説明

可変分光素子

【課題】光学基板に備わるアクチュエータの特性のバラツキにかかわることなく、高速且つ正確に光学特性を変化させることのできる可変分光素子を提供する。
【解決手段】第1〜第4センサが、一対の光学基板の対向面の重心を結んだ線を軸として対称となる位置に配置された可変分光素子であって、第1〜第4アクチュエータ4〜4の各々が、一対の光学基板の対向面の重心から第1〜第4センサの各々の中心方向へ伸びる線の線上に配置され、第1〜第4センサの信号から、一対の光学基板の対向面の重心同士の間隔を算出し、第1・第3センサの信号、第2・第4センサの信号から、夫々、移動させる光学基板の対向面と重心を結んだ線に垂直な面がなす第1の角度、第2の角度を算出し、第1・第2センサの信号から夫々の配置位置での一対の光学基板の対向面同士の面間隔との差分を算出し、間隔、角度、差分に基づいて第1〜第4アクチュエータを駆動する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可変分光素子に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、空間を隔てて対向するように配置された一対の光学基板のいずれか一方又は両方を、ピエゾ素子のようなアクチュエータを用いて移動させることにより、それらの光学基板の対向する面同士又はその面上に形成された反射膜同士の面間隔(以下、総称して「光学基板の面間隔」という。)を変化させ、光学特性を変化させることのできる可変分光素子として、エタロン装置と制御部とを備えたものが知られている(例えば、特許文献1参照。)
【0003】
また、このような可変分光素子においては、光学基板の面間隔を所望の間隔とするために、対向する面上にその面間隔を測定するための静電容量センサを配置し、その静電容量センサにより所定のサンプリング周期で現在の面間隔を測定し、測定した面間隔と所望の面間隔との比較を行い、その比較の結果に基づいてアクチュエータを駆動させて面間隔の調整を行うものが知られている(例えば、特許文献2参照。)。
【0004】
ところで、特許文献1,2に記載されているような可変分光素子は、例えば、分光特性を連続的に変化させた画像の取得を行う分光内視鏡装置等において用いるときのように、連続的且つ高速に光学特性を変化させなければならない場合、画像取得のサンプリング周期の1フレームという極めて短い時間内に、アクチュエータを制御して光学基板の面間隔を変化させなければならない。
【0005】
また、特許文献1,2に記載されているような可変分光素子の光学特性は、一対の光学基板の対向する面同士又はその面上に形成された反射膜同士の平行度に大きく影響を受けるため、アクチュエータの制御は正確なものでなければならない。
【0006】
しかし、特許文献1,2に記載されているような可変分光素子のように、光学基板の面間隔と対向する面の平行度を4つの静電容量センサからの出力量に基づいて制御しようとする場合、アクチュエータ同士の相互の干渉を考慮して4つのアクチュエータを制御する必要がある。そして、そのような演算処理は複雑であるため、制御に時間がかかり、光学特性の変化を高速にすることができないという問題があった。
【0007】
この問題に対し、本件出願人は、高速且つ正確に光学特性を変化させることのできる可変分光素子として、特許文献3に記載の可変分光素子を着想した。
特許文献3に記載の可変分光素子は、4つのアクチュエータの配置位置における一対の光学基板の面間隔から求まる光学基板の重心位置の制御と、一対の光学基板の対向する面の各々の重心を結んだ線を軸として対向する2組のアクチュエータの配置位置における該一対の光学基板の対向する面同士の面間隔の差分から求まる光学基板の2方向の回転角度の制御とを切り分けることで、アクチュエータ同士の相互を非干渉化させ、光学特性を高速に変化させることができるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2008−129149号公報
【特許文献2】特開平6−241899号公報
【特許文献3】特願2010−078213号明細書及び図面
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、特許文献3に記載の可変分光素子は、光学基板の重心制御において、4つのアクチュエータに同一信号を入力するようになっている。このため、特許文献3に記載の可変分光素子においては、4つのアクチュエータの特性が略同一であることが必要とされる。
また、特許文献3に記載の可変分光素子は、光学基板の回転角度の制御において、回転角度が0度となるように、一対の光学基板の対向する面の各々の重心を結んだ線を軸として対向するアクチュエータに極性の異なる信号を入力する。このため、特許文献3に記載の可変分光素子によれば、上記対向するアクチェータの特性に差があったとしてもその差を吸収して角度が0度となるように調整することが可能である。
しかし、特許文献3に記載の可変分光素子において、このアクチュエータの特性の差を吸収できるのが光学基板の回転角度の制御のみであって、光学基板の回転角度の制御は光学基板の面間隔の制御には関与していない。
このため、特許文献3に記載の可変分光素子では、アクチュエータの特性にバラツキがあると、光学基板の重心位置、回転角度を所望の値に制御しても、一対の光学基板の対向する面の各々の重心を結んだ線を軸として対向する2組のアクチュエータの配置位置での光学基板の面間隔が異なり、光学基板の面に撓みが発生するおそれがある。光学基板の面に撓みが生ずると、透過する波長の帯域が拡がる強度が低下する等、波長の分解度が悪くなる。
【0010】
図18は特許文献3に記載の可変分光素子において、光学基板の重心位置と回転角度を所望の値に調整したときのアクチュエータの配置位置での光学基板の状態を模式的に示す説明図である。
図18(a)は光学基板に備わる4つのアクチュエータx1〜x4の特性が等しい場合の一例である。
図18(a)の例では、可変分光素子を制御した結果、光学基板の重心位置は(500+500+500+500)/4=500nmとなり、光学基板の2方向(直線L13に沿う方向と直線L24に沿う方向)での回転角度は、角度θ1=k1(x1−x3)=0度、角度θ2=k2(x2−x4)=0度となっている。
このとき、光学基板は、500nmの位置で面全体が平坦な状態で水平に配置される。
【0011】
これに対し、図18(b)の例は、光学基板に備わる4つのアクチュエータx1’〜x4’の特性が異なる場合の一例である。
図18(b)の例では、可変分光素子を制御した結果、光学基板の重心位置は(520+480+520+480)/4=500nmとなり、光学基板における2方向(直線L1’3’に沿う方向と直線L2’4’に沿う方向)の回転角度は、角度θ1’=k1(x1’−x3’)=0度、角度θ2’=k2(x2’−x4’)=0度となっている。
しかし、図18(b)の例では、アクチュエータx1’,x3'の配置位置における光学基板の面間隔が520nm、アクチュエータx2’,x4'の配置位置における光学基板の面間隔が480nmとなっており、光学基板はアクチュエータx2’,x4'の配置位置を結ぶ直線L2’4’に沿う方向の面を谷として撓んでいる。
【0012】
このように、特許文献3に記載の可変分光素子においては、図18(b)に示すような、アクチュエータの特性にバラツキがある場合には、重心位置や回転角度を所望の値に制御しても、上述したように、アクチュエータの特性の差を吸収できるのが光学基板の回転角度の制御のみであって、光学基板の回転角度の制御が光学基板の面間隔の制御には関与しないため、アクチュエータの配置位置における光学基板の面間隔が異なることによって、光学基板に撓みを生じさせてしまい、高精度な制御を行うことができないという問題がある。
【0013】
本発明は、このような従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、光学基板に備わるアクチュエータの特性のバラツキ如何にかかわることなく、高速且つ正確に光学特性を変化させることのできる可変分光素子を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成するため、本発明による可変分光素子は、間隔を隔てて対向するように配置された一対の光学基板と、各々が前記一対の光学基板の対向する面の夫々に配置された一対の電極部を有していて各々の配置位置における前記一対の光学基板の対向する面同士の面間隔を検出する第1乃至第4静電容量センサと、前記一対の光学基板の一方を他方に対して相対的に移動させて前記一対の光学基板の対向する面同士の面間隔を変化させる第1乃至第4アクチュエータを備えた可変分光素子において、前記第1静電容量センサと前記第3静電容量センサとが、前記一対の光学基板の対向する面の各々の重心を結んだ線を軸として対称となる位置に配置され、前記第2静電容量センサと前記第4静電容量センサとが、前記一対の光学基板の対向する面の各々の重心を結んだ線を軸として対称となる位置に配置されるとともに、前記第1乃至第4アクチュエータの各々が、前記一対の光学基板の対向する面の各々の重心から前記第1乃至第4静電容量センサの各々の中心方向へ伸びる線の線上に配置されており、前記第1乃至第4静電容量センサによる信号から前記一対の光学基板の対向する面の各々の重心同士の間隔を算出し、前記第1静電容量センサによる信号と前記第3静電容量センサによる信号とから前記重心を結んだ線に垂直な面と前記一対の光学基板の対向する面のうち相対的に移動させる一方の光学基板の面とがなす第1の角度を算出し、前記第2静電容量センサによる信号と前記第4静電容量センサによる信号とから前記重心を結んだ線に垂直な面と前記一対の光学基板の対向する面のうち相対的に移動させる一方の光学基板の面とがなす第2の角度を算出し、前記第1静電容量センサによる信号と前記第2静電容量センサによる信号から前記一対の光学基板における前記第1アクチュエータの配置位置での前記一対の光学基板の対向する面同士の面間隔と前記一対の光学基板における前記第2アクチュエータの配置位置での前記一対の光学基板の対向する面同士の面間隔との差分を算出し、前記重心同士の間隔及び前記第1の角度及び前記第1アクチュエータの配置位置での前記一対の光学基板の対向する面同士の面間隔と前記第2アクチュエータの配置位置での前記一対の光学基板の対向する面同士の面間隔との差分に基づいて前記第1及び第3アクチュエータを駆動し、前記重心同士の間隔及び前記第2の角度及び前記第1アクチュエータの配置位置での前記一対の光学基板の対向する面同士の面間隔と前記第2アクチュエータの配置位置での前記一対の光学基板の対向する面同士の面間隔との差分に基づいて前記第2及び第4アクチュエータを駆動し、前記重心同士の間隔の算出から前記第2及び第4アクチュエータの駆動に至るまでの処理を、前記第1アクチュエータの配置位置での前記一対の光学基板の対向する面同士の面間隔と前記第2アクチュエータの配置位置での前記一対の光学基板の対向する面同士の面間隔との差分が略ゼロとなるまで繰り返す制御部を備えていることを特徴としている。
【0015】
また、本発明の可変分光素子においては、前記第1乃至第4静電容量センサの各々と前記第1乃至第4アクチュエータの各々とが、前記一対の光学基板の対向する面の各々の重心を結んだ線を軸として該軸に沿う方向からみて重なる位置に配置されており、以下の条件式を満足するのが好ましい。
1=x−rsinθ
2=x−rsinφ
3=x+rsinθ
4=x+rsinφ
但し、xは前記重心同士の間隔、x1〜x4はそれぞれ前記第1乃至第4静電容量センサの各々の配置位置における前記一対の光学基板の対向する面同士の面間隔、θは前記第1の角度、φは前記第2の角度、rは前記一対の光学基板の対向する面のうち相対的に移動させる一方の光学基板の面上における重心から前記第1乃至第4静電容量センサの配置位置までの距離である。
【0016】
また、本発明の可変分光素子においては、前記制御部が、前記第1乃至第4静電容量センサの各々の配置位置における前記一対の光学基板の対向する面同士の面間隔の平均から前記重心同士の間隔を算出し、前記第1及び第3静電容量センサの配置位置における前記一対の光学基板の対向する面同士の面間隔の差分から前記第1の角度を算出し、前記第2及び第4静電容量センサの配置位置における前記一対の光学基板の対向する面同士の面間隔の差分から前記第2の角度を算出するとともに、前記第1静電容量センサの配置位置における前記一対の光学基板の対向する面同士の面間隔と前記第2静電容量センサの配置位置における前記一対の光学基板の対向する面同士の面間隔との差分から前記第1アクチュエータの配置位置での前記一対の光学基板の対向する面同士の面間隔と前記第2のアクチュエータの配置位置での前記一対の光学基板の対向する面同士の面間隔との差分を算出するのが好ましい。
【0017】
また、本発明の可変分光素子においては、前記第1乃至第4静電容量センサの各々と前記第1乃至第4アクチュエータの各々とが、前記一対の光学基板の対向する面の各々の重心を結んだ線を軸として該軸に沿う方向からみて重なる位置に配置されており、以下の条件式を満足するのが好ましい。
x=(x1+x2+x3+x4)/4
θ=R1(x3−x1
φ=R2(x4−x2
但し、xは前記重心同士の間隔、x1〜x4はそれぞれ前記第1乃至第4静電容量センサの各々の配置位置における前記一対の光学基板の対向する面同士の面間隔、θは前記第1の角度、φは前記第2の角度、R1及びR2は所定の係数である。
【0018】
また、本発明による可変分光素子は、間隔を隔てて対向するように配置された一対の光学基板と、各々が前記一対の光学基板の対向する面の夫々に配置された一対の電極部を有していて各々の配置位置における前記一対の光学基板の対向する面同士の面間隔を検出する第1乃至第4静電容量センサと、前記一対の光学基板の一方を他方に対して相対的に移動させて前記一対の光学基板の対向する面同士の面間隔を変化させる第1乃至第4アクチュエータを備えた可変分光素子において、前記第1静電容量センサと前記第3静電容量センサとが、前記一対の光学基板の対向する面の各々の重心を結んだ線を軸として対称となる位置に配置され、前記第2静電容量センサと前記第4静電容量センサとが、前記一対の光学基板の対向する面の各々の重心を結んだ線を軸として対称となる位置に配置されるとともに、前記第1乃至第4静電容量センサと前記第1乃至第4アクチュエータとが、前記一対の光学基板の対向する面の各々の重心を結んだ線を軸として該軸に沿う方向からみて等間隔となる位置に交互に環状に配置されており、前記第1乃至第4静電容量センサによる信号から前記一対の光学基板の対向する面の各々の重心同士の間隔を算出し、前記第1乃至第4の静電容量センサによる信号から前記一対の光学基板における前記第1乃至第4アクチュエータの配置位置での前記一対の光学基板の対向する面同士の面間隔を算出し、前記第1及び第3アクチュエータの各々の配置位置における前記一対の光学基板の対向する面同士の面間隔の値を用いて前記重心を結んだ線に垂直な面と前記一対の光学基板の対向する面のうち相対的に移動させる一方の光学基板の面とがなす第1の角度を算出し、前記第2及び第4アクチュエータの各々の配置位置における前記一対の光学基板の対向する面同士の面間隔の値を用いて前記重心を結んだ線に垂直な面と前記一対の光学基板の対向する面のうち相対的に移動させる一方の光学基板の面とがなす第2の角度を算出し、前記重心同士の間隔及び前記第1の角度及び前記第1アクチュエータの配置位置での前記一対の光学基板の対向する面同士の面間隔と前記第2アクチュエータの配置位置での前記一対の光学基板の対向する面同士の面間隔の差分に基づいて前記第1及び第3アクチュエータを駆動し、前記重心同士の間隔及び前記第2の角度及び前記第1アクチュエータの配置位置での前記一対の光学基板の対向する面同士の面間隔と前記第2アクチュエータの配置位置での前記一対の光学基板の対向する面同士の面間隔の差分に基づいて前記第2及び第4アクチュエータを駆動し、前記重心同士の間隔の算出から前記第2及び第4アクチュエータの駆動に至るまでの処理を、前記第1アクチュエータの配置位置での前記一対の光学基板の対向する面同士の面間隔と前記第2アクチュエータの配置位置での前記一対の光学基板の対向する面同士の面間隔の差分が略ゼロとなるまで繰り返す制御部を備えていることを特徴としている。
【0019】
また、本発明による可変分光素子は、間隔を隔てて対向するように配置された一対の光学基板と、各々が前記一対の光学基板の対向する面の夫々に配置された一対の電極部を有していて各々の配置位置における前記一対の光学基板の対向する面同士の面間隔を検出する第1乃至第4静電容量センサと、前記一対の光学基板の一方を他方に対して相対的に移動させて前記一対の光学基板の対向する面同士の面間隔を変化させる第1乃至第4アクチュエータを備えた可変分光素子において、前記第1静電容量センサと前記第3静電容量センサとが、前記一対の光学基板の対向する面の各々の重心を結んだ線を軸として対称となる位置に配置され、前記第2静電容量センサと前記第4静電容量センサとが、前記一対の光学基板の対向する面の各々の重心を結んだ線を軸として対称となる位置に配置されるとともに、前記第1乃至第4アクチュエータの各々が、前記一対の光学基板の対向する面の各々の重心から前記第1乃至第4静電容量センサの各々の中心方向へ伸びる線の線上に配置されており、前記第1乃至第4静電容量センサによる信号から前記一対の光学基板の対向する面の各々の重心同士の間隔を算出し、前記第1静電容量センサによる信号と前記第3静電容量センサによる信号とから前記重心を結んだ線に垂直な面と前記一対の光学基板の対向する面のうち相対的に移動させる一方の光学基板の面とがなす第1の角度を算出し、前記第2静電容量センサによる信号と前記第4静電容量センサによる信号とから前記重心を結んだ線に垂直な面と前記一対の光学基板の対向する面のうち相対的に移動させる一方の光学基板の面とがなす第2の角度を算出し、前記第1静電容量センサによる信号と前記第3静電容量センサによる信号とから前記一対の光学基板における前記第1アクチュエータの配置位置での前記一対の光学基板の対向する面同士の面間隔と前記一対の光学基板における前記第3アクチュエータの配置位置での前記一対の光学基板の対向する面同士の面間隔とを平均した第1の方向での面間隔の平均を算出し、前記第2静電容量センサによる信号と前記第4静電容量センサによる信号とから前記一対の光学基板における前記第2アクチュエータの配置位置での前記一対の光学基板の対向する面同士の面間隔と前記一対の光学基板における前記第4アクチュエータの配置位置での前記一対の光学基板の対向する面同士の面間隔とを平均した第2の方向での面間隔の平均を算出するとともに、前記第1の方向での面間隔の平均と前記第2の方向での面間隔の平均との差分を算出し、前記重心同士の間隔及び前記第1の角度及び前記第1の方向での面間隔の平均と前記第2の方向での面間隔の平均との差分に基づいて前記第1及び第3アクチュエータを駆動し、前記重心同士の間隔及び前記第2の角度及び前記第1の方向での面間隔の平均と前記第2の方向での面間隔の平均との差分に基づいて前記第2及び第4アクチュエータを駆動し、前記重心同士の間隔の算出から前記第2及び第4アクチュエータの駆動に至るまでの処理を、前記第1の方向での面間隔の平均と前記第2の方向での面間隔の平均との差分が略ゼロとなるまで繰り返す制御部を備えていることを特徴としている。
【0020】
また、本発明の可変分光素子においては、前記第1乃至第4静電容量センサの各々と前記第1乃至第4アクチュエータの各々とが、前記一対の光学基板の対向する面の各々の重心を結んだ線を軸として該軸に沿う方向からみて重なる位置に配置されており、以下の条件式を満足するのが好ましい。
1=x−rsinθ
2=x−rsinφ
3=x+rsinθ
4=x+rsinφ
但し、xは前記重心同士の間隔、x1〜x4はそれぞれ前記第1乃至第4静電容量センサの各々の配置位置における前記一対の光学基板の対向する面同士の面間隔、θは前記第1の角度、φは前記第2の角度、rは前記一対の光学基板の対向する面のうち相対的に移動させる一方の光学基板の面上における重心から前記第1乃至第4静電容量センサの配置位置までの距離である。
【0021】
また、本発明の可変分光素子においては、前記制御部が、前記第1乃至第4静電容量センサの各々の配置位置における前記一対の光学基板の対向する面同士の面間隔の平均から前記重心同士の間隔を算出し、前記第1及び第3静電容量センサの配置位置における前記一対の光学基板の対向する面同士の面間隔の差分から前記第1の角度を算出し、前記第2及び第4静電容量センサの配置位置における前記一対の光学基板の対向する面同士の面間隔の差分から前記第2の角度を算出するとともに、前記第1静電容量センサの配置位置における前記一対の光学基板の対向する面同士の面間隔と前記第3静電容量センサの配置位置における前記一対の光学基板の対向する面同士の面間隔の平均と前記第2静電容量センサの配置位置における前記一対の光学基板の対向する面同士の面間隔と前記第4静電容量センサの配置位置における前記一対の光学基板の対向する面同士の面間隔の平均との差分から前記第1の方向での面間隔の平均と前記第2の方向での面間隔の平均との差分を算出するのが好ましい。
【0022】
また、本発明の可変分光素子においては、前記第1乃至第4静電容量センサの各々と前記第1乃至第4アクチュエータの各々とが、前記一対の光学基板の対向する面の各々の重心を結んだ線を軸として該軸に沿う方向からみて重なる位置に配置されており、以下の条件式を満足するのが好ましい。
x=(x1+x2+x3+x4)/4
θ=R1(x3−x1
φ=R2(x4−x2
但し、xは前記重心同士の間隔、x1〜x4はそれぞれ前記第1乃至第4静電容量センサの各々の配置位置における前記一対の光学基板の対向する面同士の面間隔、θは前記第1の角度、φは前記第2の角度、R1及びR2は所定の係数である。
【0023】
また、本発明による可変分光素子は、間隔を隔てて対向するように配置された一対の光学基板と、各々が前記一対の光学基板の対向する面の夫々に配置された一対の電極部を有していて各々の配置位置における前記一対の光学基板の対向する面同士の面間隔を検出する第1乃至第4静電容量センサと、前記一対の光学基板の一方を他方に対して相対的に移動させて前記一対の光学基板の対向する面同士の面間隔を変化させる第1乃至第4アクチュエータを備えた可変分光素子において、前記第1静電容量センサと前記第3静電容量センサとが、前記一対の光学基板の対向する面の各々の重心を結んだ線を軸として対称となる位置に配置され、前記第2静電容量センサと前記第4静電容量センサとが、前記一対の光学基板の対向する面の各々の重心を結んだ線を軸として対称となる位置に配置されるとともに、前記第1乃至第4静電容量センサと前記第1乃至第4アクチュエータとが、前記一対の光学基板の対向する面の各々の重心を結んだ線を軸として該軸に沿う方向からみて等間隔となる位置に交互に環状に配置されており、前記第1乃至第4静電容量センサによる信号から前記一対の光学基板の対向する面の各々の重心同士の間隔を算出し、前記第1乃至第4の静電容量センサによる信号から前記一対の光学基板における前記第1乃至第4アクチュエータの配置位置での前記一対の光学基板の対向する面同士の面間隔を算出するとともに、前記一対の光学基板における前記第1及び第3アクチュエータの配置位置での前記一対の光学基板の対向する面同士の面間隔を平均した第1の方向の面間隔の平均と前記一対の光学基板における前記第2及び第4アクチュエータの配置位置での前記一対の光学基板の対向する面同士の面間隔を平均した第2の方向の面間隔の平均を算出し、前記第1及び第3アクチュエータの各々の配置位置における前記一対の光学基板の対向する面同士の面間隔の値を用いて前記重心を結んだ線に垂直な面と前記一対の光学基板の対向する面のうち相対的に移動させる一方の光学基板の面とがなす第1の角度を算出し、前記第2及び第4アクチュエータの各々の配置位置における前記一対の光学基板の対向する面同士の面間隔の値を用いて前記重心を結んだ線に垂直な面と前記一対の光学基板の対向する面のうち相対的に移動させる一方の光学基板の面とがなす第2の角度を算出し、前記重心同士の間隔及び前記第1の角度及び前記第1の方向での面間隔の平均と前記第2の方向での面間隔の平均との差分に基づいて前記第1及び第3アクチュエータを駆動し、前記重心同士の間隔及び前記第2の角度及び前記第1の方向での面間隔の平均と前記第2の方向での面間隔の平均との差分に基づいて前記第2及び第4アクチュエータを駆動し、前記重心同士の間隔の算出から前記第2及び第4アクチュエータの駆動に至るまでの処理を、前記第1の方向での面間隔の平均と前記第2の方向での面間隔の平均との差分が略ゼロとなるまで繰り返す制御部を備えていることを特徴としている。
【0024】
また、上記いずれかの本発明の可変光学素子においては、前記制御部の作動に際し、前記第1乃至第4アクチュエータの各々に対し、該各々のアクチュエータの特性差をキャンセルするためのオフセット電圧を印加する特性差補正電圧印加部を有するのが好ましい。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、光学基板に備わるアクチュエータの特性のバラツキ如何にかかわることなく、高速且つ正確に光学特性を変化させることのできる可変分光素子が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】実施例1に係る可変分光素子におけるエタロン装置を示す断面図である。
【図2】図1のエタロン装置の平面図である。
【図3】図1のエタロン装置に備わる一対の光学基板及び4つのピエゾ素子の作動を示す模式図である。
【図4】実施例1に係る可変分光素子における制御部の行う演算を示すブロック図である。
【図5】実施例1に係る可変分光素子における全体の制御構成を模式的に示すブロック図である。
【図6】図1のエタロン装置の応答特性を示すグラフであり、(a)は従来の可変分光素子により面間隔が制御された場合のグラフ、(b)は本実施例の可変分光素子により面間隔が制御された場合のグラフである。
【図7】光学基板にたわみのある可変光学素子の分光感度と光学基板にたわみのない可変光学素子の分光感度を示すグラフである。
【図8】実施例2に係る可変分光素子における制御部の行う演算を示すブロック図である。
【図9】実施例2に係る可変分光素子における全体の制御構成を模式的に示すブロック図である。
【図10】実施例3に係る可変分光素子における全体の制御構成を模式的に示すブロック図である。
【図11】実施例4に係る可変分光素子における全体の制御構成を模式的に示すブロック図である。
【図12】図1のエタロン装置の第1の変形例を示す平面図である。
【図13】図1のエタロン装置の第2の変形例を示す平面図である。
【図14】図1のエタロン装置の第3の変形例を示す平面図である。
【図15】図1のエタロン装置の第4の変形例を示す平面図である。
【図16】実施例5に係る可変分光素子におけるエタロン装置を示す断面図である。
【図17】図16のエタロン装置の平面図である。
【図18】特許文献3に記載の可変分光素子において、光学基板の重心位置と回転角度を所望の値に調整したときのアクチュエータの配置位置での光学基板の状態を模式的に示す説明図で、(a)は光学基板に備わる各アクチュエータの光学特性が等しい場合における光学基板の状態を示す図、(b)は光学基板に備わる各アクチュエータの光学特性にバラツキがある場合における光学基板の状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施例について、図面を用いて詳細に説明する。
【実施例1】
【0028】
図1は本実施例に係る可変分光素子におけるエタロン装置を示す断面図である。図2は図1のエタロン装置の平面図である。図3は図1のエタロン装置の一対の光学基板及び4つのピエゾ素子の作動を示す模式図である。図4は実施例1に可変分光素子における制御部の行う演算を示すブロック図である。図5は実施例1に係る可変分光素子における全体の制御構成を模式的に示すブロック図である。図6は図1のエタロン装置の応答特性を示すグラフであり、(a)は従来の可変分光素子により面間隔が制御された場合のグラフ、(b)は本実施例の可変分光素子により面間隔が制御された場合のグラフである。
【0029】
本実施例に係る可変分光素子は、図1及び図2に示すエタロン装置と、不図示の制御部とによって構成されている。
【0030】
まず、図1及び図2を用いて、この可変分光素子におけるエタロン装置の構成について説明する。
【0031】
このエタロン装置は、図1及び図2に示すように、外枠1の内部に、一対の光学基板2と、一対の光学基板2の対向する面同士の面間隔の測定手段である静電容量センサと、一対の光学基板2の一方の基板を移動させるためのアクチュエータであり、不図示の制御部により駆動を制御されるピエゾ素子を備えている。
【0032】
外枠1は、筒状部材11の端面の一方に環状部材12を、他方に環状部材13を取り付けて構成されている。
【0033】
また、環状部材12,13には、その略中央部に、円形の開口部12a,13aが形成されているが、このエタロン装置では、その開口部12a,13aを光が通過する。
【0034】
一対の光学基板2は、対向する面が空間を隔てて互いに平行になるように配置されている固定基板21と可動基板22とからなっている。それらのうち、固定基板21は、外枠1の内部において開口部12a,13aを通過する光の軸を横切るようにして外枠1の環状部材12に固定された円板状の光学部材である。一方、可動基板22は、開口部12a,13aを通過する光を横切るようにしてピエゾ素子に保持された円板状の光学部材である。
【0035】
このような一対の光学基板2は、可動基板22が、開口部12a,13aを通過する光の軸に沿う方向、すなわち、一対の光学基板の対向する面の各々の重心を結んだ線に沿う方向に、ピエゾ素子によって移動させられることにより、対向する面の間隔が変化し得るようになっている。
【0036】
第1静電容量センサ31、第2静電容量センサ32、第3静電容量センサ33、第4静電容量センサ34は、それぞれ、一対の電極311と312、321と322、331と332、341と342からなっている。そして、それらの一対の電極は、一対の光学基板2の対向する面上であって外枠1の開口部12a,13aを通過する光を遮らない位置に、互いに対向するようにして配置されている。
【0037】
なお、これらの静電容量センサは、電極間の静電容量が面間隔に反比例して変化する特性を有している。そして、このエタロン装置では、これらの静電容量センサにより取得した値を光学基板2の面間隔値に変換し不図示の制御部へ出力している。
【0038】
第1ピエゾ素子41、第2ピエゾ素子42、第3ピエゾ素子43、第4ピエゾ素子44は、それぞれ、外枠1の内部において開口12a,13aを通過する光を遮らないようにして外枠1の環状部材13に固定されている。
【0039】
そして、第1ピエゾ素子41は第1静電容量センサ31と、第2ピエゾ素子42は第2静電容量センサ32と、第3ピエゾ素子43は第3静電容量センサ33と、第4ピエゾ素子44は第4静電容量センサ34と、一対の光学基板2の対向する面の各々の重心を結んだ線に沿う方向からみて、重なる位置に配置されている。
【0040】
また、第1静電容量センサ31及び第1ピエゾ素子41と、第3静電容量センサ33及び第3ピエゾ素子43とは、一対の光学基板2の対向する面の各々の重心を結んだ線に沿う方向からみて、その重心を結んだ線を軸として対称となる位置に配置されている。
【0041】
一方、第2静電容量センサ32及び第2ピエゾ素子42と、第4静電容量センサ34及び第4ピエゾ素子44とは、一対の光学基板2の対向する面の各々の重心を結んだ線に沿う方向からみて、その重心を結んだ線を軸として対称となる位置に配置されている。
【0042】
つまり、第1静電容量センサ31及び第1ピエゾ素子41と、第2静電容量センサ32及び第2ピエゾ素子42と、第3静電容量センサ33及び第3ピエゾ素子43と、第4静電容量センサ34及び第4ピエゾ素子44とは、一対の光学基板2の対向する面の各々の重心を結んだ線に沿う方向からみて、等間隔に配置されている。
【0043】
次に、図3を用いて、本実施例に係る可変分光素子のエタロン装置における可動基板22の動作及びその制御について説明する。
【0044】
図3に示すように、固定基板21に対して可動基板22を移動させて一対の光学基板2の面間隔をx0にしようとする場合、従来のエタロン装置においては、一対の光学基板2の面間隔が目標値x0となるように、第1静電容量センサ31の出力値に基づいて第1静電容量センサ31の配置位置における面間隔が目標値x0となるように第1ピエゾ素子41を駆動させ、同様に、第2静電容量センサ32の出力値に基づいて第2ピエゾ素子42を、第3静電容量センサ33の出力値に基づいて第3ピエゾ素子43を、第4静電容量センサ34の出力値に基づいて第4ピエゾ素子44を駆動させていた。
【0045】
しかし、そのような制御では、例えば、第1ピエゾ素子41を正確に駆動させて第1静電容量センサ31の配置位置における一対の光学基板2の面間隔を目標値x0にしたとしても、その後、第1ピエゾ素子41に隣接するように配置されている第2ピエゾ素子42や第4ピエゾ素子44が駆動する際に生ずる干渉によって、目標値x0に対して面間隔が変化してしまうことがあった。
【0046】
そこで、その解消方法としては、PID制御(Proportional Integral Derivative Control)などのフィードバック制御を採用する方法があるが、その場合、光学基板の面間隔が目標値x0になるまでには長い時間が必要である。
【0047】
また、他の解消方法としては、各ピエゾ素子に対し、他のピエゾ素子等による干渉を事前に計算した値を指令値として与える方法があるが、その指令値の算出は非常に複雑になるため、同様に、一対の光学基板2の面間隔が目標値x0になるまでには長い時間が必要である。
【0048】
そこで、本実施例に係る可変分光素子では、第1〜第4静電容量センサ31,32,33,34による4つの出力値を、3つのパラメータに変換して演算を行い、第1〜第4ピエゾ素子41,42,43,44の駆動を制御している。
【0049】
ここで、図3〜図6を用いて、本実施例の可変分光素子の制御部の行う演算について詳細に説明する。
【0050】
本実施例の可変分光素子において、図3に示すように、固定基板21に対して可動基板22を移動させて一対の光学基板2の面間隔をx0にしようとする場合、まず、図4及び図5に示すように、制御部に目標入力部51を介して、固定基板21の対向する面の重心G1と可動基板22の対向する面の重心G2との間隔の目標値x0、それらの重心同士を結んだ線に垂直な面と可動基板22の対向する面とがなす第1の角度の目標値θ0及び第2の角度の目標値φ0を入力する。
【0051】
次に、センサ出力変換部52が、第1〜第4静電容量センサ31,32,33,34により測定された各静電容量センサの配置位置における一対の光学基板2の面間隔x1,x2,x3,x4を取得し、光学基板の面間隔x1と面間隔x2との差分値Δ(=|x2−x1|)を算出するとともに、それらの面間隔x1,x2,x3,x4を、重心G1と重心G2との間隔の現在値x、第1の角度の現在値θ及び第2の角度の現在値φに変換する。
なお、本実施例では、第1〜第4ピエゾ素子41〜44のそれぞれが、第1〜第4静電容量センサ31〜34のそれぞれと、一対の光学基板2の対向する面の各々の重心を結んだ線に沿う方向からみて、重なる位置に配置されている。このため、第1〜第4ピエゾ素子41〜44の配置位置における一対の光学基板2の対向する面同士の面間隔x41,x42,x43,x44は、第1〜第4静電容量センサ31〜34の配置位置における一対の光学基板2の対向する面同士の面間隔x1,x2,x3,x4に一致する。
【0052】
具体的には、一対の光学基板2の対向する面の各々の重心同士の間隔xは、以下の式により求められる。
x=(x1+x2+x3+x4)/4
【0053】
また、一対の光学基板2の対向する面の重心を結んだ線に垂直な面と可動基板22の固定基板21と対向する面とがなす第1の角度θ及び第2の角度φについては、既知の値である可動基板22の対向する面の重心G2から第1〜第4静電容量センサ31,32,33,34の電極312,322,332,342の中心までの固定基板22の対向する面上における距離r31,r32,r33,r34を用いて、以下の式が成り立つ。
sinθ=(x3−x1)/(r31+r33
sinφ=(x4−x2)/(r32+r34
【0054】
なお、本実施例においては、
31=r32=r33=r34=r
であり、第1の角度θ及び第2の角度φはいずれも十分に小さいため、第1の角度θ及び第2の角度φは以下の式により求められる。
θ=(x3−x1)/2r
φ=(x4−x2)/2r
【0055】
次に、差分値算出部53において、目標値入力部51を介して入力された目標値x0,θ0,φ0と、センサ出力変換部52で変換されたx,θ,φとの、それぞれの差分値ex,eθ,eφを算出する。
【0056】
次に、指令値算出部54において、差分値算出部53で算出された差分値ex,eθ,eφに基づいてPID制御を行い、指令値xc,θc,φcを求める。
【0057】
次に、指令値変換部55において、指令値算出部54で求めた指令値xc,θc,φcを第1〜第4ピエゾ素子41,42,43,44のそれぞれに対する指令値xc1,xc2,xc3,xc4に変換する。指令値変換部55は、次いで、センサ出力変換部52で算出した第1静電容量センサ31の配置位置における光学基板の面間隔x1と第2静電容量センサ32の配置位置における光学基板の面間隔x2との差分値Δ(=|x2−x1|)を用いて、指令値xc1,xc2,xc3,xc4を指令値xc1’,xc2’,xc3’,xc4’へと補正する。補正した指令値xc1’,xc2’,xc3’,xc4’はそれぞれ対応する第1〜第4ピエゾ素子41,42,43,44を駆動する図示しないピエゾ素子ドライバに入力され、このピエゾ素子入力ドライバにより第1〜第4ピエゾ素子41,42,43,44のそれぞれに駆動電圧が印加される。
【0058】
なお、第1〜第4ピエゾ素子41,42,43,44のそれぞれに対する指令値xc1,xc2,xc3,xc4については、既知の値である第1〜第4ピエゾ素子41,42,43,44の中心までの固定基板22の対向する面上における距離r41,r42,r43,r44を用いて、以下の式が成り立つ。
c1=xc−r41sinθc
c2=xc−r42sinθc
c3=xc+r43sinθc
c4=xc+r44sinθc
【0059】
また、本実施例においては、
41=r42=r43=r44=r
であり、第1の角度についての指令値θc及び第2の角度についての指令値φcはいずれも十分に小さいため、第1〜第4ピエゾ素子41,42,43,44のそれぞれに対する指令値xc1,xc2,xc3,xc4は、以下の式により求められる。
c1=x−rθc
c2=x−rφc
c3=x+rθc
c4=x+rφc
【0060】
このとき、本実施例の可変光学素子では、指令値変換部55は、光学基板の撓みを補正する制御を行う。即ち、指令値変換部55おいて、センサ出力変換部52で算出した第1静電容量センサ31の配置位置における光学基板の面間隔x1と第2静電容量センサ32の配置位置における光学基板の面間隔x2との差分値Δ(=|x2−x1|)を用いて、第1〜第4ピエゾ素子41,42,43,44のそれぞれに対する指令値xc1,xc2,xc3,xc4は、次の式xc1’,xc2’,xc3’,xc4’のように補正される。
c1’=x−rθc−(Δ/2)
c2’=x−rφc+(Δ/2)
c3’=x+rθc−(Δ/2)
c4’=x+rφc+(Δ/2)
【0061】
その後、第1〜第4ピエゾ素子41,42,43,44は、それぞれに対する上記式のように補正された指令値xc1’,xc2’,xc3’,xc4’に基づいてピエゾ素子ドライバにより印加される電圧により駆動され、可動基板22を移動させて、一対の光学基板2の面間隔xを変化させる。
【0062】
そして、本実施例の可変分光素子は、センサ出力変換部52、差分値算出部53、指令値算出部54、指令値変換部55におけるこれらの制御処理及びその制御処理に基づく第1〜第4ピエゾ素子41,42,43,44の駆動を、差分値Δ(=|x2−x1|)が略ゼロになるまで繰り返す。
【0063】
図6は可変分光素子においてフィードバック制御を行った際のエタロン装置の応答特性に関する実験結果を示すグラフである。なお、縦軸は一対の光学基板の面間隔(nm)、横軸は時間(sec)であり、(a)は従来の可変分光素子による実験結果、(b)は本実施例の可変分光素子による実験結果である。なお、この実験においては、破線で示すように、0.02秒ごとに目標値を切り替えて信号を入力している。
使用したエタロン光学基板の直径は約10mmであり、面間隔を0.02秒ごとに800nmと1000nmを移動させるように指令を出して制御している。
【0064】
この図6からもわかるように、本実施例の可変分光素子は、従来の可変分光素子に比べ、一対の光学基板の面間隔が収束するまでの時間が非常に短い。そのため、本発明の可変分光素子は、連続的且つ高速に光学特性を変化させる場合であっても、正確に光学特性を変化させることができる。
【0065】
加えて、本実施例では、指令値変換部55が、センサ出力変換部52で算出した第1静電容量センサ31の配置位置における光学基板の面間隔x1と第2静電容量センサ32の配置位置における光学基板の面間隔x2との差分値Δを用いて、光学基板の撓みを補正する制御を行うようにしたので、各軸のピエゾ特性にバラツキがあってもそのバラツキを加味して光学基板の重心位置、回転角度を調整できる。
【0066】
ここで、本実施例の撓み制御手段を備えた可変分光素子と、特許文献3に記載のような撓み制御手段を備えていない可変分光素子とにおける光学基板の撓みの差異に基づく分光感度の違いについて、試験データを用いて説明する。
図7は光学基板にたわみのある可変光学素子の分光感度と光学基板にたわみのない可変光学素子の分光感度を示すグラフである。
図7のデータに用いた撓みのある可変光学素子は、光学基板の撓みが50nm程度生じるものを用いた。また、光学基板にたわみのある可変光学素子と光学基板にたわみのない可変光学素子は、600nmの波長で感度が最大となるように設定されている。
光学基板のたわみなしのときは、約5nmのたわみ量、光学基板のたわみありのときは、50nmのたわみ量が生じており、光学基板間の面間隔を600nmに保つように制御している。この状態のときの分光感度特性を、光スペクトルアナライザを用いて測定した。
図7に示すように、光学基板に撓みのない可変光学素子はピーク波長がシャープになるが、光学基板に撓みのある可変光学素子は、分光感度が悪くなり、ピーク波長が横にひろがってしまい、分解能も悪化する。
しかるに、特許文献3に記載のような撓み制御手段を備えていない可変分光素子は、光学基板に備わる夫々のアクチュエータ特性のバラツキ等がある場合に光学基板の撓みをなくすことができず、正確に光学特性を変化させることができない。
これに対し、本実施例の可変分光素子は撓み制御手段を備えているので、光学基板に備わる2方向のアクチュエータ特性のバラツキ等があっても光学基板に撓みが生じないようにすることができる。このため、本実施例の可変光学素子によれば、エタロンに備わる2方向のアクチュエータの特性にバラツキ如何にかかわらず、高速且つ正確に光学特性を変化させることができる。
【0067】
上述のように、実施例1では、第1ピエゾ素子41の配置位置での一対の光学基板2の対向する面同士の面間隔と、第2ピエゾ素子42の配置位置での一対の光学基板2の対向する面同士の面間隔との差分値Δ(=|x2−x1|)を用いて、光学基板の撓みを補正する制御を行っている。これは、対向するアクチュエータ同士の特性の差が小さく、光学基板の回転角度を高精度に制御をすることができる、即ち、x1≒x3、x2≒x4と看做せる場合に適用できる場合の構成を示したものである。対向するアクチュエータ同士の特性の差が大きく、光学基板の回転角度を高精度に制御をすることが難しい場合にも適用可能とするには、次に説明する実施例2の可変光学素子のように構成するのが望ましい。
【実施例2】
【0068】
図8は実施例2に係る可変分光素子における制御部の行う演算を示すブロック図、図9は実施例2に係る可変分光素子における全体の制御構成を模式的に示すブロック図である。
実施例2は、対向するアクチュエータの配置位置における光学基板の面間隔の位置の差が大きく、光学基板の回転角度を高精度に制御をすることが難しい場合にも適用可能な例である。
対向するアクチュエータ同士の特性の差が大きい場合には、光学基板の回転角度を制御する精度が悪くなる。そこで、実施例2の可変光学素子は、第1の方向での対向するアクチェータの配置位置における光学基板の面間隔の平均と第2の方向での対向するアクチェータの配置位置における光学基板の面間隔の平均との差分を用いて撓み制御を行うように構成されている。なお、エタロン装置の構成は、図1〜図3に示した実施例1の構成と同じである。
【0069】
詳しくは、実施例2の可変光学素子では、図8及び図9に示すように、制御部に目標入力部51を介して、第1の角度の目標値θ0及び第2の角度の目標値φ0を入力後に、センサ出力変換部52が、第1〜第4静電容量センサ31,32,33,34により測定された各静電容量センサの配置位置における光学基板の面間隔x1,x2,x3,x4を取得し、光学基板の面間隔x1と面間隔x3の平均(x1+x3)/2と、面間隔x2と面間隔x4との平均(x2+x4)/2との差分値Δ’(=|(x1+x3)/2−(x2+x4)/2|)を算出するとともに、それらの面間隔x1,x2,x3,x4を、重心G1と重心G2との間隔の現在値x、第1の角度の現在値θ及び第2の角度の現在値φに変換する。
【0070】
また、差分値算出部53において差分値ex,eθ,eφを算出し、指令値算出部54において指令値xc,θc,φcを求めた後、指令値変換部55において、指令値算出部54で求めた指令値xc,θc,φcを第1〜第4ピエゾ素子41,42,43,44のそれぞれに対する指令値xc1,xc2,xc3,xc4に変換する。指令値変換部55は、次いで、センサ出力変換部52で算出した第1静電容量センサ31の配置位置における光学基板の面間隔x1と第3静電容量センサ33の配置位置における光学基板の面間隔x3の平均と第2静電容量センサ32の配置位置における光学基板の面間隔x2と第4静電容量センサ34の配置位置における光学基板の面間隔x4の平均との差分値Δ’(=|(x1+x3)/2−(x2+x4)/2|)を用いて、指令値xc1,xc2,xc3,xc4を指令値xc1”,xc2”,xc3”,xc4”へと補正する。補正した指令値xc1”,xc2”,xc3”,xc4”はそれぞれ対応する第1〜第4ピエゾ素子41,42,43,44を駆動する図示しないピエゾ素子ドライバに入力され、このピエゾ素子入力ドライバにより第1〜第4ピエゾ素子41,42,43,44のそれぞれに駆動電圧が印加される。
【0071】
なお、第1〜第4ピエゾ素子41,42,43,44のそれぞれに対する指令値xc1,xc2,xc3,xc4については、既知の値である第1〜第4ピエゾ素子41,42,43,44の中心までの固定基板22の対向する面上における距離r41,r42,r43,r44を用いて、以下の式が成り立つ。
c1=xc−r41sinθc
c2=xc−r42sinθc
c3=xc+r43sinθc
c4=xc+r44sinθc
【0072】
また、実施例2においても、
41=r42=r43=r44=r
であり、第1の角度についての指令値θc及び第2の角度についての指令値φcはいずれも十分に小さいため、第1〜第4ピエゾ素子41,42,43,44のそれぞれに対する指令値xc1,xc2,xc3,xc4は、以下の式により求められる。
c1=x−rθc
c2=x−rφc
c3=x+rθc
c4=x+rφc
【0073】
このとき、実施例2の可変光学素子では、指令値変換部55は、光学基板の撓みを補正する制御を行う。即ち、指令値変換部55おいて、センサ出力変換部52で算出した第1静電容量センサ31の配置位置における光学基板の面間隔x1と第3静電容量センサ33の配置位置における光学基板の面間隔x3の平均と第2静電容量センサ32の配置位置における光学基板の面間隔x2と第4静電容量センサ34の配置位置における光学基板の面間隔x4の平均との差分値Δ’(=|(x1+x3)/2−(x2+x4)/2|)を用いて、第1〜第4ピエゾ素子41,42,43,44のそれぞれに対する指令値xc1,xc2,xc3,xc4は、次の式xc1”,xc2”,xc3”,xc4”のように補正される。
c1”=x−rθc−(Δ’/2)
c2”=x−rφc+(Δ’/2)
c3”=x+rθc−(Δ’/2)
c4”=x+rφc+(Δ’/2)
【0074】
その後、第1〜第4ピエゾ素子41,42,43,44は、それぞれに対する上記式のように補正された指令値xc1”,xc2”,xc3”,xc4”に基づいてピエゾ素子ドライバにより印加される電圧により駆動され、可動基板22を移動させて、一対の光学基板2の面間隔xを変化させる。
【0075】
そして、実施例2の可変分光素子は、センサ出力変換部52、差分値算出部53、指令値算出部54、指令値変換部55におけるこれらの制御処理及びその制御処理に基づく第1〜第4ピエゾ素子41,42,43,44の駆動を、差分値Δ’(=|(x1+x3)/2−(x2+x4)/2|)が略ゼロになるまで繰り返す。
【0076】
実施例2の可変分光素子によれば、対向するアクチュエータ同士の特性の差が大きい場合であっても、光学基板の回転角度を高精度に制御をすることができるので、実施例1の可変分光素子の効果に加えてより正確に光学特性を変化させることができる。
【実施例3】
【0077】
図10は実施例3に係る可変分光素子における全体の制御構成を模式的に示すブロック図である。
実施例3の可変分光素子は、実施例1の可変光学素子の構成に加えて、可変制御部5の作動に際し、第1乃至第4アクチュエータの各々に対し、該各々のアクチュエータの特性差をキャンセルするためのオフセット電圧を印加する特性差補正電圧印加部6を有している。
特性差補正電圧印加部6は、例えば、第1〜第4ピエゾ素子41〜44の各々に対し、各々のピエゾ素子の特性差をキャンセルするために予め設定した固定のオフセット電圧値を格納したROM(図示省略)で構成されており、制御部5の作動に際し、第1〜第4ピエゾ素子41〜44の各々のチャネルに、夫々所定のオフセット電圧を印加する。
あるいは、特性差補正電圧印加部6は、上記ROMに加えて、温湿度センサ(図示省略)と、温湿度情報をキーとする第1〜第4ピエゾ素子41〜44の駆動特性(入力電圧に対する伸縮量)に応じたオフセット電圧のデータを格納したいわゆるルックアップテーブル(図示省略)とで構成し、制御部5の作動に際し、温湿度センサがリアルタイムで検知した温湿度情報に応じて、第1〜第4ピエゾ素子41〜44の各々のチャネルに印加するオフセット電圧を切り替えるようにしてもよい。
【0078】
実施例3の可変光学素子によれば、実施例1の可変光学素子の効果に加えて、制御部5の作動に際し、特性差補正電圧印加部6が第1乃至第4アクチュエータである第1乃至第4ピエゾ素子41〜44の特性差を極力減らすので、制御部5の演算負荷を減らすことができ、その分、高速且つ高精度に光学特性を変化させることができる。
そして、特性差補正電圧印加部6を固定のオフセット電圧値を格納したROM(図示省略)で構成した場合には、構成を簡略化できる。また、特性差補正電圧印加部6をオフセット電圧をリアルタイムで切り替えるように構成した場合には、環境変動や経時変化によるピエゾ素子の特性の変動にも対処でき、高精度に光学特性を変化させることができる。
その他の作用効果は、実施例1の可変光学素子と略同じである。
【実施例4】
【0079】
図11は実施例4に係る可変分光素子における全体の制御構成を模式的に示すブロック図である。
実施例4の可変分光素子は、実施例2の可変光学素子の構成に加えて、可変制御部5の作動に際し、第1乃至第4アクチュエータの各々に対し、該各々のアクチュエータの特性差をキャンセルするためのオフセット電圧を印加する特性差補正電圧印加部6を有している。
特性差補正電圧印加部6の構成は、実施例3の可変光学素子における特性差補正電圧印加部と略同じである。
【0080】
実施例4の可変光学素子によれば、実施例2の可変光学素子の効果に加えて、制御部5の作動に際し、特性差補正電圧印加部6が第1乃至第4アクチュエータである第1乃至第4ピエゾ素子41〜44の特性差を極力減らすので、制御部5の演算負荷を減らすことができ、その分、高速且つ高精度に光学特性を変化させることができる。特に、第1乃至第4ピエゾ素子41〜44の特性差が大きく、光学基板の回転角度の制御が難しい場合に有効である。
そして、特性差補正電圧印加部6を固定のオフセット電圧値を格納したROM(図示省略)で構成した場合には、構成を簡略化できる。また、特性差補正電圧印加部6をオフセット電圧をリアルタイムで切り替えるように構成した場合には、環境変動や経時変化によるピエゾ素子の特性の変動にも対処でき、高精度に光学特性を変化させることができる。
その他の作用効果は、実施例2の可変光学素子と略同じである。
【0081】
次に、図12〜図15を用いて上記各実施例の可変分光素子におけるエタロン装置の変形例を示す。
図12は図1のエタロン装置の第1の変形例を示す平面図である。図13は図1のエタロン装置の第2の変形例を示す平面図である。図14は図1のエタロン装置の第3の変形例を示す平面図である。図15は図1のエタロン装置の第4の変形例を示す断面図である。
【0082】
図12に示すエタロン装置は、上記各実施例の可変分光素子におけるエタロン装置と異なり、第1静電容量センサ31及び第1ピエゾ素子41と、第2静電容量センサ32及び第2ピエゾ素子42と、第3静電容量センサ33及び第3ピエゾ素子43と、第4静電容量センサ34及び第4ピエゾ素子44とは、一対の光学基板2の対向する面の各々の重心を結んだ線に沿う方向からみて、等間隔に配置されていない。
【0083】
しかし、このような配置であっても、第1静電容量センサ31及び第1ピエゾ素子41と第3静電容量センサ33及び第3ピエゾ素子43、第2静電容量センサ32及び第2ピエゾ素子42と第4静電容量センサ34及び第4ピエゾ素子44が、一対の光学基板2の対向する面の各々の重心を結んだ線に沿う方向からみて、その重心を結んだ線を軸として対称となる位置に配置されていれば、制御部において上記各実施例の可変分光素子のエタロン装置と同様の演算を行って制御を行うことができる。
【0084】
図13及び図14に示すエタロン装置は、上記各実施例の可変分光素子のエタロン装置と異なり、第1静電容量センサ31と第1ピエゾ素子41、第2静電容量センサ32及び第2ピエゾ素子42、第3静電容量センサ33及び第3ピエゾ素子43、第4静電容量センサ34及び第4ピエゾ素子44が、一対の光学基板2の対向する面の各々の重心を結んだ線に沿う方向からみて、重ならない位置に配置されている。
【0085】
しかし、このような配置であっても、一対の光学基板2の対向する面の各々の重心を結んだ線に沿う方向からみて、第1〜第4ピエゾ素子41,42,43,44の各々が、第1〜第4静電容量センサ31,32,33,34の各々の中心方向へ伸びる線の線上に配置されていれば、制御部において上記実施例の可変分光素子のエタロン装置と同様の演算を行って制御を行うことができる。
【0086】
図15に示すエタロン装置は、上記各実施例の可変分光素子におけるエタロン装置と異なり、外枠1を備えておらず、第1ピエゾ素子41、第2ピエゾ素子42、第3ピエゾ素子43、第4ピエゾ素子44が、それぞれ、エタロン装置を通過する光を遮らないようにして、固定基板21の対向する面上に固定されている。
【0087】
しかし、このような構成であっても、制御部において上記実施例の可変分光素子におけるエタロン装置と同様の演算を行って制御を行うことができる。
【実施例5】
【0088】
図16〜図17を用いて、本発明に係る可変分光素子である、エタロン装置を備えた可変分光素子の第5の実施例について説明する。なお、実施例5の可変分光素子におけるエタロン装置を構成する部材は、実施例1のエタロン装置を構成する部材と同じであるため、同じ構成を有する部材には、同一の符号を付すとともに、それらについての詳細な説明は省略する。また、実施例5の可変分光素子における制御部の構成や内部で行われる演算は、実施例1の可変分光素子における制御部で行われる演算とほぼ同じであるため、それらについての詳細な説明は省略する。
【0089】
なお、図16は本実施例に係る可変分光素子におけるエタロン装置を示す断面図である。図17は図16のエタロン装置の平面図である。
【0090】
図16及び図17を用いて、この可変分光素子におけるエタロン装置の構成について説明する。
【0091】
実施例5の可変分光素子におけるエタロン装置においては、実施例1の可変分光素子におけるエタロン装置と異なり、第1〜第4ピエゾ素子41,42,43,44と第1〜第4静電容量センサ31,32,33,34が、一対の光学基板2の対向する面の各々の重心を結んだ線に沿う方向からみて、交互に等間隔となるように環状に配置されている。
【0092】
次に、実施例5に係る可変分光素子におけるエタロン装置における可動基板22の動作及びその制御について説明する。
【0093】
実施例1の可変分光素子においては、第1〜第4静電容量センサ31,32,33,34の出力値から一対の光学基板2の対向する面の重心同士の間隔xを算出し、第1,第3静電容量センサ31,33の出力値から第1の角度θを算出し、第2,第4静電容量センサ32,34の出力値から第2の角度φを算出する。そして、第1,第3ピエゾ素子41,43の駆動を重心同士の間隔xと第1の角度θに基づいて制御し、第2,第4ピエゾ素子42,44の駆動を重心同士の間隔xと第2の角度φ、第1静電容量センサ31の配置位置における光学基板の面間隔x1と第2静電容量センサ32の配置位置における光学基板の面間隔x2との差分値Δに基づいて制御している。
【0094】
これに対し、実施例5の可変分光素子においては、第1〜第4静電容量センサ31,32,33,34の全ての出力値を用いて重心同士の間隔x、一対の光学基板2における第1〜第4ピエゾ素子41,42,43,44の配置位置での一対の光学基板2の対向する面同士の面間隔x41,x42,x43,x44を算出し、算出した面間隔x41,x42,x43,x44を用いて第1の角度θ及び第2の角度φを算出する。そして、実施例1の可変分光素子と同様、第1〜第4ピエゾ素子41,42,43,44それぞれの駆動を重心同士の間隔x、第1の角度θ及び第2の角度φ、第1ピエゾ素子41の配置位置における光学基板の面間隔x41と第2ピエゾ素子42の配置位置における光学基板の面間隔x42との差分値Δ(=|x42−x41|)に基づいて制御する。あるいは、実施例2の可変分光素子と同様、第1〜第4ピエゾ素子41,42,43,44それぞれの駆動を重心同士の間隔x、第1の角度θ及び第2の角度φ、第1ピエゾ素子41の配置位置における光学基板の面間隔x41と第3ピエゾ素子43の配置位置における光学基板の面間隔x43の平均と第2ピエゾ素子42の配置位置における光学基板の面間隔x42と第4ピエゾ素子44の配置位置における光学基板の面間隔x44の平均との差分値Δ’(=|(x41+x43)/2−(x42+x44)/2|)に基づいて制御する。
【0095】
このように、実施例5の可変分光素子では、静電容量センサ3と対応するピエゾ素子4とが、一対の光学基板2の対向する面の各々の重心を結んだ線に沿う方向からみて、重なる位置に配置されていないが、静電容量センサ3が検出した一対の光学基板2の対向する面同士の面間隔x1,x2,x3,x4を、第1〜第4ピエゾ素子41,42,43,44の配置位置における光学基板の面間隔x41,x42,x43,x44に変換しているため、実施例1と同一の制御を行うことができる。
【0096】
したがって、実施例5においても、実施例1の可変分光素子と同様に、従来の可変分光素子に比べて、一対の光学基板2の面間隔が収束するまでの時間が非常に短い。そのため、実施例5の可変分光素子は、連続的且つ高速に光学特性を変化させる場合であっても、正確に光学特性を変化させることができる。
加えて、実施例5においては、指令値変換部55が、センサ出力変換部52で算出した第1ピエゾ素子41の配置位置における光学基板2の面間隔x41と第2ピエゾ素子42の配置位置における光学基板2の面間隔x42との差分値Δ(=|x42−x41|)、あるいは、第1ピエゾ素子41の配置位置における光学基板の面間隔x41と第3ピエゾ素子43の配置位置における光学基板の面間隔x43の平均と第2ピエゾ素子42の配置位置における光学基板の面間隔x42と第4ピエゾ素子44の配置位置における光学基板の面間隔x44の平均との差分値Δ’(=|(x41+x43)/2−(x42+x44)/2|)を用いて、光学基板の撓み制御を行うようにしたので、各軸のピエゾ特性にバラツキがあってもそのバラツキを加味した値に重心位置、角度を調整できる。
このため、実施例5の可変光学素子によれば、エタロンに備わる2方向のアクチュエータの特性にバラツキがあっても、高速且つ正確に光学特性を変化させることができる。
【符号の説明】
【0097】
1 外枠
1 筒状部材
2,13 環状部材
2a,13a 開口部
2 一対の光学基板
1 固定基板
2 可動基板
1 第1静電容量センサ
2 第2静電容量センサ
3 第3静電容量センサ
4 第4静電容量センサ
11,312,321,322,331,332,341,342 電極
1 第1ピエゾ素子
2 第2ピエゾ素子
3 第3ピエゾ素子
4 第4ピエゾ素子
1 目標値入力部
2 センサ出力変換部
3 差分値演算部
4 指令値算出部
5 指令値変換部
6 特性差補正電圧印加部
1 固定基板の対向する面における重心
2 可動基板の対向する面における重心

【特許請求の範囲】
【請求項1】
間隔を隔てて対向するように配置された一対の光学基板と、
各々が前記一対の光学基板の対向する面の夫々に配置された一対の電極部を有していて各々の配置位置における前記一対の光学基板の対向する面同士の面間隔を検出する第1乃至第4静電容量センサと、
前記一対の光学基板の一方を他方に対して相対的に移動させて前記一対の光学基板の対向する面同士の面間隔を変化させる第1乃至第4アクチュエータを備えた可変分光素子において、
前記第1静電容量センサと前記第3静電容量センサとが、前記一対の光学基板の対向する面の各々の重心を結んだ線を軸として対称となる位置に配置され、
前記第2静電容量センサと前記第4静電容量センサとが、前記一対の光学基板の対向する面の各々の重心を結んだ線を軸として対称となる位置に配置されるとともに、
前記第1乃至第4アクチュエータの各々が、前記一対の光学基板の対向する面の各々の重心から前記第1乃至第4静電容量センサの各々の中心方向へ伸びる線の線上に配置されており、
前記第1乃至第4静電容量センサによる信号から前記一対の光学基板の対向する面の各々の重心同士の間隔を算出し、
前記第1静電容量センサによる信号と前記第3静電容量センサによる信号とから前記重心を結んだ線に垂直な面と前記一対の光学基板の対向する面のうち相対的に移動させる一方の光学基板の面とがなす第1の角度を算出し、
前記第2静電容量センサによる信号と前記第4静電容量センサによる信号とから前記重心を結んだ線に垂直な面と前記一対の光学基板の対向する面のうち相対的に移動させる一方の光学基板の面とがなす第2の角度を算出し、
前記第1静電容量センサによる信号と前記第2静電容量センサによる信号から前記一対の光学基板における前記第1アクチュエータの配置位置での前記一対の光学基板の対向する面同士の面間隔と前記一対の光学基板における前記第2アクチュエータの配置位置での前記一対の光学基板の対向する面同士の面間隔との差分を算出し、
前記重心同士の間隔及び前記第1の角度及び前記第1アクチュエータの配置位置での前記一対の光学基板の対向する面同士の面間隔と前記第2アクチュエータの配置位置での前記一対の光学基板の対向する面同士の面間隔との差分に基づいて前記第1及び第3アクチュエータを駆動し、
前記重心同士の間隔及び前記第2の角度及び前記第1アクチュエータの配置位置での前記一対の光学基板の対向する面同士の面間隔と前記第2アクチュエータの配置位置での前記一対の光学基板の対向する面同士の面間隔との差分に基づいて前記第2及び第4アクチュエータを駆動し、
前記重心同士の間隔の算出から前記第2及び第4アクチュエータの駆動に至るまでの処理を、前記第1アクチュエータの配置位置での前記一対の光学基板の対向する面同士の面間隔と前記第2アクチュエータの配置位置での前記一対の光学基板の対向する面同士の面間隔との差分が略ゼロとなるまで繰り返す制御部を備えていることを特徴とする可変分光素子。
【請求項2】
前記第1乃至第4静電容量センサの各々と前記第1乃至第4アクチュエータの各々とが、前記一対の光学基板の対向する面の各々の重心を結んだ線を軸として該軸に沿う方向からみて重なる位置に配置されており、以下の条件式を満足することを特徴とする請求項1に記載の可変分光素子。
1=x−rsinθ
2=x−rsinφ
3=x+rsinθ
4=x+rsinφ
但し、xは前記重心同士の間隔、x1〜x4はそれぞれ前記第1乃至第4静電容量センサの各々の配置位置における前記一対の光学基板の対向する面同士の面間隔、θは前記第1の角度、φは前記第2の角度、rは前記一対の光学基板の対向する面のうち相対的に移動させる一方の光学基板の面上における重心から前記第1乃至第4静電容量センサの配置位置までの距離である。
【請求項3】
前記制御部が、
前記第1乃至第4静電容量センサの各々の配置位置における前記一対の光学基板の対向する面同士の面間隔の平均から前記重心同士の間隔を算出し、
前記第1及び第3静電容量センサの配置位置における前記一対の光学基板の対向する面同士の面間隔の差分から前記第1の角度を算出し、
前記第2及び第4静電容量センサの配置位置における前記一対の光学基板の対向する面同士の面間隔の差分から前記第2の角度を算出するとともに、
前記第1静電容量センサの配置位置における前記一対の光学基板の対向する面同士の面間隔と前記第2静電容量センサの配置位置における前記一対の光学基板の対向する面同士の面間隔との差分から前記第1アクチュエータの配置位置での前記一対の光学基板の対向する面同士の面間隔と前記第2のアクチュエータの配置位置での前記一対の光学基板の対向する面同士の面間隔との差分を算出することを特徴とする請求項1に記載の可変分光素子。
【請求項4】
前記第1乃至第4静電容量センサの各々と前記第1乃至第4アクチュエータの各々とが、前記一対の光学基板の対向する面の各々の重心を結んだ線を軸として該軸に沿う方向からみて重なる位置に配置されており、以下の条件式を満足することを特徴とする請求項1に記載の可変分光素子。
x=(x1+x2+x3+x4)/4
θ=R1(x3−x1
φ=R2(x4−x2
但し、xは前記重心同士の間隔、x1〜x4はそれぞれ前記第1乃至第4静電容量センサの各々の配置位置における前記一対の光学基板の対向する面同士の面間隔、θは前記第1の角度、φは前記第2の角度、R1及びR2は所定の係数である。
【請求項5】
間隔を隔てて対向するように配置された一対の光学基板と、
各々が前記一対の光学基板の対向する面の夫々に配置された一対の電極部を有していて各々の配置位置における前記一対の光学基板の対向する面同士の面間隔を検出する第1乃至第4静電容量センサと、
前記一対の光学基板の一方を他方に対して相対的に移動させて前記一対の光学基板の対向する面同士の面間隔を変化させる第1乃至第4アクチュエータを備えた可変分光素子において、
前記第1静電容量センサと前記第3静電容量センサとが、前記一対の光学基板の対向する面の各々の重心を結んだ線を軸として対称となる位置に配置され、
前記第2静電容量センサと前記第4静電容量センサとが、前記一対の光学基板の対向する面の各々の重心を結んだ線を軸として対称となる位置に配置されるとともに、
前記第1乃至第4静電容量センサと前記第1乃至第4アクチュエータとが、前記一対の光学基板の対向する面の各々の重心を結んだ線を軸として該軸に沿う方向からみて等間隔となる位置に交互に環状に配置されており、
前記第1乃至第4静電容量センサによる信号から前記一対の光学基板の対向する面の各々の重心同士の間隔を算出し、
前記第1乃至第4の静電容量センサによる信号から前記一対の光学基板における前記第1乃至第4アクチュエータの配置位置での前記一対の光学基板の対向する面同士の面間隔を算出し、
前記第1及び第3アクチュエータの各々の配置位置における前記一対の光学基板の対向する面同士の面間隔の値を用いて前記重心を結んだ線に垂直な面と前記一対の光学基板の対向する面のうち相対的に移動させる一方の光学基板の面とがなす第1の角度を算出し、
前記第2及び第4アクチュエータの各々の配置位置における前記一対の光学基板の対向する面同士の面間隔の値を用いて前記重心を結んだ線に垂直な面と前記一対の光学基板の対向する面のうち相対的に移動させる一方の光学基板の面とがなす第2の角度を算出し、
前記重心同士の間隔及び前記第1の角度及び前記第1アクチュエータの配置位置での前記一対の光学基板の対向する面同士の面間隔と前記第2アクチュエータの配置位置での前記一対の光学基板の対向する面同士の面間隔の差分に基づいて前記第1及び第3アクチュエータを駆動し、
前記重心同士の間隔及び前記第2の角度及び前記第1アクチュエータの配置位置での前記一対の光学基板の対向する面同士の面間隔と前記第2アクチュエータの配置位置での前記一対の光学基板の対向する面同士の面間隔の差分に基づいて前記第2及び第4アクチュエータを駆動し、
前記重心同士の間隔の算出から前記第2及び第4アクチュエータの駆動に至るまでの処理を、前記第1アクチュエータの配置位置での前記一対の光学基板の対向する面同士の面間隔と前記第2アクチュエータの配置位置での前記一対の光学基板の対向する面同士の面間隔の差分が略ゼロとなるまで繰り返す制御部を備えていることを特徴とする可変分光素子。
【請求項6】
間隔を隔てて対向するように配置された一対の光学基板と、
各々が前記一対の光学基板の対向する面の夫々に配置された一対の電極部を有していて各々の配置位置における前記一対の光学基板の対向する面同士の面間隔を検出する第1乃至第4静電容量センサと、
前記一対の光学基板の一方を他方に対して相対的に移動させて前記一対の光学基板の対向する面同士の面間隔を変化させる第1乃至第4アクチュエータを備えた可変分光素子において、
前記第1静電容量センサと前記第3静電容量センサとが、前記一対の光学基板の対向する面の各々の重心を結んだ線を軸として対称となる位置に配置され、
前記第2静電容量センサと前記第4静電容量センサとが、前記一対の光学基板の対向する面の各々の重心を結んだ線を軸として対称となる位置に配置されるとともに、
前記第1乃至第4アクチュエータの各々が、前記一対の光学基板の対向する面の各々の重心から前記第1乃至第4静電容量センサの各々の中心方向へ伸びる線の線上に配置されており、
前記第1乃至第4静電容量センサによる信号から前記一対の光学基板の対向する面の各々の重心同士の間隔を算出し、
前記第1静電容量センサによる信号と前記第3静電容量センサによる信号とから前記重心を結んだ線に垂直な面と前記一対の光学基板の対向する面のうち相対的に移動させる一方の光学基板の面とがなす第1の角度を算出し、
前記第2静電容量センサによる信号と前記第4静電容量センサによる信号とから前記重心を結んだ線に垂直な面と前記一対の光学基板の対向する面のうち相対的に移動させる一方の光学基板の面とがなす第2の角度を算出し、
前記第1静電容量センサによる信号と前記第3静電容量センサによる信号とから前記一対の光学基板における前記第1アクチュエータの配置位置での前記一対の光学基板の対向する面同士の面間隔と前記一対の光学基板における前記第3アクチュエータの配置位置での前記一対の光学基板の対向する面同士の面間隔とを平均した第1の方向での面間隔の平均を算出し、
前記第2静電容量センサによる信号と前記第4静電容量センサによる信号とから前記一対の光学基板における前記第2アクチュエータの配置位置での前記一対の光学基板の対向する面同士の面間隔と前記一対の光学基板における前記第4アクチュエータの配置位置での前記一対の光学基板の対向する面同士の面間隔とを平均した第2の方向での面間隔の平均を算出するとともに、
前記第1の方向での面間隔の平均と前記第2の方向での面間隔の平均との差分を算出し、
前記重心同士の間隔及び前記第1の角度及び前記第1の方向での面間隔の平均と前記第2の方向での面間隔の平均との差分に基づいて前記第1及び第3アクチュエータを駆動し、
前記重心同士の間隔及び前記第2の角度及び前記第1の方向での面間隔の平均と前記第2の方向での面間隔の平均との差分に基づいて前記第2及び第4アクチュエータを駆動し、
前記重心同士の間隔の算出から前記第2及び第4アクチュエータの駆動に至るまでの処理を、前記第1の方向での面間隔の平均と前記第2の方向での面間隔の平均との差分が略ゼロとなるまで繰り返す制御部を備えていることを特徴とする可変分光素子。
【請求項7】
前記第1乃至第4静電容量センサの各々と前記第1乃至第4アクチュエータの各々とが、前記一対の光学基板の対向する面の各々の重心を結んだ線を軸として該軸に沿う方向からみて重なる位置に配置されており、以下の条件式を満足することを特徴とする請求項6に記載の可変分光素子。
1=x−rsinθ
2=x−rsinφ
3=x+rsinθ
4=x+rsinφ
但し、xは前記重心同士の間隔、x1〜x4はそれぞれ前記第1乃至第4静電容量センサの各々の配置位置における前記一対の光学基板の対向する面同士の面間隔、θは前記第1の角度、φは前記第2の角度、rは前記一対の光学基板の対向する面のうち相対的に移動させる一方の光学基板の面上における重心から前記第1乃至第4静電容量センサの配置位置までの距離である。
【請求項8】
前記制御部が、
前記第1乃至第4静電容量センサの各々の配置位置における前記一対の光学基板の対向する面同士の面間隔の平均から前記重心同士の間隔を算出し、
前記第1及び第3静電容量センサの配置位置における前記一対の光学基板の対向する面同士の面間隔の差分から前記第1の角度を算出し、
前記第2及び第4静電容量センサの配置位置における前記一対の光学基板の対向する面同士の面間隔の差分から前記第2の角度を算出するとともに、
前記第1静電容量センサの配置位置における前記一対の光学基板の対向する面同士の面間隔と前記第3静電容量センサの配置位置における前記一対の光学基板の対向する面同士の面間隔の平均と前記第2静電容量センサの配置位置における前記一対の光学基板の対向する面同士の面間隔と前記第4静電容量センサの配置位置における前記一対の光学基板の対向する面同士の面間隔の平均との差分から前記第1の方向での面間隔の平均と前記第2の方向での面間隔の平均との差分を算出することを特徴とする請求項6に記載の可変分光素子。
【請求項9】
前記第1乃至第4静電容量センサの各々と前記第1乃至第4アクチュエータの各々とが、前記一対の光学基板の対向する面の各々の重心を結んだ線を軸として該軸に沿う方向からみて重なる位置に配置されており、以下の条件式を満足することを特徴とする請求項6に記載の可変分光素子。
x=(x1+x2+x3+x4)/4
θ=R1(x3−x1
φ=R2(x4−x2
但し、xは前記重心同士の間隔、x1〜x4はそれぞれ前記第1乃至第4静電容量センサの各々の配置位置における前記一対の光学基板の対向する面同士の面間隔、θは前記第1の角度、φは前記第2の角度、R1及びR2は所定の係数である。
【請求項10】
間隔を隔てて対向するように配置された一対の光学基板と、
各々が前記一対の光学基板の対向する面の夫々に配置された一対の電極部を有していて各々の配置位置における前記一対の光学基板の対向する面同士の面間隔を検出する第1乃至第4静電容量センサと、
前記一対の光学基板の一方を他方に対して相対的に移動させて前記一対の光学基板の対向する面同士の面間隔を変化させる第1乃至第4アクチュエータを備えた可変分光素子において、
前記第1静電容量センサと前記第3静電容量センサとが、前記一対の光学基板の対向する面の各々の重心を結んだ線を軸として対称となる位置に配置され、
前記第2静電容量センサと前記第4静電容量センサとが、前記一対の光学基板の対向する面の各々の重心を結んだ線を軸として対称となる位置に配置されるとともに、
前記第1乃至第4静電容量センサと前記第1乃至第4アクチュエータとが、前記一対の光学基板の対向する面の各々の重心を結んだ線を軸として該軸に沿う方向からみて等間隔となる位置に交互に環状に配置されており、
前記第1乃至第4静電容量センサによる信号から前記一対の光学基板の対向する面の各々の重心同士の間隔を算出し、
前記第1乃至第4の静電容量センサによる信号から前記一対の光学基板における前記第1乃至第4アクチュエータの配置位置での前記一対の光学基板の対向する面同士の面間隔を算出するとともに、前記一対の光学基板における前記第1及び第3アクチュエータの配置位置での前記一対の光学基板の対向する面同士の面間隔を平均した第1の方向の面間隔の平均と前記一対の光学基板における前記第2及び第4アクチュエータの配置位置での前記一対の光学基板の対向する面同士の面間隔を平均した第2の方向の面間隔の平均を算出し、
前記第1及び第3アクチュエータの各々の配置位置における前記一対の光学基板の対向する面同士の面間隔の値を用いて前記重心を結んだ線に垂直な面と前記一対の光学基板の対向する面のうち相対的に移動させる一方の光学基板の面とがなす第1の角度を算出し、
前記第2及び第4アクチュエータの各々の配置位置における前記一対の光学基板の対向する面同士の面間隔の値を用いて前記重心を結んだ線に垂直な面と前記一対の光学基板の対向する面のうち相対的に移動させる一方の光学基板の面とがなす第2の角度を算出し、
前記重心同士の間隔及び前記第1の角度及び前記第1の方向での面間隔の平均と前記第2の方向での面間隔の平均との差分に基づいて前記第1及び第3アクチュエータを駆動し、
前記重心同士の間隔及び前記第2の角度及び前記第1の方向での面間隔の平均と前記第2の方向での面間隔の平均との差分に基づいて前記第2及び第4アクチュエータを駆動し、
前記重心同士の間隔の算出から前記第2及び第4アクチュエータの駆動に至るまでの処理を、前記第1の方向での面間隔の平均と前記第2の方向での面間隔の平均との差分が略ゼロとなるまで繰り返す制御部を備えていることを特徴とする可変分光素子。
【請求項11】
前記制御部の作動に際し、前記第1乃至第4アクチュエータの各々に対し、該各々のアクチュエータの特性差をキャンセルするためのオフセット電圧を印加する特性差補正電圧印加部を有することを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の可変分光素子。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2012−159719(P2012−159719A)
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−19706(P2011−19706)
【出願日】平成23年2月1日(2011.2.1)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】