説明

収納ボックス

【課題】突然避難しなければならない状況下でも、非常用具を咄嗟に持ち出すことができるような収納ボックスを提供すること。
【解決手段】本発明は、壁面に取り付けられる収納ボックス1であって、背面部2と、背面部2の前面に設けられた前面部3と、背面部2の下部で、背面部2と前面部3とを回動可能に取り付ける回動部4と、背面部2の一部と前面部3の一部とを着脱可能にする着脱部5とを備える。前面部3は、地震時に、少なくとも一方向に振動可能なように、回動部4に取り付けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品を収納するための収納ボックスに関し、より特定的には、地震時や火災時などの非常時に必要な非常用具を収納するための収納ボックスに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、地震時や火災時などの非常時に必要な非常用具を収納するための収納ボックスとして、特許文献1に記載の壁埋め込み収納ボックスが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−63934号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
非常用具を押し入れやクローゼット、たんすなどに収納しておくと、突然避難しなければならない状況下では、非常用具を取り出すことが難しく、結局、非常用具が活用されないこととなる。
【0005】
それゆえ、本発明は、突然避難しなければならない状況下でも、非常用具を咄嗟に持ち出すことができるような収納ボックスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明は、以下のような特徴を有する。本発明は、壁面に取り付けられる収納ボックスであって、背面部と、背面部の前面に設けられた前面部と、背面部の下部で、背面部と前面部とを回動可能に取り付ける回動部と、背面部の一部と前面部の一部とを着脱可能にする着脱部とを備える。前面部は、地震時に、少なくとも一方向に振動可能なように、回動部に取り付けられている。
【0007】
好ましくは、回動部は、前面部の両側面に設けられた二つの軸受け孔と、背面部に設けられ、二つの軸受け孔に挿入される二本の軸とを含み、二本の軸の根本部分から二つの軸受け孔まで、間隙が設けられていると良い。
【0008】
好ましくは、回動部は、前面部の両側面に設けられた二つの軸受け孔と、背面部に設けられ、二つの軸受け孔に挿入される二本の軸とを含み、二つの軸受け孔は、二本の軸が少なくとも上下にスライド可能に、二本の軸の外径よりも大きいと良い。
【0009】
好ましくは、二本の軸の根本部分から二つの軸受け孔まで、間隙が設けられていると良い。
【0010】
好ましくは、回動部は、背面部の両側面に設けられた二つの軸受け孔と、前面部に設けられ、二つの軸受け孔に挿入される二本の軸とを含み、二本の軸の根本部分から二つの軸受け孔まで、間隙が設けられていると良い。
【0011】
好ましくは、回動部は、背面部の両側面に設けられた二つの軸受け孔と、前面部に設けられ、二つの軸受け孔に挿入される二本の軸とを含み、二つの軸受け孔は、二本の軸が少なくとも上下にスライド可能に、二本の軸の外径よりも大きいと良い。
【0012】
好ましくは、二本の軸の根本部分から二つの軸受け孔まで、間隙が設けられていると良い。
【0013】
好ましくは、着脱部は、背面部及び前面部を磁力で接続すると良い。
【0014】
好ましくは、磁力は、所定の震度以上の地震が発生した際、背面部と前面部とが離れる程度の強さであると良い。
【0015】
好ましくは、前面部は、取っ手部を有すると良い。
【0016】
好ましくは、前面部に前記二本の軸が設けられている場合、前面部は、底部を含み、底部は、物品を仮止めするための仮止め部を有すると良い。
【0017】
好ましくは、底部は、二枚の底板であり、仮止め部は、二枚の底板の間に設けられていると良い。
【0018】
好ましくは、二枚の底板の内、前面部の回動時に下方に位置する底板は、角が丸められていると良い。
【0019】
好ましくは、背面部に二本の軸が設けられている場合、背面部は、物品を仮止めするための仮止め部を有すると良い。
【0020】
好ましくは、仮止め部は、面ファスナーであると良い。
【0021】
好ましくは、背面部に二本の軸が設けられている場合、前面部は、回動前及び回動後の両時点で背面部の一部を露出させる露出部を有し、背面部は、露出部から露出する位置に蓄光処理を施していると良い。
【0022】
好ましくは、前面部は、二本の軸を中心とする回動軸近辺を欠くことによって、露出部を形成していると良い。
【0023】
好ましくは、外部から視認可能な部分の少なくとも一部に、蓄光処理が施されていると良い。
【0024】
好ましくは、収納ボックスは、面ファスナーで壁面に固定されると良い。
【0025】
また、本発明は、壁面に取り付けられる収納ボックスであって、背面部と、背面部の前面に設けられた前面部と、背面部の下部で、背面部と前面部とを回動可能に取り付ける回動部と、背面部の一部と前面部の一部とを着脱可能にする着脱部とを備え、着脱部は、電動式によって、前面部と背面部との開閉をロックする。
【0026】
好ましくは、着脱部は、有線通信又は無線通信によって、外部から制御されて、ロックを解除すると良い。
【0027】
好ましくは、着脱部は、地震が発生したか否かを加速度センサで検知して、地震が発生した場合、ロックを解除すると良い。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、地震時に前面部が振動するので、振動の際に生じる衝撃によって、着脱部による背面部と前面部との着脱が解除される。前面部は、背面部に回動可能に固定されているので、着脱が解除されることによって、前面部が回転する。これにより、収納ボックスに収納されている物品が自動的に出現することとなる。よって、突然避難しなければならない状況下でも、非常用具を咄嗟に持ち出すことができるような収納ボックスが提供されることとなる。
【0029】
軸と軸受け孔とを用いる簡易な構成で、回動部を提供することができ、収納ボックスのコストは軽減される。さらに、軸の根本部分から軸受け孔までの間に間隙が設けられることによって、前面部の左右動が可能となり、地震時に、前面部を振動させることができる。
【0030】
軸受け孔を大きめにすることで、軸を上下にスライドさせることができる。これにより、前面部の上下動が可能となり、地震時に、前面部を振動させることができる。
【0031】
磁力で着脱部を構成するとう簡易な構成を採用すれば、収納ボックスのコストは軽減される。特に、この磁力は、地震で前面部が開く程度の強さであると良い。
【0032】
前面部に取っ手部を設けることによって、地震が発生しない火災などの状況でも、簡単に前面部を開けることができる。
【0033】
仮止め部によって、物品が仮止めされる。これにより、蓋が開いたら、物品が下に落ちることなく出現することとなる。仮止め部から、物品を取り外して、素早く避難することが可能となる。
【0034】
底部を二枚底板構造にすることによって、仮止め部を隠すことが可能となる。特に、仮止め部として面ファスナーを用いれば、簡易な構成で、仮止めを実現することができる。二枚底板構造の場合、前面部の回動時に下方に位置する底板は、角が丸められていると良い。これにより、収納袋が仮止めされている状況でも、角に収納袋が引っかかることなく、素早く取り外しすることができる。
【0035】
蓄光処理によって、非常用具の位置を暗闇でも確認することが可能となる。
【0036】
例えば、前面部に露出部を設けて、背面部に蓄光処理を施しておき、回動前後で、蓄光処理が施されている部分が露出するようにすれば、一つの蓄光処理部で、回動前後の位置を確認することができる。これにより、コスト低減に加え、普段から確認している収納ボックスの位置を、災害時にも、変わることなく確認することができる。
【0037】
収納ボックスを面ファスナーで壁面に固定すれば、簡単な工事で、収納ボックスの取付が可能となる。
【0038】
前面部のロックを電動式で制御することによって、収納ボックスを、カラオケボックスや、病院、ホテルなど、公衆が出入りする施設に設置して、災害時に、収納ボックスに収納されている物品を用いて、避難を促すことができる。災害時以外は、ロックされているので、物品が勝手に持ち出されることが防止される。ロックを有線通信又は無線通信で制御すれば、災害時のみ、ロックを解除することができる。加速度センサによって、地震発生を検知して、自動的にロックを解除するようにすれば、物品の勝手な持ち出しを防止できると共に、地震時のみに、ロックを解除することができる。
【0039】
本発明のこれらおよび他の目的、特徴、局面、効果は、添付図面と照合して、以下の詳細な説明から一層明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】図1は、本発明の第1の実施形態に係る収納ボックス1の斜視図である。
【図2】図2は、収納ボックス1の前面部3を開いたときの様子を示す斜視図である。
【図3】図3は、収納ボックス1の分解斜視図である。
【図4】図4は、図1におけるA−A面での部分端面図である。
【図5】図5は、図1におけるB−B面での部分端面図である。
【図6】図6は、収納ボックス1の使用例を示す図である。
【図7】図7は、軸受け孔4bの他の例を示す図である。
【図8】図8は、本発明の第2の実施形態に係る収納ボックス10の斜視図である。
【図9】図9は、収納ボックス10の前面部13を開いたときの様子を示す斜視図である。
【図10】図10は、収納ボックス10の分解斜視図である。
【図11】図11は、収納ボックス10の使用例を示す図である。
【図12】図12は、本発明の第3の実施形態に係る収納ボックス10aの前面部13を開いたときの様子を示す斜視図
【発明を実施するための形態】
【0041】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係る収納ボックス1の斜視図である。図2は、収納ボックス1の前面部3を開いたときの様子を示す斜視図である。図3は、収納ボックス1の分解斜視図である。図4は、図1におけるA−A面での部分端面図である。図5は、図1におけるB−B面での部分端面図である。
【0042】
図1に示すように、収納ボックス1は、背面部2と、前面部3と、回動部4と、着脱部5とを備える。背面部2は、壁面にビスや接着剤、強力磁石、吸盤、面ファスナーなどで固定される。なお、背面部2の一部は、壁面に埋め込まれても良い(ただし、前面部13が回動可能なように、前面部13の奥行き幅は調整される)。前面部3は、背面部2の前面に設けられている。回動部4は、背面部2の下部で、背面部2と前面部3とを回動可能に取り付ける。回動部4は、それぞれ、背面部2の両側面に設けられた軸受け孔4bと、前面部3に取り付けられた軸4aとを含む。軸4aの先端には、フランジ部4cが設けられている。軸受け孔4bは、軸4aが上下にスライド可能なように、軸4aの外径よりも大きい孔である。なお、軸受け孔4aは、軸4bが前後にスライド可能な大きさであっても良い。着脱部5は、前面部3に設けられた磁石(又は金属)5aと、背面部2に設けられた金属(又は磁石)5bとを含む。これにより、着脱部5は、背面部2の一部と前面部3の一部とを着脱可能に接続する。前面部3は、下部に、取っ手部6を含む。
【0043】
図2及び図3に示すように、前面部3は、第1の底板3cと第2の底板3dとを有する底部を含む。第1の底板3cと第2の底板3dとの間には、面ファスナー3e,3fが設けられている。前面部3は、軸4aを固定するための内蓋部3bと、内蓋部3bと背面部2との間の間隙S(図4及び図5参照)を隠すための外蓋部3aとを含む。第1及び第2の底板3c,3dの内、前面部3の回動時に下方に位置する第1の底板3cは、角が丸められている。
【0044】
図4及び図5に示すように、内蓋部3bと外枠2の両側面との間には、間隙Sが設けられている。すなわち、内蓋部3bの外寸は、外枠2の内寸よりも小さい。なお、図示は省略するが、外枠2の上面と内蓋3bの上辺部との間にも、間隙が設けている。さらに、磁石5aと金属5bとは、一部分のみが接続されている。ただし、磁石5aと金属5bとの接続面積は、適宜決定される事項であって、一部ではなく全部でも良い。もし、地震が発生すると、内蓋部3bと外枠2との間に間隙が設けられているので、前面部3は、図1に示す矢印S1や図4及び図5に示す矢印S2の方向に、上下及び/又は左右に振動する。これにより、磁石5aと金属5bとの間の接続が離れ、図2に示すように、前面部3が自身の重さで開くこととなる。
【0045】
図6は、収納ボックス1の使用例を示す図である。帯状部7aに取り付けられた少なくとも一つの袋部7bを備える収納袋7は、帯状部7aの一部に面ファスナー7cを含む。袋部7bには、懐中電灯や消化器、軍手、地図、貴重品など、災害時等に必要な物品が収容される。面ファスナー7cが面ファスナー3e又は3fに取り付けられる。収納袋7が底部に仮止めした状態で、前面部3を回動させて、磁石5aと金属5bとを結合して、前面部3が背面部2に接合される。地震が発生すると、前面部3は、上下及び/又は左右に振動する。振動が大きくなると、着脱部5の着脱が離れ、前面部3が回動して開くこととなる。このとき、図6に示すように、収納袋7は、第1の底板3eからぶら下がる状態となる。このように、地震が発生して咄嗟に避難しなければならない場合、自動的に、前面部3が開いて、非常用具や貴重品などが収納されている収納袋7が出現することとなる。収納ボックス1を玄関や窓際などに取り付けておけば、地震発生時に、あわてることなく、収納袋7を持ち出して避難することができる。なお、火災時など、揺れが発生しない場合、取っ手部6を摘んで前面部3を開ければ、図6に示すような状態となるので、簡単に収納袋7を持ち出すことができる。また、収納ボックス1に消化器などを常備しておき、収納ボックス1を台所の近くに設置しておけば、万が一のとき、消化器をすぐに取り出すことができ、初期消火の推進にもつながる。
【0046】
なお、前面部3は、地震時に、少なくとも一方向に振動すれば、自動的に開くこととなるので、上記実施形態の内、内蓋部3bと背面部2との間の間隙Sか、又は、大きめの軸受け孔4bのどちらかが設けられていれば良い。また、前面部3を地震時に少なくとも一方向に振動する構造としては、その他、あらゆる構造が採用できる。
【0047】
なお、回動部4の構造は、上記に限られるものではなく、回動部4は、背面部2に前面部3を回動可能に取り付けるのであれば、あらゆる構造を採用しても良い。図7は、軸受け孔4bの他の例を示す図である。図7に示すように、軸受け孔4bを上下左右に大きめにすれば、前面部3を上下左右等に振動させることができる。軸受け孔4bは、たとえば、図7に示すような卵形の形状であっても良いが、これに限定されるものではない。
【0048】
なお、内蓋部3bは、必須構成ではない。二本の軸4aと二つの軸受け孔4bとを用いる場合、内蓋部3bが無くても、二本の軸4aの根本部分から二つの軸受け孔4bまで、間隙Sが設けられていれば良く、間隙Sが設けられるように、二本の軸4aが前面部3に取り付けられていれば、あらゆる構造を採用し得る。
【0049】
なお、着脱部5は、磁石以外の力によって、前面部3と背面部2とを着脱可能に取り付けて良い。
【0050】
着脱部5に磁石を用いる場合、当該磁力は、たとえば、背面部2に所定重量の物品が収容されている状況で所定の震度以上の地震が発生した際、背面部2と前面部3とが離れる程度の強さであると良いが、これに限られるものではない。
【0051】
なお、前面部2の底部の構造は、二枚の底板3c,3dに限られるものではない。たとえば、一枚の底板でも良いし、それ以外であっても良い。さらに、底部において、収納袋7などの物品を仮止めするための仮止め部としては、面ファスナー以外に、スナップや摩擦部材、凸部、フックなど、あらゆる構造を用いることができる。
【0052】
なお、収納ボックス1は、外部から視認可能な部分の少なくとも一部に、蓄光処理が施されていると良い。これにより、暗闇で光って、非常用具の場所を示すことができる。
【0053】
(第2の実施形態)
図8は、本発明の第2の実施形態に係る収納ボックス10の斜視図である。図9は、収納ボックス10の前面部13を開いたときの様子を示す斜視図である。図10は、収納ボックス10の分解斜視図である。
【0054】
図8に示すように、収納ボックス10は、背面部12と、前面部13と、回動部14と、着脱部15とを備える。背面部12は、壁面にビスや接着剤、強力磁石、吸盤、面ファスナーなどで固定される。なお、背面部12の一部は、壁面に埋め込まれても良い(ただし、前面部13が回動可能なように、前面部13の奥行き幅は調整される)。前面部13は、背面部12の前面に設けられている。回動部14は、背面部12の下部で、背面部12と前面部13とを回動可能に取り付ける。回動部14は、それぞれ、前面部13の両側面に設けられた軸受け孔14bと、背面部12に取り付けられた軸14aとを含む。軸受け孔14bの外側には、軸受け孔14bを蓋するための蓋部14cが設けられている。蓋部14cには、軸受け孔14bと連接するように、凹部(図示せず)が堀込まれている。軸受け孔14bは、軸14aが上下にスライド可能なように、軸14aの外径よりも大きい孔である。なお、軸受け孔14aは、軸14bが前後にスライド可能な大きさであっても良い。着脱部15は、前面部13に設けられた金属(又は磁石)15bと、背面部12に設けられた磁石(又は金属)15bとを含む。これにより、着脱部5は、背面部12の一部と前面部13の一部とを着脱可能に接続する。前面部13は、回動時に、角部分が人に当たって怪我するのを防止するために、角部分にクッション部18を有する。なお、前面部13は、上部に、取っ手部(図示せず)が設けられていても良い。
【0055】
図9及び図10に示すように、背面部12は、底面部12aと、背面板12cと、上面部12bとを有し、断面コの字状である。前面部13は、背面部12を内側に収容可能な大きさを有している。回動可能なように、前面部13の底板は設けられていない。前面部13は、軸14bを中心とする回動軸の近辺が欠かれた露出部13aを有する。露出部13aによって、前面部13が回動したとき、前面部13が背面部12に引っ掛かることなく、鉛直下方向に回動することができる。さらに、図8に示すように、前面部13が閉じているとき、露出部13aは、底面部12aの一側面を視認可能なように露出させる。当該露出部分には、蓄光処理部19が設けられている。したがって、前面部13が閉じているときにも、蓄光処理部19によって、収納ボックス10の位置が視認可能となり、さらに、前面部13が回動したときにも、収納ボックス10の位置が視認可能となる。
【0056】
図8に示すように、背面部12と前面部13との間には、間隙Sが設けられている。すなわち、背面部12の外寸は、前面部13の内寸よりも小さい。さらに、磁石15aと金属15bとは、第1の実施形態と同様に、一部分のみが接続されている。ただし、磁石15aと金属15bとの接続面積は、適宜決定される事項であって、一部ではなく全部でも良い。もし、地震が発生すると、背面部12と前面部13との間に間隙Sが設けられているので、前面部13は、図8に示す矢印S1や矢印S2の方向に、上下及び/又は左右に振動する。これにより、磁石15aと金属15bとの間の接続が離れ、図9に示すように、前面部13が自身の重さで開くこととなる。
【0057】
図11は、収納ボックス10の使用例を示す図である。帯状部17aに取り付けられた少なくとも一つの袋部17bを備える収納袋17は、帯状部17aの一部に面ファスナー17cを含む。袋部17bには、懐中電灯や消化器、軍手、地図、貴重品など、災害時等に必要な物品が収容される。背面部12は、上面部12bや背面板12cに少なくとも一つの面ファスナー17dを有する。面ファスナー17cが面ファスナー17dに取り付けられる。収納袋17が背面部12に仮止めした状態で、前面部13を回動させて、磁石15aと金属15bとを結合して、前面部13が背面部12に接合される。地震が発生すると、前面部13は、上下及び/又は左右に振動する。振動が大きくなると、着脱部15の着脱が離れ、前面部13が回動して開くこととなる。このとき、図11に示すように、収納袋17は、背面部12に収容された状態で、視認可能となる。このように、地震が発生して咄嗟に避難しなければならない場合、自動的に、前面部13が開いて、非常用具や貴重品などが収納されている収納袋17が出現することとなる。収納ボックス10を玄関や窓際などに取り付けておけば、地震発生時に、あわてることなく、収納袋17を持ち出して避難することができる。なお、火災時など、揺れが発生しない場合、取っ手部(図示せず)を摘んで前面部13を開ければ、図11に示すような状態となるので、簡単に収納袋17を持ち出すことができる。また、収納ボックス10に消化器などを常備しておき、収納ボックス10を台所の近くに設置しておけば、万が一のとき、消化器をすぐに取り出すことができ、初期消火の推進にもつながる。
【0058】
なお、前面部13は、地震時に、少なくとも一方向に振動すれば、自動的に開くこととなるので、上記実施形態の内、前面部13と背面部12との間の間隙Sか、又は、大きめの軸受け孔14bのどちらかが設けられていれば良い。また、前面部13を地震時に少なくとも一方向に振動する構造としては、その他、あらゆる構造が採用できる。
【0059】
なお、回動部14の構造は、上記に限られるものではなく、回動部14は、背面部12に前面部13を回動可能に取り付けるのであれば、あらゆる構造を採用しても良い。また、図7に示したような軸受け孔4bを第2の実施形態に採用しても良い。
【0060】
なお、第2の実施形態において、二本の軸14aの根本部分から二つの軸受け孔14bまで、間隙Sが設けられていれば良く、間隙Sが設けられるように、二本の軸14aが背面部12に取り付けられていれば、あらゆる構造を採用し得る。
【0061】
なお、着脱部15は、磁石以外の力によって、前面部13と背面部12とを着脱可能に取り付けて良い。
【0062】
着脱部15に磁石を用いる場合、当該磁力は、たとえば、所定の震度以上の地震が発生した際、背面部12と前面部13とが離れる程度の強さであると良いが、これに限られるものではない。
【0063】
なお、第2の実施形態において、蓋部14cを設けずに、第1の実施形態のように、軸14aの先端にフランジ部が設けられていても良い。
【0064】
なお、第2の実施形態において、蓄光処理部19以外の箇所(たとえば、前面部13の前面や、背面部12の背面板12cなど)に、蓄光処理が施されていても良い。
【0065】
なお、第2の実施形態において、前面部13の前面に、割れない鏡面部20を設けても良い。同様に、第1の実施形態の前面部3の前面に、割れない鏡面部20を設けても良い。
【0066】
(第3の実施形態)
図12は、本発明の第3の実施形態に係る収納ボックス10aの前面部13を開いたときの様子を示す斜視図である。図12において、第2の実施形態と同様の機能を有する部分については、同一の参照符号を付し、説明を省略する。
【0067】
収納ボックス10aは、着脱部として、突出部15cと、突出制御部15eと、孔部15dとを備える。突出制御部15eは、外部からの有線通信又は無線通信を介した電気信号に応じて、突出部15cを、上面部12bから突出させたり引っ込めたりする構造を有している。たとえば、突出制御部15eは、受信部に接続されたモータを有している。モータに取り付けられた歯車が、突出部15cに設けられた直線歯車と連結している。電気信号に応じて、モータが一方向又は反対方向に回転して、突出部15cを突出させたり引っ込めたりすると良い。孔部15dは、突出部15cと対応する位置に穿孔されている。前面部13が閉じた状態で、突出部15cが突出すると、突出部15cは孔部15dに入る。これにより、前面部13にロックがかかる。
【0068】
収納ボックス10aの管理者は、災害時などに、有線通信又は無線通信によって、突出部15cによるロックを解除する。これにより、前面部13が自身の重さで回動して、内容物が現れる。なお、磁石によるロックは、第3の実施形態では、無くても良いし、あっても良い。また、前面部13と背面部12との間の間隙Sは、無くても良いし、あっても良い。
【0069】
このように、前面部13のロックを電動式で制御することによって、収納ボックス10aを、カラオケボックスや、病院、ホテルなど、公衆が出入りする施設に設置して、災害時に、収納ボックス10aに収納されている物品を用いて、避難を促すことができる。災害時以外は、ロックされているので、物品が勝手に持ち出されることが防止される。
【0070】
なお、突出制御部15eは、火災警報装置と連動して、火災警報装置が火災を検知した場合に、検知信号が有線通信又は無線通信で突出制御部15eに送られて、ロックを解除するようにしても良い。
【0071】
なお、突出制御部15eは、加速度センサによって、安静時の加速度から変化があった場合に、地震が発生したと検知して、ロックを解除するようにしても良い。地震検知と有線通信又は無線通信とは組み合わされても良い。
【0072】
なお、図12に示すように、面ファスナー17dは、上面部12bの上面に設けられていても良い。
【0073】
なお、第3の実施形態に示すロック機構は、第1の実施形態に用いられても良い。
【0074】
その他、第1及び第2の実施形態で示したあらゆる変形が第3の実施形態に採用されても良い。
【0075】
以上、本発明を詳細に説明してきたが、前述の説明はあらゆる点において本発明の例示にすぎず、その範囲を限定しようとするものではない。本発明の範囲を逸脱することなく種々の改良や変形を行うことができることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0076】
本発明は、突然避難しなければならない状況下でも、非常用具を咄嗟に持ち出すことができるような収納ボックスであり、産業上利用可能である。
【符号の説明】
【0077】
1,10,10a 収納ボックス
2,12 背面部
3,13 前面部
13a 露出部
3a 外蓋部
3b 内蓋部
3c 第1の底板
3d 第2の底板
3e,3f 面ファスナー
4,14 回動部
4a,14a 軸
4b,14b 軸受け孔
14c 蓋部
5,15 着脱部
5a,15a 磁石(又は金属)
5b,15b 金属(又は磁石)
15c 突出部
15d 孔部
15e 突出制御部
6 取っ手部
7,17 収納袋
7a,17a 帯状部
7b,17b 袋部
7c,17c,17d 面ファスナー
18 クッション部
19 蓄光処理部
20 鏡面部
S 間隙

【特許請求の範囲】
【請求項1】
壁面に取り付けられる収納ボックスであって、
背面部と、
前記背面部の前面に設けられた前面部と、
前記背面部の下部で、前記背面部と前記前面部とを回動可能に取り付ける回動部と、
前記背面部の一部と前記前面部の一部とを着脱可能にする着脱部とを備え、
前記前面部は、地震時に、少なくとも一方向に振動可能なように、前記回動部に取り付けられていることを特徴とする、収納ボックス。
【請求項2】
前記回動部は、
前記前面部の両側面に設けられた二つの軸受け孔と、
前記背面部に設けられ、前記二つの軸受け孔に挿入される二本の軸とを含み、
前記二本の軸の根本部分から前記二つの軸受け孔まで、間隙が設けられていることを特徴とする、請求項1に記載の収納ボックス。
【請求項3】
前記回動部は、
前記前面部の両側面に設けられた二つの軸受け孔と、
前記背面部に設けられ、前記二つの軸受け孔に挿入される二本の軸とを含み、
前記二つの軸受け孔は、前記二本の軸が少なくとも上下にスライド可能に、前記二本の軸の外径よりも大きいことを特徴とする、請求項1に記載の収納ボックス。
【請求項4】
前記二本の軸の根本部分から前記二つの軸受け孔まで、間隙が設けられていることを特徴とする、請求項3に記載の収納ボックス。
【請求項5】
前記回動部は、
前記背面部の両側面に設けられた二つの軸受け孔と、
前記前面部に設けられ、前記二つの軸受け孔に挿入される二本の軸とを含み、
前記二本の軸の根本部分から前記二つの軸受け孔まで、間隙が設けられていることを特徴とする、請求項1に記載の収納ボックス。
【請求項6】
前記回動部は、
前記背面部の両側面に設けられた二つの軸受け孔と、
前記前面部に設けられ、前記二つの軸受け孔に挿入される二本の軸とを含み、
前記二つの軸受け孔は、前記二本の軸が少なくとも上下にスライド可能に、前記二本の軸の外径よりも大きいことを特徴とする、請求項1に記載の収納ボックス。
【請求項7】
前記二本の軸の根本部分から前記二つの軸受け孔まで、間隙が設けられていることを特徴とする、請求項6に記載の収納ボックス。
【請求項8】
前記着脱部は、前記背面部及び前記前面部を磁力で接続することを特徴とする、請求項1〜7のいずれかに記載の収納ボックス。
【請求項9】
前記磁力は、所定の震度以上の地震が発生した際、前記背面部と前記前面部とが離れる程度の強さであることを特徴とする、請求項8に記載の収納ボックス。
【請求項10】
前記前面部は、取っ手部を有することを特徴とする、請求項1〜9のいずれかに記載の収納ボックス。
【請求項11】
前記前面部に前記二本の軸が設けられている場合、
前記前面部は、底部を含み、
前記底部は、物品を仮止めするための仮止め部を有することを特徴とする、請求項5〜10のいずれかに記載の収納ボックス。
【請求項12】
前記底部は、二枚の底板であり、
前記仮止め部は、前記二枚の底板の間に設けられていることを特徴とする、請求項11に記載の収納ボックス。
【請求項13】
前記二枚の底板の内、前記前面部の回動時に下方に位置する底板は、角が丸められていることを特徴とする、請求項12に記載の収納ボックス。
【請求項14】
前記背面部に前記二本の軸が設けられている場合、
前記背面部は、物品を仮止めするための仮止め部を有することを特徴とする、請求項1〜4又は8〜10のいずれかに記載の収納ボックス。
【請求項15】
前記仮止め部は、面ファスナーであることを特徴とする、請求項11〜14のいずれかに記載の収納ボックス。
【請求項16】
前記背面部に前記二本の軸が設けられている場合、
前記前面部は、回動前及び回動後の両時点で前記背面部の一部を露出させる露出部を有し、
前記背面部は、前記露出部から露出する位置に蓄光処理を施していることを特徴とする、請求項1〜4、8〜10、又は請求項14〜15のいずれかに記載の収納ボックス。
【請求項17】
前記前面部は、前記二本の軸を中心とする回動軸近辺を欠くことによって、前記露出部を形成していることを特徴とする、請求項16に記載の収納ボックス。
【請求項18】
外部から視認可能な部分の少なくとも一部に、蓄光処理が施されていることを特徴とする、請求項1〜15のいずれかに記載の収納ボックス。
【請求項19】
面ファスナーで壁面に固定されることを特徴とする、請求項1〜18のいずれかに記載の収納ボックス。
【請求項20】
壁面に取り付けられる収納ボックスであって、
背面部と、
前記背面部の前面に設けられた前面部と、
前記背面部の下部で、前記背面部と前記前面部とを回動可能に取り付ける回動部と、
前記背面部の一部と前記前面部の一部とを着脱可能にする着脱部とを備え、
前記着脱部は、電動式によって、前記前面部と前記背面部との開閉をロックすることを特徴とする、収納ボックス。
【請求項21】
前記着脱部は、有線通信又は無線通信によって、外部から制御されて、ロックを解除することを特徴とする、請求項20に記載の収納ボックス。
【請求項22】
前記着脱部は、地震が発生したか否かを加速度センサで検知して、地震が発生した場合、ロックを解除することを特徴とする、請求項20又は21に記載の収納ボックス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2011−67566(P2011−67566A)
【公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−238133(P2009−238133)
【出願日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【出願人】(506271393)
【出願人】(509133724)
【出願人】(509113298)
【Fターム(参考)】