収納キャビネット用平衡錘ドアシステム
【課題】キャビネットと、ドアが開放位置と閉鎖位置間の移動のためにキャビネットに対して枢動可能となるよう取り付けられたドア装置とを有する頭上型収納ユニットを提供する。
【解決手段】キャビネットは、第一ドア部と第二ドア部を有し、各ドア部は開放位置と閉鎖位置間を移動可能にキャビネットに枢着され、第一ドア部は、第一ドア部材と該第一ドア部材の両端に各々固定された一つの第一アーム部材を有し、第二ドア部は、第二ドア部材と該第二ドア部材の両端に各々固定された一つの第二アーム部材を有する。各アーム部材は、対応するドア部を開放位置と閉鎖位置間にて移動させるべくキャビネットに対して枢動可能に連結され、閉鎖位置では互いに近接位置に配置され、開放位置ではキャビネットの外側に配置される。第一ドア部材及び第二ドア部材の何れか一つには、第一ドア部材及び第二ドア部材を移動させる際に把持容易なグリップ領域が設けられている。
【解決手段】キャビネットは、第一ドア部と第二ドア部を有し、各ドア部は開放位置と閉鎖位置間を移動可能にキャビネットに枢着され、第一ドア部は、第一ドア部材と該第一ドア部材の両端に各々固定された一つの第一アーム部材を有し、第二ドア部は、第二ドア部材と該第二ドア部材の両端に各々固定された一つの第二アーム部材を有する。各アーム部材は、対応するドア部を開放位置と閉鎖位置間にて移動させるべくキャビネットに対して枢動可能に連結され、閉鎖位置では互いに近接位置に配置され、開放位置ではキャビネットの外側に配置される。第一ドア部材及び第二ドア部材の何れか一つには、第一ドア部材及び第二ドア部材を移動させる際に把持容易なグリップ領域が設けられている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は収納ユニットに関する。より詳細には頭上型収納ユニットに関連するドア用の平衡錘装置に関する。
【背景技術】
【0002】
頭上型収納ユニットは一般に内部を画定するキャビネットを備え、そのキャビネットはキャビネット内部に対する出し入れを提供する開口前部を有する。ドアは一般的にキャビネットと相互連結され、ドアが開口前部を通じてキャビネット内部への外部からの進入を可能にする開放位置と、ドアがキャビネット内部の利用を妨げるためにキャビネットの開口前部を閉鎖する閉鎖位置との間において移動可能である。フリッパー型ドアやキャビネットに対してドアの枢動運動を提供するアームアーム装置によりキャビネットに取り付けられているドアを含む、様々な種類のドアが周知である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、キャビネットと、ドアが開放位置と閉鎖位置との間の移動のためにキャビネットに対して枢動可能となるように取り付けられたドア装置とを有する頭上型収納ユニットを提供することにある。前記頭上型収納ユニットは、開放位置と閉鎖位置間のドアの移動を容易にするために、ドアの重量をつり合わせる平衡化装置を有する。更なる本発明の目的は閉鎖位置と開放位置との間において、互いに当接または離反するように移動可能な一対のドア部を有する、平衡式クラムシェル型ドア構造(counterbalanced clamshell−type door construction)を有する頭上型収納ユニットを提供することである。更なる本発明の目的は、閉鎖位置と開放位置間を同期して移動するドア部を有するクラムシェル型ドア装置を有し、閉鎖位置と開放位置間のドア部の移動を容易にするために、ドア要素の重量を平衡させる頭上型収納ユニットを提供することである。本発明の別の目的は、キャビネットの内部収納空間に影響を与えることなくキャビネット内部に容易に組み込むことが可能であり、収納ユニットの全体的な美的外観を損なわない、平衡式ドア装置(counterbalanced door arrangment)を提供することである。また本発明の別の目的は、構成要素および構造が比較的単純であり、頭上型収納ユニットのアセンブリに容易に組み込むことが可能である、そのような平衡錘ドア装置を備えた頭上収納ユニットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明によれば、頭上型収納ユニットなどの収納ユニットは、内部を定め、またキャビネット内部の利用を提供する開口を有するキャビネットからなる。収納ユニットはキャビネットに対して相互連結されたドア装置を有し、そのドア装置はキャビネットの内部がキャビネットの開口前部を通って利用可能である開放位置と、ドア装置がキャビネットの内部を利用できないようキャビネットの開口前部を閉鎖する閉鎖位置との間を、キャビネットを基準に移動可能である。ドア装置を閉鎖位置から開放位置に開口する際に使用者を補助すべく、使用者により位置合せされた時に開放位置にドア装置を保持するために、ドア装置は開放位置に付勢するようにつり合わされる。さらに、ドア装置はクラムシェル型構造が好ましく、これはドア装置が閉鎖位置にある場合に相互方向に移動し、ドア装置が開放位置にある場合に相互に離間するよう移動する第一ドア部と第二ドア部を有する。
【0005】
一つの形態では、第一ドア部は一組の上部アームの間を延長する上部ドア部材を有し、各上部アーム部は開放位置と閉鎖位置間の上部ドア部材の移動を提供するためにキャビネットに対して枢着される。同様に、第二ドア部はキャビネットに対して枢動可能となるよう相互連結される一組の下部アームの間に取り付けられた下部ドア部材という形態であり得る。上部ドア部材の重量のつり合いを取るために、上方向にアームを枢動可能に付勢する傾向である上部アームなど、一式のアームの一つを伴う相互連結した付勢装置によってドア装置のつり合いを取ることが実現される。一つの形態では、付勢装置はキャビネットと少なくとも一つの上部アームの間を結合するバネの形式である。上方向に上部アームを押し進めるため、バネがピボット軸を中心に回動する傾向にある上部アームに力を加えるよう、バネ及び上部アームが構成され配置される。別の形態では、付勢装置は上部アームを上方向に付勢するため、ピボット軸の位置の後部において上部アームに連結される平衡錘という形態である。
【0006】
上部ドア部と下部ドア部は開放位置と閉鎖位置の間を同期的に移動可能なように共に連結されている。これを実現するため、リンク部材は上部アームと後部アームの組の少なくとも一つと相互連結される。リンク部材は上部アームピボット軸の位置の前方部において上部アームに対して枢動可能となるように取り付けられる。この方法により、リンク部材は上部アームが下降するにつれ下部アームを上昇させ、下部ドア部を上部ドア部に向かい移動させる。ドア部材の一つが閉鎖位置に向かい移動される場合に上部ドア部と下部ドア部を当接するように移動させる働きをする。同様に、リンク部材は上部アームの上昇に伴い下部アームを下降させ、ドア部の一つが開放位置に移動される時に上部ドア部と下部ドア部が離間するように移動させる働きをする。
【0007】
上部アームピボット軸の前方に位置する上部ドア部の要素の重量は、付勢装置の力に対抗して上部ドア部の位置を保持するため、平衡錘装置の付勢力を克服するように操作可能である。さらに、上部ドア部が閉鎖時に下部ドア部を上昇させる傾向であるリンク部材により、上部ドア部の前方要素の重量は下部ドア部を所定の位置に保持するために十分である。使用者が上部ドア部の下部ドア部を閉鎖位置から開放位置に移動した場合に、平衡錘装置は使用者がドア部を開口することを補助するよう操作可能であり、平衡錘装置の力は、使用者がドア部を自由にした場合に、ドア部がいかなる位置であっても保持する。ドア部は開放位置にある場合、ドア部が再び平衡錘装置の力に対抗して閉鎖位置に移動されるまで、平衡錘装置はドア部を開放位置に保持する働きをする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
図1、図2、図2Aを参照すると、頭上型収納ユニット10は底面壁14、上部壁16、一組の端壁18,20、および背面壁21から形成されるキャビネットアセンブリすなわちケース12を有する。頭上型収納ユニット10は底面壁14、上部壁16、一組の端壁18,20、および背面壁21の全ては、周知の手法により協働して外部に開放した内部を画定する。よう本発明に基づき構成されるドアアセンブリ22は、該ドアアセンブリ22がケース12内部の利用を選択的に提供および阻害するように、ケース12に移動可能に取り付けられる。
【0009】
ドアアセンブリ22は上部ドア部又はサブアセンブリ24と、下部ドア部又はサブアセンブリ26とからなり、相互にリンク27によって相互連結されている。ドアアセンブリ22は、上部ドアサブアセンブリ24と下部ドアサブアセンブリ26が閉鎖位置と開放位置との間において相互に対して選択的に開閉移動するようなクラムシェル型の構造である。図1および図2は、ケース12内部の利用を提供するように開放位置にある上部ドアサブアセンブリ24および下部ドアサブアセンブリ26を示している。図2Aはケース12内部の利用を妨げるように閉鎖位置にある上部ドアサブアセンブリ24と下部ドアサブアセンブリ26を示している。
【0010】
上部ドアサブアセンブリ24は、一組の上部アーム28と、それら上部アーム28の間に連結される上部ドア部材30とからなる。同様に、下部ドアサブアセンブリ26は、一組の下部アーム32と、それら下部アーム32の間に延びる下部ドア部材34とからなる。
【0011】
図3乃至図5を参照すると、各上部アーム28は、中央アーム部39により相互連結される外部ドア取り付けブラケット部36と内側腕アーム部38とを有する。ピボットスタッド40は内側部38の前方端に取り付けられ、そこから内側に伸長している。開口部42は内側部38の端に形成され、耳44は内側部38から上方に伸長している。耳44の上部端はホック46として成端する。
【0012】
上部ドア部材30の両端は上部アーム28の外部ドア取り付けブラケット部36に対して取り付けられる。典型的には、ドア30を各アーム28に対して取り付けるため、ネジ47など締め具が、外部ドア取り付けブラケット部36の開口部を通って延び、ねじ山付アンカーまたはドア30の基部領域に関連する開口部と係合する。
【0013】
図1、図2、図2Aを参照すると、各アーム28は開口部42を通じて延びるピン48により、ケース端壁18,20の一方に対して枢着され、このような上部アーム28は、複数のピン48の整合された長手方向軸線により画定されるピボット軸を中心に枢動可能である。各リンク27の上部端は、リンク27の上端に形成された開口50内へのスタッド40の係合により、対応する上部アーム28の一つに対して枢着される。リンク27をスタッド40上の所定の位置に保持するために、従来の保持具をスタッド40と係合させる。
【0014】
バネ52は各上部アーム28と係合される。図1、図2、図2Aを参照すると、バネ52の後端はケース端壁20から内方に延びる保持ピン54との係合によりケース端壁20に固定されるホック53を有する。反対側のバネ52の前端は内側腕アーム部38に関連付けられている。耳44の上端においてホック46と係合するホック55を有する。同様のバネ52は、ケース端壁18に対して枢動可能に取り付けられる上部アーム28に係合される。バネ52は上部アームピボットピン48により画定される上部ドア部ピボット軸を中心として、上部ドアサブアセンブリ24の重量とつり合うように作用する。図2を参照すると、バネ52はピボットピン48を中心に反時計回り方向に上部ドアサブアセンブリ24とつり合うように作用する。
【0015】
図7乃至図10を参照すると、各下部アーム32は外部ドア取り付け部58を画定し、下部ドア部材34はドア取り付け部58の間に延びる。各下部アーム32は、各ドア取り付け部58と内側部60との間に延びる中間部62の内側の端部から、さらに内方に延びる内側部60を有する。内方に延びるピボットスタッド64は各内側部60の端部付近に取り付けられ、開口部66は各下部アーム32の中間部分62と内側部60の交点において形成される。
【0016】
図1を参照すると、ピボットピン68は、整合された各ピン68の長手方向軸線により画定されるピボット軸を中心に下方アーム32を移動させるために、ケース端壁18,20の間に対し、かつそれらの間に下方アーム32を枢着するように、各開口部66を介して延びているように、各リンク27の下端はリンク27に形成される開口70とスタッド64とのの係合により下部アーム32の一つに対して枢着される。さらに、従来の保持具は、スタッド64上の所定の位置にリンク27を保持するためにスタッド64と係合する。
【0017】
下部アームドア取り付け部58の形状は、下部ドア部材34の断面の概略形状に対応する。実施形態に示すように、下部ドア部材34は、硬質熱可塑性樹脂やアルミニウムなど適切な素材により形成される押出し部材の形態であり、閉形状に定められる。下部ドア部材34は傾斜面72を備える。該傾斜面72は、図1に示すように、下部ドアアセンブリ26が開放位置にある場合には、底面壁14に対して下方及び前方に延び下部ドアアセンブリ26が閉鎖位置にある場合には、上部ドア部材30の下端と近接して位置するか、または同下端と係合する。下部ドア部材34は、その長さに沿った凹部74(図2)をさらに備え、該凹部74は、手動による下部ドア部材34との係合を容易にするためのハンドグリップ領域を提供する。
【0018】
図9および図10を参照すると、各下部アーム32のドア取り付け部58は下部ドア部材34により画定される内部通路の形状に対応する一連のリッジ76を有する。リッジ76は下部ドア部材34と各下部ドアアーム26との係合を促進し、これらは構造用接着や、溶着等の十分な手段により一緒に固定される。下部アーム32は射出成形処理によりポリカーボネートなどの硬質熱可塑性樹脂により形成され得るが、適切な他の素材や形成方法も採用され得る。
【0019】
操作時、上部ドアサブアセンブリ24および下部ドアサブアセンブリ26は、後述するようにケース12内部への外部からの進入を選択的に許容および阻止するように機能する。
【0020】
図1と図2に示されるように開放位置のドアアセンブリ22では、バネ52は、上部アーム28に対して、ピボットピン48を中心に反時計周り方向に上部アームを枢動させるのに資する後方への付勢力を提供する。バネ52の付勢付勢は、ピボットピン48の上方の上下に変位された位置において各上部アーム28に下方に向かう力及び後方に向かう力を適用することによって、ドアアセンブリ22の構成要素の重量に対するつり合いを保持する。使用者により上部ドアサブアセンブリ24および下部ドアサブアセンブリ26が解放された場合に、バネ52が、上部ドアサブアセンブリ24および下部ドアサブアセンブリ26の両方を所望の位置に保持する能力を有するように、各バネ52の力は選択される。開放位置にある上部ドアサブアセンブリ24により、リンク27は、図1や図2で示すように、下部ドアサブアセンブリ26が開放位置になるように配置される。リンク27は、ドアアセンブリ22が開放位置にある場合に、ピボットピン48を受容するノッチ77を含む。
【0021】
ドアアセンブリ22の閉鎖が必要な場合、使用者は、典型的には下部ドア部材34の前方端内または上部ドア部材30の前方端内にある凹部に手で接触することにより、上部ドア部材30または下部ドア部材34に手で接触する。次に、使用者は、上部ドア部材30に下方向の力や下部ドア部材34に上方向の力を加える。これにより、図2を参照すると、バネ52によって作用する付勢力に対抗して、上部アーム28はピン48を中心に時計回りに枢動させられ、また下方アーム32は反時計回りに枢動させられる。
【0022】
上部ドアサブアセンブリ24と下部ドアサブアセンブリ26はこのような手法で移動するにつれ、リンク27はスタッド40,64との係合によって、同期的に下方向に移動される。このリンク27の下方向の移動は、下部アーム32の内部端60およびスタッド40に位置する上部アーム28の双方に下方向の力を加える。図1および図2に示すように、ドアアセンブリ22が開放位置にある場合、上部アーム28のスタッド40はピボットピン48の上方及び前方に位置し、下部アーム32のスタッド64はピボットピン68の上方及び後方に位置する。ドアアセンブリ22を閉鎖するよう下部ドア部材34が持ち上げられた場合に、リンク27によって与えられる下向きの力は、ピボットピン48を中心として上部アーム28を枢動させ、バネ52の力に対抗して上部ドアサブアセンブリ24を閉鎖位置に向かって移動させるように作用する。使用者は、図2Aで示すように、上部ドア部材30と下部ドア部材34が共に閉鎖位置に移動するまで、下部ドアサブアセンブリ26の上方向の移動および結果として生じる上部ドアサブアセンブリ24の下方向の移動を続ける。同様の手段で上部ドア部材30への下方向の力の適用は、同期的にピボットピン48を中心にした上部アーム28の時計回りの枢動運動を生じ、この枢動運動はスタッド40を伴うリンク27の係合によってリンク27に下方向の力を及ぼす。リンク27における下方向の力はスタッド64において下部アーム32に加えられ、下部ドア部材34を上方向の移動のために、同期的にピボットピン68を中心に下部アーム32の反時計回りの枢動を起こす。上部ドア部材30の下方向の移動は上部ドア部材30と下部ドア部材34が閉鎖位置に互いに移動するまで続けられる。鍵78は、ドアアセンブリ22を閉鎖位置に固定するために、下部ドア部材34の表面72に形成されたスロット80に係合するように、上部ドア部材30の下端付近に取り付けられる。
【0023】
上部ドアサブアセンブリ24の重量の大部分は、上部ドアサブアセンブリ24が閉鎖している場合、ピボットピン48の外方にかかる。また上部ドアアセンブリ24が閉鎖された場合のピボットピン48におけるモーメントは、バネ52および下部ドアサブアセンブリ26の付勢力に打ち勝って、ドアアセンブリ22を閉鎖位置に保持するために十分である。さらにドアアセンブリ22が開放されることが所望される場合、使用者が上部ドアアセンブリ24に対して上方向の力を加えるか、または下部ドアサブアセンブリ26に下方向の力を加え、バネ52は開放位置にドアアセンブリ22の移動を容易にすべく、上部ドアサブアセンブリ24の重量をつり合わせる。ドアアセンブリが開放位置にある場合、キャビネット端壁18,20に結合した戻り止めと上部アーム28はドアアセンブリ22を開放したまま保持するための押えを提供し、開放位置に達したと使用者が認識できるようにする。
【0024】
閉鎖位置から開放位置に向かうドアアセンブリ22の移動は、ピボットピン48におけるモーメントを減少させる。ドアアセンブリ22の構成要素が使用者によって解放にされた場合に、それらの構成要素を任意の角度の位置で保持可能とすべく、バネ52の力がピボットピン48におけるモーメントの減少に応じて徐々に減少するように、バネ52の力は選択される。ドアアセンブリ22は開放位置から閉鎖位置に移動する際、使用者はバネ52の平衡錘の力以上の十分な力を加えるのみでよい。この構造は、開放位置と閉鎖位置間の移動におけるドアアセンブリ22の円滑で容易な操作を実現する。
【0025】
ドアアセンブリ22が閉鎖位置にある場合に、下部ドアサブアセンブリ26は開放位置に向かってドアアセンブリ22を圧迫しようとする付勢力を加えるように働くことが十分に理解できる。ドアアセンブリ22が閉鎖される場合に、下部ドアサブアセンブリ26の要素の重量の大部分は、ピボットピン68の前方に離間されている、ピボットピン68においてリンク27を上方向に圧迫しようとする時計回りのモーメントを加える。リンク27に対する上方向の力は、バネ52により加えられる力と組み合わされて、上部ドアサブアセンブリ24に対する上方向の付勢を提供し、その付勢はピボットピン48における反時計周りの付勢モーメントを加えることによって、上部ドアサブアセンブリ24のつり合いを補助する。
【0026】
端壁18,20に隣接して配置されるドアアセンブリ22の操作要素は、典型的に各端壁18,20と、品物がドアアセンブリ22の構成要素に接触することを防ぐ内部カバーパネルとの間に画定される空間に配置される。
【0027】
図11は、収納ユニット10と同一の多くの構成要素を備える別形態の収納ユニット10’を示す。ユニット10と同一の構成要素は同様の参照符号により示す。この形態では、各上部アーム28’はピボットピン48の後方に延びる内側端82を定めている。上部ドア部材30を開放位置に向け移動する傾向の上部アーム28’における反時計回りの付勢を提供するため、平衡錘84は各内側端82に固定される。平衡錘84は、バネ52と同様の手法で、収納ユニット10’のドアアセンブリ22’を開放位置に移動することと、開放位置にドアアセンブリ22’の要素を保持することとを補助する。平衡錘74の重量は、ドアアセンブリ22’が閉鎖位置にある場合に、上部ドア部材30と下部ドア部材34が当接するように移動し、上部ドアサブアセンブリ24’により与えられるモーメントが閉鎖されたドアアセンブリ22’を保持するのに十分であるように選択される。
【0028】
本発明は特定の実施形態について記述してきたが、変更例や別例が本発明の範囲に考えられる。例えば、これに限定されないが、バネ52や平衡錘84のいずれの付勢力も上部アーム28に加えることを示してきた。付勢力が下部アーム32やリンク27に対して加えられることも理解され得る。さらに、直線バネは付勢力が一方向に加えられるように記述されてきたが、上部ドアサブアセンブリ24と下部ドアサブアセンブリ36の双方を閉鎖位置に回動させようとする付勢力を提供するために、ねじりバネが採用されることも考えられ得る。単一のリンクが上部アーム28と下部アーム32との間を連結するように記述されてきたが、複数のリンクからなるリンケージが上部アームと下部アームの間に置かれ得、ギア装置が上部ドアサブアセンブリ24と下部ドアサブアセンブリ26の移動を同期するために採用され得る。バネや平衡錘は、必要な場合に付勢力を提供するために、ドアアセンブリ22の両方の端や一方の端に装備される。
【0029】
さらに、本発明の平衡錘の形態は単一のドア部材からなるキャビネットアセンブリで実現され得、記述されたように2つのドア部材からなるクラムシェル型を採用する必要はない。この形態では、リンク27と下部ドアサブアセンブリ26が除去され、上部ドア30が、閉鎖位置にある場合、ケース12の開口前部を完全に囲むように構成される。
【0030】
さらに、上部アーム28と下部アーム32が間隙を介した位置においてキャビネットアセンブリ12に対して枢動可能となるように取り付けられるように示されているが、上部アーム28と下部アーム32が共通のピボット軸を中心に移動すべくキャビネット12に枢着され得ることが考えられる。ドアアセンブリはキャビネットアセンブリの端壁に対してアームを枢着することについて記述されてきたが、アームは開放位置と閉鎖位置の間を枢動可能に移動するために、キャビネットの背面壁、上部壁、下部壁など、キャビネットアセンブリの別の組合せに対して取り付けられ得ることが考えられる。
【0031】
様々な実例や実施形態は、本発明の主題として詳細に記載し、明確に主張した特許請求の範囲内にあると考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】上部ドア部と下部ドア部が開放状態の、本発明の平衡錘ドアシステムを組込んだ頭上型収納ユニットの等角図。
【図2】開放状態のドア部を示す、図1の線2−2に沿った断面図。
【図2A】閉鎖状態のドア部を示す、図1の線2−2に沿った断面図。
【図3】頭上型収納ユニット内部に組入れられたドアシステムの一部を形成する上部ドア部の側面図。
【図4】上部ドア部の部分断面を示す後面図。
【図5】図3の上部ドア部を組入れられた上部アームの等角図。
【図6】図5の上部アームの正面図。
【図7】図1の頭上型収納ユニット内部に組入れられたドアシステムの一部を形成する後部ドア部の一部の等角図。
【図8】図7の下部ドア部に組入れられた下部アームの一つの外部正面図。
【図9】図8の下部アームの一つの内部領域の等角図。
【図10】図9の下部アームの内部正面図。
【図11】本発明の平衡錘ドアシステム内部に組入れられた付勢装置のための別実施形態の等角図。
【技術分野】
【0001】
本発明は収納ユニットに関する。より詳細には頭上型収納ユニットに関連するドア用の平衡錘装置に関する。
【背景技術】
【0002】
頭上型収納ユニットは一般に内部を画定するキャビネットを備え、そのキャビネットはキャビネット内部に対する出し入れを提供する開口前部を有する。ドアは一般的にキャビネットと相互連結され、ドアが開口前部を通じてキャビネット内部への外部からの進入を可能にする開放位置と、ドアがキャビネット内部の利用を妨げるためにキャビネットの開口前部を閉鎖する閉鎖位置との間において移動可能である。フリッパー型ドアやキャビネットに対してドアの枢動運動を提供するアームアーム装置によりキャビネットに取り付けられているドアを含む、様々な種類のドアが周知である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、キャビネットと、ドアが開放位置と閉鎖位置との間の移動のためにキャビネットに対して枢動可能となるように取り付けられたドア装置とを有する頭上型収納ユニットを提供することにある。前記頭上型収納ユニットは、開放位置と閉鎖位置間のドアの移動を容易にするために、ドアの重量をつり合わせる平衡化装置を有する。更なる本発明の目的は閉鎖位置と開放位置との間において、互いに当接または離反するように移動可能な一対のドア部を有する、平衡式クラムシェル型ドア構造(counterbalanced clamshell−type door construction)を有する頭上型収納ユニットを提供することである。更なる本発明の目的は、閉鎖位置と開放位置間を同期して移動するドア部を有するクラムシェル型ドア装置を有し、閉鎖位置と開放位置間のドア部の移動を容易にするために、ドア要素の重量を平衡させる頭上型収納ユニットを提供することである。本発明の別の目的は、キャビネットの内部収納空間に影響を与えることなくキャビネット内部に容易に組み込むことが可能であり、収納ユニットの全体的な美的外観を損なわない、平衡式ドア装置(counterbalanced door arrangment)を提供することである。また本発明の別の目的は、構成要素および構造が比較的単純であり、頭上型収納ユニットのアセンブリに容易に組み込むことが可能である、そのような平衡錘ドア装置を備えた頭上収納ユニットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明によれば、頭上型収納ユニットなどの収納ユニットは、内部を定め、またキャビネット内部の利用を提供する開口を有するキャビネットからなる。収納ユニットはキャビネットに対して相互連結されたドア装置を有し、そのドア装置はキャビネットの内部がキャビネットの開口前部を通って利用可能である開放位置と、ドア装置がキャビネットの内部を利用できないようキャビネットの開口前部を閉鎖する閉鎖位置との間を、キャビネットを基準に移動可能である。ドア装置を閉鎖位置から開放位置に開口する際に使用者を補助すべく、使用者により位置合せされた時に開放位置にドア装置を保持するために、ドア装置は開放位置に付勢するようにつり合わされる。さらに、ドア装置はクラムシェル型構造が好ましく、これはドア装置が閉鎖位置にある場合に相互方向に移動し、ドア装置が開放位置にある場合に相互に離間するよう移動する第一ドア部と第二ドア部を有する。
【0005】
一つの形態では、第一ドア部は一組の上部アームの間を延長する上部ドア部材を有し、各上部アーム部は開放位置と閉鎖位置間の上部ドア部材の移動を提供するためにキャビネットに対して枢着される。同様に、第二ドア部はキャビネットに対して枢動可能となるよう相互連結される一組の下部アームの間に取り付けられた下部ドア部材という形態であり得る。上部ドア部材の重量のつり合いを取るために、上方向にアームを枢動可能に付勢する傾向である上部アームなど、一式のアームの一つを伴う相互連結した付勢装置によってドア装置のつり合いを取ることが実現される。一つの形態では、付勢装置はキャビネットと少なくとも一つの上部アームの間を結合するバネの形式である。上方向に上部アームを押し進めるため、バネがピボット軸を中心に回動する傾向にある上部アームに力を加えるよう、バネ及び上部アームが構成され配置される。別の形態では、付勢装置は上部アームを上方向に付勢するため、ピボット軸の位置の後部において上部アームに連結される平衡錘という形態である。
【0006】
上部ドア部と下部ドア部は開放位置と閉鎖位置の間を同期的に移動可能なように共に連結されている。これを実現するため、リンク部材は上部アームと後部アームの組の少なくとも一つと相互連結される。リンク部材は上部アームピボット軸の位置の前方部において上部アームに対して枢動可能となるように取り付けられる。この方法により、リンク部材は上部アームが下降するにつれ下部アームを上昇させ、下部ドア部を上部ドア部に向かい移動させる。ドア部材の一つが閉鎖位置に向かい移動される場合に上部ドア部と下部ドア部を当接するように移動させる働きをする。同様に、リンク部材は上部アームの上昇に伴い下部アームを下降させ、ドア部の一つが開放位置に移動される時に上部ドア部と下部ドア部が離間するように移動させる働きをする。
【0007】
上部アームピボット軸の前方に位置する上部ドア部の要素の重量は、付勢装置の力に対抗して上部ドア部の位置を保持するため、平衡錘装置の付勢力を克服するように操作可能である。さらに、上部ドア部が閉鎖時に下部ドア部を上昇させる傾向であるリンク部材により、上部ドア部の前方要素の重量は下部ドア部を所定の位置に保持するために十分である。使用者が上部ドア部の下部ドア部を閉鎖位置から開放位置に移動した場合に、平衡錘装置は使用者がドア部を開口することを補助するよう操作可能であり、平衡錘装置の力は、使用者がドア部を自由にした場合に、ドア部がいかなる位置であっても保持する。ドア部は開放位置にある場合、ドア部が再び平衡錘装置の力に対抗して閉鎖位置に移動されるまで、平衡錘装置はドア部を開放位置に保持する働きをする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
図1、図2、図2Aを参照すると、頭上型収納ユニット10は底面壁14、上部壁16、一組の端壁18,20、および背面壁21から形成されるキャビネットアセンブリすなわちケース12を有する。頭上型収納ユニット10は底面壁14、上部壁16、一組の端壁18,20、および背面壁21の全ては、周知の手法により協働して外部に開放した内部を画定する。よう本発明に基づき構成されるドアアセンブリ22は、該ドアアセンブリ22がケース12内部の利用を選択的に提供および阻害するように、ケース12に移動可能に取り付けられる。
【0009】
ドアアセンブリ22は上部ドア部又はサブアセンブリ24と、下部ドア部又はサブアセンブリ26とからなり、相互にリンク27によって相互連結されている。ドアアセンブリ22は、上部ドアサブアセンブリ24と下部ドアサブアセンブリ26が閉鎖位置と開放位置との間において相互に対して選択的に開閉移動するようなクラムシェル型の構造である。図1および図2は、ケース12内部の利用を提供するように開放位置にある上部ドアサブアセンブリ24および下部ドアサブアセンブリ26を示している。図2Aはケース12内部の利用を妨げるように閉鎖位置にある上部ドアサブアセンブリ24と下部ドアサブアセンブリ26を示している。
【0010】
上部ドアサブアセンブリ24は、一組の上部アーム28と、それら上部アーム28の間に連結される上部ドア部材30とからなる。同様に、下部ドアサブアセンブリ26は、一組の下部アーム32と、それら下部アーム32の間に延びる下部ドア部材34とからなる。
【0011】
図3乃至図5を参照すると、各上部アーム28は、中央アーム部39により相互連結される外部ドア取り付けブラケット部36と内側腕アーム部38とを有する。ピボットスタッド40は内側部38の前方端に取り付けられ、そこから内側に伸長している。開口部42は内側部38の端に形成され、耳44は内側部38から上方に伸長している。耳44の上部端はホック46として成端する。
【0012】
上部ドア部材30の両端は上部アーム28の外部ドア取り付けブラケット部36に対して取り付けられる。典型的には、ドア30を各アーム28に対して取り付けるため、ネジ47など締め具が、外部ドア取り付けブラケット部36の開口部を通って延び、ねじ山付アンカーまたはドア30の基部領域に関連する開口部と係合する。
【0013】
図1、図2、図2Aを参照すると、各アーム28は開口部42を通じて延びるピン48により、ケース端壁18,20の一方に対して枢着され、このような上部アーム28は、複数のピン48の整合された長手方向軸線により画定されるピボット軸を中心に枢動可能である。各リンク27の上部端は、リンク27の上端に形成された開口50内へのスタッド40の係合により、対応する上部アーム28の一つに対して枢着される。リンク27をスタッド40上の所定の位置に保持するために、従来の保持具をスタッド40と係合させる。
【0014】
バネ52は各上部アーム28と係合される。図1、図2、図2Aを参照すると、バネ52の後端はケース端壁20から内方に延びる保持ピン54との係合によりケース端壁20に固定されるホック53を有する。反対側のバネ52の前端は内側腕アーム部38に関連付けられている。耳44の上端においてホック46と係合するホック55を有する。同様のバネ52は、ケース端壁18に対して枢動可能に取り付けられる上部アーム28に係合される。バネ52は上部アームピボットピン48により画定される上部ドア部ピボット軸を中心として、上部ドアサブアセンブリ24の重量とつり合うように作用する。図2を参照すると、バネ52はピボットピン48を中心に反時計回り方向に上部ドアサブアセンブリ24とつり合うように作用する。
【0015】
図7乃至図10を参照すると、各下部アーム32は外部ドア取り付け部58を画定し、下部ドア部材34はドア取り付け部58の間に延びる。各下部アーム32は、各ドア取り付け部58と内側部60との間に延びる中間部62の内側の端部から、さらに内方に延びる内側部60を有する。内方に延びるピボットスタッド64は各内側部60の端部付近に取り付けられ、開口部66は各下部アーム32の中間部分62と内側部60の交点において形成される。
【0016】
図1を参照すると、ピボットピン68は、整合された各ピン68の長手方向軸線により画定されるピボット軸を中心に下方アーム32を移動させるために、ケース端壁18,20の間に対し、かつそれらの間に下方アーム32を枢着するように、各開口部66を介して延びているように、各リンク27の下端はリンク27に形成される開口70とスタッド64とのの係合により下部アーム32の一つに対して枢着される。さらに、従来の保持具は、スタッド64上の所定の位置にリンク27を保持するためにスタッド64と係合する。
【0017】
下部アームドア取り付け部58の形状は、下部ドア部材34の断面の概略形状に対応する。実施形態に示すように、下部ドア部材34は、硬質熱可塑性樹脂やアルミニウムなど適切な素材により形成される押出し部材の形態であり、閉形状に定められる。下部ドア部材34は傾斜面72を備える。該傾斜面72は、図1に示すように、下部ドアアセンブリ26が開放位置にある場合には、底面壁14に対して下方及び前方に延び下部ドアアセンブリ26が閉鎖位置にある場合には、上部ドア部材30の下端と近接して位置するか、または同下端と係合する。下部ドア部材34は、その長さに沿った凹部74(図2)をさらに備え、該凹部74は、手動による下部ドア部材34との係合を容易にするためのハンドグリップ領域を提供する。
【0018】
図9および図10を参照すると、各下部アーム32のドア取り付け部58は下部ドア部材34により画定される内部通路の形状に対応する一連のリッジ76を有する。リッジ76は下部ドア部材34と各下部ドアアーム26との係合を促進し、これらは構造用接着や、溶着等の十分な手段により一緒に固定される。下部アーム32は射出成形処理によりポリカーボネートなどの硬質熱可塑性樹脂により形成され得るが、適切な他の素材や形成方法も採用され得る。
【0019】
操作時、上部ドアサブアセンブリ24および下部ドアサブアセンブリ26は、後述するようにケース12内部への外部からの進入を選択的に許容および阻止するように機能する。
【0020】
図1と図2に示されるように開放位置のドアアセンブリ22では、バネ52は、上部アーム28に対して、ピボットピン48を中心に反時計周り方向に上部アームを枢動させるのに資する後方への付勢力を提供する。バネ52の付勢付勢は、ピボットピン48の上方の上下に変位された位置において各上部アーム28に下方に向かう力及び後方に向かう力を適用することによって、ドアアセンブリ22の構成要素の重量に対するつり合いを保持する。使用者により上部ドアサブアセンブリ24および下部ドアサブアセンブリ26が解放された場合に、バネ52が、上部ドアサブアセンブリ24および下部ドアサブアセンブリ26の両方を所望の位置に保持する能力を有するように、各バネ52の力は選択される。開放位置にある上部ドアサブアセンブリ24により、リンク27は、図1や図2で示すように、下部ドアサブアセンブリ26が開放位置になるように配置される。リンク27は、ドアアセンブリ22が開放位置にある場合に、ピボットピン48を受容するノッチ77を含む。
【0021】
ドアアセンブリ22の閉鎖が必要な場合、使用者は、典型的には下部ドア部材34の前方端内または上部ドア部材30の前方端内にある凹部に手で接触することにより、上部ドア部材30または下部ドア部材34に手で接触する。次に、使用者は、上部ドア部材30に下方向の力や下部ドア部材34に上方向の力を加える。これにより、図2を参照すると、バネ52によって作用する付勢力に対抗して、上部アーム28はピン48を中心に時計回りに枢動させられ、また下方アーム32は反時計回りに枢動させられる。
【0022】
上部ドアサブアセンブリ24と下部ドアサブアセンブリ26はこのような手法で移動するにつれ、リンク27はスタッド40,64との係合によって、同期的に下方向に移動される。このリンク27の下方向の移動は、下部アーム32の内部端60およびスタッド40に位置する上部アーム28の双方に下方向の力を加える。図1および図2に示すように、ドアアセンブリ22が開放位置にある場合、上部アーム28のスタッド40はピボットピン48の上方及び前方に位置し、下部アーム32のスタッド64はピボットピン68の上方及び後方に位置する。ドアアセンブリ22を閉鎖するよう下部ドア部材34が持ち上げられた場合に、リンク27によって与えられる下向きの力は、ピボットピン48を中心として上部アーム28を枢動させ、バネ52の力に対抗して上部ドアサブアセンブリ24を閉鎖位置に向かって移動させるように作用する。使用者は、図2Aで示すように、上部ドア部材30と下部ドア部材34が共に閉鎖位置に移動するまで、下部ドアサブアセンブリ26の上方向の移動および結果として生じる上部ドアサブアセンブリ24の下方向の移動を続ける。同様の手段で上部ドア部材30への下方向の力の適用は、同期的にピボットピン48を中心にした上部アーム28の時計回りの枢動運動を生じ、この枢動運動はスタッド40を伴うリンク27の係合によってリンク27に下方向の力を及ぼす。リンク27における下方向の力はスタッド64において下部アーム32に加えられ、下部ドア部材34を上方向の移動のために、同期的にピボットピン68を中心に下部アーム32の反時計回りの枢動を起こす。上部ドア部材30の下方向の移動は上部ドア部材30と下部ドア部材34が閉鎖位置に互いに移動するまで続けられる。鍵78は、ドアアセンブリ22を閉鎖位置に固定するために、下部ドア部材34の表面72に形成されたスロット80に係合するように、上部ドア部材30の下端付近に取り付けられる。
【0023】
上部ドアサブアセンブリ24の重量の大部分は、上部ドアサブアセンブリ24が閉鎖している場合、ピボットピン48の外方にかかる。また上部ドアアセンブリ24が閉鎖された場合のピボットピン48におけるモーメントは、バネ52および下部ドアサブアセンブリ26の付勢力に打ち勝って、ドアアセンブリ22を閉鎖位置に保持するために十分である。さらにドアアセンブリ22が開放されることが所望される場合、使用者が上部ドアアセンブリ24に対して上方向の力を加えるか、または下部ドアサブアセンブリ26に下方向の力を加え、バネ52は開放位置にドアアセンブリ22の移動を容易にすべく、上部ドアサブアセンブリ24の重量をつり合わせる。ドアアセンブリが開放位置にある場合、キャビネット端壁18,20に結合した戻り止めと上部アーム28はドアアセンブリ22を開放したまま保持するための押えを提供し、開放位置に達したと使用者が認識できるようにする。
【0024】
閉鎖位置から開放位置に向かうドアアセンブリ22の移動は、ピボットピン48におけるモーメントを減少させる。ドアアセンブリ22の構成要素が使用者によって解放にされた場合に、それらの構成要素を任意の角度の位置で保持可能とすべく、バネ52の力がピボットピン48におけるモーメントの減少に応じて徐々に減少するように、バネ52の力は選択される。ドアアセンブリ22は開放位置から閉鎖位置に移動する際、使用者はバネ52の平衡錘の力以上の十分な力を加えるのみでよい。この構造は、開放位置と閉鎖位置間の移動におけるドアアセンブリ22の円滑で容易な操作を実現する。
【0025】
ドアアセンブリ22が閉鎖位置にある場合に、下部ドアサブアセンブリ26は開放位置に向かってドアアセンブリ22を圧迫しようとする付勢力を加えるように働くことが十分に理解できる。ドアアセンブリ22が閉鎖される場合に、下部ドアサブアセンブリ26の要素の重量の大部分は、ピボットピン68の前方に離間されている、ピボットピン68においてリンク27を上方向に圧迫しようとする時計回りのモーメントを加える。リンク27に対する上方向の力は、バネ52により加えられる力と組み合わされて、上部ドアサブアセンブリ24に対する上方向の付勢を提供し、その付勢はピボットピン48における反時計周りの付勢モーメントを加えることによって、上部ドアサブアセンブリ24のつり合いを補助する。
【0026】
端壁18,20に隣接して配置されるドアアセンブリ22の操作要素は、典型的に各端壁18,20と、品物がドアアセンブリ22の構成要素に接触することを防ぐ内部カバーパネルとの間に画定される空間に配置される。
【0027】
図11は、収納ユニット10と同一の多くの構成要素を備える別形態の収納ユニット10’を示す。ユニット10と同一の構成要素は同様の参照符号により示す。この形態では、各上部アーム28’はピボットピン48の後方に延びる内側端82を定めている。上部ドア部材30を開放位置に向け移動する傾向の上部アーム28’における反時計回りの付勢を提供するため、平衡錘84は各内側端82に固定される。平衡錘84は、バネ52と同様の手法で、収納ユニット10’のドアアセンブリ22’を開放位置に移動することと、開放位置にドアアセンブリ22’の要素を保持することとを補助する。平衡錘74の重量は、ドアアセンブリ22’が閉鎖位置にある場合に、上部ドア部材30と下部ドア部材34が当接するように移動し、上部ドアサブアセンブリ24’により与えられるモーメントが閉鎖されたドアアセンブリ22’を保持するのに十分であるように選択される。
【0028】
本発明は特定の実施形態について記述してきたが、変更例や別例が本発明の範囲に考えられる。例えば、これに限定されないが、バネ52や平衡錘84のいずれの付勢力も上部アーム28に加えることを示してきた。付勢力が下部アーム32やリンク27に対して加えられることも理解され得る。さらに、直線バネは付勢力が一方向に加えられるように記述されてきたが、上部ドアサブアセンブリ24と下部ドアサブアセンブリ36の双方を閉鎖位置に回動させようとする付勢力を提供するために、ねじりバネが採用されることも考えられ得る。単一のリンクが上部アーム28と下部アーム32との間を連結するように記述されてきたが、複数のリンクからなるリンケージが上部アームと下部アームの間に置かれ得、ギア装置が上部ドアサブアセンブリ24と下部ドアサブアセンブリ26の移動を同期するために採用され得る。バネや平衡錘は、必要な場合に付勢力を提供するために、ドアアセンブリ22の両方の端や一方の端に装備される。
【0029】
さらに、本発明の平衡錘の形態は単一のドア部材からなるキャビネットアセンブリで実現され得、記述されたように2つのドア部材からなるクラムシェル型を採用する必要はない。この形態では、リンク27と下部ドアサブアセンブリ26が除去され、上部ドア30が、閉鎖位置にある場合、ケース12の開口前部を完全に囲むように構成される。
【0030】
さらに、上部アーム28と下部アーム32が間隙を介した位置においてキャビネットアセンブリ12に対して枢動可能となるように取り付けられるように示されているが、上部アーム28と下部アーム32が共通のピボット軸を中心に移動すべくキャビネット12に枢着され得ることが考えられる。ドアアセンブリはキャビネットアセンブリの端壁に対してアームを枢着することについて記述されてきたが、アームは開放位置と閉鎖位置の間を枢動可能に移動するために、キャビネットの背面壁、上部壁、下部壁など、キャビネットアセンブリの別の組合せに対して取り付けられ得ることが考えられる。
【0031】
様々な実例や実施形態は、本発明の主題として詳細に記載し、明確に主張した特許請求の範囲内にあると考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】上部ドア部と下部ドア部が開放状態の、本発明の平衡錘ドアシステムを組込んだ頭上型収納ユニットの等角図。
【図2】開放状態のドア部を示す、図1の線2−2に沿った断面図。
【図2A】閉鎖状態のドア部を示す、図1の線2−2に沿った断面図。
【図3】頭上型収納ユニット内部に組入れられたドアシステムの一部を形成する上部ドア部の側面図。
【図4】上部ドア部の部分断面を示す後面図。
【図5】図3の上部ドア部を組入れられた上部アームの等角図。
【図6】図5の上部アームの正面図。
【図7】図1の頭上型収納ユニット内部に組入れられたドアシステムの一部を形成する後部ドア部の一部の等角図。
【図8】図7の下部ドア部に組入れられた下部アームの一つの外部正面図。
【図9】図8の下部アームの一つの内部領域の等角図。
【図10】図9の下部アームの内部正面図。
【図11】本発明の平衡錘ドアシステム内部に組入れられた付勢装置のための別実施形態の等角図。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部を画定するキャビネットを有し、
第一ドア部及び第二ドア部とを含むドアアセンブリを有し、前記各ドア部は開放位置と閉鎖位置との間を移動可能にキャビネットに対して枢着され、前記第一ドア部は、第一ドア部材と該第一ドア部材の両端にそれぞれ固定された一つの第一アーム部材を有し、前記第二ドア部は、第二ドア部材と該第二ドア部材の両端にそれぞれ固定された一つの第二アーム部材を有し、前記第一アーム部材は、前記第一ドア部を前記開放位置と閉鎖位置との間にて移動させるべく前記キャビネットに対して枢動可能に連結され、前記第二アーム部材は、前記第二ドア部を前記開放位置と閉鎖位置との間にて移動させるべく前記キャビネットに対して枢動可能に連結され、前記第一ドア部及び前記第二ドア部は、閉鎖位置にある場合には互いに近接した位置に配置されるとともにキャビネット内部への外部からの進入を妨げ、開放位置にある場合にはキャビネットの外側に配置されるとともにキャビネット内部への外部からの進入を可能にするとともに、
開放位置と閉鎖位置との間における前記第一ドア部及び前記第二ドア部の移動を同期させるよう、前記第一及び第二アーム部材を相互に連結するリンクを有し、該リンクは、前記第一及び第二アーム部材に枢動可能に連結され、
前記第一及び第二ドア部の少なくとも一つに連結された付勢装置を有し、
前記第一ドア部材及び第二ドア部材の何れか一つに設けられるとともに、前記第一ドア部材及び第二ドア部材を移動させる際に容易に把持することのできるグリップ領域を有することを特徴とする収納ユニット。
【請求項2】
第一アーム部材と第二アーム部材とは、離間された位置でキャビネットに枢着されていることを特徴とする請求項1に記載の収納ユニット。
【請求項3】
前記付勢装置は前記第一及び第二アーム部材のうちの一つと相互連結されたバネを含み、前記バネは、キャビネットに該第一及び第二アーム部材のうちの一つを枢着することによって画定されるピボット軸から偏倚した位置において、該第一及び第二アーム部材のうちの一つに対して付勢力を加えるように作動可能であることを特徴とする請求項1に記載の収納ユニット。
【請求項4】
前記第二ドア部は前記キャビネットの下部に配置される下部ドア部材であって、前記グリップ領域は前記ドア部材に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の収納ユニット。
【請求項5】
前記グリップ領域は凹部であるとともに前記下部ドア部材の両端間の略全域に亘って設けられていることを特徴とする請求項4に記載の収納ユニット。
【請求項1】
内部を画定するキャビネットを有し、
第一ドア部及び第二ドア部とを含むドアアセンブリを有し、前記各ドア部は開放位置と閉鎖位置との間を移動可能にキャビネットに対して枢着され、前記第一ドア部は、第一ドア部材と該第一ドア部材の両端にそれぞれ固定された一つの第一アーム部材を有し、前記第二ドア部は、第二ドア部材と該第二ドア部材の両端にそれぞれ固定された一つの第二アーム部材を有し、前記第一アーム部材は、前記第一ドア部を前記開放位置と閉鎖位置との間にて移動させるべく前記キャビネットに対して枢動可能に連結され、前記第二アーム部材は、前記第二ドア部を前記開放位置と閉鎖位置との間にて移動させるべく前記キャビネットに対して枢動可能に連結され、前記第一ドア部及び前記第二ドア部は、閉鎖位置にある場合には互いに近接した位置に配置されるとともにキャビネット内部への外部からの進入を妨げ、開放位置にある場合にはキャビネットの外側に配置されるとともにキャビネット内部への外部からの進入を可能にするとともに、
開放位置と閉鎖位置との間における前記第一ドア部及び前記第二ドア部の移動を同期させるよう、前記第一及び第二アーム部材を相互に連結するリンクを有し、該リンクは、前記第一及び第二アーム部材に枢動可能に連結され、
前記第一及び第二ドア部の少なくとも一つに連結された付勢装置を有し、
前記第一ドア部材及び第二ドア部材の何れか一つに設けられるとともに、前記第一ドア部材及び第二ドア部材を移動させる際に容易に把持することのできるグリップ領域を有することを特徴とする収納ユニット。
【請求項2】
第一アーム部材と第二アーム部材とは、離間された位置でキャビネットに枢着されていることを特徴とする請求項1に記載の収納ユニット。
【請求項3】
前記付勢装置は前記第一及び第二アーム部材のうちの一つと相互連結されたバネを含み、前記バネは、キャビネットに該第一及び第二アーム部材のうちの一つを枢着することによって画定されるピボット軸から偏倚した位置において、該第一及び第二アーム部材のうちの一つに対して付勢力を加えるように作動可能であることを特徴とする請求項1に記載の収納ユニット。
【請求項4】
前記第二ドア部は前記キャビネットの下部に配置される下部ドア部材であって、前記グリップ領域は前記ドア部材に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の収納ユニット。
【請求項5】
前記グリップ領域は凹部であるとともに前記下部ドア部材の両端間の略全域に亘って設けられていることを特徴とする請求項4に記載の収納ユニット。
【図1】
【図2】
【図2A】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図2A】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2008−190318(P2008−190318A)
【公開日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−39247(P2008−39247)
【出願日】平成20年2月20日(2008.2.20)
【分割の表示】特願2002−567674(P2002−567674)の分割
【原出願日】平成14年2月21日(2002.2.21)
【出願人】(503304304)クルーガー インターナショナル インコーポレイテッド (1)
【氏名又は名称原語表記】KRUEGER INTERNATIONAL,INC.
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年2月20日(2008.2.20)
【分割の表示】特願2002−567674(P2002−567674)の分割
【原出願日】平成14年2月21日(2002.2.21)
【出願人】(503304304)クルーガー インターナショナル インコーポレイテッド (1)
【氏名又は名称原語表記】KRUEGER INTERNATIONAL,INC.
【Fターム(参考)】
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