説明

可動ルーバー型雨戸

【課題】小さな力で簡単に開閉操作を行うことができ、組立作業性を向上できるとともに、コストダウンを図る。
【解決手段】縦長部材(縦框11A,11Bおよび中框13A,13B)と、横長部材(上下桟12A,12Bおよび中桟14)と、縦長部材の対向面に配設した複数の固定片28A,28Bと、固定片28A,28Aおよび28B,28Bに固定した複数のルーバー27A,27Bと、各固定片28A,28Bを連動させて正逆転させる連結部材34A,34Bと、連結部材34A,34Bに係止する係止部39を有するとともに、係合凸部38を有するリンク部材37A,37Bと、縦長部材(中框13A,13B)の近傍で、かつ、横長部材(中桟14)に横方向に移動可能に配設され、横方向に延びるとともに縦方向に傾斜し係合凸部38を摺動可能に係合するガイド溝52を有する操作部材48A,48Bとを備えた構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、開閉可能なルーバーを有する可動ルーバー型雨戸に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の可動ルーバー型の雨戸は、縦長部材として平行な一対の縦框と、横長部材として前記縦框に直交する上下桟とを備えている。また、この雨戸は、その取付場所に従って大きさが決定され、大きいものには一対の縦框の間に中框が縦長部材として更に配設されるとともに、一対の上下桟の間に中桟が横長部材として更に配設される。そして、これら縦長部材および横長部材で囲繞された各空間には、回転可能なルーバーが配設され、所定の操作部材の操作により回転角度を調整できるように構成している。
【0003】
本発明の可動ルーバー型雨戸に関連する先行技術文献情報としては次のものがある。
【0004】
【特許文献1】特開2002−256776号公報
【特許文献2】特開2004−293097号公報
【0005】
特許文献1には、中桟に設けられた操作スライダを左右に摺動させることにより、ねじりバーを回転させると同時に、このねじりバーに結合した回転軸と第1の伝達部材とを回転させることにより、第1の伝達部材にピン結合されたバー部材を進退させ、第2の伝達部材を介してルーバーを回転、即ち、開閉させるようにした可動ルーバー型雨戸が記載されている。
【0006】
しかし、この特許文献1では、回転軸により第1の伝達部材を回転させ、この第1の伝達部材の回転をバー部材の進退方向の移動に変換する必要がある。そのうえ、このバー部材の進退移動を、複数のルーバーの回転に更に変換する必要がある。そして、これらの動作には大きな抵抗や摩擦力が作用するため、スライダの操作によるルーバーの開閉操作に大きな力を要するという問題がある。
【0007】
この特許文献1に係る問題を解決するため、本出願人は特許文献2で、屋内側に面した操作部を回転させることにより、前記連結部材を進退させてルーバーを開閉させる開閉機構を搭載した可動ルーバー型雨戸を提案している。具体的には、この開閉機構は、操作部を有する回転軸部材と、該回転軸部材が正逆転することにより歯車列を介して正逆転するねじ部材と、このねじ部材が正逆転することにより該ねじ部材に対して相対的に進退する可動片とを備え、前記可動片に前記連結部材に係止する係止部が設けられてる。
【0008】
この特許文献2では、ルーバーを開閉操作する際の力に関する問題、即ち、ユーザの使用上の利便性に係る問題は十分に解消できる。しかし、前記開閉機構が複雑であるため、組立作業性が悪いうえ、コスト高になるという不都合がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、従来の問題に鑑みてなされたもので、小さな力で簡単に開閉操作を行うことができ、組立作業性を向上できるとともに、コストダウンを図ることができる可動ルーバー型雨戸を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決するため、本発明の可動ルーバー型雨戸は、それぞれ平行な少なくとも第1および第2の縦長部材と、これら縦長部材に対して直交方向に延びる少なくとも第1および第2の横長部材と、前記縦長部材の対向面に、所定間隔をもって回転可能に配設した複数の固定片と、前記縦長部材間に並設され、その両端を前記固定片に固定した複数のルーバーと、前記縦長部材内で前記固定片にピン結合され、縦方向に進退することにより、各固定片を連動させて正逆転させる連結部材と、いずれかの前記縦長部材内を縦方向に延び、前記連結部材に係止する係止部を有するとともに、係合凸部を有するリンク部材と、前記リンク部材を配設した縦長部材の近傍で、かつ、いずれかの前記横長部材に横方向に移動可能に配設され、横方向に延びるとともに縦方向に傾斜し前記リンク部材の係合凸部を摺動可能に係合するガイド溝を有する操作部材とを備えた構成としている。
【0011】
本発明の可動ルーバー型雨戸では、操作部材の横方向の操作を、ガイド溝によりリンク部材の縦方向の移動に変換し、このリンク部材の移動に連結部材を連動させて進退させることにより、固定片を介してルーバーを回転させることができる。即ち、大きな抵抗や摩擦力が生じる直線的な進退方向の移動と回転方向の移動との変換は、ルーバーの開閉部分のみであるため、操作部材の操作によるルーバーの開閉操作に要する力を低減することができる。しかも、その開閉(リンク)機構は、横方向に延び縦方向に傾斜するガイド溝を有する操作部材と、縦長部材内に延びるリンク部材とからなるため、その構成を簡素化でき、組立作業性を向上できるとともにコストダウンを図ることができる。
【0012】
この可動ルーバー型雨戸では、前記第2の縦長部材に隣接する第3の縦長部材を更に設け、中央に位置する前記第2の縦長部材を境界として横方向の両側に、それぞれ前記固定片および連結部材により回転されるルーバーを配設し、前記第2の縦長部材の近傍に前記操作部材を配設するとともに、前記リンク部材の係止部を、前記第2の縦長部材内に位置する一対の連結部材に係止することが好ましい。このようにすれば、リンク部材を直線的に延びる棒状の部材により構成できる。その結果、操作部材の操作力を、無駄なくルーバーの開閉操作力として作用させることができる。
【0013】
また、前記第2の横長部材に隣接する第3の横長部材を更に設け、中央に位置する前記第2の横長部材を境界として縦方向の両側に、異なる第2の連結部材、第2の操作部材および第2のリンク部材により開閉可能とした第2のルーバーを更に設けることが好ましい。
【0014】
この場合、前記第1および第2の横長部材間に位置する第1のルーバーを開閉操作する第1の操作部材と、前記第2および第3の横長部材間に位置する第2のルーバーを開閉操作する第2の操作部材とは、その開操作方向および閉操作方向が同一向きであることが好ましい。このようにすれば、ユーザの開閉操作性を向上できる。
【0015】
しかも、前記第1および第2の操作部材は、縦方向に隣接する位置に設けられ、第1のルーバーおよび第2のルーバーの同一回転角度では、横方向の移動距離が略一致することが好ましい。このようにすれば、縦方向に長い雨戸において、ユーザが目線から離れた側に位置する第1のルーバーまたは第2のルーバーの回転角度を調整する際の利便性を向上できる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の可動ルーバー型雨戸では、大きな抵抗となる直線的な移動と回転方向の移動との変換は、ルーバーの開閉部分のみであるため、操作部材の操作によってルーバーを開閉させる操作力を非常に小さくすることができる。しかも、その開閉機構の構成を簡素化できるため、組立作業性を向上できるとともにコストダウンを図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態を図面に従って説明する。
【0018】
図1は、本発明に係る実施形態の可動ルーバー型雨戸(以下「雨戸」と略する。)10を示す。この雨戸10は、それぞれ一対の縦框11A,11Bと上下桟12A,12Bとで長方形状の枠体を構成し、これらの間に+字形状をなすように中框13A,13Bおよび中桟14を配設し、これらで囲繞された4個の空間に複数のルーバー27A,27Bを回転可能に並設したものである。
【0019】
前記縦框11A,11Bおよび中框13A,13Bは、所定間隔をもって互いに平行に隣接する第1から第3の縦長部材を構成する。具体的には、一端の縦框11A(第1の縦長部材)に直線的に位置する中框13A,13B(第2の縦長部材)が平行に位置し、その中框13A,13Bに他端の縦框11B(第3の縦長部材)が平行に位置する。そのうち、縦框11A,11Bは略四角筒状をなし、中框13A,13Bとの対向面となる側面に横方向に突出する一対のリブを設けることにより、断面コ字形状をなす装着部15A,15Bを形成したものである。また、中框13A,13Bは、図2および図3に示すように、四角筒状をなす中框本体16と、該中框本体16に対して室内側にネジ止め固定するカバー17とからなる。そして、これらには、縦框11A,11Bとの対向面となる両側に横方向に突出するリブをそれぞれ設けることにより、縦框11A,11Bと同様に断面コ字形状をなす一対の装着部18,18が形成されている。これら装着部15A,18,18,15Bは、互いに対向するように配置され、その内部に断面逆コ字形状をなす縦枠材19が配設される。そして、この縦枠材19の内部には、後述するルーバー27A,27Bの開閉機構が配設されている。
【0020】
前記上下桟12A,12Bおよび中桟14は、図1に示すように、縦框11A,11Bおよび中框13A,13Bに対して直交し、所定間隔をもって互いに平行に隣接する第1から第3の横長部材を構成する。具体的には、一端の上桟12A(第1の横長部材)に中桟14(第2の横長部材)が平行に位置し、その中桟14に他端の下桟12B(第3の横長部材)が平行に位置する。そのうち、上桟12Aは、上端を開口した凹状のレール部材からなり、その両端には、高さが異なる3個のブロック片20A,20B,20Cが配設され、所定のブロック片20A〜20Cを取り外すことにより雨戸10の全高を調整可能としている。また、下桟12Bは、下端を開口した逆凹状のレール部材からなり、その内部には図示しない下レール上に配置される一対のローラ21が設けられている。また、下桟12Bには、室内側に位置する面に、図示しないロック部材を下向きに進出させて雨戸10を下レール上で移動不可能にロックするロック操作部材22が設けられている。さらに、中桟14は、図6に示すように、室外側に位置する平面部23の縦方向両端より室内側に向けて一対の枠壁24を突設することにより、室内側を開口した断面略コ字形状のものである。この枠壁24には、基枠44と、操作部材48A,48Bとを離脱不可能に位置決めする係合溝25が、外向きに膨出するように設けられている。また、前記中框13A,13Bと対応する中央には、該中桟14から各中框13A,13B内にかけて延びるようにリンク部材37A,37Bを配設するための貫通孔26が設けられている。
【0021】
図1および図2に示すように、隣接する縦長部材である縦框11Aと中框13A,13Bとの間、および、中框13A,13Bと縦框11Bとの間には、複数のルーバー27A,27Bが並設されている。具体的には、縦框11A、中框13A、上桟12Aおよび中桟14により囲繞された第1の空間、中框13A、縦框11B、上桟12Aおよび中桟14により囲繞された第2の空間、縦框11A、中框13B、中桟14および下桟12Bにより囲繞された第3の空間、そして、中框13B、縦框11B、中桟14および下桟12Bにより囲繞された第4の空間には、複数のルーバー27A,27Bが横方向に延びるように並設されている。即ち、中央に位置する第2の縦長部材である中框13A,13Bを境界として横方向の両側にそれぞれルーバー27A,27A,27B,27Bが配設され、また、中央に位置する第2の横長部材である中桟14を境界として縦方向の両側にそれぞれルーバー27A,27B,27A,27Bが配設された状態をなす。
【0022】
そして、図2から図5に示すように、これらルーバー27A,27Bのうち、縦方向上側で横方向に隣接するルーバー27A,27Aは、第1の固定片28Aと、第1の連結部材34Aと、第1のリンク部材37Aとからなる第1の開閉機構により回転可能に取り付けられ、第1の操作部材48Aにより所定角度範囲内で連動して回転される。また、縦方向下側で横方向に隣接するルーバー27B,27Bは、第2の固定片28Bと、第2の連結部材34Bと、第2のリンク部材37Bとからなる第2の開閉機構により回転可能に取り付けられ、第2の操作部材48Bにより所定角度範囲内で連動して回転される。
【0023】
前記固定片28A,28Bは樹脂製であり、前記縦框11A,11Bおよび中框13A,13Bの対向面を構成する縦枠材19に形成した取付孔29に取り付けることにより、縦方向に所定間隔をもって回転可能に配設されるものである。具体的には、固定片28A,28Bは、取付孔29より大径の基部30と、該基部30の一端から同一軸芯で突設された取付孔29より小径の固定部31と、前記基部30の他端から突設したピン結合部32とを備えている。前記固定部31にはルーバー27A,27Bの端部を挿通する溝31aが形成され、ルーバー27A,27Bの固定溝部33に挿入係止することにより、ボルトやねじのような他の固定部材を使用することなく一体的に固定できるように構成している。前記ピン結合部32は、前記ピン結合部32は、アーム部32aを介して基部30から所定間隔をもって平行に突設され、後述する連結部材34A,34Bに対して貫通されることにより、回転可能に連結される。
【0024】
前記連結部材34A,34Bは断面コ字形状をなす金属材料からなり、その閉塞板部には、前記取付孔29と同一ピッチで前記ピン結合部32を挿入によりピン結合する結合孔35が設けられている。そして、該連結部材34A,34Bが縦方向に進退されることにより、ピン結合部32が縦方向に移動され、基部30および固定部31を連動して正逆転させて、ルーバー27A,27Bを連動させて開閉できるように構成している。また、この連結部材34A,34Bには、リンク部材37A,37Bを挿入係止する係止孔36が設けられている。
【0025】
前記リンク部材37A,37Bは樹脂製であり、図5および図6に示すように、中桟14の中央から縦長部材の1つである中框13A,13B内をそれぞれ縦方向に延びるように配設されるものである。このリンク部材37A,37Bには、中桟14内に位置する基端に後述する操作部材48A,48Bに係合する係合凸部38が円柱状に突出するように設けられている。また、中框13A,13B内に位置する先端には、連結部材34A,34Bに係止する係止部39が設けられている。この係止部39は、棒状をなす本体の先端に一対のネジ止め孔40a,40bを設け、これらネジ止め孔40a,40bに別体の係止部材41を選択的にネジ止めして取り付けることにより、リンク部材37A,37B全体の長さ調節を可能に構成している。係止部材41は、リンク部材37A,37B全体の長さを更に微調整するための長孔42を備えている。そして、この係止部材41の先端には、中框13A,13B内に位置する一対の連結部材34A,34Aおよび連結部材34B,34Bの係止孔36に挿入される金属製係止棒43が、両側から突出するようにインサート成型されている。
【0026】
前記操作部材48A,48Bを移動可能に配設する基枠44は樹脂製であり、図6に示すように、中桟14の係合溝25に係合する係合段部45を備えた長方形状の板材からなる。この基枠44の中央には、断面略T字形状に突出するガイド枠部46が横方向に延びるように突設されている。また、この基枠44の中央には、前記リンク部材37A,37Bを挿通する凹状に窪んだ挿通溝47が縦方向に延びるように設けられている。この基枠44は、前記中桟14に対して、挿通溝47が貫通孔26に一致するように配置され、ネジ止めにより固定される。
【0027】
前記操作部材48A,48Bは樹脂製であり、横長部材の1つである中桟14に基枠44を介して横方向に移動可能で、かつ、中框13A,13Bの近傍に位置するように配設されるものである。この操作部材48A,48Bの室内側に位置する正面には、一端に中桟14の係合溝25の内壁面に当接して位置決めされる位置決め片49が突設されるとともに、他端に基枠44のガイド枠部46内に位置決めされる位置決め段部50が設けられている。また、中桟14の枠壁24の先端と略一致するように、一対の開閉操作部51a,51bが突設されている。さらに、この操作部材48A,48Bの背部には、リンク部材37A,37Bの係合凸部38を摺動可能に係合するガイド溝52が設けられている。このガイド溝52は、横方向に延びるととともに縦方向に傾斜するように設けられている。具体的には、このガイド溝52は、長方形状をなす操作部材48A,48Bに対して略対角線上に延びるように形成され、その一端には外周壁から該ガイド溝52内に連通させる開口部53が形成されている。そして、この開口部53からリンク部材37A,37Bの係合凸部38が挿入されてガイド溝52内に係合され、操作部材48A,48Bの横方向の操作により、このガイド溝52の縦方向の傾斜に従ってリンク部材37A,37Bが上下動されるように構成している。なお、操作部材48A,48Bは同一部品であり、操作部材48Aに対して操作部材48Bは180度回転させた状態で配置される。
【0028】
図2および図4に示すように、本実施形態では、縦方向上側に位置する操作部材48Aは、上桟12A(第1の横長部材)および中桟14(第2の横長部材)間に位置する縦方向上側の第1のルーバー27A,27Aを開閉操作する。また、縦方向下側に位置する操作部材48Bは、中桟14(第2の横長部材)および下桟12B(第3の横長部材)間に位置する縦方向下側の第2のルーバー27B,27Bを開閉操作する。そして、これら操作部材48A,48Bによる開閉操作方向は、横方向においてそれぞれ同一向きとなるように構成し、その方向性を示す表示部54が設けられている。しかも、これら操作部材48A,48Bは、縦方向に隣接し、横方向に一致する位置に配置され、各ルーバー27A,27Bの同一回転角度では、横方向の移動距離は勿論、横方向の位置も一致するように構成されている。
【0029】
前記開閉機構により開閉されるルーバー27A,27Bは、縦框11A,11Bおよび中框13A,13Bの長さと、これらの間の間隔に合わせて形成され、その両端に固定片28A,28Bを介して縦枠材19が配設される。また、各縦枠材19の内部には、連結部材34A,34Bが配設され、この連結部材34A,34Bにそれぞれ固定片28A,28Bが連結される。そして、この状態で、縦框11A,11Bおよび中框13A,13Bの装着部15A,18,18,15B内に嵌入させられる。
【0030】
その後、操作部材48A,48Bの各開口部53と中桟14の貫通孔26とが縦方向に一致するように移動され、この状態で、ガイド溝52内にリンク部材37A,37Bの係合凸部38を挿入した後、係止部39の金属製係止棒43を中框13A,13B内に位置する連結部材34A,34A,34B,34Bの係止孔36にそれぞれ挿入して係止することにより組み立てられる。
【0031】
このように、本発明の雨戸10におけるルーバー27A,27Bの開閉機構は、従来と同様の固定片28A,28Bを連結した連結部材34A,34Bを進退移動させるために、リンク部材37A,37Bと操作部材48A,48Bとを配設しただけであるため、その構成が簡素化されている。そのため、組立作業性を向上できるとともにコストダウンを図ることができる。
【0032】
次に、前記操作部材48A,48Bの操作に伴って開閉機構を介してルーバー27A,27Bを開閉させる動作について具体的に説明する。
【0033】
まず、図2に示す操作部材48A,48Bの中立位置では、ルーバー27A,27Bは、全閉状態と全開状態との間の半開状態となっている。そして、この状態で、図7に示すように、操作部材48A,48Bをそれぞれ横方向左側に移動させると、各ルーバー27A,27Bは、各上下端に隣接するルーバー27A,27Bがオーバーラップした全閉状態となる。具体的には、まず、操作部材48A,48Bが左側に移動されると、そのガイド溝52の傾斜に従って各リンク部材37A,37Bが、中框13A,13B内において縦方向上向きに移動される。そうすると、図4(A)に示すように、リンク部材37A,37Bの移動に連動して、中框13A,13B内に位置する一対の連結部材34A,34Aおよび34B,34Bがそれぞれ一体的に上向きに移動される。その結果、各連結部材34A,34Bに従動して固定片28A,28Bのピン結合部32が上向きに移動される。これにより、移動不可能な縦枠材19に挿通された固定片28A,28Bの基部30が取付孔29を中心として回転し、基部30と同軸の固定部31に取り付けられた全てのルーバー27A,27Bが一体的に回転し、閉状態となる。また、両端の縦框11A,11Bでは、ルーバー27A,27Bの回転に従って、固定片28A,28Bが回転されるとともに、連結部材34A,34Bが上向きに移動する。
【0034】
一方、図8に示すように、操作部材48A,48Bをそれぞれ横方向右側に移動させると、各ルーバー27A,27Bは、略水平に回動した全開状態となる。具体的には、まず、操作部材48A,48Bが右側に移動されると、そのガイド溝52の傾斜に従って各リンク部材37A,37Bが、中框13A,13B内において縦方向下向きに移動される。そうすると、図4(B)に示すように、リンク部材37A,37Bの移動に連動して、中框13A,13B内に位置する一対の連結部材34A,34Aおよび34B,34Bがそれぞれ一体的に下向きに移動される。その結果、各連結部材34A,34Bに従動して固定片28A,28Bのピン結合部32が下向きに移動される。これにより、移動不可能な縦枠材19に挿通された固定片28A,28Bの基部30が取付孔29を中心として回転し、基部30と同軸の固定部31に取り付けられた全てのルーバー27A,27Bが一体的に回転し、開状態となる。また、両端の縦框11A,11Bでは、ルーバー27A,27Bの回転に従って、固定片28A,28Bが回転されるとともに、連結部材34A,34Bが下向きに移動する。
【0035】
このように、本発明の雨戸10では、操作部材48A,48Bの横方向の操作を、ガイド溝52によりリンク部材37A,37Bの縦方向の移動に変換し、このリンク部材37A,37Bの移動で、同一方向の移動である連結部材34A,34Bを連動させて進退させ、固定片28A,28Bを介してルーバー27A,27Bを回転させる。即ち、大きな抵抗や摩擦力が生じる直線的な移動と回転方向の移動との変換は、ルーバー27A,27Bの開閉部分のみであるため、操作部材48A,48Bの操作によるルーバー27A,27Bの開閉操作に要する力を低減することができる。
【0036】
ここで、ルーバー27A,27Bを開閉させるために、リンク部材37A,37Bを縦方向に移動させる仕事量は、操作部材を縦方向に移動可能に配設して直接的に縦方向に移動させる場合と、前述のように操作部材48A,48Bを横方向に移動可能としてガイド溝52を介して間接的に縦方向に移動させる場合とでは同一である。しかし、本実施形態のように、横方向に延び縦方向に傾斜するガイド溝52を適用した場合、その操作量(距離)は長くなるが、必要な操作力は少なくできる。言い換えれば、ガイド溝52の横方向の長さを変更することにより、縦方向の傾斜角度を変更し、開閉操作に必要な力を容易に軽減できる。しかも、ガイド溝52の横方向の寸法を大きくした場合、操作量に伴うルーバー27A,27Bの回転角度が小さくなるため、ルーバー27A,27Bの回転角度の微調整を簡単に行うことができる。
【0037】
また、操作部材を縦方向に移動可能に配設した場合には、室外からルーバー27A,27Bを直接回転させると、リンク部材37A,37Bを連動させて簡単に開閉できるため、防犯の面で難点があるが、本実施形態では、ルーバー27A,27Bを直接回転させようとした場合、リンク部材37A,37Bの係合凸部38がガイド溝52の内壁に当接するため、リンク部材37A,37Bを移動させることはできない。そのため、防犯に係る問題も十分に解消できる。
【0038】
さらに、本実施形態の雨戸10は、縦框11A、中框13A,13Bおよび縦框11Bの3列の縦長部材を有する構成であり、その中間部分の中框13A,13Bの近傍に位置するように、操作部材48A,48Bを配設し、中框13A,13B内に位置するようにリンク部材37A,37Bを配設する構成としている。その結果、リンク部材37A,37Bは、直線的に延びる棒状部材により構成できるため、操作部材48A,48Bの操作力を、無駄なくルーバー27A,27Bの開閉操作力として作用させることができる。
【0039】
また、中桟14を境界として上側に位置するルーバー27A,27Aを開閉操作する操作部材48Aと、下側に位置するルーバー27B,27Bを開閉操作する操作部材48Bとは、その開操作方向および閉操作方向が同一向きであるため、ユーザが上下のルーバー27A,27Bの開閉操作する際に困惑を与えることを防止でき、利便性を向上できる。
【0040】
しかも、前記第1および第2の操作部材48A,48Bは、縦方向に隣接する位置に設けられ、各ルーバー27A,27Bの同一回転角度では、横方向の移動距離が一致するため、ユーザが各ルーバー27A,27Bの回転角度を調整する際の利便性を向上できる。即ち、ルーバー27A,27Bの回転角度を細かく調整する場合、その目線に位置するルーバー27A,27Bを凝視した状態で操作部材48A,48Bを操作するのが一般的である。しかし、中桟14を境界として上下にルーバー27A,27Bを配設するような縦長の雨戸10では、例えば下側のルーバー27Bを凝視するには屈んだ状態で操作部材48Bを操作する必要がある。しかし、本実施形態では、操作部材48A,48Bを横方向に一致する箇所に操作すれば、上下のルーバー27A,27Bを同一回転角度とすることができる。そのため、ユーザは、目線から離れた部分に位置するルーバー27A,27Bの回転角度を調整する際に無理な姿勢で行う必要がないため、利便性を向上できる。
【0041】
なお、本発明の可動ルーバー型雨戸は、前記実施形態の構成に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。
【0042】
例えば、図9に示すように、雨戸10の取付場所の関係で、前記実施形態より縦方向の長さが短く、中桟14を設けない構成の場合には、操作部材48は1つのみでよい。また、図10に示すように、雨戸10の取付場所の関係で、前記実施形態より横方向の長さが短く、中框13A,13Bを設けない構成の場合には、操作部材48A,48Bは一方の縦框11Bの近傍に位置するように配設する。この場合、図11に示すように、リンク部材37A,37Bには、その先端が縦框11B内を縦方向に延びるように、屈曲部55を設けることが好ましい。
【0043】
また、前記実施形態では、リンク部材37A,37Bを、棒状の本体と別体の係止部材41とで構成したが、これらは一体に形成してもよい。勿論、その係止部39と連結部材34A,34Bとの係止構造は、孔36と棒43に限られず、希望に応じて変更が可能である。
【0044】
さらに、前記実施形態では、リンク部材37A,37B、基枠44および操作部材48A,48Bは、樹脂により形成したが、金属により形成してもよく、その成形材料は希望に応じて変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明に係る実施形態の雨戸を示す正面図である。
【図2】図1の一部を破断した要部拡大図である。
【図3】図1の要部拡大断面図である。
【図4】開閉機構によるルーバーの開閉状態を示す側面図である。
【図5】開閉機構の斜視図である。
【図6】リンク機構の分解斜視図である。
【図7】ルーバーの閉状態を示す要部拡大図である。
【図8】ルーバーの開状態を示す要部拡大図である。
【図9】雨戸の変形例を示す正面図である。
【図10】雨戸の他の変形例を示す正面図である。
【図11】図10の雨戸に適用するリンク部材の構成を示すリンク機構の分解斜視図である。
【符号の説明】
【0046】
10…雨戸
11A,11B…縦框(縦長部材)
12A,12B…上下桟(横長部材)
13A,13B…中框(縦長部材)
14…中桟(横長部材)
19…縦枠材
27A,27B…ルーバー
28A,28B…固定片
34A,34B…連結部材
37A,37B…リンク部材
38…係合凸部
39…係止部
44…基枠
48A,48B…操作部材
52…ガイド溝

【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれ平行な少なくとも第1および第2の縦長部材と、
これら縦長部材に対して直交方向に延びる少なくとも第1および第2の横長部材と、
前記縦長部材の対向面に、所定間隔をもって回転可能に配設した複数の固定片と、
前記縦長部材間に並設され、その両端を前記固定片に固定した複数のルーバーと、
前記縦長部材内で前記固定片にピン結合され、縦方向に進退することにより、各固定片を連動させて正逆転させる連結部材と、
いずれかの前記縦長部材内を縦方向に延び、前記連結部材に係止する係止部を有するとともに、係合凸部を有するリンク部材と、
前記リンク部材を配設した縦長部材の近傍で、かつ、いずれかの前記横長部材に横方向に移動可能に配設され、横方向に延びるとともに縦方向に傾斜し前記リンク部材の係合凸部を摺動可能に係合するガイド溝を有する操作部材と
を備えたことを特徴とする可動ルーバー型雨戸。
【請求項2】
前記第2の縦長部材に隣接する第3の縦長部材を更に設け、
中央に位置する前記第2の縦長部材を境界として横方向の両側に、それぞれ前記固定片および連結部材により回転されるルーバーを配設し、
前記第2の縦長部材の近傍に前記操作部材を配設するとともに、前記リンク部材の係止部を、前記第2の縦長部材内に位置する一対の連結部材に係止したことを特徴とする請求項1に記載の可動ルーバー型雨戸。
【請求項3】
前記第2の横長部材に隣接する第3の横長部材を更に設け、
中央に位置する前記第2の横長部材を境界として縦方向の両側に、異なる第2の連結部材、第2の操作部材および第2のリンク部材により開閉可能とした第2のルーバーを更に設けたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の可動ルーバー型雨戸。
【請求項4】
前記第1および第2の横長部材間に位置する第1のルーバーを開閉操作する第1の操作部材と、前記第2および第3の横長部材間に位置する第2のルーバーを開閉操作する第2の操作部材とは、その開操作方向および閉操作方向が同一向きであることを特徴とする請求項3に記載の可動ルーバー型雨戸。
【請求項5】
前記第1および第2の操作部材は、縦方向に隣接する位置に設けられ、第1のルーバーおよび第2のルーバーの同一回転角度では、横方向の移動距離が略一致するようにしたことを特徴とする請求項4に記載の可動ルーバー型雨戸。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2007−40016(P2007−40016A)
【公開日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−226788(P2005−226788)
【出願日】平成17年8月4日(2005.8.4)
【出願人】(500047697)タナカ工業株式会社 (1)
【Fターム(参考)】