説明

吊掛装置

【課題】本発明は、部品数の少ない単純な構造で、正常な回動操作でない時に、引掛具を無理に回動しても、吊掛具や支持具が壊れないと共に、引掛具に過荷重がかかった時に警告表示すること。
【解決手段】吊掛具8は、シャフト20の下端に略筒状の連係筒25を設け、さらにそこに、リング部29の上部に略円柱状の連係突起30を設けた引掛具28を設けてある。連係筒25には、下方に開口する凹部である収容部26を設け、その上面に放射状に三角形の突起を配設した接触部27を設けてある。連係突起30には、上端に放射状に三角形の突起を配設した接触部31を設けると共に、下部外周に赤色の表示部32を設けてある。引掛具28は、連係突起30を収容部26に挿入し、連係筒25を貫通するねじ33で取り付けられ、ねじ33は圧縮ばねである弾性体24によって上方に付勢されており、従って、引掛具28は、弾性体24によって上方に付勢されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に、室内の天井に取り付けて、物干具や物干竿あるいは観葉植物や絵画等を吊り下げて使用する吊掛装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、前述のような吊掛装置として特開2003−225498号公報に記載された発明が提案されている。この従来例においては、支持具には横長の嵌合孔を設けて、吊掛具には、上端に一対の係止突部を設けた球形フックを形成し、下端にリングを設けてあり、球形フックを嵌合孔から挿入して90度回動して、吊掛具を支持具に取り付け、逆に90度回動して取り外すものである。
【特許文献1】特開2003−225498号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記従来例においては、吊掛具は吊り下げられた状態で支持具に対して回動させると、取り外すことができる吊掛装置であって、引掛具であるリングはシャフトに対して常時回動が不能であるので、着脱の時にリングを回動操作すると、例えば回動範囲を越えて回動する等、正常な回動操作でない時に、無理に回動すると、吊掛具や支持具が壊れてしまうという問題がある。
【0004】
また、当然吊掛装置の耐荷重は設定されているが、使用者は吊り下げるものの重さがどのくらいあるのか、耐荷重以内であるのかを把握することは極めて難しく、リングに耐荷重以上の重いものを吊り下げることがありその場合には、吊掛装置が壊れるか、最悪の場合には取り付けられている天井を壊してしまうという問題がある。
【0005】
本発明は、上記の2つの問題を一部分の簡単な構造で解決することを課題としているものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、請求項1の発明においては、天井面等に取り付けられる支持具に、シャフトに引掛具を設けた吊掛具を回動して着脱することができる吊掛装置において、吊掛具は、シャフトの下端部に連係筒を設けると共に、連係筒には下方に開口する凹部である収容部を設け、引掛具は、上端部に連係突起を設け、この連係突起を連係筒の収容部に挿入して収容し、弾性体によって上方に付勢して吊掛具の下端部に取り付けられ、連係筒及び連係突起には互いに接触する接触部をそれぞれ設けると共に、連係突起の外周には表示部を設けて成り、引掛具に荷重がかかっていない時には弾性体の付勢力によって、連係筒と連係突起のそれぞれ接触部が接触して引掛具はシャフトと一緒に回動すると共に、連係突起の表示部が連係筒に収容されている状態に保持されるよう構成し、引掛具は一定以上の力で回動すると空転するように設定されていると共に、引掛具に一定以上の荷重がかかると弾性体の付勢力に抗して、連係突起が下動してその表示部が連係筒から露出するように設定されているものである。
【0007】
また請求項2の発明においては、天井面等に取り付けられる支持具に、シャフトに引掛具を設けた吊掛具を回動して着脱することができる吊掛装置において、吊掛具は、シャフトの下端部に連係突起を設け、引掛具には、上端部に連係筒を設けると共に、連係筒には上方に開口する凹部である収容部を設け、引掛具は、連係筒の収容部に吊掛具の連係突起を挿入して収容し、弾性体によって上方に付勢して吊掛具の下端部に取り付けられ、連係筒及び連係突起には互いに接触する接触部をそれぞれ設けると共に、連係突起の外周には表示部を設けて成り、引掛具に荷重がかかっていない時には弾性体の付勢力によって、連係筒と連係突起のそれぞれ接触部が接触して引掛具はシャフトと一緒に回動すると共に、連係突起の表示部が連係筒に収容されている状態に保持されるよう構成し、引掛具は一定以上の力で回動すると空転するように設定されていると共に、引掛具に一定以上の荷重がかかると弾性体の付勢力に抗して、連係筒が下動して連係突起の表示部が連係筒から露出するように設定されているものである。
【発明の効果】
【0008】
以上のように本発明によれば、部品数の少ない単純な構造で、正常な回動操作でない時に、引掛具を無理に回動しても引掛具は空転し、吊掛具や支持具に過剰な力がかかって壊れてしまうことがないという効果と過荷重の警告を表示する効果を同時に奏することができるものである。
【0009】
また、引掛具に急激に荷重をかけた場合でも、引掛具を上方に付勢してる弾性体が変形して衝撃荷重を緩和して、吊掛具や支持具が壊れるのを防止することができるという効果もある。
【実施例1】
【0010】
支持具1は、周縁に鍔部14を有し、鍔付き帽子を上下逆にしたような形状の基体2の中に、抜止具4、伝達具5及び振り分けばね6を内蔵し、裏面に蓋体3を被せ、表面にカバー7を被せて成るものである。
【0011】
基体2には、底板の内面に直線溝の誘導部10を設け、この誘導部10の中央に円形の貫通孔の挿入孔9を設けてある。鍔部14には、相対向する2箇所に取付孔15・15を設け、その中間に円柱状の突起16を設けてある。基体2には、取付孔15・15に挿通する取付ねじを隠して美観を向上させるために、カバー7を被せるようになっている。
【0012】
抜止具4は、中央側を円弧状に切り欠いて閉塞部11を形成し、反対側には上方に突出する受動部12を設けてあり、2つを一組として基体2の誘導部10に、それぞれの閉塞部11・11を対向するように、摺動可能に設けられる。
【0013】
伝達具5は、略短円柱状で、基体2の中に回動可能に収容され、一面側に楕円形状溝の案内部13を設けると共に、その中央に円形の挿入凹部18を設けてある。さらに、挿入凹部18の底面中央には六角形に突出している係合部19を設けてある。また、他面側には、一部切り欠いて一段低い面を形成してあり、そこに突起17を設け、振り分けばね6の一端が取り付けられるようになっている。この振り分けばね6は、他端が基体2の突起16に取り付けられ、伝達具5を回動した時、中間点を境にして振り分けるものである。
【0014】
一対の抜止具4・4の受動部12・12は伝達具5の案内部13に係合するようになっており、伝達具5が回動すると、案内部13と受動部12・12の係合により、抜止具4・4は摺動され、閉塞部11・11が基体2の挿入孔9の一部を閉塞するようになっている。
【0015】
吊掛具8は、シャフト20の一端にばね21を介して略半球形状の挿入部22を設け、他端に略筒状の連係筒25を設け、さらにそこに、リング部29の上部に略円柱状の連係突起30を設けた引掛具28を取り付けてある。挿入部22の上端の平らな部分には、六角形の孔の駆動部23を凹設してある。この駆動部23は、伝達具5の係合部19と係合する。
【0016】
連係筒25には、下方に開口する凹部である収容部26を設け、その上面に放射状に三角形の突起を配設した接触部27を設けてある。連係突起30には、上端に放射状に三角形の突起を配設した接触部31を設けると共に、下部外周に赤色の表示部32を設けてある。なお、この実施例では、連係筒25はシャフト20と別体のものを取り付けているが、パイプ状のシャフト20の下部を連係筒としてもよい。この場合、連係筒の接触部は別体のものをシャフト20下部に取り付ける必要がある。
【0017】
引掛具28は、連係突起30を収容部26に挿入し、連係筒25を貫通するねじ33で取り付けられ、ねじ33は圧縮ばねである弾性体24によって上方に付勢されており、従って、引掛具28は、弾性体24によって上方に付勢されて、その接触部31が連係筒25の接触部27と接触してそれぞれの三角形の突起が噛み合っていると共に、連係突起30の赤色の表示部32は収容部26に収容されて、露出していない。
【0018】
ねじ33と弾性体24との間には、2枚の座金34・34で合成樹脂製の滑子35を挟んだものを介在させ、ねじ33がスムーズに摺動できるようにしてある。なお、本実施例では、接触部27と接触部31は、共に三角形の突起であって噛み合うようになっているが、弾性体24の力によって接触してある程度の摩擦力が生じるものであれば、突起ではなく単に平面であってもよい。
【0019】
支持具1を組み立てるには、抜止具4・4を支持具1の基体2の誘導部10に、受動部12・12を上向きに、閉塞部11・11を対向するようにして配設し、受動部12・12が案内部13に係合するように、伝達具5を被せ、基体2の突起16と伝達具5の突起17に振り分けばね6を取り付けて蓋体3を被着し、天井等に取付ねじで取り付け、最後にカバー7を被着する。
【0020】
吊掛具8の挿入部22を基体2の挿入孔9から伝達具5の挿入凹部18に挿入し、駆動部23を係合部19に係合し引掛具28を右に90度回動させると、伝達具5の案内部13が抜止具4・4の受動部12・12を動かすので、抜止具4・4は誘導部10に沿って中央に向かって摺動し、その閉塞部11・11が挿入孔9の一部を閉塞する。閉塞された挿入孔9は挿入部22の直径よりも小さくなり、駆動部23を係合部19から外して、吊掛具8を下ろすと、挿入部22が閉塞部11・11に抜け止めされ吊掛具8は支持具1に支持される(図1、図2、図5及び図9の状態)。
【0021】
吊掛具8が支持具1に支持されただけの不使用状態では、弾性体24の力によって、連係筒25の接触部27と連係突起30の接触部31のそれぞれの三角形の突起が噛み合い、連係突起30の赤色の表示部32は連係筒25の収容部26に収容されて露出していない状態であり(図2の状態)、引掛具28に物干具や観葉植物や絵画等を吊り下げて使用したり、間隔を離して2つ取り付けて引掛具28・28に物干竿を掛け渡して使用するものである。
【0022】
不使用時は、引掛具28を持って吊掛具8を持ち上げ、挿入部22の駆動部23を係合部19に係合させ、左に90度回動させると、連係筒25の接触部27と連係突起30の接触部31が噛み合っているので、その回動力は連係突起30に伝達され、吊掛具8が回動する。そして、伝達具5の案内部13が抜止具4・4の受動部12・12を動かすので、抜止具4・4は誘導部10に沿って外方に向かって摺動し、その閉塞部11・11が挿入孔9から後退し、挿入孔9の全体が開口し、吊掛具8の挿入部22を抜き外すことができる(図7、図8及び図10の状態)。
【0023】
そして使用時に、引掛具28に一定以上の荷重がかかると、ねじ33を介して弾性体24が変形し、引掛具28が下動し、連係突起30に設けた表示部32が連係筒25から露出し、過荷重であることを知らせるものである(図3の状態)。この状態では、連係筒25の接触部27と連係突起30の接触部31の噛合は外れており、引掛具28が回動しても空転するだけで、吊掛具8は回動せず脱落することはない。
【0024】
また、引掛具28を回動する時に、正常な回動操作でない場合、例えば回動が既に終わって挿入部22を着脱することができる状態になっているのに、さらに回動操作しようする場合等、引掛具28を無理に回動すると、弾性体24が変形して、接触部27と接触部31との三角形の突起の噛み合いが乗り越えて空転することになり、支持具1あるいは吊掛具8が壊れるのを防止する。
【0025】
引掛具28は一定以上の力で回動すると空転するように設定されていると共に、引掛具28に一定以上の荷重がかかると弾性体24の付勢力に抗して、連係突起30が下動してその表示部32が連係筒25から露出するように設定されているが、引掛具28が空転を始める力と、表示部32が連係筒25から露出する力は、弾性体24の強さと、接触部27と接触部31との噛み合い方によって決められるものであり、必ずしも同じである必要はない。
【実施例2】
【0026】
なお、図11及び図12に示すものは、吊掛具101の他の実施例であって、連係筒と連係突起を逆にしたものである。シャフト102の下端に略円柱の連係突起106を設け、さらにそこに、リング部104の上部に略円筒状の連係筒109を設けた引掛具103を取り付けてある。連係筒109には、上方に開口する凹部である収容部110を設け、その下面に三角形の突起を放射状に配設した接触部111を設けてある。連係突起106には、下端に三角形の突起を放射状に配設した接触部107を設けると共に、中間部外周に赤色の表示部108を設けてある。
【0027】
引掛具103は、連係筒109の収容部110に連係突起106を挿入し、連係突起106を貫通するねじ112で取り付けられ、ねじ112は圧縮ばねである弾性体105によって上方に付勢されており、従って、引掛具103は、弾性体105によって上方に付勢されて、その接触部111が連係突起106の接触部107と接触してそれぞれの三角形の突起が噛み合っていると共に、連係突起106の赤色の表示部108は収容部110に収容されて、露出していない(図11の状態)。
【0028】
そして、引掛具103に一定以上の荷重がかかると、ねじ112を介して弾性体105が変形し、引掛具103に設けた連係筒109が下動し、連係突起106に設けた表示部108が露出し、過荷重であることを知らせるものである(図12の状態)。なお、引掛具103が空転する動きについては、実施例1と同様である。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】取付状態を示す全体正面図(実施例1)。
【図2】取付状態を示す、中間部分を省略した全体断面図(一部断面でない部分がある)(実施例1)。
【図3】警告表示が出た状態の吊掛具下部の断面図(一部断面でない部分がある)(実施例1)。
【図4】吊掛具下部の分解斜視図(連係筒の一部を切り欠いてある)(実施例1)。
【図5】図2のA−A線断面図(挿入孔の一部が閉塞している状態の横断面図。ただし吊掛具の挿入部は図示していない。)(実施例1)。
【図6】支持具の分解斜視図(実施例1)。
【図7】挿入孔の全体が開口し、吊掛具を支持具から抜き外せる状態の一部断面図(中間部分を省略してある)(実施例1)。
【図8】図7のB−B線断面図(挿入孔の全体が開口している状態の横断面図。ただし吊掛具の挿入部は図示していない。)(実施例1)。
【図9】蓋体を外した状態の支持具の平面図(挿入孔の一部が閉塞している状態)(実施例1)。
【図10】蓋体を外した状態の支持具の平面図(挿入孔の全体が開口している状態)(実施例1)。
【図11】吊掛具下部の断面図(実施例2)。
【図12】警告表示が出た状態の吊掛具下部の断面図(一部断面でない部分がある)(実施例2)。
【符号の説明】
【0030】
1 支持具
8 吊掛具
20 シャフト
24 弾性体
25 連係筒
26 収容部
27 接触部
28 引掛具
30 連係突起
31 接触部
32 表示部
101 吊掛具
102 シャフト
103 引掛具
105 弾性体
106 連係突起
107 接触部
108 表示部
109 連係筒
110 収容部
111 接触部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
天井面等に取り付けられる支持具に、シャフトに引掛具を設けた吊掛具を回動して着脱することができる吊掛装置において、吊掛具は、シャフトの下端部に連係筒を設けると共に、連係筒には下方に開口する凹部である収容部を設け、引掛具は、上端部に連係突起を設け、この連係突起を連係筒の収容部に挿入して収容するよう、弾性体によって上方に付勢して吊掛具の下端部に取り付けられ、連係筒及び連係突起には互いに接触する接触部をそれぞれ設けると共に、連係突起の外周には表示部を設けて成り、引掛具に荷重がかかっていない時には弾性体の付勢力によって、連係筒と連係突起のそれぞれ接触部が接触して引掛具はシャフトと一緒に回動すると共に、連係突起の表示部が連係筒に収容されている状態に保持されるよう構成し、引掛具は一定以上の力で回動すると空転するように設定されていると共に、引掛具に一定以上の荷重がかかると弾性体の付勢力に抗して、連係突起が下動してその表示部が連係筒から露出するように設定されていることを特徴とする吊掛装置。
【請求項2】
天井面等に取り付けられる支持具に、シャフトに引掛具を設けた吊掛具を回動して着脱することができる吊掛装置において、吊掛具は、シャフトの下端部に連係突起を設け、引掛具は、上端部に連係筒を設けると共に、連係筒には上方に開口する凹部である収容部を設け、この連係筒に連係突起を挿入して収容するよう、弾性体によって上方に付勢して吊掛具の下端部に取り付けられ、連係筒及び連係突起には互いに接触する接触部をそれぞれ設けると共に、連係突起の外周には表示部を設けて成り、引掛具に荷重がかかっていない時には弾性体の付勢力によって、連係筒と連係突起のそれぞれ接触部が接触して引掛具はシャフトと一緒に回動すると共に、連係突起の表示部が連係筒に収容されている状態に保持されるよう構成し、引掛具は一定以上の力で回動すると空転するように設定されていると共に、引掛具に一定以上の荷重がかかると弾性体の付勢力に抗して、連係筒が下動して連係突起の表示部が連係筒から露出するように設定されていることを特徴とする吊掛装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2008−194324(P2008−194324A)
【公開日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−34217(P2007−34217)
【出願日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【出願人】(000148070)株式会社川口技研 (48)
【Fターム(参考)】