説明

収穫機

【課題】センサーを有し作業者の安全性を向上させた収穫機を提供することを目的とする。
【解決手段】圃場内の収穫物を収穫する収穫機において、収穫物を搬送する複数のコンベア302、303と、複数のコンベア302、303の間の上部に感知範囲13、14を有するセンサー11、12と、コンベア302、303を制御する制御部16とを有し、制御部16は、センサー11、12が感知した場合、コンベア302、303を停止させることで上記課題を解決する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、収穫機に関し、特に、センサーを有し作業者の安全性を向上させた収穫機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の収穫機の例として、図7から図10に示す。図7は、従来の収穫機を示す斜視図である。図8は、従来の収穫機を示す側面説明図である。この収穫機300は、操作者が、収穫機本体サイドに設置されたステップ311に乗り第2コンベア303の側面の横側近傍に配設される操作部310の操作レバーなどを操作して、クローラ307により自走して、圃場の土の中にあるイモ等の収穫物を収穫するものである。
【0003】
第1コンベア302の先端には、先金301が設置されており、この先金301で土中にある収穫物を掘り出していき、掘り出した収穫物を第1コンベア302で搬送する。この場合の、第1コンベア302は収穫物を先金301から搬送し易くするために先金301と同じく地面に対して傾斜が少ない角度となっている。一方、第1コンベア302の後端まで搬送された収穫物は、図9に示される機構を介して、第2コンベア303へ受け渡される。
【0004】
第2コンベア303は、第1コンベア302より地面に対して傾斜がきつい角度となっており、掘り出した収穫物を短い距離で高い位置に搬送する。その後、収穫物を、第1選別コンベア304に落とすことで、泥を落とし、さらに、収穫物は、第2選別コンベア305で搬送されて、フレコン306内に収納される。第2コンベア303により収穫物を高い位置に搬送するため、第1選別コンベア304や第2選別コンベア305の高さが高くなり、作業者がこれらの選別コンベア上での収穫物の選別等の作業をやりやすい構成となっている。
【0005】
また、第1コンベア302や先金301を有する第1コンベア部331は、シリンダー330により先端側(先金301側)が上方向(図中の矢印の方向)に移動して、非作業時は、収穫機300の全長を短くすることができる。
【0006】
図9は、従来の収穫機における第1、第2コンベア間の拡大図である。第1コンベア302から搬送される収穫物(ここでは、イモ400を例示)は、フレーム322に取り付けられる押さえバー321に押さえられることで、強制回転しているスプロケット323およびゴムクローラーである引き込みローラー324の間まで搬送される。このときスプロケット323および引き込みローラー324は図中の矢印の方向に強制回転している。そして、引き込みローラー324は、テンションアーム325を介してバネ327の付勢力でスプロケット323側に押されているため、スプロケット323と引き込みローラー324の間に、イモ400のつる401が挟まり、つる401を分離できる構成となっている。その後、イモ400のイモ単体402のみを第2コンベア303で搬送するので、つる401を取り除く作業を自動で行うことができる。
【0007】
図10は、従来の収穫機における押さえバー、スプロケット、ゴムクローラーの関係を示す図である。スプロケット323は、スプロケット軸328の軸方向に複数設置されている。そして、押さえバー321も横方向に並んで複数設置されており、スプロケット323の間に配設されるようになっている。一方、引き込みローラー324には、横方向に複数の溝329を有しており、スプロケット323がこの溝329と一致するように配設されている。このような構成により、より着実につる401を取り除くことを可能としている。
【0008】
一方、特許文献1には、非常停止スイッチを有する玉葱収穫機が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2005−21037号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
図7〜図10の従来技術で説明したように、2つのコンベア(第1コンベアと第2コンベア)を有する構成にすることで、上述したような収穫機としてのメリットが生じるが、これらのコンベアの間には雑物等の物が挟まれやすく、物が挟まった場合は作業の妨げとなってしまう。これを取り除く時は作業者がコンベアを止めることが原則であるが、作業者が、作業効率を優先するがあまり、コンベアを稼働させたまま、2つのコンベアの間に手や足を突っ込み雑物を取り除こうとすると、大変危険であり、重大な事故につながりかねない。
【0011】
特に、図9のスプロケット323と引き込みローラー324が強制回転して、つる401等を取り除く機構を有する場合においては、作業者がこの部分に手や足を入れると事故につがる危険性はさらに増加する。
【0012】
しかし、収穫機は人手による作業が必ず伴い、作業性、作用内容(選別、雑物除去)の観点から、または、収穫機の構造上の観点からコンベアの作用部を直接カバーで覆うことのできない場合がほとんどである。
【0013】
また、特許文献1に記載の非常停止スイッチである場合、作業者があわてているときは、すぐに押せないことがある。
【0014】
そこで、本発明は、上記課題に鑑みて、センサーを有し作業者の安全性を向上させた収穫機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記目的を達成するため、本発明の収穫機は、圃場内の収穫物を収穫する収穫機において、収穫物を搬送する複数のコンベアと、前記複数のコンベアの間の上部に感知範囲を有するセンサーと、前記コンベアを制御する制御部とを有し、前記制御部は、前記センサーが感知した場合、前記コンベアを停止させることを特徴とする。
【0016】
さらに本発明の収穫機は、スイッチを有し、前記制御部の制御により、前記コンベアが停止している場合は、前記センサーが感知せず、かつ、前記スイッチをONにしたとき、前記コンベアを回転させることを特徴とする。
さらに本発明の収穫機は、前記センサーは、発信部と受信部とを有し、これらの間に感知範囲が設定されるセンサーであることを特徴とする。
さらに本発明の収穫機は、前記センサーは、上部から前記複数のコンベアの間へ向けて感知範囲が設定される人感センサーであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、収穫機において、作業者の安全性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】実施例1の収穫機を示す要部側面図である。
【図2】実施例1の収穫機を示す要部正面図である。
【図3】本発明の収穫機の安全システムにおける一実施形態を示すシステム構成図である。
【図4】本発明の収穫機の安全システムのフローチャートの一例である。
【図5】実施例2の収穫機を示す要部側面図である。
【図6】実施例2の収穫機を示す要部正面図である。
【図7】従来の収穫機を示す斜視図である。
【図8】従来の収穫機を示す側面図である。
【図9】従来の収穫機における引き込みローラー部の拡大図である。
【図10】従来の収穫機における押さえバー、スプロケット、ゴムクローラーの関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明を実施するための形態を説明する。
【実施例1】
【0020】
図1は、実施例1の収穫機を示す要部側面図である。図2は、実施例1の収穫機を示す要部正面図である。実施例1では、図7〜10の従来例と異なる部分について説明し、同一の箇所には同一の符号を付してある。
【0021】
第1コンベア302と第2コンベア303の間の上部には、第1センサー11と第2センサー12が設けられている。これらのセンサーの具体例として、光電センサーがあげられる。
【0022】
第1センサー11は、発信部11aと受信部11bとを有し、これらは、第2コンベア303の両側面の第2コンベア部332に設置される取付板10にそれぞれ1つずつ設置される。また設置は、第1コンベア302と第2コンベア303の間の上部近傍で感知させるように、第2コンベア303と適度な距離をおいて平行な感知範囲となるように設置される。このことにより、第2コンベア303の一側面の発信部11aから他側面の受信部11bの間に設定される第1センサー感知範囲13に人等の障害物を感知した場合センサーが作用する。
【0023】
第2センサー12は、発信部12aと受信部12bとを有し、これらは、第2コンベア303の両側面の第2コンベア部332に設置される取付板10にそれぞれ1つずつ設置される。また設置は、第1コンベア302と第2コンベア303の間の上部近傍で感知させるように、第2コンベア303に直角な感知範囲となるように設置される。このことにより、第2コンベア303の一側面の発信部12aから他側面の受信部12bの間に設定される第2センサー感知範囲14に人等の障害物を感知した場合センサーが作用する。
【0024】
これらのセンサーは1つでも安全性は向上するが、第1センサー11の下端部近傍と第2センサー12の前方側端部近傍をあわせることで、くの字状の感知範囲が形成される。このことにより、2つの面を感知でき、より確実に人の接近を感知できる。
【0025】
パネルスイッチ15は、コンベア302、303の間から離れた位置である操作部310に設けられており、パネルスイッチ15を押すことによりコンベアを回転・停止させるものである。詳細な制御は後述する。パネルスイッチ15の例として、モーメンタリタイプがあげられる。
【0026】
図3は、本発明の収穫機の安全システムにおける一実施形態を示すシステム構成図である。制御部16によって、パネルスイッチ15、センサー11、12により、第1コンベア302および第2コンベア303の稼働は以下のように制御される。なお、制御部16は、以下の制御をするために必要な電子デバイス等で構成され、操作部310内等適した場所に設置されている。
【0027】
図4は、本発明の収穫機の安全システムのフローチャートの一例である。まず、コンベア302、303が停止状態(S101)において、パネルスイッチ15がONであるかOFFであるかを判別する(S102)。OFFであれば、そのままコンベア302、303は停止状態である(S101)。一方、パネルスイッチ15がONになれば(もしくはON信号が入力されれば)、センサー11、12が障害物を感知しているかしているか否かを判定する(S103)。センサー11、12のいずれかがが障害物を感知していれば、そのままコンベア302、303は停止状態である(S101)。一方、センサー11、12のいずれも障害物を感知していなければ、コンベア302、303を回転(稼働)させる(S104)。
【0028】
コンベア302、303が回転状態において(S104)、センサー11、12が障害物を感知しているかしているか否かを判定する(S105)。センサー11、12のいずれかがが障害物を感知していればコンベア302、303は停止する(S101)。一方、センサー11、12のいずれも障害物を感知していなければ、コンベアは回転したままとなる(S106)。また、コンベア302、303が回転状態において(S106)、パネルスイッチ15がOFFになれば(もしくはOFF信号が入力されれば)、コンベア302、303は停止する(S108)。
【0029】
このように、コンベア302、303が回転している場合は、センサー11、12のいずれかがが障害物を感知するか、パネルスイッチ15がOFFになればコンベアは停止する。そのため、第1センサー11と第2センサー12の第1センサー感知範囲13と第2センサー感知範囲14に人等の障害物を感知すれば、第1コンベア302および第2コンベア303は停止して、作業者の安全を図ることができる。
【0030】
一方、コンベア302、303が停止している場合は、単に、第1センサー11、第2センサー12のいずれも障害物を感知していないだけではコンベア302、303は回転しない。ステップ311に上がる等して、第1コンベア302と第2コンベア303の間からいったん離れて操作部310パネルスイッチ15を押すとコンベア302、303が回転する。これにより、第1コンベア302と第2コンベア303の間に近づいているのにもかかわらずセンサー11、12の感知範囲からはずれてしまう場合等にコンベアが不意に回転し始め事故につながることを防止し、安全性をより高めることができる。
【実施例2】
【0031】
図5は、実施例2の収穫機を示す要部側面図である。図6は、実施例2の収穫機を示す要部正面図である。実施例2では、実施例1と異なる部分について説明し、同一の箇所には同一の符号を付してある。
【0032】
実施例2では、センサーを第2コンベア部332上部中央に設置されるセンサー20とした点が実施例1と異なる。センサー20は、第2コンベア部332上部に有する上部カバー334に設けられる。これにより、第2コンベア部332上部中央から、第1コンベア302と第2コンベア303の間近傍に感知範囲21が設定される。
【0033】
センサー20は、感知範囲21へ人が進入した場合、例えば、赤外線や超音波等により感知する人感センサーである。センサー20が人を感知するか否かで、(第1センサー11と第2センサー12のかわりに)制御部16は図4で示した制御を行う。
【0034】
センサー20は、この他にCCDカメラ等で構成され画像処理により感知範囲21への人等の進入を検知できるセンサーであってもよい。
【符号の説明】
【0035】
11 第1センサー
11a 発信部
11b 受信部
12 第2センサー
12a 発信部
12b 受信部
13 第1センサー感知範囲
14 第2センサー感知範囲
15 パネルスイッチ
16 制御部
20 センサー
21 感知範囲
302 第1コンベア
303 第2コンベア
310 操作部
323 スプロケット
324 引き込みローラー
331 第1コンベア部
332 第2コンベア部
334 上部カバー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
圃場内の収穫物を収穫する収穫機において、
収穫物を搬送する複数のコンベアと、前記複数のコンベアの間の上部に感知範囲を有するセンサーと、前記コンベアを制御する制御部とを有し、
前記制御部は、前記センサーが感知した場合、前記コンベアを停止させることを特徴とする収穫機。
【請求項2】
請求項1記載の収穫機において、
スイッチを有し、前記制御部の制御により、前記コンベアが停止している場合は、前記センサーが感知せず、かつ、前記スイッチをONにしたとき、前記コンベアを回転させることを特徴とする収穫機。
【請求項3】
請求項1又は請求項2記載の収穫機において、
前記センサーは、発信部と受信部とを有し、これらの間に感知範囲が設定されるセンサーであることを特徴とする収穫機。
【請求項4】
請求項1又は請求項2記載の収穫機において、
前記センサーは、上部から前記複数のコンベアの間へ向けて感知範囲が設定される人感センサーであることを特徴とする収穫機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−246496(P2010−246496A)
【公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−101942(P2009−101942)
【出願日】平成21年4月20日(2009.4.20)
【出願人】(000188009)松山株式会社 (285)
【Fターム(参考)】