説明

吊り下げ具

【課題】構造が簡単で小型かつ操作性に優れ、しかも簡単な操作で携帯に便利な携帯状態と物品の吊り下げに便利な使用状態とを容易に得ることのできる安価な使い勝手のよい吊り下げ具を提供する。
【解決手段】掛け止め部21を具備するベース体2の連結部22と、吊り下げ部31を具備する吊り下げ体3の連結部32とを連結軸4を介して連結するとともに、吊り下げ部31が掛け止め部21と平行に隣接する格納位置MPと、吊り下げ部31が連結軸4を中心として掛け止め部21の反対側に離間する吊り下げ位置UPとの2位置を取り得るように変位可能に形成するとともに、掛け止め部21の掛け止め方向に沿った線LHとベース体2の連結面22とのなす平面角度αを5−90度の範囲から選択する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衣類や鞄などの物品を吊下げ保持する吊り下げ具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、物品を吊り下げるために、フックに代表される吊り下げ具が用いられている。
【0003】
このような物品を吊り下げる吊り下げ具として、例えば、ほぼC字状に形成された2つのフックを互いに反対向きとし、全体としてS字状に一体形成されたS字状吊り下げ具が知られている。
【0004】
このようなS字状吊り下げ具によれば、一方のフックを固定対象物に掛け止め、他方のフックに物品を吊り下げることができるようになっている。
【0005】
また、S字状吊り下げ具としては、2つのフックの中央部分で90度ひねって2つのフックを水平方向に直角に形成したものもある(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
このような2つのフックを90度ひねったS字状吊り下げ具によれば、物品を水平方向に90度回転させた状態で吊り下げることができるようになっている。
【0007】
ところで、鞄、買い物袋、荷物袋などの物品をもって出勤、通学、外出する場合、途中で吊り下げ具を携帯し、物品を吊り下げる使い方をされる場合がある。
【0008】
例えば、鞄、買い物袋、荷物袋などの物品をもってパチンコに行く場合、遊技の際には、物品が邪魔になるので、多数のパチンコ台が設置されている支持枠の、パチンコ台の下方に張り出したカウンターに一方のフックを掛け止め、他方のフックに物品を吊り下げる場合である。この場合、S字状吊り下げを用いると、2つのフックが平行に形成されているから、物品、例えば鞄の長手方向がカウンターの長手方向に配置される状態で吊り下げられることになるので、カウンターの長手方向のスペースを多く必要とし、隣位するパチンコ台が使用されない場合には問題はないが、隣位するパチンコ台が使用されると、鞄の長手方向の端部が隣のパチンコ台を使用する遊技者あるいは自身にぶつかって邪魔になるという問題点があった。
【0009】
この場合、2つのフックを90度ひねったS字状吊り下げ具を用いると、鞄の長手方向がカウンターの長手方向対して直交する方向に配置された状態となるので、鞄が邪魔になることはない。
【0010】
しかしながら、従来のS字状吊り下げ具は、ポケットなどに入れて持ち運ぶなどの携帯性を考慮されておらず、2つのフックの間隔が大きく大型で、携帯に不便なものであった。
【0011】
特に、90度ひねったS字状吊り下げ具は、2つのフックのなす角度が90度とされているのでかさばるものであり、ポケットなどに入れて持ち運ぶことが困難で、携帯により不便なものであった。
【0012】
そこで、携帯に便利な2つのフックを折り畳み可能にするとともに、フックの角度を調節することのできる吊り下げ具が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【0013】
この折り畳み可能にした吊り下げ具は、連結アームと、それぞれが枢設体および枢軸で連結アームの両端に枢設された1対のフックとを具え、そのうち一方のフックの外径が他方のフックの内径より小さく形成されている。そして、1対のフックは、枢軸により外向きに展開されて二つの反対側に位置するフックとされて、それぞれ固定対象物への吊り掛けと、フックに吊り掛ける必要がある物品の吊り掛けに供され、かつ各フックがそれぞれのフックと枢設体の間に設けられた枢設構造により水平に回転自在とされてフック開口の方向を調整でき、かつ1対のフックはその枢軸により内向きに折り畳んで、相互に隣接するように並列に配列して小体積として携帯に便利とすることができるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】実開平06−41577号公報
【特許文献2】特開2006−198222号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
しかしながら、従来の携帯可能な吊り下げ具においては、連結アームと、それぞれが枢設体および枢軸で連結アームの両端に枢設された1対のフックとを有しており、構造が複雑で部品点数が多く、製造に手間がかかりコストが高いという問題点があった。
【0016】
また、従来の携帯可能な吊り下げ具においては、1対のフックが小フックおよび大フックとされるとともに、大フックの内側に小フックが収納されるように形成されており、使用時においては、大フックを枢設構造により回転させて、小フックを大フックの拘束より離脱させるとともに、小フックを枢軸で軸方向に展開させ、およびつづいて枢軸を軸として小フックを上向きに回転させて、小フックを大フックと反対側に位置させ、つづいて、一方のフック例えば小フックを固定対象物に掛け止め、他方のフック例えば大フックに物品を吊り下げ、また、吊り下げた物品を任意の角度位置に回転するという面倒な操作を必要とし、さらに、使用後に携帯状態に戻すには、使用時と逆の操作を必要とするので、使い勝手がよくないという問題点もあった。
【0017】
なお、従来の携帯可能な吊り下げ具においては、枢設構造により吊り下げた物品を回転させることができることに起因して、何らかの理由により物品に水平方向から外力が加わった場合、例えば隣のパチンコ台を使用する遊技者がパチンコ台から離れるときに、吊り下げた鞄に接触したりすると、使用者の意思とは関係なく鞄が水平方向に回転してしまうという問題点もあった。
【0018】
本発明はこの点に鑑みてなされたものであり、構造が簡単で小型かつ操作性に優れ、しかも簡単な操作で携帯に便利な携帯状態と物品の吊り下げに便利な使用状態とを容易に得ることのできる安価な使い勝手のよい吊り下げ具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
前述した目的を達成するため、特許請求の範囲の請求項1に記載の本発明の吊り下げ具の特徴は、
固定対象物に掛け止めるための掛け止め部および連結部を具備するベース体と、
物品を吊り下げるための吊り下げ部および連結部を具備する吊り下げ体と、
前記ベース体の連結部および前記吊り下げ体の連結部を相対回転可能に連結するための連結軸とを有しており、
前記ベース体の連結部および前記吊り下げ体の連結部のそれぞれには、前記連結軸の軸線に対して直交する方向に延在する平坦な連結面が形成されており、
前記ベース体の連結面と前記吊り下げ体の連結面とが対向配置されており、
前記ベース体および前記吊り下げ体は、前記吊り下げ部が前記掛け止め部と平行に隣接する格納位置と、前記吊り下げ部が前記連結軸を中心として前記掛け止め部の反対側に離間する吊り下げ位置との2位置を取り得るように変位可能に形成されており、
前記掛け止め部の掛け止め方向に沿った線と前記ベース体の連結面とのなす平面角度が5−90度の範囲から選択され、前記吊り下げ位置における前記掛け止め部の掛け止め方向に沿った線と前記吊り下げ部の吊り下げ方向に沿った線とのなす平面角度が10−180度の範囲における所定角度となる点にある。
【0020】
そして、本発明の吊り下げ具は、上述のように、掛け止め部の掛け止め方向に沿った線とベース体の連結面とのなす平面角度を5−90度の範囲から選択する構成とされているから、吊り下げ位置における掛け止め部の掛け止め方向に沿った線と吊り下げ部の吊り下げ方向に沿った線とのなす平面角度を10−180度の範囲における所定角度とすることができる。また、ベース体および吊り下げ体を連結軸により相対回転可能に連結した構成とされているから、構成部品の部品点数をベース体、吊り下げ体および連結軸の3点とすることができるので、小型化、軽量化、低コスト化を容易に図ることができる。さらに、ベース体および吊り下げ体を相対回転させるという簡単な操作により、格納位置と吊り下げ位置を選択することができるので、操作性が向上する。さらにまた、ベース体および吊り下げ体を格納位置に位置させると、掛け止め部と吊り下げ部とが重なるように閉じた携帯状態とすることができるので、かさばらず携帯に便利なものとすることができる。またさらに、ベース体および吊り下げ体を吊り下げ位置に位置させると、掛け止め部に対して吊り下げ部の位置を掛け止め部の掛け止め方向に沿った線と吊り下げ部の吊り下げ方向に沿った線とのなす平面角度の角度だけ水平方向に回転させた位置とすることができるので、ベース体および吊り下げ体を相対回転させるという簡単な操作により、掛け止め部と吊り下げ体の吊り下げ部とが平行でない吊り下げ状態を容易かつ確実に得ることができる。さらにまた、吊り下げ位置における吊り下げ部の前記平面角度が10−180度の範囲における所定角度に固定されているので、吊り下げ部に吊り下げた物品に何らかの理由により水平方向から外力が加わった場合であっても、物品が水平方向に回転するのを確実に防止することができる。したがって、本発明の吊り下げ具は、構造が簡単で小型かつ操作性に優れ、しかも簡単な操作で携帯に便利な携帯状態と物品の吊り下げに便利な使用状態とを容易に得ることのできる安価な使い勝手のよいものとすることができる。
【0021】
また、請求項2に記載の本発明の吊り下げ具の特徴は、請求項1において、前記掛け止め部の掛け止め方向に沿った線と前記ベース体の連結面とのなす平面角度が45度であり、前記吊り下げ位置における前記掛け止め部の掛け止め方向に沿った線と前記吊り下げ部の吊り下げ方向に沿った線とのなす平面角度が90度である点にある。そして、このような構成を採用したことにより、吊り下げ位置における掛け止め部の掛け止め方向に沿った線と吊り下げ部の吊り下げ方向に沿った線とのなす平面角度を90度とすることができる。したがって、固定対象物に対して物品を容易に水平方向に直角にして吊り下げることができる。
【0022】
さらに、請求項3に記載の本発明の吊り下げ具の特徴は、請求項1または請求項2において、前記掛け止め部および前記吊り下げ部が前記格納位置において対称をなす鉤状に形成されている点にある。そして、このような構成を採用したことにより、吊り下げ部を固定対象物に掛け止めることができ、掛け止め部に物品を吊り下げることができるので、ベース体および吊り下げ体を反転使用することができる。したがって、使用時に、ベース体および吊り下げ体の判別をしなくて済むので、操作性および使い勝手をより向上することができる。
【発明の効果】
【0023】
請求項1に記載の本発明の吊り下げ具によれば、掛け止め部の掛け止め方向に沿った線とベース体の連結面とのなす平面角度を5−90度の範囲から選択することにより、吊り下げ位置における掛け止め部の掛け止め方向に沿った線と吊り下げ部の吊り下げ方向に沿った線とのなす平面角度を10−180度の範囲における所定角度とすることができるなどの優れた効果を奏する。また、請求項1に記載の本発明の吊り下げ具によれば、構造が簡単で小型かつ操作性に優れ、しかも簡単な操作でベース体の掛け止め部と吊り下げ体の吊り下げ部とが平行に隣接する携帯に便利な格納位置と、ベース体の掛け止め部位と吊り下げ体の吊り下げ部とが平行でない物品の吊り下げに便利な吊り下げ位置とを容易に得ることのできる安価な使い勝手のよいものとすることができるなどの優れた効果を奏する。
【0024】
請求項2に記載の本発明の吊り下げ具によれば、固定対象物に対して物品を水平方向に直角にして吊り下げることができるなどの優れた効果を奏する。
【0025】
請求項3に記載の本発明の吊り下げ具によれば、使用時に、ベース体および吊り下げ体を反転使用することができるなどの優れた効果を奏する。また、ベース体および吊り下げ体を反転使用することができるから、ベース体および吊り下げ体の判別をしなくて済むので、操作性および使い勝手をより向上することができるなどの優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明に係る吊り下げ具の実施形態の要部を示す正面図であり、(a)は格納位置、(b)は吊り下げ位置。
【図2】図1の実施形態の平面図であり、(a)は格納位置、(b)は吊り下げ位置。
【図3】図1の実施形態の左側面図であり、(a)は格納位置、(b)は吊り下げ位置。
【図4】図1の実施形態の右側面図であり、(a)は格納位置、(b)は吊り下げ位置。
【図5】図1の実施形態の底面図であり、(a)は格納位置、(b)は吊り下げ位置。
【図6】図1の実施形態の背面図であり、(a)は格納位置、(b)は吊り下げ位置。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明を図面に示す実施形態により説明する。
【0028】
図1から図6は、本発明に係る吊り下げ具の実施形態を示すものであり、図1は正面図、図2は図1の平面図、図3は図1の左側面図、図4は図1の右側面図、図5は図1の底面図、図6は図1の背面図である。なお、図1から図6におけるそれぞれの(a)はベース体および吊り下げ体が格納位置にある携帯状態を示し、図1から図6におけるそれぞれの(b)はベース体および吊り下げ体が吊り下げ位置にある使用状態を示している。また、図1から図6におけるそれぞれの(b)は、固定したベース体に対して吊り下げ体が変位した状態を示している。
【0029】
図1から図6に示すように、本実施形態の吊り下げ具1は、ベース体2と、吊り下げ体3と、連結軸4とを有している。ベース体2および吊り下げ体3は、それぞれの連結部で連結軸4を介して相対回転可能に形成されている。
【0030】
前記ベース体2は、吊り下げ具1を図示しない固定対象物、例えばカウンターの縁部に掛け止めるための引っ掛け部位としての掛け止め部21と、連結部としてのベース連結部22とを具備している。
【0031】
前記掛け止め部21は、図6に示すように、後述する格納位置MPにおいて全体として下向きに開口している上下方向に長い鉤状をなす平板状に形成されている。なお、掛け止め部21の形状としては、固定対象物に掛け止ることのできる形状であればよい。
【0032】
前記ベース連結部22は、図3から図6に示すように、全体として上下方向に長い三角柱状に形成されている。また、ベース連結部22の3つの側面のうち図2(b)の右斜め下方を向いた側面は、連結面としてのベース連結面23とされている。このベース連結面23は、連結軸4の軸線Rに対して直交する方向に沿って形成されており、このベース連結面23の中央部に連結軸4の一端部が固着あるいは枢着されている。
【0033】
前記掛け止め部21のベース連結面23側に位置する側面は、平坦なベース側面24とされており、このベース側面24は、図2に示すように、掛け止め部21の掛け止め方向に沿った線LHに沿って配置されている。
【0034】
前記ベース体2は、掛け止め部21の掛け止め方向に沿った線LHとベース連結面23とのなす平面角度αが5−90度の範囲から選択された角度、本実施形態においては45度となるように形成されている(α=45度)。なお、平面角度αの値は、設計コンセプトおよび仕様などの必要に応じて5−90度の範囲から設定される。本発明において、平面角度αのより好ましい角度は15−75度であり、この場合、平面角度γは30−150度の範囲における所定角度とすることができる。
【0035】
前記吊り下げ体3は、物品、例えば鞄を吊り下げるための吊り下げ部31と連結部としての吊り連結部32とを具備している。
【0036】
前記吊り下げ部31は、図1(a)に示すように、後述する格納位置MPにおいて全体として下向きに開口している上下方向に長い鉤状をなす平板状に形成されており、図1(b)に示すように、後述する吊り下げ位置UPにおいては全体として上向きに開口している。すなわち、本実施形態における吊り下げ部31は、掛け止め部21と対称に形成されている。なお、吊り下げ部31の形状としては、物品を吊り下げることのできる形状であればよい。
【0037】
前記吊り連結部32は、図3から図6に示すように、全体として上下方向に長い三角柱状に形成されている。また、吊り連結部32の3つの側面のうち図2(b)の左斜め上方を向いた側面は、連結面としての吊り連結面33とされている。この吊り連結面33は、連結軸4の軸線Rに対して直交する方向に沿って形成されており、この吊り連結面33の中央部に連結軸4の他端部が枢着あるいは固着されている。また、吊り連結面33は、格納位置MPにおいてベース連結面23と対向配置されるので、格納位置MPにおいて掛け止め部21の掛け止め方向に沿った線LHと吊り連結面33とのなす平面角度は、掛け止め部21の掛け止め方向に沿った線LHとベース連結面23とのなす平面角度αと同一になる。
【0038】
前記吊り下げ部31の吊り連結面33側に位置する側面は、平坦な吊り側面34とされており、この吊り側面24は、図2(a)に示す格納位置MPにおいては掛け止め部21の掛け止め方向に沿った線LHに沿って配置され、図2(b)に示す吊り下げ位置UPにおいては吊り下げ部31の吊り下げ方向に沿った線LDに沿って配置されるようになっている。
【0039】
前記ベース体2および吊り下げ体3の素材としては、プラスチックや、金属を挙げることができる。
【0040】
本実施形態のベース体2および吊り下げ体3は、プラスチックを素材とし金型を用いた射出成型により形成されている。
【0041】
前記連結軸4は、ベース体2のベース連結部22および吊り下げ体3の吊り連結部32を相対回転可能に連結するためのものであり、一端部がベース連結部22に固着および/または枢着され、他端部が吊り連結部32に枢着および/または固着されている。また、ベース体2および吊り下げ体3が連結軸4によって連結された場合、ベース連結面23と吊り連結面33とが対向するように対向配置されている。
【0042】
前記連結軸4としては、ベース体2のベース連結部22および吊り下げ体3の吊り連結部32を相対回転可能に連結するとともに、ベース体2および吊り下げ体3を連結軸4に連結した状態において、ベース体2および吊り下げ体3が外れないようにできるものであればよい。
【0043】
前記連結軸4の素材としては、金属や、プラスチックを挙げることができる。本実施形態においては、金属、例えばステンレスが用いられている。
【0044】
なお、連結軸4は、プラスチックを射出成型してベース体2および吊り下げ体3を形成する際に、連結軸4をインサート成型することにより、ベース体2および吊り下げ体3の一方に一体に形成することができる。このように、連結軸4をベース体2および吊り下げ体3の一方に一体に形成することにより、吊り下げ具1の製造工程を簡素化することができる。勿論、ベース体2、吊り下げ体3および連結軸4の3つの構成部品を個別に形成し、3つの構成部品を組み立てて吊り下げ具1を得る製造工程であってもよい。
【0045】
前記連結軸4によって連結されたベース体2および吊り下げ体3、すなわち吊り下げ具1は、吊り下げ部31が掛け止め部21と平行に隣接する格納位置MPと、吊り下げ部31が連結軸4を中心として掛け止め部21の反対側に離間する吊り下げ位置UPとの2位置を取り得るように変位可能に形成されている。
【0046】
本実施形態の吊り下げ具1は、吊り下げ体3の吊り連結部32が連結軸4を中心として回転し、この吊り連結部32の回転に同期して吊り下げ部31がねじり回転するように形成されている。
【0047】
なお、ベース連結部22および吊り連結部32のそれぞれが連結軸4に回転自在に支持される構成とした場合には、ベース連結部22および吊り連結部32のそれぞれが連結軸4を中心として回転するとともに、掛け止め部21および吊り下げ部31の一方が他方に対して、あるいは他方が一方に対してねじり回転することになる。
【0048】
ここで、本実施形態の吊り下げ具1は、掛け止め部21の掛け止め方向に沿った線LHとベース体2のベース連結面23とのなす平面角度αが45度にされているから、本実施形態の吊り下げ具1が吊り下げ位置UPとなった場合、図2に示すように、吊り下げ位置UPにおける掛け止め部21の掛け止め方向に沿った線LHと吊り下げ部31の吊り下げ方向に沿った線LDとのなす平面角度γは90度(γ=2α)になる。
【0049】
なお、平面角度αは、5−90度の範囲から選択することができるので、平面角度αを最小の5度とした場合には、平面角度γは最小の10度となり、平面角度αを最大の90度とした場合には、平面角度γは最大の180度となる。
【0050】
したがって、本実施形態の吊り下げ具1は、プラスチックにより形成されたベース体2とプラスチックにより形成された吊り下げ体3とが金属により形成された連結軸4により相対回転するように連結されているとともに、ベース体2および吊り下げ体3は、図1から図6のそれぞれの(a)に示す吊り下げ部31が掛け止め部21と平行に隣接する格納位置MPと、図1から図6のそれぞれの(b)に示す吊り下げ部31が連結軸4を中心として掛け止め部21の反対側に離間し、かつ平面角度γが90度の角度を取る吊り下げ位置UPとの2位置を取り得るように変位可能に形成されている。
【0051】
また、本実施形態の吊り下げ具1は、格納位置MPにおいては、ベース体2の掛け止め部21と吊り下げ体3の吊り下げ部31とがそれぞれの厚さ方向にぴったり重なるとともに、ベース連結部22と吊り連結部32とが全体として四角柱をなすように重なるように形成されている。すなわち、掛け止め部21および吊り下げ部31は、格納位置MPにおいて相互の対向面を対称面として対称をなす鉤状に形成されている。
【0052】
さらに、本実施形態の吊り下げ具1は、格納位置MPにある吊り下げ体3を図1の反時計方向へ180度回転させることにより吊り下げ位置UPに変位させることができ、吊り下げ位置UPにある吊り下げ体3を図1の時計方向へ180度回転させることにより格納位置MPに変位できるように形成されている。
【0053】
つぎに、前述した構成からなる本実施形態の作用について説明する。
【0054】
本実施形態の吊り下げ具1を携帯する場合には、ベース体2および吊り下げ体3を図1から図6のそれぞれの(a)に示す格納位置MPとする。この時、掛け止め部21と吊り下げ部31とが連結軸4を中心として閉じられて掛け止め部21と吊り下げ部31が平行に隣接するように配置されるので、コンパクトな携帯に便利な形状にできる。
【0055】
また、本実施形態の吊り下げ具1を使用する場合には、ベース体2および吊り下げ体3を図1から図6のそれぞれの(b)に示す吊り下げ位置UPとする。具体的には、掛け止め部21と吊り下げ部31とが開くように連結軸4を中心としてベース体2および吊り下げ体3を相対回転し、吊り下げ部31を掛け止め部21の反対側の位置とする。この時、掛け止め部21を手にもって固定すると、吊り連結部32が連結軸4を中心として回転し、吊り下げ部31は、掛け止め部21に対して90度ねじり回転する。そして、掛け止め部21を固定対象物、例えばカウンターの縁部に掛け止めることにより、吊り下げ部31を物品、例えば鞄の吊り下げに供することができる。
【0056】
このように、本実施形態の吊り下げ具1によれば、ベース体2の掛け止め部21は、ベース体2、ひいては吊り下げ具1を固定対象物に確実かつ容易に掛け止めることができる。
【0057】
さらに、本実施形態の吊り下げ具1によれば、吊り下げ体3の吊り下げ部31は、吊り下げ体3に物品を確実かつ容易に吊り下げることができる。
【0058】
また、本実施形態の吊り下げ具1によれば、連結軸4は、ベース体2および吊り下げ体3を確実に相対回転するように連結することができる。
【0059】
さらに、本実施形態の吊り下げ具1によれば、ベース体2および吊り下げ体3を連結軸4により相対回転可能に連結した構成とされているから、構成部品の部品点数をベース体2、吊り下げ体3および連結軸4の3点とすることができるので、小型化、軽量化、低コスト化を容易に図ることができる。
【0060】
さらにまた、本実施形態の吊り下げ具1によれば、ベース体2および吊り下げ体3を相対回転させるという簡単な操作により、格納位置MPと吊り下げ位置UPを選択することができるので、操作性が向上する。
【0061】
また、本実施形態の吊り下げ具1によれば、ベース体2および吊り下げ体3を格納位置MPに位置させると、掛け止め部21と吊り下げ部31とが重なるように閉じた携帯状態とすることができるので、かさばらず携帯に便利なものとすることができる。
【0062】
さらに、本実施形態の吊り下げ具1によれば、ベース体2および吊り下げ体3を吊り下げ位置UPに位置させると、掛け止め部21に対して吊り下げ部31の位置を平面角度γだけ水平方向に回転させた位置とすることができるので、ベース体2および吊り下げ体3を相対回転させるという簡単な操作により、掛け止め部21と吊り下げ体3の吊り下げ部31とが平行でない物品を吊り下げる吊り下げ状態を容易かつ確実に得ることができる。
【0063】
さらにまた、本実施形態の吊り下げ具1によれば、平面角度γが10−180度の範囲から設定した角度に固定されているので、吊り下げ部31に吊り下げた物品に何らかの理由により水平方向から外力が加わった場合であっても、物品が水平方向に回転するのを確実に防止することができる。
【0064】
したがって、本実施形態の吊り下げ具1によれば、掛け止め部21の掛け止め方向に沿った線LHとベース体2のベース連結面23とのなす平面角度αを5−90度の範囲から選択することにより、吊り下げ位置UPにおける掛け止め部21の掛け止め方向に沿った線LHと吊り下げ部31の吊り下げ方向に沿った線LDとのなす平面角度γを確実かつ容易に10−180度の範囲における所定角度とすることができる。
【0065】
また、本実施形態の吊り下げ具1によれば、構造が簡単で小型かつ操作性に優れ、しかも簡単な操作でベース体2の掛け止め部21と吊り下げ体3の吊り下げ部31とが平行な携帯に便利な格納状態と、ベース体2の掛け止め部21と吊り下げ体3の吊り下げ部31とが平行でない物品の吊り下げに便利な使用状態とを容易に得ることのできる安価な使い勝手のよいものとすることができる。
【0066】
また、本実施形態の吊り下げ具1によれば、平面角度γが90度に固定されているので、固定対象物に対して物品を水平方向に直角にして吊り下げることができる。
【0067】
さらに、本実施形態の吊り下げ具1によれば、掛け止め部21および吊り下げ部31が格納位置MPにおいて対称をなす鉤状に形成されているから、吊り下げ部31を固定対象物に掛け止めることができ、掛け止め部21に物品を吊り下げることができるので、ベース体2および吊り下げ体3を反転使用することができる。
【0068】
したがって、本実施形態の吊り下げ具1によれば、使用時に、ベース体2および吊り下げ体3の判別をしなくて済むので、操作性および使い勝手をより向上することができる。
【0069】
なお、本発明は、前述した実施形態に限定されるものではなく、必要に応じて種々の変更が可能である。例えば、ベース体の掛け止め部の形状として、断面逆L字状、掛け止め用の孔を設けた平板状、リング状などを用いることができる。なお、掛け止め部の形状を断面逆L字状とした場合、少なくとも固定対象物との接触部に滑り止めを設けるとよい。また、ベース体を平板状に形成し、このベース体に吊り下げ体を複数個設置することにより、本発明の吊り下げ具を例えば衣服用フックとして壁等に取り付けることもできる。この場合、吊り下げ体の格納時は吊り下げ体がベース体の板面にピッタリと納まって邪魔にならず、また、吊り下げ体をフックとして使用する際には、吊り下げ体を引き出すのみで、容易に壁に対し所定の角度、例えば直角にすることができる。
【符号の説明】
【0070】
1 吊り下げ具
2 ベース体
3 吊り下げ体
4 連結軸
21 掛け止め部
22 ベース連結部
23 ベース連結面
24 ベース側面
31 吊り下げ部
32 吊り連結部
33 吊り連結面
34 吊り側面
R 連結軸の軸線
α 掛け止め部の掛け止め方向に沿った線とベース体の連結面とのなす平面角度
γ 吊り下げ位置における掛け止め部の掛け止め方向に沿った線と吊り下げ部の吊り下げ方向に沿った線とのなす平面角度
LH 掛け止め部の掛け止め方向に沿った線
LD 吊り下げ部の吊り下げ方向に沿った線
MP 格納位置
UP 吊り下げ位置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定対象物に掛け止めるための掛け止め部および連結部を具備するベース体と、
物品を吊り下げるための吊り下げ部および連結部を具備する吊り下げ体と、
前記ベース体の連結部および前記吊り下げ体の連結部を相対回転可能に連結するための連結軸とを有しており、
前記ベース体の連結部および前記吊り下げ体の連結部のそれぞれには、前記連結軸の軸線に対して直交する方向に延在する平坦な連結面が形成されており、
前記ベース体の連結面と前記吊り下げ体の連結面とが対向配置されており、
前記ベース体および前記吊り下げ体は、前記吊り下げ部が前記掛け止め部と平行に隣接する格納位置と、前記吊り下げ部が前記連結軸を中心として前記掛け止め部の反対側に離間する吊り下げ位置との2位置を取り得るように変位可能に形成されており、
前記掛け止め部の掛け止め方向に沿った線と前記ベース体の連結面とのなす平面角度が5−90度の範囲から選択され、前記吊り下げ位置における前記掛け止め部の掛け止め方向に沿った線と前記吊り下げ部の吊り下げ方向に沿った線とのなす平面角度が10−180度の範囲における所定角度となることを特徴とする吊り下げ具。
【請求項2】
前記掛け止め部の掛け止め方向に沿った線と前記ベース体の連結面とのなす平面角度が45度であり、前記吊り下げ位置における前記掛け止め部の掛け止め方向に沿った線と前記吊り下げ部の吊り下げ方向に沿った線とのなす平面角度が90度であることを特徴とする請求項1に記載の吊り下げ具。
【請求項3】
前記掛け止め部および前記吊り下げ部が前記格納位置において対称をなす鉤状に形成されている請求項1または請求項2に記載の吊り下げ具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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