説明

可動スラットを有する機械化ロールシャッターの設備を調節する方法

【課題】可動スラットを有する機械化ロールシャッターの設備のスラットの向きを調節する方法を提供する。
【解決手段】可動スラットを有する機械化ロールシャッター2の設備1として、電気機械式アクチュエータ4と、このアクチュエータ4を操縦してロールシャッター2を主面内を移動させる、および/またはこの主面に対するスラットの向きを決める運動をさせる制御ユニット7と備える設備1を調節する方法であって、目で探知できる平面に平行に延びるようにしてスラットの位置を再現可能に決めるステップと、この現在の位置を唯一の基準位置として記憶するステップを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可動スラットを有するロールシャッターの動作位置の学習方法に関する。可動スラットを有するロールシャッターは、ロールシャッターが閉まったときにスラットがほぼ同じ主面内に留まる従来のロールシャッターとは異なり、スラットを長軸に平行な状態で傾けてそのシャッターを通過する光の量を制御することができる。本発明は特に、可動スラットを有する機械化ロールシャッター、すなわち可動スラットを備えていて電気機械式アクチュエータと電子制御ユニットによって制御されるロールシャッターに適用される。
【0002】
可動スラットを有するロールシャッターは、スラットを傾斜させることを目的として傾斜装置と協働する。傾斜装置は、一般に、シャッターのスラットが中を滑るレールのうちの1つの位置に取り付けられる。しかし傾斜させることが制約になってはならない。すなわちシャッターを上下運動させるときには必ずそうせざるをえないというのはいけない。したがって可動スラットを有するロールシャッターは、従来のシャッターとしても使用できる。
【背景技術】
【0003】
このようなロールシャッターは特別な動作をする。その際、ロールシャッターを運動させるコマンドが、以下に示すいくつかの管理モードに従って利用される。
− 主面内で従来のロールシャッターを上下させる機能に対応する“昇降”モード、
− シャッターが移動する主面に対するスラットの向きを傾斜装置によって決めることに対応する“傾斜”モード。
可動スラットを有するこのようなロールシャッターは、特許文献1に記載されている。
【0004】
したがって傾斜機能を実現するには、すなわちシャッターのスラットの向きを決めるために傾斜装置と協働する特別な位置にスラットを移動させるには、特別な人間工学的コマンドを用意する必要がある。この特別な人間工学的コマンドは、シャッターの下部をこの特別な位置に向けて移動させる効果を持つ。この特別な位置を一般に向き中間位置と呼び、この位置では、シャッターの下部が所定の高さにあってスラットが選択した角度だけ傾斜している。
【0005】
この特別な位置を決定し、昇降モードのときも含めてシャッターの極端な位置での停止を管理し、傾斜装置の位置にシャッターが来た時にスラットの方向を変えるには、シャッターの現在の位置を正確に管理せねばならない。ロールシャッターと傾斜装置の行程中のさまざまな極端な位置も、特に学習によって正確に決定せねばならない。
【0006】
公知の調節モードでは、以下のステップが順番に利用される:
1.行程の最終高位置FCHの調節、
2.行程の最終低位置FCBの調節、
3.昇降モードの調節の有効化、
4.傾斜装置の高い位置BHの調節、
5.傾斜装置の低い位置BBの調節、
6.向き中間位置PIOの調節、
7.傾斜調節モードの有効化(調節の終了)。
【0007】
各調節ステップには、これらのさまざまな調節に対応する現在の位置をメモリに記憶させるため、アクチュエータが認識する特別な人間工学的コマンドが関与せねばならない。
【0008】
ある種のロールシャッターでは、この学習手続きをわずかに簡単化することが可能である。それは例えば、特に2つの位置(例えば行程の最終低位置と傾斜装置の高い位置)が一致するときである。しかしそうなっていてもこの方法の簡略化は限られている。
【0009】
さらに、可動スラットを有するロールシャッターは、使い込んだときに伸びる傾向がある。そのため、スラットを閉まった位置と開いた位置の間で規則的な方向を向けることを可能にする最適な調節によって得られた位置は、もはやシャッターの動作位置に対応していない。
その場合には、向きの精度を犠牲にしてより広い調節を行なうこと(傾斜装置による傾斜なしでいろいろな領域に調節位置を用意すること)が可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】フランス国特許第2573551号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、従来から知られている方法で提起された欠点を解消するとともに改良した調節方法を提供することである。本発明では特に、設置者にとって非常に直観的な調節方法を提案する。さらに、本発明の別の目的は、調節方法を複雑にすることなく、あらかじめ記憶させる中間位置の数を増やすことである。最後に、本発明の最後の目的は、特に同じ正面に設置される複数の製品について、製品ごとの調節を画一化することである。こうすると、正面の調和と結び付いた美的側面に加え、スラットが傾斜した位置である程度開いていることを保証できる。この方法により、開きの程度は中間位置の単なる1つの数字よりはるかに直観的な概念となるため、利用者は、スラットのさまざまな傾斜位置をよりよく認識することができる。本発明の別の目的は、シャッターの寿命全体を通じて起こる可能性のある伸びにできるだけ対応できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の方法により、可動スラットを有する機械化ロールシャッターの設備として、電気機械式アクチュエータと、このアクチュエータを操縦してロールシャッターを主面内を移動させる、および/またはこの主面に対するスラットの向きを決める運動をさせる制御ユニットと備える設備を調節することが可能になる。この方法は、
− 目で探知できる平面に平行に延びるようにしてスラットの位置(特に向き)を再現可能に決めるステップと、
− この現在の位置を唯一の基準位置として記憶する(特に電子的に記憶する)ステップを含むことを特徴とする。
【0013】
位置決めステップは、目で見て探知できる平面に平行になるようにスラットの位置、特に向きを決める操作を含むことができる。
【0014】
この調節方法は、基準位置をもとにして、機械式傾斜装置に対してスラットが極端な方向を向いた少なくとも1つの第1の位置、すなわち第1の特別な位置を決定する追加ステップを含むことができる。
【0015】
傾斜装置に対してスラットが極端な方向を向いた少なくとも1つの第1の位置、すなわち第1の特別な位置を決定する追加ステップは、シャッターの追加運動をまったく必要としない計算ステップにすることができる。
【0016】
追加ステップは、機械式傾斜装置に対してスラットが極端な方向を向いた少なくとも1つの第2の位置、すなわち第2の特別な位置を決定する操作を含むことができる。
【0017】
この調節方法は、2つの極端な位置の間にあるスラットの向き中間位置を決定する追加決定ステップを含むことができる。
【0018】
追加決定ステップは、設備に関係するサイズのデータ、その中でも特に、ロールシャッターが巻き付く巻き取りチューブの直径、および/またはスラットの厚さ、および/またはスラットの高さ、および/またはスラットの方向を決めることのできる機械式傾斜装置のサイズに基づいたものにすることができる。
【0019】
追加決定ステップは、パラメータ化可能なサイズのデータに基づいたものにすることができる。
【0020】
目で探知できる平面は、シャッターが移動する主面にほぼ垂直な平面にすることができる。
【0021】
目で探知できる平面は、ほぼ水平な平面にすることができる。
【0022】
本発明の方法により、可動スラットを有する機械化ロールシャッター設備を動作させることができる。この方法は、上記の調節方法を実施する段階を含んでいる。この設備では、スラットの基準位置とは異なる向き中間位置も記憶されている。この方法は、第1の特別な制御命令を受けてアクチュエータをアクティブにすることでシャッターを基準位置に向かわせるステップと、第2の特別な制御命令を受けてアクチュエータをアクティブにすることでシャッターを中間位置に向かわせるステップを含んでいる。
【0023】
第1の特別な制御命令と第2の特別な制御命令を異なったものにし、それぞれ、利用者によってアクティブにされる制御ボタンから、またはセンサーに付随する制御用オートメーション・システムから来るようにすることができる。
【0024】
第1の特別な制御命令と第2の特別な制御命令は、それぞれ、所定のイベントが出現する際と消失する際に出るようにすることができる。
【0025】
本発明によれば、可動スラットを有する機械化ロールシャッターの設備として、アクチュエータと、このアクチュエータを操縦してロールシャッターを主面内を移動させる、および/またはこの主面に対するスラットの向きを決める運動をさせる制御ユニットと備える設備のアクチュエータの制御ユニットは、この制御ユニットが、上記の調節方法および/または動作方法を実施するハードウエア手段および/またはソフトウエア手段を備えることを特徴とする。
【0026】
ハードウエア手段および/またはソフトウエア手段は、アクチュエータをアクティブにする制御手段と、そのアクチュエータの現在の位置を基準位置として記憶する手段を備えることができる。
【0027】
添付の図面は、例示として、本発明による調節方法の一実施態様と、そのような方法を実現する設備の一実施態様を示している。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】制御ユニットを備えていて本発明が目的とする調節方法の一実施態様に従って動作するロールシャッターを機械操作するためのホーム・オートメーション設備の概略図である。
【図2】ロールシャッターのスラットの運動を示す概略図である。
【図3a】可動スラットを有するロールシャッターの一例の動作を示す概略図である。
【図3b】可動スラットを有するロールシャッターの一例の動作を示す概略図である。
【図4】本発明の調節方法の一実施態様に関するフロー・チャートである。
【発明を実施するための形態】
【0029】
図1は、建造物に取り付けられたロールシャッターの設備1を示している。この設備は、チューブ状アクチュエータ4が中に設置された巻き取りチューブ3に巻き取られるシャッター2を備えている(図を見やすくするため、図1ではアクチュエータをチューブの外に示してある)。アクチュエータは、モータ5といろいろな機械要素(接続部6によって表示)を備えていて、モータが第1の方向と第2の方向に回転したとき、巻き取りチューブ3の駆動と、第1の方向S1および第2の方向S2へのシャッターの移動が可能になる。
【0030】
図2に示したシャッターは、互いに隣り合った複数のスラット2a〜2dと、これらのスラットをその長軸X−Xに沿って傾斜させる機構8すなわち傾斜装置を備えている。この機構8は、スラットが特別な傾斜位置または特別な向きの位置BPになるまでシャッターが引き出されたときに作動する。この傾斜位置は、あらかじめ記憶させておいた中間位置であることが好ましく、その位置では、特定の1つのスラット(例えば最後のスラット)が傾斜装置8の位置にある。この位置は、同じ正面にある同じタイプのあらゆるシャッターで同じであることが好ましい。シャッターが移動したときの特徴的なさまざまな位置を図3aと図3bに示してある。フランス国特許第2573551号に記載されているように、傾斜装置は例えば誘導路を備えていて、その中に、シャッターの特定のスラットの端部に位置する少なくとも1つの突起が挿入される。シャッターが移動するとき、突起が誘導路の中をたどることにより、対応するスラットの回転が引き起こされる。この回転は、傾斜させる全スラットに機械的に伝えられる。本発明の範囲で他のあらゆる形態の傾斜装置も可能である。
【0031】
アクチュエータは制御ユニット7も備えている。この制御ユニットにより、シャッター2の運動と位置を管理することができる。制御ユニットはアクチュエータと一体化することができ、場合によっては通信手段9、特にラジオ周波数の電波受信機を備えることができる。
【0032】
設備1は、制御命令(特に運動の制御命令)を発信する手段11と、利用者が、所定の人間工学に従った特別な押しボタン手段または他の把持手段によって所定の運動を指示することのできるインターフェイスIHM 12とを有する遠隔制御地10も備えている。特に、制御地で利用できる4通りの人間工学的手段により、通常の動作モードにおいて、シャッターの開閉、スラットの所定の位置(傾斜位置)への移動、スラットの向きの細かい調節を制御することができる。制御地には、表示装置13(例えば1個または複数個の発光ダイオード、または表示スクリーン)も備えられている。あるいは制御ユニットは、制御地に有線接続される。
【0033】
この設備は、1つの周囲パラメータの強度を測定する手段14も備えている。この手段は、特に、制御ユニットを構成する他の手段と有線接続または無線(例えばラジオ波)によって通信できるセンサーにすることができる。センサーは、例えば温度、凍結、日照のセンサーである。センサーは、測定したパラメータに関係する情報(例えば直接的な測定値またはそれに付随する運動の命令)を制御ユニットに供給する。アクチュエータは、この情報に基づき、運動の制御命令を実行することによって、より一般には適切な挙動をすることによって作動する。センサーは、特にラジオ波による双方向通信の場合には、この情報を制御地10にも供給することができる。
【0034】
制御ユニットは、アクチュエータの動作に関係する内部パラメータ(例えば張力、トルク、速度)の監視手段15と、シャッターの基準位置(例えばシャッターの最後のスラット、または端部の突起が傾斜装置と協働するスラット)を決定する手段も備えている。
【0035】
利用できるコマンドの数(例えば限られた数の作動ボタン)が限られている場合には特に、このような設備の調節が、特に遠隔制御地で利用可能な制御ボタンからできるようになっていなければならない。さらに、この調節の際に学習した位置を各設備が反復して利用して動作する限りは、通常の動作をする設備を画一化できるよう調節は非常に正確になされねばならない。
【0036】
可動スラットを有するシャッターの構成の第1の実施態様では、傾斜の低位置LBPと傾斜の高位置UBPを行程の最終低位置LELと行程の最終高位置UELの間に設けることができる。スラットの傾斜は、必ずしも開閉運動の際にシャッターがこれらの位置を単に通過するときではなく、シャッターがこれらの位置のうちの1つ(例えば傾斜の低位置LBP)に向かって直接誘導される瞬間から実現される。したがって到達すべき位置は上記の唯一の傾斜位置と同等であり、この所定の位置に向かう運動をさせる特別な指示によって到達させることができる。あるいはスラットの傾斜は、シャッターが特定の位置にあるのに動作方向の逆転が起こる場合に起こる。特定のコマンドに伴ってこの方向の逆転が起こるようにすることができる。
【0037】
スラットのこの傾斜位置から、対応する傾斜領域においてアクチュエータの第1の方向と第2の方向の小さな運動を制御することで、スラットを図2に示した方向S3とS4に移動させることができる。
【0038】
可動スラットを有するシャッターの構成の第2の実施態様では、傾斜位置BPは、行程の最終低位置LELと行程の最終高位置UELの間を延びていてシャッターが従来のように開閉する(昇降モード)位置領域の外に位置させることができる。
【0039】
シャッターがこの特別な傾斜位置BPに向かうことは、特に、シャッターの開閉コマンドではなく、アクチュエータの制御ユニットに向かって出される特別な指示に基づいて可能になる。この特別な指示は、傾斜位置と同等な所定の位置に向かう運動をさせるコマンドにすることができる。
【0040】
本発明による調節方法のステップについて、図4を参照しながら以下に説明する。
【0041】
第1のステップS1には、調節モードに入ることが含まれている。この調節モードにおいて制御地に働きかけることによって伝えられるコマンドは、通常の動作モードにおいて伝えられるコマンドとは異なる意味を持つことができる。この調節モードに入ることは、シャッターを現場に最初に設置するとき、すなわちアクチュエータに最初に張力がかかるときに自動的に実現できる。1つのコマンドまたは一連の特別なコマンドの後に、特に制御地を利用して、またはアクチュエータのパワー供給線を利用して調節モードに入るようにすることもできる。
【0042】
本発明では、調節モードの間に目印となる3つの位置を決める必要がある。すなわち、昇降モード(スラットが閉じられた状態でのシャッターの開閉サイクル)で移動させるための行程の最終高位置および行程の最終低位置と、傾斜装置のための基準位置である。これらの異なる位置を記憶する順序はほとんど重要ではない。
【0043】
図4には、傾斜装置の基準位置に関するステップの詳細は示していない。
【0044】
ステップS2では、設置者が、特定の1つのスラットが傾斜装置の位置にあってしかもすべてのスラットが特定の方向を向く位置へとシャッターを向かわせる。それは、目視によって、または道具の助けを借りて確認できる。しかもこの方向に揃えることは、再現可能である。すなわち単なる偶然の成果でも、あまり正確ではない調節の成果でもない。
【0045】
傾斜装置の低位置と高位置それ自体は基準位置として使用できない。傾斜装置の構成から、これらの位置は特定することが難しい。なぜならこれらの位置は、スラットが方向を保持する位置の範囲(約10〜20mm)内にあるからである。この範囲の上限ではスラットは閉じられた状態に留まり、この範囲の下限ではスラットは最も開いた状態に留まる。したがってスラットが開く正確な位置、すなわちスラットが最大傾斜に到達する正確な位置の確認は、可能でないか、再現性がない。
【0046】
さらに、傾斜装置の低位置と高位置は、昇降モードでだけ運動の位置と一致する可能性がある。すなわち傾斜装置の低位置と高位置を記憶してもスラットを傾斜させることはできないであろう。
【0047】
そのため従来のシステムでは調節が難しい。
【0048】
逆に、開口部の前に鉛直に設置されたシャッターにとって、スラットの水平位置は再現可能な確認というこの基準を満たしている。より一般に、シャッターで隠されたばかりの開口部の正面にいる設置者の視野内で最もよく見える位置は、特に目で見て確認可能で再現性のある位置である。特に、最もよく見えるこの位置は、昇降モードでシャッターが移動する主面に垂直な面内(すなわちレールに垂直な面内、または開口部そのものの面に垂直な面内)でのスラットの延長部に対応する。したがって最もよく見える位置は、屋根の傾いた窓にも適するようにできる。
【0049】
あるいは1つのスラットに引っ掛けた例えば気泡式水準器または下げ振りと同等な道具により、この基準位置を再現性よく確認することができる。
【0050】
この位置に到達すると、ステップS3において設置者が、例えば制御地における特別なコマンド操作を利用してこの位置を記憶させる。
【0051】
このステップの後、傾斜装置に関係する所定数の他の位置を自動的に決定することができる。これらの位置はステップS4において決定される。
【0052】
特に、傾斜装置の最も下の位置と最も上の位置が決定される。これら両極端の位置は、ロールシャッターの保護板の可能な延長範囲が傾斜装置と確実に協働するように決定されることが好ましい。そのためには、例えば可能な位置の数値範囲を拡張したり、両極端の位置の検出パラメータを調節したりする。
【0053】
昇降モードと傾斜モードにおいてシャッターが正常に機能するのに必要なすべての位置が決定されると、ステップS5において調節モードから出ることが可能になる。
【0054】
したがって本発明の調節方法により、傾斜装置に関する基準位置を設備ごとに簡単かつ直観的に再現可能に決定することができる。特に、可動スラットを有する複数のロールシャッターを同一の正面に設置するにあたり、各シャッターに関する基準位置の決定が非常に簡単になされ、他のシャッターとの視覚的対応が保証される。その結果、通常動作での調和が保証される。スラットが傾斜した1つの位置を基準位置として利用しているため、基準位置は傾斜装置と必然的に結び付いている。異なる位置の間の混同は起こりえない。
【0055】
さらに、調節ステップの数が少なくなり、そのことによって設置者の作業が簡単になるとともに、制御情報を処理する必要性も少なくなる。
【0056】
制御ユニットは、本発明の対象である動作方法にとって不可欠なステップを実行するハードウエア手段および/またはソフトウエア手段を備えている。制御ユニットは、特に、その制御ユニットの動作を第1のモードに従って管理する第1のモジュールと、その制御ユニットの動作を第2のモード(例えば調節モード)に従って管理する第2のモジュールを備えている。これらモジュールは例えばソフトウエア型であり、さまざまな情報プログラムを実行する。制御ユニットは、特に、計算手段と、計算に必要なデータのための書き換え可能なメモリまたは書き換え不能なメモリを備えている。
【0057】
傾斜装置と関係する他の位置を決定するステップは、以下のようになる。
【0058】
第1の実施態様によれば、このステップは、サイズのデータ(傾斜装置のサイズ、巻き取りチューブの直径、スラットの厚さと高さなど)から高位置と低位置を計算する操作を含んでいる。
【0059】
特に、傾斜装置のサイズには、傾斜装置の高位置と低位置の間と、設備で推奨されている基準位置と前記の位置(傾斜装置の高位置と低位置)の間にある公知のいろいろな長さが含まれる。
【0060】
傾斜装置の高位置と低位置に対応するアクチュエータの位置に対する相対位置(例えばアクチュエータの中央(50%)位置に対応するスラットの向き中間位置)を決定するステップは、以下のようになる。
【0061】
公知のサイズの所定の傾斜装置に付随する基準位置であると確認された位置をもとにして、以下のものがわかる。
・傾斜装置の高位置と低位置の間の行程(単位はmm):a(例えば80mm)
・基準位置と傾斜装置の低位置の間の行程(単位はmm):b(例えば30.2mm)
・基準位置と傾斜装置の高位置の間の行程(単位はmm):c(例えば49.8mm)
【0062】
ところで1°の回転は、(シャッターの巻き取りチューブの直径×π)/360°に等しい行程(単位はmm)に対応することがわかる。
【0063】
パルス当たりの角度の数値は、アクチュエータの制御ユニット(特に位置決定手段)にも依存する。
【0064】
そこから計算によって、bに対応するエンコーダのパルス数Δb(したがって傾斜装置の高位置):
Δb=(行程b/1°の行程)/パルス1つ当たりの角度の数値
と、cに対応するエンコーダのパルス数Δc(したがって傾斜装置の低位置):
Δc=(行程c/1°の行程)/パルス1つ当たりの角度の数値
が導かれる。
【0065】
先ほど言及した中間位置は、このようにして決定されたの高位置と低位置の途中に位置する。
【0066】
上記の例で利用されるサイズのデータは固定されていて、所定のタイプの傾斜装置に適合したシャッターを誘導するためのアクチュエータに関係するものである。
【0067】
あるいはこれらのデータはパラメータ化することができる。その場合、そのデータは特に学習することによって、データを転送することによって、アクチュエータに付随する製品のタイプを選択することによって習得される。
【0068】
第2の実施態様によれば、補助ステップは、基準位置に対する位置を学習できる自動運動を含んでいる。特に、基準位置がわかると、アクチュエータの位置において監視するパラメータを検出することによって傾斜装置の高位置と低位置を検出できる。特に、傾斜装置の構成により、傾斜装置の領域内でアクチュエータから供給されるトルクを分析することによって傾斜装置の高位置と低位置を特に非常に高い感度で検出できる。次に、アクチュエータと傾斜装置の最適な動作を保証するため、検出されたこれらの位置から調節位置(両極端の位置)を導出できる。特に、両極端の位置は、検出された位置の間隔の内側で選択されることになろう。
【0069】
これらのさまざまな実施態様において、計算または学習によって決定された両極端の位置のうちの少なくとも一方(特に傾斜装置の高位置)に対してずれ値を導入することができる。このずれ値により、保護板の場合によっては延長されている部分を受け入れるために広い範囲で任意に決定された両極端の位置の値を補足することができる。このずれ値により、決定された両極端の位置の間隔の内側で自動的に傾斜領域の限界を規定することができる。
【0070】
ロールシャッターが傾斜装置の外部にあるときにロールシャッターの向きを決めるコマンドが出されると、傾斜装置に対するシャッターの位置として考慮されるのは両極端の位置の一方または両方である。保護板がある範囲内でずれ値の程度延びている場合には、保護板が傾斜装置と協働することが保証される。確かに、向きを決めるコマンドによって保護板の突起が傾斜装置の上端位置に向かう位置決めが誘導される。保護板が延長されていると、向きを決めるコマンドの際に突起の位置は高位置からずれるが、この現在の位置が傾斜装置の中に含まれたままになる。
【0071】
ロールシャッターのスラットの向きを決めるには、考慮する向きの範囲は、ずれ値を導入することによって決まる傾斜領域の限界内の範囲である。延長されていないと、傾斜領域は、向きの通常の範囲である0%〜100%に対応する。保護板が延びている場合には、傾斜領域は狭くなる。これは、向きの範囲にとって不利になる可能性があるが、スラットの向きを保証し続ける。したがって調節することが望ましい可能性があるが、傾斜装置に対してシャッターがまったく作動しないことによって調節が必要になることはない。
【0072】
あるいは延長を時間経過の中で定量化できるのであれば、ずれ値を調節して位置の値を自動調節することができる。
【0073】
次に、ステップS4で決定された位置から複数の中間位置を導出することができる。決定された位置は、傾斜装置内での行程の割合に対応する。すでに見たように、スラットの第1の向き中間位置は、行程中で傾斜装置の高位置と低位置の間の50%にある中央位置にすることができる。
【0074】
基準位置は必ずしも上に定義した第1の中間位置に等しい必要はないが、第2の中間位置としても保存することができる。
【0075】
第1の中間位置は、外部イベント(例えば太陽の存在、または大きな輝度)を検出する際に到達する位置として利用できるのに対し、第2の中間位置(例えば基準位置)に到達するのは、この同じイベントが消えるときである。あるいは第1の中間位置は、センサーに付随するオートメーション・システムからコマンドが来たときに到達する位置として利用できるのに対し、第2の中間位置(例えば基準位置)に到達するのは、コマンドが、利用者が制御地を経由して出すコマンドであるときである。
【0076】
通常の動作中にこれらの異なる中間位置を利用すると、上に説明したように簡単に調節できるようにしたままで、可動スラットを有するロールシャッターの設備に関係する機能を増やすことができる。
【0077】
コマンドのインターフェイスに応じ、シャッターを操作してスラットを特に開きの程度と関係するさまざまな方向に向けることも可能になろう。
【0078】
本発明の対象となる方法と設備のおかげで、設置者は、以下の2つの動作だけを実現すればよい。
− シャッターのスラットを所定の位置に位置決めすること、
− この唯一の位置を基準位置として記憶させ、シャッターのスラットの向きを調節すること。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
可動スラット(2a−2d)を有する機械化ロールシャッター(2)の設備(1)として、電気機械式アクチュエータ(4)と、このアクチュエータを操縦してロールシャッターを主面内を移動させる、および/またはこの主面に対するスラットの向きを決める運動をさせる制御ユニット(10)と備える設備を調節する方法であって、この方法が、
− 目で探知できる平面に平行に延びるようにしてスラットの位置を再現可能に決めるステップと、
− この現在の位置を唯一の基準位置として記憶するステップと、を含む、
ことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記位置決めステップが、スラットの位置を目で探知できる平面に平行になるように決める操作を含む、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記基準位置をもとにして、機械式傾斜装置(8)に対してスラットが極端な方向を向いた少なくとも1つの第1の位置、すなわち第1の特別な位置を決定する追加ステップを含む、ことを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
傾斜装置に対してスラットが極端な方向を向いた少なくとも1つの第1の位置、すなわち第1の特別な位置を決定する前記追加ステップが、シャッターの追加運動をまったく必要としない計算ステップである、ことを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記追加ステップが、機械式傾斜装置に対してスラットが極端な方向を向いた少なくとも1つの第2の位置、すなわち第2の特別な位置を決定する操作を含む、ことを特徴とする請求項3または4に記載の方法。
【請求項6】
前記2つの極端な位置の間にあるスラットの向き中間位置を決定する追加決定ステップを含む、ことを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記追加決定ステップが、設備に関係するサイズのデータ、その中でも特に、ロールシャッターが巻き付く巻き取りチューブの直径、および/またはスラットの厚さ、および/またはスラットの高さ、および/またはスラットの方向を決めることのできる機械式傾斜装置のサイズに基づいている、ことを特徴とする請求項3から6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記追加決定ステップが、パラメータ化可能なサイズのデータに基づいている、ことを特徴とする請求項3から7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
目で探知できる前記平面が、前記シャッターが移動する主面にほぼ垂直な平面である、ことを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
目で探知できる前記平面が、ほぼ水平な平面である、ことを特徴とする請求項1から9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
可動スラット(2a−2d)を有する機械化ロールシャッター(2)の設備(1)を動作させるための方法であって、
請求項1から10のいずれか1項に記載の調節方法を実施する段階を含んでいて、
この設備が、基準位置とは異なる1つのスラットの向き中間位置も記憶する構成にされていて、
この方法が、
第1の特別な制御命令を受けてアクチュエータ(4)をアクティブにすることでシャッターを基準位置に向かわせるステップと、
第2の特別な制御命令を受けてアクチュエータをアクティブにすることでシャッターを中間位置に向かわせるステップと、を含む、
ことを特徴とする方法。
【請求項12】
第1の特別な制御命令と第2の特別な制御命令が異なっていて、それぞれ、利用者によってアクティブにされる制御ボタンから、またはセンサーに付随する制御用オートメーション・システム(15)から来る、ことを特徴とする請求項11に記載の動作方法。
【請求項13】
第1の特別な制御命令と第2の特別な制御命令が、それぞれ、所定のイベントが出現する際と消失する際に出される、ことを特徴とする請求項11に記載の動作方法。
【請求項14】
可動スラット(2a−2d)を有する機械化ロールシャッター(2)の設備(1)であって、アクチュエータと、このアクチュエータを操縦してロールシャッターを主面内を移動させる、および/またはこの主面に対するスラットの向きを決める運動をさせる制御ユニットと備える設備、のアクチュエータ(4)の制御ユニット(7)であって、
この制御ユニットが、請求項1から14のいずれか1項に記載の方法を実施するハードウエア手段および/またはソフトウエア手段を備える、
ことを特徴とする制御ユニット。
【請求項15】
前記ハードウエア手段および/またはソフトウエア手段が、アクチュエータをアクティブにする制御手段と、そのアクチュエータの現在の位置を基準位置として記憶する手段を備える、ことを特徴とする請求項14に記載の制御ユニット。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3a】
image rotate

【図3b】
image rotate

【図4】
image rotate