説明

可融性フィラメントおよび繊維を有する布地を組み入れた履物

本発明は、可融性フィラメントおよび繊維を有する布地が含まれる履物物品の靴甲である。布地は靴甲に組み入れられ、可融性フィラメントまたは繊維が他のフィラメントまたは繊維と融合して融合領域を形成するように、靴甲の特定の領域が加熱される。靴甲の非融合領域と比較して、融合領域は、例えばより大きい伸展耐性、安定性、支持、耐摩性、耐久性、および剛性を含む特性を付与する可能性がある。さらに、融合部分は一般的に、履物の重さを有意に増加することなく、通気性を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は履物に関する。本発明は、より詳しくは、履物に組み入れられた布地に可融性の材料で形成されたフィラメントおよび繊維が含まれる履物に関する。
【背景技術】
【0002】
背景技術に関する説明
通常の履物物品には一般的に、靴甲と靴甲に結合した足底構造が含まれる。靴甲に関して選択される材料は、履物のスタイルが異なれば大きく変化するが、一般的に布地材料が含まれる。例えば、運動靴にはしばしば、熱硬化性発泡層に縫い付けたまたは接着剤で結合させた布地を有する靴甲が含まれる。同様に、ハイキング用ブーツおよび作業用ブーツには、しばしば皮革で形成された耐久性の外皮と、発泡材料に結合した布地で形成された内側のライナーが含まれる。
【0003】
布地は、柔軟性、繊度、および高い長さ対厚み比を特徴とする繊維、フィラメント、またはヤーンからの任意の製品として定義されてもよい。布地は一般的に二つの範疇に入る。第一の範疇には、不織布およびフェルトを製造するために無作為にインターロック織りにすることによって、フィラメントまたは繊維の織物から直接産生された布地が含まれる。第二の範疇には、ヤーンの機械加工によって形成される布地が含まれ、それによって例えば織物を産生する。
【0004】
ヤーンは、第二の範疇において布地を形成するために利用される原料である。一般的に、ヤーンは、少なくとも一つのフィラメントまたは複数の繊維で形成される、実質的な長さおよび比較的小さい断面を有する集合体として定義される。繊維は比較的長さが短く、布地に用いるために適した長さのヤーンを産生するためには紡ぐまたはねじるプロセスを必要とする。繊維の一般的な例は、綿および毛である。しかし、フィラメントは、無限の長さを有し、単に他のフィラメントと組み合わせるだけで布地に用いるために適したヤーンを産生する可能性がある。現代のフィラメントには、レーヨン、ナイロン、ポリエステル、およびポリアクリル酸のような複数の合成材料が含まれるが、絹は主に天然に存在する例外である。ヤーンは、従来モノフィラメントヤーンと呼ばれている単一のフィラメント、または互いに集合した複数の個々のフィラメントで形成してもよい。ヤーンにはまた、異なる材料で形成された異なるフィラメントが含まれてもよく、またはそれぞれが二つもしくはそれ以上の異なる材料で形成されたフィラメントが含まれてもよい。同様の考え方は繊維から形成されたヤーンにも当てはまる。したがって、ヤーンは、先に提供された定義に一般的に適合する多様な形状を有してもよい。
【0005】
ヤーンを布地へと機械加工する様々な技術には、織り合わせる、絡み合わせる、ねじる、およびインターループが含まれる。織り合わせるとは、互いに直角に交叉させて織り合わせる二つのヤーンの交叉である。織り合わせる場合に利用されるヤーンは通常、縦糸と横糸と呼ばれる。絡み合わせるおよびねじるは、編むおよび結ぶのような技法を含み、この場合、ヤーンは互いに絡み合って布地を形成する。インターループは、かみ合ったループが複数の段で形成されることを含み、編むことは、最も一般的なインターループ法である。
【0006】
履物において利用される布地は一般的に、柔軟で足に快適に適合して重さが軽く、通気性のよい構造を提供する。履物に、耐久性および伸展耐性を含む他の特性を付与するために、例えば皮革、合成皮革、またはゴムを含むさらなる材料が一般的に布地と組み合わせられる。耐久性に関しては、Zainoの米国特許第4,447,967号は、摩耗または他の形の損耗に対して帯域を強化するために、特定の帯域に注入されたポリマー材料を有する布地材料で形成された靴甲を開示している。伸展耐性に関して、Brownの米国特許第4,813,158号およびBoggiaの第4,756,098号はいずれも、靴甲に固定され、それによって靴甲の特定の部分における伸展の程度を制限する実質的に非伸展性の材料を開示している。
【0007】
製造の観点から、履物物品に異なる特性を付与するために多数の材料を利用することは、非効率的である。例えば、通常の靴甲において利用される様々な材料は、一般的に単一の供給元から得られていない。したがって、製造施設は、異なる業務を有する可能性がある、または異なる国に存在する多数の供給元によって特定量の材料を受領するように調整しなければならない。様々な材料はまた、材料を切断またはそうでなければ調製するためのさらなる機械または組み立てライン技術を必要とする可能性がある。さらに、靴甲に異なる材料を組み入れることは、多人数を必要とする複数の別個の製造段階を伴う可能性がある。
【0008】
布地の他に多数の材料を用いることはまた、履物の通気性を損なう可能性がある。例えば、皮革、合成皮革、またはゴムは、一般的に空気を通さない。したがって、靴甲の外部に皮革、合成皮革、またはゴムを配置することにより、靴甲を通しての空気の流れが阻害され、それによって蒸散、水蒸気、および靴甲および足周囲にたまった熱の量が増加する可能性がある。
【発明の開示】
【0009】
発明の概要
本発明は、足底構造と、足底構造に固定された靴甲とを有する履物物品である。靴甲には、例えばフィラメント、繊維、またはフィラメントもしくは繊維を組み入れたヤーンであってもよい、複数の第一のストランドと複数の第二のストランドから少なくとも部分的に形成された布地が含まれる。第一のストランドは、熱可塑性のポリマー材料で形成され、布地には、第一のストランドが第二のストランドに融合される融合領域が含まれる。融合領域は、融合していない布地領域と比較すると、例えば、伸展耐性、安定性、支持、耐摩性、耐久性、および剛性が増加する可能性がある。
【0010】
布地は、ストランドが含まれる不織材料であってもよく、または布地はストランドが含まれる機械加工されたヤーンから形成してもよい。したがって、靴甲を形成するために広範囲の布地が適している。ストランドはまた、様々な形状を有するように形成してもよい。例えば、第一のストランドは、熱可塑性ポリマー材料のみを含む単成分ストランドであってもよい。第一のストランドはまた、二つまたはそれ以上の熱可塑性ポリマー材料を、おそらく中心-鞘の関係で含む二成分ストランドであってもよい。二成分ストランドに関して、例えば異なる融解温度を有する二つまたはそれ以上の熱可塑性ポリマー材料を選択してもよい。
【0011】
本発明はまた、ストランドの少なくとも第一の部分が少なくとも一つの熱可塑性ポリマー材料を含む、複数のストランドを提供する段階;靴甲の一部を形成する布地にストランドを組み入れる段階;およびストランドの少なくとも第一の部分をストランドの第二の部分に融合させることによって、布地の融合領域を形成する段階が含まれる、靴甲を製造する方法を含む。本方法は、可融性のストランドを組み入れる通常の靴甲の一般構造を有するように形成される靴甲に適用してもよく、または可融性のストランドを組み入れる靴甲を編むために適用してもよい。
【0012】
本発明の特徴をなす新規性に関する長所および特徴は、添付の特許請求の範囲において特に指摘される。しかし、新規性の長所および特徴をよりよく理解するために、本発明に関連する様々な態様および概念を記述して説明する以下の説明および添付の図面を参照してもよい。
【0013】
上記の本発明の概要と共に、以下の本発明の詳細な説明は、添付の図面と共に読むとより理解される。
【0014】
発明の詳細な説明
以下の考察および添付の図面は、可融性フィラメントまたは繊維を含む布地で形成された履物物品を開示する。本考察の目的に関して、フィラメントおよび繊維は、個々または集合的にストランドと呼んでもよい。一般的に、例えば伸展耐性、安定性、支持、耐摩性、耐久性、および剛性を増加させるために、可融性のストランドを、履物の選択された領域において可融性または非可融性の他のストランドと融合してもよい。都合がよいことに、これらの利益は、布地の通気性を有意に阻害することなく、または履物の重量を増加させることなく得られる可能性がある。
【0015】
履物100の物品を図1に開示し、これには、可融性ストランドを有する布地が含まれる。履物100は、運動靴物品として、特にランニングシューズとして示される。しかし、履物100に関して開示される概念は、例えば他のタイプの運動靴、正装用靴、ブーツ、およびサンダルを含む多様なスタイルの履物に応用してもよい。したがって、本発明は、本発明の布地を組み入れる履物の特定のタイプに限定されないが、一般的に広範なスタイルの履物に当てはまる。
【0016】
図1に示されるように、履物100の主な要素は、足底構造110および靴甲120である。足底構造110は、一般的に、足と地面とのあいだに伸展するが、靴甲120は、足を受容するように形成され、足底構造110に対して足の位置を快適に確保する。
【0017】
足底構造110は、インソール(示していない)、ミッドソール111、およびアウトソール112が含まれる通常の形状を有する。インソールは、履物100の快適さを増強するために、靴甲120内に存在して足に隣接する比較的薄いクッション部材である。ミッドソール111は、靴甲120の下部分に結合し、エチルビニルアセテートまたはポリウレタンのようなクッション性発泡材料で形成される。したがって、ミッドソール111は、ランニングまたはウォーキングに関連した地面反応力を減弱させ、エネルギーを吸収する。足底構造110の力減弱およびエネルギー吸収特徴を増強するために、ミッドソール111は、Rudyの米国特許第4,183,156号および第4,219,945号に開示されるように、液体を充填した内袋を組み入れてもよい。または、ミッドソール111は、Kilgoreらの米国特許第5,353,523号および第5,343,639号に開示されるように複数の柱状の支持要素を組み入れてもよい。地面に当たる際の耐久性のある耐水性の表面を提供するために、カーボンブラックゴム化合物で形成してもよいアウトソール112を、ミッドソール111の下表面に取り付ける。さらに、アウトソール112は、履物100の牽引特徴を増強するために布地の下表面を組み入れてもよい。
【0018】
足底構造110は、ランニングシューズに関する通常の足底構造の要素を有すると先に記述されている。例えば、バスケットボールシューズ、テニスシューズ、サッカーシューズ、およびクロストレーニングシューズを含む他のタイプの運動靴は一般的に、類似の形状の足底構造を有するであろう。しかし、正装用シューズ、ブーツおよびサンダルは、それぞれのタイプの履物に合わせて特に調整された他のタイプの通常の足底構造を有してもよい。したがって、足底構造110の特定の形状は、広範な形状を含むように本発明の範囲において有意に変化してもよい。
【0019】
靴甲120は、足を受容する履物100内に空隙を形成する。空隙へのアクセスは、履物100の主にかかと領域に存在する足首の開口部121によって提供される。靴甲120内の空隙の容積は、靴甲120の上を越えて、履物100の足中部領域および足前部領域を通して伸長するひもで束ねるシステムによって調節してもよい(すなわち、ひもで束ねるシステムは、履物100の足の甲の領域に沿って伸長する)。ひもで束ねるシステムには、複数の口123を通って、靴甲120において形成される内縁124aおよび外縁124bのあいだに形成される空間を超えて通されるひも122が含まれる。一般的に、ひも122を利用して、当技術分野で周知であるように内縁と外縁124のあいだの空間の大きさを改変して、それによって靴甲120内の空隙容積を調節してもよい。ひもで束ねるシステム周囲の領域の快適さを増強するために、靴舌125を内縁124aと外縁124bの下に配置する。
【0020】
布地130を、靴甲120の外部に配置して、発泡剤および他の布地のようなさらなる材料を靴甲120内に配置してもよい。したがって、靴甲120の一般構造は、運動靴の物品に関して通常の靴甲の構造と類似である。しかし、通常の靴甲とは対照的に、布地120には、非融合領域131および融合領域132〜136が含まれる。一般的に、布地130は、複数のストランドから産生されるヤーンから製造される。ストランドの少なくとも一部は、熱可塑性材料で形成され、布地130の特定の領域に熱を適用すると、これは後に融合領域132〜136となり、熱可塑性のストランドを融解させる。個々の熱可塑性ストランドの融解後、融解した材料は、非融解ストランドを取り囲むか、または他の熱可塑性ストランドからの融解材料と混ざり合う。次に、温度を低下させて、融解材料が固化すると、それによって融合領域132〜136が形成される。
【0021】
上記の考察に基づいて、布地130は一般的に、複数の非融合領域131と複数の融合領域132〜136を有してもよい。非融合領域131は、通常の布地の外観を有し、非融合領域131の特性は通常の布地の特性と類似であってもよい。非融合領域131と比較すると、融合領域132〜136は一般的に、より大きい剛性および伸長耐性、増加した耐摩性、および増加した耐久性を有する。さらに、融合領域132〜136は、履物100の特定の領域に対して支持および安定性を提供してもよい。したがって、履物の製造元は、非融合領域131の固有の布地的性質と複数の融合領域132〜136の融合的性質から利益を受けるであろう靴甲120の特異的部分を選択してもよい。
【0022】
非融合のままにしておく、または融合すべき靴甲の領域を決定する場合、当業者は靴甲の特定の部分を形成する材料が有しなければならない性質を決定してもよい。靴甲のいくつかの領域において、非融合布地の伸展性は、融合布地の耐摩性より大きい利益を提供するであろう。しかし、他の部分において、融合した布地の耐久性は非融合布地の柔軟性より大きい利益を提供するであろう。したがって、融合によって、例えば履物の品質、性能、または快適さが増強されるか否かを決定するために、靴甲のそれぞれの領域を調べてもよい。
【0023】
融合および非融合領域の一つの適した形状を証明するために、履物100の融合領域132〜136を調べる。履物の意図する用途および履物の所望の美しさに応じて、他の履物物品には、靴甲の他の部分に存在する融合および非融合領域が含まれてもよい。しかし、履物100に関して、融合領域132は、足首の開口部121の境界線を描き、足首開口部121の領域における伸展耐性を提供する。人が歩くまたは走ると、足首は、足首開口部121を押し、それによって足首開口部121を形成する履物100の一部を伸展させる傾向がある。したがって、融合領域141は、足首開口部121の有意な拡大を防止するために存在する。
【0024】
融合領域133は、靴甲120のかかと部分周囲に伸展して、はいた人のかかとを有効に取り囲む。融合領域133は、かかとの運動を制限するために運動靴においてしばしば利用されるかかと革と類似であり、それによって履物100のかかと領域における安定性および支持を提供する。布地130はかかと領域で融合してもよく、したがって、履物100にさらなる成分を組み入れる必要なくかかと革の利益を提供する。
【0025】
融合領域134は、靴甲120の外側に沿って水平または縦方向に伸長する伸長細片である。融合領域134は、履物100の外側での水平方向の伸展を制限するが、非融合領域131の垂直方向の外側伸展を可能にする。内側での垂直方向の伸展を制限するために、類似の融合領域が履物100の内側に存在してもよい。人が歩くまたは走ると、足は靴甲120を押し、それによって靴甲120を縦方向に伸展させる傾向がある。したがって、融合領域134は、伸展を防止して、それによって履物100に対する足の運動を制限するために存在する。その代わりとして、融合領域134は、外側のより大きい面積を覆ってもよく、または例えば垂直もしくは対角線方向に伸展してもよい。
【0026】
融合領域135は、靴甲120のつま先領域に存在し、つま先領域に対して高度の耐摩性および耐久性を提供する。一般的に、履物のつま先領域はしばしば、岩石、コンクリート、または木のような摩耗性の表面に接触し、これは靴甲の強度をすり減らすまたはそうでなければ分解する可能性がある。しかし、融合領域135において様々なストランドを融合させることによって、靴甲120のこの部分の耐磨性および耐久性を増強してもよい。
【0027】
融合領域136は、内縁124aおよび外縁124bに沿って伸展し、ひもで束ねるシステムに対して二つの主要な利益を提供する。上記のように、ひもで束ねるシステムには、穴123の中を通って内縁124aおよび外縁124bのあいだに形成される空間を横切るひも122が含まれる。一般的に、ひも122を利用して、内縁124aと外縁124bのあいだの空間の大きさを改変して、それによって靴甲120内の空隙容積を調節してもよい。ひも122を調節する場合、人は一般的にひも122の両端を引っ張り、それによってひも122の張力を誘導して、内縁124aと外縁124bとを互いに引き寄せる。融合領域136は、内縁124aと外縁124bの剛性を増加させて、それによって内縁124aと外縁124bが互いに均一に確実に引き寄せられるようにする。融合領域136のさらなる利益は、穴123の構築に関する。通常の履物物品において、靴ひもの穴には、穴を形成する布地がほどけるのを制限するために鳩目が含まれる。しかし、履物100において、布地130の融合特性のため、ほどけるのを防止するために鳩目は必要ではない。
【0028】
融合領域132〜136は、履物100に対して異なる特徴を付与するために布地130の一部を融合してもよい方法の例を提供することを意図する。考察したように、融合領域132〜136は、より大きい剛性、伸展耐性、耐摩性、および耐久性を提供する能力を有し、融合領域132〜136は支持および安定性の増強を提供する可能性がある。したがって、関連する技術分野の当業者は、履物のタイプまたは履物の意図する用途にかかわらず、領域に対して様々な特性を付与するために融合すべき布地の特定の領域を選択してもよい。
【0029】
融合領域132および134によって付与される伸展耐性、融合領域133によって提供される安定性および支持、融合領域135の耐摩性および耐久性、ならびに融合領域136の剛性は、もう一つの技法、すなわちさらなる要素の提供によって靴甲120に付与してもよい。例えば、伸展耐性を増加するために皮革要素を足首開口部121周辺に固定してもよく、安定性を提供するためにポリマー性のかかと革をかかと領域に組み入れてもよく、かつ耐摩性を提供するために靴甲120のつま先領域の表面にゴム要素を接着させてもよい。さらなる要素は、靴甲120に必要な特性を付与する可能性があるが、さらなる要素はまた、靴甲120を製造する費用を増加させて、靴甲120の重量を増加させる。対照的に、融合領域132〜136は、さらなる要素を利用することなく、または履物100の重量を増加させることなく、所望の特性を付与するために既存の布地130を有効に利用する。さらに、さらなる要素は一般的に、通気性でない材料で形成され、それによって履物の全体的な通気性を制限する。融合領域132〜136は、非融合領域131の通気性の実質的な部分を保持する。
【0030】
布地130は、不織布を構築するためにストランドを無作為にインターロックすることを含む、通常の多様な布地製造技術を通して形成してもよい。布地130はまた、織り合わせる、絡み合わせるおよびねじる、またはインターループによってヤーンを機械加工することによって形成してもよい。いずれのシナリオにおいても、布地130には、ポリウレタン、ナイロン、ポリエステル、およびポリオレフィンのような熱可塑性のポリマー材料で形成された複数の可融性のストランドが含まれる。さらに、可融性ストランドは、ベルギー、WijnegumのラキシロンインダストリーズN.V.(Luxilon Industries N.V.)が、商標THERMOLUXとして製造する熱可融性ヤーンに組み入れられる任意のストランドであってもよい。そのようなストランドは、摂氏60度、90度、105度、108度、130度、および150度を含む多様な融解温度で利用可能である。他の適した可融性ストランドは、スイス、EmsのEMS-Chemie AG部門であるEMS-グリルテック(EMS-Griltech)から入手可能で、ポリアミドおよびコポリアミド二成分繊維である商標GRILONとして、ポリアミド繊維であるGRILAMID、およびコポリエステル繊維であるGRILENEとして販売されている。
【0031】
可融性のストランドは、本発明の範囲内において多様な形状を有してもよい。図2Aは、単一の熱可塑性ポリマー材料142で形成された単成分ストランド141を示す。ストランド141の温度を材料142の融解温度より高く上昇させると、ストランド141は融解し始め、ストランド141は他のストランドと融合する。対照的に、図2Bは、中心-鞘の関係で配置された二つの熱可塑性ポリマー材料144および145で形成された二成分ストランド143を示す。すなわち、材料144は、ストランド143の中心部分を形成し、材料145は中心部分を取り囲む。材料144および145は、材料144が材料145より高い融解温度を有するように選択してもよい。ストランド143の温度を材料145の融解温度より高いが、材料144の融解温度より低い点まで上昇させると、材料145のみの融解を引き起こす。これは、例えば、様々なストランド間に比較的程度の小さい融合のみが必要である場合には望ましいかも知れない。ストランド143の温度を材料144の融解温度より高く上昇させると、材料144と145の双方が融解する。これは、より高い程度の融解が必要である場合に望ましいかも知れない。したがって、熱可塑性ポリマー材料の様々な組み合わせを有するストランドを、本発明の範囲において利用してもよい。
【0032】
単成分ストランド141は、実質的に類似の特性を有する単一の材料142で形成される。対照的に、二成分ストランド143は、中心-鞘の関係で配置された二つの熱可塑性ポリマー材料144および145で形成される。材料144および145はいずれも、例えば異なる融解温度を有するポリエステルであってもよい。または、材料144は、例えばナイロンであって、材料145は、ポリウレタンであってもよい。したがって、二成分ストランド143は、異なる特性の材料を有するように形成される。二成分ストランド143における中心-鞘の関係の他に、材料144および145は、並んだ形状で配置してもよく、またはストランド143の異なる別個の領域が材料144および145を含む任意の他の形状で配置してもよい。
【0033】
上記のように、布地130は、多様な通常の布地製造技術によって形成してもよい。図3Aを参照して、無作為にインターロックされた単成分ストランド141および二成分ストランド143で形成された不織布130aを示す。ストランド143の材料144および145のいずれとも異なる融解温度を有するように、ストランド141の材料142を選択することによって、起こる融解の程度に温度が影響を及ぼす方法にさらなる多様性を提供する。しかし、さらなる態様において、布地130aは、例えば単成分ストランドのみ、または二成分ストランドのみで形成してもよい。同様に、不織布は、単成分ストランド、二成分ストランド、または単成分ストランドと二成分ストランドの複合によって形成してもよい。
【0034】
ヤーン146を機械加工することによって形成された多様な布地130b〜130dを、図3B〜3Dに示す。無作為にインターロックされたストランドで形成される布地130aとは対照的に、布地130b〜130dの様々なストランドがヤーン146に構築される。布地130bを図3Bに示し、これは、織り合わせる製造プロセスを通して形成される。布地130cを図3Cに示し、これは絡み合わせてねじる製造プロセスによって形成される。同様に布地130dを図3Dに示し、これはインターループ製造プロセスによって形成される。布地130b〜130dの様々な形状は、ヤーン146を布地に機械加工するために利用してもよい多くの技術の例を提供することを意図する。ヤーン146を布地に機械加工する他の技術または上記の一般的な技術の変法も同様に本発明の範囲に含まれると意図される。
【0035】
布地130b〜130dにおいて用いるために適したヤーンは、本発明の範囲において多様な形状を有してもよい。下記に考察するように、様々なストランド152、154、および157から様々なヤーン151、153、155、および156が形成される。図4Aは、単成分ストランド152のみで形成されるヤーン151を示し、図4Bは、二成分ストランド154で形成されたヤーン153を示す。より大きい範囲の可融性が望ましい場合、布地130b〜130dは、図4Cに示すように、単成分ストランド152と二成分ストランド154の双方を有するヤーン155を組み入れてもよい。しかし、何らかの状況において、可融性でないストランドを組み入れたヤーンを利用してもよく、これを以降中性ストランドと呼ぶ。中性ストランドは、例えば熱硬化性のポリマー、綿、または毛のような非可融性の材料で形成してもよい。したがって、布地130b〜130dにもまた、図4Dに示すように、単成分ストランド152と中性ストランド157とを含むヤーン146が含まれてもよい。ヤーン151、153、155、および156はそれぞれ、布地130b〜130dにおいて用いるために適している。さらなる態様において、布地130b〜130dには、ヤーン151、153、155、および156の組み合わせが含まれてもよく、またはヤーン151、153、155、および156において利用されるストランドの一部を、中性ストランドのみで形成してもよい。
【0036】
先の考察に基づいて、布地130b〜130dはまた、例えばヤーン151、153、155、および156と組成が類似であってもよい様々なタイプのヤーン146を組み入れてもよい。さらに、布地130b〜130dを形成するヤーン146の一部は、中性ストランドのみで形成してもよい。したがって、本発明の範囲に含まれる布地形状には、様々なタイプおよび比率の可融性ストランドおよび中性ストランドが含まれてもよい。
【0037】
履物100は、通常の運動靴物品の形状と類似である形状を有するように示される。しかし対照的に、履物100には、可融性の材料を組み入れる布地130が含まれ、履物100には、例えば伸展耐性、安定性、支持、耐摩性耐久性、および剛性が含まれる特性を付与するために、可融性材料が融合される様々な領域が含まれる。通常でない布地の靴甲を有するように形成された履物物品200を図5に示す。
【0038】
履物200には、足底構造210および靴甲220が含まれる。足底構造210は、履物100の靴甲110の形状と類似であってもよい。しかし、靴甲220は主に、機械加工されたヤーンで形成される布地である。例えば、通常の環状の編み機を利用して靴甲220を製造してもよい。一般的に、環状の編み機は、複数のヤーンから管状構造を形成する。したがって、靴甲220はまた、管の反対側で開口部を有する管状構造を有する。足首開口部221は、足首周囲に伸展して、靴甲220の内部へのアクセスを提供する第一の開口部を形成し、靴甲220の下表面の口(示していない)は第二の開口部を形成する。口は、環状の編み機において製造される通常の靴下におけるつま先に伸展する縫い目と類似である。
【0039】
靴甲220は、上記の図3Dにおいて開示したように布地130dと類似の編み物構造を有する布地230で形成される。したがって、布地230には、可融性ストランドを有するヤーンが含まれる。例えば、環状編み機による靴甲220の製造後、靴甲220の特定の領域を融合させて靴甲220の特性を改変してもよい。したがって、靴甲220には、複数の非融合領域231および複数の融合領域232〜235が含まれる。融合領域232〜235を形成するための様々な技法は下記でより詳細に考察する。
【0040】
布地230は、布地230全体を通して、融合領域232〜235を形成するように融合される布地230の一部のみを通して伸展する可融性ストランドを有するヤーンが含まれるように形成してもよい。可融性ストランドを有するヤーンが布地230を通して伸展する場合、選択領域のみを加熱して融合領域232〜235を形成する。しかし、可融性のストランドを有するヤーンが、融合領域232〜235を形成するために融合される布地230の一部に限って存在する場合、布地230の全体を加熱して、融合領域232〜235を形成してもよい。
【0041】
融合領域232は、足首開口部221の周囲で垂直に伸展して、足首開口部221の領域では垂直方向の伸展を制限するが水平方向の伸展を可能にするために利用してもよい。足首開口部221における伸展の量は、様々なストランドのあいだで起こる融合の程度を増加または減少させることによって改変してもよい。融合領域233は、靴甲220のかかと部分周囲に存在し、かかとを安定化させるために利用してもよい。融合領域234は、縦方向の伸展を制限するが、靴甲220の胴回り方向における伸展を可能にするために、靴甲220の内側および外側の縦方向の長さに沿って水平に伸展する。最後に、融合領域235は、履物100の耐摩性および耐久性を増加させるために靴甲220のつま先領域に存在してもよい。
【0042】
先の考察は、可融性ストランドが含まれる布地で形成される履物100および200の物品を開示する。例えば、伸展耐性、安定性、支持、耐摩性、耐久性、および剛性を増加させるために、可融性ストランドは、履物100および200の選択領域において他のストランドに結合してもよい。都合がよいことに、これらの利益は、布地の通気性を有意に阻害することなく、または履物の重量を増加させることなく、得られる可能性がある。
【0043】
履物100および履物200は、多様な技法を通して製造してもよい。特に、履物100に関して、布地130は、通常の多様な任意の布地製造機によって製造してもよい。可融性ストランドは、通常の多くの布地の特徴となる通常の中性ストランドの一つまたはそれ以上と置換することによって、布地130に組み入れてもよい。布地130をバルク型で製造した後、融合領域132〜136を形成するために三つの一般的な技法を利用してもよい。第一の技法において、融合領域132〜136は、布地130の比較的大きい部分の特定の領域において、例えば熱い打ち型、蒸気、熱い空気、または高周波加熱によって形成される。次に、布地130の個々の要素を比較的大きい部分から切断して、これを靴甲120に組み入れてもよい。第二の技法において、布地130の個々の要素を切断して、靴甲120に個々の要素を組み入れる前に融合領域132〜136を形成する。第三の技法において、布地130の個々の要素を切断して、靴甲120に組み入れて、融合領域132〜136をその後形成する。第三の技法に関して、支持を提供するために靴甲120に靴型を挿入してもよく、融合領域132〜136を、例えば靴甲120の外部に接触する熱い打ち型によって形成してもよい。したがって、個々のストランドが融解して融合領域132〜136を形成する方法は、本発明の範囲において有意に異なってもよい。
【0044】
履物200に関して、布地230は、一般的に先に記述した構造を有するように環状編み機によって形成してもよい。布地230を形成するために利用してもよい適した市販の環状編み機の例は、イタリアのサンギオコモS.p.A(Sangiocomo S.p.A)によってX-MACHINEの商標で販売されている。X-MACHINEは、多色ヤーンがアーガイルおよび他の複雑なパターンを形成する、アーガイル型の靴下を作製するために用いられている。布地230を製造する場合、例えばX-MACHINEは、針160本を有する4インチシリンダーを有するように選択してもよい。そのような環状編み機の適切なプログラミングによって、多様な形状を有するように布地230を形成してもよい。例えば、布地230は、靴甲220全体に存在する可融性ストランドを有してもよい。すなわち、可融性ストランドは、靴甲220のほぼ全ての部分に実質的に均一に分布してもよい。この形状において、選択領域を加熱して融合領域232〜235を形成してもよい。靴型を靴甲220の中に入れて、様々な領域が融合される場合の支持を提供してもよい。または、靴甲220の選択された領域のみに可融性のストランドを配置するように、環状の編み機をプログラムしてもよい。すなわち、可融性ストランドは、融合領域232〜235を形成することが意図される靴甲220の領域に限って存在してもよい。この形状において、靴甲220は全て均一に加熱してもよいが、可融性ストランドを有する領域のみが融合領域232〜235を形成する。環状の編み機を用いて布地230を製造後、色を付与するために、布地230を色素浴に入れてもよい。色素浴は、可融性ストランドの融解温度を超える温度まで加熱してもよい。可融性ストランドが選択領域に限って存在する場合、加熱した色素浴を用いることは融合領域232〜235を形成する効率的かつ有効な方法である可能性がある。または、融合領域232〜235を形成するために、布地230を、例えば熱い蒸気または空気に曝してもよい。
【0045】
明確な融合および非融合領域を有する履物100および履物200が開示される。より詳しく述べると、履物100は、非融合領域131および異なる融合領域132〜136を有する。同様に、履物200には、非融合領域231と融合領域232〜234が含まれる。双方の態様において、融合領域は、融合領域に特定の特性を付与するために、履物100と履物200の特定の部分に存在する。先に考察したように、特定の融合領域は、二つの異なる一般的な製造法を通して得てもよい。第一の方法に従って、可融性ストランドを有するヤーンを靴甲の全てに組み入れて、可融性ストランドの融合を得るために選択領域のみを加熱してもよい。第二の方法に従って、可融性ストランドを有するヤーンを靴甲の選択領域に組み入れて、選択領域に限って融合が得られ、その後融合領域となるように靴甲全体を加熱してもよい。
【0046】
もう一つの履物物品300を図6Aおよび6Bに開示し、これは上記のX-MACHINEと類似の環状編み機を用いてニット構造で形成される。履物300には、足底構造310および靴甲320が含まれる。足首開口部321は、靴甲320の内部へのアクセスを足に提供する靴甲320における開口部を形成する。靴甲320の足の甲部分には、縦方向の開口部323の下に伸展する靴舌322が含まれる。複数のアイレット324を、縦方向の開口部323に隣接して配置して、ひもを受けるための口を形成する。したがって、靴甲320は、通常の靴甲と類似である一般形状を有するニット構造である。しかし、通常の靴甲とは対照的に、靴甲320の実質的な部分は、下記に詳細に説明するように可融性ストランドを有するヤーンを組み入れる。
【0047】
靴甲320を形成する布地の実質的に全てに、可融性ストランドを有するヤーンが含まれる。より詳しく述べると、靴甲320の大部分であるうね模様を有するように示される靴甲320の部分に、可融性ストランドを有するヤーンが含まれる。靴舌322および足首開口部321を取り囲む領域が含まれる残りの部分は、可融性ストランドを有しないヤーンを含めるためにニットである。しかし、さらなる態様において、靴舌322および足首開口部321を取り囲む領域は可融性ストランドを有するヤーンを組み入れてもよい。履物100および200の場合と同様に、靴甲320の選択領域を加熱して融合領域を形成してもよいが、うね模様の領域の全てが有効に融合されるように、靴甲320の全体を加熱する。靴甲320の様々な領域が、縦の列ではなくて隣接する横の段によって離れている形状では、タックステッチを利用して縫い目が出ないように領域を結合させてもよい。
【0048】
上記の形状の他に、可融性ストランドを有するヤーンが含まれる靴甲320の部分は、より制限されてもよい。例えば、つま先領域およびかかと領域は、うね模様の構造を有するが、内側、外側、および靴甲320の下部分に対する融合領域の位置を制限するために、可融性ストランドを含まないヤーンで形成してもよい。しかし、靴甲320に関連する態様のそれぞれにおいて、靴甲320の比較的大きい領域には、可融性ストランドを有するヤーンが含まれ、伸展耐性、安定性、支持、耐摩性、耐久性、および剛性の増加のような特徴を付与するために、領域全体が融合される。
【0049】
履物100および200に関して考察されるように、融合領域は、布地の通気性を有意に阻害することなく、または履物の重量を増加させることなく、例えば伸展耐性、安定性、支持、耐摩性、耐久性、および剛性を増加することが含まれる、所望の特性を靴甲に対して付与する。靴甲の特定の領域が融合されている履物100および履物200とは対照的に、これらの望ましい特徴を利用するために、実質的に靴甲320の全体が融合される。したがって、本発明の範囲において靴甲の特異的な明確な領域を融合させる必要はない。その代わりに、融合領域の増強された特性を靴甲のより大きい部分に付与するために、靴甲の実質的に全てを融合してもよい。
【0050】
多様な技術を利用して靴甲320内で可融性ストランドを融解してもよい。例えば、靴甲320は、可融性ストランドの融解温度より高い温度である色素浴に浸してもよい。蒸気も同様に利用して靴甲320を均一に加熱してもよい。靴甲320において利用される材料に応じて、マイクロ波または他の高周波加熱技術も同様に利用してもよい。靴甲320が冷却した後、足底構造を、例えば接着剤を用いて下表面に固定してもよい。
【0051】
履物100および200に関連する場合は靴甲の特定の位置が融合されるが、靴甲320では大部分が融合される。靴甲320の製造の際に起こる加熱の程度は、隣接する可融性ストランド間で起こる融合の程度を左右する。靴甲320の特定の部分では、より大きい融合を誘導するためにさらなる熱を適用してもよい。例えば、アイレット324は、ひもを締めた場合に有意な応力を経験する可能性があり、アイレット324周囲のさらなる融合は、強化として役立つ可能性がある。同様に、靴甲320のかかと部分周囲のより大きい程度の融合は、かかと部分のより大きい安定性を提供するために利用してもよい。したがって、様々な程度の伸展耐性、安定性、支持、耐摩性、耐久性、および剛性を付与するために、異なる程度の融合を靴甲320、または履物100および200に関連した靴甲に利用してもよい。
【0052】
本発明は、様々な態様を参照して、上記におよび添付の図面において開示される。しかし、開示によって示される目的は、本発明に関連する様々な特徴および考え方の例を提供することであり、本発明の範囲を制限するためではない。関連する技術分野の当業者は、上記の態様に多数の変更および改変を行ってもよく、それらも添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲に含まれることを認識する。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明に従う可融性のストランドを有する布地を組み入れる履物物品の透視図である。
【図2A】単成分ストランドの透視図である。
【図2B】二成分ストランドの透視図である。
【図3A】不織布構造を有するように形成される布地の一部の平面図である。
【図3B】織り合わせるプロセスを通して形成される布地の一部の平面図である。
【図3C】絡み合わせるおよびねじるプロセスを通して形成される、布地の一部の平面図である。
【図3D】インターループプロセスを通して形成される布地の一部の平面図である。
【図4A】単成分ストランドで形成されるヤーンの透視図である。
【図4B】二成分ストランドで形成されるヤーンの透視図である。
【図4C】単成分ストランドと二成分ストランドで形成されるヤーンの透視図である。
【図4D】単成分ストランドおよび中性ストランドで形成されるヤーンの透視図である。
【図5】本発明に従う可融性ストランドを有する布地を組み入れるさらにもう一つの履物物品の透視図である。
【図6A】本発明に従う可融性ストランドを有する布地を組み入れるさらにもう一つの履物物品の第一の透視図である。
【図6B】図6Aに示した履物物品の第二の透視図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
靴甲が複数の第一のストランドおよび複数の第二のストランドから少なくとも部分的に形成される布地を含み、該第一のストランドが熱可塑性ポリマー材料で形成され、第一のストランドが第二のストランドに融合される融合領域を布地が含む、足底構造と該足底構造に固定された靴甲とを有する履物物品。
【請求項2】
布地が不織材料である、請求項1記載の履物物品。
【請求項3】
布地が機械加工されたヤーンで形成され、該ヤーンが第一のストランドと第二のストランドとを組み入れる、請求項1記載の履物物品。
【請求項4】
第一のストランドに、単一の熱可塑性ポリマー材料が含まれる、請求項1記載の履物物品。
【請求項5】
第一のストランドに、第一の融解温度を有する熱可塑性のポリマー材料が含まれ、第一のストランドに、第二の融解温度を有する第二の熱可塑性材料が含まれる、請求項1記載の履物物品。
【請求項6】
第一の熱可塑性ポリマー材料が第一のストランドの中心部分を形成し、第二の熱可塑性材料が中心部分の周囲を取り囲む、請求項5記載の履物物品。
【請求項7】
第一の融解温度が、第二の融解温度より高くなるように選択される、請求項6記載の履物物品。
【請求項8】
第一のストランドおよび第二のストランドがヤーンに組み入れられる、請求項1記載の履物物品。
【請求項9】
第二のストランドが熱可塑性ポリマー材料で形成される、請求項8記載の履物物品。
【請求項10】
第二のストランドが非融解性材料で形成される、請求項8記載の履物物品。
【請求項11】
靴甲が、布地が管状構造を形成するように編まれている、請求項1記載の履物物品。
【請求項12】
融合領域が靴甲の足首開口部に隣接して配置される、請求項1記載の履物物品。
【請求項13】
融合領域が靴甲のかかと部分に配置される、請求項1記載の履物物品。
【請求項14】
融合領域が靴甲の側面に配置される、請求項1記載の履物物品。
【請求項15】
融合領域が靴甲の足の甲の部分に配置される、請求項1記載の履物物品。
【請求項16】
融合領域が靴甲のつま先部分に配置される、請求項1記載の履物物品。
【請求項17】
靴甲が以下を含む、足底構造と該足底構造に固定された靴甲とを有する履物物品:
融合領域が、複数の第一のストランドおよび複数の第二のストランドから少なくとも部分的に形成され、第一のストランドが熱可塑性ポリマー材料で形成され、第一のストランドが融合領域において第二のストランドに融合されている、布地の融合領域;ならびに
第一のストランドが、非融合領域において第二のストランドに融合されていない、布地の非融合領域。
【請求項18】
布地が不織材料である、請求項17記載の履物物品。
【請求項19】
布地が機械加工されたヤーンで形成され、ヤーンが第一のストランドおよび第二のストランドを組み入れる、請求項17記載の履物物品。
【請求項20】
融合領域が、靴甲の足首開口部に隣接して配置される、請求項17記載の履物物品。
【請求項21】
融合領域が靴甲のかかと部分に配置される、請求項17記載の履物物品。
【請求項22】
融合領域が靴甲の側面に配置される、請求項17記載の履物物品。
【請求項23】
融合領域が靴甲の足の甲部分に配置される、請求項17記載の履物物品。
【請求項24】
融合領域が靴甲のつま先領域に配置される、請求項17記載の履物物品。
【請求項25】
第一のストランドに単一の熱可塑性ポリマー材料が含まれる、請求項17記載の履物物品。
【請求項26】
第一のストランドに、第一の融解温度を有する第一の熱可塑性ポリマー材料が含まれ、第一のストランドに、第二の融解温度を有する第二の熱可塑性材料が含まれる、請求項17記載の履物物品。
【請求項27】
第一の熱可塑性ポリマー材料が第一のストランドの中心部分を形成し、第二の熱可塑性材料が中心部分を取り囲む、請求項26記載の履物物品。
【請求項28】
第一の融解温度が、第二の融解温度より高くなるように選択される、請求項27記載の履物物品。
【請求項29】
第一のストランドおよび第二のストランドがヤーンに組み入れられる、請求項17記載の履物物品。
【請求項30】
第二のストランドが熱可塑性ポリマー材料で形成される、請求項29記載の履物物品。
【請求項31】
第二のストランドが非融解材料で形成される、請求項29記載の履物物品。
【請求項32】
布地が管状構造を形成するように、靴甲が編み機によって編まれている、請求項17記載の履物物品。
【請求項33】
以下の段階を含む、履物物品の靴甲を製造する方法:
ストランドの少なくとも第一の部分が少なくとも一つの熱可塑性ポリマー材料を含む、複数のストランドを提供する段階;
靴甲の一部を形成する布地にストランドを組み入れる段階;および
ストランドの少なくとも第一の部分をストランドの第二の部分に融合させることによって布地の融合領域を形成する段階。
【請求項34】
提供する段階に、第一の熱可塑性ポリマー材料と第二の熱可塑性ポリマー材料とを含むストランドの第一の部分を選択する段階が含まれる、請求項33記載の方法。
【請求項35】
提供する段階に、ストランドの第一の部分の中心部分に第一の熱可塑性材料を配置して、中心部分の周りに第二の熱可塑性材料を配置する段階が含まれる、請求項34記載の方法。
【請求項36】
提供する段階に、第二の熱可塑性ポリマー材料より高い融解温度を有するように第一の熱可塑性ポリマー材料を選択する段階が含まれる、請求項34記載の方法。
【請求項37】
提供する段階に、非融解材料であるようにストランドの第二の部分を選択する段階が含まれる、請求項33記載の方法。
【請求項38】
組み入れる段階に、ストランドの第一の部分およびストランドの第二の部分が含まれる不織材料となるように布地を形成する段階が含まれる、請求項33記載の方法。
【請求項39】
組み入れる段階に、ストランドの第一の部分とストランドの第二の部分とが含まれるヤーンを機械加工することによって布地を形成する段階が含まれる、請求項33記載の方法。
【請求項40】
組み入れる段階に、布地から靴甲の少なくとも外側部分を形成する段階が含まれる、請求項33記載の方法。
【請求項41】
組み入れる段階に、ストランドの第一の部分とストランドの第二の部分とで少なくとも部分的に形成されるヤーンを機械加工する編み機によって、管状構造を編む段階が含まれる、請求項33記載の方法。
【請求項42】
形成する段階に、靴甲の足首開口部に隣接して融合領域を配置する段階が含まれる、請求項33記載の方法。
【請求項43】
形成する段階に、靴甲のかかと部分に融合領域を配置する段階が含まれる、請求項33記載の方法。
【請求項44】
形成する段階に、靴甲の側面に融合領域を配置する段階が含まれる、請求項33記載の方法。
【請求項45】
形成する段階に、靴甲の足の甲部分に融合領域を配置する段階が含まれる、請求項33記載の方法。
【請求項46】
形成する段階に、靴甲のつま先部分に融合領域を配置する段階が含まれる、請求項33記載の方法。
【請求項47】
組み入れる段階に、布地の特定の位置にストランドの第一の部分を配置する段階が含まれる、請求項33記載の方法。
【請求項48】
形成する段階に、布地全体を加熱する段階が含まれる、請求項47記載の方法。
【請求項49】
組み入れる段階に、実質的に布地全体にストランドの第一の部分を配置する段階が含まれる、請求項33記載の方法。
【請求項50】
形成する段階に、布地の特定の領域を加熱する段階が含まれる、請求項49記載の方法。
【請求項51】
以下の段階を含む、履物物品の靴甲を製造する方法:
少なくとも一つの可融性ストランドを有するヤーンを靴甲の大部分に組み入れる段階;
少なくとも一つの可融性ストランドを隣接するストランドに融合させるために、実質的に靴甲全体を加熱する段階。
【請求項52】
組み入れる段階に、可融性ストランドのみで形成されるようにヤーンを選択する段階が含まれる、請求項51記載の方法。
【請求項53】
加熱する段階に、少なくとも一つの可融性ストランドの融解温度を超える温度を有する液体に靴甲を沈めることが含まれる、請求項51記載の方法。
【請求項54】
組み入れる段階に、少なくとも一つの可融性ストランドを含むヤーンを機械加工することによって布地を形成する段階が含まれる、請求項51記載の方法。
【請求項55】
組み入れる段階に、ヤーンを機械加工する編み機によって概して管状の構造を編む段階が含まれる、請求項51記載の方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3A】
image rotate

【図3B】
image rotate

【図3C】
image rotate

【図3D】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6A】
image rotate

【図6B】
image rotate


【公表番号】特表2006−511306(P2006−511306A)
【公表日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−565499(P2004−565499)
【出願日】平成15年12月15日(2003.12.15)
【国際出願番号】PCT/US2003/039882
【国際公開番号】WO2004/060093
【国際公開日】平成16年7月22日(2004.7.22)
【出願人】(505087849)ナイキ インコーポレーティッド (123)
【Fターム(参考)】