説明

商品収納陳列キット

【課題】 商品流通過程では通常の商品収納用箱の機能と外形状を有し、商品の陳列の際には、適度な高さ位置での商品陳列の可能な陳列用部材としての構成を備えることの可能な商品収納陳列キットを得ること。
【解決手段】 陳列枠20と、陳列枠20を収納被覆可能なサイズを有し、内側へ曲げ込まれて係止部を形成する曲げ込み部18を有する内箱16と、内箱16を収納可能なサイズを有し、内側へ曲げ込まれて係止部を形成する曲げ込み部14を有する外箱と、を備え、商品流通過程では、陳列枠20を内箱16で収納被覆し、該内箱16を外箱12に装填した状態とし、商品陳列時には、外箱12に形成された係止部に内箱16を上方から係止させ、更に内箱16に形成された係止部に商品の設置された陳列枠20を上方から係止させることで陳列部材となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、商品収納陳列キット、特に、流通過程における商品の収納保護と商品販売時における陳列用部材となる商品収納陳列キットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
商品の流通過程における収納保護は、一般的には、段ボールなどの紙製の外箱、や発砲スチロールなどの中箱などによって行われている。そして、これらの箱類は商品の収納がその基本機能であり、流通過程における販売店への輸送が終了した時点では、廃棄されるのが一般的である。
【0003】
また、販売場所への輸送が終了した状況で、収納手段である箱を陳列用のケースに作り変える形式のも、例えば、特開2000−126009号公報や特開2005−22661号公報が提示されている。これらは、商品の流通過程では箱状体であり、内部に商品が収納されている。そして、輸送が終了して販売箇所で商品陳列される際には、箱自体を展開して流通過程とは異なる折り曲げ方をして陳列用のケースにかえるものである。
【0004】
【特許文献1】特開2000−126009号公報
【特許文献2】特開2005−22661号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1や2に開示された技術は、流通過程において商品収納箱として機能する箱体が、商品の販売過程においては陳列用の部材となるという点に基本的特徴が存している。しかしながら、流通過程においてはその箱体に果物などの商品が詰められており、その状態でこれを販売箇所において陳列用のケースに変形させる場合、詰められている商品を一旦、箱体から取り出して多の場所に移さなければならない。
【0006】
そして、空になった箱体を展開し、新しい折り曲げや構成部材の取り出しや移動を行って、陳列ケースに変えた後、商品をその陳列ケースに戻さなければならない。この様に、上記特許文献に開示された箱構造は、実際の現場における使用状況を考えると非常に煩雑なさ業を伴う。収納箱から陳列ケースへの変形は簡単に行われる旨述べられているが、実際には、展開図や説明図を見ながら利用者が手組みにより完成させなければならない。
【0007】
更に、各特文献では1個分の体積の箱体を1個の陳列ケースに変形させるので、箱体のみを用いて陳列を行うと仮定すると、その陳列の高さ位置の調整はできない。すなわち、商品の詰まった状態の箱体が複数存在する場合には、その変形前の箱体を積み重ね、陳列ケースに変形したものを最上部に載せて高さ位置を高くすることは可能である。しかし、1箱や2箱の場合、この様な高さ位置の調整はできないか不十分なものである。
【0008】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、商品の流通過程では通常の商品収納用箱の機能と外形状を有し、商品の販売のための展示の際には、適度な高さ位置での商品陳列の可能な陳列用の部材としての構成を備えることの可能な商品収納陳列キットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、請求項1に係る商品収納陳列キットは、
底部と、該底部上に商品を設置するために該底部周囲から所定高さ立ち上がる側壁部と、を有する陳列枠と、側壁部及び該側壁部の一方側を閉塞する閉塞部を有し、他方側は開放端とされ、商品の設置された前記陳列枠を収納被覆可能なサイズを有し、前記側壁部のほぼ等しい高さ位置の複数箇所に、内側へ曲げ込まれて係止部を形成する曲げ込み部を有する内箱と、側壁部及び一方側を閉塞した底部とを有し、前記陳列枠を被覆した内箱を収納可能なサイズを有し、前記側面部のほぼ等しい高さ位置の複数箇所に、内側へ曲げ込まれて係止部を形成する曲げ込み部を有する外箱と、を備え、商品流通過程では、前記商品を設置した前記陳列枠を内箱で収納被覆し、該内箱を前記外箱に装填した状態とし、商品陳列時には、前記外箱に形成された前記係止部に内箱を上方から係止させ、更に前記内箱に形成された前記係止部に商品の設置された前記陳列枠を上方から係止させることを特徴とする。
【0010】
この構成により、輸送時には、商品を設置した前記陳列枠と内箱と外箱とが1つの箱体としてまとめられ、輸送に際して何ら支障のない1個の被輸送体となる。一方、商品陳列時には、外箱と内箱とが係止部によって上方に積み重ねられ、更にその上に係止部によって商品の設置された陳列枠が積載される。これにより内箱、外箱のサイズ及び係止部の形成される高さ位置によって決まる所定の高さ位置に商品が陳列されることとなる。
【0011】
請求項2に係る商品収納陳列キットは、
前記内箱及び外箱が、略直方体形状の箱体として形成され、前記曲げ込み部は4隅の角部に形成され、前記陳列枠の底部の形状は、内箱の略長方形の底部に収まる略長方形とされたことを特徴とする。
【0012】
この構成によれば、最も一般的な直方体の段ボール箱に本発明を適用することができ、また、係止部を形成するための曲げ込み部が直方体の四隅の角部に形成されているので、曲げ込み作業を角部を押し込むという非常に容易な動作によって行うことが可能である。
【0013】
請求項3に係る商品収納陳列キットは、
前記陳列枠の側壁部は、前記底部全周から途中高さ位置まで立ち上がる全周立設部と、前記底部の四隅の角部のみに更に上方に立ち上がる角部立設部と、を含むことを特徴とする。この構成により、角部立設部によって商品ケースを保持することが可能であり、また、全周立設部は箱体の途中高さ位置までの形成であることから、外方から陳列枠の内部の商品或いは商品ケースを目視することができ陳列枠による商品陳列機能が発揮される。
【0014】
請求項4に係る商品収納陳列キットは、
前記内箱及び外箱のそれぞれに設けられる曲げ込み部は高さ位置の異なる箇所に使用選択可能に形成されたことを特徴とする。この構成により、使用する曲げ込み部を選択することにより係止部の高さ位置を変更することができ、商品陳列の際の陳列枠の高さ位置を調整することが可能となる。すなわち、商品陳列高さは商品の種類、例えば、子供用か大人用か、男性用か女性用かによって高さ位置を調整することが可能である。
【0015】
請求項5に係る商品収納陳列キットは、
前記商品陳列時における係止設置状態では、前記陳列枠の底部の高さ位置が60cmから90cmになるように前記各係止部の高さ位置が設定されたことを特徴とする。この高さ位置は、通常、消費者が商品を見たり手にしたりし易い高さ位置であり、この高さ設定により陳列機能が好適なものとなる。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る商品収納陳列キットによれば、商品の流通過程では通常の商品収納用箱の機能と外形状を有し、商品の販売のための展示の際には、適度な高さ位置での商品陳列の可能な陳列用の部材としての構成を備えることができる。これにより、商品の適切な高さ位置における陳列設備を流通のための収納箱体のみの構成で完成させることができ、陳列設備やスペースの不十分な場所における商品陳列の容易化が達成される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、図面に基づいて本発明の実施例について詳細に説明する。図1(A)、(B)及び(C)には、本発明の実施の形態に係る商品収納陳列キットの構成部材が示されており、同図(D)には収納、陳列される商品の入れられた商品ケースが示されている。
【0018】
同図(A)には、外箱12が示されており、図示のように、略直方体形状を有しており、本実施例では側壁部12a、底部12bから構成されている。蓋部は本実施の形態では設けられていないが、必要に応じて設けることも可能である(但し、その場合、商品陳列時には除去される)。特徴的なことは、側面部12aに曲げ込み部14が形成されていることである。曲げ込み部14は図示のように箱体の四隅の角部にそれぞれ1個づつ形成されている。この曲げ込み部14の形成される高さ位置はそれぞれ同一の位置とされる。また、本実施の形態ではそれぞれの角部に1カ所づつ形成されているが高さ位置を変えて複数の曲げ込み部14をそれぞれの角部に設けることも可能である。その場合、対応する多の角部の曲げ込み部とは高さ位置は共通なものとされる。
【0019】
同図(B)には、内箱16が示されており、外箱12と同様に略直方体形状を有している。また、サイズは上記外箱12収納可能なサイズに設定されている。高さサイズについては内箱16を外箱12に装填したときに内箱16の上端と外箱12の上端とはほぼ等しくなるように設定するのが好適である。図示のように、内箱16は側壁部16a及び一方側の端部の閉塞部として蓋部16bが形成されている。また、底部は設けられておらず、一端開放の箱体となっている。側壁部16aには、上記外箱12と同様に曲げ込み部18が設けられ、同じく四隅の角部に高さ位置を共通にする曲げ込み部18が1個ずつ形成されている。なお、この曲げ込み部18を高さ位置を変えて複数個ずつ角部に形成しても良いことは上記外箱12の場合と同様である。
【0020】
同図(C)には、陳列枠20が示されている。この陳列枠20は、略長方形の底部20aを有し、その周縁部から側壁部が立ち上がっているが、低い位置まで立ち上がった全周立設部20bと、四隅の角部においてそれぞれ更に上方まで伸長するように立ち上げられて形成された4つの角部立設部20cとを有している。陳列枠20の底部20aのサイズは、上記内箱18によって収納被覆可能なサイズに設定されている。
【0021】
同図(D)には、商品の収納された商品ケース22が示されている。この商品ケース22及び収納されている商品は本発明の構成要素ではないが、本件発明に係る商品収納陳列キットはこの様な商品や商品ケースを輸送し、陳列するために用いられるものである。商品に制限はないが、段ボールなどの箱体でその重量が支えられる程度の重さの商品に適用可能であり、例えば、テープ類などの事務、作業用品などに好適である。
【0022】
図2は、本実施の形態に係る商品収納陳列キットの商品流通過程における輸送時の形態を示す説明図である。図示のように、商品ケース22の装填された陳列枠20には、内箱16が被せられる。すなわち、内箱16の開放端側を下にして上方から陳列枠20を被覆するように被せられる。その状態で、外箱12の開放された上部から外箱12内に収納する。
【0023】
図3は、外箱12に全体が収納された状態が示されている。この様に外箱12の容積内に全体が納められた1個の箱体となっている。この状態では、内箱16の上端縁は外箱12の上端縁とほぼ等しくなっている。外箱12から内箱16が脱落しないようにするための処置はテープ等によって行えば足りる。また、外箱12に蓋体を設けることも可能であるが、その場合、陳列用の形態に変更する際除去することとなる。この様に、1個の箱体として収納がなされているので流通時における状況は、通常の商品収納箱以上に嵩張ることもなく、流通時の支障は何ら生じない。
【0024】
次に、商品陳列時における変形について説明する。図4は、曲げ込み部14、18の曲げ込み動作及び曲げ込み状態を上方から見た図を示している。同図(A)はその部分の概略平断面図であり、同図(B)は概略斜視図である。外箱12を例にすると、外箱側壁部12aの角部に形成されている曲げ込み部14を内側に押し曲げて係止部が形成されるものである。こうして形成された係止部はそれぞれの角部に存在し、同図(C)に示されたように四隅に形成されている。
【0025】
図5は、上述のように内箱16と外箱12にそれぞれ係止部を4カ所ずつ形成した後、の動作が示されている。まず、外箱12内に内箱16を開放端側を上にして、蓋部16bが下になるようにして装填する。ここで、外箱12に蓋部が形成されている場合には、蓋部は除去される。そして、内箱16は外箱12の折り曲げ部14にて形成された係止部に係止される。次に、商品の装填されている陳列枠20を内箱16上方から開放端内へ装填する。陳列枠20はその底部が、内箱16の曲げ込み部18にて形成された係止部に係止される。
【0026】
図6にはこの状態が示されている。図示のように、陳列枠20内では最上部の商品(テープ)は、消費者に見えるように商品ケース22から取り出されて展示されている。この様に、図3に示した外箱12に一体化されていた各構成部を積み重ねたことで陳列されている商品は良好な高さ(60cm〜100cm)、本実施例では陳列枠の底部までの高さは70cmに調整されている。この様に、1個の箱体から適度な高さ位置に商品を維持して陳列することとのできる陳列部材が完成している。各構成部材を積み重ねた状態での陳列枠20の設置高さ位置は、上述した数値の範囲に限定されるものではなく、曲げ込み部18の形成位置を変更することにより利用者の希望に応じて調整することが可能である。
【0027】
なお、本発明は上記実施の形態の構成に限定されるものではなく、発明の要旨の範囲内で種々変更することができる。例えば、折り曲げ部はほぼ共通の高さ位置に各角部に1カ所ずつ形成したが、異なる高さ位置に複数ずつ形成することも可能である。これにより、陳列商品の高さ位置の調整をより細かく行うことができる。また、箱体の材質は段ボールに限られるものではなく、流通過程を耐えることができ、積み重ね可能な種々の材質を使用することができる。陳列枠20の形状も実施の形態に限られず、消費者から設置されている商品が目視可能で取り出しやすい構成で有れば変形可能である。なお、商品についても特に限定はなく、箱体上に積載可能な重量のものであれば如何なる書品でも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】実施の形態に係る商品収納陳列キットの構成部材及び収納される商品ケースを示す説明図である。同図(A)は外箱、同図(B)は内箱、同図(C)は陳列枠、同図(D)は商品ケースをそれぞれ示している。
【図2】実施の形態に係る商品収納陳列キットの流通の際の状態の作成状況を示す説明図である。
【図3】実施の形態に係る商品収納陳列キットの流通の際の状態の概略斜視図である。
【図4】同図(A)及び(B)は実施の形態に係る商品収納陳列キットの曲げ込み部による係止部作成動作、同図(C)は係止部が形成された状態を示す説明図である。
【図5】実施の形態に係る商品収納陳列キットの商品陳列用の形態作成状況を示す説明図である。
【図6】実施の形態に係る商品収納陳列キットの商品陳列状態を示す説明図である。
【符号の説明】
【0029】
12 外箱
12a 側壁部
12b 底部
14 曲げ込み部
16 内箱
16a 側壁部
16b 蓋部
18 曲げ込み部
20 陳列枠
20b 全周立設部
20c 角部立設部
22 商品ケース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
底部と、該底部上に商品を設置するために該底部周囲から所定高さ立ち上がる側壁部と、を有する陳列枠と、
側壁部及び該側壁部の一方側を閉塞する閉塞部を有し、他方側は開放端とされ、商品の設置された前記陳列枠を収納被覆可能なサイズを有し、前記側壁部のほぼ等しい高さ位置の複数箇所に、内側へ曲げ込まれて係止部を形成する曲げ込み部を有する内箱と、
側壁部及び一方側を閉塞した底部とを有し、前記陳列枠を被覆した内箱を収納可能なサイズを有し、前記側面部のほぼ等しい高さ位置の複数箇所に、内側へ曲げ込まれて係止部を形成する曲げ込み部を有する外箱と、を備え、
商品流通過程では、前記商品を設置した前記陳列枠を内箱で収納被覆し、該内箱を前記外箱に装填した状態とし、
商品陳列時には、前記外箱に形成された前記係止部に内箱を上方から係止させ、更に前記内箱に形成された前記係止部に商品の設置された前記陳列枠を上方から係止させることを特徴とする商品収納陳列キット。
【請求項2】
前記内箱及び外箱は、
略直方体形状の箱体として形成され、前記曲げ込み部は4隅の角部に形成され、
前記陳列枠の底部の形状は、内箱の略長方形の底部に収まる略長方形とされたことを特徴とする請求項1に記載の商品収納陳列キット。
【請求項3】
前記陳列枠の側壁部は、前記底部全周から途中高さ位置まで立ち上がる全周立設部と、前記底部の四隅の角部のみに更に上方に立ち上がる角部立設部と、を含むことを特徴とする請求項1又は2の何れかに記載の商品収納陳列キット。
【請求項4】
前記内箱及び外箱のそれぞれに設けられる曲げ込み部は高さ位置の異なる箇所に使用選択可能に複数形成されたことを特徴とする請求項1から3の何れかに記載の商品収納陳列キット。
【請求項5】
前記商品陳列時における係止設置状態では、
前記陳列枠の底部の高さ位置が60cmから90cmになるように前記各係止部の高さ位置が設定されたことを特徴とする請求項1から4の何れかに記載の商品収納陳列キット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−247244(P2006−247244A)
【公開日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−70868(P2005−70868)
【出願日】平成17年3月14日(2005.3.14)
【出願人】(301069801)株式会社ホクセツコーポレーション (1)
【Fターム(参考)】