説明

同軸ケーブルの製造方法

【課題】中空コア体の中空部へのフラックスや錫ボールや半田ボールの侵入を防止する。
【解決手段】同軸ケーブルのジャケット層(4)を所定長剥離し、露出した外部導体層(3)の先端(5a)を熱圧着により封する。この後、外部導体層(3)にフラックスを塗布し、錫コートまたは半田コートを施し、段差加工により中心導体・中空コア体・外部導体層を露出させる。
【効果】中空コア体(2)の中空部へのフラックスや錫ボールや半田ボールなどの侵入を防止できるので、中空コア体(2)の中空部へのフラックスなどの侵入に起因する特性の劣化を防止することが出来る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、同軸ケーブルの製造方法に関し、さらに詳しくは、中空コア体の中空部へのフラックスや錫ボールや半田ボールの侵入を防止した同軸ケーブルの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、中心導体と、中心導体の外周を被覆する内環状部と内環状部の外周から外側に向けて放射状に延びる3本以上のリブ部とリブ部の外端を連結する外環状部とを有する中空コア体と、中空コア体の外側に設けた外部導体層と、前記外部導体層の外側に設けたジャケット層とを備えた同軸ケーブルが知られている(例えば特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−249129号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の従来技術では、中空コア体を誘電体とするため、高周波特性に優れた同軸ケーブルが得られる。
しかし、中空コア体の中空部にフラックスや錫ボールや半田ボールが侵入して、特性を劣化させることがある問題点があった。
そこで、本発明の目的は、中空コア体の中空部へのフラックスや錫ボールや半田ボールの侵入を防止した同軸ケーブルの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1の観点では、本発明は、中心導体と、前記中心導体の外周を被覆する内環状部と前記内環状部の外周から外側に向けて放射状に延びる3本以上のリブ部と前記リブ部の外端を連結する外環状部とを有する中空コア体と、前記中空コア体の外側に設けた外部導体層と、前記外部導体層の外側に設けたジャケット層とを備えた同軸ケーブルの前記ジャケット層を所定長剥離し、次に露出した外部導体層の先端を熱圧着により封し、次に露出した外部導体層にフラックスを塗布し、次に外部導体層に錫コートまたは半田コートし、次に段差加工により中心導体・中空コア体・外部導体層を露出させたことを特徴とする同軸ケーブルの製造方法を提供する。
上記第1の観点による同軸ケーブルの製造方法では、外部導体層の先端部を熱圧着により封してから、外部導体層にフラックスを塗布し、錫コートまたは半田コートするため、中空コア体の中空部へのフラックスや錫ボールや半田ボールの侵入を防止することが出来る。
【発明の効果】
【0006】
本発明の同軸ケーブルの製造方法によれば、中空コア体の中空部へのフラックスや錫ボールや半田ボールなどの侵入を防止できるので、中空コア体の中空部へのフラックスなどの侵入に起因する特性の劣化を防止することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】同軸ケーブルの横断面図である。
【図2】図1のA−A’断面図である。
【図3】ジャケット剥離工程を示す縦断面図である。
【図4】実施例1に係る先端熱圧着工程を示す縦断面図である。
【図5】フラックス塗布工程を示す縦断面図である。
【図6】半田めっき工程を示す縦断面図である。
【図7】段差加工工程の第1段階を示す縦断面図である。
【図8】段差加工工程の第2段階を示す縦断面図である。
【図9】先端部段差加工済み同軸ケーブルを示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図に示す実施の形態により本発明をさらに詳細に説明する。なお、これにより本発明が限定されるものではない。
【実施例】
【0009】
−実施例1−
図1は、同軸ケーブル5の横断面図である。図2は同縦断面図である。
この同軸ケーブル5は、中心導体1と、中心導体1の外周を被覆する内環状部2aと内環状部2aの外周から外側に向けて放射状に延びるリブ部2bとリブ部2bの外端を連結する外環状部2cとを有する中空コア体2と、中空コア体2の外側に設けた外部導体層3と、外部導体層3の外側に設けたジャケット層4とを備えてなる。
【0010】
外部導体層3は、金属ラミネートテープ、金属蒸着テープまたは金属テープの巻回し或いは縦添え又は金属素線による編組あるいは横巻き又はそれらの複合により形成している。
【0011】
図3に示すように、まず、同軸ケーブル5のジャケット層4を長さLだけ剥離する。
図4に示すように、次に、ジャケット層4を剥離して露出した外部導体層3の先端5aを熱圧着により封ずる。
図5に示すように、次に、露出した外部導体層3にフラックスfを塗布する。
図6に示すように、次に、フラックスfを塗布した外部導体層3に錫コートまたは半田コートSを施す。
図7に示すように、次に、熱圧着した先端を切除する。
図8に示すように、次に、外部導体層3を適当な長さだけ切除し、中空コア体2を露出させる。
図9に示すように、次に、中空コア体2を適当な長さだけ切除し、中心導体1を露出させる。
以上により、中心導体1・中空コア体2・外部導体層3を露出させた先端部段差加工済み同軸ケーブル10を製造できる。
【0012】
実施例1に係る先端部段差加工済み同軸ケーブル10では、外部導体層3の先端部5aを熱圧着により封してから、外部導体層3にフラックスfを塗布し、錫コートまたは半田コートSを施すため、中空コア体2の中空部へのフラックスや錫ボールや半田ボールの侵入を防止することが出来る。
【産業上の利用可能性】
【0013】
本発明の同軸ケーブルの製造方法は、誘電体層が中空コア体である高性能同軸ケーブルを製造するのに有用である。
【符号の説明】
【0014】
1 中心導体
2 中空コア体
2a 内環状部
2b リブ部
2c 外環状部
3 外部導体層
4 ジャケット層
5 同軸ケーブル
5a 外部導体層の先端
10 先端部段差加工済み同軸ケーブル
f フラックス
S 錫コートまたは半田コート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
中心導体と、前記中心導体の外周を被覆する内環状部と前記内環状部の外周から外側に向けて放射状に延びる3本以上のリブ部と前記リブ部の外端を連結する外環状部とを有する中空コア体と、前記中空コア体の外側に設けた外部導体層と、前記外部導体層の外側に設けたジャケット層とを備えた同軸ケーブルの前記ジャケット層を所定長剥離し、次に露出した外部導体層の先端を熱圧着により封し、次に露出した外部導体層にフラックスを塗布し、次に外部導体層に錫コートまたは半田コートし、次に段差加工により中心導体・中空コア体・外部導体層を露出させたことを特徴とする同軸ケーブルの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−3279(P2011−3279A)
【公開日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−142898(P2009−142898)
【出願日】平成21年6月16日(2009.6.16)
【出願人】(000003414)東京特殊電線株式会社 (173)
【Fターム(参考)】