説明

収穫機

【課題】脱穀部及び選別部からの廃棄物を機外に排出する廃棄物排出部を備えた収穫機であって、脱穀量や選別量の変動に拘わらず、前記選別部における選別性能を向上させることができる収穫機を提供する。
【解決手段】脱穀部及び選別部からの廃棄物を機外に排出する廃棄物排出部において、排稈等の大きな廃棄物は排風路72より前方側に位置する排稈路71を介して前記排稈路71内に配設された排稈処理部材74によって処理された状態で機外に排出される一方で、排塵等の小さな廃棄物は選別ファン52の圧送作用と前記排風路72内に配設された吸引ファン73の吸引作用とによって前記排稈路71より後方側に位置する前記排風路72を介して機外に排出される。前記吸引ファンの吸引量は、調整可能とされている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンバイン等の収穫機に関し、特に、刈り取られた穀稈を脱穀処理する脱穀部と、前記脱穀部の下方に受網を介して配設された揺動選別機構及び前記揺動選別機構に対して前下方から後上方へ抜ける選別風を送出する選別ファンを含む選別部と、前記選別部によって選別された選別物を集約するように前記揺動選別機構の下方に配設された選別物集約部と、前記脱穀部及び前記選別部からの廃棄物を機外に排出する廃棄物排出部とを備えた収穫機に関する。
【背景技術】
【0002】
前記廃棄物排出部として、前記脱穀部の扱室の後端下方に設けられた排稈口及び前記揺動選別機構の後端の双方に連通された単一の排出路と、前記排出路の上流側及び下流側にそれぞれ配設荒れた横断流ファン等の吸引ファン及びスプレッダ等の排稈処理部材とを備えた収穫機が提案されている(例えば、下記特許文献1参照)。
前記特許文献1に記載の収穫機は、前記選別ファンからの選別風に乗って前記揺動選別機構から後上方へ搬送される排塵等の小さな廃棄物を前記吸引ファンによって積極的に機外に排出させることができると共に、排稈等の大きな廃棄物を前記排稈処理部材によって細かく処理した状態で機外に排出させることができる点で有用である。
【0003】
しかしながら、前記特許文献1に記載の収穫機においては、排塵等の小さな廃棄物及び排稈等の大きな廃棄物の双方が前記単一の排出路を介して機外に排出され、しかも、前記単一の排出路の上流側に前記吸引ファンが配設されているため、排稈等の大きな廃棄物によって前記吸引ファンの目詰まりが生じ易いという問題がある。
このような吸引ファンの目詰まりが生じると、前記選別ファンから前記揺動選別機構を通って後上方へ流れる選別風の流れが阻害され、結果として、前記選別部による選別性能が悪化する。
【0004】
これに対し、前記廃棄物排出部として、前記脱穀部の扱室の後端下方に設けられた排稈口及び前記揺動選別機構の後端の双方に連通された排稈路と、前記排稈路に配設された排稈処理部材と、前記排稈路より上方に配設された排風路戸を備えた収穫機が提案されている(例えば、下記特許文献2参照)。
前記特許文献2に記載の収穫機は、排稈等の大きな廃棄物の排出経路と排塵等の小さな廃棄物の排出経路とを区別することで、排稈等の大きな廃棄物を前記排稈処理部材によって細かく処理した状態で機外に排出させつつ前記選別ファンからの選別風の流れを良好に維持しようとしている。
【0005】
しかしながら、前記特許文献2に記載の構成においては、選別風のうち風速の遅くなった部分が前記排稈路に流れ込み易く、選別風を効率よく前記排風路に送り込めないという問題がある。
即ち、前記選別ファンから後上方へ送出された選別風は、前記揺動選別機構内において前記脱穀部からの脱穀物と衝突して速度が緩められた状態で、前記揺動選別機構から後上方へ流れ出る。従って、前記排風路を設けているにも拘らず、前記揺動選別機構を通過した選別風が前記排稈路へ流れ込む事態が生じ得る。
排稈等の大きな廃棄物の量が多い場合にこのような事態が生じると、前記排稈路に流れ込んだ選別風が前記排稈処理部材に反射して、前記揺動選別機構へ向かって逆流する流れを引き起こし、結果として、前記選別部による選別性能が悪化する。
【特許文献1】特開2000−287533号公報
【特許文献2】実登2535946号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、前記従来技術に鑑みなされたものであり、脱穀部及び選別部からの廃棄物を機外に排出する廃棄物排出部を備えた収穫機であって、脱穀量や選別量の変動に拘わらず、前記選別部における選別性能を向上させることができる収穫機の提供を一の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するために、本発明に係る収穫機は、本発明に係る収穫機は、刈り取られた穀稈を脱穀処理する脱穀部と、前記脱穀部の下方に受網を介して配設された揺動選別機構及び前記揺動選別機構に対して前下方から後上方へ抜ける選別風を送出する選別ファンを含む選別部と、前記選別部によって選別された選別物を集約するように前記揺動選別機構の下方に配設された選別物集約部と、前記脱穀部及び前記選別部からの廃棄物を機外に排出する廃棄物排出部とを備えている。
前記廃棄物排出部は、上流側開口が前記脱穀部における扱室の後端下方に設けられた排稈口及び前記揺動選別機構の後端の双方に連通され且つ下流側開口が機外に開放された排稈路と、前記排稈路内において機体幅方向に沿った回転軸回りに回転駆動可能に配設された排稈処理部材と、前記排稈路より後方に配設された排風路であって、上流側開口が排稈口及び前記揺動選別機構の後端の双方に連通され且つ下流側開口が機外に開放された排風路と、前記排風路内に配設された吸引ファンとを有している。
前記吸引ファンの吸引量は、調整可能とされている。
【0008】
好ましくは、前記収穫機は、前記排風路を形成する排風ケーシングを備え、前記排風ケーシングのうち前記吸引ファンより上流側に位置する部分には開口が設けられ、前記開口の開口度が開口調整部材によって調整可能とされている。
【0009】
好ましくは、駆動源から前記吸引ファンへ至る伝動経路には吸引ファン変速機構が設けられ、前記吸引ファン変速機構によって前記吸引ファンの回転数が変更可能とされている。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る収穫機によれば、前記選別ファンから供給され前記揺動選別機構に作用した後の選別風を前記吸引ファンによって吸引して機外に排出するという風の流れを脱穀量や選別量に応じて良好に維持することができ、これにより、脱穀量や選別量の変動に拘わらず選別性能を向上させることができる。
【0011】
また、前記排風路を形成する排風ケーシングを備え、前記排風ケーシングのうち前記吸引ファンより上流側に位置する部分には開口が設けられ、前記開口の開口度が開口調整部材によって調整可能とされている場合には、前記吸引ファンより上流側に設けられた前記開口の開口度を調整することにより、前記吸引ファンの吸引量を容易に調整することができる。
【0012】
さらに、駆動源から前記吸引ファンへ至る伝動経路には吸引ファン変速機構が設けられ、前記吸引ファン変速機構によって前記吸引ファンの回転数が変更可能とされている場合には、前記吸引ファン変速機構によって前記吸引ファンの回転数を変更することにより、前記吸引ファンの吸引量を直接的に調整することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
<第1実施形態>
以下、本発明の好ましい実施形態について、添付図面を参照しつつ説明する。
図1及び図2は、それぞれ、本発明の第1実施形態に係る収穫機1の側面図及び伝動模式図である。
【0014】
<全体構成>
本実施の形態においては、本発明に係る収穫機1として刈り取った穀稈全体を脱穀部にて脱穀処理する普通型コンバインを例示して説明する。
前記収穫機1は、図1及び図2に示すように、走行機体2と、前記走行機体2に支持された駆動源としてのエンジン3と、前記走行機体2に連結された左右一対の走行装置(本実施形態においては、クローラ式走行装置)4と、前記走行機体2の前方において該走行機体2に支持された刈取部30と、前記刈取部30によって刈り取られた穀稈を脱穀処理する脱穀部40と、前記刈取部30と前記脱穀部40との間に配設された搬送部20と、前記脱穀部40の下方に配設された選別部50と、前記選別部50によって選別された選別物を集約するように、前記選別部50の下方に配設された選別物集約部60と、前記脱穀部40及び前記選別部50からの廃棄物を機外に排出する廃棄物排出部70と、前記走行機体2の右前方部分に配設された運転席5と、前記選別物集約部60によって集約された穀粒を収容するグレンタンク6であって、前記運転席5の後方に配設されたグレンタンク6と、前記グレンタンク6の後部から延出され、グレンタンク6内の穀粒を外部に排出する排出オーガ7とを備えている。
本実施の形態においては、前記刈取部30は、機体幅方向に沿った回転軸線回りに回転する刈取リールを有している。
また、前記搬送部20は、前記刈取部30の後端部と前記脱穀部40の前端開口とを連通するフィーダハウス21と、前記フィーダハウス21内に配設された搬送コンベア22とを有している。
【0015】
図3に、図1及び図2に示す収穫機1の左側板を取り外した状態における部分内部側面図を示す。
前記脱穀部40は、前記走行機体2の機体幅方向一方側(左側)に配設されており、図2及び図3に示すように、脱穀機枠41によって画される扱室42と、前記扱室42内において前記エンジン3からの回転動力によって作動的に駆動される扱胴43とを有している。
本実施の形態において、前記扱胴43は、車輌前後方向に沿った回転軸44と、当該回転軸44回りに相対回転不能に支持された扱胴本体と、前記扱胴本体に前記回転軸44回りに螺旋状に配設された扱歯とを有している。前記回転軸44は、前記脱穀機枠41(前記扱室42の前端壁48及び後端壁47)によって支持される。
さらに、前記脱穀部40には、前記扱胴43の下方に脱穀物を漏下可能な受網45が設けられている。
また、前記扱室42の後端下方には、排稈口46が設けられている。
詳しくは、前記排稈口46は、前記受網45の後端部と前記扱室42の前記後端壁47との間に設けられた下方開口とされている。
【0016】
前記選別部50は、前記脱穀部40の下方に前記受網45を介して配設された揺動選別機構51及び前記揺動選別機構51に対して前下方から後上方へ抜ける選別風を送出する選別ファン52を含んでいる。
本実施の形態において、前記揺動選別機構51は、揺動軸53(図2参照)の回転に伴って揺動することにより、前記脱穀部40において脱穀された脱穀物に対して比重選別を行うように構成されている。
【0017】
本実施の形態において、前記選別部50は、図3に示すように、前記揺動選別機構51の後端が前記廃棄物排出部70と連通されている。
【0018】
本実施の形態において、前記選別物集約部60は、前記揺動選別機構51の下方に配設される。前記選別物集約部60は、前記選別部50によって選別された選別物のうち一番物及び二番物をそれぞれ集約するように機体前後方向に並列配置された一番樋61及び二番樋62を有している。前記一番樋61は、前記揺動選別機構51の下方且つ後述する唐箕ファン521の後方に配設され、前記二番樋62は、前記揺動選別機構51の下方且つ前記一番樋61の後方に配設されている。
【0019】
<揺動選別機構の詳細構成>
前記揺動選別機構51は、図3に示すように、左右一対の揺動側板511と、前記脱穀部40から流下される脱穀物を受け止めるように前記一対の揺動側板511の間に配設されたフィードパン512と、前記脱穀部40から流下する脱穀物及び前記フィードパン512から送られてくる脱穀物を受け、該脱穀物から穀粒を揺動選別するように前記一対の揺動側板511の間に配設されたチャフシーブ機構513と、前記チャフシーブ機構513の後方に直列配置するように前記一対の揺動側板511の間に配設された再選別機構514とを有している。前記揺動選別機構51は、上下方向に関し前記脱穀部40と前記選別物集約部60との間に配置され且つ機体前後方向に一体的に揺動される。
【0020】
前記フィードパン512は、前記脱穀部40から流下される脱穀物を機体幅方向に拡散させつつ、前記チャフシーブ機構513へ向けて機体後方側へ搬送するように構成されている。
具体的には、前記フィードパン512は上面が波状に形成された板体とされている。
【0021】
前記チャフシーブ機構513は、前記脱穀部40から流下する脱穀物及び前記フィードパン512から送られてくる脱穀物に対して比重選別を行い、該脱穀物の一部を下方に位置する前記一番樋61に一番物として流下させるように構成されている。
【0022】
前記再選別機構514は、前記チャフシーブ機構513から送られてくる脱穀物に対して比重選別を行い、該脱穀物の一部を下方に位置する前記二番樋62に二番物として流下させるとともに、該脱穀物のうち排藁等の大きな不要物を前記選別部50の後端から機外に搬送するように構成されている。
本実施の形態においては、前記再選別機構514は、後述する一番流穀板611に後続するストローラック機構514aと前記ストローラック機構514aに後続する第2チャフシーブ機構514bを有している。
【0023】
前記ストローラック機構514aは、板面が略垂直に沿った状態で機体前後方向に延びる複数の板状部材であって、間隔を存しつつ機体幅方向に並設された複数の板状部材を有しており、前記間隔を介して、前記脱穀物のうち枝梗付き穀粒や穂切れ粒等の小さな脱穀物を二番物として前記二番樋62へ落下させるようになっている。
なお、前記複数の板状部材は、それぞれ、上面が波状に形成されており、これにより、排藁等の大きな不要物の後方への搬送を促進させている。
前記第2チャフシーブ機構514bは、前記ストローラック機構514aから送られてくる脱穀物に対して比重選別を行い、該脱穀物の一部を下方に位置する前記二番樋62に二番物として落下させるようになっている。
【0024】
<選別物集約部の詳細構成>
前記一番樋61は、図3に示すように、前記選別部50によって選別処理された一番物を集約し得るように前記揺動選別機構51の下方に配設された側面視凹状とされている。
詳しくは、前記一番樋61は、一番樋本体610と、該一番樋本体610とは別体とされた一番流穀板611とを備えている。
【0025】
前記一番樋本体610は、一体形成されている。
具体的には、前記一番樋本体610は、側面視において後方へ行くに従って下方に位置するように傾斜された一番前方側傾斜板612と、前記一番前方側傾斜板612より後方側に位置し且つ側面視において後方へ行くに従って上方に位置するように傾斜された一番後方側傾斜板613とを一体的に有しており、前記一番前方側傾斜板612及び前記一番後方側傾斜板613によって画される側面視凹状の一番集約空間61Sに一番物を集約させ得るように構成されている。
なお、前記一番集約空間61Sには、図2に示すように、機体幅方向に沿って一番コンベア614が配設されており、前記一番集約空間61Sに集約された一番物を前記一番コンベア614により前記グレンタンク6へ搬送する。
【0026】
前記一番流穀板611は、図3に示すように、前端側が前記一番後方側傾斜板613の上面に載置され且つ後端側が前記一番後方側傾斜板613を越えて後斜め上方へ延び、前記一番樋本体610に対してフリーな状態で前記揺動選別機構51に脱着可能に支持されている。
【0027】
本実施の形態においては、前記一番流穀板611は、前記一対の揺動側板511に着脱自在に連結されており、前記揺動選別機構51の機体前後方向の揺動に伴って機体前後方向に揺動されるように構成されている。
【0028】
前記二番樋62は、図3に示すように、前記選別部50によって選別処理された二番物を集約し得るように前記揺動選別機構51の下方に配設された側面視凹状とされている。
詳しくは、前記二番樋62は、二番樋本体620と、該二番樋本体620とは別体とされた二番流穀板621とを備えている。
【0029】
前記二番樋本体620は、一体形成されている。
具体的には、前記二番樋本体620は、側面視において後方へ行くに従って下方に位置するように傾斜された二番前方側傾斜板622と、前記二番前方側傾斜板622より後方側に位置し且つ側面視において後方へ行くに従って上方に位置するように傾斜された二番後方側傾斜板623とを一体的に有しており、前記二番前方側傾斜板622及び前記二番後方側傾斜板623によって画される側面視凹状の二番集約空間62Sに二番物を集約させ得るように構成されている。
なお、前記二番集約空間62Sには、図2に示すように、機体幅方向に沿って二番コンベア624が配設される。前記二番コンベア624の搬送方向下流端部には、還元筒625(図1参照)に内挿された状態で作動連結された二番還元コンベア626及び前記二番還元コンベア626に作動連結された二番上コンベア627が配設されている。
前記二番樋62に集約された二番物は、前記二番コンベア624、前記二番還元コンベア626及び前記二番上コンベア627を通じて前記脱穀部40の前記扱室42へ搬送され、再脱穀される。
【0030】
前記二番流穀板621は、図3に示すように、前記二番後方側傾斜板623の上面に載置され且つ後端側が前記二番後方側傾斜板623を越えて後斜め上方へ延び、前記二番樋本体620に対してフリーな状態で前記揺動選別機構51に脱着可能に支持されており、前記揺動選別機構51の機体前後方向の揺動に伴って機体前後方向に揺動されるように構成されている。
【0031】
<選別ファンの詳細構成>
本実施の形態において、前記選別ファン52は、図2及び図3に示すように、前記揺動選別機構51に対して前下方から後上方へ抜ける選別風を送出する唐箕ファン521を含んでいる。
【0032】
前記唐箕ファン521は、図3に示すように、前記チャフシーブ機構513の前方且つ下方において、機体幅方向に沿った唐箕ファン用回転軸5211によって回転駆動されるように構成されている。
具体的には、前記唐箕ファン521は、前記脱穀機枠41の両側板と、後方が開口とされた唐箕ファンケース5212とによって画される空間内に配設されており、後方且つ上方へ向けて選別風を送出し得るようになっている。
より詳しくは、前記唐箕ファンケース5212は、図3に示すように、前記唐箕ファン521を囲繞する唐箕ファンケース本体5213と、前端部が前記唐箕ファンケース本体5213に流体接続され且つ後端部が斜め後方へ向けて開口された中空の風路ケース5214とを有している。
なお、前記脱穀機枠41の側板には、前記唐箕ファン521へ吸気させる吸入口が設けられている。
【0033】
本実施の形態において、前記選別ファン52は、図2及び図3に示すように、前記一番後方側傾斜板613及び前記二番前方側傾斜板622の間に配置されたセカンドファン522をさらに含んでいる。
前記選別部50は、図3に示すように、前記セカンドファン522からの主選別風が、前記二番流穀板621とともに前記再選別機構514へ当たるように、前記セカンドファン522、前記再選別機構514、前記二番後方側傾斜板623及び前記二番流穀板621が配置されている。
前記セカンドファン522は、機体幅方向に沿ったセカンドファン用回転軸5221によって回転駆動されるように構成されている。
具体的には、前記セカンドファン522は、前記脱穀機枠41の両側板と、前記一番後方側傾斜板613及び前記二番前方側傾斜板622の間が開口とされたセカンドファンケース5222とによって画される空間内に配設されており、後上方へ向けて選別風を送出し得るようになっている。
なお、前記脱穀機枠41の側板には、前記セカンドファン522へ吸気させる吸入口が設けられている。
【0034】
さらに、前記選別ファン52は、図2及び図3に示すように、前記唐箕ファン521より前方且つ上下方向に関し前記フィードパン512と前記唐箕ファン521の間に配置された補助送風ファン523を含み得る。前記補助送風ファン523は、図3に示すように、機体幅方向に沿った補助送風ファン用回転軸5231によって回転駆動されるように構成されている。
具体的には、前記補助送風ファン523は、前記脱穀機枠41の両側板と、前記フィードパン512及び前記唐箕ファンケース5212の間が開口とされた補助送風ファンケース5232とによって画される空間内に配設されており、後上方へ向けて選別風を送出し得るようになっている。
【0035】
<廃棄物排出部の詳細構成>
図4に、図3に示す収穫機1の部分内部側面図における廃棄物排出部近傍の部分拡大側面図を示す。
また、図5に、図1から図4に示す収穫機1の廃棄物排出部近傍の部分透過平面図を示す。
前記廃棄物排出部70は、図3から図5に示すように、上流側開口71aが前記排稈口46及び前記選別排出口54の双方に連通され且つ下流側開口71bが機外に開放された排稈路71と、前記排稈路71より後方に配設された排風路72であって、上流側開口72aが前記排稈口46及び前記選別排出口54の双方に連通され且つ下流側開口72bが機外に開放された排風路72とを有している。
さらに、前記廃棄物排出部70は、前記排風路72内に配設された吸引ファン73を有している。
【0036】
斯かる構成によれば、排稈等の大きな廃棄物は、前記排風路72より前方側に位置する前記排稈路71を介して機外に排出される一方で、排塵等の小さな廃棄物は、前記選別ファン52の圧送作用と前記吸引ファン73の吸引作用とによって前記排稈路71より後方側に位置する前記排風路72を介して機外に排出される。
これにより、大きな廃棄物による前記吸引ファン73の目詰まりを防止しつつ、前記選別ファン52から供給され且つ前記揺動選別機構51に作用した選別風を前記吸引ファン73によってスムースに機外に排出することができる。
【0037】
従って、前記選別ファン52からの選別風の流れを良好に維持して前記収穫機1の内部空間の圧力が選別風によって不当に上昇することを防止でき、これにより、前記選別部50における選別性能の向上を図ることができる。
さらに、選別風の流れが排稈等の大きな廃棄物によって妨げられることが有効に防止されるため、前記排稈口46から排出される穀稈や選別風に乗って飛ばされた塵等が、前記選別部50に舞い戻ってしまう不具合を防止することができる。従って、本実施の形態のように、前記選別物集約部60が前記一番樋61及び前記二番樋62を有する場合には、前記二番樋62に集約される二番物への屑混入の減少を図ることができる。
【0038】
特に、本実施の形態のように、前記収穫機1が刈り取った穀稈全体を前記脱穀部40にて脱穀処理する普通型コンバインである場合には、前記排稈口46から排出される排稈量が比較的多い。
このため、排稈を機外に排出する前記排稈路71とは別に前記排稈路71の後方に前記排風路72を配設し、前記選別ファンからの選別風を前記吸引ファン73が収容された前記排風路72を介して機外へ送り出す本実施の形態は、普通型コンバインに好適に適用される。即ち、前記構成によれば、排稈量が比較的多くとも前記吸引ファン73の目詰まりを防止しつつ、前記選別ファン52から供給され且つ前記揺動選別機構51に作用した選別風を前記吸引ファン73によってスムースに機外に排出することができる。
【0039】
さらに、本実施の形態においては、前記吸引ファン73の吸引量が調整可能とされている。
上記構成によれば、前記選別ファン52から供給され前記揺動選別機構51に作用した後の選別風を前記排風路72内に配設された前記吸引ファン73によって吸引して機外に排出するという風の流れを脱穀量や選別量に応じて良好に維持することができ、これにより、脱穀量や選別量の変動に拘わらず選別性能を向上させることができる。
【0040】
例えば、脱穀量が多い場合(即ち、廃棄物量が多い場合)には、前記吸引ファン73の吸引量を大きくし、脱穀量が少ない場合(即ち、廃棄物量が少ない場合)には、前記吸引ファン73の吸引量を小さくする。
また、排稈に含まれる水分が多い場合には、前記吸引ファン73の吸引量を大きくし、排稈が乾いている場合には、前記吸引ファン73の吸引量を小さくする。
さらに、前記吸引ファン73の吸引量は、脱穀される穀稈の品種によっても調整することが好ましい。例えば、稲に比べて比重が軽い蕎麦に対しては前記吸引ファン73の吸引量を稲の場合と比べて小さくする。
【0041】
本実施の形態において、前記廃棄物排出部70は、図3から図5に示すように、前記排風路72を形成する排風ケーシング720を備えている。
【0042】
前記排風ケーシング720のうち前記吸引ファン73より上流側に位置する部分には、開口77が設けられ、前記開口77の開口度が開口調整部材78によって調整可能とされている。
即ち、前記開口調整部材78により前記開口77の開口度を大きくすることで、前記吸引ファン73の吸引量を小さくし、前記開口調整部材78により前記開口77の開口度を小さくすることで、前記吸引ファン73の吸引量を大きくすることができる。
上記構成によれば、前記吸引ファン73より上流側に設けられた前記開口77の開口度を調整することにより、前記吸引ファン73の吸引量を容易に調整することができる。
【0043】
本実施の形態において、前記吸引ファン73は、図3から図5に示すように、機体幅方向に沿ったファン軸731と、前記ファン軸731に略平行とされた状態で前記ファン軸731を基準にして周方向に配列された複数のフィン732とを有する横断流ファンとされている。
【0044】
また、前記排風路72は、図4に示すように、前記上流側開口72aに後続する導通空間S1であって、前記受網45の機体後方側への延長線上で且つ前記排稈路71の上流側開口71aの上方に位置する導通空間S1と、前記導通空間S1に後続し且つ前記吸引ファン73の上方に位置する吸引上方空間S2と、前記吸引ファン73より下流側に位置し前記下流側開口72bを介して機外に開放された吐出空間S3とを有している。
【0045】
本実施の形態において、前記吸引ファン73のファン軸731は、前記フィン732が前記ファン軸731より上方において後方から前方へ移動する方向へ軸線回りに駆動されており、これにより前記吸引ファン73の吸引領域A1(後述)のうち最も吸引力が大きい部分を前記排稈路71から離間した位置とすることができる。
【0046】
以下、詳しく説明する。
吸引ファンにおいては、吸引ファンの吸引領域の回転方向上流側端部近傍が前記吸引ファンの吸引領域のうち最も吸引力が大きい部分となる。
従って、本実施の形態におけるように、前記排稈路71より後方に配設された前記排風路72内に収容された前記吸引ファン73のファン軸731を前記フィン732が前記ファン軸731より上方において後方から前方へ移動する方向へ軸線回りに駆動させることで、前記吸引ファン73の前記吸引領域A1の回転方向上流側端部を前記排風路72の後側に位置させている。
即ち、前記吸引ファン73の前記吸引領域A1のうち最も吸引力が大きい部分(吸引力最大領域X1)が前記排稈路71から離間した位置となる。
従って、上記構成を備えることにより、前記選別ファン52からの選別風の多くは、前記排稈路71より後方に配設された前記排風路72において前記吸引ファン73の上方に位置する前記吸引上方空間S2を通じて前記排稈路71から離間した位置にある前記吸引ファン73の前記吸引力最大領域X1に送られる。
このように、前記選別ファン52で送出された選別風の多くが前記排稈路71から離間した位置で前記吸引ファン73に吸引されるため、排稈等の大きな破棄物が前記吸引ファン73の吸引力によって前記排風路72に吸い込まれることを有効に防止することができる。
従って、前記吸引ファン73の目詰まりを防止して該吸引ファン73の吸引性能を良好に維持し、前記選別部50における選別性能を向上させることができる。
【0047】
本実施の形態において、前記吸引上方空間S2は、図4に示すように、前記扱室42の前記後端壁47の下端より上方へ膨出された上方膨出領域S21を有している。
上記構成を有することにより、前記排風路72に流れ込んだ風が前記吸引ファン73の前方から吸引されることを有効に防止することができる。即ち、前記排風路72内の風の流れを前記排稈路71から離間させることができる。従って、排稈等の大きな破棄物が前記吸引ファン73によって吸引されて前記排風路72に流れ込むことをより有効に防止することができ、これにより、前記吸引ファン73の目詰まりを防止することができる。
【0048】
また、本実施の形態において、前記排風路72は、前記吸引上方空間S21に後続する吸引後方空間S4であって、前記吸引ファン73の後上方に位置する吸引後方空間S4を有している。
上記構成を有することにより、前記排風路72に流れ込んだ風を前記吸引ファン73の後方から吸引することができる。従って、前記排風路72内の風の流れを前記排稈路71からより離間させることができ、これにより、排稈等の大きな破棄物が前記吸引ファン73によって吸引されて排風路72に流れ込むことをより有効に防止して、前記吸引ファン73の目詰まりを防止することができる。
【0049】
<排稈ケーシング>
本実施の形態において、前記廃棄物排出部70は、図3から図5に示すように、前記排稈路71を形成する排稈ケーシング710を備えている。
【0050】
本実施の形態において、前記排稈ケーシング710は、前記下流側開口71bを形成する後端開口が斜め後下方を向いている。
さらに、前記排稈ケーシング710は、前記排稈路71の上流側開口71aが、平面視において前記排稈口46と部分的にオーバーラップするように形成されている。
【0051】
詳しくは、前記排稈ケーシング710は、前方壁711、後方壁712及び左右の側壁713を有している。なお、図3及び図4においては、前記左側の側壁は図示を省略している。
前記前方壁711は、前方側の上面が平面視において前記排稈口46とオーバーラップする状態で前記二番流穀板621の後端部に連設されており、後方へ行くに従って下方に位置するように傾斜されている。
さらに、前記排稈ケーシング710の前記左右の側壁713は、前記前方壁711及び前記後方壁712の機体幅方向端部を連結している。
【0052】
<排稈処理部材>
本実施の形態において、前記廃棄物排出部70は、図3から図5に示すように、前記排稈路71内において機体幅方向に沿った回転軸741回りに回転駆動可能に配設された排稈処理部材74を有している。
前記排稈処理部材74は、前記排稈ケーシング710に支持されている。
【0053】
斯かる構成によれば、排稈等の大きな廃棄物は、前記排風路72より前方側に位置する前記排稈路71を介して前記排稈処理部材74によって処理された状態で機外に排出される。
【0054】
前記排稈処理部材74は、排稈等を細かく切断するために前記回転軸741に複数の切断刃742が植設されたチョッパー式のスプレッダとされる。
なお、前記排稈処理部材74は、前記チョッパー式のスプレッダに限られず、排稈を切断せずに拡散させつつ機外へ放出するスプレッダ等、種々の態様が適用され得る。
【0055】
本実施の形態において、前記排稈処理部材74の前記回転軸741は、図3から図5に示されるように、両端部が前記排稈ケーシング710の前記左右の側壁713に相対回転可能に支持されている。
前記排稈処理部材74は、前記左右の側壁713間において機体幅方向全域にわたって配設されている。
前記排稈処理部材74の前記回転軸741は、前記複数の切断刃742が前記回転軸741より上方において後方から前方へ移動する方向へ軸線回りに駆動される。
即ち、前記排稈処理部材74の前記回転軸741は、前記吸引ファン73の前記回転軸731と同じ方向に回転する。
【0056】
本実施の形態において、前記排稈処理部材74の前記回転軸741は、図2に示すように、前記エンジン3からの駆動力により軸線回りに回転する。
さらに、前記吸引ファン73の前記回転軸731及び前記排稈処理部材74の前記回転軸741には、それぞれ軸線回り回転不能に支持された一対のプーリ734,744が設けられ、前記一対のプーリ734,744に伝動ベルト743が巻回されている。
この構成により、前記吸引ファン73の回転軸731は、前記排稈処理部材74の回転軸741の回転駆動により軸線回りに回転する。
【0057】
<排風ケーシング及び吸引ファン>
本実施の形態において、前記排風ケーシング720は、図3から図5に示すように、下方壁721、上方壁722及び左右の側壁723を有している。なお、図3及び図4においては、左側の前記側壁723は図示を省略している。
【0058】
本実施の形態において、前記排風ケーシング720は、前記下流側開口72bを形成する後端開口が前記排稈ケーシング710の後端開口の上方に配置され、且つ、斜め後下方を向いている。
さらに、前記排風ケーシング720は、前記排稈ケーシング710と機体幅方向に関し、略同じ長さを有している。即ち、前記排風ケーシング720の前記左右の側壁723と、前記排稈ケーシング710の前記左右の側壁713とは、左右それぞれにおいて略同じ平面を形成している。
【0059】
本実施の形態において、前記下方壁721は、図3及び図4に示すように、前記排稈ケーシング710の前記後方壁712の上端部に連結されている。
また、前記上方壁722は、前記排稈口46の後端を画する前記扱室42の前記後端壁47の下端部に連結されている。
【0060】
本実施の形態において、前記排風ケーシング720の前記左右の側壁723は、機体幅方向に沿った前記吸引ファン73の前記ファン軸731を軸線回り回転可能に支持している。
【0061】
前記吸引ファン73は、図3及び図4に示すように、回転軌跡の上端が前記排稈処理部材74の回転軌跡の上端より上方に位置し、回転軌跡の下端が前記排稈処理部材74の回転軌跡の上端より下方に位置している。
これにより、前記排稈口46から排出される排稈等の大きな廃棄物が前記吸引ファン73に吸引されることを防止しつつ、前記吸引ファン73の前下方に位置する前記選別ファン52からの選別風を効率よく前記吸引ファン73に引き込むことができる。
【0062】
本実施の形態において、前記吸引ファン73は、図3から図5に示すように、前記ファン軸731と、前記ファン軸731の両端側に設けられた一対の支持板733と、前記ファン軸731を基準にして周方向に配列されるように前記一対の支持板733に支持された前記複数のフィン732とを有している。
前記吸引ファン73は、図5に示すように、前記左右の側壁723間において機体幅方向全域にわたって配設されている。
即ち、前記吸引ファン73の吸引領域(後述)と前記排稈処理部材74の排稈処理領域とは機体幅方向に関して略同じ長さを有している。
【0063】
本実施の形態において、前記吸引ファン73の前記複数のフィン732は、前記ファン軸731の径方向外方に向かうに従って周方向下流側に位置するように前記一対の支持板733に支持されている。
【0064】
前記排風ケーシング720は、前記ファン軸731を基準にして前記吸引ファン73の上方側の周方向所定範囲が前記吸引領域A1となり且つ前記ファン軸731を基準にして前記吸引ファン73の下方側の周方向所定領域が吐出領域A2となるように前記吸引ファン73を囲繞している。
【0065】
前記下方壁721は、図4及び図5に示すように、前記吸引ファン73の前記ファン軸731より前側において前記吸引ファン73の回転軌跡に最も近接された前側近接点A3を有している。
本実施の形態においては、前記前側近接点A3は、前記吸引ファン73における前記吸引領域A1の回転方向下流側の端部を画している。
なお、前記前側近接点A3は、前記吸引ファン73における前記吐出領域A2の回転方向上流側の端部を画しているとも言える。
【0066】
また、前記上方壁722は、図4及び図5に示すように、前記吸引ファン73の前記ファン軸731より後側において前記吸引ファン73の回転軌跡に最も近接された後側近接点A6を有している。
本実施の形態においては、前記後側近接点A6は、前記吸引ファン73における前記吸引領域A1の回転方向上流側の端部を画している。
即ち、前記排風路72内における前記後側近接点A6の上流側近傍が前記吸引力最大領域X1となる。
なお、前記後側近接点A6は、前記吸引ファン73における前記吐出領域A2の回転方向下流側の端部を画しているとも言える。
【0067】
前記吸引ファン73の前記吸引領域A1及び前記吐出領域A2は、図4に示すように、前記排風ケーシング720の前記前側近接点A3と前記ファン軸731とを結ぶ第1境界面B1及び前記排風ケーシング720の前記上方壁722の前記後側近接点A6と前記ファン軸731とを結ぶ第2境界面B2により区画される。
即ち、前記吸引ファン73において、前記第1及び第2境界面B1,B2より前記排風路72の上流側が前記吸引領域A1となり、前記第1及び第2境界面B1,B2より前記排風路72の下流側が前記吐出領域A2となる。
なお、本実施の形態においては、前記第1境界面B1及び前記第2境界面B2は略同一平面とされている。
【0068】
さらに、前記第1境界面B1及び前記第2境界面B2は、それぞれ前高後低状とされている。
これにより、前記吸引ファン73の前記吸引領域A1のうち最も吸引力が大きくなる回転方向上流側端部近傍(前記吸引力最大領域X1)を前記上流側開口72aに対して奥まった位置に位置させることができる。従って、前記排風路72内の風の流れを前記排稈路71からより離間させることができ、これにより、排稈等の大きな破棄物が前記吸引ファン73によって吸引されて排風路72に流れ込むことをより有効に防止して、前記吸引ファン73の目詰まりを防止することができる。
【0069】
本実施の形態において、前記下方壁721は、図4に示すように、前記前側近接点A3から下方且つ後方へ湾曲した吐出湾曲領域A5と、前記吐出湾曲領域A5に後続し、前記下流側開口72bへ延びる下側排出ガイド領域A4とをさらに有している。
本実施の形態において、前記吐出湾曲領域A5は、前記前側近接点A3から後端部に向かうに従って、前記ファン軸731より離間するように湾曲されている。これにより、前記吸引ファン73の吐出効率をより向上させることができる。
【0070】
本実施の形態において、前記下方壁721は、図3及び図4に示すように、前記前側近接点A3より上流側において前記排稈路71と前記排風路72とを仕切るように構成されている。
より詳しくは、前記廃棄物排出部70は、図3から図5に示すように、前記排稈路71と前記排風路72とを仕切る仕切り部材80を有している。前記仕切り部材80は、一端側が前記排稈ケーシング710の後方壁712に連結され、他端側が前記排風ケーシング720の下方壁721に連結されており、中間部が上方に凸となる側面視三角形状を有している。前記中間部の頂部は、前記排稈処理部材74の回転軌跡の上端より上方に位置し、前記吸引ファン73の回転軌跡の上端より下方に位置している。
このように、前記排稈路71と前記排風路72とを仕切る前記仕切り部材80において、中間部が上方に凸となる側面視三角形状を有し、しかも前記中間部の頂部が前記排稈処理部材74の回転軌跡の上端より上方且つ前記吸引ファン73の回転軌跡の上端より下方に位置しているため、前記排稈路71内に導入された排稈等の大きな廃棄物が前記排稈処理部材74の回転等により前記排風路72へ向かうことを防止することができる。
なお、前記仕切り部材80は、前記排稈ケーシング710の後方壁712に一体的に形成されてもよいし、前記排風ケーシング720の下方壁721に一体的に形成されてもよいし、前記後方壁712及び前記下方壁721とは別体として形成されてもよい。あるいは、前記後方壁712及び前記下方壁721が前記仕切り部材80を介して一体的に形成されてもよい。
【0071】
以下に、前記排風路72内に形成される各空間の構成について説明する。
本実施の形態において、前記上方壁722は、前記左右の側壁723及び前記排稈処理部材74の回転軌跡とともに前記導通空間S1を画している。前記導通空間S1は、前記排稈処理部材74の上方に位置している。
さらに、前記上方壁722は、前記左右の側壁723及び前記吸引ファン73とともに前記吸引上方空間S2を画している。
前記吸引上方空間S2は、前記吸引ファン73の前記吸引領域A1に接している。
【0072】
本実施の形態において、前記上方壁722は、図4に示すように、前記吸引ファン73より上方において前記吸引ファン73との間に前記吸引上方空間S2が設けられるように離間配置された上側吸引ガイド領域A7と、前記上側吸引ガイド領域A7から下方へ延び、下端部が前記後側近接点A6となる後側吸引ガイド領域A8と、前記後側近接点A6から後下方へ延びる上側排出ガイド領域A9とをさらに有している。
【0073】
本実施の形態において、前記上側吸引ガイド領域A7は、図4に示すように、側面視において上方に凸状となる形状を有している。
より具体的には、前記上方壁722の前記上側吸引ガイド領域A7は、前記扱室42の後端壁47の下端から後方へ水平に延びる水平壁7221と、前記水平壁7221の後端から後上方へ延びる傾斜壁7222と、前記傾斜壁7222の後端から前記ファン軸731を越えて後方へ水平に延びる吸引上方壁7223とを有している。
【0074】
本実施の形態において、前記導通空間S1は、前記水平壁7221、前記傾斜壁7222及び前記吸引上方壁7223の前方領域によって上端が画され、前記吸引上方空間S2(の前記上方膨出領域S21)は、前記吸引上方壁7223の中央領域によって上端が画される。
【0075】
また、前記後側吸引ガイド領域A8は、図4に示すように、前記吸引後方空間S4が形成されるように、側面視において後方に凸状となる形状を有している。
より具体的には、前記上方壁722の前記後側吸引ガイド領域A8は、前記吸引上方壁7223の後端部から後下方へ延びる後方連通壁7224と、前記後方連通壁7224の後端部から下方へ延び、下端部が前記ファン軸731より上方に位置する吸引後方壁7225と、前記吸引後方壁7225の下端部から前下方へ延び、下端部が前記吸引ファン73に近接することにより前記後側近接点A6となる吸引下方壁7226とを有している。
【0076】
本実施の形態において、前記吸引後方空間S4は、上端が前記吸引上方壁7223の後方領域によって画され、後上端が前記後方連通壁7224によって画され、後端が前記吸引後方壁7225によって画され、後下端が前記吸引下方壁7226によって画される。
【0077】
以上のように、前記上方壁722において、前記上側吸引ガイド領域A7が側面視において上方に凸状となる形状を有し、前記後側吸引ガイド領域A8が側面視において後方に凸状となる形状を有するため、前記排風路72に流れ込んだ選別風が前記導通空間S1から前記吸引上方空間S2の前記上方膨出領域S21及び前記吸引後方空間S4を経て、前記後側近接点A6に効率よく流れ得る。
これにより、前記吸引ファン73の吸引領域A1のうち最も吸引力の大きい部分である前記吸引ファン73の吸引領域A1の回転方向上流側端部近傍(前記吸引力最大領域X1)に前記排風路72内の風の流れを効率よく導くことができるため、前記排風路72内の風の流れを前記排稈路71から離間させることができる。
【0078】
前記上方壁722の前記上側排出ガイド領域A9は、図4に示すように、前記吸引下方壁7226の下端部から後下方へ延びる排出傾斜壁7227とを有している。
【0079】
本実施の形態において、前記吐出空間S3は、上端が前記排出傾斜壁7227によって画され、下端が前記下方壁721の後方領域によって画される。
また、前記吐出空間S3は、前記吸引ファン73の前記吐出領域A2に接している。
【0080】
以下に、本実施の形態における前記開口77の位置について説明する。
本実施の形態において、前記開口77は、前記上方壁722の前記後側近接点A6の排風路上流側近傍に設けられている。
上記構成によれば、前記開口77が前記吸引ファン73の前記吸引領域A1のうち最も吸引力の大きい部分である前記吸引ファン73の吸引領域A1の回転方向上流側端部近傍(前記吸引力最大領域X1近傍)に設けられることになる。
従って、前記開口調整部材78により前記開口77の開口度を調整することによる前記吸引ファン73の吸引量の変化量を大きくすることができる。
【0081】
本実施の形態において、前記開口77は、前記後側吸引ガイド領域A8の前記吸引下方壁7226に設けられている。
【0082】
本実施の形態において、前記開口調整部材78は、前記排風ケーシング720上を摺動することにより前記開口77の開口度が変化する開口シャッタとされている。
なお、開口調整部材78は、前記開口77の開口度が調整可能な開閉弁構造を有する限り上記構成に限られない。
【0083】
本実施の形態において、前記排風ケーシング720は、図3及び図4に示すように、前記排稈路71の上流側開口71a及び前記排風路72の上流側開口72aが共通となるように形成されている。前記排稈路71は、前記共通の上流側開口から後下方に延び、前記排風路72は、前記共通の上流側開口から後方に延びている。
前記共通の上流側開口の後下方には、前記排稈処理部材74が配置され、前記共通の上流側開口の後方には、前記吸引ファン73が配置される。
【0084】
なお、本実施の形態においては、前述のように、前記排風ケーシング720が前記排稈路71の上流側開口71a及び前記排風路72の上流側開口72aが共通となるように形成されているが、前記排稈路71の上流側開口71a及び前記排風路72の上流側開口72aがそれぞれ前記排稈口46及び前記揺動選別機構51の後端の双方に連通される限り、これに限られない。
即ち、例えば、前記排風ケーシング720は、前記排風路72の上流側開口72aが前記排稈路71の上流側開口71aとは独立して設けられるように形成されてもよい。
【0085】
<篩い部材>
本実施の形態において、前記廃棄物排出部70は、図3から図5に示すように、前記導通空間S1内に配設された篩い部材75を有している。
上記構成によれば、前記篩い部材75が前記排風路72における前記吸引ファン73の上流側に位置する前記導通空間S1内に備えられているため、排稈等の大きな廃棄物が前記吸引ファン73に吸い込まれることを有効に防止することができ、これにより、前記吸引ファン73の吸引性能を良好に維持することができる。
しかも、前記篩い部材75によって止められた排稈等の大きな廃棄物は、下方に落下し、前記篩い部材75の下方に位置する前記排稈処理部材74で確実に処理される。
【0086】
本実施の形態において、前記篩い部材75は、図3及び図4に示すように、上端部が機体幅方向に沿った軸線回り揺動可能に支持されている。
従って、排稈等の大きな廃棄物が前記篩い部材75の前面に吸い付くことを防止することができ、これにより、前記排風路72の風の流れを良好に維持することができる。
【0087】
本実施の形態において、前記篩い部材75は、上端部が前記水平壁7221に支持されている。
また、前記篩い部材75は、側面視において下端部(自由端部)が前記排稈処理部材74の回転軌跡にオーバーラップし、且つ、前記排稈処理部材74の前記回転軸741は、前記複数の切断刃742が前記回転軸741より上方において後方から前方へ移動する方向へ軸線回りに駆動されている。
これにより、前記篩い部材75に固着した排稈等の大きな廃棄物が前記排稈処理部材74によって脱離され易くなる。
【0088】
本実施の形態において、前記導通空間S1内には、前記篩い部材75の揺動軸線より後下方且つ前記排稈処理部材74の回転軌跡より上方において前記篩い部材75の前方面に当接し得る規制部材76が設けられている。
詳しくは、前記排風ケーシング720の前記左右の側壁723に機体幅方向に沿って延びる規制部材76が支持されている。
上記構成によれば、前記規制部材76により前記篩い部材75が前高後低状に位置されるため、前記排稈口46から排出される排稈等の大きな廃棄物を効率よく前記排稈路71に導くことができる。
さらに、前記篩い部材75が揺動しても前記規制部材76により前記篩い部材75の自由端部が基端部より前方へ位置することが防止されるため、前記排稈口46から排出される排稈等の大きな廃棄物を前記二番樋62に集約される二番物へ混入させることを有効に防止することができる。
【0089】
なお、前記篩い部材75の下端部は、図5に示すように、機体幅方向に沿って複数の先端部を有する平面視くし状とされている。前記篩い部材75は、前記排風ケーシング720の前記左右の側壁723間において機体幅方向全域にわたって設けられている。
【0090】
前記篩い部材75は、前記左右一対の揺動側板511の少なくともいずれか一方に作動連結されることにより、前記揺動選別機構51に連動して揺動されることとしてもよい。
【0091】
図6に、本実施の形態に係る収穫機に適用され得る篩い部材の他の例を示す側面図を示す。
図6に示す例における篩い部材75Bは、篩い部材本体750aと、前記篩い部材本体750aを揺動させる揺動操作部材750bとで構成されている。
前記篩い部材本体750aは、前記水平壁7221に支持された揺動軸751に相対回転不能に支持された背面視門形の基部752と、前記基部752の上面に取り付けられたくし状の篩い板753と、前記基部752の下方において前記基部752より後方に延設されたアーム部754とを有している。前記アーム部754には、側面視略U字状のガイド部材754aが固設されている。
【0092】
なお、前記篩い板753は、前記基部752に対して着脱可能であり、排稈の状態(条件)に応じて交換可能とされ得る。
【0093】
前記揺動操作部材750bは、一端部が前記左右一対の揺動側板511の一方側(例えば、左側)に作動連結(ここでは固定)されたリンクアーム755と、下端部に前記リンクアーム755の他端部が固定されるステー部756と、前記ステー部756の上端部に相対回転自在に枢支されたローラ757とを有しており、前記ローラ757は、前記アーム部754の前記ガイド部材754aに摺動可能に嵌合されている。
【0094】
上記構成によれば、前記揺動側板511が揺動することにより前記揺動側板511に作動連結されたリンクアーム755を介して前記ステー部756に取り付けられた前記ローラ757が略上下に揺動する。前記ローラ757が揺動することにより前記アーム部754の前記ガイド部材754aが押されることとなり、これによって前記篩い部材本体750aが前記揺動軸751回りに揺動することとなる。
従って、このような簡単な構成を用いて前記篩い部材75Bを積極的に揺動させることができ、大きな廃棄物が前記排風路72に進入するのを有効に防止しつつ、前記篩い部材75Bに排稈が引っ掛かる等して前記排風路72への選別風の流れが遮られることを有効に防止することができる。
【0095】
<第2実施形態>
前記吸引ファン73の吸引量を調整可能とする構成として、前記吸引ファン73の回転数を変更可能とする構成も採用可能である。
図7に、本発明の第2実施形態に係る収穫機1Bの伝動模式図を示す。
なお、本実施の形態において前記第1実施形態と同様の構成については同じ符号を付し、説明を省略する。
本実施の形態においては、図7に示すように、前記収穫機1Bの前記エンジン3から前記吸引ファン73へ至る伝動経路には、吸引ファン変速機構79が設けられ、前記吸引ファン変速機構79によって前記吸引ファン73の回転数が変更可能とされている。
【0096】
本実施の形態において、前記吸引ファン変速機構79は、図7に示すように、前記吸引ファン73の前記ファン軸731に相対回転不能に支持された従動大径プーリ734a及び従動小径プーリ734bと、前記ファン軸731に平行な駆動軸の前記従動大径プーリ734a及び前記従動小径プーリ734bに対応する位置に相対回転不能に支持された駆動小径プーリ744a及び駆動大径プーリ744bと、前記従動大径プーリ734aと前記駆動小径プーリ744aとの間及び前記従動小径プーリ734bと前記駆動大径プーリ744bとの間のそれぞれに巻回された第1及び第2伝動ベルト743a,743bと、前記第1及び第2伝動ベルト743a,743bのそれぞれにテンションを付加し得る第1及び第2テンションローラ79a,79bとを備えている。
そして、前記吸引ファン変速機構79は、前記第1及び第2伝動ベルト743a,743bの何れかにテンションを選択的に付加することにより、前記吸引ファン73の前記ファン軸731の回転数を変更するように構成されている。
上記構成によれば、前記吸引ファン変速機構79によって前記吸引ファン73の回転数を変更することにより、前記吸引ファン73の吸引量を直接的に調整することができる。
【0097】
本実施の形態において、前記吸引ファン変速機構79の駆動軸は、前記排稈処理部材74の前記回転軸741とされている。
【0098】
以上、本発明に係る実施の形態を説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変更、修正が可能である。
例えば、前記排風ケーシング720に設けられた前記開口77の開口度を調整する前記第1実施形態の構成及び前記吸引ファン73の回転数を変更する前記第2実施形態の構成を同時に備えた構成としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0099】
【図1】図1は、本発明の第1実施形態に係る収穫機の側面図である。
【図2】図2は、図1に示す収穫機の伝動模式図である。
【図3】図3は、図1及び図2に示す収穫機の左側板を取り外した状態における部分内部側面図である。
【図4】図4は、図3に示す収穫機の部分内部側面図における廃棄物排出部近傍の部分拡大側面図である。
【図5】図5は、図1から図4に示す収穫機の廃棄物排出部近傍の部分透過平面図である。
【図6】図6は、本実施の形態に係る収穫機に適用され得る篩い部材の他の例を示す側面図である。
【図7】図7は、本発明の第2実施形態に係る収穫機の伝動模式図である。
【符号の説明】
【0100】
1,1B 収穫機
3 エンジン(駆動源)
40 脱穀部
42 扱室
46 排稈口
47 扱室の後端壁
50 選別部
51 揺動選別機構
52 選別ファン
60 選別物集約部
70 廃棄物排出部
71 排稈路
71a 排稈路の上流側開口
71b 排稈路の下流側開口
72 排風路
72a 排風路の上流側開口
72b 排風路の下流側開口
73 吸引ファン
77 開口
78 開口調整部材
79 吸引ファン変速機構
720 排風ケーシング

【特許請求の範囲】
【請求項1】
刈り取られた穀稈を脱穀処理する脱穀部と、前記脱穀部の下方に受網を介して配設された揺動選別機構及び前記揺動選別機構に対して前下方から後上方へ抜ける選別風を送出する選別ファンを含む選別部と、前記選別部によって選別された選別物を集約するように前記揺動選別機構の下方に配設された選別物集約部と、前記脱穀部及び前記選別部からの廃棄物を機外に排出する廃棄物排出部とを備え、
前記廃棄物排出部は、上流側開口が前記脱穀部における扱室の後端下方に設けられた排稈口及び前記揺動選別機構の後端の双方に連通され且つ下流側開口が機外に開放された排稈路と、前記排稈路より後方に配設された排風路であって、上流側開口が排稈口及び前記揺動選別機構の後端の双方に連通され且つ下流側開口が機外に開放された排風路と、前記排風路内に配設された吸引ファンとを有し、
前記吸引ファンの吸引量が調整可能とされていることを特徴とする収穫機。
【請求項2】
前記排風路を形成する排風ケーシングを備え、
前記排風ケーシングのうち前記吸引ファンより上流側に位置する部分には開口が設けられ、前記開口の開口度が開口調整部材によって調整可能とされていることを特徴とする請求項1に記載の収穫機。
【請求項3】
駆動源から前記吸引ファンへ至る伝動経路には吸引ファン変速機構が設けられ、前記吸引ファン変速機構によって前記吸引ファンの回転数が変更可能とされていることを特徴とする請求項1又は2に記載の収穫機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−142122(P2010−142122A)
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−319183(P2008−319183)
【出願日】平成20年12月16日(2008.12.16)
【出願人】(000006781)ヤンマー株式会社 (3,810)
【Fターム(参考)】