説明

口腔内速崩壊性錠剤

【課題】口当たりのよい口腔内速崩壊性錠剤の提供。
【解決手段】異味を有する医薬成分を含有する造粒物をコーティング剤で被覆し、さらにクロスポピドン及び糖アルコールを粉体として配合し、圧縮成型した口腔内速崩壊性錠剤。造粒物が錠剤中8〜29.5質量%、クロスポピドンが錠剤中0.5〜22質量%、糖アルコールが錠剤中70〜91.5質量%で、コーティング剤が、アミノアルキルメタアクリレートコポリマーである口腔内速崩壊性錠剤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、口腔内速崩壊性錠剤に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、疾病の治療において、患者のQOL(Quality of Life)の改善を目的に、製剤学的工夫を凝らした製剤開発が盛んであり、口腔内速崩壊性錠剤は最も多く開発されている製剤である。口腔内速崩壊性錠剤は、口腔内の少量の唾液でも瞬時に崩壊することから、服用が容易であり、通常の錠剤では嚥下が困難な高齢者や小児に最適な製剤である。また水なしで服用できるため服用の場所や時間が制限されない利点も有する。
【0003】
しかし、異味のある薬物については、口腔内速崩壊性錠への適用は苦味の弱い薬物に限られている。異味を低減化させる工夫としては、フレーバーや甘味剤を添加する方法が知られている。しかし、フレーバーや甘味剤を添加する方法のみでは、異味の抑制は困難であった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、口当たりのよい口腔内速崩壊性錠剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、医薬成分をコーティング剤で被覆した造粒物中に配合し、クロスポピドン及び糖アルコールを造粒物外に粉体として配合することで目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0006】
すなわち、本発明は、
(1) 異味を有する医薬成分を含有する造粒物をコーティング剤で被覆し、さらにクロスポピドン及び糖アルコールを粉体として配合し、圧縮成型した口腔内速崩壊性錠剤、
(2)造粒物が錠剤中8〜29.5質量%、クロスポピドンが錠剤中0.5〜22質量%、糖アルコールが錠剤中70〜91.5質量%である(1)記載の口腔内速崩壊性錠剤、
(3)コーティング剤が、アミノアルキルメタアクリレートコポリマー
である(2)記載の口腔内速崩壊性錠剤
に関する。
【発明の効果】
【0007】
本発明により、口当たりのよい口腔内速崩壊性錠剤の提供が可能となった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下に本願発明について詳細に説明するが、本願明細書において口腔内速崩壊性錠剤とは、口腔内で唾液の存在下、咀嚼無しに約90秒、好ましくは約60秒、更に好ましくは40秒より短い時間で崩壊する固形医薬製剤をいう。
【0009】
本発明において異味を有する医薬成分とは、経口的に投与される医薬成分で苦味や収斂味など不快な味を有するのであれば特に限定はない。例えば、解熱鎮痛薬、抗ヒスタミン剤、抗アレルギー剤、交感神経興奮剤、副交感神経遮断剤、中枢興奮薬、H2ブロッカー、制酸剤、消炎酵素剤、抗炎症剤、気管支拡張剤、抗菌剤、鎮咳剤、去痰剤、抗コリン剤、止しゃ剤、催眠鎮静薬、利胆薬、血圧降下剤、骨格筋弛緩薬、乗り物酔い予防・治療薬等、ビタミン類、生薬類などが挙げられる。医薬成分含有顆粒の造粒法は、乾式造粒法、攪拌造粒法、押出造粒法、流動層造粒法、転動流動層造粒法、噴霧造粒法などであり、好ましくは流動層造粒法、転動流動層造粒法である。造粒物の平均粒径0.1〜350μmであることが好ましく、さらに好ましくは50〜200μmである。
医薬成分含有造粒物は、本発明の効果を損なわない限り、医薬品成分以外の成分を配合することができ、例えば、賦形剤、結合剤が挙げられる。賦形剤及び結合剤は、医薬品製剤の製造に使用可能な添加物を配合することができる。具体的には、医薬品添加物事典[日本医薬品添加剤協会、薬事日報社(2007年)]に記載されているものを使用できる。
【0010】
異味を有する医薬成分を含有する造粒物は、味のマスキングのためコーティング剤で被覆する。本発明で使用できるコーティング剤とは、医薬品製剤の製造に使用可能なものであれば特に限定はなく、水溶性コーティング剤としては、ポビドン、ヒプロメロースなどのpH非依存性コーティング剤を、疎水性コーティング剤としてはエチルセルロース、ステアリルアルコール、アンモニオメタクリレート・コポリマーなどを、胃溶性コーティング剤としては、アミノアルキルメタクリレートコポリマーE、ポリビニルアセタールジエチルアミノアセテートを、腸溶性コーティング剤としては、メタクリル酸コポリマー(L、S)などを挙げることができる。
【0011】
造粒物を被覆するコーティング剤の量は、特に制限はないが、好ましくは造粒物1質量部に対して約0.001〜10質量部、さらに好ましくは約0.01〜1質量部、特に好ましくは約0.05〜0.5質量部である。コーティング剤を使用した被覆法は、医薬品製剤の製造に使用可能な方法であれば特に限定はない。コーテイング後の造粒物の量は、特に限定しないが、錠剤の含量均一性の点から口腔内速崩壊性錠剤中8質量%以上が好ましく、さらに好ましくは10〜29.5質量%、特に好ましくは12〜25質量%である。
【0012】
また、口腔内速崩壊性錠剤の硬度の経時的低下を抑制する点から、コーティング剤としてアミノアルキルメタアクリレートコポリマーを使用することが好ましい。アミノアルキルメタアクリレートコポリマーとしては、アミノアルキルメタアクリレートコポリマーE(商品名:オイドラギットE100又はEPO)、アミノアルキルメタクリレートコポリマーRS、RL(商品名:オイドラギットRS又はRL)が挙げられる。アミノアルキルメタアクリレートコポリマーの添加量は、口腔内速崩壊性錠剤中0.2〜10%であることが好ましい。
【0013】
本発明の口腔内速崩壊性錠剤は、飲みやすさの点から崩壊剤としてクロスポピドンを配合し、賦形剤として糖アルコールを配合する。本発明で使用できる糖アルコール
としては、例えばD−マンニトール、エリスリトール、キシリトール、マルチトール、ソルビトールなどが挙げられ、好ましくはD−マンニトールである。また、糖アルコールは、1種類または2種類以上を組み合わせて配合してもよい。クロスポピドン及び糖アルコールは、服用後速やかに口腔内に広がるよう造粒物外に粉体(非造粒物)として配合する。糖アルコールの配合量は、口腔内速崩壊性錠剤中50〜91.5質量%であることが好ましく、さらに好ましくは70〜88質量%、特に好ましくは75〜85質量%である。また、クロスポピドンの配合量は、口腔内速崩壊性錠剤中0.5〜22質量%であることが好ましく、さらに好ましくは1〜10質量%であり、特に好ましく2〜6質量%である。
【0014】
口腔内速崩壊性錠剤は、必要により医薬品製剤の製造に使用可能な添加物を配合することができる。具体的には、医薬品添加物事典[日本医薬品添加剤協会、薬事日報社(2007年)]に記載されているものを使用でき、例えば、滑沢剤としてステアリン酸及びその金属塩類、並びにタルク、軽質無水ケイ酸、含水二酸化ケイ素、ショ糖脂肪酸エステル等、甘味剤として糖類、糖アルコール類、アスパルテーム、サッカリン及びその塩類、グリチルリチン酸及びその塩類、ステビア、並びにアセスルファムカリウム等、嬌味剤としてクエン酸、クエン酸ナトリウム、コハク酸、酒石酸及びフマル酸等、着色剤として三二酸化鉄、黄色三二酸化鉄、カラメル、リボフラビン及びアルミニウムレーキ等、香料としてメントール及びオレンジ油等が挙げられる。
【0015】
本発明において、成形される錠剤の形状は、本発明の効果を損なうものでなければ特に限定はされない。例えば、中抜き、多角形及び凹型などの特殊な形状にすることができる。また、錠剤の舌の上での接触面積を増やし、口腔内水分を迅速に錠剤内部へ浸透させ、口腔内速崩壊性を高めるために、錠厚を薄く、錠径を大きくした扁平状の錠剤に成形することもできる。
【0016】
添加成分の混合は、通常の混合法を用いることができ、例えば、V字型混合機などを用いることができる。圧縮成形
については、通常の打錠法を用いることができ、例えば、ロータリー打錠機などを用いることができる。
【0017】
以下に、本発明の実施例、比較例、比較試験を挙げて、さらに具体的に本発明を説明する。
なお、イミダフェナシン含有造粒物及びコーティング顆粒の評価方法は以下の通りである。
[粒度分布測定]篩式粒度分布測定器(ATM、ソニックシフター)にて、目開き75、106、150、180、212、355μmの篩を用いて測定した。
また、粒度分布測定より平均粒子径(50%径)を算出した。
口腔内速崩壊錠の評価方法
[硬度試験]錠剤硬度計(岡田精工社製)を用いて測定した。試験は5錠で行い、その平均値を示す。
[崩壊試験]崩壊試験機(富山産業社製)を用いて測定した。試験は6錠で行い、その平均値を示す。試験液は水を用い、錠剤が完全に崩壊し溶解するまでの時間を測定した。
【0018】
実施例1
イミダフェナシン4.0g、コリドン90F(BASF)2gを精製水118.2g、エタノール257.8gの混液に溶解した。スターチ1500G(日本カラコン)394gを転動流動層造粒機(ダルトン製、NQ−160)に仕込み、トップスプレー法にてこの溶液をコーティングし(噴霧液量22.5g/min、噴霧空気圧0.1MPa、給気温度70℃)、イミダフェナシン含有造粒物を得た。別に、オイドラギットEPO(Rohm GmbH & Co. KG)90g、ステアリン酸マグネシウム植物性(太平化学産業)45gを精製水409.5g、エタノール955.5gの混液に溶解した。イミダフェナシン含有造粒物300gを転動流動層造粒機(ダルトン製、NQ−160)に仕込み、トップスプレー法にてこの溶液をコーティングし(噴霧液量20g/min、噴霧空気圧0.1MPa、給気温度75℃)、コーティング顆粒を得た。
さらに、このコーティング顆粒145g、ペアリトール(ROQUETTE JAPAN)1579g、コリドンCL-F(BASF)54g及びカープレックス#67(DSLジャパン)4gを混合後、ステアリン酸マグネシウム植物性(太平化学産業)18gを加え混合後、ロータリー打錠機を用いて打錠圧8kNにて1錠あたりイミダフェナシン0.1mgを含む180mgの錠剤を製した。得られた錠剤は硬度5.0kg(n=5)、崩壊時間10秒(n=6)を示した
【0019】
実施例2
イミダフェナシン25.0g、コリドン90F(BASF)12.5gを精製水738.75g、エタノール1723.75gの混液に溶解した。スターチ1500G(日本カラコン)4962.5gを流動層造粒機(フロイント産業製、FL-5)に仕込み、トップスプレー法にてこの溶液をコーティングし(噴霧液量100g/min、噴霧空気圧0.3MPa、給気温度70℃)、イミダフェナシン含有造粒物を得た(平均粒子径:128μm)。別に、オイドラギットEPO(Rohm GmbH & Co. KG)750g、ステアリン酸マグネシウム植物性(太平化学産業)375gを精製水3412.5g、エタノール7962.5gの混液に溶解した。イミダフェナシン含有造粒物3750gを流動層造粒機(フロイント産業製、FL-5)に仕込み、トップスプレー法にてこの溶液をコーティングし(噴霧液量100g/min、噴霧空気圧0.3MPa、給気温度80℃)、コーティング顆粒を得た(平均粒子径:117μm)。
さらに、このコーティング顆粒2600g、ペアリトール(ROQUETTE JAPAN)14640g、コリドンCL-F(BASF)540g及びカープレックス#67(DSLジャパン)40gを混合後、ステアリン酸マグネシウム植物性(太平化学産業)180gを加え混合後、ロータリー打錠機を用いて打錠圧9kNにて1錠あたりイミダフェナシン0.1mgを含む180mgの錠剤を製した。得られた錠剤は硬度5.3kg(n=5)、崩壊時間12秒(n=6)を示した。
【0020】
実施例3
イミダフェナシン20.0g、コリドン90F(BASF)10.0gを精製水591g、エタノール1379gの混液に溶解した。スターチ1500G(日本カラコン)4970gを流動層造粒機(フロイント産業製、FL-5)に仕込み、トップスプレー法にてこの溶液をコーティングし(噴霧液量100g/min、噴霧空気圧0.3MPa、給気温度70℃)、イミダフェナシン含有造粒物を得た(平均粒子径:124μm)。別に、オイドラギットEPO(Rohm GmbH & Co. KG)750g、ステアリン酸マグネシウム植物性(太平化学産業)375gを精製水3412.5g、エタノール7962.5gの混液に溶解した。イミダフェナシン含有造粒物3750gを流動層造粒機(フロイント産業製、FL-5)に仕込み、トップスプレー法にてこの溶液をコーティングし(噴霧液量100g/min、噴霧空気圧0.3MPa、給気温度80℃)、コーティング顆粒を得た(平均粒子径:120μm)。
さらに、このコーティング顆粒3250g、ペアリトール(ROQUETTE JAPAN)13990g、コリドンCL-F(BASF)540g及びカープレックス#67(DSLジャパン)40gを混合後、ステアリン酸マグネシウム植物性(太平化学産業)180gを加え混合後、ロータリー打錠機を用いて打錠圧9kNにて1錠あたりイミダフェナシン0.1mgを含む180mgの錠剤を製した。得られた錠剤は硬度4.9kg(n=5)、崩壊時間10秒(n=6)を示した。
【0021】
実施例4
イミダフェナシン16.7g、コリドン90F(BASF)8.3gを精製水483.5g、エタノール1151.5gの混液に溶解した。スターチ1500G(日本カラコン)4975gを流動層造粒機(フロイント産業製、FL-5)に仕込み、トップスプレー法にてこの溶液をコーティングし(噴霧液量100g/min、噴霧空気圧0.3MPa、給気温度70℃)、イミダフェナシン含有造粒物を得た(平均粒子径:119μm)。別に、オイドラギットEPO(Rohm GmbH & Co. KG)750g、ステアリン酸マグネシウム植物性(太平化学産業)375gを精製水3412.5g、エタノール7962.5gの混液に溶解した。イミダフェナシン含有造粒物3750gを流動層造粒機(フロイント産業製、FL-5)に仕込み、トップスプレー法にてこの溶液をコーティングし(噴霧液量100g/min、噴霧空気圧0.3MPa、給気温度80℃)、コーティング顆粒を得た(平均粒子径:115μm)。
さらに、このコーティング顆粒3900g、ペアリトール(ROQUETTE JAPAN)13340g、コリドンCL-F(BASF)540g及びカープレックス#67(DSLジャパン)40gを混合後、ステアリン酸マグネシウム植物性(太平化学産業)180gを加え混合後、ロータリー打錠機を用いて打錠圧9kNにて1錠あたりイミダフェナシン0.1mgを含む180mgの錠剤を製した。得られた錠剤は硬度5.2kg(n=5)、崩壊時間16秒(n=6)を示した。
【0022】
実施例5
イミダフェナシン25.0g、コリドン90F(BASF)12.5gを精製水738.75g、エタノール1723.75gの混液に溶解した。スターチ1500G(日本カラコン)2500g及びセオラス PH-301(旭化成ケミカルズ)2462.5gを流動層造粒機(フロイント産業製、FL-5)に仕込み、トップスプレー法にてこの溶液をコーティングし(噴霧液量100g/min、噴霧空気圧0.3MPa、給気温度70℃)、イミダフェナシン含有造粒物を得た(平均粒子径:85μm)。別に、オイドラギットEPO(Rohm GmbH & Co. KG)750g、ステアリン酸マグネシウム植物性(太平化学産業)375gを精製水3412.5g、エタノール7962.5gの混液に溶解した。イミダフェナシン含有造粒物3750gを流動層造粒機(フロイント産業製、FL-5)に仕込み、トップスプレー法にてこの溶液をコーティングし(噴霧液量100g/min、噴霧空気圧0.3MPa、給気温度80℃)、コーティング顆粒を得た(平均粒子径:118μm)。
さらに、このコーティング顆粒2600g、ペアリトール(ROQUETTE JAPAN)14640g、コリドンCL-F(BASF)540g及びカープレックス#67(DSLジャパン)40gを混合後、ステアリン酸マグネシウム植物性(太平化学産業)180gを加え混合後、ロータリー打錠機を用いて打錠圧7.7kNにて1錠あたりイミダフェナシン0.1mgを含む180mgの錠剤を製した。得られた錠剤は硬度5.2kg(n=5)、崩壊時間12秒(n=6)を示した。
【0023】
実施例6
イミダフェナシン20.0g、コリドン90F(BASF)10.0gを精製水591g、エタノール1379gの混液に溶解した。スターチ1500G(日本カラコン)2500g及びセオラス PH-301(旭化成ケミカルズ)2470gを流動層造粒機(フロイント産業製、FL-5)に仕込み、トップスプレー法にてこの溶液をコーティングし(噴霧液量120g/min、噴霧空気圧0.3MPa、給気温度70℃)、イミダフェナシン含有造粒物を得た(平均粒子径:80μm)。別に、オイドラギットEPO(Rohm GmbH & Co. KG)750g、ステアリン酸マグネシウム植物性(太平化学産業)375gを精製水3412.5g、エタノール7962.5gの混液に溶解した。イミダフェナシン含有造粒物3750gを流動層造粒機(フロイント産業製、FL-5)に仕込み、トップスプレー法にてこの溶液をコーティングし(噴霧液量100g/min、噴霧空気圧0.3MPa、給気温度80℃)、コーティング顆粒を得た(平均粒子径:123μm)。
さらに、このコーティング顆粒3250g、ペアリトール(ROQUETTE JAPAN)13990g、コリドンCL-F(BASF)540g及びカープレックス#67(DSLジャパン)40gを混合後、ステアリン酸マグネシウム植物性(太平化学産業)180gを加え混合後、ロータリー打錠機を用いて打錠圧7.2kNにて1錠あたりイミダフェナシン0.1mgを含む180mgの錠剤を製した。得られた錠剤は硬度5.5kg(n=5)、崩壊時間15秒(n=6)を示した。
【0024】
実施例7
イミダフェナシン16.7g、コリドン90F(BASF)8.3gを精製水483.5g、エタノール1151.5gの混液に溶解した。スターチ1500G(日本カラコン)2500g及びセオラス PH-301(旭化成ケミカルズ)2475gを流動層造粒機(フロイント産業製、FL-5)に仕込み、トップスプレー法にてこの溶液をコーティングし(噴霧液量160g/min、噴霧空気圧0.3MPa、給気温度70℃)、イミダフェナシン含有造粒物を得た(平均粒子径:87μm)。別に、オイドラギットEPO(Rohm GmbH & Co. KG)750g、ステアリン酸マグネシウム植物性(太平化学産業)375gを精製水3412.5g、エタノール7962.5gの混液に溶解した。イミダフェナシン含有造粒物3750gを流動層造粒機(フロイント産業製、FL-5)に仕込み、トップスプレー法にてこの溶液をコーティングし(噴霧液量100g/min、噴霧空気圧0.3MPa、給気温度80℃)、コーティング顆粒を得た(平均粒子径:99μm)。
さらに、このコーティング顆粒3900g、ペアリトール(ROQUETTE JAPAN)13340g、コリドンCL-F(BASF)540g及びカープレックス#67(DSLジャパン)40gを混合後、ステアリン酸マグネシウム植物性(太平化学産業)180gを加え混合後、ロータリー打錠機を用いて打錠圧7.2kNにて1錠あたりイミダフェナシン0.1mgを含む180mgの錠剤を製した。得られた錠剤は硬度5.4kg(n=5)、崩壊時間12秒(n=6)を示した。
【0025】
実施例8
イミダフェナシン25.0g、オイドラギットEPO(Rohm GmbH & Co. KG)125g及びステアリン酸マグネシウム植物性(太平化学産業)62.5gを精製水915g、エタノール1372.5gの混液に溶解した。スターチ1500G(日本カラコン)4787.5gを流動層造粒機(フロイント産業製、FL-5)に仕込み、トップスプレー法にてこの溶液をコーティングし(噴霧液量100g/min、噴霧空気圧0.3MPa、給気温度70℃)、イミダフェナシン含有造粒物を得た(平均粒子径:115μm)。別に、オイドラギットEPO(Rohm GmbH & Co. KG)940g、ステアリン酸マグネシウム植物性(太平化学産業)470gを精製水5702.8g、エタノール8554.2gの混液に溶解した。イミダフェナシン含有造粒物4700gを流動層造粒機(フロイント産業製、FL-5)に仕込み、トップスプレー法にてこの溶液をコーティングし(噴霧液量100g/min、噴霧空気圧0.3MPa、給気温度80℃)、コーティング顆粒を得た(平均粒子径:123μm)。
さらに、このコーティング顆粒2600g、ペアリトール(ROQUETTE JAPAN)14640g、コリドンCL-F(BASF)540g及びカープレックス#67(DSLジャパン)40gを混合後、ステアリン酸マグネシウム植物性(太平化学産業)180gを加え混合後、ロータリー打錠機を用いて打錠圧8.6kNにて1錠あたりイミダフェナシン0.1mgを含む180mgの錠剤を製した。得られた錠剤は硬度5.6kg(n=5)、崩壊時間12秒(n=6)を示した。
【0026】
比較例1
イミダフェナシン4.0g、コリドン90F(BASF)2gを精製水197g、エタノール197gの混液に溶解した。スターチ1500G(日本カラコン)394gを転動流動層造粒機(ダルトン製、NQ−160)に仕込み、トップスプレー法にてこの溶液をコーティングし(噴霧液量15g/min、噴霧空気圧0.1MPa、給気温度50℃)、イミダフェナシン含有造粒物を得た(平均粒子径:134μm)。
さらに、このイミダフェナシン含有造粒物25g、ペアリトール(ROQUETTE JAPAN)172g、ポリプラスドンXL−10(ISP)45g及びカープレックス#67(DSLジャパン)1gを混合後、ステアリン酸マグネシウム植物性(太平化学産業)4.5gを加え混合後、ロータリー打錠機を用いて打錠圧800kgにて1錠あたりイミダフェナシン0.1mgを含む180mgの錠剤を製した。得られた錠剤は硬度4.7kg(n=5)を示した。
【0027】
比較例2
イミダフェナシン4.0g、コリドン90F(BASF)4gを精製水196g、エタノール196gの混液に溶解した。スターチ1500G(日本カラコン)392gを転動流動層造粒機(ダルトン製、NQ−160)に仕込み、トップスプレー法にてこの溶液をコーティングし(噴霧液量15g/min、噴霧空気圧0.1MPa、給気温度50℃)、イミダフェナシン含有造粒物を得た。
さらに、このイミダフェナシン含有造粒物25g、ペアリトール(ROQUETTE JAPAN)172g、ポリプラスドンXL−10(ISP)45g及びカープレックス#67(DSLジャパン)1gを混合後、ステアリン酸マグネシウム植物性(太平化学産業)4.5gを加え混合後、ロータリー打錠機を用いて打錠圧1000kgにて1錠あたりイミダフェナシン0.1mgを含む180mgの錠剤を製した。得られた錠剤は硬度7.1kg(n=5)を示した。
【0028】
比較例3
イミダフェナシン4.0g、コリドン90F(BASF)4gを精製水196g、エタノール196gの混液に溶解した。ペアリトール(ROQUETTE JAPAN)392gを転動流動層造粒機(ダルトン製、NQ−160)に仕込み、トップスプレー法にてこの溶液をコーティングし(噴霧液量15g/min、噴霧空気圧0.1MPa、給気温度50℃)、イミダフェナシン含有造粒物を得た。
さらに、このイミダフェナシン含有造粒物25g、ペアリトール(ROQUETTE JAPAN)172g、ポリプラスドンXL−10(ISP)45g及びカープレックス#67(DSLジャパン)1gを混合後、ステアリン酸マグネシウム植物性(太平化学産業)4.5gを加え混合後、ロータリー打錠機を用いて打錠圧1000kgにて1錠あたりイミダフェナシン0.1mgを含む180mgの錠剤を製した。得られた錠剤は硬度7.2kg(n=5)を示した。
【0029】
比較例4
イミダフェナシン2.0gを精製水100g、エタノール100gの混液に溶解した。ノイシリンUS2(富士化学工業)200gを転動流動層造粒機(ダルトン製、NQ−160)に仕込み、トップスプレー法にてこの溶液をコーティングし(噴霧液量15g/min、噴霧空気圧0.1MPa、給気温度50℃)、イミダフェナシン含有造粒物を得た。
さらに、このイミダフェナシン含有造粒物25g、ペアリトール(ROQUETTE JAPAN)172g、ポリプラスドンXL−10(ISP)45g及びカープレックス#67(DSLジャパン)1gを混合後、ステアリン酸マグネシウム植物性(太平化学産業)4.5gを加え混合後、ロータリー打錠機を用いて打錠圧700kgにて1錠あたりイミダフェナシン0.1mgを含む180mgの錠剤を製した。得られた錠剤は硬度7.2kg(n=5)を示した。
【0030】
比較例5
イミダフェナシン4.0g、ポリプラスドンXL−10(ISP)40gを精製水178g、エタノール178gの混液に溶解した。スターチ1500G(日本カラコン)356gを転動流動層造粒機(ダルトン製、NQ−160)に仕込み、トップスプレー法にてこの溶液をコーティングし(噴霧液量15g/min、噴霧空気圧0.1MPa、給気温度50℃)、イミダフェナシン含有造粒物を得た。
さらに、このイミダフェナシン含有造粒物25g、ペアリトール(ROQUETTE JAPAN)172g、ポリプラスドンXL−10(ISP)45g及びカープレックス#67(DSLジャパン)1gを混合後、ステアリン酸マグネシウム植物性(太平化学産業)4.5gを加え混合後、ロータリー打錠機を用いて打錠圧850kgにて1錠あたりイミダフェナシン0.1mgを含む180mgの錠剤を製した。得られた錠剤は硬度4.8kg(n=5)を示した。
【0031】
比較例6
イミダフェナシン4.0g、HPC-SSL(日本曹達)40gを精製水178g、エタノール178gの混液に溶解した。スターチ1500G(日本カラコン)356gを転動流動層造粒機(ダルトン製、NQ−160)に仕込み、トップスプレー法にてこの溶液をコーティングし(噴霧液量15g/min、噴霧空気圧0.1MPa、給気温度50℃)、イミダフェナシン含有造粒物を得た。
さらに、このイミダフェナシン含有造粒物25g、ペアリトール(ROQUETTE JAPAN)172g、ポリプラスドンXL−10(ISP)45g及びカープレックス#67(DSLジャパン)1gを混合後、ステアリン酸マグネシウム植物性(太平化学産業)4.5gを加え混合後、ロータリー打錠機を用いて打錠圧1000kgにて1錠あたりイミダフェナシン0.1mgを含む180mgの錠剤を製した。得られた錠剤は硬度6.7kg(n=5)を示した。
【0032】
比較例7
イミダフェナシン3.0g、コリドン90F(BASF)9gを精製水144g、エタノール144gの混液に溶解した。ポリプラスドンXL−10(ISP)288gを転動流動層造粒機(ダルトン製、NQ−160)に仕込み、トップスプレー法にてこの溶液をコーティングし(噴霧液量15g/min、噴霧空気圧0.1MPa、給気温度50℃)、イミダフェナシン含有造粒物を得た。
さらに、このイミダフェナシン含有造粒物25g、ペアリトール(ROQUETTE JAPAN)172g、ポリプラスドンXL−10(ISP)45g及びカープレックス#67(DSLジャパン)1gを混合後、ステアリン酸マグネシウム植物性(太平化学産業)4.5gを加え混合後、ロータリー打錠機を用いて打錠圧1000kgにて1錠あたりイミダフェナシン0.1mgを含む180mgの錠剤を製した。得られた錠剤は硬度6.7kg(n=5)を示した。
【0033】
比較例8
イミダフェナシン0.45g、コリドン90F(BASF)3.375gを精製水73.1g、エタノール73.1gの混液に溶解した。ペアリトール(ROQUETTE JAPAN)460.6gを転動流動層造粒機(ダルトン製、NQ−160)に仕込み、トップスプレー法にてこの溶液をコーティングし(噴霧液量10g/min、噴霧空気圧0.1MPa、給気温度70℃)、イミダフェナシン含有造粒物を得た。
さらに、このイミダフェナシン含有造粒物206.4g、ペアリトール(ROQUETTE JAPAN)54g、セオラス PH-102(旭化成ケミカルズ)、コリドンCL-F(BASF)6g及びカープレックス#67(DSLジャパン)0.6gを混合後、ステアリン酸マグネシウム植物性(太平化学産業)3gを加え混合後、ロータリー打錠機を用いて打錠圧500kgにて1錠あたりイミダフェナシン0.1mgを含む150mgの錠剤を製した。得られた錠剤は硬度4.6kg(n=5)を示した。
【0034】
なお、実施例及び比較例に用いたものは、下記の通りである。
1.商品名スターチ1500G(日本カラコン):部分α化デンプン
2.商品名セオラス PH-301及びPH-102(旭化成ケミカルズ):結晶セルロース
3.商品名コリドン90F(BASF):ポピドン
4.商品名オイドラギットEPO及びE100(Rohm GmbH & Co. KG):アミノアルキルメタアクリレートコポリマーE
5.商品名ステアリン酸マグネシウム植物性(太平化学産業)
6.商品名ペアリトール(ROQUETTE JAPAN):D−マンニトール
7.商品名コリドンCL-F(BASF):クロスポピドン
8.商品名ポリプラスドンXL-10(ISP):クロスポピドン
9. 商品名カープレックス#67(DSLジャパン):含水二酸化ケイ素
10.商品名ノイシリンUS2(富士化学工業):メタケイ酸アルミン酸マグネシウム
11.商品名HPC-SSL(日本曹達):ヒドロキシプロピルセルロース
【0035】
異味を有する医薬成分を造粒物中に含有し、その造粒物がアミノアルキルメタアクリレートコポリマーで被覆された口腔内速崩壊性錠剤である実施例1〜8の製剤の口当たりは良好であった。一方、異味を有する医薬成分を造粒物中に含有し、その造粒物がアミノアルキルメタアクリレートコポリマーで被覆されていない口腔内速崩壊性錠剤である比較例1〜8の製剤の口当たりは不良であった。
【0036】
試験例1
実施例2〜4の製剤について含量均一性試験を実施した。
含量均一性試験
試験製剤10錠を採取し、イミダフェナシンの含有量を高速液体クロマトグラフ法(HPLC法)により評価した。主薬の含量(表示量(100%)に対する割合(%))とその平均値を算出し、日本薬局方に記載の計算法に従って標準偏差(下式(1)参照)及び含量均一性の判定値(下式(2)参照)を求めた。
【0037】
【数1】

【0038】
(式中、Sは標準偏差である。nは試験した試料の全個数(10)を示し、Xiは、試験した個々の試料に含まれる主薬の含量(表示量に対する割合(%))を示す。AはX1からXnまでの各含量の平均値である)
判定値=|100−A|+S×2.2 …(2)
(式中、A及びSは、前記式(1)と同じである)
【0039】
また、「判定値が0−15%」且つ「標準偏差が0−3.5%」であるとき、調製された錠剤中の薬物含量のばらつきが少なく、偏析を生じていないとみなすことができ、「薬物の含量均一性が確保される」ということができる。また、「判定値が0−15%」且つ「標準偏差が0−3.5%」でないとき、薬物含量のばらつきが大きく、偏析が生じているとみなすことができ、「含量均一性に劣る」ということができる。なお本発明でいう標準偏差の適切な範囲、すなわち「標準偏差が0−3.5%」は、品質保証上必要と考えられる数値であり、一定含量の薬物を含む組成物が得られることを示すものである。
【0040】
HPLC法
カラム:オクタデシルシリル化シリカゲル(平均粒径3μm、内径4.6 mm×長さ50mm) (ジーエルサイエンス株式会社 商品名Inertsil ODS-3)
移動相:1-オクタンスルホン酸ナトリウム1.08 gを薄めたリン酸(1→1000)に溶かし,1000 mLとする。この液700 mLに液体クロマトグラフィー用アセトニトリル300 mLを加える。
検出器:UV
測定波長:220 nm
【0041】
【表1】

【0042】
表1より実施例2〜4の製剤は、標準偏差は3.5を、判定値は15.0を超えず含量均一性は良好であることが確認された。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明により、口当たりのよい口腔内速崩壊性錠剤の提供が可能となった。



【特許請求の範囲】
【請求項1】
異味を有する医薬成分を含有する造粒物をコーティング剤で被覆し、さらにクロスポピドン及び糖アルコールを粉体として配合し、圧縮成型した口腔内速崩壊性錠剤。
【請求項2】
造粒物が錠剤中8〜29.5質量%、クロスポピドンが錠剤中0.5〜22質量%、糖アルコールが錠剤中70〜91.5質量%である請求項1記載の口腔内速崩壊性錠剤。
【請求項3】
コーティング剤が、アミノアルキルメタアクリレートコポリマーである請求項1又は2記載の口腔内速崩壊性錠剤。


【公開番号】特開2009−179604(P2009−179604A)
【公開日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−20185(P2008−20185)
【出願日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【出願人】(000001395)杏林製薬株式会社 (120)
【Fターム(参考)】