対して画像処理を施して第1の画像データを生成し、該第1の画像データを第1の色材を用いて用紙に印刷して該用紙を前記排紙部から排紙する手段を有し、前記第2の印刷装置は、前記第1の画像データが印刷され、前記排紙する手段から排紙された用紙を前記給紙部から給紙し、該用紙に前記第1の画像データと同じ印刷データから生成された前記第2の印刷データに対して画像処理を施して第2の画像データを生成し、該第2の画像データを前記第2の色材を用いて印刷する手段、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によって、複数の印刷装置で1つの画像を作成することができる。またこの際、後段の印刷装置による画像データ生成処理にかかる時間が、前段の印刷装置による印刷処理にかかる時間よりも長くなっても、オーバーランが発生しない。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】印刷システムのブロック図の例である。
【図2】実施例1のプリント動作を説明するためのフローチャートである。
【図3】実施例1のコピー動作を説明するためのフローチャートである。
【図4】実施例1のプリント動作を説明するためのタイミングチャートである。
【図5】実施例2のプリント動作例を説明するためのフローチャートである。
【図6】実施例3のプリント動作例を説明するためのフローチャートである。
【図7】画像データの例である。
【図8】有色印刷の時間の予測をするためのマトリックスである。
【図9】実施例4のプリント動作を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明を実施するための最良の形態について図面を用いて説明する。
【0021】
実施例では、特殊記録剤としてクリアトナーを用いるが、用いる記録剤はこれに限らない。例えば、クリアトナーの他にも淡トナーやレッドやグリーン等の特色トナー、透明インク等の他の透明記録剤を用いてもよい。
【0022】
また、クリアトナーとは、透過性がある画像を付加する特徴を有する透明記録剤である。このクリアトナーを用いて印刷が行われた領域は見えにくい。また、クリアトナーを用いると、有色トナーのみ用いて行われた印刷とは異なった光沢感やつや感を表現することができる。
【0023】
印刷装置としては、コピー、プリンタ、FAXなどの複数の機能を1台で実現するマルチファンクション複合機(以下、MFPという)を例に説明するが、これに限らず入力された画像データを印刷出力できる装置であればよい。
【実施例1】
【0024】
同一の用紙上に第1の色材を用いた印刷を行う第1の印刷装置と第2の色材を用いた印刷を行う第2の印刷装置を用いて印刷する際、第2の印刷装置において、オーバーランを抑制するための解決手法の1つとして、本実施例1について説明する。
【0025】
図1は本実施例におけるシステムの構成図である。第1の印刷装置であるMFP101と第2の印刷装置であるMFP121はネットワーク120を介して接続されている。第1のMFP101では第1の色材を用い、ここでは有色トナーを用いた印刷を行う。また、この第1のMFP101で用いる色材は有色トナーに限定されず、モノクロトナー等であってもよい。同様に第2のMFP121では第2の色材を用い、ここでは特殊記録材としてクリアトナーを用いた印刷を行う。また、この第2のMFP102で用いる色材はクリアトナーに限定されず、他の特色トナー等であってもよい。
第1のMFP101の排紙部114と第2のMFP121の給紙部126は接続部136を介して接続されている。よって第1のMFP101から排紙された用紙は、自動的に第2のMFP121へ給紙可能である。
もし、第1のMFP101によって印刷が終了した用紙が、印刷終了後、順に接続部136に積載されると、第2のMFP102が、接続部136に複数積載された用紙から給紙を行う際に、積載された用紙の一番下に排紙された用紙を抜き取らなくてはならない。この場合、給紙が上手くいかず、ジャムが発生したり、印刷順の整合が取れなくなる恐れがある。
【0026】
よって、接続部136では以下のように、排紙と給紙のタイミングを制御する。
第1のMFP101のプリンタ112による印刷が終了し、有色トナーによって印刷された1枚の用紙が排紙部114に排紙され、そのまま接続部136に搬送される。
すると、第1のMFP101のプリンタ112による印刷が終了し新たに印刷された用紙が排紙部114に排紙される前に、第2のMFP121は接続部136上に置かれた用紙を給紙する。これにより、接続部136上には用紙が複数積載することがない。このように、第1のMFP101から第2のMFP121に用紙が搬送される。
【0027】
PC138はネットワーク137を介して第1のMFP101と接続されている。PC138内のドライバ139は第1のMFP101と第2のMFP121を有色トナーとクリアトナーを使う1つの印刷システムとして認識し、印刷データを送信する。この印刷データには、後述する中間言語データを生成するために必要なデータと、これらの中間言語データを印刷後、印刷物に対してどのような後処理(フィニッシング処理等)を行うか示したデータが含まれる。
【0028】
図1に示すシステムでは、有色トナーを用いた印刷とクリアトナーを用いた印刷を1度の指示で実行することができる。
【0029】
この第2のMFP121で印刷されるクリア画像データは用紙全面に印刷することが可能である。また、プリント処理またはコピー処理時に特定の色データを指定し、その指定部分上のみにクリアトナーを用いた印刷をしたり、特定のオブジェクトのみに部分的にクリアトナーを用いた印刷をすることもできる。
【0030】
有色トナーを用いる第1のMFP101について詳細に説明する。ネットワークI/F119では印刷データ等の受信や後述するラスター画像や制御データ等の送信を行う。コントローラ102はCPU103やレンダラ109、画像処理部111で構成される。CPU103は、インタプリタ104、ソフトレンダラ104のソフト処理を制御する。CPU103のインタプリタ104は受信した印刷データのPDL部分を解釈し、中間言語データ(カラー)105を生成する。レンダラ109は生成した中間言語データ(カラー)105からラスター画像(カラー)110を生成する。画像処理部111はラスター画像(カラー)110やスキャナ116で読み込んだ画像のデータに対して画像処理を行う。画像処理が行われた画像データを「有色画像データ」と呼ぶ。
【0031】
コントローラ102と接続されたプリンタ112はシアン・マゼンタ・イエロー・ブラック等の有色トナーを用いて給紙された用紙上に出力データに応じた画像を形成するプリンタである。プリンタ112は印刷に用いる用紙給紙を行う給紙部113と有色画像データを形成した用紙を排紙する排紙部114を持つ。表示装置115はユーザへの指示や第1のMFP101の状態を示すUIを表示する。スキャナ116はオートドキュメントフィーダーを含むスキャナである。スキャナ116は複数のあるいは一枚の原稿画像を図示しない光源で照射し、原稿反射像をレンズで等の固体撮像素子上に結像し、固体撮像素子からラスター状の画像読み取り信号を画像データとして得る。入力装置117はユーザからの入力を受け付けるためのインタフェースである。記憶装置118はコントローラ102で処理されたデータ等を保存する。
【0032】
インタプリタ104は印刷データ中にクリアトナーを用いて印刷する指示が含まれている場合、第1の印刷データである中間言語データ(カラー)105の他に第2の印刷データである中間言語データ(クリア)106を生成する。この中間言語データのデータ形式の例として、ある指定部分に対してクリアトナーを用いた印刷を指示するために用いる「名前付きプロファイル」を使用する。このデータ形式を用いた処理について説明する。アプリケーションを用いて、ある入力色に対して特定の文字列を対応させると、その文字列に対応した名前付きプロファイルが選択される。よって、PC138のドライバ139にて、特定の文字列をクリアトナーと対応させると、対応した名前付きプロファイルが選択され、クリアトナーを用いた印刷を望む部分に対して、クリアトナーの選択指示が可能となる。インタプリタ104はクリア指定された部分のみを抽出してレイヤーを作成することで、中間言語データ(クリア)106を作成する。そしてソフトレンダラ107は中間言語データ(クリア)106をラスター画像(クリア)108に変換する。以上のようにして生成したラスター画像(クリア)108を第1のMFP101はネットワーク120を介して第2のMFP121へ送信する。
【0033】
クリアトナーを用いた印刷を望む部分に対して指示する方法として名前付きプロファイルを挙げたが、クリアトナーを用いた印刷を指示するラスター画像108(クリア)が生成できればどのようなものであってもよい。また、第1のMFP101はネットワーク120を介して制御データ140を第2のMFP121へ送信する。ここで制御データ140とはユーザからドライバ139を介して設定された枚数や用紙サイズ、メディア種類、フィニッシャ設定などの情報である。
【0034】
次にクリアトナーを用いる第2のMFP121について詳細に説明する。ネットワークI/F135はネットワーク120を介してネットワークI/F119と接続されており、第1のMFP101と第2のMFP121間でデータの送受信を行う。
コントローラ122はCPU123、画像処理部124で構成される。コントローラ122と接続されたプリンタ125はクリアトナーを用いて用紙上に印刷をするプリンタである。プリンタ125は用紙の給紙を行う給紙部126と出力データを形成した用紙を排紙する排紙部127を持つ。給紙部126は接続部136を介して第1のMFP101の排紙部114と接続されており、第1のMFP101から排紙された用紙を自動的に給紙する。この給紙方法については上述した。フィニッシャ128はソートやステイプル等の機能を持つ。プリンタ125の排紙部127とフィニッシャ128の給紙部129は接続されており、ソートやステイプル等のユーザから指定された処理を行った後に排紙部130を用いて出力する。表示装置131、スキャナ132、入力装置133、記憶装置134については第1のMFP101内のものと同様なので説明を省略する。
【0035】
第2のMFP121は第1のMFP101からラスター画像(クリア)108と中間言語データ(カラー)105に関連付けられた制御データ140を受け取る。これにより、同一の用紙上に印刷されるカラー画像データとクリア画像データ同士の紐付けを行うことができる。そして、画像処理部124によってラスター画像(クリア)108に対して処理が施され、制御データ140を用いてプリンタ125やフィニッシャ128の制御が行われる。
【0036】
また、上述したデータの流れでは、第1のMFP101のコントローラから第2のMFP121のコントローラへ、ラスターデータ(クリア)が送信されていた。これは、中間言語データのレンダリングが第1のMFP101内で行われたためである。しかし、第2のMFP121のコントローラ内に、クリア用のレンダラがあれば、第1のMFP101から第2のMFP121へ中間言語データ(クリア)を送信し、第2のMFP121でラスターデータ(クリア)を生成してもよい。この場合、第1のMFP101内では、中間言語データ(クリア)のレンダリングを行わない。
【0037】
よって、MFP101内でカラーデータもクリアデータもレンダリングされる場合、第1の印刷データをラスターデータ(カラー)、第2の印刷データをラスターデータ(クリア)、とする。そして、第1の画像データはラスターデータ(カラー)に画像処理を施したデータ、第2の画像データはラスターデータ(クリア)に画像処理を施したデータとする。
【0038】
一方、MFP121内でクリアデータをレンダリングする場合、第1の印刷データを中間言語データ(カラー)、第2の印刷データを中間言語データ(クリア)とする。
【0039】
そして、第1の画像データはラスターデータ(カラー)、第2の画像データはラスターデータ(クリア)とする。
【0040】
以下の説明では、MFP101内でクリアデータをレンダリングするため、第1の印刷データをラスターデータ(カラー)、第2の印刷データをラスターデータ(クリア)とする。
【0041】
次に本実施例のシステムにおいてPC138からドライバ139を用いてプリント処理を実行する際の流れについて図2を用いて説明する。
【0042】
ステップS201からステップS213までの処理に係るプログラムは第1のMFP101の記憶装置118に格納されており、不図示のRAMに呼び出されCPU103によって実行される。また、ステップS214からステップS218までの処理に係るプログラムは第2のMFP121の記憶装置134に格納されており、不図示のRAMに呼び出されCPU123によって実行される。
【0043】
まず、ステップS201でコントローラ102はPC138から送られた印刷データを取得する。前述の通り、PC138は、例えば印刷データを送る際に印刷データのうち、クリア印刷を望む部分を名前付きプロファイルに関連付けることで特定の色やオブジェクトに対してクリア指示が可能である。次に、CPU103は印刷データ中の名前付きプロファイル等を参照してステップS202にてクリアトナーによって印刷が指示されているデータ(以下、クリアジョブと呼ぶ)であるか否か判定する。クリアジョブではない場合は、ステップS203にてインタプリタ104が中間言語データ(カラー)105を作成する。さらにステップS204にてレンダラ109がレンダリングを行い、ラスター画像(カラー)110を作成する。そしてステップS205にて画像処理部111が画像処理を実行する。そしてステップS206にてプリンタ112がCMYKの有色トナーを用いて画像データを用紙上に出力する。次にステップS207にてCPU103はネットワークI/F119を介して第2のMFP121のコントローラ122へ制御データ140を送信する。第2のMFP121ではステップS214にて制御データ140を参照して給紙及び排紙処理を行う。ここでは、この印刷データはステップS202にてクリアジョブではないと判定されているので、クリアトナーは使用しない。最後にステップS217にて制御データ140に基づいてフィニッシャ128は給紙及び出力を行う。ここで制御データ140にソート等の処理が指定されていた場合はその指示に従ってフィニッシャ128が処理を行う。
【0044】
一方、ステップS202にてクリアトナーを用いた印刷の指示を含んだクリアジョブが印刷データに含まれると判定された場合はステップS208に進む。そこでインタプリタ104は中間言語データ(カラー)105と中間言語データ(クリア)106を生成する。
そしてステップS209にてレンダラ109は中間言語データ(カラー)105をレンダリングして第1の印刷データであるラスター画像(カラー)110を生成する。そのラスター画像(カラー)に対し、ステップS210で画像処理を施し、有色画像データを生成する。そして、ステップS211に進む前にステップS219にすすむ。そこで、「第2のMFP121にて、第2の印刷データであるラスター画像(クリア)108に対して画像処理が施され、第2の画像データであるクリア画像データの生成が完了しているか否か」について情報を取得する。
【0045】
これは、クリア画像データ生成までにかかる時間が、有色画像データが印刷されるまでにかかる時間より長くなる可能性があるためである。
【0046】
クリア画像データ生成までにかかる時間が長くなる主な原因は、第1のMFP101において、中間言語データ(カラー)のレンダリングはハードのレンダラ109で行われるのに対し、中間言語データ(クリア)のレンダリングはソフトレンダラ107で行われる。このため、中間言語データ(クリア)のレンダリングは、中間言語データ(カラー)のレンダリングより処理時間がかかることが多い。
【0047】
また、ネットワークを用いて第1のMFP101と第2のMFP121間でデータの送受信を行うが、この際ネットワーク中にCPUが介在するため、データの転送に時間がかかることがある。
【0048】
よって、有色画像データが印刷されるまでに、クリア画像データ生成が完了しているか否かについて情報を取得する必要がある。
【0049】
この情報の取得方法は、クリア画像データ生成の状況を第1のコントローラ102が、第2のコントローラ122に問い合わせてもよい。又は、第2のコントローラ122が、第1のコントローラ102にクリア画像データ生成の完了を通知してもよい。第2のコントローラ122が、第1のコントローラ102にクリア画像データ生成の完了の予定時間を通知しても良い。
【0050】
そして、クリア画像データの生成が完了していると判断されてから、ステップS211に進み、ステップS211にてプリンタ112がCMYKの有色トナーを用いて有色画像データを用紙上に印刷する。次にステップS212にてCPU103はネットワークI/F119を介して第2のMFP121のコントローラ122へ制御データ140を送信する。一方、ステップS213にてソフトレンダラ107は中間言語データ(クリア)106をレンダリングしてラスター画像(クリア)108を生成し、第2のMFP121へ送信する。ステップS215にて第2のMFP121は制御データ140を参照して接続部136を介して、排紙されてきた有色トナーが印刷済みの用紙の給紙を行う。一方、ステップS218にて画像処理部124はラスター画像(クリア)108に対して画像処理を行い、クリア画像データの生成が行われる。ここで行われる画像処理とは、ラスター画像(クリア)108を、クリアトナーを印字するエンジンのエンジン特性に合わせたデータに生成するために必要な画像処理である。例えばスクリーン処理等が含まれる。
【0051】
そしてステップS216にてプリンタ125は給紙された用紙上にクリアトナーを用いてこのクリア画像データを印刷する。最後にステップS217にて制御データ140に基づいてフィニッシャ128にて給紙及び印刷を行う。以上のように第1のMFP101と第2のMFP121を用いることでドライバ139から1回の指示でCMYKの有色トナーによって印刷された画像とクリアトナーによって印刷された画像を同一の1枚の用紙上に印刷することが可能となる。
【0052】
また、中間言語データ(クリア)の段階で第2のMFP121へ送信が行われた場合、ステップS213は、第2のMFP121のコントローラ122で実行される。
【0053】
2ページ目以降は、以上説明したそれぞれの処理において、入力データの準備が出来、かつ、それぞれの処理要素が処理可能な時に処理する。例えば、図1のハードレンダラ109において、ハードレンダラ109が次のページの処理を実行可能な場合、ハードレンダラ109は次のページの処理を行う。次のページの処理を実行可能な場合とは、例えば、インタプリタ104からの入力データ(カラー中間言語105)が用意され、かつ、ハードレンダラ109内の不図示の演算回路および不図示のメモリが空いている場合などである。このように、各ページの処理を並行動作させることで、システム全体の処理速度を向上することが出来る。
【0054】
ここで、説明のため、各処理は、ページ単位で並行に動作すると説明したが、必ずしもページ単位に限定する必要は無い。例えば、各処理は、1ページをいくつかに分割したバンド単位で並列に処理しても良い。または、各処理は、数ページをまとめたジョブ単位に処理を行っても良い。また、これらの処理単位はシステム内で統一する必要はなく、それぞれ処理しやすい単位で処理して良い。例えば、ネットワークI/Fでは、1つの印刷データを一度に受信し、インタプリタ104でページ毎に中間言語データ105・106を生成し、レンダラ107・109・151でバンド単位にラスター画像108を生成しても良い。
【0055】
以上説明したように、MFP101及びMFP121の各処理要素で並列に処理を行い、プリンタ112が有色トナーを用いて印刷をする前に、クリアトナーを用いた印刷のための画像処理の終了を待ってから印刷を行うことで、オーバーランを防ぐことが出来る。
【0056】
次に、図4のタイミングチャートを用いて、図1に示した構成を持つ本実施例のプリント動作例を説明する。図4は、本実施例のプリント動作例を説明するためのタイミングチャートである。図4において、t400はコンピュータ138からネットワークI/F119が印刷データを受信する期間(T0〜T1)である。
t401−1はt400で受信した印刷データから第1のコントローラ102が1ページ目の有色画像データを生成する期間(T2−1〜T3−1)である。
t401−2は同様にt400で受信した印刷データから2ページ目の有色画像データを生成する期間(T2−2〜T3−2)である。t401−3は同様にt400で受信した印刷データから3ページ目の有色画像データを生成する期間(T2−3〜T3−3)である。t401−1において、1ページ目の有色画像データを生成した後、t401−2において、2ページ目の有色画像データを生成し、その次にt401−3において、3ページ目の有色画像データを生成する。以下、同様に、印刷データのページが存在する分だけ、有色画像データの生成を繰り返す。
t402はt400で受信した印刷データから、中間言語データ(クリア)106、ラスター画像(クリア)108を生成し、これをネットワーク120経由で第2のMFP121におけるネットワークI/F 135に転送する期間(T4〜T5)である。
【0057】
または、中間言語データ(クリア)106のレンダリングを第2のMFP121で行う場合は、中間言語データ(クリア)を生成し、これをネットワーク120経由で第2のMFP121におけるネットワークI/F 135に転送する期間(T4〜T5)である。
【0058】
ここで、上記では、印刷データの全ページを第1のMFP101のコントローラ102から第2のMFPのコントローラ122へ一度に転送するとしたが、これに限定する必要は無く、各ページまたは各バンドに分割して、生成したデータを転送しても良い。
t403−1は第2のコントローラ122がt402で受信したラスター画像(クリア)108又は、中間言語データ(クリア)106から1ページ目のクリア画像データを生成する期間(T6−1〜T7−1)である。
t403−2は同様にt400で受信したデータから2ページ目のクリア画像データを生成する期間(T6−2〜T7−2)である。t403−1において、1ページ目のクリア画像データを生成した後、t403−2において、2ページ目のクリア画像データを生成する。以下、同様に、印刷データのページが存在する分だけ、クリア画像データの生成を繰り返す。
t404−1はt401で生成した1ページ目の有色画像データを第1のプリンタ312が有色トナーで印刷する期間(T8−1〜T9−1)である。t404−1は図2のS219で説明したように、クリア画像データの生成が完了したと判断されてから開始され、有色トナーによって1ページ目の印刷が開始される。
t405−1はt403−1で生成した1ページ目のクリア印刷データを第2のプリンタ125でクリアトナーを用いて印刷する期間(T10−1〜T11−1)である。以下、有色画像データの印刷、クリア画像データの印刷を印刷データのページ数、繰り返す。図4は2ページ目以降の印刷を省略しているが、もちろん、印刷データに指定されたページ数分、有色画像データの印刷、クリア画像データの印刷を続ける。また、t403−1(クリア画像データの生成)終了とt404−1(有色印刷)開始にはブランクがある。このブランクは、第1のMFP101がクリア画像データ生成終了の判断をしている期間であり、この期間は限り無く0にすることも可能である。
t404−1(有色画像データの印刷)終了とt405−1(クリア画像データの印刷)開始にもブランクがある。このブランクは、第1のMFP101にて有色印刷が終了した用紙が第2のMFP121に搬送される期間を表している。
【0059】
このように、図1に示すシステムが図2に示すプリント動作を行う際、図4のように動作する。つまり、有色画像データを生成したコントローラ102は、コントローラ122によるクリア画像データ生成が完了した後、有色画像データの印刷を開始させる。その後にコントローラ122はクリア画像データの印刷を開始させるので、クリアトナーによる印刷がオーバーランしない印刷システムを実現出来る。
【0060】
図2では、本実施例のシステムにおいてプリント処理を実行する際の流れについて説明したが、図3では本実施例のシステムにおいてコピー処理を実行した際の流れについて説明する。ステップS301からステップS312までの処理に係るプログラムは第1のMFP101の記憶装置118に格納されており、不図示のRAMに呼び出されCPU103によって実行される。また、ステップS313からステップS317までの処理に係るプログラムは第2のMFP121の記憶装置134に格納されており、不図示のRAMに呼び出されCPU123によって実行される。ステップS301にてコントローラ102はスキャナ116で取得した画像を受信してRGB画像302を得る。
【0061】
そして、例えば第1のMFP101の表示装置115にて画像中の特定オブジェクト上にクリアトナーを印字するか指示するコピーボタンを表示する。そして、ユーザからコピー指示されたコピー対象の画像にクリアトナーを付加するクリアコピージョブかをステップS303で判定する。クリアトナーを付加しないデータいないと判定された場合は、ステップS304にて画像処理部111が画像処理を行い、CMYK画像(2値)305を印刷する。
【0062】
一方、クリアコピージョブであると判定された場合は、まずステップS308にて画像処理部111が画像処理を行い、CMYK画像(2値)309を印刷する。また、ステップS308にて画像処理実行時にクリアトナーによる印刷が指示されている領域に関するデータを作成する。
【0063】
例えば、上述したようにコピー対象となる原本上に存在する特定のオブジェクトに対してのみクリアトナーによる印刷が指示されているとする。ここでは、特定のオブジェクトがテキストの場合、原稿中の文字部分の判定を行い、文字判定データ310を取得する。文字部分の判定については公知の技術であるため説明を省略する。文字部分の判定データを使うことで原稿中の文字部分のみクリアトナーを付加することが可能となる。本実施例では特定のオブジェクトに対してクリアトナーを付加するための画像データの一例として文字判定データを用いたが、他にも例えば特定の色相のオブジェクトのみ抽出してクリアトナーを付加する等とのようにオブジェクトにクリアトナーを付加してもよい。
【0064】
文字判定データ310をクリアトナー用のラスター画像データとして第2のMFP121へ送信する。ステップS306〜S307はステップS206〜S207と同様であるため説明を省略する。また、ステップS310〜S311はステップS211〜S212と同様であるため説明を省略する。さらに、ステップS313〜S317はステップS214〜S218と同様であるため説明を省略する。
【0065】
コピー動作の時も、スキャン動作の時と同様に、ステップS318でステップS317における処理であるクリア画像生成の完了を待ってから、ステップS310でCMYKトナー印刷を行う。よってコピー動作の際も、ステップS315のクリアトナー印刷がオーバーランしない。
【0066】
以上説明したように、本実施例1によれば、第2のMFP121においてクリアトナーによる印刷を行うために生成されるクリア画像データが完成したと判断してから、第1のMFP101は有色画像データの印刷を行う。よって、第2のMFP121においてクリアトナー画像データの印刷がオーバーランしない。
【実施例2】
【0067】
以下、本実施例2について図面を用いて説明する。MFPのシステムのブロック図は、図1と同様であるので、説明を省略する。
【0068】
本実施例では、同じページを構成するクリア画像データと有色画像データのうち、先にクリア画像データの生成を開始し、このクリア画像データの生成が完了した後、同ページを構成する有色画像データの生成を開始することで、オーバーランを防止する。
【0069】
詳細について図5を用いて説明する。図5は、図1で説明したPC138および第1のMFP101と第2のMFP121から構成される印刷システムを用いたプリント動作について説明するためのフローチャートである。図5において、ステップS501でPC138から第1のMFP101と第2のMFP121から構成される印刷システムが印刷データを受信する。次にステップS502にて、第1のMFPコントローラ102は、生成しようとしている有色画像データと同ページのクリア画像データの生成が完了しているか判断する。
【0070】
同ページのクリア画像データの生成が完了していないと判断された場合、生成が完了したと判断されるまで待つ。同ページのクリア画像データの生成が完了したと判断されると、次のステップS504に進む。
ステップS504で、有色トナーを用いた印刷のための有色画像データを生成する。次にS505において、第1のMFP画像印刷装置112によって、有色トナーを用いた印刷を行う。
【0071】
また第1のMFPのコントローラ102の動作と並行して、ステップS503において第2のMFP121のコントローラ122で、クリアトナーを用いて印刷を行うためのクリア画像データを生成する。次にステップS506で、第1のMFP101による処理が終了した用紙が給紙されたか否かを判断する用紙が給紙されていないと判断された場合、給紙されるまで待つ。この間、次のページを構成するクリア画像データを生成してもよい。第1のMFP101による処理が終了した用紙が給紙された場合、次のステップS507に進む。
【0072】
次にS507において、第2のプリンタ125が、クリアトナーを用いてクリア画像データを印刷する。
S504で1ページ目の有色画像データの生成を行い、S505で有色画像を印刷する。1ページ目の有色印刷S505が完了し、有色印刷が完了した用紙が第1のMFP101から排紙される。この用紙を第2のMFP121が給紙すると、第2のコントローラはS506からS507へ進み、1ページ目のS507でクリア画像データを印刷する。2ページ目以降も同様に、上記動作を各ページ繰り返すことで、複数ページの印刷が出来る。このように図5のフローチャートに従えば、各ページの有色画像の印刷完了までに、各ページのクリア画像データの生成が完了しているので、オーバーランが起きない。
【0073】
以上説明したように、本実施例によれば、先にクリア画像データを生成し、この完了が判断されてから有色画像データの生成を行う。よって、有色画像データが形成され次第、有色画像データの印刷とクリア画像データの印刷が可能になる。よって、高速な印刷装置が実現出来る。
【実施例3】
【0074】
以下、実施例3について図面を用いて説明する。MFPのシステムのブロック図は、図1と同様であるので、説明を省略する。
【0075】
実施例3では、同一のページを構成するクリア画像データの生成に要する時間と有色画像データの印刷に要する時間を予測し、その予測結果を用いて、オーバーランを防止する。
まず、クリア画像データが生成されるまでに要する時間の予測結果と、有色画像データが印刷されるまでに要する時間の予測結果と比較する。この比較結果を用いて、クリア画像データが生成されるまでに要する時間の方が長い場合は、有色画像データの印刷前に待機時間を設ける。以下、詳細について説明する。
【0076】
図6は、図1で説明したPC138および、第1のMFP101と第2のMFP121から構成される印刷システムのプリント動作を説明するためのフローチャートである。図6のフローチャートで示す手順は、図1の第1のコントローラ102および第2のコントローラ122で実行される。図6において、ステップS701でPC138から印刷システムが印刷データを受信する。次に、ステップS708において印刷データを受信した第1のコントローラ102は、同ページを構成するクリア画像データが生成されるまでに要する時間と有色画像データが印刷されるまでに要する時間の予測をする。予測方法の詳細は後で説明する。
【0077】
ここで、クリア画像データが生成されるまでに要する時間の方が有色画像データの印刷に要する時間より短い場合は、直ちに有色画像データを生成し、印刷を開始する。
【0078】
一方、クリア画像データが生成されるまでに要する時間の方が有色画像データの印刷に要する時間より長い場合は、まずS702へ進み、有色画像データを生成する。
【0079】
次にS704で、予測したクリア画像データの生成時間を鑑み、クリア画像データ生成終了が有色画像データの印刷終了に間に合うように有色画像データの印刷のスタート時間を遅らせる。次にステップS705で、第1のプリンタ112が、有色トナーを用いて印刷を行う。
【0080】
この第1のコントローラ102の動作と並行して、ステップS709で第2のMFP121は、受信した印刷データからクリア画像データを生成するのに要する時間を予測する。第1のコントローラ102は、クリア画像データが生成されるまでに要する時間の予測結果を第2のコントローラから受信する。または、先ほど説明したようにS708にて、第1のコントローラ102が、有色画像データの印刷に要する時間とクリア画像データの生成に要する時間の両方の予測を行ってもよい。(この場合、ステップS709はスキップする。)
ここでの予測の方法の詳細は後で説明する。次にステップS703で、クリアトナーを用いた印刷のためのクリア画像データを生成する。次にステップS706で、第1のMFP101による処理が終了した用紙が給紙されるまで待つ。この間、次のページを構成するクリア画像データを生成してもよい。第1のMFP101による処理が終了した用紙が給紙されると場合、次のステップS707に進む。
【0081】
次に第2のプリンタ125で実行されるステップS707で、クリア画像データの印刷を行う。
【0082】
このように、各ページのクリア画像データの生成時間を予測して、その予測時間までに有色画像データの印刷が終わるように調整する。これにより、各ページの有色画像データの印刷完了までに、各ページのクリア画像データの生成が完了するので、オーバーランが起きない。
上記動作を各ページ繰り返すことで、複数ページの印刷が出来る。
【0083】
次に、クリア画像データの生成に要する時間の予測について、より詳細に説明する。
【0084】
この予測方法は、2つの方法が考えられる。1つ目の方法は、中間言語データ(クリア)が生成された段階において、ラスター画像(クリア)を生成するまでに要する時間を予測する方法である。2つ目の方法は印刷、データがラスター画像(クリア)である段階において、画像処理を施してクリア画像データにするまでに要する時間を予測する方法である。このうち、どちらか1つの方法を用いればよい。
【0085】
ここで説明のため、レンダリングが第1のMFP101のコントローラ102で行われている場合を考え、図6のS708において、クリア画像データ生成までに要する時間の予測を行う場合は、1つ目の方法の中間言語段階における予測を行う。また、S709で予測を行う場合は、2つ目の方法であるラスター画像段階における予測を行う。
【0086】
まず、印刷データが中間言語である段階における予測方法について図7を用いて説明する。図9は画像データの例である。図7(A)は、3つのオブジェクトから構成される有色画像の例である。図7において、901は有色画像全体、911は第1のオブジェクトの画像、912は第2のオブジェクトの画像、913は第3のオブジェクトの画像である。図7(B)は、3つのオブジェクトから構成されるクリア画像の例である。図7において、902は画像全体、921は第1のオブジェクトの画像、922は第2のオブジェクトの画像、923は第3のオブジェクトの画像である。紙に印刷する際は、図7(A)は有色トナーを用いて印刷され、図7(B)はクリアトナーを用いて印刷される。これらは、1枚の紙に重なって印刷される。
【0087】
まず、1つ目の予測方法である中間言語段階における予測について説明する。S708では、クリア画像データ902の中間言語の段階で式1を用いて処理にかかる時間の予測を行う。中間言語の段階で行う処理とは、例えば、中間言語の各オブジェクトから画像データの各ドットを生成する処理が挙げられる。3つのオブジェクトから成るクリア画像データ902の場合、3つのオブジェクトに対する処理時間の総和が予測時間である。そこで式1のように、各オブジェクトを詳細に解析して、各オブジェクトが処理するドット数などの計算量を求めることで、中間言語段階の処理時間を予測出来る。
【0088】
【数1】

【0089】
また式1とは別の方法で、式2のように、予め求めたオブジェクトの平均処理時間にオブジェクト数を乗しても、中間言語段階の処理時間を予測出来る。
【0090】
【数2】

【0091】
式1を用いれば、式2よりも、予測精度を高めることが出来る。式2を用いれば、式1よりも、少ない計算量で予測が出来る。
【0092】
次に、2つ目の予測方法であるラスター画像段階における予測について説明する。
【0093】
ラスター画像の段階で行う処理とは、例えば、ラスター画像のトナーの載り量制御を行う処理が挙げられる。トナーの載り量制御とは、トナーの定着性を高めるための処理である。その例として、CMYKが描かれたドット上と、CMYKが描かれないドット上で、クリアトナーの量を変える処理が挙げられる。トナーの載り量制御とは、CMYK画像データの各ドットのC,M,Y,Kのトナー印字の有無を基に、クリア画像データを印刷する際のトナー量を増減する処理である。よって、トナーの載り量制御の演算時間は画像データに依存せず、一律、紙上のドット数に比例したものとなる。(ここで、紙のドット数は、用紙サイズ、解像度に比例する)
【0094】
【数3】

【0095】
ここで、ラスター画像段階における予測は、一律であると説明したが、必ずしも一律である必要は無く、画像処理によっては、中間言語段階における予測と同様に、一部だけ画像処理する場合が考えられる。その場合、式1を応用した方法で画像処理するドット数を基に計算しても、式2を応用した方法で平均的な画像処理時間を基に簡易的に求めても良い。
【0096】
以上説明したように、上記予測方法は、コントローラの構成に合わせて、最適な組み合わせで、処理に要する時間を予測することが望ましい。上記、図6のS708では中間言データ語段階における予測を行い、S709ではラスター画像段階における予測を行うとして説明したが、この処理は、第1のコントローラ102、第2のコントローラ122のどちらで行っても構わない。
【0097】
例えば、中間言語段階における予測と、ラスター画像段階における予測を同一のコントローラで行っても良いことは言うまでもない。さらに、中間言語からラスター画像を生成する処理と、ラスター画像を画像処理する処理が、逐次的に実行される場合、中間言語からラスター画像を生成する処理と、ラスター画像を画像処理する処理を加えた時間を予測時間としても良い。
【0098】
次に有色画像データを印刷するのに要する時間の予測方法について説明する。予め印刷データで指定された用紙サイズと、その用紙が格納された給紙アクセサリとのマトリックスで予測を行う。マトリックスの例を図8に示す。図8は、有色画像データの印刷完了に必要な時間の予測をするための、マトリックスの例である。例えば、A3サイズの紙を、給紙アクセサリ1の下段から給紙する場合、ステップS705の有色印刷の時間は、図8のマトリックスを参照して、2秒かかると予測できる。このマトリックスは予めMFP101のコントローラ中の不図示の記憶領域に保存されている。
【0099】
クリア画像データの印刷においても、有色画像データの印刷に要する時間の予測をするためのマトリックス図8と同様のマトリックスを用いて、クリア画像データの印刷に要する時間の予測をすることが出来る。クリア印刷データを印刷するのに要する時間の予測の方法は、有色画像データを印刷するのに要する時間の予測の方法と同様であるので、詳細は省略する。
【0100】
このマトリックスは1つである必要は無く、例えば、1ページ前の印刷が片面または両面である場合、または、1ページ前の印刷がカラーまたは白黒である場合など、場合に応じて、複数のマトリックスを用いて、予測しても良いことは言うまでもない。
この予測の処理は、給紙アクセサリを管理するMFPコントローラで行うのが望ましいが、それに限定する必要は無く、給紙アクセサリを管理しないMFPコントローラで予測しても構わない。
【0101】
これらの予測の際、予測が外れたらオーバーランが起きてしまう。オーバーランを避ける為に、予測時間に誤差があるようだったら、誤差分を加えて予測時間を長めに見積もることが望ましい。
【0102】
以上説明したように、本実施例によれば、クリア画像データの生成までに要する時間及び有色画像データの印刷までに要する時間を予測することで、オーバーランすることを防ぎ、高速な印刷を行うことができる。
【実施例4】
【0103】
次に、実施例4について、図面を用いて説明する。本実施例の印刷システムのブロック図は、実施例1と同様、図1であるので、省略する。
【0104】
両面印刷において、最初に印刷される紙面を第1面、次に印刷される紙面を(クリア画像データ)第2面として説明する。以下、第1の印刷装置、および、第2の印刷装置の両方とも両面印刷する場合を説明する。
【0105】
この動作の詳細を、図9を用いて説明する。図9は、図1で説明したPC138および、第1のMFP101と第2のMFP121から構成される印刷システムのプリント動作を説明するためのフローチャートである。図9において、ステップS1101でPC138から印刷システムが印刷データを受信する。
【0106】
次に第1のコントローラ102内のフローチャート(S1101〜S1115)を説明する。このフローチャートにおける各処理はコントローラ102内に存在するCPU(不図示)によって制御される。ステップS1101からステップS1102に進み、第1のプリンタ112によって印刷を行うための第1面の有色画像データを生成する。次に第1のプリンタ112は、ステップS1105で、有色トナーを用いて第1面の印刷を行う。次にステップS1112で、第1のプリンタ112によって印刷を行うための第2面の有色画像データを生成する。次にステップS1104で、第1のコントローラ102は、各ページの有色トナーを用いた印刷が完了するまでに、第2のコントローラ122による第2のプリンタ125によって印刷を行うための第1面のクリア画像データの生成が完了しているか否かを判断する。クリア画像データ生成が完了していないと判断された場合、S1104で「no」に進む。そして、第1面のクリア画像データ生成が完了したと判断されるまで次の工程に進まない。完了したか否か判断するには、実施例1で示したように、クリア画像データ生成の状況を第1のコントローラ102が、第2のコントローラ122に問い合わせる。また、第2のコントローラ122がクリア画像データ生成の完了を通知しても良い。また、実施例3で示したように、第2のコントローラ122がクリア画像データ生成されるまでに要する時間を通知しても良い。また、第1のコントローラ102は有色画像データが生成、印刷されるまでに要する時間を計算して判断を行っても良い。
ここで説明のため、次のS1112の次にS1104を実行すると説明したが、この順番を入れ替えて、S1104の次にS1112を実行しても良い。また、S1102とS1112を並行して実行し、第一面と第二面の画像データを並行して生成しても良い。
つまり、有色トナーを用いて第1面、第2面を印刷するまでに、第1面をクリアトナーによって印刷するために必要なクリア画像データの生成が完了しているか否か判断できればよい。
【0107】
次に第1のプリンタ112は、ステップS1105で、有色トナーによる第2面の印刷を行う。
【0108】
上記動作と並行して動作するフローチャート(S1103〜S1117)について説明する。このフローチャートにおける各処理はコントローラ122内に存在するCPU(不図示)によって制御される。第2のコントローラ122は、ステップS1103で、第2のプリンタ125のための第1面のクリア画像データを生成する。次に第2のコントローラ122は、ステップS1113で、第2のプリンタ125のための第2面のクリア画像データを生成する
次にステップS1106で、第1のMFP101による処理が終了した用紙が給紙されたか否かを判断する。用紙が給紙されていないと判断された場合、給紙されるまで待つ。この間、次のページを構成するクリア画像データを生成してもよい。第1のMFP101による処理が終了した用紙が給紙された場合第1のプリンタ112による印刷が完了した場合、次のステップS1107に進む。
【0109】
次に第2のプリンタ125は、ステップS1107で、第2のプリンタ125によってクリアトナーを用いて第1面の印刷を行う。次に第2のプリンタ125は、ステップS1117で、クリアトナーを用いて第2面の印刷を行う。この動作を各ページ繰り返すことで、複数ページの印刷が出来る。
【0110】
ここで説明のため、第1のMFPおよび第2のMFPの両方とも両面印刷するとして説明したが本発明は両方とも両面である場合に限定されない。第1のMFPおよび第2のMFPに両面印刷および片面印刷が混在する場合でも、本発明の図9を応用することで、オーバーランが無い印刷システムが実現出来る。つまり、第1のMFPが両面印刷をし、第2のMFPが片面印刷する場合は、図9の第2面の処理S1113およびS1117を実行しないで次のステップに行けば良い。第1のMFPおよび第2のMFPの両方とも片面の場合は、上記実施例で説明した通りである。
【0111】
以上説明したように、本実施例4によれば、両面印刷に対応するオーバーランの無い印刷装置が実現出来る。
【0112】
(その他の実施例)
また、本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の色材を用いて印刷を行う第1の印刷装置の排紙部と、第2の色材を用いて印刷を行う第2の印刷装置の給紙部が接続された印刷システムにおいて、
前記第1の印刷装置は、
入力された印刷データから、第1の印刷データと第2の印刷データを生成する手段、
前記第2の印刷データを前記第2の印刷装置に送信する手段、
前記第1の印刷データに対して画像処理を施して第1の画像データを生成し、該第1の画像データを第1の色材を用いて用紙に印刷して該用紙を前記排紙部から排紙する手段を有し、
前記第2の印刷装置は、
前記第1の画像データが印刷され、前記排紙する手段から排紙された用紙を前記給紙部から給紙し、該用紙に前記第1の画像データと同じ印刷データから生成された前記第2の印刷データに対して画像処理を施して第2の画像データを生成し、該第2の画像データを前記第2の色材を用いて印刷する手段、
を有することを特徴とする印刷システム。
【請求項2】
前記第1の印刷装置は、前記第2の印刷装置において前記第2の画像データの生成が終了したか否か判断する判断手段を有し、
前記判断手段の結果により、前記第2の画像データが生成されたと判断すると、前記第1の色材を用いて印刷を開始することを特徴とする請求項1に記載の印刷システム。
【請求項3】
前記判断手段は、前記第2の印刷装置が前記第2の画像データの生成を完了したことを前記第1の印刷装置に通知することを特徴とする請求項2に記載の印刷システム。
【請求項4】
前記第2の印刷データに含まれるオブジェクトに対する処理時間から前記第2の画像データの生成に要する時間を予測し、該予測された時間、前記第1の印刷データの印刷を開始しないことを特徴とする請求項1に記載の印刷システム。
【請求項5】
前記第1の色材とは、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックのいずれか又はこれらの組み合わせであり、前記第2の色材とはクリアトナーであることを特徴とすることを特徴とする請求項1に記載の印刷システム。
【請求項6】
前記第1の印刷データは、有色トナーを用いた印刷を行うために生成され、前記第2の印刷データは、クリアトナーを用いた印刷を行うために生成されることを特徴とする請求項1に記載の印刷システム。
【請求項7】
第2の印刷装置の給紙部に接続された排紙部を有する印刷装置は、
入力された印刷データから第1の印刷データと第2の印刷データを生成する生成手段、
前記生成手段によって生成された第1の印刷データに画像処理を施して第1の画像データを生成し、用紙に印刷する印刷手段、
前記生成手段で作成された第2の印刷データを、前記第2の印刷装置へ送信する送信手段、
前記印刷手段によって第1の画像データが印刷された用紙を前記排紙部から前記送信手段により送信された第2の印刷データにより前記用紙に印刷を行う前記第2の印刷装置の給紙部へ搬送する搬送手段
を有することを特徴とする印刷装置。
【請求項8】
前記印刷手段による印刷を開始する際、
前記第2の印刷装置において、前記第2の印刷データに対して画像処理が施され第2の画像データが生成されたか否かを判断する判断手段、
前記判断手段により、前記第2の画像データが生成されたと判断された場合、前記第1の画像データの印刷を開始し、前記第2の画像データが生成されていないと判断された場合は、前記第1の画像データの印刷を開始しないことを特徴とする請求項7に記載の印刷装置。
【請求項9】
第1の色材を用いて印刷を行う第1の印刷装置の排紙部と、第2の色材を用いて印刷を行う第2の印刷装置の給紙部が接続された印刷システムにおいて実施される方法であって、
前記第1の印刷装置において実施される方法は、
入力された印刷データから、第1の印刷データと第2の印刷データを生成するステップ、
前記第2の印刷データを前記第2の印刷装置に送信するステップ、
前記第1の印刷データに対して画像処理を施して第1の画像データを生成し、該第1の画像データを第1の色材を用いて用紙に印刷して該用紙を前記排紙部から排紙するステップを備え、
前記第2の印刷装置において実施される方法は、
前記第1の画像データが印刷され、前記排紙する手段から排紙された用紙を前記給紙部から給紙し、該用紙に前記第1の画像データと同じ印刷データから生成された前記第2の印刷データに対して画像処理を施して第2の画像データを生成し、該第2の画像データを前記第2の色材を用いて印刷するステップ、
を備えることを特徴とする印刷方法。
【請求項10】
前記第1の印刷装置において実施される方法は、前記第2の印刷装置において前記第2の画像データの生成が終了したか否か判断する判断ステップを有し、
前記判断ステップの結果により、前記第2の画像データが生成されたと判断すると、前記第1の色材を用いて印刷を開始することを特徴とする請求項9に記載の印刷方法。
【請求項11】
前記判断ステップは、前記第2の印刷装置が前記第2の画像データの生成を完了したことを前記第1の印刷装置に通知することを特徴とする請求項10に記載の印刷方法。
【請求項12】
前記第2の印刷データに含まれるオブジェクトに対する処理時間から前記第2の画像データの生成に要する時間を予測し、該予測された時間、前記第1の印刷データの印刷を開始しないことを特徴とする請求項9に記載の印刷方法。
【請求項13】
前記第1の色材とは、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックのいずれか又はこれらの組み合わせであり、前記第2の色材とはクリアトナーであることを特徴とすることを特徴とする請求項9に記載の印刷方法。
【請求項14】
前記第1の印刷データは、有色トナーを用いた印刷を行うために生成され、前記第2の印刷データは、クリアトナーを用いた印刷を行うために生成されることを特徴とする請求項9に記載の印刷方法。
【請求項15】
第2の印刷装置の給紙部に接続された排紙部を有する印刷装置の制御方法は、
入力された印刷データから第1の印刷データと第2の印刷データを生成する生成ステップ、
前記生成ステップによって生成された第1の印刷データに画像処理を施して第1の画像データを生成し、用紙に印刷する印刷ステップ、
前記生成ステップで作成された第2の印刷データを、前記第2の印刷装置へ送信する送信ステップ、
前記印刷ステップによって第1の画像データが印刷された用紙を前記排紙部から前記送信ステップにより送信された第2の印刷データにより前記用紙に印刷を行う前記第2の印刷装置の給紙部へ搬送する搬送ステップ
を有することを特徴とする印刷装置の制御方法。
【請求項16】
前記印刷ステップによる印刷を開始する際、
前記第2の印刷装置において、前記第2の印刷データに対して画像処理が施され第2の画像データが生成されたか否かを判断する判断ステップ、
前記判断ステップにより、前記第2の画像データが生成されたと判断された場合、前記第1の画像データの印刷を開始し、前記第2の画像データが生成されていないと判断された場合は、前記第1の画像データの印刷を開始しないことを特徴とする請求項15に記載の印刷装置の制御方法。
【請求項17】
コンピュータに請求項9から請求項16のいずれか1つに記載の方法を実行させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−137955(P2011−137955A)
【公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−297377(P2009−297377)
【出願日】平成21年12月28日(2009.12.28)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】