説明

印刷装置

【課題】樹脂製カバー部材の厚さ寸法を変更することなく、このカバー部材を大きくしても、被記録媒体の排出口近傍が押さえられた際に、印刷された被記録媒体をスムーズに排出することが可能となる印刷装置を提供する。
【解決手段】印刷ユニット35のフレーム38の一対の側壁部37に回転可能に軸支されるプラテンローラ24の周面に所定荷重でサーマルヘッドが当接されている。また、この一対の側壁部37には、印刷された用紙が排出される排出口近傍の上端部に補強板31が横架されている。また、この補強板31は、サーマルヘッドよりも用紙の搬送方向下流側に配置されている。そして、この補強板31の上端縁部が、この排出口の側端縁部を略全幅に渡って覆う固定カバー部の内側面に当接する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷装置に関し、特に、被記録媒体に印刷する印刷手段を覆うと共に、該印刷手段によって印刷された被記録媒体が排出される排出口の側端縁部を略全幅に渡って覆う樹脂製カバー部材を備えた印刷装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、被記録媒体に印刷する印刷手段を覆うと共に、該印刷手段によって印刷された被記録媒体が排出される排出口の側端縁部を略全幅に渡って覆う樹脂製カバー部材を備えた印刷装置が種々提案されている。
例えば、本体ケース内に積層状態で収納された用紙をピックアップローラの回転により、最下層の用紙の先端が、、分離ブロックに衝突して最下層の用紙のみが分離されて、分離ブロックの下面とガイド板との間に搬送される。次いで、プラテンローラとペーパーガイドとの間に挟持された用紙は、回転するプラテンローラとペーパーガイドにて挟持搬送されてサーマルヘッド方向に移動し、このサーマルヘッドを介して用紙の表面に印字された後、カバー部材と分離ブロックの背面との隙間から用紙が排出されるように構成された印刷装置がある(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2003−320730号公報(段落(0022)〜(0077)、図1〜図23)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上述した特許文献1に記載される構成では、印刷装置の厚さ寸法をそのまま維持して、用紙のサイズを大きくした場合には、カバー部材が大きくなるが、このカバー部材の厚さ寸法を変更することが困難であるため、用紙の排出口近傍を押さえた場合に、カバー部材が容易に撓み、排出口が狭まったり、塞がれて用紙がスムーズに排出されなくなるという問題がある。
【0004】
そこで、本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、印刷装置の厚さ寸法をそのまま維持して、被記録媒体のサイズを大きくした場合に、樹脂製カバー部材を大きくしても、このカバー部材の厚さ寸法を変更することなく、被記録媒体の排出口近傍が押さえられた際に、印刷された被記録媒体をスムーズに排出することが可能となる印刷装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記目的を達成するため請求項1に係る印刷装置は、被記録媒体に印刷する印刷手段を覆うと共に、該印刷手段によって印刷された被記録媒体が排出される排出口の側端縁部を略全幅に渡って覆うカバー部材を備えた印刷装置において、前記印刷手段が配設された一対の側壁部を有するフレームと、前記一対の側壁部の前記排出口近傍の上端部に横架される補強部材と、を備え、前記補強部材は、該補強部材の上端縁部が前記カバー部材の内側面に当接していることを特徴とする。
【0006】
また、請求項2に係る印刷装置は、請求項1に記載の印刷装置において、前記印刷手段は、前記一対の側壁部に回転可能に軸支されるプラテンローラと、前記プラテンローラの周面に所定荷重で当接されるサーマルヘッドと、を有し、前記補強部材は、前記サーマルヘッドよりも被記録媒体搬送方向下流側に配置されていることを特徴とする。
【0007】
更に、請求項3に係る印刷装置は、請求項1又は請求項2に記載の印刷装置において、前記補強部材は、金属製で細長板状に形成され、前記一対の側壁部は、それぞれ上端部に形成されて前記補強部材の長手方向端縁部が挿入される側面視V字形の挿入溝を有し、前記カバー部材は、内側面に形成されて該補強部材の上端縁部が嵌入される細長い位置決め溝部と、前記位置決め溝部の一側縁部に立設されて前記補強部材の一側の側面部に当接して該補強部材を略垂直に支持する複数のリブと、を有し、前記位置決め溝部に該補強部材を略垂直に嵌入後、前記フレームを上方から該カバー部材に載置することによって、該補強部材の長手方向両端縁部が前記各挿入溝に挿入されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
請求項1に係る印刷装置では、印刷手段が配設されたフレームの一対の側壁部には、印刷された被記録媒体が排出される排出口近傍の上端部に補強部材が横架されている。そして、この補強部材の上端縁部が、この排出口の側端縁部を略全幅に渡って覆うカバー部材の内側面に当接している。
これにより、カバー部材の排出口近傍を押さえた場合に、カバー部材は補強部材の上端縁部に当接して撓まないため、被記録媒体の搬送経路が狭まったり、塞がれたりすることがなく、この被記録媒体をスムーズに排出することが可能となる。従って、印刷装置の厚さ寸法をそのまま維持して、被記録媒体のサイズを大きくした場合に、カバー部材の厚さ寸法を変更することなく、このカバー部材を大きくしても、印刷された被記録媒体を排出口からスムーズに排出することが可能となる。
【0009】
また、請求項2に係る印刷装置では、フレームの一対の側壁部に回転可能に軸支されるプラテンローラの周面に所定荷重でサーマルヘッドが当接されている。そして、この一対の側壁部の上端部に横架される補強部材は、サーマルヘッドよりも被記録媒体搬送方向下流側に配置されている。
これにより、補強部材は、被記録媒体が排出される排出口の近くに配置されるため、カバー部材の排出口近傍を押さえた場合に、このサーマルヘッドによって印刷された被記録媒体の排出経路を確実に確保して、印刷された被記録媒体を排出口からスムーズに排出することが可能となる。
【0010】
更に、請求項3に係る印刷装置では、補強部材は、金属製で細長板状に形成されている。そして、カバー部材の内側面に形成された細長い位置決め溝部に、該補強部材を嵌入すると共に複数のリブに当接して垂直に支持した後、フレームを上方から該カバー部材に載置することによって、該補強部材の長手方向両端縁部が、一対の側壁部の上端部に形成された側面視V字形の各挿入溝に挿入される。
これにより、補強部材を容易にフレームの一対の側壁部とカバー部材とに組み付けることができ、組み立て作業性の向上を図ることができる。また、補強部材は、金属製で細長板状に形成され、カバー部材に対して垂直に保持されているため、必要強度を容易に確保することが可能となると共に、一対の側壁部とカバー部材との間に補強部材を設けても、省スペース化を図ることが可能となり、印刷装置の厚さ寸法の更なる薄型化を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明に係る印刷装置について、本発明を具体化した一実施例に基づき図面を参照しつつ詳細に説明する。
【実施例】
【0012】
先ず、本実施例に係る印刷装置の概略構成について図1乃至図4に基づき説明する。
図1乃至図3に示すように、印刷装置1は、平面視、略矩形の形状を有し、平面視略A5サイズ程度の大きさで、厚みが約2cmの、上面が開放された箱形の本体ケース2を有している。この本体ケース2の上面には、本体ケース2の長手方向の一端寄りに本体上面を覆う略矩形の固定カバー部3を有する。この固定カバー部3の箇所を除く本体ケース2内には、感熱紙からなるA6サイズのカットシート状の被記録媒体としての用紙7を複数枚収納した用紙パッケージ8が収容できる収容部5が形成されている。また、固定カバー部3に覆われた本体ケース2の内部には、後述の印刷機構部11(図4参照)が設けられている。
【0013】
また、収納部5を覆うようにケースカバー4が設けられている。このケースカバー4は、本体ケース2の後端右側角部に設けられた右側リンクユニット9と、本体ケース2の後端左側角部に設けられた左側リンクユニット10とによって、本体ケース2に対して着脱可能に取り付けられている。
また、ケースカバー4の自由端側には、このケースカバー4を閉じた際に、各コイルバネ19によって、積層された用紙7の上端部を押さえてピックアップローラ22(図4参照)に押圧する押さえ板20が設けられている。
【0014】
また、ケースカバー4は、所定厚さ(本実施例では、約1mmの厚さである。)の樹脂製表面部材4Aと、この樹脂製表面部材4Aの内側面をほぼ覆うように溶着や接着等により固着される所定厚さ(本実施例では、約1mmの厚さである。)のステンレス等によって形成される金属製補強板4Bとから構成されている。
また、樹脂製表面部材4Aの後端中央部は、内側方向に長方形に切りかかれて、透明な樹脂で作成された窓部材4Cが接着や両面粘着テープ等によって固着されている。
【0015】
そして、このケースカバー4を開く場合には、図2(A)→(B)→(C)に示すように、ケースカバー4を固定カバー部3と離間する方向へスライドさせることによって、ケースカバー4の金属製補強板4Bの後端部に形成される各係止片13、14と各リンクユニット9、10に形成される各係合部9A、10Aとの係合が解除されると共に、該金属製補強板4Bの後端縁部両側に形成される各係止片12、15と収納部5の右側側壁部5F及び左側側壁部5Dの後端部近くに形成される各係合凸部5G、5Eとの係合が解除されて、右側リンクユニット9の右側ねじりコイルバネ16Aと左側リンクユニット10の左側ねじりコイルバネ16Bによって外側方向に回動されて開くようになっている。
【0016】
また、ケースカバー4を閉じる場合には、図2(C)→(B)→(A)に示すように、ケースカバー4を各ねじりコイルバネ16A、16Bの付勢力に抗して本体ケース2に当接させて、固定カバー部3の方向へスライドさせることによって、各係止片13、14が各係合部9A、10Aに係合し、各係止片12、15が各係合凸部5G、5Eに係合して閉じるようになっている。また、ケースカバー4と固定カバー部3との間には、所定隙間が形成され、印刷された用紙7が排出される排出口18(図4参照)が設けられている。
【0017】
また、図4に示すように、印刷機構部11は、積層された用紙7を分離して搬送方向に給紙を行うピックアップローラ22と、分離部材23と、搬送された用紙7をプラテンローラ24の外周回りに案内するペーパーガイド25と、用紙7をサーマルヘッド26へ搬送するプラテンローラ24と、ヘッド支持部材29の下面に固着されて一対の左バネ27及び右バネ28(図5参照)の付勢力でプラテンローラ24方向に押圧され、そのプラテンローラ24上で用紙7に加熱印刷を行うサーマルヘッド26とが設けられている。また、分離部材23の固定カバー部3側の斜面部と、固定カバー部3の収納部5側の側端縁部とによって排出口18が形成されている。
【0018】
そして、収納部5に収納された用紙7は、各コイルバネ19によって押さえ板20を介してピックアップローラ22に付勢され、積層された用紙7のうちの最下層の用紙7のみがピックアップローラ22の回転駆動によって搬送される。この搬送された用紙7は、下面が搬送方向斜め下方に傾斜する分離部材23に当接して下側方向へ案内され、プラテンローラ24の下側を通過して、更に、断面がプラテンローラ24の外周面に沿うように断面横向き略U字状等の凹湾曲状に形成されたペーパーガイド25によってプラテンローラ24の外周面に沿って案内され、サーマルヘッド26とプラテンローラ24とが当接する印刷位置まで搬送される。そして、サーマルヘッド26により用紙7の印刷面に印刷され、更に、プラテンローラ24の回転駆動によって分離部材23の収納部5側へ斜め上方向に傾斜する傾斜面と、固定カバー部3の収納部5側の側端縁部下面に立設される側面視下側方向に凸の直角三角形状の複数のリブ30(図8参照)の斜面部とによって上方へ案内されて、排出口18から排出される。
【0019】
また、各リブ30の内側には、後述のようにステンレス等の金属製で薄い(本実施例では、厚さは約0.5mm〜1mmである。)細長形状に形成された補強板31(図7参照)が、固定カバー部3の下面に対して略垂直に当接するように設けられている。また、本体ケース2は、固定カバー部3や収納部5が形成される樹脂製のフレームカバー2Aと、ステンレス等の金属製の底面カバー2Bとから構成されている。
【0020】
次に、印刷機構部11を構成するサーマルヘッド26やプラテンローラ24等が設けられた印刷ユニットの概略構成について図5乃至図7、図9に基づいて説明する。
図5乃至図7、図9に示すように、印刷ユニット35は、長手方向の両側部が上方へ垂直に折り曲げられて形成された一対の側壁部37を有する鋼板製(本実施例では、厚さ約1mmのSPCC等の鋼板製である。)のフレーム38を備えており、その一対の側壁部37の間には、ピックアップローラ22、分離部材23、プラテンローラ24、ペーパーガイド25や、放熱板として機能するヘッド支持部材29、ステッピングモータ等により構成されてギヤ列を介してピックアップローラ22及びプラテンローラ24を回転駆動する用紙送り用モータ40等が設けられている。
【0021】
このピックアップローラ22及びプラテンローラ24は、一対の側壁部37にその両端部を軸支されており、上述したように、用紙送り用モータ40等により回転駆動される。
また、ヘッド支持部材29には、プラテンローラ24に対向する下面において、ライン形サーマルヘッド26が固定されている。また、このヘッド支持部材29の用紙7の搬送方向上流側の側端縁部には、長手方向中央位置から外側方向に延出された揺動支持部41が設けられている。また、この揺動支持部41には、サーマルヘッド26の長手方向中央位置に設けられたコネクタ42に対向する部分が側端縁部まで切り欠かれた切欠部43が形成されている。
【0022】
また、このヘッド支持部材29の長手方向両端側には、外側に延出される各突起部44が形成されると共に、揺動支持部41の切欠部43の両外側後端縁部には、外側方向に延出される左側突起部45と右側突起部46とが形成されている。また、一対の側壁部37の上端部には、各突起部44が上方から挿入される各案内溝48が形成されている。
【0023】
また、フレーム38には、ヘッド支持部材29の揺動支持部41に対向する側端縁部に、側面視L字形の前側側壁部材50が各ビス51(図9参照)によって固着されている。この前側側壁部材50には、左側突起部45が挿入される左側長孔52と、右側突起部46が挿入される右側長孔53とが、フレーム38の底面部に対して水平に穿設されている。これにより、ヘッド支持部材29は、各突起部45、46を揺動支点として、各突起部44が挿入される各案内溝48に沿って上下方向に揺動可能に支持される。
【0024】
また、前側側壁部50には、揺動支持部41の両外側側縁部に対向する位置に左側バネ27と右側バネ28とが支架されている。この左側バネ27と右側バネ28とは、ねじりコイルバネタイプで一端はヘッド支持部材29上に位置して、ヘッド支持部材29を介してサーマルヘッド26をプラテンローラ24側に押圧する方向の付勢力を常時加えている。
【0025】
また、前側側壁部50のフレーム38に対向する折曲部の中央位置には、サーマルヘッド26を駆動するためのFFC(flexible flat cable)54が挿通される水平方向に長い横長孔55が穿設されている。そして、この横長孔55からフレーム38内に挿通されたFFC54は、切欠部43から把持されてコネクタ42に挿通された後、フレーム38の下面に折り曲げられている。
また、フレーム38の前側側壁部材50が取り付けられた側端縁部の両端部には、印刷ユニット35を本体ケース2の固定カバー部3にネジ止めするための各貫通孔56が穿設されている。
【0026】
また、各側壁部37に形成される各案内溝48の用紙7の搬送方向下流側には、補強部材31の長手方向両端縁部が上方から挿入される側面視略V字型の各挿入溝57が形成されている。この補強部材31は、図7に示すように、細長板状でヘッド支持部材29の長手方向の長さとほぼ同じ長さに形成されている。また、この補強部材31の両端縁部には、各切欠部31Aが形成されると共に、下端縁部には、後述のように本体ケース2の固定カバー部3に設けられた各リブ31の高さとほぼ同じ高さになるように各段部31Bが形成されている。そして、補強部材31の各切欠部31Aが各側壁部37の上端部に形成される各挿入溝57に上方から挿入されて、ヘッド支持部材29の用紙7の搬送方向下流側に配置される。
また、この補強部材31の用紙搬送方向下流側には、分離部材31が各側壁部37間に横架されている。
【0027】
次に、本体ケース2の固定カバー部3の内側面の構成について図8に基づいて説明する。
図8に示すように、固定カバー部3は、平面視横長四角形で前側(図8中、奥側)と左右(図8中、左右)の三辺から垂直に延出される側壁部59によって三方を囲われ、後側(図8中、手前側)には、分離部材23と協働して排出口18を構成する凹み部60が形成されている。また、側壁部59の周囲には小さな四角形の貫通孔61が水平に多数穿設されている。また、側壁部59の手前側角部と奥側角部近くには、底面カバー2B(図4参照)をフレームカバー2A(図4参照)に取り付けるための各取付ボス62が立設されている。そして、各取付ボス62に隣接して印刷ユニット35を固定カバー部3にビスにより固定するための各固定ボス63が立設されている。
また、固定カバー部3の内側面には、後述のように補強板31の上端縁部が全幅に渡って嵌入される浅い位置決め溝部65が、凹み部60の排出口18を構成する側部に対して平行に形成されている。また、凹み部60の排出口18を構成する側部と位置決め溝部65との間には、側面視直角三角形状の各リブ30が、該位置決め溝部65の側端縁部に対して底辺が直角に隣接すると共に、この位置決め溝部65側の一辺が垂直になるように立設されている。また、各リブ30の高さ寸法は、所定個数おきに高くなるように形成されている。
【0028】
次に、印刷ユニット35の本体ケース2の固定カバー部3への取り付け方法について図9に基づいて説明する。
図9に示すように、先ず、固定カバー部3の位置決め溝部65に補強板31の上端縁部を嵌入すると共に、この補強板31を各リブ30に当接させる。これにより、補強板31は、固定カバー部3に対して横断面の長手方向が上下になるように載置される。また、補強板31の各段部31Bは、各リブ30のうちの高さが高いリブ30に当接する。
そして、印刷ユニット35を上方から固定カバー部3に載置して、補強板31の両端部を各挿入溝57に挿入させる。その後、印刷ユニット35の各貫通孔56にネジを挿通して、固定カバー部3の各固定ボス63にネジ止めする。
これにより、印刷ユニット35は固定カバー部3に取り付けられ、補強板31の長手方向両端部が各側壁部37の上端部に形成された各挿入溝57に挿入されて横架されると共に、該補強板31の上端縁部が、固定カバー部3の位置決め溝部65の底面部にほぼ垂直に当接することとなる。
【0029】
ここで、プラテンローラ24、サーマルヘッド26、用紙送り用モータ40は、印刷手段を構成する。また、固定カバー部3は、カバー部材として機能する。また、補強板31は、補強部材として機能する。
【0030】
従って、本実施例に係る印刷装置1では、印刷ユニット35のフレーム38の一対の側壁部37に回転可能に軸支されるプラテンローラ24の周面に所定荷重でサーマルヘッド26が当接されている。また、この一対の側壁部37には、印刷された用紙7が排出される排出口18近傍の上端部に補強板31が横架されている。また、この補強板31は、サーマルヘッド26よりも用紙7の搬送方向下流側に配置されている。そして、この補強板31の上端縁部が、この排出口18の側端縁部を略全幅に渡って覆う固定カバー部3の内側面に当接している。
【0031】
これにより、固定カバー部3の排出口18近傍を押さえた場合に、固定カバー部3は補強板31の上端縁部に当接して撓まないため、用紙7の搬送経路が狭まったり、塞がれたりすることがなく、このサーマルヘッド26によって印刷された用紙7の排出経路を確実に確保して、印刷された用紙7を排出口18からスムーズに排出することが可能となる。従って、印刷装置1の厚さ寸法をそのまま維持して、用紙7のサイズを大きくした場合に(例えば、A7サイズからA6サイズの感熱用紙に変更した場合である。)、固定カバー部3の厚さ寸法を変更することなく、この固定カバー部3を大きくしても、印刷された用紙7を排出口18からスムーズに排出することが可能となる。
【0032】
また、補強板31は、ステンレス等の金属製で細長板状に形成されている。そして、固定カバー部3の内側面に形成された細長い位置決め溝部65に、該補強板31の上端縁部を嵌入すると共に複数のリブ30に当接して垂直に支持した後、印刷ユニット35を上方から該固定カバー部3に載置することによって、該補強板31の長手方向両端縁部が、一対の側壁部37の上端部に形成された側面視V字形の各挿入溝57に挿入される。
【0033】
これにより、補強板31を容易に印刷ユニット35の一対の側壁部37と固定カバー部3とに組み付けることができ、組み立て作業性の向上を図ることができる。また、補強板31は、金属製で細長板状に形成され、固定カバー部3に対して垂直に保持されているため、必要強度を容易に確保することが可能となると共に、一対の側壁部37と固定カバー3との間に補強板31を設けても、省スペース化を図ることが可能となり、印刷装置1の厚さ寸法の更なる薄型化を図ることができる。
【0034】
尚、本発明は前記実施例に限定されることはなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変形が可能であることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本実施例に係る印刷装置の外観斜視図である。
【図2】印刷装置のケースカバーの開閉動作を示した図である。
【図3】印刷装置のケースカバーを開けて示す右側上方からの斜視図である。
【図4】図3のX1−X1矢視断面図である。
【図5】印刷ユニットを示す上方からの斜視図である。
【図6】印刷ユニットの用紙送りモータ側から見た側面図である。
【図7】補強板を示す図で、(A)は平面図、(B)は正面図である。
【図8】固定カバー部の内側斜視図である。
【図9】印刷ユニットの固定カバー部への取り付けを説明する説明図である。
【符号の説明】
【0036】
1 印刷装置
2 本体ケース
3 固定カバー部
4 ケースカバー
5 収納部
7 用紙
11 印刷機構部
18 排出口
20 押さえ板
22 ピックアップローラ
23 分離部材
24 プラテンローラ
26 サーマルヘッド
30 リブ
31 補強板
35 印刷ユニット
37 側壁部
38 フレーム
56 貫通孔
57 挿入溝
63 固定ボス
37 位置決め溝部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被記録媒体に印刷する印刷手段を覆うと共に、該印刷手段によって印刷された被記録媒体が排出される排出口の側端縁部を略全幅に渡って覆うカバー部材を備えた印刷装置において、
前記印刷手段が配設された一対の側壁部を有するフレームと、
前記一対の側壁部の前記排出口近傍の上端部に横架される補強部材と、
を備え、
前記補強部材は、該補強部材の上端縁部が前記カバー部材の内側面に当接していることを特徴とする印刷装置。
【請求項2】
前記印刷手段は、前記一対の側壁部に回転可能に軸支されるプラテンローラと、
前記プラテンローラの周面に所定荷重で当接されるサーマルヘッドと、
を有し、
前記補強部材は、前記サーマルヘッドよりも被記録媒体搬送方向下流側に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の印刷装置。
【請求項3】
前記補強部材は、金属製で細長板状に形成され、
前記一対の側壁部は、それぞれ上端部に形成されて前記補強部材の長手方向端縁部が挿入される側面視V字形の挿入溝を有し、
前記カバー部材は、
内側面に形成されて該補強部材の上端縁部が嵌入される細長い位置決め溝部と、
前記位置決め溝部の一側縁部に立設されて前記補強部材の一側の側面部に当接して 該補強部材を垂直に支持する複数のリブと、
を有し、
前記位置決め溝部に該補強部材を嵌入すると共に複数のリブに当接して垂直に支持した後、前記フレームを上方から該カバー部材に載置することによって、該補強部材の長手方向両端縁部が前記各挿入溝に挿入されることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の印刷装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−110484(P2008−110484A)
【公開日】平成20年5月15日(2008.5.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−293041(P2006−293041)
【出願日】平成18年10月27日(2006.10.27)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】