説明

吸引具を備える手動操作ドリル・フライス加工装置

本発明は、ドリル・フライス加工ヘッドにより駆動されるラジアルインペラ(2)が回転自在に支持された、ドリル・フライス加工ヘッドに固定されたハウジング(1)と、ハウジングにおいて伸縮調節自在であるとともにドリル・フライス加工カッタ(3)が延在する吸引パイプ(4)と、ハウジング(1)に接続された収集タンク(8)とを包含する、特に自動車のフロントガラスを切断するための、吸引具(A)を備える手動ドリル・フライス加工装置(B)に関連する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸引具を有する手動操作ドリル・フライス加工装置、例えばバッテリ式ドリル・フライス加工カッタに関連する。
【背景技術】
【0002】
消防隊による緊急作業では、例えば自動車事故においてドアが開かない時に人を救助し治療するには、フロントガラスまたはリヤガラスに大きな開口部をできる限り素早く切除して治療すべき人に手を伸ばすことが重要である。この場合、付随して発生し怪我をさせる可能性のあるガラス粉塵が回避されるべきである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ガラス粉塵が救助活動を妨害することなくガラス表面に開口部を切除するための緊急作業用の便利なドリル・フライス加工装置を設けることが、本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明によれば、請求項1に記載の装置によりこれが達成される。ドリル・フライス加工カッタにより駆動されるラジアルインペラを備えるドリル・フライス加工装置に装着されるハウジングにより、ガラスパネルでの開口部の切除に付随するガラス粉塵の効果的吸引が達成され、小型で便利な形態の装置が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0005】
本発明の例示的実施例を、図面を参照して以下でより詳細に説明する。
【0006】
図1Aと1Bは、バッテリB’により駆動されるとともに吸引具Aが装着されたドリル・フライス加工装置Bを示す。装置のハンドルはGと記されている。
【0007】
図2乃至5に示された実施例では、略円板状ハウジング1は、ねじ1cにより相互に接続された二つのハウジング部品1a,1bで構成される。図4と5に見られるように、ハウジング1にはラジアルインペラ2が回転自在に取り付けられている。ラジアルインペラ2の中央開口部には、ドリル・フライス加工カッタ3が延在する。図5では、ハウジング上半分1bにおいてフライス加工カッタ3と同心にネック1dが形成され、このネック1dには、伸縮調節自在な吸引パイプ4が固定される。
【0008】
吸引パイプ4は、ハウジングのネック1dに支持される片側にフランジ4a’を備えるパイプ区分4aを有し、このフランジには、ゴムベローズ6の端部と当接する上端部を持つコイルばね5が支持され、この上端部は、ゴムベローズ6が固定されるカラー4b’を有するパイプ区分4bに結合されている。ゴムベローズ6の下端部は、例えばホース取付具7によりハウジングの管形ネック1dに固定されている。
【0009】
図6Aの準備位置では、伸張した吸引パイプ4はフライス加工カッタ3の先端を被覆している。カラー4b’によってガラスパネルSに装置を押し当てると、図4の外側パイプ区分4bがばね5の力に反してパイプ区分4aとかさなるように変位するため、フライス加工カッタ3の先端が露出して、図6Bが示すようにフライス加工カッタの切断実施部分3b(図7)によってガラスパネルSを貫通する。Dは、フライス加工カッタ3によりガラスパネルから切除された開口部を表す。
【0010】
図7は、ねじ部分3aにはんだ付けされたフライス加工カッタ3を示す。フライス加工カッタの先端は、ガラス表面に装置を軽く押すことで滑らずにガラス表面を貫通する切断実施部分3bを備える。切断実施部分の螺旋状開口3cがガラス破片をパイプ区分4aへ運び、破片はここからインペラ2を介して収集タンク8に達する。
【0011】
図4が示すように、下方ハウジング部分1aの下側またはラジアルインペラ2の下側は閉じられているため、フライス加工中に発生するガラス粉塵はラジアルインペラ2により吸引パイプ4から排出される。円板状ハウジング1の外周部には、図の実施例ではプラスチック材料で製造されてハウジングネック1eに接続される通路区分8aを有する収集タンク8がフランジで取り付けられる径方向突出ネック1eが形成され、通路区分の反対側には、片側で開口して好ましくは透明のキャップ8cにより被覆される略管形ハウジング8bが形成され、キャップは、例えば差込ピン取付具により管形ハウジング8bに結合される。収集タンク8には、ラジアルインペラ2から収集タンクへ導入された空気が外側からフィルタ9の周囲を流れて、ガラス粉塵が外周面に堆積するように管形フィルタ9が配置され、収集タンクの充填度は透明キャップ8cを通して見ることができる。図2において、フィルタ9の上方前端は閉じた形状であるのに対して、下方前端は開口してハウジング8bの流出開口部8dと連通し、ガラス粉塵が除去された空気がこの開口部から排出される。
【0012】
エッジの尖ったガラス粉塵からラジアルインペラ2を保護するため、インペラはセラミックコーティングを備える。同様に、ハウジング1はこれに対応して頑丈な鋳造アルミニウムで製造される。
【0013】
下方ハウジング部分1aの下側には、装置Bのドリル・フライス加工ヘッドに吸引具Aを固定するための径方向雌ねじボアを備える管形ネック1fが形成されている。
【0014】
図4に示された実施例では、ねじ部分3aによりフライス加工カッタ3がインペラ2の中央ボス2aにねじ止めされるように、フライス加工カッタ3がラジアルインペラ2に結合されている。ボス2aはインペラ2とともにユニットを形成する。図4においてインペラの下側では、ボス2aのピン2a’が突出して、装置Bのフライス・ドリル加工ヘッドと嵌合する。図4による実施例では、フライス加工カッタ3はインペラ2に着脱自在に結合されているため、摩損した時には交換できる。吸引具Aは、ハウジング1のネック1fにより装置Bに固定接続される。
【0015】
インペラ2の中央ボス2aに挿入されるフライス加工カッタ3の代わりに、手動装置Bのドリル・フライス加工ヘッドにフライス加工カッタ3が直接挿入されて吸引具Aがこれに装着され、例えばドリル加工ヘッドまたはフライス加工カッタ3との摩擦ロックによりインペラ2が駆動される実施例が設けられてもよい。このような実施例では、手動装置Bにフライス加工カッタ3が直接に挿入され、次に吸引具Aが手動装置に装着される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】吸引具を備えるバッテリ式ドリル加工装置または手動操作フライス加工装置の平面図および側面図を示す。
【図2】吸引具の平面図を示す。
【図3】吸引具の側面図を示す。
【図4】図2のG−G線における部分的断面図を示す。
【図5】吸引具の構成部品の分解図を示す。
【図6】装置の動作モードを示す。
【図7】ドリル・フライス加工カッタの斜視図を示す。
【図1A】

【図1B】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドリル・フライス加工ヘッドに固定されるとともに、該ドリル・フライス加工ヘッドにより駆動されるラジアルインペラ(2)が回転自在に支持されたハウジング(1)と、
前記ハウジングにおいて伸縮調節自在であるとともにドリル・フライス加工カッタ(3)が延在する吸引パイプ(4)と、
前記ハウジング(1)に接続された収集タンク(8)と、
を包含する、特に自動車のフロントガラスを切断するための、吸引具(A)を備える手動ドリル・フライス加工装置(B)。
【請求項2】
略円板形状に形成されて、管形フィルタ(9)を収容するプラスチック材料製の収集タンク(8)と連通する径方向突出通路ネック(1e)を前記ハウジング(1)が外周部に備える、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
一方の前端部が被覆キャップ(8c)により閉じられるとともに反対側の前端部が流出開口部(8d)を備える通路区分(8a)を介して前記ハウジング(1)と連通するパイプ区分(8b)を前記収集タンク(8)が有する、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記被覆キャップ(8c)が透明に形成される、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記ハウジング(1)が、前記ドリル・フライス加工装置に接続するための管形ネック(1f)を片側に、前記吸引パイプ(4)に結合するための管形ネック(1d)を反対側に有する、前出請求項の一つに記載の装置。
【請求項6】
前記吸引パイプ(4)が、前記ハウジング(1)に結合されるパイプ接続部(4a)と、該パイプ接続部と伸縮式に重複するパイプ接続部(4b)とを有し、該二つのパイプ接続部がゴムベローズによって囲繞され、該ゴムベローズ(6)の内側において該二つのパイプ接続部の間に圧力ばね(5)が設けられる、前出請求項の一つに記載の装置。
【請求項7】
前記フライス加工カッタ(3)と嵌合するための中央ボス(2a)が前記ラジアルインペラ(2)に設けられ、該インペラがピン(2a')を介して前記ドリル・フライス加工装置Bにより駆動される、前出請求項の一つに記載の装置。
【請求項8】
ドリル・フライス加工ヘッドにより駆動されるラジアルインペラ(2)が回転自在に支持された、該ドリル・フライス加工ヘッドに装着自在なハウジング(1)と、
前記ハウジング(1)において伸縮調節自在であるとともに、前記ドリル・フライス加工カッタ(3)が延在する吸引パイプ(4)と、
前記ハウジング(1)に接続される収集タンク(8)と、
を包含する、特に自動車のフロントガラスを切断するための、手動操作ドリル・フライス加工装置(B)の吸引具。

【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7】
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【公表番号】特表2009−537342(P2009−537342A)
【公表日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−511372(P2009−511372)
【出願日】平成19年5月15日(2007.5.15)
【国際出願番号】PCT/EP2007/004327
【国際公開番号】WO2007/134759
【国際公開日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【出願人】(508343490)
【Fターム(参考)】