説明

含フッ素(メタ)アクリル酸エステル系重合体の製造方法

【課題】 特殊な重合設備を使用せず、安価に含フッ素(メタ)アクリル酸エステル系重合体を製造する手段が求められていた。
【解決手段】 (メタ)アクリル酸エステル系重合体と含フッ素アルコールとをエステル交換触媒を用いて反応させることにより、含フッ素(メタ)アクリル酸エステル系重合体を安価に製造する方法を見出した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、含フッ素(メタ)アクリル酸エステル系重合体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
高分子の分子構造にフッ素原子を導入することにより、耐熱性、耐候性、電気特性、摺動性、耐薬品性、撥水・撥油性や機械特性が既存の炭化水素系プラスチックスよりも向上することが知られており、これまでにポリテトラフルオロエチレンやポリフッ化ビニリデンに代表されるように様々なフッ素樹脂が上市されている。ただし、現在は非常に価格が高価であることや樹脂の成形性が低いために、使用範囲が限られている状態である。
【0003】
ところで、(メタ)アクリル酸エステル系重合体は非常に安価な汎用性樹脂であり、これを原料として用いて、特定の官能基を導入することにより新規な樹脂が得られることが既に提案されている。例えば、特開平6−240017号公報には、(メタ)アクリル酸エステル系重合体に一級アミンを反応させてイミド化する技術が開示されており、(メタ)アクリル酸エステル系重合体の耐熱性を改善するとの記載がある(特許文献1参照。)。
【0004】
この(メタ)アクリル酸エステル系重合体にフッ素原子を導入する方法としては二通りあり、フッ素原子で置換した(メタ)アクリル単量体を重合する方法(特許文献2、特許文献3参照。)のようなモノマーから製造する方法と(メタ)アクリル酸系重合体又は(メタ)アクリル酸エステル系重合体をフッ素原子含有アミンと反応させる方法(特許文献4、特許文献5参照。)のような既存の高分子を利用する方法が提案されているが、前者の方法によれば特殊な重合設備が必要であり、後者の方法によれば高価でかつ毒性が高いフッ素原子含有アミンを使用するという問題がある。
【特許文献1】特開平6−240017号公報
【特許文献2】特公昭55−23567号公報
【特許文献3】特開平11−255829号公報
【特許文献4】特開平7−118339号公報
【特許文献5】特開平3−243609号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特殊な重合設備を使用せずに、安価に含フッ素(メタ)アクリル酸エステル系重合体を製造する手段が求められていた。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明者らは鋭意研究の結果、(メタ)アクリル酸エステル系重合体とフッ素原子含有アルコールを反応させることにより、含フッ素(メタ)アクリル酸エステル系重合体を安価に製造する方法を見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明は、(メタ)アクリル酸エステル系重合体に、下記一般式1で表されるフッ素原子含有アルコール
【化1】

(但し、Rfは少なくとも1個以上のフッ素原子を含有する炭素数1〜15のフルオロアルキル基又はフルオロアルキルエーテル基であり、nは0〜10の整数を表す。)
を反応させることを特徴とする、含フッ素(メタ)アクリル酸エステル系重合体の製造方法(請求項1)、
エステル交換触媒存在下で反応させることを特徴とする請求項1に記載の含フッ素(メタ)アクリル酸エステル系重合体の製造方法(請求項2)、
エステル交換触媒としてアルカリ金属炭酸塩、アルカリ土類金属炭酸塩、アルカリ金属重炭酸塩、アルカリ金属水酸化物から選ばれる少なくとも1種からなるエステル交換触媒を用いることを特徴とする請求項2に記載の含フッ素(メタ)アクリル酸エステル系重合体の製造方法(請求項3)、
エステル交換触媒としてルイス酸、プロトン酸から選ばれる少なくとも1種からなるエステル交換触媒を用いることを特徴とする請求項2に記載の含フッ素(メタ)アクリル酸エステル系重合体の製造方法(請求項4)、
ルイス酸としてバナジウム系化合物、チタン系化合物、ジルコニウム系化合物、ハフニウム系化合物から選ばれる少なくとも1種からなるエステル交換触媒を用いることを特徴とする請求項4に記載の含フッ素(メタ)アクリル酸エステル系重合体の製造方法(請求項5)、に関する。
【発明の効果】
【0007】
簡易にかつ安価に含フッ素(メタ)アクリル酸エステル系重合体を製造する方法を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明は、(メタ)アクリル酸エステル系重合体に、下記一般式1で表されるフッ素原子含有アルコール
【化2】

(但し、Rfは分子中に少なくとも1個以上のフッ素原子が含有される炭素数1〜15のフルオロアルキル基又はフルオロアルキルエーテル基であり、nは0〜10の整数を表す。)
を反応させることを特徴とする、含フッ素(メタ)アクリル酸エステル系重合体の製造方法である。
【0009】
本発明の(メタ)アクリル酸エステル系重合体は、特に限定がなく、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシルなど(メタ)アクリル酸エステル系単量体からなる重合体、及びこれらの共重合体が挙げられる。これらの中で、反応性の観点ならびにコストから考えるとメタクリル酸メチルが好ましい。
【0010】
また、(メタ)アクリル酸、スチレンやα−メチルスチレン、無水マレイン酸などの(メタ)アクリル酸エステル系モノマーと共重合可能な単量体が共重合されていても構わない。
【0011】
本発明の下記一般式1で表されるフッ素原子含有アルコール
【化3】

におけるRfは1個以上のフッ素原子が含有される炭素数1〜15のフルオロアルキル基又はフルオロエーテル基であれば特に制限はない。
【0012】
ここで言うフルオロアルキル基とは、例えばCF3(CF2b(bは0〜14の整数)やCF2H(CHF)c(CF2d(c,dはそれぞれ0以上の整数で、c+d=0〜14)で表される直鎖構造のものでも、(CF33Cのような分岐構造のものであってもよい。
【0013】
また、ここで言うフルオロアルキルエーテル基とは、例えばCF3O(CF2eO(CF2f(e+f=1〜14の整数で、eは1以上の整数)やCF2HO(CHF)gO(CF2h(g+h=1〜14の整数で、gは1以上の整数)のように表される直鎖構造のものでも、(CF33CO(CF2j(jは0〜10の整数)のように表される分岐構造のものであってもよい。
【0014】
また、下記一般式1で表されるフッ素原子含有アルコール
【化4】

の繰返し単位数を表すnについては0〜10の整数であればよいが、フッ素原子による電子吸引性が非常に高い場合は、含フッ素原子アルコールの求核性が低下するため、nは2以上であることがより好ましい。
【0015】
フッ素原子含有アルコールとしては例えば、2,2,2−トリフルオロ−1−エタノール、2,2,3,3,3−ペンタフルオロ−1−プロパノール、7,7,8,8,8−ペンタフルオロ−1−オクタノール、2,2,3,3,4,4,4−ヘプタフルオロ−1−ブタノール、3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロ−1−ヘキサノール、4,4,5,5,6,6,7,7,7−ノナフルオロ−1−ヘプタノール、7,7,8,8,9,9,10,10,10−デカノール、2−パーフルオロプロポキシ−2,2,3,3−テトラフルオロプロパノール、2−(パーフルオロヘキシル)エタノール、2−(パーフルオロヘキシル)プロパノール、6−(パーフルオロヘキシル)ヘキサノール、2−(パーフルオロオクチル)エタノール、3−(パーフルオロオクチル)プロパノール、6−(パーフルオロオクチル)ヘキサノール、2−(パーフルオロデシル)エタノール、1H,1H−2,5−ジ(トリフルオロメチル)−3,6−ジオキサウンデカフルオロノナノール、6−(パーフルオロ−1−メチルエチル)−ヘキサノール、2−(パーフルオロ−3−メチルブチル)−エタノール、2−(パーフルオロ−5−メチルヘキシル)−エタノール、2−(パーフルオロ−7−メチルオクチル)−エタノール、1H,1H,3H−テトラフルオロプロパノール、1H,1H,5H−オクタフルオロペンタノール、1H,1H,7H−ドデカフルオロヘプタノール、1H,1H,9H−ヘキサデカフルオロノナノール、2H−ヘキサフルオロ−2−プロパノール、1H,1H,3H−ヘキサフルオロブタノール、2,2−ビス(トリフルオロメチル)プロパノール等を例示できる。
【0016】
本発明においてはエステル交換触媒存在下で、(メタ)アクリル酸エステル系重合体とフッ素原子含有アルコールと反応させても構わない。エステル交換触媒とは、本発明の反応のように、エステル基の置換基を変換させるエステル交換反応の反応速度を促進するものである。
【0017】
本発明では、一般的に使用されているエステル交換触媒がいずれも使用可能であり、例えばアルカリ金属炭酸塩やアルカリ金属重炭酸塩、アルカリ土類金属炭酸塩、アルカリ土類金属重炭酸塩、アルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物、ルイス酸、プロトン酸などを例示できる。
【0018】
ここでアルカリ金属炭酸塩とは炭酸リチウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸ルビジウム、炭酸セシウム、炭酸フランシウムのことを指し、特に炭酸カリウムと炭酸セシウムが好ましい。
【0019】
また、アルカリ土類金属炭酸塩とは炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸ストロンチウム、炭酸バリウムのことを指し、特に炭酸マグネシウムと炭酸カルシウムが好ましい。
【0020】
また、アルカリ金属重炭酸塩とは重炭酸リチウム、重炭酸カリウム、重炭酸ナトリウム、重炭酸ルビジウム、重炭酸セシウム、重炭酸フランシウムのことを指し、特に重炭酸カリウムが好ましい。
【0021】
また、ルイス酸とは電子対を受容できる化合物であり、具体的にはスズ系化合物、亜鉛系化合物、イッテルビウム系化合物、チタン系化合物、バナジウム系化合物、ジルコニウム系化合物、ハフニウム系化合物等の電子対受容可能な金属化合物があるが、チタン系化合物、バナジウム系化合物、ジルコニウム系化合物、ハフニウム系化合物が好ましい。
【0022】
チタン系化合物であれば四塩化チタン、三塩化チタン、チタンテトラメトキシド、チタンテトライソプロポキシド、チタンn−テトラブトキシド、チタンジクロロジイソプロポキシドがより好ましい。
【0023】
バナジウム系化合物であれば4価のバナジウム系化合物がより好ましく、その中でもバナジルクロライド(VOCl2)、バナジルアセチルアセトナート(VO(acac)2)、バナジルトリフレート(一般式VO(SO3CF32)が特に好ましい。
【0024】
ジルコニウム系化合物であれば塩化ジルコニウム、アセチルアセトナートジルコニウム、ジルコニウムn−ブトキシド、ジルコニウムt−ブトキシド、ジルコニウムn−プロポキシド、ジルコニウムイソプロポキシド、ジルコニウムエトキシド、炭酸ジルコニウムが好ましい。
【0025】
ハフニウム化合物であれば塩化ハフニウム、ハフニウムテトラt−ブトキシド、アセチルアセトナートハフニウムが好ましい。
【0026】
また、プロトン酸とは、H+を放出可能な物質であり、具体的には塩化水素、硫化水素、硫酸、酢酸、p−トルエンスルホン酸などを例示できる。
【0027】
また、用いるエステル交換触媒は単独で使用しても、複数種を混合して使用しても、エステル交換反応が進行する限り、どちらでも構わない。
【0028】
本発明におけるフッ素原子含有アルコールの添加量は実質的にエステル交換反応が進行する限りどのような範囲でも可能であるが、(メタ)アクリル酸エステル系重合体中におけるエステル基のモル数(A)に対するフッ素原子含有アルコールのモル数(B)の比{(B)/(A)}とした場合、通常0.01〜2.0の範囲が好ましく、0.02〜1.5の範囲がより好ましい。
【0029】
本発明におけるエステル交換触媒の添加量は実質的にエステル交換反応が進行する限りどのような範囲でも可能であるが、(メタ)アクリル酸エステル系重合体中におけるエステル基のモル数(A)に対するエステル交換触媒のモル数(C)の比{(C)/(A)}とした場合、通常0.0001〜1.0の範囲が好ましく、0.001〜0.5の範囲がより好ましい。
【0030】
本発明の製造方法においては、(メタ)アクリル酸エステル系重合体をエステル交換反応に対して不活性な非反応性溶媒中に溶解させた後、フッ素原子含有アルコールと反応させることができる。
【0031】
(メタ)アクリル酸エステル系重合体を非反応性溶媒中に溶解させて後、エステル交換反応を行う場合においては、溶解した溶液を加熱、攪拌でき、フッ素原子含有アルコールを添加できる構造であれば特に制限はなく、圧力容器内で行っても、常圧下でガラス容器等を用いて反応を行ってもよい。また、反応副生成物のアルコールを取り除くことにより反応の進行が促進される場合が多く、場合によっては反応副生成物を系外に除外する器具や装置を用いても構わないし、副生成物のみ吸収するようなモレキュラーシーブ等の吸収剤や副生成物のみと反応するような反応剤を使用して反応系から除外しても構わない。
【0032】
用いる非反応性溶媒又はフッ素原子含有アルコールの沸点が非常に低い場合、エステル交換反応は高温での反応が必要な場合が多いため、圧力容器内で行うことが好ましい。
【0033】
また、非反応性溶媒としては(メタ)アクリル酸エステル系重合体を溶解させるものであれば特に限定はされないが、反応生成物である含フッ素(メタ)アクリル酸エステル系重合体も溶解できる溶媒が好ましく、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、ベンゾトリフルオライド、2−クロロ−ベンゾトリフルオライド等がコスト面からより好ましい。
【0034】
(メタ)アクリル酸エステル系重合体の非反応性溶媒に対する濃度は高い方が製造コストの面からは好ましく、固形分濃度として5〜80%、特に10〜70%が好ましい。
【0035】
本発明におけるエステル交換触媒、未反応の含フッ素アルコール及び反応副生成物のアルコールは、常法に従って反応生成物の含フッ素(メタ)アクリル酸エステル系重合体から分離され、必要に応じて濾過、溶剤による抽出、脱揮等の精製処理をして所望の製品として取得される。
【0036】
以上のように、(メタ)アクリル酸エステル系重合体をエステル交換触媒存在下に含フッ素アルコールと反応させることにより、その耐溶剤性と撥水性、撥油性、耐熱性を改善することが期待される。
【0037】
[実施例]
本発明を実施例に基づき更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、以下の実施例および比較例で測定した物性の各測定方法は次の通りである。
【0038】
(1)反応率の測定
反応生成物を1H−NMR(Varian Gemini−300MHz)により、3.5〜3.7ppm付近に検出されるポリメチルメタクリレートのOCH3基の積分値を3で割った値を(D)、4.1〜4.4ppm付近に検出される反応生成物である含フッ素(メタ)アクリル酸エステル系重合体のエステル基のC(=O)OCH2−の積分値を2で割った値を(E)とし、反応率は(E)/{(D)+(E)}として算出した。
【0039】
(2)フッ素含有率の測定
反応生成物中のフッ素含有量は、酸素フラスコ燃焼法により反応生成物を分解した後、イオンクロマトグラフ(ダイオネクス製DX−500)、カラムとしてIonPac AG12AとAS12A(4mmφ×250mm)、溶離液として0.3mMのNaHCO3+2.7mMのNa2CO3、溶離液流量を1.2mL/min、電気伝導度検出器にて検出し、フッ素イオン標準液(関東化学製)により作成した検量線から計算した。
【0040】
(3)ガラス転移温度(Tg)
生成物10mgを用いて、示差走査熱量計(DSC、(株)島津製作所製DSC−50型)を用いて、窒素雰囲気下、昇温速度20℃/minで測定し、中点法により決定した。
【実施例1】
【0041】
耐圧10MPaの50mLのオートクレーブ(耐圧硝子工業製)に、市販のポリメチルメタクリレート(住友化学製スミペックスLG)1.0g、フッ素原子含有アルコールである3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロ−1−ヘキサノールを2.64g、非反応性溶剤としてクロロベンゼンを10ml、エステル交換触媒としてバナジル(IV)トリフレート(VO(SO3CF32)を365mg入れ、反応温度220℃、反応時間9時間にて反応させた。放冷後、反応混合物を塩化メチレンにて4倍に希釈した溶液をメタノールに滴下して再沈澱させ、濾過/乾燥して生成物を回収した。得られた含フッ素(メタ)アクリル酸エステル系重合体の反応率は20%と算出され、フッ素含有率は23wt%、ガラス転位温度は79℃であった。参考として、生成物の1H−NMRスペクトルを図1に示した。
【実施例2】
【0042】
耐圧10MPaの50mLのオートクレーブ(耐圧硝子工業製)に、市販のポリメチルメタクリレート(住友化学製スミペックスLG)1.0g、フッ素原子含有アルコールである3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロ−1−ヘキサノールを2.64g、非反応性溶剤として2−クロロ−ベンゾトリフルオライドを10ml、エステル交換触媒として四塩化チタンを100mg入れ、反応温度220℃、反応時間9時間にて反応させた。放冷後、反応混合物を塩化メチレンにて4倍に希釈した溶液をメタノールに滴下して再沈澱させ、濾過/乾燥して生成物を回収した。得られた含フッ素(メタ)アクリル酸エステル系重合体の反応率は30%と算出され、フッ素含有率は30wt%、ガラス転位温度は58℃であった。
【実施例3】
【0043】
耐圧10MPaの50mLのオートクレーブ(耐圧硝子工業製)に、市販のポリメチルメタクリレート(住友化学製スミペックスLG)1.0g、フッ素原子含有アルコールである3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナフルオロ−1−ヘキサノールを2.90g、非反応性溶剤として2−クロロ−ベンゾトリフルオライドを10ml、エステル交換触媒として炭酸カリウムを140mg入れ、反応温度220℃、反応時間9時間にて反応させた。放冷後、反応混合物を塩化メチレンにて4倍に希釈した溶液をメタノールに滴下して再沈澱させ、濾過/乾燥して生成物を回収した。得られた含フッ素(メタ)アクリル酸エステル系重合体の反応率は5%と算出され、フッ素含有率は8wt%、ガラス転位温度は98℃であった。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】生成物の1H−NMRスペクトル図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(メタ)アクリル酸エステル系重合体に、下記一般式1で表されるフッ素原子含有アルコール
【化1】

(但し、Rfは少なくとも1個以上のフッ素原子を含有する炭素数1〜15のフルオロアルキル基又はフルオロアルキルエーテル基であり、nは0〜10の整数を表す。)
を反応させることを特徴とする、含フッ素(メタ)アクリル酸エステル系重合体の製造方法。
【請求項2】
エステル交換触媒存在下で反応させることを特徴とする請求項1に記載の含フッ素(メタ)アクリル酸エステル系重合体の製造方法。
【請求項3】
エステル交換触媒としてアルカリ金属炭酸塩、アルカリ土類金属炭酸塩、アルカリ金属重炭酸塩、アルカリ金属水酸化物から選ばれる少なくとも1種からなるエステル交換触媒を用いることを特徴とする請求項2に記載の含フッ素(メタ)アクリル酸エステル系重合体の製造方法。
【請求項4】
エステル交換触媒としてルイス酸、プロトン酸から選ばれる少なくとも1種からなるエステル交換触媒を用いることを特徴とする請求項2に記載の含フッ素(メタ)アクリル酸エステル系重合体の製造方法。
【請求項5】
ルイス酸としてバナジウム系化合物、チタン系化合物、ジルコニウム系化合物、ハフニウム系化合物から選ばれる少なくとも1種からなるエステル交換触媒を用いることを特徴とする請求項4に記載の含フッ素(メタ)アクリル酸エステル系重合体の製造方法。


【図1】
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【公開番号】特開2007−91767(P2007−91767A)
【公開日】平成19年4月12日(2007.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−101708(P2004−101708)
【出願日】平成16年3月31日(2004.3.31)
【出願人】(000000941)株式会社カネカ (3,932)
【出願人】(599118137)
【Fターム(参考)】