説明

吐水装置

【課題】美観を損ねることを抑制して、吐水管をベースに取り付けることができる吐水装置を提供する。
【解決手段】吐水装置1は吐水管4と接続金具29と台座30と取付部材31と固定用ナット34を備えている。吐水管4は四角筒状のカバー13を備えている。接続金具29がカバー13の基端13bに侵入する四角筒状の侵入部35と円筒状の固定部36を備えている。固定部36の外縁部の一部36aは侵入部35の外縁38bよりも外側に突出している。台座30は通し孔30aが設けられた円環状に形成されている。侵入部35の外縁38bとカバー13の基端13bの内面との間が溶接されて接続金具29がカバー13に取り付けられる。接続金具29の固定部36が通し孔30aに通されて取付部材31が外周にねじ込まれる。取付部材31の外周には固定用ナット34がねじ込まれる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、断面が真円とは異なる形状の筒状に形成されているとともに、カウンタ等のベースに取り付けられる吐水管を備えた吐水装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、吐水装置として、洗面台のカウンタなどのベースに取り付けられる吐水管を備えた吐水装置(例えば、特許文献1参照)が用いられている。この特許文献1に示された吐水装置では、前記吐水管が、金属で構成されかつ筒状に形成されているとともに吐水口が設けられている。吐水装置は、前記吐水管をベースに取り付けるための接続金具を備えている。
【0003】
接続金具は、金属で構成されている。接続金具は、ベース上に設けられる環状の台座と、台座から立設して吐水管の基端内に侵入する筒状の起立部と、台座から起立部とは逆向きに突出しかつベースに設けられた孔内に侵入するとともに外周面にねじ溝が設けられた筒状の挿通管部とを一体に備えている。接続金具は、起立部が吐水管の基端内に侵入して、吐水管の基端の外周面と台座の表面とに亘って溶接されて、吐水管に取り付けられる。
【0004】
吐水装置は、ベースの上面と台座との間に挿通管部を内側に通した円環状のパッキンが設けられ、挿通管部を内側に通した円環状の三角パッキンがベースの下面に当接し、ナットが挿通管部にねじ込まれて、パッキンと三角パッキンとの間にベースを挟みこんで、ベースに吐水管が取り付けられる。また、吐水装置は、接続金具の挿通筒部に接続部材を介して、給水チューブが取り付けられることで、上水道からの水を吐水口まで導く。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011−144588号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特許文献1に記載されている吐水装置は、基端の外周面と台座の表面との間が溶接されて、吐水管に接続金具を取り付けている。このため、溶接によって生じるビードが、基端の外周面と台座の表面とに亘って形成されて、外側に露出して美観を損ねていた。
【0007】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであって、美観を損ねることを抑制して、吐水管をベースに取り付けることができる吐水装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明に係る吐水装置は、吐水口が設けられ、かつ断面が真円と異なる形状の筒状に形成されているとともに、基端がベースに取り付けられる吐水管と、前記吐水管の基端に挿入される侵入部と、侵入部に連なりかつ前記吐水管の外に露出する円筒状の固定部と、を有する接続金具と、を備え、前記侵入部が前記吐水管の端面と同一面上又は前記端面よりも前記吐水管の奥に位置し、前記侵入部の外縁と前記基端の端面との間、又は、前記侵入部の外縁と前記吐水管の内面との間が溶接されて、前記接続金具が前記吐水管の基端に取り付けられていることを特徴とする。
【0009】
前記吐水装置では、接続金具の吐水管の基端に侵入する侵入部の外縁と、吐水管の基端の端面との間、又は、侵入部の外縁と吐水管の内面との間が溶接されて、吐水管に接続金具を取り付けているために、吐水管の基端をベースに取り付けると、溶接によって生じるビードが、ベースと侵入部との間に位置することとなる。このために、吐水管をベースに取り付けると、前述したビードが外部に露出しなくなり、美観を損ねることを抑制できる。また、侵入部が端面よりも吐水管の奥に位置して、侵入部の外縁と吐水管の内面との間が溶接されている場合には、溶接によって生じるビードが吐水管内に位置することとなる。この場合、吐水管とベースとの間に隙間を生じ難くして、吐水管をベースに取り付けることができる。よって、吐水装置の美観を損ねることを確実に抑制できる。
【0010】
前記吐水装置では、前記侵入部の外形と前記吐水管の前記基端の内形とが同形状に形成されて、前記侵入部が前記吐水管の基端に挿入されると、前記侵入部の外周面と前記吐水管の前記基端の内周面とが互いに当接することが好ましい。この吐水装置では、侵入部の外形と吐水管の基端の内形とが同形状に形成されて、これらの外内周面が互いに当接するので、接続金具を吐水管に確実に固定することができる。
【0011】
また、前記吐水装置では、前記固定部には、前記端面に当接可能な当接部が設けられていることが好ましい。この吐水装置では、吐水管の基端に接続金具の侵入部を挿入すると、固定部に設けられた当接部が、基端の端面に当接して、吐水管と接続金具とを位置決めすることができる。したがって、吐水管の基端に接続金具を溶接し易くすることができる。
【0012】
さらに、前記吐水装置では、前記固定部の外周には、雄ねじが形成されており、前記固定部を内側に通す通し孔が設けられ、かつ前記通し孔に前記固定部を通して前記端面に接触するとともに、前記ベース上に設けられる台座と、前記固定部の雄ねじに螺合して、前記固定部に取り付けられて、前記台座を前記端面との間で挟んで固定する取付部材と、を備えることが好ましい。この吐水装置では、ベース上に設けられる台座を端面との間で挟んで固定する取付部材を備えているので、吐水装置の美観を整える台座を吐水管とベースとの間に設ける際に、吐水管をベースに取り付ける前に、予め、吐水管に台座を取り付けておくことができる。よって、吐水管をベースに容易に取り付けることができる。
【0013】
また、台座と取付部材とを別体で構成するので、取付部材を接続金具の固定部に取り付ける際に、取付部材の取り付ける動作により台座と吐水管とが強制的に相対的に移動して、台座の表面に吐水管の基端の端面が摺れることを防止できる。したがって、台座の表面が傷つくことを抑制でき、美観を損ねることをより確実に抑制することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る吐水装置は、接続金具の吐水管の基端内に挿入される侵入部の外縁と基端の端面との間を溶接して、吐水管に接続金具を取り付けるので、溶接によって生じるビードを露出させなくなるので、美観を損ねることを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1は、実施形態に係る吐水装置を示す斜視図である。
【図2】図2は、図1中のII−II線に沿う断面図である。
【図3】図3は、実施形態に係る吐水装置を分解して示す斜視図である。
【図4】図4は、実施形態に係る吐水装置の構成を示すブロック図である。
【図5】図5は、実施形態に係る吐水装置の吐水管に取付部材が取り付けられた状態を示す斜視図である。
【図6】図6は、図5中のVI−VI線に沿う断面図である。
【図7】図7は、実施形態に係る吐水装置の接続金具の斜視図である。
【図8】図8は、図7中のVIII−VIII線に沿う断面図である。
【図9】図9は、実施形態に係る吐水装置の接続金具の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、本発明に係る吐水装置の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、或いは実質的に同一のものが含まれる。
【0017】
図1は、実施形態に係る吐水装置を示す斜視図、図2は、図1中のII−II線に沿う断面図、図3は、実施形態に係る吐水装置を分解して示す斜視図、図4は、実施形態に係る吐水装置の構成を示すブロック図、図5は、実施形態に係る吐水装置の吐水管に取付部材が取り付けられた状態を示す斜視図、図6は、図5中のVI−VI線に沿う断面図、図7は、実施形態に係る吐水装置の接続金具の斜視図、図8は、図7中のVIII−VIII線に沿う断面図、図9は、実施形態に係る吐水装置の接続金具の側面図である。
【0018】
図1、図2などに示す実施形態の吐水装置1は、典型的には、住宅に設置される住宅設備機器としての洗面台2のベースとしてのカウンタ3上に設けられる。なお、本発明でいう住宅設備機器とは、勿論、住宅内に設置されて、この住宅の給水にかかる各種の給水機器などの設備機器をいい、具体的には、トイレ手洗、洗面化粧台、洗面台、浴室、キッチンなどをいう。洗面台2のカウンタ3に取り付けられたボウルの底部には、排水用の配管が接続している。また、本発明でいうベースとは、前述したトイレ手洗、洗面化粧台、洗面台、浴室、キッチンなどの住宅設備機器の吐水装置1の後述する吐水管4の基端13bが取り付けられる部分をいう。ベースとは、例えば、トイレ手洗及び洗面化粧台では手洗器の平坦な外縁部などをいい、浴室では室内の壁面などをいい、キッチン及び洗面台2ではカウンタなどをいう。本実施形態では、カウンタ3は、厚手の平板状に形成されかつ吐水管4を取り付けるための取付孔7が貫通している。
【0019】
吐水装置1は、図1、図2及び図3などに示すように、吐水管4と、弁としての電磁弁10(図4に示す)と、検知センサ11と、制御部としての制御装置12(図4に示す)と、接続金具29と、台座30と、取付部材31と、パッキン32と、三角パッキン33と、固定用ナット34などを備えている。
【0020】
吐水管4は、図3及び図4などに示すように、吐水管4の外殻を構成するカバー13と、キャップ部材14と、吐水部材15とを備えている。カバー13は、表面に鍍金などが施された金属で構成され、かつ先端13aと基端13b(吐水管の基端に相当)との双方に開口16aが設けられた筒状(本実施形態では、四角筒状)に形成されている。カバー13は、断面における外形が真円とは異なる形状の筒状に形成されている。吐水管4は、外殻を構成する前述した構成のカバー13を備えることで、断面における外形が真円とは異なる形状の筒状に形成されている。カバー13は、基端13bが洗面台2のカウンタ3に取り付けられ、かつ先端13aが洗面台2のボウルの底部と平行になるように、中央部が湾曲している。また、カバー13のボウルの底部と相対する外周面13cには、開口部16bが設けられている。開口部16bは、カバー13の先端13a寄りの箇所(先端部)に設けられ、かつ、外周面13cを貫通しているとともに、平面形状が矩形状に形成されている。開口部16bは、カバー13の先端13aに設けられた開口16aと間隔をあけて設けられている。本実施形態では、開口部16bと先端13aに設けられた開口16aとの間には、カバー13を構成する壁の一部であるリブ13dが設けられている。
【0021】
キャップ部材14は、金属で構成され、かつ塞ぎ部17と被収容部18とを一体に備えている。塞ぎ部17は、開口16aの大きさと略等しい平板状に形成されている。塞ぎ部17は、カバー13の先端13aに密に接して、この先端13a側の開口16aを塞ぐ。被収容部18は、塞ぎ部17がカバー13の先端13aの開口16aを塞ぐと、カバー13内に収容される。被収容部18は、塞ぎ部17の開口部16bから離れた側の外縁からカバー13の奥に向かって立設して、カバー13の開口部16bと相対する内面13e(図2に示す)に重ねられる。被収容部18は、カバー13の内面13eにアーク溶接などの周知の溶接により固定されている。
【0022】
また、キャップ部材14の被収容部18には、開口部16bに相対するねじ孔が設けられている。本実施形態では、ねじ孔は、カバー13の幅方向に互いに間隔をあけて二つ設けられている。
【0023】
吐水部材15は、合成樹脂で構成され、図2及び図4に示すように、開口部16bの大きさと略等しい厚手の平板状に形成された部材本体21と、ホース取付部22とを一体に備えている。部材本体21即ち吐水部材15は、開口部16bのカバー13の基端13b寄りの縁16cに密に接して、開口部16bを塞ぐ格好で、ねじ26(図4に示す)によりカバー13に取り付けられる。部材本体21の中央部には、丸形の吐水口23が設けられているとともに、吐水口23よりもカバー13の先端13a側に検知センサ11を取り付けるための矩形状のセンサ取付孔24が設けられている。吐水口23とセンサ取付孔24とは、部材本体21を貫通している。吐水口23には、吐水する水を整流するフィルタ28が設けられている。
【0024】
また、部材本体21には、ねじ通し孔が設けられており、開口部16bのカバー13の基端13b寄りの縁16cに密に接して、開口部16bを塞ぐ格好に位置付けられると、ねじ通し孔は、ねじ孔に連通するようになっている。本実施形態では、ねじ通し孔は、部材本体21即ち吐水部材15の幅方向に間隔をあけて二つ設けられている。部材本体21即ち吐水部材15は、開口部16bを塞ぐ格好に位置付けられた部材本体21のねじ通し孔内を通されたねじ26がねじ孔にねじ込まれることで、キャップ部材14を介してカバー13に取り付けられる。こうして、ねじ孔は、ねじ通し孔を通されたねじ26がねじ込まれることで、キャップ部材14に部材本体21即ち吐水部材15を固定する。なお、開口部16bのカバー13の基端13b寄りの縁16cは、部材本体21が密に接することで、ねじ通し孔がねじ孔と連通する位置に、部材本体21を位置決めする。また、部材本体21は、前述したように、カバー13に取り付けられると、前述した開口部16bの基端13b寄りの縁16cとリブ13dとの間に挟まれる。
【0025】
ホース取付部22は、吐水口23の周りからカバー13の内側に立設した円筒状に形成されている。ホース取付部22は、その中央部がカバー13の基端13bに向かって屈曲している。ホース取付部22には、給水管としてのホース27が連結している。このため、吐水口23とホース27とは、ホース取付部22を介して、互いに連通している。ホース27は、可撓性を有し、かつ給水源としての上水道5から水が供給される。ホース27は、部材本体21即ち吐水部材15がカバー13に取り付けられると、カバー13内に収容される。
【0026】
前述した構成の吐水管4を組み立てる際には、吐水部材15に検知センサ11及びホース27を取り付け、キャップ部材14の被収容部18をカバー13の先端13a側の開口16a内に挿入する。そして、塞ぎ部17をカバー13の先端13aに密に接触させ、被収容部18をカバー13の内面13eに重ねて、アーク溶接などの周知の溶接により、被収容部18をカバー13の内面13eに溶接して固定する。
【0027】
その後、ホース27及び図示しないハーネスを開口部16bを通してカバー13内に挿入し、基端13b側の開口16aから取り出した後、吐水部材15の部材本体21を開口部16b内に挿入する。ねじ通し孔を通したねじ26をねじ孔にねじ込んで、部材本体21即ち吐水部材15を、キャップ部材14に固定し、キャップ部材14を介してカバー13に固定する。
【0028】
電磁弁10は、図4に示すように、ホース27と、上水道5に接続した給水管6との間に設けられている。電磁弁10は、給水管6とホース27とに亘る即ち上水道5からホース27に亘る流路を開閉自在である。
【0029】
検知センサ11は、図2及び図4に示すように、センサ取付孔24を通して検知部11aが吐水管4の下方に露出する格好で、吐水部材15の部材本体21に取り付けられている。検知センサ11は、周知の赤外線式、光電式などの検知センサを用いることができ、検知部11aの所定の検知エリア内に手などの人体の一部や各種の食器などの被検知物が侵入すると、この被検知物を検知する非接触式のセンサである。検知センサ11は、吐水管4に近づいた手などの被検知物が検知エリアに位置付けられることを検知する。検知センサ11は、検知した結果を制御装置12に向かって出力する。なお、検知センサ11と制御装置12とを接続する図示しないハーネスは、カバー13内に収容される。
【0030】
制御装置12は、図示しないRAM、ROM、CPU、入出力ポートなどを備えた演算装置である。制御装置12の入力ポートには、少なくとも検知センサ11が接続している。制御装置12の出力ポートには、少なくとも電磁弁10が接続している。制御装置12は、検知センサ11の検知情報に基づいて、吐水装置1全体の制御をつかさどる。制御装置12は、被検知物が近付いたことを検知センサ11が検知すると、電磁弁10を開き、検知センサ11が被検知物を検知しなくなると、電磁弁10を閉じる。
【0031】
接続金具29は、金属で構成されている。接続金具29は、図7、図8及び図9に示すように、侵入部35と、侵入部35に連なる固定部36とを備えている。侵入部35は、カバー13と同様に外形が真円と異なる形状の筒状(本実施形態では、四角筒状)の侵入部本体37と、この侵入部本体37の一方の端を塞ぐ塞ぎ壁38とを一体に備えている。侵入部本体37即ち侵入部35の外形は、吐水管4のカバー13の基端13bの内側の形状(内形に相当)と同形状に形成されている。本実施形態では、侵入部35の侵入部本体37の塞ぎ壁38の平面形状は、矩形状に形成されている。塞ぎ壁38には、固定部36と連通する貫通孔39が設けられている。
【0032】
固定部36は、塞ぎ壁38の中央から立設した円筒状に形成されている。固定部36の外周面には、雄ねじ40が形成されている。固定部36の外径R(図7〜図9に示す)は、カウンタ3に設けられた取付孔7の内径よりも小さく、かつ侵入部35の短辺の幅(最小の幅に相当する)H1(図7及び図8に示す)よりも大きく形成されているとともに、侵入部35の長辺の幅(最大の幅に相当する)H2(図7及び図9に示す)よりも小さく形成されている。このため、固定部36の外縁部の一部36aは、固定部36に設けられた当接部に相当し、侵入部35の塞ぎ壁38の外縁(侵入部35の外縁に相当)38bよりも外側に突出している。この侵入部35の塞ぎ壁38の外縁38bよりも外側に突出した固定部36の外縁部の一部36aは、図7及び図9に示すように、塞ぎ壁38の表面38aよりも固定部36寄りに設けられている。なお、本実施形態では、侵入部35の塞ぎ壁38の外縁38bよりも外側に突出した固定部36の外縁部の一部36aは、端面13fに当接可能に、塞ぎ壁38の表面38aと平行に平坦に形成されている。なお、塞ぎ壁38のカバー13外に露出する表面38aは、侵入部35のカバー13の外に露出する表面をなしている。固定部36は、後述するように、取付部材31や固定用ナット34が取り付けられることで、ベースとしてのカウンタ3に吐水管4を固定するために用いられる。
【0033】
接続金具29は、図5及び図6に示すように、侵入部35が吐水管4のカバー13の基端13b内に挿入されて、塞ぎ壁38の外縁38bよりも外側に突出した固定部36の外縁部の一部36aが基端13bの端面13f(吐水管の端面に相当)に当接した状態で、侵入部35の塞ぎ壁38の外縁38bと吐水管4のカバー13の内面との間が全周に亘ってアーク溶接などにより溶接されて、吐水管4のカバー13の基端13bに取り付けられる。なお、侵入部35の外形と吐水管4のカバー13の基端13bの内側の形状(内形に相当)とが同形状に形成されているので、侵入部35が吐水管4のカバー13の基端13b内に挿入されると、侵入部35の侵入部本体37の外周面と吐水管4のカバー13の基端13bの内周面とが互いに密に当接する。接続金具29は、吐水管4のカバー13の基端13bに取り付けられると、塞ぎ壁38の外縁38bよりも外側に突出した固定部36の外縁部の一部36aが塞ぎ壁38の表面38aよりも固定部36寄りに設けられているので、塞ぎ壁38の表面38aが、カバー13の基端13bの端面13fよりも吐水管4のカバー13の奥に位置する。このために、本実施形態では、カバー13の内面のうちの塞ぎ壁38の表面38aよりも固定部36寄りの箇所と侵入部35の塞ぎ壁38の外縁38bとの間が全周に亘ってアーク溶接などにより溶接されている。このため、溶接により生じるビード41は、図6に示すように、全周に亘ってカバー13の内面のうちの塞ぎ壁38の表面38aよりも固定部36寄りの箇所と侵入部35の塞ぎ壁38の外縁38bとの間即ち吐水管4のカバー13内に形成されている。こうして、ビード41は、カウンタ3と侵入部35との間に位置することとなる。
【0034】
また、接続金具29は、吐水管4のカバー13の基端13bに取り付けられると、固定部36が吐水管4のカバー13の外に露出し、塞ぎ部38の表面38aが吐水管4のカバー13の基端13bの開口16aを塞ぐ。なお、塞ぎ部38の表面38aは、侵入部35の表面をなしている。
【0035】
台座30は、表面に鍍金などが施された金属で構成され、かつ通し孔30aが設けられた円環状に形成されている。台座30の内径は、接続金具29の固定部36の外径と略等しく形成されている。台座30の外径は、取付孔7の内径よりも大きく形成されている。また、台座30の内縁部には、台座30の内周面と接続金具29の固定部36の外周面との間を水密に保つOリング43を収容するための切欠き42が全周に亘って設けられている。台座30は、通し孔30a内に固定部36を通して、表面上に端面13fが重ねられるとともに、カウンタ3上に設けられる。
【0036】
取付部材31は、金属で構成され、円筒状に形成されている。取付部材31の外径は、台座30の内径よりも大きくかつ台座30の外径よりも小さく形成されている。取付部材31の一端部の内周面には、接続金具29の固定部36の外周面に形成された雄ねじ40と螺合する雌ねじ44が設けられている。取付部材31の外周面には、雄ねじ45が形成されている。取付部材31は、一端部の内周面に形成された雌ねじ44が接続金具29の固定部36の外周面に形成された雄ねじ40に螺合することで、接続金具29の固定部36即ち吐水管4のカバー13の基端13bに取り付けられる。取付部材31は、接続金具29の固定部36即ち吐水管4のカバー13の基端13bに取り付けられると、吐水管4のカバー13の基端13bの端面13fとの間で台座30を挟んで、台座30を吐水管4のカバー13に固定する。
【0037】
パッキン32と三角パッキン33は、ゴムなどの弾性を有する合成樹脂で形成されている。パッキン32は、円環状に形成されている。パッキン32の内径は、取付部材31の外径と略等しく形成され、パッキン32の外径は、台座30の外径よりも小さく形成されている。パッキン32は、内側に取付部材31を通して、端面13fと取付部材31とに挟まれた台座30に重ねられて、カウンタ3と台座30との間に設けられる。パッキン32は、カウンタ3と台座30との間を水密に保つ。
【0038】
三角パッキン33は、円環状に形成され、かつ外形が接頭円錐状に形成されている。三角パッキン33の内径は、取付部材31の外径と略等しく形成され、三角パッキン33の外径は、カウンタ3に設けられた取付孔7の内径よりも大きく形成されている。三角パッキン33は、外径が軸心方向に変化する傾斜面46がパッキン32に相対した状態で、内側に取付部材31を通す。三角パッキン33は、パッキン32との間にカウンタ3を挟みこむ。これらのパッキン32及び三角パッキン33は、カウンタ3の取付孔7の内縁との間を水密に保つ。
【0039】
固定用ナット34は、取付部材31の外周面に形成された雄ねじ45にねじ込まれる。固定用ナット34は、取付部材31の外周面に形成された雄ねじ45にねじ込まれると、三角パッキン33をパッキン32に向かって押圧する。また、固定用ナット34と三角パッキン33との間には、金属で構成されたワッシャ47が設けられる。
【0040】
前述した吐水装置1の吐水管4は、以下に示すように、洗面台2のベースとしてのカウンタ3に取り付けられる。まず、吐水管4のカバー13の基端13bに接続金具29の侵入部35が挿入されて、侵入部35の塞ぎ壁38の外縁38bよりも外側に突出した固定部36の外縁部の一部36aが、カバー13の基端13bの端面13fに当接される。すると、接続金具29の侵入部35の塞ぎ壁38の表面38aは、端面13fよりもカバー13の奥に位置する。そして、侵入部35の外縁38bとカバー13の内面の前述した箇所との間を全周に亘って溶接する。こうして、侵入部35の外縁38bと吐水管4のカバー13の内面との間を全周に亘って溶接して、吐水管4のカバー13の基端13bに接続金具29を取り付ける。
【0041】
そして、切欠き42内にOリング43を収容した台座30の通し孔30aに接続金具29の固定部36を通して、台座30を吐水管4のカバー13の基端13bの端面13fに重ねて、接続金具29の固定部36の外周面に形成された雄ねじ40に、取付部材31の一端部の内周面に形成された雌ねじ44をねじ込む。すると、図5及び図6に示すように、吐水管4のカバー13の基端13bの端面13fと取付部材31との間に台座30を挟みこんで、台座30を吐水管4に固定する。
【0042】
そして、取付部材31を、パッキン32内に通した後に、カウンタ3の上方から取付孔7に挿入して、パッキン32、台座30を順にカウンタ3に重ねる。そして、傾斜面46がパッキン32に相対した状態で三角パッキン33内に取付部材31を通した後、さらに、ワッシャ47内に取付部材31を通して、取付部材31の外周面に形成された雄ねじ45に固定用ナット34をねじ込む。固定用ナット34を吐水管4の基端13bに向かってねじ込んで、ワッシャ47を介して、三角パッキン33をパッキン32に向かって押圧して、パッキン32及び三角パッキン33を厚みが減少する方向に弾性変形させる。こうして、吐水管4即ち吐水装置1が、洗面台2のカウンタ3に取り付けられる。
【0043】
前述した構成の吐水装置1は、検知センサ11が被検知物を検知すると、制御装置12が電磁弁10を開き、吐水口23から水を吐水させる。また、吐水装置1は、検知センサ11が被検知物を検知しなくなると、制御装置12が電磁弁10を閉じ、吐水口23からの水を止水する。
【0044】
上記のように構成された吐水装置1では、接続金具29の吐水管4の基端13bに侵入する侵入部35の外縁38bと、吐水管4の基端13bの内面との間を全周に亘って溶接して、吐水管4のカバー13に接続金具29を取り付けているために、吐水管4の基端13bをカウンタ3に取り付けると、溶接によって生じるビード41が、カウンタ3と侵入部35との間に位置することとなる。このために、吐水管4をカウンタ3に取り付けると、前述したビード41が外部に露出しなくなり、美観を損ねることを抑制できる。
【0045】
また、吐水装置1では、侵入部35の塞ぎ壁38の表面38aが基端13bの端面13fよりも吐水管4のカバー13の奥に位置するので、吐水管4に接続金具29を取り付ける溶接によって生じるビード41が吐水管4のカバー13内に位置することとなる。このために、ビード41を露出させることがないとともに、吐水管4とカウンタ3との間に隙間を生じ難くして、吐水管4をカウンタ3に取り付けることができる。よって、吐水装置1の美観を損ねることを確実に抑制できる。侵入部35の侵入部本体37の外形と吐水管4のカバー13の基端13bの内側の形状とが同形状に形成されて、これらの外内周面が互いに当接するので、接続金具29を吐水管4のカバー13に確実に固定することができる。
【0046】
吐水装置1では、接続金具29の断面円形の固定部36の外径Rが、侵入部35の短辺方向の幅H1よりも大きく形成されて、固定部36の外縁部の一部36aが侵入部35の外縁38bよりも外側に突出している。このために、吐水管4の基端13bに接続金具29の侵入部35を挿入すると、侵入部35の外縁38bよりも突出した固定部36の外縁部の一部36aが、基端13bの端面13fに当接して、吐水管4と接続金具29とを位置決めすることができる。したがって、吐水管4の基端13bに接続金具29を溶接し易くすることができる。
【0047】
さらに、吐水装置1では、カウンタ3上に設けられる台座30を接続金具29の侵入部35又は吐水管4の基端13bの端面13fとの間で挟んで固定する取付部材31を備えているので、吐水装置1の美観を整える台座30を吐水管4とカウンタ3との間に設ける際に、吐水管4をカウンタ3に取り付ける前に、予め、吐水管4に台座30を取り付けておくことができる。よって、吐水管4をカウンタ3に容易に取り付けることができる。
【0048】
また、台座30と取付部材31とを別体で構成するので、取付部材31を接続金具29の固定部36に取り付ける際に、取付部材31の取り付ける動作により台座30と吐水管4とが強制的に相対的に移動して、台座30の表面に吐水管4の基端13bの端面13fが摺れることを防止できる。したがって、台座30の表面が傷つくことを抑制でき、美観を損ねることをより確実に抑制することができる。
【0049】
前述した実施形態では、住宅設備機器としての洗面台2を示しているが、本発明では、洗面台2に限らず、種々の住宅設備機器に本発明の吐水装置1を用いて良い。即ち、本発明では、吐水装置1の吐水管4を、カウンタ3に限らず種々のベースに取り付けても良い。
【0050】
また、前述した実施形態では、検知センサ11を吐水部材15に取り付けたが、本発明では、吐水部材15に吐水口23が設けられていれば、検知センサ11を吐水部材15に取り付けなくても良い。この場合、吐水管4と別体に検知センサ11を設けても良く、検知センサ11を設けない場合には、電磁弁10の替わりにホース27内の流路を開閉する弁としての手動操作弁を設ける。
【0051】
さらに、前述した実施形態では、侵入部本体37の外側に突出した接続金具29の固定部36の外縁部の一部36aを、侵入部35の塞ぎ壁38の表面38aよりも固定部36寄りに設けたが、本発明では、これらの侵入部本体37の外側に突出した接続金具29の固定部36の外縁部の一部36aと、侵入部35の塞ぎ壁38の表面38aとを同一面上に設けても良い。この場合、接続金具29の侵入部35の塞ぎ壁38の表面38aが基端13bの端面13fと同一面上に位置する。即ち、接続金具29の侵入部35が基端13bの端面13fと同一面上に位置する。そして、侵入部35の塞ぎ壁38の外縁38bと基端13bの端面13fとの間を例えば全周に亘って溶接する。この場合、溶接することで生じるビード41が、基端13bの端面13fと塞ぎ壁38の表面38aとの双方から突出する。そして、基端13bの端面13fが、台座30とビード41の高さ分間隔をあけた状態で、取付部材31との間に台座30を挟んで固定する。こうして、取付部材31が、台座30を端面13fとの間に挟んで固定する。
【0052】
また、前述した実施形態では、吐水管4のカバー13を断面矩形の四角筒状に形成したが、本発明では、吐水管4のカバー13を断面正方形の四角筒状に形成しても良く、楕円形の筒状に形成しても良い。要するに、本発明では、吐水管4のカバー13を、断面が真円以外の筒状に形成すれば良い。本発明では、端面13fに当接する当接部を、固定部36に設ければ、外縁部の一部36aに限らず種々の構成としても良い。
【0053】
なお、上述した本発明の実施形態に係る吐水装置1は、上述した実施形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された範囲で種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0054】
1 吐水装置
3 カウンタ(ベース)
4 吐水管
13b 基端
13f 端面
29 接続金具
30 台座
30a 通し孔
31 取付部材
35 侵入部
36 固定部
36a 外縁部の一部(当接部)
38b 外縁(侵入部の外縁)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
吐水口が設けられ、かつ断面が真円と異なる形状の筒状に形成されているとともに、基端がベースに取り付けられる吐水管と、
前記吐水管の基端に挿入される侵入部と、侵入部に連なりかつ前記吐水管の外に露出する円筒状の固定部と、を有する接続金具と、を備え、
前記侵入部が前記吐水管の前記基端の端面と同一面上又は前記端面よりも前記吐水管の奥に位置し、
前記侵入部の外縁と前記基端の端面との間、又は、前記侵入部の外縁と前記吐水管の内面との間が溶接されて、前記接続金具が前記吐水管の基端に取り付けられていることを特徴とする、
吐水装置。
【請求項2】
前記侵入部の外形と前記吐水管の前記基端の内形とが同形状に形成されて、
前記侵入部が前記吐水管の基端に挿入されると、前記侵入部の外周面と前記吐水管の前記基端の内周面とが互いに当接することを特徴とする、
請求項1に記載の吐水装置。
【請求項3】
前記固定部には、前記端面に当接可能な当接部が設けられていることを特徴とする、
請求項1又は請求項2に記載の吐水装置。
【請求項4】
前記固定部の外周には、雄ねじが形成されており、
前記固定部を内側に通す通し孔が設けられ、かつ前記通し孔に前記固定部を通して前記端面に接触するとともに、前記ベース上に設けられる台座と、
前記固定部の雄ねじに螺合して、前記固定部に取り付けられて、前記台座を前記端面との間で挟んで固定する取付部材と、を備えることを特徴とする、
請求項1乃至請求項3のうちいずれかに記載の吐水装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−96145(P2013−96145A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−240220(P2011−240220)
【出願日】平成23年11月1日(2011.11.1)
【出願人】(302045705)株式会社LIXIL (949)
【Fターム(参考)】