説明

印刷装置

【課題】印刷装置に衝撃が加わった場合でも、用紙ホルダや支持部材の破損を防止できる印刷装置を提供すること。
【解決手段】プリンタの左側面に衝撃を与えた場合には、まず、用紙ホルダ6のつまみ支持部67の壁部67Aが下ケースの第一突起に当接する。次いで、支持部材61の第一部分61Aと第二突起が当接し、最後に、支持部材61の第二部分61Bと左上部内壁面とが当接する。従って、最初に、幅があり強度もあるつまみ支持部67の弾性で衝撃が一部吸収される。次いで、支持部材61の弾性により支持部材61に捻れが生じて第二部分61Bが左上部内壁面に近づくが、支持部材61の第一部分61Aに第二突起が先に当接して支持部材61を支え、最後に、第二部分61Bが左上部内壁面に当接する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷装置に関し、詳細には、用紙ロールを内蔵可能な印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、筐体の内部の用紙収納部に、被印字媒体としての用紙ロールを収納した可搬式の印刷装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。この印刷装置においては、用紙収納部には、開閉可能なカバーが設けられ、使用者がカバー開放することにより、内部に設けられた用紙ホルダから用紙ロールを交換可能となっている。用紙ホルダには用紙ロールの幅に応じて移動可能な左右一対の支持部材(ロールガイド)が設けられている。用紙ロールは一対の支持部材に左右端部を各々挟まれて保持される。各支持部材には用紙ロールの軸線方向と平行にラックギアが固定されており、これらのラックギアは一つのピニオンギアに噛み合っている。従って、一方の支持部材を移動させると他方の支持部材も反対方向に一方の支持部材の移動距離と同じ距離移動する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−173353号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記印刷装置では、操作者が印刷装置を持ち運んで使用する時に印刷装置が落下して地面に衝突する場合や、印刷装置を固定物にぶつける場合がある。これらの場合には、印刷装置に衝撃が加わり、用紙ロールの重みにより用紙ホルダや支持部材が破損するという問題点があった。
【0005】
本発明の目的は、印刷装置に衝撃が加わった場合でも、用紙ホルダや支持部材の破損を防止できる印刷装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の印刷装置は、筐体を構成する下ケース及び上ケースと、前記下ケースに形成され、印字用紙が巻回された用紙ロールを収納する用紙収納部と、当該用紙収納部に設けられ、前記用紙ロールを保持する用紙ホルダと、当該用紙ホルダに設けられ、前記用紙ロールからの用紙の引き出し方向と直交する方向の前記用紙ロールの両端部を各々保持する一対の支持部材と、前記用紙収納部において、前記下ケースから当該下ケースに対向する前記用紙ホルダの底部方向に突出する第一突起と、前記用紙ホルダの底部に設けられ、前記印字用紙の引き出し方向と直交する前記用紙ロールの軸線方向において当該第一突起と所定距離離間して設けられた当接部とを備え、前記用紙ロールの軸線方向において、前記当接部の厚みが、前記支持部材の厚みより厚く構成され、前記第一突起から前記当接部に向かう方向に衝撃が加わった場合に、前記第一突起と前記当接部とが当接することを特徴とする。
【0007】
この構成の印刷装置においては、印刷装置を落下させたり固定物にぶつけたりして前記第一突起から前記当接部に向かう方向に衝撃が加わった場合に、用紙ロールの慣性により、前記用紙ホルダの前記当接部が前記第一突起と当接する。この時、前記用紙ロールの軸線方向において、前記当接部の厚みが、前記支持部材の厚みより厚く構成されているので、当接部が十分な強度を有しており破損することがない。また、前記第一突起と前記当接部が接触することで衝撃が緩和され用紙ホルダや支持部材の破損が防止できる。
【0008】
また、前記用紙収納部の用紙の引き出し方向と直交する方向において、前記当接部に対して前記第一突起側の第一内壁面には、所定幅で所定高さで所定長さ突出するように形成されたリブと、前記当該リブから凸設された第二突起とが形成され、前記第一突起から前記当接部に向かう方向に衝撃が加わった場合に、前記第一突起と前記当接部との当接が衝撃が加わった側の前記支持部材と前記第二突起の当接よりも先に生じるように、前記第一突起と前記当接部との間隔が前記支持部材と前記第二突起の間隔より狭くすることが可能に構成されていても良い。
【0009】
この構成の印刷装置では、前記第一突起から前記当接部に向かう方向に衝撃が加わった場合に、前記第一突起と前記当接部との当接が衝撃が加わった側の前記支持部材と前記第二突起の当接よりも先に生じる。従って、前記第一突起と前記当接部とが先に接触することで衝撃が緩和され用紙ホルダや支持部材の破損が防止できる。
【0010】
また、前記上ケースには、前記用紙収納部の前記用紙ホルダへ用紙ロールを着脱するための開口部が形成され、当該開口部の前記用紙の引き出し方向と直交する方向には、各々上部内壁面が形成され、前記第一突起から前記当接部に向かう方向に衝撃が加わった場合に、衝撃が加わった側の前記上部内壁面と衝撃が加わった側の前記支持部材との当接が衝撃が加わった側の前記支持部材と前記第二突起の当接よりも後になるように、前記上部内壁面と前記支持部材との間隔が前記支持部材と前記第二突起との間隔より広く形成されていても良い。
【0011】
この構成の印刷装置では、前記第一突起から前記当接部に向かう方向に衝撃が加わった場合に、前記第一突起と前記当接部との当接が最初に、次いで、前記支持部材と前記第二突起の当接が生じ、最後に、前記上部内壁面と衝撃が加わった側の前記支持部材との当接が生じる。従って、順番に衝撃が緩和され、用紙ホルダや支持部材の破損が防止できる。
【0012】
また、前記用紙収納部において、前記第一内壁面と対向する第二内壁面には、前記開口部に設けられた蓋部を開閉する開閉部材を収納する開閉部材収納部が内側に突出するように形成され、当該開閉部材収納部方向から衝撃が加わった場合に、当該開閉部材収納部の壁部と衝撃が加わった側の前記支持部材とが当接するようになっていても良い。
【0013】
この構成の印刷装置では、開閉部材方向から衝撃が加わった場合に、開閉部材収納部の壁部と衝撃が加わった側の前記支持部材とが当接して衝撃を吸収する。
【0014】
また、前記当接部は、前記支持部材の移動をロックするロックつまみの支持部であっても良い。この構成の印刷装置においては、前記当接部はロックつまみの支持部であるので、幅があり強度があるので、印刷装置を落下させたり固定物にぶつけたりして前記第一突起から前記ロックつまみに向かう方向に衝撃が加わった場合に、前記第一突起と前記ロックつまみの支持部とが先に接触することで衝撃が緩和され用紙ホルダや支持部材の破損が防止できる。
【0015】
また、前記用紙ホルダは、前記下ケースとの対向面に一つのピニオンギアに噛み合う一対のラックギアを平行に設け、各ラックギアは、前記保持部材に各々固定され、一方のラックギアには、ピニオンギアと反対方向に前記ロックつまみの支持部が延設されているようにしても良い。この構成の印刷装置では、印刷装置を落下させたり固定物にぶつけたりして前記第一突起から前記ロックつまみの支持部に向かう方向に衝撃が加わった場合に、ロックギアに接続されたロックつまみの支持部が撓み衝撃が緩和され、ラックギアとピニオンギアの噛み合わせのずれを防止できる。また、用紙ホルダや支持部材の破損を防止できる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、印刷装置に衝撃が加わった場合でも、用紙ホルダや支持部材の破損を防止できる印刷装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施の形態であるプリンタ1の外観構成を表す斜視図である。
【図2】開閉蓋13を開放したプリンタ1の斜視図である。
【図3】用紙ロール2を取り外した状態のプリンタ1の斜視図である。
【図4】用紙収納部4において、ホルダフレーム70を取り外し、ラックギア63と、ピニオンギア65と、ラックギア64との噛み合わせを示す斜視図である。
【図5】用紙ホルダ6を底面側から見た斜視図である。
【図6】ラックギア63と、ピニオンギア65と、ラックギア64との噛み合わせを示す平面図である。
【図7】用紙ホルダ6を取り外した状態のプリンタ1の斜視図である。
【図8】用紙ホルダ6の左側面図である。
【図9】下ケース20の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の印刷装置の一実施の形態である可搬型のプリンタ1の構造について図面を参照して説明する。以下では、図1中の右斜め下方向を右方、左斜め上方向を左方、右斜め上方向を後方、左斜め下方向を前方、紙面の表面方向を上方、紙面の裏面方向を下方と定義して説明する。
【0019】
プリンタ1は、例えばPC端末や携帯電話等の外部機器(図示せず)より受信した印刷データを、用紙ロール2に巻回された感熱式の印字用紙を引き出して印刷する印刷装置である。図1及び図2に示すように、プリンタ1は、上ケース10と下ケース20とを嵌合させた略箱形形状の筐体を備えている。上ケース10及び下ケース20は例えば樹脂材料で構成される。プリンタ1は、内部に電池を内蔵し、電池により駆動可能である。下ケース20は平面視、略四角形に形成され、下ケース20の前端部の両角には、左右一対の挿通部16,16が各々設けられている。これら挿通部16,16にストラップなどを挿通し、肩や首、さらには腰ベルトなどに架けることができる。また、操作者は、電池駆動であるプリンタ1を様々な場所に持ち運び使用することができる。下ケース20の右側面には、後述する開閉蓋13のロックを解除するための回転式のつまみである開閉部材5が設けられている。また、図2に示すように、下ケース20の左側面には、磁気カードを読み込むカードリーダ3が設けられている。
【0020】
次に、上ケース10の構造を説明する。図1に示すように、上ケース10は平面視、略四角形に形成され、上ケース10の中央部には、印字後の用紙を排出するスリットである排出口17が設けられている。上ケース10の上部の外周には、ゴム等の衝撃吸収部材から構成されたプロテクタ11が設けられている。また、上ケース10の排出口17から後ろ側には、開閉可能な開閉蓋13が設けられている。開閉蓋13の先端部には、円柱形状のプラテンローラ14が設けられ、開閉蓋13の後端部は、下ケース20に回動可能に軸支されている。また、プラテンローラ14に対向する上ケース10の中央部には、固定歯15が排出口17の長手方向に沿って設けられている。図3に示すように、固定歯15の斜め下側には、プラテンローラ14と平行に印字用紙に熱を加えて印字するサーマルヘッド7が設けられている。また、上ケース10の固定歯15より前半側の内部には、プリンタ1を制御する図示外の電子回路基板、電池等が内蔵されている。
【0021】
図3に示すように、上ケース10の開閉蓋13の下側には、用紙収納部4が形成されている。用紙収納部4には、用紙ホルダ6が固定され、用紙ホルダ6には、用紙ロール2(図2参照)が支持部材61,62により両端部を回転可能に保持されている。また、用紙ロール2は、支持部材61,62から着脱可能である。用紙収納部4の左上端部には、平面からなる左上部内壁面41が形成され、右上端部には、平面からなる右上部内壁面42が形成されている。
【0022】
次に、図4〜図6を参照して、用紙ホルダ6の構造を説明する。図5に示すように、用紙ホルダ6は、ホルダフレーム70を下部に備えている。ホルダフレーム70は、略矩形の中フレーム71と、中フレーム71から斜め後方へ延設された略矩形の後フレーム72と、中フレーム71から斜め前方へ延設された略矩形の前フレーム73とから構成されている。前フレーム73には、螺子孔91,92,93,94が形成され、これらの螺子孔に図示外の螺子が螺子込まれてホルダフレーム70は、下ケース20に固定される。
【0023】
中フレーム71には、長方形の開口部81,83が一列に形成され、開口部81には、スライダ82が開口部81の長手方向に移動可能に嵌り込んでいる。このスライダ82には、ラックギア63が開口部81の長手方向と平行に延設されている。また、開口部83内には、スライダ84が開口部83の長手方向に移動可能に嵌り込んでいる。また、スライダ84には、ラックギア64が開口部83の長手方向と平行に延設されている。また、後フレーム72の左側部分(図5では、下から見ているので右側部分)には、略長方形の開口部74が形成され、開口部74内を固定つまみ66を支持するつまみ支持部67が移動可能になっている。
【0024】
図5及び図6に示すように、中フレーム71の中央部には、ラックギア63及びラックギア64と噛合するピニオンギア65が螺子68により回動自在に固定されている。また、図6に示すように、スライダ82には、支持軸部161が直交方向に立設され、支持軸部161には、用紙ロール2の左端部を保持する略円盤状の支持部材61が回転自在に支持されている。また、スライダ84には、支持軸部162が直交方向に立設され、支持軸部162には、用紙ロール2の右端部を保持する略円盤状の支持部材62が回転自在に支持されている。支持部材61の中央には、用紙ロール2の左端部の中央の孔に嵌合する円錐台形状の突起163が設けられ、支持部材62の中央には、用紙ロール2の右端部の中央の孔に嵌合する円錐台形状の突起164が設けられている。用紙ロール2は、支持部材61、支持部材62、突起163及び突起164により回動自在に保持される。
【0025】
また、図5及び図6に示すように、ラックギア63及びスライダ82には、固定つまみ66を退出可能に支持するつまみ支持部67が接続されている。つまみ支持部67は、平面視略矩形で、ラックギア63の長手方向と直交する方向に延出されており、左右の端部に壁部67A,67Bが設けられている。つまみ支持部67の壁部67Aと壁部67Bの間には、固定つまみ66がラックギア63の長手方向と直交する方向に退出可能に支持されている。図5に示すように、固定つまみ66の裏面にはスプリング69が内蔵されており、固定つまみ66がラックギア63方向に付勢されている。
【0026】
固定つまみ66のラックギア63側の端部には、櫛歯76が一列に形成されている。また、開口部74のラックギア63側の端部には、固定つまみ66の櫛歯76と噛み合う櫛歯75が一列に形成されている。従って、固定つまみ66の櫛歯76が開口部74の櫛歯75と噛み合っている時には、ラックギア63が固定されて移動しない。従って、ラックギア63とピニオンギア65を介して噛合するラックギア64も移動しない。従って、支持部材61,62もホルダフレーム70に対して移動せず固定されている。
【0027】
ここで、用紙ロール2は、印字用紙の幅に応じて各種の幅(円筒の端部から端部までの長さ)のものがある。従って、使用する用紙ロール2の幅に応じて支持部材61と支持部材62との間隔を広げたり縮めたりする必要がある。一番広い印字幅の用紙ロール2を使用する時には、図5に示すように、固定つまみ66を支持するつまみ支持部67がホルダフレーム70の一番端に位置している。この状態から印字幅の狭い用紙ロール2を使用する時には、固定つまみ66を固定つまみ上の矢印方向(ラックギア63から離間する方向)に移動すると、固定つまみ66の櫛歯76と開口部74の櫛歯75との噛み合いが外れて、固定つまみ66(つまみ支持部67)を図6に於ける右方向に移動可能になる。固定つまみ66を図6に於ける右方向に移動すると、ラックギア63が右に移動し、ピニオンギア65を介して噛合するラックギア64が左に移動し、支持部材61と支持部材62との間隔が狭くなる。使用する用紙ロール2の幅に合う位置で固定つまみ66を離すと、スプリング69の付勢力により固定つまみ66の櫛歯76と開口部74の櫛歯75とが噛み合いラックギア63及びラックギア64が固定され、支持部材61及び支持部材62が固定される。従って、支持部材61及び突起163と、支持部材62及び突起164とにより用紙ロール2が保持される。
【0028】
次に、図7及び図9を参照して、用紙収納部4が形成される下ケース20内部の構造について説明する。用紙収納部4から用紙ホルダ6を取り去ると、下ケース20の底面40が表れる。下ケース20の底面40には、用紙ホルダ6の後フレーム72(図5参照)が対向するように用紙ホルダ6が固定される。従って、後フレーム72が用紙ホルダ6の底部となる。また、底面40のカードリーダ3側(図7及び図9に於ける左側)には、板状の第一突起43が所定高さで突出している。第一突起43の延設面は、用紙ロール2の軸線方向と直交する方向に延設され、その高さは、つまみ支持部67に当たる高さである。また、下ケース20の用紙収納部4の左側の端部には、第一内壁面46が設けられ、用紙収納部4の右側の第二内壁面47(図9参照)には、開閉部材5を収納する開閉部材収納部51が内側に凸出して設けられている。第一内壁面46には、所定幅、所定長さ、所定高さ突出したリブ44が設けられ、当該リブ44には、板状の第二突起45が用紙ロール2の軸線方向と平行に所定高さで突出している。
【0029】
次に、図4、図7及び図8を参照して、第一突起43、第二突起45、左上部内壁面41、用紙ホルダ6のつまみ支持部67の壁部67A、支持部材61の第一部分61A、及び第二部分61Bの関係を説明する。図4に示すように、用紙ホルダ6のつまみ支持部67(固定つまみ66)は、最大幅の用紙ロール2を使用する場合には、カードリーダ3側(図4に於ける一番左側)に移動している。この状態で、第一突起43(図7参照)と用紙ホルダ6のつまみ支持部67の壁部67A(図8参照)とが所定間隔開けて対向し、支持部材61の第一部分61A(図8参照)と第二突起45(図7参照)とが所定間隔開けて対向し、支持部材61の第二部分61B(図8参照)と左上部内壁面41(図7参照)とが所定間隔開けて対向する。ここで、第一突起43と用紙ホルダ6のつまみ支持部67の壁部67Aとの間隔を間隔L1、支持部材61の第一部分61Aと第二突起45との間隔を間隔L2、支持部材61の第二部分61Bと左上部内壁面41との間隔を間隔L3とすると、「間隔L1<間隔L2<間隔L3」の関係になるように、第一突起43、第二突起45、左上部内壁面41、用紙ホルダ6のつまみ支持部67の壁部67Aと、支持部材61が配置されている。
【0030】
次に、上記構成を有するプリンタ1の概略動作について説明する。印刷時には、PC端末や携帯電話等の外部機器より、プリンタ1に対し、無線通信(又は有線通信や赤外線通信でも良い)を介して、印字データが送信される。また、図示外のモータの駆動力に基づくプラテンローラ14の回転によって用紙ホルダ6に保持された用紙ロール2から印字用紙が繰り出される。繰り出された印字用紙は、プラテンローラ14とサーマルヘッド7との圧接部に案内される。そして、印字用紙に対し、サーマルヘッド7が上記印字データに基づいた所望の態様の印字を行う。印字後の印字用紙は、排出口17から筐体外部へと排出される。このとき、操作者は、印字が完了し排出口17から印字用紙の端部を、固定歯15を用いて手動で切断する。
【0031】
上記構成のプリンタ1を操作者が持ち運んでいるときに、操作者はプリンタ1を落下したり、固定物にぶつけたりする場合がある。ここで、プリンタ1のカードリーダ3側を下にして、地面等に落下させた場合や、プリンタ1のカードリーダ3側を固定物にぶつけた場合には、用紙ロール2は重いので、第一突起43からつまみ支持部67に向かう方向に衝撃が加わり、用紙ロール2から支持部材61に向けて慣性力が働くことになる。このとき、用紙ホルダ6に最大幅の用紙ロール2を装着している場合には、第一突起43と用紙ホルダ6のつまみ支持部67の壁部67Aとの間隔を間隔L1、支持部材61の第一部分61Aと第二突起45との間隔を間隔L2、支持部材61の第二部分61Bと左上部内壁面41との間隔を間隔L3とすると、「間隔L1<間隔L2<間隔L3」の関係がある。
【0032】
従って、図8に示すY−Y線上で、まず、用紙ホルダ6のつまみ支持部67の壁部67Aが下ケース20の第一突起43に当接する。次いで、支持部材61の第一部分61Aと第二突起45が当接し、最後に、支持部材61の第二部分61Bと左上部内壁面41とが当接する。従って、最初に、幅があり強度もあるつまみ支持部67の弾性で衝撃が一部吸収される。次いで、支持部材61の弾性により支持部材61に捻れが生じて第二部分61Bが左上部内壁面41側に近づくが、支持部材61の第一部分61Aに第二突起45が先に当接して支持部材61を支え、最後に、第二部分61Bが左上部内壁面41に当接する。従って、つまみ支持部67→第一部分61A→第二部分61Bの順番で支持部材61が支えられることで、支持部材61に大きな衝撃が加わることを防止して、ラックギア63,64とピニオンギア65との噛み合わせにずれが生じて位相がずれることを防止できる。また、支持部材61が破損したり、X−X線上において支持軸部161が破損することを防止できる。
【0033】
尚、プリンタ1の開閉部材5側を下にして、地面等に落下させた場合や、プリンタ1の開閉部材5側を固定物にぶつけた場合には、図9に示す第二内壁面47から凸出した開閉部材収納部51に支持部材62が当接して支えられる。尚、上記実施の形態では、つまみ支持部67の壁部67Aは「当接部」の一例である。
【0034】
また、本発明は、各種の変形が可能である。例えば、用紙ホルダ6の後フレーム72の底面に突起部を設けて、下ケース20の第一突起43に当接するのは、つまみ支持部67の壁部67Aでなく、当該突起部が当接するようにしても良い。また、第一突起43及び第二突起45は、板状に限られず、突起であれば、ボス形状、角柱等の各種の形状を採用できる。
【符号の説明】
【0035】
1 プリンタ
2 用紙ロール
4 用紙収納部
5 開閉部材
6 用紙ホルダ
10 上ケース
13 開閉蓋
14 プラテンローラ
20 下ケース
40 底面
41 左上部内壁面
42 右上部内壁面
43 第一突起
44 リブ
45 第二突起
46 第一内壁面
47 第二内壁面
51 開閉部材収納部
61 支持部材
61A 第一部分
61B 第二部分
62 支持部材
63 ラックギア
64 ラックギア
65 ピニオンギア
66 固定つまみ
67 つまみ支持部
67A,67B 壁部
68 螺子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体を構成する下ケース及び上ケースと、
前記下ケースに形成され、印字用紙が巻回された用紙ロールを収納する用紙収納部と、
当該用紙収納部に設けられ、前記用紙ロールを保持する用紙ホルダと、
当該用紙ホルダに設けられ、前記用紙ロールからの用紙の引き出し方向と直交する方向の前記用紙ロールの両端部を各々保持する一対の支持部材と、
前記用紙収納部において、前記下ケースから当該下ケースに対向する前記用紙ホルダの底部方向に突出する第一突起と、
前記用紙ホルダの底部に設けられ、前記印字用紙の引き出し方向と直交する前記用紙ロールの軸線方向において当該第一突起と所定距離離間して設けられた当接部とを備え、
前記用紙ロールの軸線方向において、前記当接部の厚みが、前記支持部材の厚みより厚く構成され、
前記第一突起から前記当接部に向かう方向に衝撃が加わった場合に、前記第一突起と前記当接部とが当接することを特徴とする印刷装置。
【請求項2】
前記用紙収納部の用紙の引き出し方向と直交する方向において、前記当接部に対して前記第一突起側の第一内壁面には、
所定幅で所定高さで所定長さ突出するように形成されたリブと、
前記当該リブから凸設された第二突起とが形成され、
前記第一突起から前記当接部に向かう方向に衝撃が加わった場合に、前記第一突起と前記当接部との当接が衝撃が加わった側の前記支持部材と前記第二突起の当接よりも先に生じるように、前記第一突起と前記当接部との間隔が前記支持部材と前記第二突起の間隔より狭くすることが可能に構成されていることを特徴とする請求項1に記載の印刷装置。
【請求項3】
前記上ケースには、前記用紙収納部の前記用紙ホルダへ用紙ロールを着脱するための開口部が形成され、
当該開口部の前記用紙の引き出し方向と直交する方向には、各々上部内壁面が形成され、
前記第一突起から前記当接部に向かう方向に衝撃が加わった場合に、衝撃が加わった側の前記上部内壁面と衝撃が加わった側の前記支持部材との当接が衝撃が加わった側の前記支持部材と前記第二突起の当接よりも後になるように、前記上部内壁面と前記支持部材との間隔が前記支持部材と前記第二突起との間隔より広く形成されていることを特徴とする請求項2に記載の印刷装置。
【請求項4】
前記用紙収納部において、前記第一内壁面と対向する第二内壁面には、前記開口部に設けられた蓋部を開閉する開閉部材を収納する開閉部材収納部が内側に突出するように形成され、
当該開閉部材収納部方向から衝撃が加わった場合に、当該開閉部材収納部の壁部と衝撃が加わった側の前記支持部材とが当接することを特徴とする請求項2又は3に記載の印刷装置。
【請求項5】
前記当接部は、前記支持部材の移動をロックするロックつまみの支持部であることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の印刷装置。
【請求項6】
前記用紙ホルダは、前記下ケースとの対向面に一つのピニオンギアに噛み合う一対のラックギアを平行に設け、
各ラックギアは、前記保持部材に各々固定され、
一方のラックギアには、ピニオンギアと反対方向に前記ロックつまみの支持部が延設されていることを特徴とする請求項5に記載の印刷装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−95049(P2013−95049A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−239576(P2011−239576)
【出願日】平成23年10月31日(2011.10.31)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】