説明

収納容器

【課題】カップに収容した内容物を掬い出す取出し具を、その持ち手が邪魔になることなくカップとともに収納するできる収納容器を提案する。
【解決手段】本発明の収納容器は、内容物を収容するフランジ付きカップ30、及びこの内容物を掬うへら状の取出し具40の両方を収納する容器本体10と、容器本体10を覆う蓋体20とを備え、容器本体10は、カップを収納する区画凹所11と、区画凹所11の縁部と一体連結する天壁12とからなり、区画凹所11は、カップ30のフランジ33を支持する段部11dを有し、段部11dの外側端縁から立ち上がる周壁11eにフランジ33の上面壁と掛合する凸部11fを設け、天壁12は、取出し具40の掬い部42がカップ30と重なる姿勢にて取出し具40の持ち手41をその内側に収納する凹部13を有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内容物を予め収容したカップ、及びこの内容物を掬うへら状の取出し具を、ともに収納しておくための収納容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えばバターやマーガリン、ジャム等を内容物とする容器では、バターナイフやスプーン等のへら状の取出し具を用いてその内容物を容器から掬い出すことが一般的である。この場合、一旦容器を開封しても内容物を一度に使い切ることはまれなことから、使用した取出し具を、その持ち手を内容物で汚すことなく容器に保持しておき、次に使用する際にはすぐに取り外せるようにしておくことが便利である。このような容器としては、例えば特許文献1に記載のように、内容物として食用油脂を収容したケースにバターナイフを係止させる係止手段を取り付けたものが知られている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】登録実用新案第3003423号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところでこの種の容器は、バターナイフ等を容器に保持するに当たって、その持ち手が容器からはみ出した姿勢となることが通常であり、はみ出した持ち手が邪魔になる上、持ち手を含めた容器全体のサイズも大きくなることから、冷蔵庫等に収納した際にも広いスペースを必要としていた。また、バターやジャム等は同時に使用することが多く、これらをそれぞれ持ち運ぶことは面倒であるため、これらの課題を有効に解決することが求められていた。
【0005】
本発明の課題は、カップに収容した内容物を掬い出す取出し具をカップとともに収納するにあたり、取出し具の持ち手を内容物で汚すことなく収納できる他、収納時にこの持ち手が邪魔になることがなく、また使い勝手にも優れた収納容器を提案するところにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、内容物を収容するフランジ付きカップ、及びこの内容物を掬うへら状の取出し具の両方を収納する容器本体と、該容器本体を覆う蓋体とを備える収納容器であって、
前記容器本体は、前記カップを収納する区画凹所と、該区画凹所の縁部と一体連結する天壁とからなり、
前記区画凹所は、カップのフランジを支持する段部を有し、該段部の外側端縁から立ち上がる周壁に該フランジの上面壁と掛合する凸部を設け、
前記天壁は、前記取出し具の掬い部がカップと重なる姿勢にて該取出し具の持ち手をその内側に収納する凹部を有することを特徴とする収納容器である。
【0007】
前記凹部は、前記容器本体の端縁を切り欠く開口を有することが望ましい。
【0008】
前記容器本体は、一つの区画凹所及び一つの凹部からなる組を複数組備えることが望ましい。
【発明の効果】
【0009】
カップを収納する区画凹所に、カップのフランジを支持する段部を設けるとともにフランジの上面壁と掛合する凸部を設けたので、カップを容器本体に確実に保持することができる。また、容器本体の天壁に、取出し具の掬い部がカップと重なる姿勢にて取出し具の持ち手をその内側に収納する凹部を設けたので、取出し具は容器本体からはみ出すことなく収納され、また収納時に持ち手がカップ内の内容物に触れて汚れてしまうことがない。そして掬い部とカップとを重ねるように収納することで、容器のサイズがよりコンパクトになる。
【0010】
取出し具の持ち手を収納する凹部に、容器本体の端縁を切り欠く開口を設ける場合は、この開口から取出し具を簡単に取り外すことができる。
【0011】
容器本体に、一つの区画凹所及び一つの凹部からなる組を複数組設ける場合は、複数個のカップとそれらに対応する取出し具とを、一度に安定して持ち運ぶことができるので使い勝手がよい。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明に従う収納容器の実施の形態につき、カップ及び取出し具を容器本体に収納した姿勢で示す平面図である。
【図2】図1に示す収納容器につき、A−Aに沿う部分断面図である。
【図3】図1に示す収納容器につき、B−Bに沿う断面図である。
【図4】図1に示す収納容器につき、C−Cに沿う断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して、本発明をより具体的に説明する。
図1は、本発明に従う収納容器の実施の形態につき、カップ及び取出し具を容器本体に収納した姿勢で示す平面図であって、図2は、図1に示す収納容器につき、A−Aに沿う部分断面図であって、図3は、図1に示す収納容器につき、B−Bに沿う断面図であって、図4は、図1に示す収納容器につき、C−Cに沿う断面図である。なお、図1においては、蓋体を二点鎖線で示している。
【0014】
図1において、符号10は容器本体である。容器本体10は、後述するカップを収納する区画凹所11と、この区画凹所11の縁部と一体連結する天壁12とからなる。なお、図示の例では、2個のカップを収納できるように構成されており、それに対応して天壁12は矩形状となっている。なお、カップの個数や形状、また天壁12の形状は適宜選択できる。
【0015】
図2〜図4に示す例で区画凹所11は、カップの形状に合わせて、底壁11aと周壁11bとの協働にて、下方から上方に向かって拡径する截頭円錐形となっている。周壁11bの上端部には小段を介して起立する環状壁11cが設けられ、さらに環状壁11cの上端部には水平方向に延在する段部11dを一体連結している。そして段部11dの外側端縁には、区画凹所11に収納されるカップのフランジを取り囲んで立ち上がる周壁11eが一体連結しており、周壁11eの内面壁にはその内側に向けて突出する凸部11fを設けている。凸部11fは、環状に設けていてもよいが、周方向に間隔をおいて複数配置してもよい。
【0016】
また天壁12は、図2〜図4に示すように、区画凹所11の縁部となる周壁11eの上端部と一体連結して水平方向に延在するとともに、その外縁端から側壁12aを垂下させて設けている。さらに、図1に示すように天壁12には、後述する取出し具の持ち手を収納する凹部13が形成されている。凹部13は、図3に示すように、区画凹所11に収納されるカップの高さとほぼ同じ高さとなる底壁13aと、底壁13aの縁部から立ち上がり天壁12に一体連結する凹部周壁13bとからなる。また図1に示すように、凹部13の一端側は区画凹所11と連結するとともに、他端側は天壁12の外周側に向けて延びている。図示の例では、他端側が天壁12の端縁を貫いて延び、その端縁を切り欠いて開口13cを形成している。さらに天壁12は、図1に示すようにカップ取出し部12bを備えていて、このカップ取出し部12bは、カップのフランジを下方から持ち上げることができるように段部11dの一部を切り欠いた凹状となっている。
【0017】
符号20は、容器本体10の天壁12を覆う蓋体である。図2〜図4に示すように蓋体20は、天壁12よりも一回り大きな外壁21と、この外壁21の端縁にて一体連結し、側壁12aを取り囲んで垂下される外周壁22とからなる。外周壁22の下端部には、側壁12aの下端に係合する係合部22aが設けられていて、蓋体20を容器本体10に係止させることができる。なお係合部22aは、環状に設けていてもよいが、周方向に間隔をおいて複数配置してもよい。
【0018】
また符号30は、区画凹所11に収納されるカップである。図2〜図4に示す例でカップ30は、底部31から上方に向けて拡径する側部32を有し、その内側に内容物を収容する充填空間Mを形成している。また側部32の上方の縁部には、外側に向けて延在するフランジ33を設けている。そしてフランジ33にシール部材34を貼着して、充填空間M内を密閉する。なお内容物を掬い出す際には、シール部材34は剥ぎ取られる。
【0019】
符号40は、カップ30内の内容物を掬うへら状の取出し具である。図1に示すように取出し具40は、使用時に把持する部位となる持ち手41と、カップ内の内容物を掬い出す掬い部42とからなる。また図3に示すように、取出し具40は、底壁13aの上面壁から外壁21の下面壁に至る隙間よりも厚みが薄くなっている。
【0020】
上記のような構成となる収納容器は、カップ30を区画凹所11に収納すると、カップ30のフランジ33が凸部11fで抜け出し保持されるため、持ち運ぶ際にもカップ30を確実に保持しておくことができる。なおカップ30は、フランジ33が段部11dにて支持されるため、底壁11aを設けずに区画凹所11の下方を開放させてもよいが、底壁11aを設ける場合は、蓋体20を閉めることで収納容器内が密閉されるので衛生上より好ましい。また、取出し具40は、カップ30の上方にて、掬い部42がカップ30と重なる姿勢で収納される。このため取出し具40を、掬い部42に内容物が付着した状態で収納する場合、その内容物が落下してもカップ30で収容できるので、他の部位を汚してしまうことがない。また、持ち手41はカップ30よりも外側に位置する凹部13に収納されるので、収納時に持ち手41が内容物に触れて汚れてしまうことがない。
【0021】
また、凹部13に開口13cを設ける場合は、この開口13cから指を差し入れて取出し具40を簡単に取り外すことができる。
【0022】
そして、図1に2個のカップ30を収納する例で示したように、一つの区画凹所11及び一つの凹部からなる組を複数組設ける場合は、例えばバターやジャムを収容したカップを、それぞれの取出し具も含めて一度に安定して持ち運ぶことができるので使い勝手がよい。
【産業上の利用可能性】
【0023】
本発明によれば、取出し具の持ち手を内容物で汚すことなく収納でき、収納時にこの持ち手が邪魔になることがなく、また使い勝手にも優れた収納容器を提供できる。
【符号の説明】
【0024】
10 容器本体
11 区画凹所
11d 段部
11e 周壁
11f 凸部
12 天壁
13 凹部
13c 開口
20 蓋体
30 カップ
33 フランジ
40 取出し具
41 持ち手
42 掬い部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容物を収容するフランジ付きカップ、及びこの内容物を掬うへら状の取出し具の両方を収納する容器本体と、該容器本体を覆う蓋体とを備える収納容器であって、
前記容器本体は、前記カップを収納する区画凹所と、該区画凹所の縁部と一体連結する天壁とからなり、
前記区画凹所は、カップのフランジを支持する段部を有し、該段部の外側端縁から立ち上がる周壁に該フランジの上面壁と掛合する凸部を設け、
前記天壁は、前記取出し具の掬い部がカップと重なる姿勢にて該取出し具の持ち手をその内側に収納する凹部を有することを特徴とする収納容器。
【請求項2】
前記凹部は、前記容器本体の端縁を切り欠く開口を有する請求項1に記載の収納容器。
【請求項3】
前記容器本体は、一つの区画凹所及び一つの凹部からなる組を複数組備えてなる請求項1又は2に記載の収納容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−246042(P2012−246042A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−121445(P2011−121445)
【出願日】平成23年5月31日(2011.5.31)
【出願人】(000006909)株式会社吉野工業所 (2,913)
【Fターム(参考)】