説明

口座残高管理システムおよび口座残高管理方法

【課題】口座残高不足をクレジットカード引き落し予定額も考慮してユーザに警告する仕組みを提供すること。
【解決手段】銀行のホスト・コンピュータおよびクレジット会社のホスト・コンピュータとが接続可能な銀行システムにおいて、預金口座を引き落し口座に設定しているクレジットカードの情報を記録する手段と、当該クレジットカードの情報に基づき、クレジットカードの引き落し予定額を入手する手段と、口座残高およびクレジットカードの引き落し予定額を受信する手段とを備える。預金口座の口座残高と、クレジットカードの引き落し予定額と、出金要求額とを比較し、口座残高が不足するかどうかを判定し、口座残高が不足する場合に、利用者が出金操作を行っている際に、あらかじめ定められた警告表示期間であれば、警告を表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、口座残高管理システムおよび口座残高管理方法に関し、特に、口座残高とクレジットカード引き落し予定額を管理する口座残高管理システムおよび口座残高管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、銀行等の取引金融機関における預金者の口座残高を管理するためのシステムや方法が多数提案されている。例えば、特許文献1には、口座残高と今後予定されている口振額・引落額(口座振替予定額および引き落し予定額)の差分から出金可能金額設定を行い、出金可能金額以上の引出、振替の取引処理を行えないようにする自動取引システムが記載されている。
【0003】
また、特許文献2には、預金口座について口座残高が当該口座についてあらかじめ定められた最低基準額を下回っているかの判定を行い、下回っていると判定された場合に、口座預金者の宛先を取得し、その判定結果を取得した宛先に通知する残高情報通知サービス方法が記載されている。また、特許文献3には、口座残高に不足が生じた場合に顧客にメール送信連絡して残高補充を実行させる口座残高管理システムが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−3470号公報
【特許文献2】特開2003−162632号公報
【特許文献3】特開2006−40042号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の方法では、出金可能金額を求めるには、予定されている口振額・引落額の情報の他、預金者の月単位の時系列の収入情報までもが銀行側に集められるので、預金者にとっては抵抗感があるし、あくまでも過去の収入の平均額で判断されるので収入増や臨時収入が見込まれる場合でも取引が制限されてしまうという問題がある。また、特許文献2の方法では、最低基準額以下になった場合にはじめて預金者に電子メール等で通知がされるので、引き落し日が迫っている場合には残高補充を実行する時間的余裕がないことも考えられる。また、電子メールを見落とした預金者あるいは家族カードを持った家族等がATMで現金の引き出しや振込みをしようとしてもその時点では特に防止する手段はない。このことは、特許文献3のシステムでも基本的には電子メールで顧客に通知する以上は同様である。上記文献には、電子メール以外にも電話やファックスによる通知が示唆されているが、銀行側にとっては、人手とコストがかかるのですべての預金者に対してこれを行うのは現実には難しい。
【0006】
昨今においては、ポイント等の特典が得られるためにクレジットカードによる支払いが大幅に増加している。このため利用者は、多くのクレジットカードを所持するようになり、各クレジットカードの引き落し日もまちまちであるので、利用者は、クレジット会社から送られてくる明細書をいちいち確認する必要がある。そのため利用者が多くのクレジットカードの引落し日と引落し予定額を管理しきれずに、引き落し先の口座残高に不足が発生する危険性がますます増加している。
【0007】
本発明では、上記のような課題に鑑み、クレジットカードの引き落し予定額を反映し、口座残高不足があれば電子メールに頼らず利用者に通知する仕組みを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の、口座残高管理システムは、以下のような特徴を備えている。
自動取引装置と銀行のホスト・コンピュータおよびクレジット会社のホスト・コンピュータとが接続可能に構成され、前記銀行の預金口座の口座残高を管理する口座残高管理システムであって、前記銀行のホスト・コンピュータは、前記預金口座を引き落し口座に設定しているクレジットカードの情報を記録する手段と、前記クレジットカードの情報に基づき、前記クレジット会社のホスト・コンピュータから前記クレジットカードの引き落し予定額を入手する手段とを備え、前記自動取引装置は、利用者のキャッシュカードを読み取り、前記キャッシュカードに記録された口座番号を前記銀行のホスト・コンピュータに送信し、前記銀行のホスト・コンピュータから、口座残高および前記クレジットカードの引き落し予定額を受信する手段と、前記口座残高と、前記クレジットカードの引き落し予定額と、前記利用者が前記自動取引装置において行おうとする出金要求額とを比較し、前記口座残高が不足するかどうかを判定する手段と、前記判定する手段が前記口座残高が不足すると判定した場合に、前記利用者が前記自動取引装置において前記出金要求額を出金する際に、あらかじめ定められた警告表示期間であれば、前記自動取引装置に警告を表示する手段と、を備えることを特徴とする口座残高管理システム。
【0009】
上記発明によれば、利用者がキャッシュカードを銀行の自動取引装置(ATM)に入れた際に、ATMが口座番号を読み取りホスト・コンピュータに問い合わせて、その口座を引き落し口座に設定しているクレジットカードの情報を受信する。本システムでは、銀行のホスト・コンピュータは、クレジット会社のホスト・コンピュータにも接続されているので、当該口座を引き落し口座に設定しているすべてのクレジットカードの引き落し予定額も入手することができる。ATM側では、口座残高と、クレジットカード引き落し予定額と、ATMでの出金要求額を比較し、口座残高が近々不足すると判定すれば、ATMの利用者が出金を行う際に、残高不足である旨の警告表示を行う。警告表示は、予め定められた警告表示期間中に行う。このようにすることで、利用者がまさに出金操作をしようとする際に、警告がATMに表示されるので、電子メールでの通知に比べ見落としがなくなる。また、警告表示期間を設けることで不必要な警告を少なくすることができる。
【0010】
前記口座残高管理システムはさらに以下の特徴を備えることができる。
前記警告表示期間は、前記クレジットカードの締め日から引き落し日までの警告表示可能時期であることを特徴とする。
【0011】
上記発明によれば、警告を表示するのは、クレジットカードの締め日から引き落し日までの期間である警告表示可能時期の間とする。この期間中は、クレジットカードの引き落し額が確定しているので、口座残高不足を正確に判定することができる。
【0012】
前記口座残高管理システムはさらに以下の特徴を備えることができる。
前記警告表示期間は、前記利用者が設定した利用者指定期間と前記警告表示可能時期とが重複する期間であることを特徴とする。
【0013】
上記発明によれば、利用者は警告表示可能時期に自己が指定する利用者指定期間を重ね合わせることができる。例えば、利用者指定期間を給料日後の数日とすることで、システムは、残高不足が生じやすい期間だけに警告表示を行い、利用者は、その期間に特に注意を払うことができる。
【0014】
前記口座残高管理システムはさらに以下の特徴を備えることができる。
前記警告表示期間は、前記クレジットカードが複数の場合に、それぞれのクレジットカードの前記警告表示可能時期が重複する期間と前記利用者指定期間とが重複する期間であることを特徴とする。
【0015】
上記発明によれば、クレジットカードが複数であっても、各クレジットカードの警告表示可能時期と利用者指定期間が重なっている期間を警告表示期間とするので、クレジットカードすべての引き落し予定額がすべて確定した期間にのみ警告表示をすることができる。
【0016】
前記口座残高管理システムはさらに以下の特徴を備えることができる。
前記クレジットカードが複数の場合に、クレジットカードの締め日および引き落し日が同じクレジットカードを1つのグループとして取り扱うことを特徴とする。
【0017】
上記発明によれば、クレジットカードが複数の場合に、クレジットカードの締め日と引き落し日が同じクレジットカードを1つのグループとしてまとめて取り扱うので、警告表示期間の設定が容易になり、また警告表示を見やすく表示することができる。
【0018】
前記口座残高管理システムは、それぞれさらに以下の特徴を備えることができる。
前記判定する手段は、公共料金、住宅ローン、税金、年金、保険料の少なくともいずれか1つの口座振替予定額を前記判定の条件に加えることを特徴とする。
【0019】
上記発明によれば、口座残高不足を判定する場合に、クレジットカードの引き落し予定額だけでなく公共料金等の口座振替予定額も判定条件に加えるので、残高不足の判定がより正確になる。
【0020】
また、上記口座残高管理システムは、以下のようなネットバンキングにおいても実現することができる。
利用者のユーザ端末と銀行のホスト・コンピュータおよびクレジット会社のホスト・コンピュータとが接続可能に構成され、前記利用者の預金口座の口座残高を管理する口座残高管理システムであって、前記銀行のホスト・コンピュータは、前記預金口座を引き落し口座に設定しているクレジットカードの情報を記録する手段と、前記クレジットカードの情報に基づき、前記クレジット会社のホスト・コンピュータから前記クレジットカードの引き落し予定額を入手する手段と、前記利用者の口座残高と、前記クレジットカードの引き落し予定額と、前記利用者が前記ユーザ端末において行おうとする出金要求額とを比較し、前記口座残高が不足するかどうかを判定する手段と、前記判定する手段が前記口座残高が不足すると判定した場合に、前記利用者が前記ユーザ端末において前記出金要求額を出金する際に、あらかじめ定められた警告表示期間であれば、前記ユーザ端末に警告を表示する手段と、を備えることを特徴とする。
【0021】
上記発明によれば、利用者の銀行口座を引き落とし口座にしているすべてのクレジットカード情報を記録する手段と、それらのクレジットカードの引き落し予定額を受信する手段と、口座残高と出金要求額とを比較し口座残高の不足を判定する手段と、口座残高が不足している場合、ユーザ端末に対して警告を表示する手段とを、ATM側でなく銀行のホスト・コンピュータ側に備える。このようにすることで、利用者がユーザ端末からネットバンキングで出金(振込み操作)を行う場合に、その振込み操作の前には口座残高が不足であれば警告を表示する。こうすることで、利用者のネットバンキングでの出金操作の際に警告が表示されるので、口座残高不足を忘れる危険性がなくなる。
【0022】
また、本発明は、銀行システムにおける以下のような口座残高管理方法としても捉えることができ、上記口座残高管理システムの発明と同様な作用・効果を得ることができる。
自動取引装置と銀行のホスト・コンピュータおよびクレジット会社のホスト・コンピュータとが接続可能に構成された銀行システムにおいて、利用者の預金口座を引き落し口座に設定しているクレジットカードの情報を記録するステップと、前記クレジットカードの情報に基づき、前記クレジット会社のホスト・コンピュータから前記クレジットカードの引き落し予定額を入手するステップと、利用者のキャッシュカードを読み取り、前記キャッシュカードに記録された口座番号を前記銀行のホスト・コンピュータに送信し、前記銀行のホスト・コンピュータから、口座残高および前記クレジットカードの引き落し予定額を受信するステップと、前記口座残高と、前記クレジットカードの引き落し予定額と、前記利用者が前記自動取引装置において行おうとする出金要求額とを比較し、前記口座残高が不足するかどうかを判定するステップと、前記判定するステップにおいてが前記口座残高が不足すると判定した場合に、前記利用者が前記自動取引装置において前記出金要求額を出金する際に、あらかじめ定められた警告表示期間であれば、前記自動取引装置に警告を表示するステップと、を含むことを特徴とする口座残高管理方法。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、クレジットカードの引き落し予定額を反映した口座残高不足の警告を、電子メールに頼らず利用者が口座から出金する際に、利用者に通知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の実施形態に係る銀行システム1の概略を示す図である。
【図2】本発明の実施形態に係る口座管理テーブルを示す図である。
【図3】本発明の実施形態に係る銀行システム1がATMとのやりとりを示す図である。
【図4】本発明の実施形態に係るクレジットカードの締め日・引き落し日と警告表示期間との関係を示す図である。
【図5】本発明の実施形態に係る複数のクレジットカードの締め日・引き落し日と警告表示期間との関係を示す図である。
【図6】本発明の実施形態に係るATMにおける引き出し処理を示すフロー図である。
【図7】本発明の実施形態に係るATMにおける引き出し処理を示す続きのフロー図のある。
【図8】本発明の実施形態に係るATMの口座残高照会画面を示す図である。
【図9】本発明の実施形態に係るATMの引き出し警告画面を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための形態(以下、実施形態)について詳細に説明する。なお、実施形態の説明の全体を通して同じ要素には同じ番号を付している。
【0026】
図1は、本発明の実施形態に係る銀行システム1の概略を示す図である。銀行システム1において、金融機関の各店舗やコンビニエンス・ストアに設置されたATM(Automated Teller Machine;自動取引装置または現金自動預け払い機)10が銀行ホストシステム20とクレジット会社ホストシステム30とにネットワークを介して接続される。また、本システムには、ネットバンキングを行う利用者のユーザ端末40がインターネットを介して接続されている。なお、ここには図示していないが、ATM10と銀行ホストシステム20およびクレジット会社ホストシステム30との間には、各ATMとホストシステムの仲介をするためのATM制御装置(ATM管理装置)が、ユーザ端末40と銀行ホストシステム20およびクレジット会社ホストシステム30との間には、ネットワーク通信のための通信制御装置、およびユーザ端末からインターネットを通して金融機関のシステムにアクセスするためのWebサーバが存在する。
【0027】
銀行ホストシステム20は、汎用ホスト・コンピュータを中心とする勘定系、事務処理系の複数のコンピュータシステムで構成され、預金者の口座情報を管理するデータベースである口座管理DB22や日々の取引のトランザクションを処理するための口座取引DB23を備えている。クレジット会社ホストシステム30も同様に、汎用ホスト・コンピュータを中心とし、預金者のクレジットカード情報および日々の取引情報を記録するクレジットカードDB32等を備えたコンピュータシステムである。銀行ホストシステム20は、クレジット会社ホストシステム30と直接または間接的に接続され、クレジットカードの引き落し予定額を入手する手段を備えている。なお、銀行がクレジットカード会社を兼ねている場合は、銀行ホストシステム20とクレジット会社ホストシステム30は一体となっていてよいが、以下の説明では、両者を別のシステムとして扱うことにする。
【0028】
ATM10は、データ処理を行う処理部として、銀行ホストシステム20と連動し現金の出し入れを機構部に指示する入出金指示部11,口座残高を銀行ホストシステム20に照会する口座照会部13,クレジットカードの引落し額等の情報をクレジット会社ホストシステム30に照会し、クレジットカードの引き落し予定額を受信する手段として機能するクレジットカード照会部14,口座残高の不足がある場合に警告を表示させる機能や警告表示期間を設定できる機能を有する警告管理部12,およびその他のデータ処理を行うその他処理部15を含んで構成される。さらにATM10には、動作装置を制御する機構部として、紙幣取扱部16A,硬貨取扱部16B,利用者からの入力を受付ける操作部17、操作メニューやガイドを利用者に表示する表示部18,キャッシュカードおよびクレジットカードを読み取るカード読み取り部19A,通帳を印字する通帳印字部19B,音声ガイドを行うためのスピーカ19C,および明細書を印字する装置や生体認証装置(図示せず)等を備えている。
【0029】
利用者は、このような機能部を備えたATM10で、引き出し,振込み,残高照会をするときは、銀行のキャッシュカードだけでなく、同じ口座から引き落とされるクレジットカードの引き落し予定額も同時に表示することができる。このときクレジットカードは1枚でも複数枚であってもよい。クレジットカード一体型のキャッシカードであれば、キャッシュカードとクレジットカードの情報を自動的に1度で読み取ることができる。ただし、現状では、従来の磁気ストライプのみにしか対応していないカード読み取り装置が多いため、カード上には磁気ストライプも装着されている。そのため、ICカードに対応していないカード読み取り装置では、クレジットカードとして使う場合とキャッシュカードとして使う場合で、カードの挿入方向を入れ替えなければならないが、将来的に、すべてのカード読み取り装置がICチップ内蔵のICカード対応になればカードを入れなおす手間はなくなる。
【0030】
警告管理部12は、預金者の口座残高とその口座から引き落されるクレジットカードの引き落し予定額を、それぞれ口座照会部13とクレジットカード照会部14から入手し、表示部18に表示させる。そして、ATM10でユーザが現金を引き出しまたはその口座から振込みを行なおうとするときに、その引き出しまたは振込みを実行するとクレジットカードの引き落し予定額に対して口座残高が不足する場合、或いはその恐れがあるときには、出金捜査の前に警告表示期間中であれば、警告を表示部18に表示させる。もちろん、ユーザ操作が残高照会でのみであっても、口座残高とクレジットカードの引き落し予定額を同時に表示させてよい。なお、この警告表示期間は、後で詳しく説明するが、クレジットカードの締め日と引き落し日との間で、ユーザが設定することができる。
【0031】
上記のATM10の機能構成は、あくまで一例であり、1つの機能部を更に分割したり、複数の機能部をまとめて1つの機能部としたり、一部機能を銀行ホストシステム20側で行うように構成してもよい。例えば、警告管理部12の処理、例えば、口座残高判定処理など、一部をATM管理サーバ(図示せず)側で行ってもよい。各機能部は、装置に内蔵されたCPU(Central Processing Unit)が、内部メモリ(RAM:Random
Access Memory,ROM:Read Only Memory)や記憶装置に格納されたコンピュータ・プログラムを読み出し、実行することによって実現される。
【0032】
図2は、本発明の実施形態に係る口座管理テーブルを示す図である。口座管理テーブルとは、預金者の口座ごとに、その口座番号,口座名義人の住所氏名等の基本情報101と、その口座を引き落し口座として設定しているクレジットカード情報102をクレジットカード・グループごとに集めたテーブルである。すなわち、口座管理テーブルは、預金口座を引き落し口座に設定しているクレジットカードの情報を記録する手段として機能する。クレジットカード・グループとは、締め日と引き落し日が同じであるクレジットカードのグループである。口座管理テーブルには、後述する警告管理情報103を含んでいる。さらに、公共料金,住宅ローン,税金,年金,保険料等の口座振替での支払いのうち、振替日が決まっているものを1または複数記憶した口座振替情報104として含めることができる。この場合の口座振替額と振替日は、預金者が設定するか、銀行側で口座振替情報を把握しているものについては、支払先のシステムと連動することにより、銀行システムのほうで自動的に設定できることが望ましい。こうすることで、定期的な口座振替での支払予定額も、口座残高が不足するかどうかの判定条件に加えることができる。ただし、公共料金のように、口座振替額が一定でなく、かつシステムによって口座振替額が事前に入手できない場合は、利用者が概算金額あるいは最大予想金額を設定することになるが、この場合には口座残高の判定も概算となるので、残高不足の警告は、確定ではなく、「口座残高不足の恐れ」となる。なお、口座管理テーブルは、典型的には、図1の銀行ホストシステム20の口座管理DB22に格納されるが、銀行システム内の預金者管理サーバ等の別のデータベースに格納されてもよい。
【0033】
図2では、一例として、単身赴任等で東京に本宅と大阪に別宅を持ち、それぞれに対応する口座を同じ銀行に2つ持っている預金者の口座管理テーブルを示す。1つの口座は主に本宅用で、クレジットカード番号ZZZZ-ZZZZ-ZZZZ-ZZZZ(クレジットカードZ)の引き落し、本宅の公共料金等の口座振替、住宅ローン返済に使っており、もう1つの口座は主に別宅用で、クレジットカード番号XXXX-XXXX-XXXX-XXXX(クレジットカードX)およびYYYY-YYYY-YYYY-YYYY(クレジットカードY)の引き落しと、別宅の公共料金等の口座振替に使っているとする。
【0034】
クレジットカードには、クレジットカード会社ごとに締め日と引き落し日が決まっており、口座管理テーブルでは、前述したように、締め日と引き落し日が同じクレジットカードを1つのグループとして扱う。例えば、この図では、クレジットカードZとクレジットカードXは、締め日が毎月15日で引き落し日は翌月10日で同じなので、グループAとして取り扱い、クレジットカードYは、締め日が毎月末で引き落し日は翌月25日なのでグループBとして取扱う。ちなみに、現在のところ25社のクレジットカード会社中、締め日が毎月15日で引き落し日が翌月10日が10社、締め日が毎月末で引き落し日が翌月27日が7社、締め日が毎月5日で引き落し日が当月27日が4社(それぞれ自分で設定可能の1社を含む)、その他4社となっており、クレジットカードを締め日と引き落し日で数種のグループに分けることができる。
【0035】
図3は、本発明の実施形態に係る銀行システム1(以下単に銀行システム呼ぶ)がATMとクレジットカード会社(以下、カード会社)とのやりとりを示す図である。まず、ユーザがATMで引き出しを行おうとして、取引メニューの中から「引き出し」を選ぶと、ATMは、キャッシュカードを入れるようユーザに促す(ステップS10)。キャッシュカードが正常に読み取れたら、暗証番号を入力するよう求め、キャッシュカード読み取り情報を銀行システムに送信する(ステップS11)。ここではキャッシュカード読み取り情報とは、口座番号と暗証番号を意味する。銀行システムでは、送られたキャッシュカード読み取り情報をもとに、そのキャッシュカードの認証を行い、OKであれば口座残高をATMに返信する(ステップS12)。
【0036】
次に、ユーザがクレジットカードの引き落し予定額を知りたいときは、引き続いてATMのメニュー画面から「クレジットカード情報照会」のボタンを押す。クレジットカード一体型キャッシュカードであれば、特にこのボタンを押す必要はない。ATMはクレジットカード情報照会を選択されたら、照会要求を銀行システムに送信し(ステップS13)、銀行システムでは、口座管理テーブルに基づいて、その口座を引落し口座としているすべてのクレジットカードの情報をATMに送信する(ステップS14)。口座に関連する(引き落し口座に指定している)クレジットカード情報が1枚もなければその旨を表示して口座残高のみを表示する。関連するクレジットカード情報が1枚でもあればクレジットカードの挿入要求を表示する(ステップS15)。クレジットカード一体型キャッシュカードであれば、カードをいったん排出し、逆向きに挿入させる。ただし、ICカード対応のATMであればここまでの操作(ステップS11からステップS16まで)は、1回のステップで済ませることができる。
【0037】
ATMは、クレジットカード読み取り情報(クレジットカード番号と有効期限)を正常に読み取れたら、そのクレジットカード読み取り情報をカード会社のシステムに送信する(ステップS16)。実際には、ATMが直接カード会社のシステムと交信するのではなく、ATM制御装置または銀行のホスト・コンピュータを介して、ATMとカード会社システムの交信は間接的に行われる。カード会社システムではクレジットカード読み取り情報からクレジットカードの認証を行う(ステップS17)。なお、クレジットカードの暗証番号は、クレジットカードを支払いに使用するわけではないので、特に必要はないが、本人認証の精度をあげるため入力させてもよい。また、このATMでは、クレジットカードの引き落し予定額のみを照会することも可能であるが、その場合は、クレジットカードの暗証番号を入力させるようにしたほうがよい。
【0038】
クレジットカードの認証が正常の場合、ATMはクレジット引き落し予定額の照会をカード会社システムに送信する(ステップS18)。ここで、ステップS16とステップS18は1つのステップにまとめてカード会社システムに送信してもよい。カード会社システムでは、照会要求を受け付けたら、クレジット引き落し予定額を返信する(ステップS19)。クレジットカードの認証が正常でない場合、そのクレジットカードはこの口座の引き落しに設定されていないか、或いは有効期限切れが考えられるので、この場合、ユーザに確認の旨のメッセージを表示するようにしてもよい。
【0039】
なお、クレジットカードは複数枚であってよく、その場合は、ステップS13〜ステップS19の操作を繰り返す。クレジットカードが複数ある場合は、すべてのカードをATMに挿入しなくとも代表的な(使用頻度の高い)クレジットカードだけを挿入させるだけにしてもよい。クレジットカード一体型では、一体となったそのクレジットカードは当然、代表となる。銀行システムでは、その口座を引き落し口座に指定しているすべてのクレジットカードの情報を把握しているので、必ずしもクレジットカードの挿入を求める必要はないが、1枚でも挿入を求めることで本人認証の精度が高まる。また、有効なクレジットカードを少なくとも1枚は保持していることを定期的に確認するためでもある。
【0040】
次のステップとして、ATMは、現金引き出し要求金額を入力するようユーザを促す(ステップS20)。もちろん、現金引き出し要求額の入力は、キャッシュカード挿入後の暗証番号を入れる際に行ってもよい。ATMは、口座残高,クレジットカードの引き落し予定額,ユーザが引き出そうとする現金引き出し要求額(出金要求額)がそろった時点で、出金要求額とクレジットカードの引き落し予定額の合計が、口座残高より小さいかどうかをチェックする(ステップS21)。すなわち、警告管理部12は、口座残高と、クレジットカードの引き落し予定額と、出金要求額とを比較し、口座残高が不足するかどうかを判定する手段を有する。もちろん、口座残高からクレジットカードの引き落し予定額を引いた残りの額を引き出し可能額として表示してもよい。口座残高が不足する場合、警告表示期間を照会し(ステップS23)、銀行システムから設定された警告期間を返信してもらい(ステップS23)、警告表示期間内であれば警告をATMの表示部に表示する(ステップS24)。警告表示期間については後で詳しく説明する。
【0041】
上記の例では、ユーザがATMで現金を引き出す場面を示したが、ATMで口座から振込みを行う場合でも基本的な流れは同様である。また、ATMで口座残高参照のみの場合は、口座残高の他に、挿入されたクレジットカードすべての引落し予定額を表示し、さらに現時点における引き出し可能な額を表示してもよい。
【0042】
このように本システムでは、ATMからユーザがまさに現金を引き出そうとする直前、或いは口座から振込みを行おうとする直前に警告を表示する。こうすることで、電子メール等で事前にユーザに通知する場合に比べて、見落としする心配がなく、また、電子メール等の通知を受信していない、例えば家族カードの、ユーザがキャッシュカードを使用しても、ATM操作時に確実に残高不足を通知させることができる。なお、上記の警告は、本ATMと同様な機能(当該口座を引き落とし先にしているクレジットカードの利用情報を記録する手段、各クレジットカードの引き落し予定額を受信する手段、口座残高の不足を判定する手段、警告期間を設定する手段、ユーザ端末に警告表示する手段)を銀行のホスト・コンピュータ側に持たせることによって、ネットバンキングにおける振込みの際にも表示させることができる。その場合は、クレジットカードを読み込ませなくともよく、銀行システムでその口座を引き落し口座にしているすべてのクレジットカードの情報を口座管理テーブルを参照して表示し、各クレジットカードの引き落し予定額をカード会社システムに照会して、ユーザに提示することにより、口座残高不足の場合は、同様な警告を発することができる。
【0043】
図4は、本発明の実施形態に係るクレジットカードの締め日・引き落し日と警告表示期間との関係を示す図である。ここでは、1枚或いは1グループのクレジットカードの締め日が、毎月15日で引き落し日が翌月10日であるとき、さらに預金者の給料日が25日であるとしたとき、それらに期日と警告表示期間との関係を時系列に示している。
【0044】
ここで、警告表示期間とは、ユーザが設定またはシステムが推奨する、残高不足の発生する確率が高い期間であり、特に警告を注目させたい期間のことである。もちろん、システムは、残高不足を検知した時点で、常に警告を表示してもよいが、警告表示期間外の口座残高の精度は落ちることがあるし、常に表示することで逆に注意が散漫になったり、常に警告がでること自体が煩わしいと感じるユーザもいるので、本システムでは、警告をATM等に表示する条件として警告表示期間を設けている。また、ユーザの指定により、警告表示期間外には通常の口座残高のみを表示し、警告表示期間にはクレジットカードの引き落し予定額も加えて残高表示を行うようにしてもよいし、警告表示期間と警告表示期間外では、表示する文字の大きさや色等を変えるようにしてもよい。こうすることで、ユーザにクレジットカードも含めた使いすぎを、タイムリーかつメリハリをつけて、注意喚起させることができる。
【0045】
図4の例で示すように、クレジットカードの締め日から引き落し日までの期間を、警告可能表示時期と呼ぶことにする。警告可能表示時期以外では、そのクレジットカードの次回引き落し予定額は未定なので、そもそもそのクレジットカードの引き落し予定額の確定した金額は得られない(現時点での引き落し額を常にユーザに示すカード会社もあるが)。この警告可能表示時期をそのまま警告表示期間としてもよいが、さらに一般的のサラリーマンは給料日の直後に買い物をする傾向が強いので、図4では、警告可能表示時期と給料日後の所定の期間(この例では15日間)とが重複する期間(25日から翌月10日まで)を警告表示期間として設定していることを示している。この場合の所定の期間は、ユーザが設定するがシステムが過去の履歴からユーザに推奨する期間を提示してもよい。
【0046】
図5は、本発明の実施形態に係る複数のクレジットカードの締め日・引き落し日と警告表示期間との関係を示す図である。この図では、クレジットカードが2枚または2グループある場合の警告可能表示時期と警告表示期間との関係を示す。
【0047】
クレジットグループAの締め日は、毎月15日で引き落し日は翌月10日で前図の場合と同じとする。ここに締め日毎月27日で引き落し日翌月25日であるクレジットカード・グループBが加わると、クレジットグループAの警告可能表示時期は15日から翌月10日まで、クレジットカード・グループBの警告可能表示時期は27日から翌月25日までとなる。したがって両者が重複する期間は、毎月27日から翌月10日まで(符号202で示す)と、毎月15日から当月25日まで(符号203で示す)の2ヶ所となる。そしてユーザが定めた給料日後の所定の期間(ユーザ指定期間または利用者指定期間と呼ぶ)が25日から翌月10日まで(符号204で示す)とすると、期間202,203,204がすべて重複する期間は、警告表示期間202と一致する。したがって、この例では、最終的な警告表示期間は27日から10日までに設定することになる。もちろん、ユーザの設定により、最終的な警告表示期間は変更することができる。同様に、クレジットカード・グループが3枚以上の場合でも、各警告可能表示時期の重複期間と、ユーザ指定期間との重複期間を最終的な警告表示期間とする。重複期間が1つもない場合は、ユーザ指定期間を優先する。このようにすることで、最も合理的な警告表示期間を定めることができる。もちろん、警告表示期間は1つでなくてもよい。なお、ユーザによる警告表示期間の確認、ユーザ所定期間の設定は、「警告表示期間設定画面」を、ユーザ端末40またはATM10に表示することによって実現される。この際、各クレジットカードの締め日や引き落し日は、システムで管理されるので、ユーザの入力箇所はわずかである。このとき、図4、図5のように各期間を視覚的に表示するとなお好ましい。
【0048】
図6と図7は、本発明の実施形態に係るATMにおける引き出し処理を示すフロー図である。図6と図7は、ATM10の内部動作を示す連続したフロー図なので、以下まとめて各ステップの詳細を説明する。図中の連結記号A,B,Cは図6に、C,D,Eは図7にそのエントリーポイントがある。
【0049】
ユーザがATM10のメニューから、現金引き出しを選択すると、ATM10カード読み取り部19Aは、ステップS30において、キャッシュカードの挿入が完了するのを待つ。挿入が完了すると、ユーザに暗証番号の入力を求める(ステップS31)。暗証番号が入力されると、口座照会部13が、銀行のホスト・コンピュータにキャッシュカードの照会を行い(ステップS32),ホスト・コンピュータから認証OKが通知されると(ステップS33;Yes)、ユーザに引き出し金額の入力を求め、確認させる(ステップS36,S37)。ステップS32において、認証NGの場合は、所定の回数まで再入力を求め(ステップS34)てもよく、それでも認証NGの場合は、暗証番号エラー表示して処理を終了する(ステップS35)。
【0050】
キャッシュカードの認証が終わると、口座照会部13は、ホスト・コンピュータに対して、口座残高と口座管理テーブルを照会する(ステップS38)。口座管理テーブを参照して、その口座を引き落しに設定しているクレジットカードがあるかどうか調べ、引き落しカードがなければ(ステップS39;No)、すなわち、この口座からの引き落しに設定しているクレジットカードが存在しなければ、図7のステップS39Aに移り、口座残高不足かどうかを判定し、残高不足でなければ、入出金指示部11が、現金引き出し許可を発行する。残高不足であれば(ステップS39A;Yes)、その旨をユーザに表示して、処理を終了する。
【0051】
警告管理部12は、ステップS39において、引き落しカードがあれば(ステップS39;Yes)、さらに口座管理テーブルの警告可能表示時期にあるかどうかチェックする。現在の日付が警告可能表示時期でない場合は(ステップS40;No)、次のクレジットカード・グループを調べる。それをすべてのクレジットカード・グループについて繰り返す。現在の日付が警告可能表示時期である場合は(ステップS40;Yes)、図7のステップS41に移る。
【0052】
図7のステップS41では、カード会社システムにクレジットカード番号を照会し、認証がNGであれば、ステップS43において、認証エラーメッセージ表示後、次のクレジットカードのチェックに戻る。認証がOKであれば(ステップS42;Yes)、ステップS44に処理を移し、確定した引き落し額があるかどうかチェックする。引き落し確定があれば、さらに警告表示期間内にあるかをチェックし、警告表示期間内であれば(ステップS45;Yes)、警告メッセージに表示する引き落し予定額欄に、当該クレジットカードの引き落し予定額を追加する(ステップS46)。両ステップ(SS45,S46)を引き落し確定のクレジットカードがなくなるまで繰り返す(ステップS47)。また、ステップS45において、警告表示期間内にない場合は(ステップS45;No)、他に引き出しカードがないか再度チェックし(ステップS49)、他に引き出しカードがあれば図6のステップS40に処理を戻す。
【0053】
警告管理部12は、すべての引き落し確定カードを調べたら、その引き落し予定額を合計し、口座残高から減じる。そしてユーザが入力した引き出し要求額と口座残高を比べ、残高不足であれば(ステップS48;Yes)、ステップS50において、警告メッセージを表示部18に表示させてユーザに最終判断を仰ぐ。警告表示を受けたユーザがそれでも実行ボタンを押した場合は(ステップS51;Yes)、現金引き出し処理を行って(ステップS52)、処理を終了する。ただし、その場合は、表示画面および取引明細書にその旨を示し、ユーザにそこに示された日(引き落し日)には、残高不足になる可能性があることを再度警告する。実行ボタンを押さなかった場合は、引き出し要求金額の訂正を求めるため、図6のステップS36に処理を戻す。
【0054】
以上、ステップS40以降の処理は、警告管理部12の動作の手順の一例であり、これに限定されるものではない。また、単純化するために、前述したユーザ指定期間の処理は考慮していない。しかし、ユーザ指定期間と警告表示期間の重複期間を最終的な警告表示期間と考えれば、同様に処理できる。また、上記のステップでは、口座管理テーブルにあるすべてのクレジットカードを順に調べてそのたびに警告表示すべきかどうかを判断したが、警告可能表示時期にあるクレジットカードの引き落し予定額を順に一時保管領域にすべて書き出し、最後に、現在の日付が最終的な警告表示期間内であれば警告を表示するように処理手順を変えてもよい。また、現在の日付が警告表示期間になくとも、警告自体は表示するが、表示の方法を警告表示期間内とは異なった文字サイズにしたり表示色を変えたりしてユーザに気づかせるようにしてもよい。
【0055】
図8は、本発明の実施形態に係るATMの口座残高照会画面を示す図である。以上、説明したように、ユーザがATM10で口座残高照会をすると、口座残高に加えて、本日(6月25日)から直近のクレジットカード引き落し日までの引き落し予定金額がすべて表示される。この図では、口座残高は25万円で、7月10日に引き落される予定金額(未確定額や予想額を含んでもよいが、その場合は未確定金額であることを表示する)の合計は、19.2万円なので、残り5.8万円が現時点での引き出し可能額であることがわかる。図8では6月15日が締め日で、7月10日に引き落される予定のクレジットカードA、および6月10日が締め日で、既に本日引き落されたクレジットカードBが別グループとして表示されている。さらに、図示するように電気料金などの口座振替の予定額も表示されるようにしてよい。また、締め日が経過してないクレジットカードであっても現時点の使用額が暫定的に照会できるものはそれも表示するようにしてもよい。このようにすることで、ユーザは常にクレジットカードの明細書を集めなくても、クレジットカードの使用状況を一度に確認することができる。
【0056】
図9は、本発明の実施形態に係るATMの引き出し警告画面を示す図である。ユーザがATM10で現金の引き出しまたは振り込みの操作をすると、図のようなメッセージが表示される。すなわち、口座残高,引き出し金額(振込み金額)および手数料(図では省略)に加え、本日から直近のクレジットカード引き落し日までの引き落し予定金額がすべて表示される。この例の場合では、口座残高は25万円で、現金での引き出し要求額が10万円、クレジットカード引き落し予定額が10万円+8万円、そして公共料金等で次回口座振替の金額が確定しているものが1.2万円で、合計と内容が表示されている。もちろん、住宅ローン等の口座振替額も表示してもよい。この例では、10万円を引き出すと4.8万円の不足が7月10日までに生じることになる。それでもユーザが実行ボタンを押すと、現金の出金自体は行われるが、その旨の表示が再度警告され、また取引明細書にも印刷される。ここで、ユーザが取り消しボタンを押せは、再度引き出し金額の入力画面にもどり、引き出し金額の訂正をすることができる。
【0057】
なお、図8、図9の画面は、本発明の実施形態では、ATM10の表示部18に表示されることを念頭にしているが、ユーザがインターネットバンキングで振込みを行う場合でも、ユーザ端末40に同様な警告画面を表示することができる。また、特に、キャッシュカード一体型クレジットカードの場合、銀行システムがクレジットカードシステムと連携し、警告表示を受けた時点で直ちに、ユーザがリボ払いに変更できるような処理をとれるようにしてもよい。
【0058】
以上、実施形態を用いて本発明を説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されないことは言うまでもない。上記実施形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。またその様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【符号の説明】
【0059】
10 ATM
11 入金指示部
12 警告管理部
13 口座照会部
14 クレジットカード照会部
15 その他処理部
16A 紙幣取扱部
16B 硬貨取扱部
17 操作部
18 表示部
19A カード読み取り部
19B 通帳印字部
19C スピーカ
20 銀行ホストシステム
21 銀行ホスト・コンピュータ
30 クレジット会社ホストシステム
31 クレジット会社ホスト・コンピュータ
40 ユーザ端末

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動取引装置と銀行のホスト・コンピュータおよびクレジット会社のホスト・コンピュータとが接続可能に構成され、前記銀行の預金口座の口座残高を管理する口座残高管理システムであって、
前記銀行のホスト・コンピュータは、
前記預金口座を引き落し口座に設定しているクレジットカードの情報を記録する手段と、
前記クレジットカードの情報に基づき、前記クレジット会社のホスト・コンピュータから前記クレジットカードの引き落し予定額を入手する手段とを備え、
前記自動取引装置は、
利用者のキャッシュカードを読み取り、前記キャッシュカードに記録された口座番号を前記銀行のホスト・コンピュータに送信し、前記銀行のホスト・コンピュータから、口座残高および前記クレジットカードの引き落し予定額を受信する手段と、
前記口座残高と、前記クレジットカードの引き落し予定額と、前記利用者が前記自動取引装置において行おうとする出金要求額とを比較し、前記口座残高が不足するかどうかを判定する手段と、
前記判定する手段が前記口座残高が不足すると判定した場合に、前記利用者が前記自動取引装置において前記出金要求額を出金する際に、あらかじめ定められた警告表示期間であれば、前記自動取引装置に警告を表示する手段と、
を備えることを特徴とする口座残高管理システム。
【請求項2】
前記警告表示期間は、前記クレジットカードの締め日から引き落し日までの期間である警告表示可能時期であることを特徴とする請求項1に記載の口座残高管理システム。
【請求項3】
前記警告表示期間は、前記利用者が設定した利用者指定期間と前記警告表示可能時期とが重複する期間であることを特徴とする請求項2に記載の口座残高管理システム。
【請求項4】
前記警告表示期間は、前記クレジットカードが複数の場合に、それぞれのクレジットカードの前記警告表示可能時期が重複する期間と前記利用者指定期間とが重複する期間であることを特徴とする請求項3に記載の口座残高管理システム。
【請求項5】
前記クレジットカードが複数の場合に、クレジットカードの締め日および引き落し日が同じクレジットカードを1つのグループとして取り扱うことを特徴とする請求項4に記載の口座残高管理システム。
【請求項6】
前記判定する手段は、公共料金、住宅ローン、税金、年金、保険料の少なくともいずれか1つの口座振替予定額を前記判定の条件に加えることを特徴とする請求項1乃至5に記載の口座残高管理システム。
【請求項7】
利用者のユーザ端末と銀行のホスト・コンピュータおよびクレジット会社のホスト・コンピュータとが接続可能に構成され、前記利用者の預金口座の口座残高を管理する口座残高管理システムであって、
前記銀行のホスト・コンピュータは、
前記預金口座を引き落し口座に設定しているクレジットカードの情報を記録する手段と、
前記クレジットカードの情報に基づき、前記クレジット会社のホスト・コンピュータから前記クレジットカードの引き落し予定額を入手する手段と、
前記利用者の口座残高と、前記クレジットカードの引き落し予定額と、前記利用者が前記ユーザ端末において行おうとする出金要求額とを比較し、前記口座残高が不足するかどうかを判定する手段と、
前記判定する手段が前記口座残高が不足すると判定した場合に、前記利用者が前記ユーザ端末において前記出金要求額を出金する際に、あらかじめ定められた警告表示期間であれば、前記ユーザ端末に警告を表示する手段と、
を備えることを特徴とする口座残高管理システム。
【請求項8】
自動取引装置と銀行のホスト・コンピュータおよびクレジット会社のホスト・コンピュータとが接続可能に構成された銀行システムにおいて、
利用者の預金口座を引き落し口座に設定しているクレジットカードの情報を記録するステップと、
前記クレジットカードの情報に基づき、前記クレジット会社のホスト・コンピュータから前記クレジットカードの引き落し予定額を入手するステップと、
利用者のキャッシュカードを読み取り、前記キャッシュカードに記録された口座番号を前記銀行のホスト・コンピュータに送信し、前記銀行のホスト・コンピュータから、口座残高および前記クレジットカードの引き落し予定額を受信するステップと、
前記口座残高と、前記クレジットカードの引き落し予定額と、前記利用者が前記自動取引装置において行おうとする出金要求額とを比較し、前記口座残高が不足するかどうかを判定するステップと、
前記判定するステップにおいてが前記口座残高が不足すると判定した場合に、前記利用者が前記自動取引装置において前記出金要求額を出金する際に、あらかじめ定められた警告表示期間であれば、前記自動取引装置に警告を表示するステップと、
を含むことを特徴とする口座残高管理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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