四肢関節部装着装置
【課題】 2自由度の回転が可能で、外径寸法が小さいコンパクトな構成であり、四肢関節部回りに容易に装着できる四肢関節部装着装置を提供する。
【解決手段】 四肢関節部装着装置1は、入出力側にそれぞれ配されたリンクハブ2,3と、二組のリンク機構4A,4Bとを有する。リンク機構4A,4Bは、四つの回転対偶からなる三節連鎖のリンク機構であり、リンクハブ2,3に対して回転可能に端部リンク5,6を連結し、入力側および出力側の端部リンク5,6を中央リンク7に対して回転可能に連結してなる。入力側および出力側のリンクハブ2,3は、貫通した中空部20を有する。入力側および出力側のリンクハブ2,3間に四肢関節部が位置し、かつ各リンクハブ2,3の中空部20内に四肢関節部に続く部位がそれぞれ挿通された状態で四肢関節部回りに装着される。
【解決手段】 四肢関節部装着装置1は、入出力側にそれぞれ配されたリンクハブ2,3と、二組のリンク機構4A,4Bとを有する。リンク機構4A,4Bは、四つの回転対偶からなる三節連鎖のリンク機構であり、リンクハブ2,3に対して回転可能に端部リンク5,6を連結し、入力側および出力側の端部リンク5,6を中央リンク7に対して回転可能に連結してなる。入力側および出力側のリンクハブ2,3は、貫通した中空部20を有する。入力側および出力側のリンクハブ2,3間に四肢関節部が位置し、かつ各リンクハブ2,3の中空部20内に四肢関節部に続く部位がそれぞれ挿通された状態で四肢関節部回りに装着される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、人の四肢関節部回りに装着され、この四肢関節部の角度位置決めや角度可変運動を行う四肢関節部装着装置に関する。
【背景技術】
【0002】
四肢の骨折等に伴う患部周囲の角度矯正、機能回復等のために関節部の曲げ伸ばしを行う他動運動、歩行等の動作の補助等を目的として、人の四肢関節部回りに装着して使用される四肢関節部装着装置(CPM装置等)がある。例えば特許文献1に記載のものは、医療分野で使用されるCPM装置を制御する装置であって、CPM装置の1自由度の動きを制御する。この特許文献に記載されている従来技術のCPM装置は、すべて関節部の曲げ角度方向が1自由度である。特許文献2は、脚の側面に装着され、脚の運動を補助する装着式補助装置であって、脚の屈伸動作のみを補助する。
【0003】
また、医療分野や産業機械等に用いられるリンク作動装置として、入力側および出力側のリンクハブを三組の、四つの回転対偶からなる三節連鎖のリンク機構で連結し、入力側のリンクハブに対して出力側のリンクハブを姿勢変更可能とした構成が提案されている(例えば特許文献3)。リンク機構の数を三組とする理由は、リンク機構をリンクだけで構成する場合、入力側のリンクハブに対する出力側のリンクハブの姿勢を規定するために必要な最低限のリンク機構の数が三組であるからである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3638048号公報
【特許文献2】特許第4178185号公報
【特許文献3】特許第4476603号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のように、従来のCPM装置は、関節部の曲げ角度方向が1自由度であった。しかし、人の四肢関節は、曲げ角度方向が1自由度ではなく、複雑な動きが可能である。例えば、膝関節は、前後方向の曲げ伸ばしの他に、下肢の長さ方向に対して捻り運動を行うこともできる。また、肩関節は、ほぼ360°の旋回運動を行うことができる。つまり、人の四肢関節は2自由度またはそれ以上の自由度の動きをする。
【0006】
したがって、CPM装置が1自由度の角度の動きしかできないと、もう1自由度方向の角度調整ができず、角度矯正が困難である。また、リハビリにおいても、CPM装置の運動が1自由度であると、使う筋肉や関節内可動部が限定される。そのため、CPM装置の向きを変えて装着し直して、動作補助を繰り返して行わなければならない。CPM装置では十分な対応ができない場合、理学療法士によるリハビリに頼ることになる。その場合、時間的な制約があると共に、治療費が高額となる。歩行等の動作補助では、動作方向が限定されるため、自由に思うような動きができない。以上の理由から、2自由度の回転が可能なCPM装置の実現が待望されている。
【0007】
従来のリンク作動装置は、リンク機構の数が三組であり、例えば図18に示すように、各リンク機構104(104A,104B,104C)がほぼ120°の間隔で配置されることとなる。この場合、各リンク機構104の相互間距離が狭く、一つのリンク機構104Aにおけるリンクハブ103(102)と端部リンク106(105)の回転対偶部112(111)と、他のリンク機構104Bにおける端部リンク106(105)と中央リンク107の回転対偶部114(113)とが接近した状態となる。そこで、両回転対偶部112(111),114(113)が互いに干渉するのを避けるために、回転対偶部114(113)を外径側に逃がした形状としている。その結果、リンク作動装置101全体の外径が大きい。
【0008】
このリンク作動装置101をCPM装置として使用する場合、リンクハブ102,103を中空形状とし、一対のリンクハブ102,103間に四肢関節部を入れ、中空部120に四肢関節部に続く部位を挿通した状態で四肢関節部回りに装着される。中空部120に四肢関節部に続く部位を挿通するためには、中空部120を広くする必要があり、さらに外径が大きくなる。リンク作動装置101全体の外径が大きいと、上記装着状態において、リンク作動装置101の一部が、四肢関節部以外の部位や周囲の物体に当る可能性があり、危険である。また、中空部120に四肢関節部に続く部位を入れ易くするには、中空部120を装置の外部に対して開放した形状とすればよいが(図示せず)、三組のリンク装置104が周方向に並んで配置されているため、開放部を十分に広くすることができない。
【0009】
この発明の目的は、2自由度の回転が可能で、外径寸法が小さいコンパクトな構成であり、四肢関節部回りに容易に装着できる四肢関節装着装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明の四肢関節装着装置は、入出力側にそれぞれ配されたリンクハブに対して回転可能に端部リンクを連結し、入力側および出力側の端部リンクを中央リンクに対して回転可能に連結することにより、前記入力側の端部リンク、中央リンク、および出力側の端部リンクで構成される、四つの回転対偶からなる三節連鎖のリンク機構を有する。この発明の四肢関節部装着装置は、上記構成において、前記四つの回転対偶からなる三節連鎖のリンク機構を二組有し、前記入力側および出力側のリンクハブは、入力側と出力側のリンクハブが平行である状態での、それぞれのリンクハブ内における二つの端部リンクとの回転対偶軸の交点であるリンクハブ中心を結ぶ方向に貫通した中空部を有し、前記入力側および出力側のリンクハブ間に四肢関節部が位置し、かつ各リンクハブの前記中空部内に前記四肢関節部に続く部位がそれぞれ挿通された状態で前記四肢関節部回りに装着されることを特徴とする。
なお、「入力側と出力側のリンクハブが平行である状態」とは、これらのリンクハブの形状、またはこれらのリンクハブの2つの端部リンクとの回転対偶部の位置やその回転対偶軸によって、2つのリンクハブにつき共通の定め方で任意に定められた基準となる面の方向が平行であることを言う。例えば、両リンクハブが平坦な形状である場合、その厚さ方向に垂直な面を基準面とし、その基準面が互いに平行であっても良い。また、各リンクハブの2つの端部リンクとの回転対偶軸が共通の任意の角度をなす平面を基準面とし、その基準面が互いに平行であっても良い。
【0011】
この構成によると、入力側および出力側のリンクハブを四つの回転対偶からなる三節連鎖のリンク機構で互いに連結することにより、入力側のリンクハブに対して出力側のリンクハブが2自由度の回転が可能である。この2自由度機構は、入力側のリンクハブに対する出力側のリンクハブの可動範囲を広くとれる。例えば、入力側のリンクハブの中心軸と出力側のリンクハブの中心軸の最大折れ角を90°以上とすることが可能であり、入力側のリンクハブに対する出力側のリンクハブの旋回角を0°〜360°の範囲に設定できる。上記中心軸は、入力側と出力側のリンクハブが平行である状態での、それぞれのリンクハブの前記リンクハブ中心を結ぶ軸を指す。
【0012】
四肢関節部装着装置が限定された2自由度の回転を行うためには、二組のリンク機構は、入力側および出力側のいずれについても、それぞれの前記リンクハブと前記端部リンクの各回転対偶軸が同一平面上にあって、かつ互いに交差する位置関係であるのが望ましい。ただし、下記のように四肢関節部回りに装着された状態では、四肢によりリンク機構の動きに制限が与えられるため、四肢関節部装着装置はほぼ限定された2自由度の回転を行う。よって、上記位置関係でなくても良い。
【0013】
この四肢関節部装着装置は、入力側および出力側のリンクハブ間の空間に患部である人の四肢関節部が位置し、かつ各リンクハブの前記中空部内に四肢関節部に続く部位がそれぞれ挿通された状態で四肢関節部回りに装着される。この装着状態において、二組のリンク機構の各回転対偶の回転角をそれぞれ調整することで、四肢関節部の角度を調整できる。また、リンク機構の各回転対偶の回転を固定すれば、上記角度を固定することが可能となる。このように、四肢関節部の角度を調整や固定することにより、患者の肉体的特徴や患部の状況に応じて異なる角度差に対して容易に対応できる。入力側および出力側のリンクハブが、四肢関節部の両側で荷重を受けるため、四肢関節部にかかる負荷を軽減できる。
【0014】
この四肢関節部装着装置の構成は、リンク機構の数が二組と少ないため、各リンク機構同士の干渉を回避し易く、設計の自由度が高い。それにより、四肢関節部装着装置全体の外径が小さいコンパクトな構成とすることが可能である。リンクハブの前記中空部を広くしても、四肢関節部装着装置全体の外径があまり大きくならないため、リンクハブの前記中空部を広くして、四肢関節部回りへ装着の容易化を図ることができる。また、リンク機構の数が少ないため、低コスト化を実現できる。
【0015】
この発明において、前記入力側の端部リンクと前記出力側の端部リンクを、前記中央リンクに対する回転方向が互いに逆で、かつ回転変位角度が同じとなるように連動させる連動手段を設けると良い。
この構造において、リンクハブとそれに連結される端部リンクの入力側と出力側それぞれは、球面リンク機構を構成しており、それぞれの球面リンク機構は、入力側と出力側の端部リンクが中央リンクを介して連結されている。ここで各リンク機構の二つの中央リンクは、それぞれの球面リンク機構が重なる円の円周上の並進運動に限定された1自由度となる。入力側および出力側の球面リンク機構は、節の曲率半径を無限大とすれば平面上の四節リンク機構であり、入力側、出力側のそれぞれが独立して1自由度を有している。入力側と出力側の端部リンク間に連動手段が無い場合は、二つの中央リンクの1自由度と入力側と出力側の球面リンク機構の各1自由度とで3自由度となる。ここで、このリンク作動装置では、入力側と出力側の端部リンク間に連動手段を設けたため、それぞれの球面リンク機構は連動し、両球面リンク機構で1自由度となる。以上のように、このリンク作動装置は、中央リンクの1自由度と前記球面リンク機構の1自由度を合わせた2自由度の機構となる。なお、中央リンクの位置変位は、入力側と出力側のリンクハブ間においては角度変化となり、以上から入力側と出力側のリンクハブ間は、2方向の角度変化が可能な構造となる。
2自由度の機構であると、二組のリンク機構のうちの少なくとも一組のリンク機構における1箇所の回転対偶の回転角を決めるだけで、入力側のリンクハブに対する出力側のハブリンクの姿勢を決めることができる。このため、出力側のハブリンクの姿勢変更や固定を容易に行える。
また、連動手段が、入力側の端部リンクと出力側の端部リンクを、中央リンクに対する回転方向が互いに逆で、かつ回転変位角度が同じとなるように連動させる場合、入力側のリングハブに対して出力側のリンクハブの姿勢を変更するとき、常に、入力側および出力側のリンクハブの各中心の中間点に位置し前記各中心を結ぶ直線に対して垂直な平面と、中央リンクと端部リンクの二つの回転対偶の並び方向に対して垂直な横断面とが一致する。これにより、入力側と出力側の前記横断面に対して対称に動くことで、入力側の変位に対して出力側も同じ変位となり、変動した変位とならないため、操作性が良い。
【0016】
この発明において、前記入力側および出力側のリンクハブを、前記中空部の外周に沿って周方向に並ぶ二つのリンクハブ分割体に分割し、これら二つのリンクハブ分割体のそれぞれに、前記二組のリンク機構のうちの一組ずつの端部リンクが回転可能に連結し、二つのリンクハブ分割体を結合部により互いに結合可能とするのが良い。
リンクハブを二つのリンクハブ分割体に分割したことにより、リンクハブの前記中空部内に四肢関節部に続く部位を簡単に入れることができる。二つのリンクハブ分割体は結合部により互いに結合可能であるため、リンクハブの前記中空部内に四肢関節部に続く部位を入れた状態の四肢関節部装着装置を、四肢関節部回りに安全かつ容易に装着することができる。
【0017】
前記二つのリンクハブ分割体を互いに結合する周方向に2箇所の結合部のうち1箇所の結合部を、二つのリンクハブ分割体を互いに回動自在に結合するヒンジ構造とするのが良い。
この場合、ヒンジ構造である結合部を支点として、二つのリンクハブ分割体を互いに回動させて、中空部を開閉させられる。そのため、四肢関節部に続く部位を、中空部内へさらに容易に出し入れすることができる。
【0018】
この発明において、前記リンク機構における四つの回転対偶のうち少なくとも一つの回転対偶に、この回転対偶の相対的な回転角変位を限定するリミッターを設けても良い。
リミッターにより、回転対偶の相対的な回転角変位を限定することで、入力側のリンクハブに対する出力側のリンクハブの可動範囲が限定される。それに伴い、この四肢関節部装着装置が装着されている四肢関節部の可動範囲も限定される。リミッターの設定を変えることで、患部である四肢関節部の状況に応じた可動範囲の調整が容易に行える。
【0019】
この発明において、前記リンク機構における四つの回転対偶のうち少なくとも一つの回転対偶に、この回転対偶の相対的な回転角変位を弾性的に限定するダンパを設けても良い。
四肢に衝撃力が加えられたとき、リンクハブと接触する四肢に急激に荷重が加わる。ダンパが設けられていると、上記荷重が緩和され、四肢への負担を軽減することができる。
【0020】
この発明において、前記二組のリンク機構のそれぞれに、四つの回転対偶のうち少なくとも一つの回転対偶の相対的な回転角変位を変更可能とするアクチュエータを設け、かつ前記四肢関節部を可動範囲内で動作させるように前記アクチュエータを制御する制御装置を設けるのが良い。
この場合、制御手段の制御でアクチュエータを駆動して、入力側のリンクハブに対する出力側のリンクハブの姿勢を強制的に変更することにより、四肢関節部を可動範囲内で動作させるリハビリ運動を行える。入力側のリンクハブに対する出力側のリンクハブの姿勢は2自由度で変更可能であるので、患部関節部前後のリンクハブの取付け角度について、患者の関節部状況に応じて容易に初期位置を決めることができる。また、単純な四肢関節部の曲げ伸ばしだけでなく、患者の四肢関節部の状況に合わせて、ひねり運動も加えることができる。そのため、四肢関節部回りの多くの筋肉を有効に動かすことができ、効果的なリハビリ運動となる。その結果、回復期間を短縮できる。また、理学療法士の負担を軽減できる。
【0021】
この発明において、前記二組のリンク機構のそれぞれに、四つの回転対偶のうち少なくとも一つの回転対偶の相対的な回転角変位を変更可能とするアクチュエータを設け、かつ前記四肢関節部の可動範囲内の動作を補助するように前記アクチュエータを制御する制御装置を設けても良い。
この場合、制御手段の制御でアクチュエータを駆動して、入力側のリンクハブに対する出力側のリンクハブの可動範囲と可動速度とを調整することにより、四肢関節部の曲げ伸ばし等を補助することができる。入力側のリンクハブに対する出力側のリンクハブの姿勢は2自由度で変更可能であるので、単純な四肢関節部の曲げ伸ばしの補助だけでなく、捻り運動や旋回運動にも対応できる。
【発明の効果】
【0022】
この発明の四肢関節部装着装置は、入出力側にそれぞれ配されたリンクハブに対して回転可能に端部リンクを連結し、入力側および出力側の端部リンクを中央リンクに対して回転可能に連結することにより、前記入力側の端部リンク、中央リンク、および出力側の端部リンクで構成される、四つの回転対偶からなる三節連鎖のリンク機構を有する装置であって、前記四つの回転対偶からなる三節連鎖のリンク機構を二組有し、前記入力側および出力側のリンクハブは、入力側と出力側のリンクハブが平行である状態での、それぞれのリンクハブ内における二つの端部リンクとの回転対偶軸の交点であるリンクハブ中心を結ぶ方向に貫通した中空部を有し、前記入力側および出力側のリンクハブ間に四肢関節部が位置し、かつ各リンクハブの前記中空部内に前記四肢関節部に続く部位がそれぞれ挿通された状態で前記四肢関節部回りに装着されるため、2自由度の回転が可能で、外径寸法が小さいコンパクトな構成であり、四肢関節部回りに容易に装着できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】この発明の一実施形態にかかる四肢関節部装着装置の斜視図である。
【図2】図1のA矢視図である。
【図3】同四肢関節部装着装置を展開した状態の一部破断展開図である。
【図4】同四肢関節部装着装置のリンク機構を直線で表現した図である。
【図5】同四肢関節部装着装置に付与するトルクの大きさの変化を示すグラフである。
【図6】(A)は同リンク作動装置の一状態を示す正面図、(B)は底面図、(C)は斜視図である。
【図7】(A)は同リンク作動装置の異なる状態を示す正面図、(B)は底面図、(C)は斜視図である。
【図8】(A)は同リンク作動装置のさらに異なる状態を示す正面図、(B)は底面図、(C)は斜視図である。
【図9】(A)は同リンク作動装置のさらに異なる状態を示す正面図、(B)は底面図、(C)は斜視図である。
【図10】連動手段の異なる構成を示す図である。
【図11】同四肢関節部装着装置の使用状態の一例を示す図である。
【図12】同四肢関節部装着装置の異なる使用状態を示す図である。
【図13】同四肢関節部装着装置のさらに異なる使用状態を示す図である。
【図14】この発明の異なる実施形態にかかる四肢関節部装着装置の正面図である。
【図15】この発明のさらに異なる実施形態にかかる四肢関節部装着装置の正面図である。
【図16】リミッターの一例を示す図である。
【図17】(A)は構成が異なるリンクハブの一状態を示す図、(B)は同リンクハブの異なる状態を示す図である。
【図18】従来の四肢関節部装着装置の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
この発明の一実施形態を図1〜図9と共に説明する。
図1および図2はこの発明の一実施形態にかかる四肢関節部装着装置をそれぞれ異なる角度から見た斜視図、図3は同四肢関節部装着装置を展開した状態の一部破断展開図である。図1ないし図3に示すように、この四肢関節部装着装置1は、入力側および出力側のリンクハブ2,3を有し、これらリンクハブ2,3を二組のリンク機構4A,4Bで連結したものである。リンク機構4A,4Bは、四つの回転対偶からなる三節連鎖のリンク機構であり、入力側のリンクハブ2に一端が回転自在に連結された入力側の端部リンク5と、出力側のリンクハブ3に一端が回転自在に連結された出力側の端部リンク6と、これら端部リンク5,6の他端に両端がそれぞれ回転自在に連結された中央リンク7とで構成される。
【0025】
上記二組のリンク機構4A,4Bは、幾何学的に同じ形状である。幾何学的に同じ形状とは、図4のようにリンク機構を直線で表現した幾何学モデル、すなわち各回転対偶と、これら回転対偶間を結ぶ直線とで表現したモデルが互いに同じ形状であることを言う。また、それぞれのリンク機構4A,4Bは、直線で表現した幾何学モデルが、中央リンク7の中央部に対する入力側部分と出力側部分とが互いに鏡像対称を成す形状である。言い換えると、中央リンク7と端部リンク5,6の二つの回転対偶の並び方向に対して垂直な横断面F1を対称面として、前記入力側部分と出力側部分とが互いに鏡像対称である。上記横断面F1は、中央リンク7と2つの端部リンク5,6の回転対偶軸O3,O4の成す角度を2等分する平面であるとも言える。なお、この明細書で「回転対偶軸」とは、回転対偶の回転中心軸を言う。
【0026】
各リンク機構4A,4Bの入力側および出力側の端部リンク5,6は、共に球面リンク構造である。球面リンク構造とは、図3に示すように、リンクハブ2(3)と端部リンク5(6)の回転対偶軸O1A,O1B(O2A,O2B)、および端部リンク5(6)と中央リンク7の回転対偶軸O3(O4)が、すべて球面リンク中心P1(P2)を通る構造を言う。
【0027】
二組のリンク機構4A,4Bは、それぞれの回転対偶軸O1A,O1B(O2A,O2B)が互いに交差する位置関係にある。つまり、回転対偶軸O1A,O1B(O2A,O2B)の軸間角度が180°でない。そして、回転対偶軸O1A,O1B(O2A,O2B)の軸間角度が180°よりも大きい側に、各リンク機構4A,4Bの中央リンク7が位置している。図示例では、小さい方の軸間角度αが120°とされている。
なお、図3の状態では、二組のリンク機構4A,4Bが、入力側および出力側の球面リンク中心P1,P2を通り、リンクハブ2(3)と端部リンク5(6)の回転対偶軸O1A,O1B(O2A,O2B)の軸間角度を二等分する縦断面F4に対して互いに鏡像対称となる位置に配置されている。
【0028】
端部リンク5,6と中央リンク7の各回転対偶軸O3,O4は、ある交差角をもっていても良いし、平行であっても良い。図示例では、回転対偶軸O3,O4の軸間角度γは90°とされている。また、入力側および出力側のリンクハブ2,3が同一平面上に位置する図3の状態において、回転対偶軸O1A,O1B(O2A,O2B)と回転対偶軸O3(O4)の軸間角度βは、75°とされている。
【0029】
図1ないし図3において、上記各リンク機構4A,4Bの入力側の端部リンク5と出力側の端部リンク6とは、連動手段9により、互いに連動して回転変位するようになっている。この実施形態の場合、連動手段9は、入力側の端部リンク5および出力側の端部リンク6に対してそれぞれ回転自在な一対のかさ歯車10,11を互いに噛み合わせた構成である。一対のかさ歯車10,11は同諸元のものであり、入力側の端部リンク5と出力側の端部リンク6が、互いの回転方向が反対で、かつ回転変位角度が同じになるように連動する。このように、連動手段9が複数のかさ歯車10,11等の歯車の噛み合いによるものであると、入力側の端部リンク5および出力側の端部リンク6の回転変位に滑り等による誤差が生じないため、精度良く連動させることができる。
【0030】
連動手段9は、同諸元の一対のかさ歯車10,11の噛み合いによるものに限らない。かさ歯車の代わりリンク機構、カム、ベルト等を用いてもよい。なお、前記軸間角度γ(図3)が0°のときには、平歯車を用いる。また、一対の歯車の歯数を互いに異ならせても良い。その場合、入力側の端部リンク5と出力側の端部リンク6の回転変位角度が異なる。
【0031】
図10は、さらに異なる連動手段を示す。この連動手段9は、入力側および出力側の端部リンク5,6に補助アーム25,26をそれぞれ一体に設け、これら補助アーム25,26同士を球対偶27および直進対偶28を介して互いに連結している。球対偶27は、一対の対偶構成部材27a,27bが互いに球面に沿って相対移動する対偶である。直進対偶28は、一対の対偶構成部材28a,28bが互いに直線方向に相対移動する対偶である。この連動手段9によっても、入力側の端部リンク5の位置に対応して出力側の端部リンク6の位置が決まる。ただし、入力側の端部リンク5と出力側の端部リンク6とが、中央リンク7の中央部に対して対称には動かない。
【0032】
図3において、リンクハブ2(3)は、球面リンク中心P1(P2)を中心として、回転対偶軸O1A,O1B(O2A,O2B)が位置する平面F2(F3)(図2)に沿って拡がる円弧状であり、その両端に軸受内包部13がそれぞれ設けられている。軸受内包部13は内部に二つの転がり軸受14を有し、これら転がり軸受14により、端部リンク5,6の基端に一体に設けた回転軸15を回転自在に支持する。回転軸15の軸心は、回転対偶軸O1A,O1B(O2A,O2B)と一致する。二つの転がり軸受14は間隔を開けて配置されており、その間隔部に端部リンク5,6の基端が位置している。軸受内包部13には、端部リンク5,6の基部が回転可能に嵌る溝13aが形成されている。この溝13aにより端部リンク5,6の回転範囲を規制することで、先に説明したように、各リンク機構4A,4Bの中央リンク7が常に回転対偶軸O1A,O1B(O2A,O2B)の軸間角度が180°よりも大きい側に位置する。
【0033】
転がり軸受14は、外輪14aが軸受内包部13の内周に圧入等により嵌合し、内輪14bが回転軸14の外周に圧入等により嵌合している。転がり軸受14は、例えば深溝玉軸受、アンギュラ玉軸受等の玉軸受である。転がり軸受14としては、図示例のように玉軸受を複列で配列する以外に、ローラ軸受を用いても良い。また、転がり軸受14の代わりに滑り軸受を用いてもよい。
【0034】
また、中央リンク7の両端部には転がり軸受17が設けられ、この転がり軸受17により、端部リンク5,6の先端に一体に設けた回転軸18を回転自在に支持する。回転軸18の軸心は、回転対偶軸O3,O4と一致する。転がり軸受17は、外輪17aが中央リンク7の端部に圧入等により嵌合し、内輪17bが回転軸18の外周に圧入等により嵌合している。転がり軸受17は、例えば深溝玉軸受、アンギュラ玉軸受等の玉軸受である。転がり軸受17としては、図示例のように玉軸受を複列で配列する以外に、ローラ軸受を用いても良い。また、転がり軸受17の代わりに滑り軸受を用いてもよい。
【0035】
リンクハブ2,3は先に説明したような円弧状であり、それぞれその内部に、前記平面F2,F3に対して垂直な方向すなわち中心軸C1,C2(図1、図3)の方向に貫通した中空部20を有する。中心軸C1(C2)の方向は、入力側と出力側のリンクハブ2,3が平行である状態での、それぞれのリンクハブ2(3)内における二つの端部リンク5(6)との回転対偶軸O1A,O1B(O2A,O2B)の交点であるリンクハブ中心P1(P2)を結ぶ方向である。
中空部20の前記平面F2,F3と平行な断面の広さは、患部となる四肢関節部に続く部位が挿通可能な広さとされている。この中空部20は、一対の軸受内包部13間に形成された開口部21を介してリンクハブ2,3の外部と連通している。開口部21の幅Wは、前記四肢関節部に続く部位が通れる程度とする。開口部21は、入力側および出力側のリンクハブ2,3のいずれについても、各回転対偶軸O1A,O1B,O2A,O2Bに対して同じ側に位置する。つまり、図1のように、入力側のリンクハブ2と出力側のリンクハブ3が互いに平行になる姿勢において、両リンクハブ2,3の開口部21が、共に同じ側を向く。
【0036】
図1に示すように、開口部21を挟んで位置するリンクハブ2,3の両端には、互いに結合可能な装着ベルト23,24がそれぞれ取付けられている。この一対の装着ベルト23,24は、面ファスナ、例えばマジックテープ(登録商標)で結合されるが、他の方式で結合してもよい。装着ベルト23,24は可撓性の材料で製作されているのが望ましい。
【0037】
この実施形態のように、二組のリンク機構4A,4Bにおいて、端部リンク5,6の角度、長さ、および端部リンク5,6の幾何学的形状が入力側と出力側で等しく、また、中央リンク7についても入力側と出力側で形状が等しいとき、中央リンク7の対称面に対して中央リンク7と、入力側および出力側のリンクハブ2,3と連結される端部リンク5,6との角度位置関係を入力側と出力側で同じにすれば、幾何学的対称性から入力側のリンクハブ2および入力側の端部リンク5と、出力側のリンクハブ3および出力側の端部リンク6とは同じに動く。
【0038】
この四肢関節部装着装置1の具体的な動作を説明する。図5は、アクチュエータ等により入力側のリンクハブ2と入力側の端部リンク5の回転対偶の相対角度を変更するときの、リンク機構4A,4Bに作用するトルクの変化を、図6の状態におけるトルクで無次元化した図である。図6ないし図9は、四肢関節部装着装置1を簡略化したモデルで表現した正面図、底面図、および斜視図であって、それぞれ図5におけるA,B,C,D各時点における姿勢を示している。このモデルでは、入力側のリンクハブ2の回転対偶軸O1A,O1B(図3)を含む平面F2(図2)を鉛直状態にし、かつ開口部21を重力G方向に配置した場合を示している。なお、図6ないし図9には、入力側および出力側の球面リンク中心P1,P2を球体で示してあり、リンクハブ3の中心P2に錘を配置している。錘は装置重量に比べて十分重く設定している。
【0039】
図6は、入力側のリンクハブ2に対して出力側のリンクハブ3が平行である状態を示している。このとき、重力Gに抗して出力側のリンクハブ3およびリンク機構4A,4Bの各リンク5,6,7の姿勢を維持するために、アクチュエータ等(図示せず)によりリンク機構4A,4Bにそれぞれ同じ値の所定値のトルクが作用している。図6の状態から、リンク機構4A,4Bに作用する各トルクを前記所定値よりも小さくすると、図7のように、出力側のリンクハブ3が、リンク機構4A,4Bの各中央リンク7が互いに干渉するまで下方に回動する。また、図6の状態から、リンク機構4Aの入力側のリンクハブ2と入力側の端部リンク5との角度を固定し、リンク機構4Bに作用するトルクを小さくすると、図8のように、リンク機構4Aが全体的に縮み、かつリンク機構4Bが全体的に伸びて、出力側のリンクハブ3が前方(同図(A)における手前側)に傾いた姿勢となる。さらに、リンク機構4Aに作用するトルクおよびリンク機構4Bに作用するトルクを前記所定値に対してそれぞれ別個に変化させると、図9のように、入力側のリンクハブ2に対して出力側のリンクハブ3が捩れた姿勢となる。全状態において、入力側のリンクハブ2に対する出力側のリンクハブ3の姿勢が変化しても、入力側と出力側の球面リンク中心P1,P2間の距離は変化しない。
【0040】
図6ないし図9に示すように、この2自由度の四肢関節部装着装置1は、入力側のリンクハブ2に対する出力側のリンクハブ3の可動範囲を広くとれる。例えば、入力側のリンクハブ2の中心軸C1と出力側のリンクハブ3の中心軸C2の折れ角θ(図7(B))の最大値(最大折れ角)を90°以上とすることができる。また、入力側のリンクハブ2に対する出力側のリンクハブ3の旋回角φ(図9(A))を0°〜360°の範囲で設定できる。折れ角θは、入力側のリンクハブ2の中心軸C1に対する出力側のリンクハブ3の中心軸C2の傾斜角度のことであり、旋回角φは、入力側のリンクハブ2の中心軸C1に対して出力側のリンクハブ3が傾斜した水平角度のことである。
【0041】
この四肢関節装着装置1は、人の四肢関節部のリハビリ、運動補助等の目的で、四肢関節部回りに装着して使用される。例えば、図11は、膝関節40回りに装着した状態を示す。この場合、入力側および出力側のリンクハブ2,3間に膝関節40が位置し、かつリンクハブ2,3の各中空部20に膝関節40に続く部位、すなわち上腿部41および下腿部42が挿通する状態で、各リンクハブ2,3の一対の装着ベルト23,24を互いに結合する。
【0042】
四肢関節装着装置1を装着した状態において、二組のリンク機構4A,4Bの各回転対偶の回転角をそれぞれ調整することで、膝関節40の曲げ角度および捻り角度を調整できる。また、リンク機構4A,4Bの各回転対偶の回転角を固定すれば、上記曲げ角度および捻り角度を固定することが可能となる。このように、膝関節40の各角度を調整や固定することにより、患者の肉体的特徴や患部の状況に応じて異なる角度差に対して容易に対応できる。入力側および出力側のリンクハブ2,3が、患部である膝関節40の両側で荷重を受けるため、膝関節40にかかる負荷を軽減できる。
【0043】
図12は、四肢関節装着装置1を足首関節43回りに装着した状態を示す。この場合、入力側および出力側のリンクハブ2,3間に足首関節43を位置させ、かつリンクハブ2の中空部20に下腿部42を挿通する。踵44は、リンクハブ3の中空部20に嵌め込んだ状態とする。そして、リンクハブ2の一対の装着ベルト23,24を結合することで、足首関節43回りに四肢関節装着装置1を装着する。膝関節40の場合と同様に、リンク機構4A,4Bの各回転対偶の回転角の調整や回転を固定することで、足首関節43の曲げ角度および捻り角度の調整や固定を行うことができる。
【0044】
図13は、四肢関節装着装置1を肩関節45回りに装着した状態を示す。この場合、入力側および出力側のリンクハブ2,3間に肩関節45が位置し、かつリンクハブ2の中空部20に肩46を嵌め込み、リンクハブ3の中空部20に上腕部47を挿通させる。そして、リンクハブ3の一対の装着ベルト23,24を結合することで、肩関節45回りに四肢関節装着装置1を装着する。リンク機構4A,4Bの各回転対偶の回転角の調整や回転を固定することで、肩関節45の旋回角度の調整や固定を行うことができる。
【0045】
この四肢関節部装着装置1は、連動手段9により、入力側の端部リンク5と出力側の端部リンク6を、中央リンク7に対する回転方向が互いに逆で、かつ回転変位角度が同じとなるように連動させる。それにより、入力側のリングハブ2に対して出力側のリンクハブ3の姿勢を変更するとき、常に、入力側と出力側の球面リンク中心P1,P2の中間点に位置し球面リンク中心P1,P2を結ぶ直線に対して垂直な平面F5が、中央リンク7と端部リンク5,6の二つの回転対偶の並び方向に対して垂直な横断面F1と一致する。図示例では、二組のリンク機構4A,4Bの両方に連動手段9が設けられているため、リンク作動装置1の剛性が高く、出力側のリンクハブ3を正確に位置決めすることができる。
【0046】
各リンク機構4A,4Bにおける4つの回転対偶、つまり、入力側のリンクハブ2と入力側の端部リンク5との連結部分、出力側のリンクハブ3と出力側の端部リンク6との連結部分、および入力側および出力側の端部リンク5,6と中央リンク7との二つの連結部分を軸受構造とすることにより、その連結部分での摩擦抵抗を抑えて回転抵抗の軽減を図ることができ、滑らかな動力伝達を確保できると共に耐久性を向上できる。
【0047】
この四肢関節部装着装置1は、リンク機構4A,4Bの数が二組であって、従来の三組と比べて少ないため、各リンク機構4A,4B同士の干渉を回避し易く、設計の自由度が高い。それにより、四肢関節部装着装1全体の外径が小さいコンパクトな構成とすることが可能である。また、リンク機構4A,4Bの数が少ないため、低コスト化を実現できる。さらに、二組のリンク機構4A,4Bの形状が同じであるため、部品の種類を減らすことができ、このことからも低コスト化を実現できる。
【0048】
各リンク機構4A,4Bの中央リンク7は、二組のリンク機構4A,4Bのリンクハブ2,3と端部リンク5,6の各回転対偶軸O1A,O1B,O2A,O2Bが成す角度が180°よりも大きい側に位置している。そのため、構造的に、一方のリンク機構4A(4B)のリンクハブ2と端部リンク5,6の回転対偶部が、他方のリンク機構4B(4A)の端部リンク5,6と中央リンク7の回転対偶部に干渉しにくい。このことから、前記干渉を避けるために、端部リンク5,6と中央リンク7の回転対偶部を外径方向に張り出して設ける必要がなくなり、外径寸法が小さいコンパクトな構成にできる。
【0049】
入力側および出力側のリンクハブ2,3の中空部20に、リンクハブ2,3の外部と連通する開口部21が設けられているため、中空部20に四肢関節部に続く部位を入れ易い。
【0050】
図14は、四肢関節部装着装置の異なる実施形態を示す。この四肢関節部装着装置1は、各リンク機構4A,4Bのそれぞれに、入力側のリンクハブ2に対する入力側の端部リンク5の角度を任意に変更可能なアクチュエータ50A,50Bを設けた。アクチュエータ50A,50Bは、モータやロータリアクチュエータ等のアクチュエータであって、回転軸15を回転駆動することで、端部リンク5を回転させる。アクチュエータ50A,50Bの設置箇所は上記に限らず、リンク機構4A,4Bの四つの回転対偶のうち少なくとも一つの回転対偶の相対的な回転角変位を変更可能であればよい。各アクチュエータ50A,50Bは、制御装置51によって制御される。二組のリンク機構4A,4Bが幾何学的に同じ形状であるため、制御が容易である。なお、図示例では、片方のリンク機構4Bにだけ、連動手段9が設けられている。
【0051】
前記制御装置51は、例えば、この四肢関節部装着装置1が装着される四肢関節部を可動範囲内で動作させるように、アクチュエータ50A,50Bを制御する。アクチュエータ50A,50Bを駆動して、入力側のリンクハブ2に対する出力側のリンクハブ3の姿勢を強制的に変更することにより、四肢関節部を可動範囲内で動作させるリハビリ運動を行える。四肢関節部装着装置1は2自由度の回転が可能な機構であるので、例えば図11のように膝関節40回りに装着した場合、膝関節40の単純な曲げ伸ばしだけでなく、患者の状況に合わせて、ひねり運動も加えることができる。そのため、四肢関節部回りの多くの筋肉を有効に動かすことができ、効果的なリハビリ運動となる。その結果、回復期間を短縮できる。また、理学療法士の負担を軽減できる。
【0052】
また、制御装置51は、この四肢関節部装着装置1が装着される四肢関節部の可動範囲内の動作を補助するように、アクチュエータ50A,50Bを制御しても良い。この場合、アクチュエータ50A,50Bを駆動して、入力側のリンクハブ2に対する出力側のリンクハブ3の可動範囲と可動速度とを調整することにより、四肢関節部の動きを補助することができる。
【0053】
図15は、四肢関節部装着装置のさらに異なる実施形態を示す。この四肢関節部装着装置1は、各リンク機構4A,4Bのそれぞれに、入力側のリンクハブ2に対する入力側の端部リンク5の角度を任意に変更可能なアクチュエータ50A,50Bとは別に、出力側のリンクハブ3に対する出力側の端部リンク6の角度を任意に変更可能なアクチュエータ52A,52Bを設けた。アクチュエータ52A,52Bは、モータやロータリアクチュエータ等のアクチュエータであって、回転軸15を回転駆動することで、端部リンク6を回転させる。各アクチュエータ50A,50Bも、制御装置51によって制御される。このように、リンクハブ2,3と端部リンク5,6との連結部の計4箇所にアクチュエータ50A,50B,52A,52Bを設置すると、1箇所のアクチュエータにかかる負荷が減少するためアクチュエータが小型化でき、全体としてコンパクトとなる。4つのアクチュエータ50A,50B,52A,52Bによってすべての端部リンク5,6の角度が決められるので、連動手段9を設ける必要がない。
【0054】
図16は、リンクハブと端部リンクの連結部の異なる構成を示す。この連結部には、リンクハブ2(3)と端部リンク5(6)の回転対偶の相対的な回転角変位を限定するリミッター60が設けられている。リミッター60は、リンクハブ2(3)に設けられたストッパ61と、端部リンク5(6)に設けた一対のストッパ受け62A,62Bとで構成される。
【0055】
ストッパ61は、リンクハブ2(3)の端面から端部リンク5(6)側に突出した柱状の部材であって、端部リンク5(6)に形成された円弧状の長穴63に通されている。長穴63は、リンクハブ2(3)と端部リンク5(6)の回転対偶軸O1A,O1B(O2A,O2B)を中心とする円弧状である。
【0056】
ストッパ受け62A,62Bは、前記ストッパ61を挟んで周方向の両側にそれぞれ配置され、端部リンク5(6)に対して周方向位置を変更可能に取付けられている。詳しくは、端部リンク5(6)に前記長穴63に沿う複数のねじ孔64が設けられており、ストッパ受け62A,62Bのボルト挿通孔65に挿通したボルト66を前記複数のねじ孔64のいずれかに選択的にねじ込むことで、ストッパ受け62A,62Bが端部リンク5(6)に対して周方向位置を変更可能に取付けられる。ストッパ受け62A,62Bの回り止めのために、1つのストッパ受け62A,62Bに付き、2本のボルト66で端部リンク5(6)に取付けられる。図示例では、前記ボルト挿通孔65が2本のボルト66で共用の長穴とされているが、ボルト66ごとにボルト挿通孔65を設けても良い。
【0057】
ストッパ受け62A,62Bには、ストッパ61側を向く面に、ダンパ67が設けられている。このダンパ67は、ゴム等のばね要素部材からなり、リンクハブ2(3)と端部リンク5(6)の回転対偶の相対的な回転角変位を弾性的に限定する作用をする。
【0058】
図のようにストッパ61の両側にストッパ受け62A,62Bの各ダンパ67が接触した状態にあるとき、リンクハブ2(3)と端部リンク5(6)のなす角度をc°、ストッパ61とストッパ受け62Aのなす角度をa°、ストッパ61とストッパ受け62Bのなす角度をb°とした場合、リンクハブ2(3)に対する端部リンク5(6)の可変角範囲は、(c−a)°〜(c+b)°となる。
【0059】
リミッター60により、リンクハブ2(3)と端部リンク5(6)の回転対偶の相対的な回転角変位を限定することで、入力側のリンクハブ2に対する出力側のリンクハブ3の可動範囲が限定される。それに伴い、この四肢関節部装着装置1が装着されている四肢関節部の可動範囲も限定される。リミッター60の設定を変えることで、患部である四肢関節部の状況に応じた可動範囲の調整が容易に行える。また、四肢に衝撃力が加えられたとき、リンクハブ2(3)と接触する四肢に急激に荷重が加わることになるが、ダンパ67により急な荷重変化が緩和され、四肢への負担を軽減することができる。
【0060】
図17は、リンクハブの異なる構成を示す。このリンクハブ2(3)は、中空部20の外周に沿って周方向に並ぶ二つのリンクハブ分割体2a,2b(3a,3b)に分割されている。これら二つのリンクハブ分割体2a,2b(3a,3b)のそれぞれに、二組のリンク機構4A,4Bのうちの一組ずつの端部リンク5(6)が回転可能に連結されている。二つのリンクハブ分割体2a,2b(3a,3b)は、結合部70,71により互いに結合されている。
【0061】
一方の結合部70はヒンジ構造であって、二つのリンクハブ分割体2a,2b(3a,3b)は、支点軸70a回りに互いに回動自在である。もう一方の結合部71は、片方のリンクハブ分割体2a(3a)に形成されたボルト孔71aに対して、他方のリンクハブ分割体2b(3b)に設けたボルト71bを入れ、このボルト71bにナット71cを締め付けることにより、両リンクハブ分割体2a,2b(3a,3b)が互いに結合される。支点軸70aを中心にしてハブ分割体2a,2b(3a,3b)を回動させることで、図17(A)のように、中空部が結合部71側で開放した状態と、同図(B)のように中空部20が閉じられた状態とにできる。
【0062】
このように、リンクハブ2(3)を二つのリンクハブ分割体2a,2b(3a,3b)に分割したことにより、中空部20内に四肢関節部に続く部位を容易に入れることができる。二つのリンクハブ分割体2a,2b(3a,3b)は結合部70,71により互いに結合可能であるため、四肢関節部装着装置1を四肢関節部回りに安全かつ容易に装着することができる。2箇所の結合部70,71のうち1箇所の結合部70をヒンジ構造とすると、二つのリンクハブ分割体2a,2b(3a,3b)が分離しないので、取扱いが容易である。
【符号の説明】
【0063】
1…四肢関節部装着作動装置
2…入力側のリンクハブ
2a,2b…リンクハブ分割体
3…出力側のリンクハブ
3a,3b…リンクハブ分割体
4…リンク機構
5…入力側の端部リンク
6…出力側の端部リンク
7…中央リンク
9…連動手段
20…中空部
50A,50B,52A,52B…アクチュエータ
51…制御装置
60…リミッター
67…ダンパ
70,71…結合部
O1A,O1B…入力側のリンクハブと入力側の端部リンクの回転対偶軸
O2A,O2B…出力側のリンクハブと出力側の端部リンクの回転対偶軸
O3…入力側の端部リンクと中央リンクの回転対偶軸
O4…出力側の端部リンクと中央リンクの回転対偶軸
P1…入力側の球面リンク中心
P2…出力側の球面リンク中心
【技術分野】
【0001】
この発明は、人の四肢関節部回りに装着され、この四肢関節部の角度位置決めや角度可変運動を行う四肢関節部装着装置に関する。
【背景技術】
【0002】
四肢の骨折等に伴う患部周囲の角度矯正、機能回復等のために関節部の曲げ伸ばしを行う他動運動、歩行等の動作の補助等を目的として、人の四肢関節部回りに装着して使用される四肢関節部装着装置(CPM装置等)がある。例えば特許文献1に記載のものは、医療分野で使用されるCPM装置を制御する装置であって、CPM装置の1自由度の動きを制御する。この特許文献に記載されている従来技術のCPM装置は、すべて関節部の曲げ角度方向が1自由度である。特許文献2は、脚の側面に装着され、脚の運動を補助する装着式補助装置であって、脚の屈伸動作のみを補助する。
【0003】
また、医療分野や産業機械等に用いられるリンク作動装置として、入力側および出力側のリンクハブを三組の、四つの回転対偶からなる三節連鎖のリンク機構で連結し、入力側のリンクハブに対して出力側のリンクハブを姿勢変更可能とした構成が提案されている(例えば特許文献3)。リンク機構の数を三組とする理由は、リンク機構をリンクだけで構成する場合、入力側のリンクハブに対する出力側のリンクハブの姿勢を規定するために必要な最低限のリンク機構の数が三組であるからである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3638048号公報
【特許文献2】特許第4178185号公報
【特許文献3】特許第4476603号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のように、従来のCPM装置は、関節部の曲げ角度方向が1自由度であった。しかし、人の四肢関節は、曲げ角度方向が1自由度ではなく、複雑な動きが可能である。例えば、膝関節は、前後方向の曲げ伸ばしの他に、下肢の長さ方向に対して捻り運動を行うこともできる。また、肩関節は、ほぼ360°の旋回運動を行うことができる。つまり、人の四肢関節は2自由度またはそれ以上の自由度の動きをする。
【0006】
したがって、CPM装置が1自由度の角度の動きしかできないと、もう1自由度方向の角度調整ができず、角度矯正が困難である。また、リハビリにおいても、CPM装置の運動が1自由度であると、使う筋肉や関節内可動部が限定される。そのため、CPM装置の向きを変えて装着し直して、動作補助を繰り返して行わなければならない。CPM装置では十分な対応ができない場合、理学療法士によるリハビリに頼ることになる。その場合、時間的な制約があると共に、治療費が高額となる。歩行等の動作補助では、動作方向が限定されるため、自由に思うような動きができない。以上の理由から、2自由度の回転が可能なCPM装置の実現が待望されている。
【0007】
従来のリンク作動装置は、リンク機構の数が三組であり、例えば図18に示すように、各リンク機構104(104A,104B,104C)がほぼ120°の間隔で配置されることとなる。この場合、各リンク機構104の相互間距離が狭く、一つのリンク機構104Aにおけるリンクハブ103(102)と端部リンク106(105)の回転対偶部112(111)と、他のリンク機構104Bにおける端部リンク106(105)と中央リンク107の回転対偶部114(113)とが接近した状態となる。そこで、両回転対偶部112(111),114(113)が互いに干渉するのを避けるために、回転対偶部114(113)を外径側に逃がした形状としている。その結果、リンク作動装置101全体の外径が大きい。
【0008】
このリンク作動装置101をCPM装置として使用する場合、リンクハブ102,103を中空形状とし、一対のリンクハブ102,103間に四肢関節部を入れ、中空部120に四肢関節部に続く部位を挿通した状態で四肢関節部回りに装着される。中空部120に四肢関節部に続く部位を挿通するためには、中空部120を広くする必要があり、さらに外径が大きくなる。リンク作動装置101全体の外径が大きいと、上記装着状態において、リンク作動装置101の一部が、四肢関節部以外の部位や周囲の物体に当る可能性があり、危険である。また、中空部120に四肢関節部に続く部位を入れ易くするには、中空部120を装置の外部に対して開放した形状とすればよいが(図示せず)、三組のリンク装置104が周方向に並んで配置されているため、開放部を十分に広くすることができない。
【0009】
この発明の目的は、2自由度の回転が可能で、外径寸法が小さいコンパクトな構成であり、四肢関節部回りに容易に装着できる四肢関節装着装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明の四肢関節装着装置は、入出力側にそれぞれ配されたリンクハブに対して回転可能に端部リンクを連結し、入力側および出力側の端部リンクを中央リンクに対して回転可能に連結することにより、前記入力側の端部リンク、中央リンク、および出力側の端部リンクで構成される、四つの回転対偶からなる三節連鎖のリンク機構を有する。この発明の四肢関節部装着装置は、上記構成において、前記四つの回転対偶からなる三節連鎖のリンク機構を二組有し、前記入力側および出力側のリンクハブは、入力側と出力側のリンクハブが平行である状態での、それぞれのリンクハブ内における二つの端部リンクとの回転対偶軸の交点であるリンクハブ中心を結ぶ方向に貫通した中空部を有し、前記入力側および出力側のリンクハブ間に四肢関節部が位置し、かつ各リンクハブの前記中空部内に前記四肢関節部に続く部位がそれぞれ挿通された状態で前記四肢関節部回りに装着されることを特徴とする。
なお、「入力側と出力側のリンクハブが平行である状態」とは、これらのリンクハブの形状、またはこれらのリンクハブの2つの端部リンクとの回転対偶部の位置やその回転対偶軸によって、2つのリンクハブにつき共通の定め方で任意に定められた基準となる面の方向が平行であることを言う。例えば、両リンクハブが平坦な形状である場合、その厚さ方向に垂直な面を基準面とし、その基準面が互いに平行であっても良い。また、各リンクハブの2つの端部リンクとの回転対偶軸が共通の任意の角度をなす平面を基準面とし、その基準面が互いに平行であっても良い。
【0011】
この構成によると、入力側および出力側のリンクハブを四つの回転対偶からなる三節連鎖のリンク機構で互いに連結することにより、入力側のリンクハブに対して出力側のリンクハブが2自由度の回転が可能である。この2自由度機構は、入力側のリンクハブに対する出力側のリンクハブの可動範囲を広くとれる。例えば、入力側のリンクハブの中心軸と出力側のリンクハブの中心軸の最大折れ角を90°以上とすることが可能であり、入力側のリンクハブに対する出力側のリンクハブの旋回角を0°〜360°の範囲に設定できる。上記中心軸は、入力側と出力側のリンクハブが平行である状態での、それぞれのリンクハブの前記リンクハブ中心を結ぶ軸を指す。
【0012】
四肢関節部装着装置が限定された2自由度の回転を行うためには、二組のリンク機構は、入力側および出力側のいずれについても、それぞれの前記リンクハブと前記端部リンクの各回転対偶軸が同一平面上にあって、かつ互いに交差する位置関係であるのが望ましい。ただし、下記のように四肢関節部回りに装着された状態では、四肢によりリンク機構の動きに制限が与えられるため、四肢関節部装着装置はほぼ限定された2自由度の回転を行う。よって、上記位置関係でなくても良い。
【0013】
この四肢関節部装着装置は、入力側および出力側のリンクハブ間の空間に患部である人の四肢関節部が位置し、かつ各リンクハブの前記中空部内に四肢関節部に続く部位がそれぞれ挿通された状態で四肢関節部回りに装着される。この装着状態において、二組のリンク機構の各回転対偶の回転角をそれぞれ調整することで、四肢関節部の角度を調整できる。また、リンク機構の各回転対偶の回転を固定すれば、上記角度を固定することが可能となる。このように、四肢関節部の角度を調整や固定することにより、患者の肉体的特徴や患部の状況に応じて異なる角度差に対して容易に対応できる。入力側および出力側のリンクハブが、四肢関節部の両側で荷重を受けるため、四肢関節部にかかる負荷を軽減できる。
【0014】
この四肢関節部装着装置の構成は、リンク機構の数が二組と少ないため、各リンク機構同士の干渉を回避し易く、設計の自由度が高い。それにより、四肢関節部装着装置全体の外径が小さいコンパクトな構成とすることが可能である。リンクハブの前記中空部を広くしても、四肢関節部装着装置全体の外径があまり大きくならないため、リンクハブの前記中空部を広くして、四肢関節部回りへ装着の容易化を図ることができる。また、リンク機構の数が少ないため、低コスト化を実現できる。
【0015】
この発明において、前記入力側の端部リンクと前記出力側の端部リンクを、前記中央リンクに対する回転方向が互いに逆で、かつ回転変位角度が同じとなるように連動させる連動手段を設けると良い。
この構造において、リンクハブとそれに連結される端部リンクの入力側と出力側それぞれは、球面リンク機構を構成しており、それぞれの球面リンク機構は、入力側と出力側の端部リンクが中央リンクを介して連結されている。ここで各リンク機構の二つの中央リンクは、それぞれの球面リンク機構が重なる円の円周上の並進運動に限定された1自由度となる。入力側および出力側の球面リンク機構は、節の曲率半径を無限大とすれば平面上の四節リンク機構であり、入力側、出力側のそれぞれが独立して1自由度を有している。入力側と出力側の端部リンク間に連動手段が無い場合は、二つの中央リンクの1自由度と入力側と出力側の球面リンク機構の各1自由度とで3自由度となる。ここで、このリンク作動装置では、入力側と出力側の端部リンク間に連動手段を設けたため、それぞれの球面リンク機構は連動し、両球面リンク機構で1自由度となる。以上のように、このリンク作動装置は、中央リンクの1自由度と前記球面リンク機構の1自由度を合わせた2自由度の機構となる。なお、中央リンクの位置変位は、入力側と出力側のリンクハブ間においては角度変化となり、以上から入力側と出力側のリンクハブ間は、2方向の角度変化が可能な構造となる。
2自由度の機構であると、二組のリンク機構のうちの少なくとも一組のリンク機構における1箇所の回転対偶の回転角を決めるだけで、入力側のリンクハブに対する出力側のハブリンクの姿勢を決めることができる。このため、出力側のハブリンクの姿勢変更や固定を容易に行える。
また、連動手段が、入力側の端部リンクと出力側の端部リンクを、中央リンクに対する回転方向が互いに逆で、かつ回転変位角度が同じとなるように連動させる場合、入力側のリングハブに対して出力側のリンクハブの姿勢を変更するとき、常に、入力側および出力側のリンクハブの各中心の中間点に位置し前記各中心を結ぶ直線に対して垂直な平面と、中央リンクと端部リンクの二つの回転対偶の並び方向に対して垂直な横断面とが一致する。これにより、入力側と出力側の前記横断面に対して対称に動くことで、入力側の変位に対して出力側も同じ変位となり、変動した変位とならないため、操作性が良い。
【0016】
この発明において、前記入力側および出力側のリンクハブを、前記中空部の外周に沿って周方向に並ぶ二つのリンクハブ分割体に分割し、これら二つのリンクハブ分割体のそれぞれに、前記二組のリンク機構のうちの一組ずつの端部リンクが回転可能に連結し、二つのリンクハブ分割体を結合部により互いに結合可能とするのが良い。
リンクハブを二つのリンクハブ分割体に分割したことにより、リンクハブの前記中空部内に四肢関節部に続く部位を簡単に入れることができる。二つのリンクハブ分割体は結合部により互いに結合可能であるため、リンクハブの前記中空部内に四肢関節部に続く部位を入れた状態の四肢関節部装着装置を、四肢関節部回りに安全かつ容易に装着することができる。
【0017】
前記二つのリンクハブ分割体を互いに結合する周方向に2箇所の結合部のうち1箇所の結合部を、二つのリンクハブ分割体を互いに回動自在に結合するヒンジ構造とするのが良い。
この場合、ヒンジ構造である結合部を支点として、二つのリンクハブ分割体を互いに回動させて、中空部を開閉させられる。そのため、四肢関節部に続く部位を、中空部内へさらに容易に出し入れすることができる。
【0018】
この発明において、前記リンク機構における四つの回転対偶のうち少なくとも一つの回転対偶に、この回転対偶の相対的な回転角変位を限定するリミッターを設けても良い。
リミッターにより、回転対偶の相対的な回転角変位を限定することで、入力側のリンクハブに対する出力側のリンクハブの可動範囲が限定される。それに伴い、この四肢関節部装着装置が装着されている四肢関節部の可動範囲も限定される。リミッターの設定を変えることで、患部である四肢関節部の状況に応じた可動範囲の調整が容易に行える。
【0019】
この発明において、前記リンク機構における四つの回転対偶のうち少なくとも一つの回転対偶に、この回転対偶の相対的な回転角変位を弾性的に限定するダンパを設けても良い。
四肢に衝撃力が加えられたとき、リンクハブと接触する四肢に急激に荷重が加わる。ダンパが設けられていると、上記荷重が緩和され、四肢への負担を軽減することができる。
【0020】
この発明において、前記二組のリンク機構のそれぞれに、四つの回転対偶のうち少なくとも一つの回転対偶の相対的な回転角変位を変更可能とするアクチュエータを設け、かつ前記四肢関節部を可動範囲内で動作させるように前記アクチュエータを制御する制御装置を設けるのが良い。
この場合、制御手段の制御でアクチュエータを駆動して、入力側のリンクハブに対する出力側のリンクハブの姿勢を強制的に変更することにより、四肢関節部を可動範囲内で動作させるリハビリ運動を行える。入力側のリンクハブに対する出力側のリンクハブの姿勢は2自由度で変更可能であるので、患部関節部前後のリンクハブの取付け角度について、患者の関節部状況に応じて容易に初期位置を決めることができる。また、単純な四肢関節部の曲げ伸ばしだけでなく、患者の四肢関節部の状況に合わせて、ひねり運動も加えることができる。そのため、四肢関節部回りの多くの筋肉を有効に動かすことができ、効果的なリハビリ運動となる。その結果、回復期間を短縮できる。また、理学療法士の負担を軽減できる。
【0021】
この発明において、前記二組のリンク機構のそれぞれに、四つの回転対偶のうち少なくとも一つの回転対偶の相対的な回転角変位を変更可能とするアクチュエータを設け、かつ前記四肢関節部の可動範囲内の動作を補助するように前記アクチュエータを制御する制御装置を設けても良い。
この場合、制御手段の制御でアクチュエータを駆動して、入力側のリンクハブに対する出力側のリンクハブの可動範囲と可動速度とを調整することにより、四肢関節部の曲げ伸ばし等を補助することができる。入力側のリンクハブに対する出力側のリンクハブの姿勢は2自由度で変更可能であるので、単純な四肢関節部の曲げ伸ばしの補助だけでなく、捻り運動や旋回運動にも対応できる。
【発明の効果】
【0022】
この発明の四肢関節部装着装置は、入出力側にそれぞれ配されたリンクハブに対して回転可能に端部リンクを連結し、入力側および出力側の端部リンクを中央リンクに対して回転可能に連結することにより、前記入力側の端部リンク、中央リンク、および出力側の端部リンクで構成される、四つの回転対偶からなる三節連鎖のリンク機構を有する装置であって、前記四つの回転対偶からなる三節連鎖のリンク機構を二組有し、前記入力側および出力側のリンクハブは、入力側と出力側のリンクハブが平行である状態での、それぞれのリンクハブ内における二つの端部リンクとの回転対偶軸の交点であるリンクハブ中心を結ぶ方向に貫通した中空部を有し、前記入力側および出力側のリンクハブ間に四肢関節部が位置し、かつ各リンクハブの前記中空部内に前記四肢関節部に続く部位がそれぞれ挿通された状態で前記四肢関節部回りに装着されるため、2自由度の回転が可能で、外径寸法が小さいコンパクトな構成であり、四肢関節部回りに容易に装着できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】この発明の一実施形態にかかる四肢関節部装着装置の斜視図である。
【図2】図1のA矢視図である。
【図3】同四肢関節部装着装置を展開した状態の一部破断展開図である。
【図4】同四肢関節部装着装置のリンク機構を直線で表現した図である。
【図5】同四肢関節部装着装置に付与するトルクの大きさの変化を示すグラフである。
【図6】(A)は同リンク作動装置の一状態を示す正面図、(B)は底面図、(C)は斜視図である。
【図7】(A)は同リンク作動装置の異なる状態を示す正面図、(B)は底面図、(C)は斜視図である。
【図8】(A)は同リンク作動装置のさらに異なる状態を示す正面図、(B)は底面図、(C)は斜視図である。
【図9】(A)は同リンク作動装置のさらに異なる状態を示す正面図、(B)は底面図、(C)は斜視図である。
【図10】連動手段の異なる構成を示す図である。
【図11】同四肢関節部装着装置の使用状態の一例を示す図である。
【図12】同四肢関節部装着装置の異なる使用状態を示す図である。
【図13】同四肢関節部装着装置のさらに異なる使用状態を示す図である。
【図14】この発明の異なる実施形態にかかる四肢関節部装着装置の正面図である。
【図15】この発明のさらに異なる実施形態にかかる四肢関節部装着装置の正面図である。
【図16】リミッターの一例を示す図である。
【図17】(A)は構成が異なるリンクハブの一状態を示す図、(B)は同リンクハブの異なる状態を示す図である。
【図18】従来の四肢関節部装着装置の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
この発明の一実施形態を図1〜図9と共に説明する。
図1および図2はこの発明の一実施形態にかかる四肢関節部装着装置をそれぞれ異なる角度から見た斜視図、図3は同四肢関節部装着装置を展開した状態の一部破断展開図である。図1ないし図3に示すように、この四肢関節部装着装置1は、入力側および出力側のリンクハブ2,3を有し、これらリンクハブ2,3を二組のリンク機構4A,4Bで連結したものである。リンク機構4A,4Bは、四つの回転対偶からなる三節連鎖のリンク機構であり、入力側のリンクハブ2に一端が回転自在に連結された入力側の端部リンク5と、出力側のリンクハブ3に一端が回転自在に連結された出力側の端部リンク6と、これら端部リンク5,6の他端に両端がそれぞれ回転自在に連結された中央リンク7とで構成される。
【0025】
上記二組のリンク機構4A,4Bは、幾何学的に同じ形状である。幾何学的に同じ形状とは、図4のようにリンク機構を直線で表現した幾何学モデル、すなわち各回転対偶と、これら回転対偶間を結ぶ直線とで表現したモデルが互いに同じ形状であることを言う。また、それぞれのリンク機構4A,4Bは、直線で表現した幾何学モデルが、中央リンク7の中央部に対する入力側部分と出力側部分とが互いに鏡像対称を成す形状である。言い換えると、中央リンク7と端部リンク5,6の二つの回転対偶の並び方向に対して垂直な横断面F1を対称面として、前記入力側部分と出力側部分とが互いに鏡像対称である。上記横断面F1は、中央リンク7と2つの端部リンク5,6の回転対偶軸O3,O4の成す角度を2等分する平面であるとも言える。なお、この明細書で「回転対偶軸」とは、回転対偶の回転中心軸を言う。
【0026】
各リンク機構4A,4Bの入力側および出力側の端部リンク5,6は、共に球面リンク構造である。球面リンク構造とは、図3に示すように、リンクハブ2(3)と端部リンク5(6)の回転対偶軸O1A,O1B(O2A,O2B)、および端部リンク5(6)と中央リンク7の回転対偶軸O3(O4)が、すべて球面リンク中心P1(P2)を通る構造を言う。
【0027】
二組のリンク機構4A,4Bは、それぞれの回転対偶軸O1A,O1B(O2A,O2B)が互いに交差する位置関係にある。つまり、回転対偶軸O1A,O1B(O2A,O2B)の軸間角度が180°でない。そして、回転対偶軸O1A,O1B(O2A,O2B)の軸間角度が180°よりも大きい側に、各リンク機構4A,4Bの中央リンク7が位置している。図示例では、小さい方の軸間角度αが120°とされている。
なお、図3の状態では、二組のリンク機構4A,4Bが、入力側および出力側の球面リンク中心P1,P2を通り、リンクハブ2(3)と端部リンク5(6)の回転対偶軸O1A,O1B(O2A,O2B)の軸間角度を二等分する縦断面F4に対して互いに鏡像対称となる位置に配置されている。
【0028】
端部リンク5,6と中央リンク7の各回転対偶軸O3,O4は、ある交差角をもっていても良いし、平行であっても良い。図示例では、回転対偶軸O3,O4の軸間角度γは90°とされている。また、入力側および出力側のリンクハブ2,3が同一平面上に位置する図3の状態において、回転対偶軸O1A,O1B(O2A,O2B)と回転対偶軸O3(O4)の軸間角度βは、75°とされている。
【0029】
図1ないし図3において、上記各リンク機構4A,4Bの入力側の端部リンク5と出力側の端部リンク6とは、連動手段9により、互いに連動して回転変位するようになっている。この実施形態の場合、連動手段9は、入力側の端部リンク5および出力側の端部リンク6に対してそれぞれ回転自在な一対のかさ歯車10,11を互いに噛み合わせた構成である。一対のかさ歯車10,11は同諸元のものであり、入力側の端部リンク5と出力側の端部リンク6が、互いの回転方向が反対で、かつ回転変位角度が同じになるように連動する。このように、連動手段9が複数のかさ歯車10,11等の歯車の噛み合いによるものであると、入力側の端部リンク5および出力側の端部リンク6の回転変位に滑り等による誤差が生じないため、精度良く連動させることができる。
【0030】
連動手段9は、同諸元の一対のかさ歯車10,11の噛み合いによるものに限らない。かさ歯車の代わりリンク機構、カム、ベルト等を用いてもよい。なお、前記軸間角度γ(図3)が0°のときには、平歯車を用いる。また、一対の歯車の歯数を互いに異ならせても良い。その場合、入力側の端部リンク5と出力側の端部リンク6の回転変位角度が異なる。
【0031】
図10は、さらに異なる連動手段を示す。この連動手段9は、入力側および出力側の端部リンク5,6に補助アーム25,26をそれぞれ一体に設け、これら補助アーム25,26同士を球対偶27および直進対偶28を介して互いに連結している。球対偶27は、一対の対偶構成部材27a,27bが互いに球面に沿って相対移動する対偶である。直進対偶28は、一対の対偶構成部材28a,28bが互いに直線方向に相対移動する対偶である。この連動手段9によっても、入力側の端部リンク5の位置に対応して出力側の端部リンク6の位置が決まる。ただし、入力側の端部リンク5と出力側の端部リンク6とが、中央リンク7の中央部に対して対称には動かない。
【0032】
図3において、リンクハブ2(3)は、球面リンク中心P1(P2)を中心として、回転対偶軸O1A,O1B(O2A,O2B)が位置する平面F2(F3)(図2)に沿って拡がる円弧状であり、その両端に軸受内包部13がそれぞれ設けられている。軸受内包部13は内部に二つの転がり軸受14を有し、これら転がり軸受14により、端部リンク5,6の基端に一体に設けた回転軸15を回転自在に支持する。回転軸15の軸心は、回転対偶軸O1A,O1B(O2A,O2B)と一致する。二つの転がり軸受14は間隔を開けて配置されており、その間隔部に端部リンク5,6の基端が位置している。軸受内包部13には、端部リンク5,6の基部が回転可能に嵌る溝13aが形成されている。この溝13aにより端部リンク5,6の回転範囲を規制することで、先に説明したように、各リンク機構4A,4Bの中央リンク7が常に回転対偶軸O1A,O1B(O2A,O2B)の軸間角度が180°よりも大きい側に位置する。
【0033】
転がり軸受14は、外輪14aが軸受内包部13の内周に圧入等により嵌合し、内輪14bが回転軸14の外周に圧入等により嵌合している。転がり軸受14は、例えば深溝玉軸受、アンギュラ玉軸受等の玉軸受である。転がり軸受14としては、図示例のように玉軸受を複列で配列する以外に、ローラ軸受を用いても良い。また、転がり軸受14の代わりに滑り軸受を用いてもよい。
【0034】
また、中央リンク7の両端部には転がり軸受17が設けられ、この転がり軸受17により、端部リンク5,6の先端に一体に設けた回転軸18を回転自在に支持する。回転軸18の軸心は、回転対偶軸O3,O4と一致する。転がり軸受17は、外輪17aが中央リンク7の端部に圧入等により嵌合し、内輪17bが回転軸18の外周に圧入等により嵌合している。転がり軸受17は、例えば深溝玉軸受、アンギュラ玉軸受等の玉軸受である。転がり軸受17としては、図示例のように玉軸受を複列で配列する以外に、ローラ軸受を用いても良い。また、転がり軸受17の代わりに滑り軸受を用いてもよい。
【0035】
リンクハブ2,3は先に説明したような円弧状であり、それぞれその内部に、前記平面F2,F3に対して垂直な方向すなわち中心軸C1,C2(図1、図3)の方向に貫通した中空部20を有する。中心軸C1(C2)の方向は、入力側と出力側のリンクハブ2,3が平行である状態での、それぞれのリンクハブ2(3)内における二つの端部リンク5(6)との回転対偶軸O1A,O1B(O2A,O2B)の交点であるリンクハブ中心P1(P2)を結ぶ方向である。
中空部20の前記平面F2,F3と平行な断面の広さは、患部となる四肢関節部に続く部位が挿通可能な広さとされている。この中空部20は、一対の軸受内包部13間に形成された開口部21を介してリンクハブ2,3の外部と連通している。開口部21の幅Wは、前記四肢関節部に続く部位が通れる程度とする。開口部21は、入力側および出力側のリンクハブ2,3のいずれについても、各回転対偶軸O1A,O1B,O2A,O2Bに対して同じ側に位置する。つまり、図1のように、入力側のリンクハブ2と出力側のリンクハブ3が互いに平行になる姿勢において、両リンクハブ2,3の開口部21が、共に同じ側を向く。
【0036】
図1に示すように、開口部21を挟んで位置するリンクハブ2,3の両端には、互いに結合可能な装着ベルト23,24がそれぞれ取付けられている。この一対の装着ベルト23,24は、面ファスナ、例えばマジックテープ(登録商標)で結合されるが、他の方式で結合してもよい。装着ベルト23,24は可撓性の材料で製作されているのが望ましい。
【0037】
この実施形態のように、二組のリンク機構4A,4Bにおいて、端部リンク5,6の角度、長さ、および端部リンク5,6の幾何学的形状が入力側と出力側で等しく、また、中央リンク7についても入力側と出力側で形状が等しいとき、中央リンク7の対称面に対して中央リンク7と、入力側および出力側のリンクハブ2,3と連結される端部リンク5,6との角度位置関係を入力側と出力側で同じにすれば、幾何学的対称性から入力側のリンクハブ2および入力側の端部リンク5と、出力側のリンクハブ3および出力側の端部リンク6とは同じに動く。
【0038】
この四肢関節部装着装置1の具体的な動作を説明する。図5は、アクチュエータ等により入力側のリンクハブ2と入力側の端部リンク5の回転対偶の相対角度を変更するときの、リンク機構4A,4Bに作用するトルクの変化を、図6の状態におけるトルクで無次元化した図である。図6ないし図9は、四肢関節部装着装置1を簡略化したモデルで表現した正面図、底面図、および斜視図であって、それぞれ図5におけるA,B,C,D各時点における姿勢を示している。このモデルでは、入力側のリンクハブ2の回転対偶軸O1A,O1B(図3)を含む平面F2(図2)を鉛直状態にし、かつ開口部21を重力G方向に配置した場合を示している。なお、図6ないし図9には、入力側および出力側の球面リンク中心P1,P2を球体で示してあり、リンクハブ3の中心P2に錘を配置している。錘は装置重量に比べて十分重く設定している。
【0039】
図6は、入力側のリンクハブ2に対して出力側のリンクハブ3が平行である状態を示している。このとき、重力Gに抗して出力側のリンクハブ3およびリンク機構4A,4Bの各リンク5,6,7の姿勢を維持するために、アクチュエータ等(図示せず)によりリンク機構4A,4Bにそれぞれ同じ値の所定値のトルクが作用している。図6の状態から、リンク機構4A,4Bに作用する各トルクを前記所定値よりも小さくすると、図7のように、出力側のリンクハブ3が、リンク機構4A,4Bの各中央リンク7が互いに干渉するまで下方に回動する。また、図6の状態から、リンク機構4Aの入力側のリンクハブ2と入力側の端部リンク5との角度を固定し、リンク機構4Bに作用するトルクを小さくすると、図8のように、リンク機構4Aが全体的に縮み、かつリンク機構4Bが全体的に伸びて、出力側のリンクハブ3が前方(同図(A)における手前側)に傾いた姿勢となる。さらに、リンク機構4Aに作用するトルクおよびリンク機構4Bに作用するトルクを前記所定値に対してそれぞれ別個に変化させると、図9のように、入力側のリンクハブ2に対して出力側のリンクハブ3が捩れた姿勢となる。全状態において、入力側のリンクハブ2に対する出力側のリンクハブ3の姿勢が変化しても、入力側と出力側の球面リンク中心P1,P2間の距離は変化しない。
【0040】
図6ないし図9に示すように、この2自由度の四肢関節部装着装置1は、入力側のリンクハブ2に対する出力側のリンクハブ3の可動範囲を広くとれる。例えば、入力側のリンクハブ2の中心軸C1と出力側のリンクハブ3の中心軸C2の折れ角θ(図7(B))の最大値(最大折れ角)を90°以上とすることができる。また、入力側のリンクハブ2に対する出力側のリンクハブ3の旋回角φ(図9(A))を0°〜360°の範囲で設定できる。折れ角θは、入力側のリンクハブ2の中心軸C1に対する出力側のリンクハブ3の中心軸C2の傾斜角度のことであり、旋回角φは、入力側のリンクハブ2の中心軸C1に対して出力側のリンクハブ3が傾斜した水平角度のことである。
【0041】
この四肢関節装着装置1は、人の四肢関節部のリハビリ、運動補助等の目的で、四肢関節部回りに装着して使用される。例えば、図11は、膝関節40回りに装着した状態を示す。この場合、入力側および出力側のリンクハブ2,3間に膝関節40が位置し、かつリンクハブ2,3の各中空部20に膝関節40に続く部位、すなわち上腿部41および下腿部42が挿通する状態で、各リンクハブ2,3の一対の装着ベルト23,24を互いに結合する。
【0042】
四肢関節装着装置1を装着した状態において、二組のリンク機構4A,4Bの各回転対偶の回転角をそれぞれ調整することで、膝関節40の曲げ角度および捻り角度を調整できる。また、リンク機構4A,4Bの各回転対偶の回転角を固定すれば、上記曲げ角度および捻り角度を固定することが可能となる。このように、膝関節40の各角度を調整や固定することにより、患者の肉体的特徴や患部の状況に応じて異なる角度差に対して容易に対応できる。入力側および出力側のリンクハブ2,3が、患部である膝関節40の両側で荷重を受けるため、膝関節40にかかる負荷を軽減できる。
【0043】
図12は、四肢関節装着装置1を足首関節43回りに装着した状態を示す。この場合、入力側および出力側のリンクハブ2,3間に足首関節43を位置させ、かつリンクハブ2の中空部20に下腿部42を挿通する。踵44は、リンクハブ3の中空部20に嵌め込んだ状態とする。そして、リンクハブ2の一対の装着ベルト23,24を結合することで、足首関節43回りに四肢関節装着装置1を装着する。膝関節40の場合と同様に、リンク機構4A,4Bの各回転対偶の回転角の調整や回転を固定することで、足首関節43の曲げ角度および捻り角度の調整や固定を行うことができる。
【0044】
図13は、四肢関節装着装置1を肩関節45回りに装着した状態を示す。この場合、入力側および出力側のリンクハブ2,3間に肩関節45が位置し、かつリンクハブ2の中空部20に肩46を嵌め込み、リンクハブ3の中空部20に上腕部47を挿通させる。そして、リンクハブ3の一対の装着ベルト23,24を結合することで、肩関節45回りに四肢関節装着装置1を装着する。リンク機構4A,4Bの各回転対偶の回転角の調整や回転を固定することで、肩関節45の旋回角度の調整や固定を行うことができる。
【0045】
この四肢関節部装着装置1は、連動手段9により、入力側の端部リンク5と出力側の端部リンク6を、中央リンク7に対する回転方向が互いに逆で、かつ回転変位角度が同じとなるように連動させる。それにより、入力側のリングハブ2に対して出力側のリンクハブ3の姿勢を変更するとき、常に、入力側と出力側の球面リンク中心P1,P2の中間点に位置し球面リンク中心P1,P2を結ぶ直線に対して垂直な平面F5が、中央リンク7と端部リンク5,6の二つの回転対偶の並び方向に対して垂直な横断面F1と一致する。図示例では、二組のリンク機構4A,4Bの両方に連動手段9が設けられているため、リンク作動装置1の剛性が高く、出力側のリンクハブ3を正確に位置決めすることができる。
【0046】
各リンク機構4A,4Bにおける4つの回転対偶、つまり、入力側のリンクハブ2と入力側の端部リンク5との連結部分、出力側のリンクハブ3と出力側の端部リンク6との連結部分、および入力側および出力側の端部リンク5,6と中央リンク7との二つの連結部分を軸受構造とすることにより、その連結部分での摩擦抵抗を抑えて回転抵抗の軽減を図ることができ、滑らかな動力伝達を確保できると共に耐久性を向上できる。
【0047】
この四肢関節部装着装置1は、リンク機構4A,4Bの数が二組であって、従来の三組と比べて少ないため、各リンク機構4A,4B同士の干渉を回避し易く、設計の自由度が高い。それにより、四肢関節部装着装1全体の外径が小さいコンパクトな構成とすることが可能である。また、リンク機構4A,4Bの数が少ないため、低コスト化を実現できる。さらに、二組のリンク機構4A,4Bの形状が同じであるため、部品の種類を減らすことができ、このことからも低コスト化を実現できる。
【0048】
各リンク機構4A,4Bの中央リンク7は、二組のリンク機構4A,4Bのリンクハブ2,3と端部リンク5,6の各回転対偶軸O1A,O1B,O2A,O2Bが成す角度が180°よりも大きい側に位置している。そのため、構造的に、一方のリンク機構4A(4B)のリンクハブ2と端部リンク5,6の回転対偶部が、他方のリンク機構4B(4A)の端部リンク5,6と中央リンク7の回転対偶部に干渉しにくい。このことから、前記干渉を避けるために、端部リンク5,6と中央リンク7の回転対偶部を外径方向に張り出して設ける必要がなくなり、外径寸法が小さいコンパクトな構成にできる。
【0049】
入力側および出力側のリンクハブ2,3の中空部20に、リンクハブ2,3の外部と連通する開口部21が設けられているため、中空部20に四肢関節部に続く部位を入れ易い。
【0050】
図14は、四肢関節部装着装置の異なる実施形態を示す。この四肢関節部装着装置1は、各リンク機構4A,4Bのそれぞれに、入力側のリンクハブ2に対する入力側の端部リンク5の角度を任意に変更可能なアクチュエータ50A,50Bを設けた。アクチュエータ50A,50Bは、モータやロータリアクチュエータ等のアクチュエータであって、回転軸15を回転駆動することで、端部リンク5を回転させる。アクチュエータ50A,50Bの設置箇所は上記に限らず、リンク機構4A,4Bの四つの回転対偶のうち少なくとも一つの回転対偶の相対的な回転角変位を変更可能であればよい。各アクチュエータ50A,50Bは、制御装置51によって制御される。二組のリンク機構4A,4Bが幾何学的に同じ形状であるため、制御が容易である。なお、図示例では、片方のリンク機構4Bにだけ、連動手段9が設けられている。
【0051】
前記制御装置51は、例えば、この四肢関節部装着装置1が装着される四肢関節部を可動範囲内で動作させるように、アクチュエータ50A,50Bを制御する。アクチュエータ50A,50Bを駆動して、入力側のリンクハブ2に対する出力側のリンクハブ3の姿勢を強制的に変更することにより、四肢関節部を可動範囲内で動作させるリハビリ運動を行える。四肢関節部装着装置1は2自由度の回転が可能な機構であるので、例えば図11のように膝関節40回りに装着した場合、膝関節40の単純な曲げ伸ばしだけでなく、患者の状況に合わせて、ひねり運動も加えることができる。そのため、四肢関節部回りの多くの筋肉を有効に動かすことができ、効果的なリハビリ運動となる。その結果、回復期間を短縮できる。また、理学療法士の負担を軽減できる。
【0052】
また、制御装置51は、この四肢関節部装着装置1が装着される四肢関節部の可動範囲内の動作を補助するように、アクチュエータ50A,50Bを制御しても良い。この場合、アクチュエータ50A,50Bを駆動して、入力側のリンクハブ2に対する出力側のリンクハブ3の可動範囲と可動速度とを調整することにより、四肢関節部の動きを補助することができる。
【0053】
図15は、四肢関節部装着装置のさらに異なる実施形態を示す。この四肢関節部装着装置1は、各リンク機構4A,4Bのそれぞれに、入力側のリンクハブ2に対する入力側の端部リンク5の角度を任意に変更可能なアクチュエータ50A,50Bとは別に、出力側のリンクハブ3に対する出力側の端部リンク6の角度を任意に変更可能なアクチュエータ52A,52Bを設けた。アクチュエータ52A,52Bは、モータやロータリアクチュエータ等のアクチュエータであって、回転軸15を回転駆動することで、端部リンク6を回転させる。各アクチュエータ50A,50Bも、制御装置51によって制御される。このように、リンクハブ2,3と端部リンク5,6との連結部の計4箇所にアクチュエータ50A,50B,52A,52Bを設置すると、1箇所のアクチュエータにかかる負荷が減少するためアクチュエータが小型化でき、全体としてコンパクトとなる。4つのアクチュエータ50A,50B,52A,52Bによってすべての端部リンク5,6の角度が決められるので、連動手段9を設ける必要がない。
【0054】
図16は、リンクハブと端部リンクの連結部の異なる構成を示す。この連結部には、リンクハブ2(3)と端部リンク5(6)の回転対偶の相対的な回転角変位を限定するリミッター60が設けられている。リミッター60は、リンクハブ2(3)に設けられたストッパ61と、端部リンク5(6)に設けた一対のストッパ受け62A,62Bとで構成される。
【0055】
ストッパ61は、リンクハブ2(3)の端面から端部リンク5(6)側に突出した柱状の部材であって、端部リンク5(6)に形成された円弧状の長穴63に通されている。長穴63は、リンクハブ2(3)と端部リンク5(6)の回転対偶軸O1A,O1B(O2A,O2B)を中心とする円弧状である。
【0056】
ストッパ受け62A,62Bは、前記ストッパ61を挟んで周方向の両側にそれぞれ配置され、端部リンク5(6)に対して周方向位置を変更可能に取付けられている。詳しくは、端部リンク5(6)に前記長穴63に沿う複数のねじ孔64が設けられており、ストッパ受け62A,62Bのボルト挿通孔65に挿通したボルト66を前記複数のねじ孔64のいずれかに選択的にねじ込むことで、ストッパ受け62A,62Bが端部リンク5(6)に対して周方向位置を変更可能に取付けられる。ストッパ受け62A,62Bの回り止めのために、1つのストッパ受け62A,62Bに付き、2本のボルト66で端部リンク5(6)に取付けられる。図示例では、前記ボルト挿通孔65が2本のボルト66で共用の長穴とされているが、ボルト66ごとにボルト挿通孔65を設けても良い。
【0057】
ストッパ受け62A,62Bには、ストッパ61側を向く面に、ダンパ67が設けられている。このダンパ67は、ゴム等のばね要素部材からなり、リンクハブ2(3)と端部リンク5(6)の回転対偶の相対的な回転角変位を弾性的に限定する作用をする。
【0058】
図のようにストッパ61の両側にストッパ受け62A,62Bの各ダンパ67が接触した状態にあるとき、リンクハブ2(3)と端部リンク5(6)のなす角度をc°、ストッパ61とストッパ受け62Aのなす角度をa°、ストッパ61とストッパ受け62Bのなす角度をb°とした場合、リンクハブ2(3)に対する端部リンク5(6)の可変角範囲は、(c−a)°〜(c+b)°となる。
【0059】
リミッター60により、リンクハブ2(3)と端部リンク5(6)の回転対偶の相対的な回転角変位を限定することで、入力側のリンクハブ2に対する出力側のリンクハブ3の可動範囲が限定される。それに伴い、この四肢関節部装着装置1が装着されている四肢関節部の可動範囲も限定される。リミッター60の設定を変えることで、患部である四肢関節部の状況に応じた可動範囲の調整が容易に行える。また、四肢に衝撃力が加えられたとき、リンクハブ2(3)と接触する四肢に急激に荷重が加わることになるが、ダンパ67により急な荷重変化が緩和され、四肢への負担を軽減することができる。
【0060】
図17は、リンクハブの異なる構成を示す。このリンクハブ2(3)は、中空部20の外周に沿って周方向に並ぶ二つのリンクハブ分割体2a,2b(3a,3b)に分割されている。これら二つのリンクハブ分割体2a,2b(3a,3b)のそれぞれに、二組のリンク機構4A,4Bのうちの一組ずつの端部リンク5(6)が回転可能に連結されている。二つのリンクハブ分割体2a,2b(3a,3b)は、結合部70,71により互いに結合されている。
【0061】
一方の結合部70はヒンジ構造であって、二つのリンクハブ分割体2a,2b(3a,3b)は、支点軸70a回りに互いに回動自在である。もう一方の結合部71は、片方のリンクハブ分割体2a(3a)に形成されたボルト孔71aに対して、他方のリンクハブ分割体2b(3b)に設けたボルト71bを入れ、このボルト71bにナット71cを締め付けることにより、両リンクハブ分割体2a,2b(3a,3b)が互いに結合される。支点軸70aを中心にしてハブ分割体2a,2b(3a,3b)を回動させることで、図17(A)のように、中空部が結合部71側で開放した状態と、同図(B)のように中空部20が閉じられた状態とにできる。
【0062】
このように、リンクハブ2(3)を二つのリンクハブ分割体2a,2b(3a,3b)に分割したことにより、中空部20内に四肢関節部に続く部位を容易に入れることができる。二つのリンクハブ分割体2a,2b(3a,3b)は結合部70,71により互いに結合可能であるため、四肢関節部装着装置1を四肢関節部回りに安全かつ容易に装着することができる。2箇所の結合部70,71のうち1箇所の結合部70をヒンジ構造とすると、二つのリンクハブ分割体2a,2b(3a,3b)が分離しないので、取扱いが容易である。
【符号の説明】
【0063】
1…四肢関節部装着作動装置
2…入力側のリンクハブ
2a,2b…リンクハブ分割体
3…出力側のリンクハブ
3a,3b…リンクハブ分割体
4…リンク機構
5…入力側の端部リンク
6…出力側の端部リンク
7…中央リンク
9…連動手段
20…中空部
50A,50B,52A,52B…アクチュエータ
51…制御装置
60…リミッター
67…ダンパ
70,71…結合部
O1A,O1B…入力側のリンクハブと入力側の端部リンクの回転対偶軸
O2A,O2B…出力側のリンクハブと出力側の端部リンクの回転対偶軸
O3…入力側の端部リンクと中央リンクの回転対偶軸
O4…出力側の端部リンクと中央リンクの回転対偶軸
P1…入力側の球面リンク中心
P2…出力側の球面リンク中心
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入出力側にそれぞれ配されたリンクハブに対して回転可能に端部リンクを連結し、入力側および出力側の端部リンクを中央リンクに対して回転可能に連結することにより、前記入力側の端部リンク、中央リンク、および出力側の端部リンクで構成される、四つの回転対偶からなる三節連鎖のリンク機構を有する四肢関節部装着装置であって、
前記四つの回転対偶からなる三節連鎖のリンク機構を二組有し、前記入力側および出力側のリンクハブは、入力側と出力側のリンクハブが平行である状態での、それぞれのリンクハブ内における二つの端部リンクとの回転対偶軸の交点であるリンクハブ中心を結ぶ方向に貫通した中空部を有し、前記入力側および出力側のリンクハブ間に四肢関節部が位置し、かつ各リンクハブの前記中空部内に前記四肢関節部に続く部位がそれぞれ挿通された状態で前記四肢関節部回りに装着されることを特徴とする四肢関節部装着装置。
【請求項2】
請求項1において、前記入力側の端部リンクと前記出力側の端部リンクを、前記中央リンクに対する回転方向が互いに逆で、かつ回転変位角度が同じとなるように連動させる連動手段を設けた四肢関節部装着装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2において、前記入力側および出力側のリンクハブを、前記中空部の外周に沿って周方向に並ぶ二つのリンクハブ分割体に分割し、これら二つのリンクハブ分割体のそれぞれに、前記二組のリンク機構のうちの一組ずつの端部リンクが回転可能に連結し、二つのリンクハブ分割体を結合部により互いに結合可能とした四肢関節部装着装置。
【請求項4】
請求項3において、前記二つのリンクハブ分割体を互いに結合する周方向に2箇所の結合部のうち1箇所の結合部を、二つのリンクハブ分割体を互いに回動自在に結合するヒンジ構造とした四肢関節部装着装置。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のいずれか1項において、前記リンク機構における四つの回転対偶のうち少なくとも一つの回転対偶に、この回転対偶の相対的な回転角変位を限定するリミッターを設けた四肢関節部装着装置。
【請求項6】
請求項1ないし請求項5のいずれか1項において、前記リンク機構における四つの回転対偶のうち少なくとも一つの回転対偶に、この回転対偶の相対的な回転角変位を弾性的に限定するダンパを設けた四肢関節部装着装置。
【請求項7】
請求項1ないし請求項6のいずれか1項において、前記二組のリンク機構のそれぞれに、四つの回転対偶のうち少なくとも一つの回転対偶の相対的な回転角変位を変更可能とするアクチュエータを設け、かつ前記四肢関節部を可動範囲内で動作させるように前記アクチュエータを制御する制御装置を設けた四肢関節部装着装置。
【請求項8】
請求項1ないし請求項6のいずれか1項において、前記二組のリンク機構のそれぞれに、四つの回転対偶のうち少なくとも一つの回転対偶の相対的な回転角変位を変更可能とするアクチュエータを設け、前記四肢関節部の可動範囲内の動作を補助するように前記アクチュエータを制御する制御装置を設けた四肢関節部装着装置。
【請求項1】
入出力側にそれぞれ配されたリンクハブに対して回転可能に端部リンクを連結し、入力側および出力側の端部リンクを中央リンクに対して回転可能に連結することにより、前記入力側の端部リンク、中央リンク、および出力側の端部リンクで構成される、四つの回転対偶からなる三節連鎖のリンク機構を有する四肢関節部装着装置であって、
前記四つの回転対偶からなる三節連鎖のリンク機構を二組有し、前記入力側および出力側のリンクハブは、入力側と出力側のリンクハブが平行である状態での、それぞれのリンクハブ内における二つの端部リンクとの回転対偶軸の交点であるリンクハブ中心を結ぶ方向に貫通した中空部を有し、前記入力側および出力側のリンクハブ間に四肢関節部が位置し、かつ各リンクハブの前記中空部内に前記四肢関節部に続く部位がそれぞれ挿通された状態で前記四肢関節部回りに装着されることを特徴とする四肢関節部装着装置。
【請求項2】
請求項1において、前記入力側の端部リンクと前記出力側の端部リンクを、前記中央リンクに対する回転方向が互いに逆で、かつ回転変位角度が同じとなるように連動させる連動手段を設けた四肢関節部装着装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2において、前記入力側および出力側のリンクハブを、前記中空部の外周に沿って周方向に並ぶ二つのリンクハブ分割体に分割し、これら二つのリンクハブ分割体のそれぞれに、前記二組のリンク機構のうちの一組ずつの端部リンクが回転可能に連結し、二つのリンクハブ分割体を結合部により互いに結合可能とした四肢関節部装着装置。
【請求項4】
請求項3において、前記二つのリンクハブ分割体を互いに結合する周方向に2箇所の結合部のうち1箇所の結合部を、二つのリンクハブ分割体を互いに回動自在に結合するヒンジ構造とした四肢関節部装着装置。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のいずれか1項において、前記リンク機構における四つの回転対偶のうち少なくとも一つの回転対偶に、この回転対偶の相対的な回転角変位を限定するリミッターを設けた四肢関節部装着装置。
【請求項6】
請求項1ないし請求項5のいずれか1項において、前記リンク機構における四つの回転対偶のうち少なくとも一つの回転対偶に、この回転対偶の相対的な回転角変位を弾性的に限定するダンパを設けた四肢関節部装着装置。
【請求項7】
請求項1ないし請求項6のいずれか1項において、前記二組のリンク機構のそれぞれに、四つの回転対偶のうち少なくとも一つの回転対偶の相対的な回転角変位を変更可能とするアクチュエータを設け、かつ前記四肢関節部を可動範囲内で動作させるように前記アクチュエータを制御する制御装置を設けた四肢関節部装着装置。
【請求項8】
請求項1ないし請求項6のいずれか1項において、前記二組のリンク機構のそれぞれに、四つの回転対偶のうち少なくとも一つの回転対偶の相対的な回転角変位を変更可能とするアクチュエータを設け、前記四肢関節部の可動範囲内の動作を補助するように前記アクチュエータを制御する制御装置を設けた四肢関節部装着装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2013−74920(P2013−74920A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−215083(P2011−215083)
【出願日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【出願人】(000102692)NTN株式会社 (9,006)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【出願人】(000102692)NTN株式会社 (9,006)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]