説明

商品データ処理装置および制御プログラム

【課題】販売登録された商品の合計金額が基準額を超えて減額が成立した時点で、減額の成立やその内容を操作者が容易に知るための手段を講じること。
【解決手段】一実施形態における商品データ処理装置は、表示手段と、算出手段と、減額手段と、表示位置変更手段とを備えている。前記表示手段は、販売登録された商品の商品データを表示する。前記算出手段は、前記販売登録された商品の売価の合計金額を算出する。前記減額手段は、前記算出手段によって算出された合計金額が予め定められた基準額を超え、かつ前記販売登録された商品に予め定められた減額対象商品が含まれる場合、その対象商品の売価を減額する。前記表示位置変更手段は、前記減額手段による減額が行われたとき、前記表示手段における当該対象商品の商品データの表示位置を変更する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、販売登録された商品の合計金額に応じて特定商品の売価を減額する商品データ処理装置および制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、1取引にて販売登録された商品の合計金額が予め定められた基準額を超え、かつ販売登録された商品に特定商品が含まれる場合に、当該特定商品の売価を値引きや割引きによって減額するとの販促活動が各種店舗にて行われている。このような販促活動を行えば、上記基準額に達するまで商品を購入しようとするインセンティブが客に生じ、店舗の売上増加が期待できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平5−266359号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
商品の販売登録は、POS(Point Of Sales)端末やECR(Electric Cash Register)等の商品データ処理装置を用いて行われている。店員や客がこの種の装置を操作して商品を販売登録している間に、登録済み商品の合計金額が上記基準額を超え、かつ登録済み商品に上記特定商品が含まれているかどうかを確認するのは手間であるし、会計の進行が遅延しかねない。そのため商品登録の作業時に減額の成立を知ることは容易ではなく、操作者である店員や客は、適切に減額が行われるかどうかが判らず不安を感じることがあった。
【0005】
このような事情から、販売商品の合計金額が基準額を超えて減額が成立した時点で、減額の成立やその内容を操作者が容易に知るための手段を講じる必要があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、一実施形態における商品データ処理装置は、表示手段と、算出手段と、減額手段と、表示位置変更手段とを備えている。
前記表示手段は、販売登録された商品の商品データを表示する。前記算出手段は、前記販売登録された商品の売価の合計金額を算出する。前記減額手段は、前記算出手段によって算出された合計金額が予め定められた基準額を超え、かつ前記販売登録された商品に予め定められた減額対象商品が含まれる場合、その対象商品の売価を減額する。前記表示位置変更手段は、前記減額手段による減額が行われたとき、前記表示手段における当該対象商品の商品データの表示位置を変更する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】一実施形態におけるPOS端末の要部構成を示すブロック図。
【図2】同POS端末が備えるRAMのメモリ構成図。
【図3】同POS端末の店員用ディスプレイに表示される商品登録画面を示す図。
【図4】同POS端末が実行する商品登録処理のフローチャート。
【図5】同POS端末の店員用ディスプレイに表示される商品登録画面を示す図。
【図6】同POS端末が実行する取消処理のフローチャート。
【図7】同POS端末が実行する精算処理のフローチャート。
【図8】同POS端末の店員用ディスプレイに表示される支払画面を示す図。
【図9】同ディスプレイに表示される減額成立を報知するポップアップを示す図。
【図10】同ディスプレイに表示される減額消滅を報知するポップアップを示す図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、一実施形態について図面を参照しながら説明する。
この実施形態では、商品データ処理装置の一態様として、コンビニエンスストアやスーパーマーケット等で会計業務に使用されるPOS端末1を例示する。
【0009】
[要部構成]
図1は、POS端末1の要部構成を示すブロック図である。POS端末1は、制御の中枢として機能するCPU100と、このCPU100に対してバスライン110を介して接続されたROM101、RAM102、通信I/F103、スキャナI/F104、ディスプレイコントローラ105,106、キーボードコントローラ107、カードリーダコントローラ108、およびプリンタコントローラ109と、上記スキャナI/F104に接続されたバーコードスキャナ111と、上記ディスプレイコントローラ105に接続された店員用ディスプレイ112(表示手段)およびタッチパネル113と、上記ディスプレイコントローラ106に接続された客用ディスプレイ114と、上記キーボードコントローラ107に接続されたキーボード115と、上記カードリーダコントローラ108に接続されたカードリーダ116と、上記プリンタコントローラ109に接続されたレシートプリンタ117とを備えている。
【0010】
ROM101は、POS端末1の制御プログラム等の固定的データを記憶している。RAM102は、POS端末1のメインメモリとして機能し、各種のデータを一時的に記憶する。通信I/F103には、POS端末1が設置された店舗のLAN(Local Area Network)にPOS端末1を通信接続するLAN回線130が接続され、このLAN回線130を介して行われるストアサーバ等の外部機器とのデータ通信を制御する。
【0011】
バーコードスキャナ111は、例えば操作者が手持で操作するハンディタイプのスキャナであり、商品に付されたバーコードを光学的に読み取って商品コードにデコードする。スキャナI/F104は、バーコードスキャナ111にてデコードされた商品コードを取り込んでCPU100に通知する。
【0012】
店員用ディスプレイ112は、例えばLCD(Liquid Crystal Display)であり、商品登録画面200(図3,図5参照)、支払画面300(図8参照)、および各種設定用の画面等を表示する。タッチパネル113は、店員用ディスプレイ112の表示面上に設けられ、操作者の指やタッチペンでタッチ操作された位置に応じた信号を出力する。ディスプレイコントローラ105は、CPU100からの指令に応じて店員用ディスプレイ112の画面表示を制御するとともに、タッチパネル113から出力される信号に基づいて店員用ディスプレイ112に表示されたGUIの操作を監視し、いずれかのGUIが操作されたならばその旨をCPU100に通知する。
【0013】
客用ディスプレイ114は、例えばVFD(Vacuum Fluorescent Display)であり、販売登録された商品の名称や価格,取引の合計金額,釣り銭額等を選択的に表示する。ディスプレイコントローラ106は、CPU100からの指令に応じて客用ディスプレイ114の画面表示を制御する
キーボード115は、PLU(Price Look Up)キー、預り/現計キー、取消キー、および置数キー等で構成された機械式のキーボードであり、押下げられた操作キーに応じた信号を出力する。キーボードコントローラ107は、キーボード115から出力される信号を取り込んでCPU100に通知する。
【0014】
カードリーダ116は、クレジットカード、デビッドカード、および当該店舗のポイントカード等からカード情報を読み取るICタイプまたは磁気タイプのカードリーダである。カードリーダコントローラ108は、カードリーダ116が読み取ったカード情報を取り込んでCPU100に通知する。
【0015】
レシートプリンタ117は、取引の明細等を印字したレシートを発行する。プリンタコントローラ109は、CPU100からの指令に応じてレシートプリンタ117を駆動し、上記レシートを発行させる。
【0016】
[メモリ構成]
図2は、RAM102のメモリ構成図である。RAM102には、上記ストアサーバから配信される商品マスタ120および販促情報ファイル121が記憶されるとともに、商品登録処理時等にはフラグF1,F2および販売登録バッファ122が形成される。
【0017】
商品マスタ120は、当該店舗で販売される商品毎に設けられたレコードによって構成され、各レコードにはそれぞれ対応する商品の商品コード、商品名称、単価等が記述されている。例えば図示した商品コード「C001」のレコードには、商品名称「たまごLパック」および単価「¥198」等が記述されている。
【0018】
販促情報ファイル121は、減額条件および値引額を示すファイルであり、図示した例では減額条件として基準額「¥1000」,販促対象商品の商品コード「C001」が記述され、値引額として「¥98」が記述されている。これは、販売登録された販促対象以外の商品の合計代金が基準額「¥1000」を超え、かつ販売登録済みの商品に商品コード「C001」の商品、すなわち「たまごLパック」が含まれる場合、当該商品を値引額「¥98」だけ値引くことを意味する。
【0019】
フラグF1,F2には、「0」および「1」のいずれかがセットされる。フラグF1,F2の具体的な役割については、図4〜図10の説明において後述する。
【0020】
販売登録バッファ122は、バーコードスキャナ111等によって商品コードが入力された商品の商品データを記憶するためのエリアであり、商品コード、商品名称、買い上げ数量、単価、単価からの値割引額、および単価から値割引額を減じた額に数量を乗じて得られる販売額からなるレコードによって構成されている。各レコードは、商品登録処理の当初から空欄の状態で設けられていてもよいし、商品データが登録される度に形成されてもよい。
【0021】
次に、POS端末1の動作について説明する。
【0022】
[商品登録処理]
図示せぬモードスイッチの操作によってPOS端末1が会計業務モードに設定されると、図3に示すような商品登録画面200が店員用ディスプレイ112に表示される。この画面200は、販売登録バッファ122の各商品データを表示するカレントエリア201および登録明細エリア202と、合計エリア203と、小計ボタン204(小計指示手段)とを有している。カレントエリア201には直近に販売登録された商品の商品名称,数量,販売額が表示され、登録明細エリア202にはカレントエリア201に表示された商品以前に販売登録された商品の商品名称、数量、単価、値割引額(図中の「値割引」)、販売額(図中の「金額」)等が「1」から昇順のナンバを付して販売登録された順に表示される。合計エリア203には販売登録された商品の合計点数および合計金額が表示される。小計ボタン204は、販売登録された商品の売価の小計指示を入力するものであり、表示位置へのタッチによって操作可能なGUIである。なお、図示した例は既にいくつかの商品が販売登録された状態を示しているが、商品登録処理の当初においてはカレントエリア201、登録明細エリア202、および合計エリア203に商品データや合計点数,合計金額が表示されていない。
【0023】
このような商品登録画面200が表示された状態でキーボード115のPLUキーが操作されると、CPU100がROM101に記憶された制御プログラムを実行し、商品登録処理が開始される。この処理のフローチャートを図4に示している。
【0024】
商品登録処理の開始当初において、CPU100は、上記フラグF1,F2および販売登録バッファ122の初期化処理を実行する(ステップS101)。この初期化処理を経てフラグF1,F2が「0」にリセットされるとともに、販売登録バッファ122のデータがクリアされる。
【0025】
次に、CPU100は、バーコードスキャナ111によるバーコードの読み取りや店員用ディスプレイ112に表示されるプリセットキーの操作による商品コードの入力、および店員用ディスプレイ112やキーボード115の操作による各種指示の入力を受け付ける(ステップS102)。そして、何らかの入力があると、CPU100は、当該入力の種別を判定する(ステップS103)。
【0026】
入力の種別が商品コードの入力である場合(ステップS103の「商品コード」)、CPU100は、当該入力された商品コードに対応する商品を販売登録する(ステップS104)。具体的には、当該入力された商品コードに対応する商品名称,単価を商品マスタ120から読み出し、販売登録バッファ122の空いているレコードに記述する。このとき、数量が指定されていなければ同レコードの数量を「1」とし、数量が指定されていれば同レコードの数量をその指定された数とする。また、同レコードの値割引額は「0」とし、販売額を算出して同レコードに記述する。
【0027】
このように商品を販売登録した後、CPU100は、販売登録バッファ122の当該商品に対応するレコードの商品名称、数量、単価をカレントエリア201に表示するとともに、販売登録バッファ122の各レコードの数量および販売額に基づいて合計点数および合計金額を算出し、合計エリア203に表示する(ステップS105)。なお、当該商品の販売登録時にカレントエリア201に商品名称等が表示されていた場合、それに対応する販売登録バッファ122のデータを登録明細エリア202の最後尾(最下段)に表示する。
【0028】
次に、CPU100は、販促情報ファイル121で販促対象として指定された商品が販売登録されているか否かを判定する(ステップS106)。販促対象の商品コード「C001」を有するレコードが販売登録バッファ122にない場合には販促対象の商品が販売登録されていないと判定し(ステップS106のNo)、ステップS102の処理に戻って以降の処理を繰り返す。
【0029】
一方、商品コード「C001」を有するレコードが販売登録バッファ122にある場合には販促対象商品が販売登録されていると判定し(ステップS106のYes)、CPU100は、販売登録バッファ122の各レコードの販売額に基づいて、当該販促対象商品の販売額を除いた合計金額を算出する(ステップS107:算出手段)。そして、CPU100は、算出した合計金額が販促情報ファイル121の基準額「¥1000」以上であるか否かを判定する(ステップS108)。その結果、合計金額が基準額未満である場合(ステップS108のNo)、CPU100は、ステップS102の処理に戻って以降の処理を繰り返す。
【0030】
一方、合計金額が基準額以上である場合(ステップS108のYes)、CPU100は、販促対象商品の減額処理を実行する(ステップS109)。この処理では、販売登録バッファ122の販促対象商品に対応するレコードの値割引額に販促情報ファイル121の値引額「¥98」を記述し、同レコードの販売額を再計算する。このようにして販促対象商品の売価が減額される。
なお、ステップS106,S108,S109の処理は、本実施形態における減額手段を構成する。
【0031】
上記減額処理の後、CPU100は、販促対象商品の商品データが登録明細エリア202の最後尾に位置するように、各商品データの表示順序を変更する(ステップS110:表示位置変更手段)。例えば、図3のように商品が販売登録された状態から、図5のように「緑茶」が販売登録され、販促対象商品である「たまごLパック」を除く合計金額が基準額「¥1000」を上回った場合、元々はナンバ「1」の位置に表示されていた「たまごLパック」の商品データを最後尾であるナンバ「6」の位置に移動し、他の商品データを上詰めする。さらに、「たまごLパック」の値割引額を「−¥98」とし、販売額を「¥100」とする。このような処理の後、CPU100は、フラグF1を「1」にセットし(ステップS111)、ステップS102の処理に戻って以降の処理を繰り返す。
【0032】
[取消処理]
上記商品登録処理のステップS102の処理にて受け付けた入力がキーボード115の取消キーの操作による取消指示の入力である場合(ステップS103の「取消指示」)、CPU100は、取消処理を実行する(ステップS112)。この処理のフローチャートを図6に示している。
【0033】
取消処理の開始当初において、CPU100は、取消対象とする商品の指定を受け付ける(ステップS201:商品指定手段)。そして、店員用ディスプレイ112へのタッチ操作やキーボード115の操作によって取消対象商品が指定されると、CPU100は、フラグF1が「1」にセットされているか否かを判定する(ステップS202)。フラグF1が「1」にセットされている場合(ステップS202のYes)、ステップS109の減額処理が行われていることになる。この場合、CPU100は、指定された取消対象商品の販売登録を取り消した後にも販促情報ファイル121の減額条件が成立するか否かを判定する(ステップS203)。このとき、取消後に販促対象商品を除く商品の合計金額が基準額を下回ることになる場合、あるいは販促対象商品自体が取消対象として指定されている場合には、取消後に減額条件が成立しないと判定し(ステップS203のNo)、CPU100は、取り消しの実行によって減額が消滅する旨を報知する(ステップS204)。この報知は、例えば店員用ディスプレイ112および客用ディスプレイ114に減額が消滅する旨のメッセージを表示することで行う。さらに、CPU100は、取り消しの実行を許可する実行ボタンと、取り消しを中止する中止ボタンとを店員用ディスプレイ112に表示させ、取り消し実行の許否を操作者に確認する(ステップS205:確認手段)。
【0034】
操作者が上記中止ボタンをタッチ操作した場合、CPU100は、取り消しの実行が中止されたと判定し(ステップS205の「中止」)、ステップS102の処理に戻って以降の処理を繰り返す。一方、操作者が上記実行ボタンをタッチ操作した場合、CPU100は、取り消しの実行が許可されたと判定し(ステップS205の「実行」)、フラグF1を「0」にセットし(ステップS206)、指定された取消対象商品のレコードを販売登録バッファ122から削除して取り消しを確定する(ステップS207:取消手段)。そして、取消対象商品の商品データを登録明細エリア202から削除して他の商品データを上詰めするとともに、合計点数および合計金額を再計算して合計エリア203に表示する(ステップS208)。その後、ステップS102の処理に戻って以降の処理を繰り返す。
【0035】
なお、ステップS202の処理においてフラグF1が「1」にセットされていないと判定したとき(ステップS202のNo)、およびステップS203の処理において取り消し後にも減額条件が成立すると判定したとき(ステップS203のYes)、CPU100は、ステップS207,S208の処理を実行した後、ステップS102の処理に戻って以降の処理を繰り返す。
【0036】
[精算処理]
上記商品登録処理のステップS102の処理にて受け付けた入力が小計ボタン204の操作による小計指示の入力である場合(ステップS103の「小計指示」)、CPU100は、精算処理を実行する(ステップS113)。この処理のフローチャートを図7に示している。
【0037】
精算処理の開始当初において、CPU100は、図8に示すような支払画面300を店員用ディスプレイ112に表示させる(ステップS301)。この画面300は、図5に示した商品登録画面200の状態から小計ボタン204がタッチ操作された場合に表示されるものであり、販売登録された商品の合計点数および小計額を表示する合計エリア301と、支払操作および小計値割引操作を促すメッセージ302と、小計値引きの実行を指示する小計値引ボタン303と、小計割引きの実行を指示する小計割引ボタン304と、支払方法の選択を指示する支払方法選択ボタン305と、商品登録画面200の再表示を指示する登録明細ボタン306とを有している。各ボタン303〜306は、表示位置へのタッチによって操作可能なGUIである。
【0038】
このような支払画面300を表示した後、CPU100は、フラグF1が「1」にセットされているか否かを判定する(ステップS302)。フラグF1が「1」にセットされている場合(ステップS302のYes)、ステップS109の減額処理が行われていることになる。この場合、CPU100は、販促対象商品が減額された旨を報知するとともに(ステップS303:減額報知手段)、フラグF2を減額報知済みを示す「1」にセットする(ステップS304)。ステップS303の報知は、例えば図9に示すようなポップアップ400を支払画面300上に表示することで行う。このポップアップ400は、販促情報ファイル121で示される販促対象商品が同ファイル121で示される値引額だけ減額された旨を示すメッセージ401と、当該ポップアップ400を閉じる閉ボタン402とを有している。閉ボタン402は、表示位置へのタッチによって操作可能なGUIである。
【0039】
閉ボタン402がタッチ操作されると、CPU100は、ポップアップ400を閉じて支払画面300の各ボタン303〜306に対する操作を受け付ける(ステップS305)。そして、いずれかのボタンがタッチ操作されると、CPU100は、当該操作されたボタンの種別を判定する(ステップS306)。操作されたボタンが支払方法選択ボタン305である場合(ステップS306の「支払方法選択ボタン」)、CPU100は、例えば店員用ディスプレイ112に現金支払、クレジットカード支払、電子マネー支払いのいずれかを選択するためのGUIを表示し、代金の支払方法の選択を受け付ける(ステップS307)。そして、受け付けた支払方法による支払処理を実行する(ステップS308)。例えば現金支払が選択されたならば預り金額の入力を受け付け、入力された金額から合計エリア301の小計額を差し引いて釣銭を算出し、店員用ディスプレイ112や客用ディスプレイ114に表示させる。また、クレジットカード支払が選択されたならばカードリーダ116によるクレジットカードの読み取りを受け付け、読み取ったカード情報に基づきカード事業者の管理サーバにアクセスしてカード決済を行う。また、電子マネー支払が選択されたならば図示せぬ電子マネーインターフェイスに翳された電子マネー媒体から合計エリア301の小計額を引き落とす。いずれかの方法によって支払処理が完了すると、CPU100は、レシートプリンタ117に当該取引の明細情報を印字したレシートやクレジット伝票を発行させ(ステップS309)、精算処理を終了する。
【0040】
一方、ステップS305の処理で受け付けた操作が小計値引ボタン303または小計割引ボタン304の操作である場合(ステップS306の「値引ボタン,割引ボタン」)、CPU100は、小計額に対する値割引処理を実行する(ステップS310)。この処理において、例えば小計値引ボタン303が操作されている場合には、キーボード115の操作による値引額の入力を受け付け、その値引額を現在の小計額から差し引いて得られる額で合計エリア301の小計額を更新する。また、小計割引ボタン304が操作されている場合には、キーボード115の操作による割引率の入力を受け付け、その割引率に応じて現在の小計額を減じた額で合計エリア301の小計額を更新する。このように小計額に対する値割引処理を実行した後、CPU100は、ステップS305の処理に戻って以降の処理を実行する。
【0041】
一方、ステップS305の処理で受け付けた操作が登録明細ボタン306の操作である場合(ステップS306の「登録明細ボタン」)、CPU100は、店員用ディスプレイ112から支払画面300を消去して商品登録画面200を表示させ(ステップS311)、商品登録処理におけるステップS102の処理に戻って以降の処理を実行する。
【0042】
ステップS302の処理においてフラグF1が「1」にセットされていない場合(ステップS302のNo)、CPU100は、フラグF2が「1」にセットされているか否かを判定する(ステップS312)。ポップアップ400によって販促対象商品の減額が報知された後(ステップS303)、登録明細ボタン306が操作されて商品登録画面200が再表示され(ステップS311)、小計ボタン204が再操作されて支払画面300が表示され(ステップS301)、しかも取消処理によって減額条件が不成立となったためにフラグF1が「0」にセットされている場合には(ステップS206)、フラグF1が「0」かつフラグF2が「1」となる(ステップS302のNo,S312のYes)。この場合、CPU100は、減額消滅を報知するとともに(ステップS313:消滅報知手段)、フラグF2を「0」にセットする(ステップS314)。ステップS313の報知は、例えば図10に示すようなポップアップ500を支払画面300上に表示することで行う。このポップアップ500は、図5のように商品が販売登録された状態から「トマト」が取り消され、減額が消滅した場合に表示されるものであり、販促情報ファイル121で示される減額が消滅した旨を示すメッセージ501と、当該ポップアップ500を閉じる閉ボタン502とを有している。閉ボタン502は、表示位置へのタッチによって操作可能なGUIである。閉ボタン502がタッチ操作されると、CPU100は、ポップアップ500を閉じて支払画面300の各ボタン303〜306に対する操作を受け付け(ステップS305)、以降の処理を実行する。以上で、POS端末1の動作に関する一連の説明を終了する。
【0043】
以上説明したように本実施形態におけるPOS端末1は、販売登録された商品の合計金額が基準額を超えたことに応じて減額処理を実行すると(ステップS109)、当該販促対象商品の商品データが最後尾に位置するように登録明細エリア202の各商品データの表示順序を変更する(ステップS110)。したがって操作者は、商品登録中であっても商品登録画面200を見るだけで販促対象商品が減額されたことを知ることができる。
【0044】
また、POS端末1は、販促対象商品が減額された状態で小計指示が入力されたとき、ポップアップ400によって当該減額を報知する(ステップS303)。したがって操作者は、登録明細エリア202の各商品データの表示順序が変更されたことに気付かなかった場合であっても、小計指示時には確実に販促対象商品が減額されたことを知ることができる。
【0045】
また、POS端末1は、ポップアップ400によって販促対象商品の減額を報知した後(ステップS303)、取消処理によって商品の販売登録を取り消した結果(ステップS112)、減額が消滅した場合にはポップアップ500によって減額消滅を報知する(ステップS313)。したがって操作者は、減額だけでなく減額消滅をも確実に知ることができる。
【0046】
また、POS端末1は、販促対象商品を減額した後の取消処理において取消対象商品が指定されたとき(ステップS201)、その商品の取り消しによって減額が消滅する場合にはその旨を報知するとともに(ステップS204)、取り消し実行の許否を操作者に確認する(ステップS205)。このような構成であれば、操作者が客に対しその商品を取り消すことで減額が消滅することを伝える等し、その商品の取り消しを踏み止まらせたり、その商品に代わる商品の購入を促したりすることができる。
【0047】
[変形例]
なお、上記実施形態に開示された構成は、実施段階において各構成要素を適宜変形して具体化できる。具体的な変形例としては、例えば次のようなものがある。
【0048】
(1)上記実施形態では、商品データ処理装置の一態様として店員が操作するタイプのPOS端末を例示した。しかしながら、ECRやセルフチェックアウトタイプのPOS端末、あるいはクレジットカード等による決済に特化したカード決済端末等に、上記実施形態と同様の構成を適用してもよい。
【0049】
(2)上記実施形態では、販促情報ファイル121に対象商品が1つ設定されており、減額条件成立時に値引きによってその対象商品の売価を減額する場合を例示した。しかしながら、減額条件成立時に割引きによって対象商品の売価を減額してもよいし、対象商品を複数設定し、減額条件成立時にそれら複数の対象商品の全てについて売価を減額してもよい。
【0050】
(3)上記実施形態では、減額条件成立時に売価が減額された商品の商品データの表示位置を、登録明細エリア202の最後尾(最下段)に変更する場合を例示した。しかしながら、売価が減額された商品の商品データの表示位置を、最後尾ではなく先頭(最上段)に変更してもよいし、同商品データをカレントエリア201に表示させてもよい。
【0051】
(4)上記実施形では、店員用ディスプレイ112にポップアップ400,500を表示し、販促対象商品の減額やその消滅を報知する場合を例示した。しかしながら、客用ディスプレイ114へのメッセージ表示や、スピーカからの音声出力によって、販促対象商品の減額やその消滅を報知してもよい。
【0052】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0053】
1…POS端末、100…CPU、112…店員用ディスプレイ、113…タッチパネル、120…商品マスタ、121…販促情報ファイル、122…販売登録バッファ、200…商品登録画面、201…カレントエリア、202…登録明細エリア、300…支払画面、400,500…ポップアップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
販売登録された商品の商品データを表示する表示手段と、
前記販売登録された商品の売価の合計金額を算出する算出手段と、
前記算出手段によって算出された合計金額が予め定められた基準額を超え、かつ前記販売登録された商品に予め定められた減額対象商品が含まれる場合、その対象商品の売価を減額する減額手段と、
前記減額手段による減額が行われたとき、前記表示手段における当該対象商品の商品データの表示位置を変更する表示位置変更手段と、
を備えていることを特徴とする商品データ処理装置。
【請求項2】
前記表示手段は、各商品データを販売登録された順に表示し、
前記表示位置変更手段は、前記対象商品の商品データを前記表示手段に表示された各商品データの最後尾に移動させることを特徴とする請求項1に記載の商品データ処理装置。
【請求項3】
販売登録された商品の売価の小計指示を入力する小計指示手段と、
前記小計指示手段によって小計指示が入力されたとき、前記減額手段による減額が行われている場合にその旨を報知する減額報知手段と、
をさらに備えていることを特徴とする請求項1又は2に記載の商品データ処理装置。
【請求項4】
販売登録された商品を取り消す取消手段と、
前記減額報知手段による報知が行われた後に前記取消手段によって商品が取り消された結果、前記減額手段による減額が非成立となる場合に減額の消滅を報知する消滅報知手段と、
をさらに備えていることを特徴とする請求項3に記載の商品データ処理装置。
【請求項5】
販売登録された商品から取消対象の商品を指定する商品指定手段と、
前記減額手段による減額が行われており、かつ前記商品指定手段によって指定された商品が取り消されることによって前記減額手段による減額が非成立となる場合に取り消し実行の許否を確認する確認手段と、
前記確認手段によって取り消し実行の許可が確認された場合、前記商品指定手段によって指定された商品の販売登録を取り消す取消手段と、
をさらに備えていることを特徴とする請求項1乃至3のうちいずれか1に記載の商品データ処理装置。
【請求項6】
表示手段を備えるコンピュータに、
販売登録された商品の商品データを前記表示手段に表示させる機能と、
前記販売登録された商品の売価の合計金額を算出する機能と、
算出された合計金額が予め定められた基準額を超え、かつ前記販売登録された商品に予め定められた減額対象商品が含まれる場合、その対象商品の売価を減額する機能と、
前記減額が行われたとき、前記表示手段における当該対象商品の商品データの表示位置を変更する機能と、
を実現させるための制御プログラム

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−80526(P2013−80526A)
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2013−22206(P2013−22206)
【出願日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【分割の表示】特願2010−196945(P2010−196945)の分割
【原出願日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】