説明

回収ボックス

【課題】 防犯性が好適であり、かつ施錠及び操作の操作が簡易な回収ボックスを提供する。
【解決手段】 回収ボックスは、所定の回収物を収容するための本体箱11と、該回収物を出し入れするための投入口16及び取出口17と、該取出口17を閉塞するための蓋体18とを備えている。蓋体18には、該蓋体18をロックする2つの施錠部19と、これら施錠部19を操作する操作部20とが設けられている。2つの施錠部19は、蓋体18の上端縁部及び下端縁部に設けられており、該操作部20は、該蓋体18の上部に1箇所のみ設けられ、かつ各施錠部19を連動させて操作する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機密書類、廃棄書類、使用済みメモといった紙類等を回収するための回収ボックスに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、上記のような回収ボックスは、箱状に形成されるとともに、紙類を投入するための投入口、投入された紙類を取り出すための取出口、取出口をふさぐ蓋が設けられている。また、機密書類への配慮などから、回収ボックスは、その内部を見えにくくするため、投入口がスリット状とされ、蓋が施錠できるようになっている。例えば、特許文献1に記載の古紙回収ケース及び特許文献2に記載のブローパネル調コンテナは、1つの錠が設けられており、この錠で蓋である前扉の上部中央を施錠するようになっている。また、特許文献3に記載の機密書類収容袋用ボックスにおいては、2つの錠が設けられており、各錠で蓋である前面扉の上部及び下部を側板及び底板に施錠するようになっている。
【特許文献1】実開昭64−43001号公報
【特許文献2】特開2001−335103号公報
【特許文献3】特開平11−321869号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところが、上記従来の回収ボックスのように、錠を1つとした場合、該錠から離間した箇所で蓋の周縁に隙間が形成されやすく、該蓋を無理にこじ開けられてしまい、防犯性に劣るという問題がある。一方、錠を複数とした場合、隙間は形成されにくくなり、防犯性は好適であるが、しかし施錠及び解錠の操作を各錠ごとに行わねばならず、煩雑となるという問題がある。
本発明は、このような従来技術に存在する問題点に着目してなされたものである。その目的とするところは、防犯性が好適であり、かつ施錠及び解錠の操作が簡易な回収ボックスを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記の目的を達成するために、請求項1に記載の回収ボックスの発明は、所定の回収物を収容するための本体箱と、該回収物を出し入れするために該本体箱に設けられた投入口及び取出口と、該取出口を閉塞するための蓋体と、該蓋体又は該本体箱に設けられたロック機構とを備えた回収ボックスであって、該ロック機構は、該本体箱に対して該蓋体をロックする施錠部と、該施錠部を操作する操作部とを有するとともに、該施錠部は、該蓋体又は該本体箱の一縁部と、該一縁部に対向する他縁部との少なくとも2箇所に設けられており、該操作部は、該蓋体又は該本体箱の1箇所にのみ設けられ、かつ各施錠部を連動させて操作するものであることを要旨とする。
上記構成によれば、施錠部が少なくとも2箇所に設けられているため、蓋体の周縁に隙間が形成されにくくなり、防犯性を好適なものとすることができる。また、操作部は1箇所にのみ設けられており、該1箇所の操作部で各施錠部を連動させて操作することができるため、施錠及び解錠の操作を簡易なものとすることができる。
【0005】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の回収ボックスの発明において、該本体箱には、所定の盗難防止具を取り付けるための取付金具が固定されていることを要旨とする。
上記構成によれば、取付金具を設け、該取付金具に所定の盗難防止具を取り付けることにより、回収ボックスそのものを盗難などされることを抑制することができる。
【0006】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の回収ボックスの発明において、該本体箱は、床面上に載置されて使用されるものであり、該投入口は、該本体箱の上面に設けられており、該取出口は、該本体箱の前面に設けられており、該施錠部は、該蓋体又は該本体箱の一縁部である上部と他縁部である下部とに設けられており、該操作部は、該蓋体又は該本体箱の上部に設けられていることを要旨とする。
上記構成によれば、例えば回収ボックスを机の足下に置くなどして使用する場合、椅子に座ったまま投入口へ紙類を投入したり、あるいは大きく屈むことなく施錠及び解錠の操作ができる等、回収ボックスの使い勝手を向上させることができる。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、防犯性が好適であり、かつ施錠及び解錠の操作が簡易なものとすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明を具体化した一実施形態について説明する。
図1及び図2に示すように、回収ボックスは、本体箱11を備えている。この本体箱11は、前面が開放された箱状に形成されており、底板12、左右一対の側板13、後板14及び天板15を有している。該本体箱11において、天板15には、本体箱11の内部に所定の回収物を投入するための投入口16がスリット状をなすように形成されている。そして、該本体箱11の前面には、本体箱11の内部の回収物を回収するための取出口17が設けられている。なお、所定の回収物としては、機密書類、廃棄書類、使用済みメモ等といった紙類、磁気ディスク、コンパクトディスク(CD)等といった情報記録媒体などが挙げられる。また、回収物は、底板12上に積み重なるように収容する、あるいは、本体箱11内にコンテナ、袋などを収納したうえで、該コンテナ、袋などの内部に収容する。
【0009】
該本体箱11の前部には、蓋体18が取り付けられている。この蓋体18は、本体箱11に対し、一側縁(図2中で左側縁)の取付部18aで回動可能に取り付けられている。従って、該蓋体18は、本体箱11に対して回動させることにより、該取出口17を閉塞及び開放することができるようになっている。
【0010】
該蓋体18には、該取出口17を閉塞した状態に該蓋体18を保持するためのロック機構として、2つの施錠部19と、1つの操作部20が設けられている。該施錠部19は、該本体箱11に対して該蓋体18をロックするためのものである。これら施錠部19の一つは、該蓋体18の内面(取出口17を閉塞した状態で本体箱11の内部側となる面)であって、平面状をなす部位のうち取付部18aから最も離間した位置となる他側縁部の上端縁部に設けられている。もう一つの施錠部19は、上端縁部に設けられた施錠部19に対向する位置となるように、該蓋体18の内面であって他側縁部の下端縁部に設けられている。また、操作部20は、該蓋体18の外面で鍵穴が開口されるように、蓋体18の上端縁部に設けられている。
【0011】
上記本体箱11の底板12、左右一対の側板13、後板14及び天板15と、蓋体18は、ブロー成形によって中空状に形成されている。ブロー成形は、成形形状の自由度が高いという利点を有しており、本実施形態の本体箱11及び蓋体18は、周縁部に丸みを持たせる成形形状としており、意匠性の向上が図られている。また、ブロー成形によって中空状に形成したことを利点とし、施錠部19及び操作部20は、可能な限り蓋体18に内装されている。
【0012】
また、本体箱11において、底板12には、所定の盗難防止具を取り付けるための取付金具21が装着されている(図1参照)。特に図示はしないが、該取付金具21は、底板12に埋め込まれるようにして固定されており、容易に脱着されないように構成されている。また、所定の盗難防止具としては、チェーン、ワイヤー、アラームなどが挙げられ、例えばチェーン、ワイヤーであれば取付金具21を机の脚に縛り付けたり、あるいはアラームであれば本体箱11を持ち上げた際に鳴るようにしたりすることで、回収ボックスの防犯性を高めることができる。
【0013】
ここで、上記施錠部19の構成を説明する。図3は、蓋体18をロックした状態の施錠部19を示しており、図4は、蓋体18のロックを解除した状態の施錠部19を示している。なお、図3及び図4では、施錠部19を蓋体18の内面側から見た状態を示している。
【0014】
施錠部19は、蓋体18の内面に固定された座板23と、該座板23に揺動自在に取り付けられた接続バー24と、該接続バー24の一端に接続されたカム25と、該接続バー24の他端に接続されたシャフト26とを備えている。該接続バー24は、中央に設けられた回動ピン24aを介して座板23に接続されている。また、接続バー24の他端において、該座板23と該接続バー24との間には、付勢部材であるコイルスプリング27が介設されている。
【0015】
該カム25は、扇状をなすガイド部25aと、該ガイド部25aの側縁から延設されたロック爪25bとからなり、該ロック爪25bを本体箱11の天板15に係止させることにより、蓋体18の上縁部を本体箱11にロックしている(図3参照)。該シャフト26は、基端となる上端が接続バー24と接続されるとともに、蓋体18の内部を通り、先端となる下端が下端縁部の施錠部19まで達している。そして、シャフト26は、その下端を本体箱11の底板12に係止させることにより、蓋体18の下縁部を本体箱11にロックしている(図3参照)。
【0016】
該カム25は、ガイド部25aにおいて、ねじ、ピンなどの接続部材25cによって操作部20のキーシリンダーに接続されており、該キーシリンダーの動作に伴って接続部材25bを中心に回動する。また、カム25のガイド部25aには、弧状をなすガイドスリット25dが形成されている。このガイドスリット25dは、一端から接続部材25cまでの長さr1が、他端から接続部材25cまでの長さr2に比べて長く(r1>r2)なるように形成されている。すなわち、該ガイドスリット25dは、一端から他端へ向かうに従い、カム25の回動中心となる接続部材25cまでの長さが短くなるように形成されている。そして、接続バー24は、その一端に突設されたガイドピン24bをカム25のガイドスリット25dに挿通することにより、該カム25と接続されている。
【0017】
一方、シャフト26は、その基端が接続バー24の他端に設けられた長孔(図示略)に挿通されるとともに、該基端に抜け止め用のキャップ26aが取り付けられることにより、接続バー24と接続されている。また、接続バー24の他端は、コイルスプリング27によって常に上方へ付勢されており、接続バー24の他端に接続されたシャフト26もまた、コイルスプリング27によって上方へ付勢されることとなる。
【0018】
さて、蓋体18のロックを解除する場合には、操作部20に鍵を差し込み、キーシリンダーを回転させると、まずカム25が接続部材25cを中心に、ロック爪25bを蓋体18内に収納させる方向(図3中で時計方向)に回動する。また、接続バー24は、ガイドピン24bがガイドスリット25dに案内されることにより、カム25に連動して回動ピン24aを中心に揺動する。このとき、ガイドスリット25dは、一端から接続部材25cまでの長さr1が、他端から接続部材25cまでの長さr2に比べて長い(r1>r2)ため、ガイドピン24bを押し下げるように、接続バー24の揺動を案内する。その結果、図4に示したように、接続バー24の一端が押し下げられる一方で、接続バー24の他端が押し上げられ、該接続バー24の他端は、カム25から伝達される回動力に加え、コイルスプリング27による付勢力も加わることにより、シャフト26を上方へ押し上げる。そして、カム25及びシャフト26による蓋体18のロックが略同時に解除される。
【0019】
一方、蓋体18をロックする場合には、蓋体18で取出口17を閉塞した後、操作部20に鍵を差し込み、キーシリンダーを回転させると、まずカム25が接続部材25cを中心として、ロック爪25bを蓋体18内から突出させる方向(図4中で反時計方向)に回動する。このとき、ガイドスリット25dは、他端から接続部材25cまでの長さr2が、一端から接続部材25cまでの長さr1に比べて短い(r2<r1)ため、ガイドピン24bを押し上げるように、接続バー24の揺動を案内する。その結果、図3に示したように、接続バー24の一端が押し上げられる一方、接続バー24の他端がコイルスプリング27の付勢力に抗して押し下げられることにより、シャフト26を下方へ押し下げる。そして、カム25及びシャフト26による蓋体18のロックが略同時に行われる。
【0020】
上記回収ボックスにおいては、蓋体18の取付部18aから略最も離れた位置である蓋体18の他側縁部に施錠部19が設けられており、さらに施錠部19が蓋体18の上端縁部及び下端縁部に2つ設けられているため、蓋体18をロックした状態で該蓋体18の周縁部に隙間が形成されにくい。従って、隙間から蓋体を無理にこじ開けることは難しく、防犯性が高い。また、これら2つの施錠部19は、1つの操作部20によって連動して操作可能であり、施錠及び解錠に係る操作は簡易である。また、蓋体18のロック及びその解除において、シャフト26を上下に移動させるとき、該シャフト26は、蓋体18の内部に挿通されているため、横方向への位置ずれが抑制される。このため、シャフト26の上下動を円滑なものとすることができ、該上下動に伴う騒音の発生を抑えることができる。
【0021】
なお、本実施形態においては、取出口17を本体箱11の前面に設けたが、これに限らず、本体箱11の側面、上面に設けてもよい。また、投入口16は、1つのみ設けることに限らず、複数設けてもよい。また、投入口16を複数設ける場合、天板15にのみ設けることに限らず、蓋体18、側板13、後板14に設けてもよい。また、施錠部19は、3つ以上設けてもよい。また、本実施形態では蓋体18にロック機構を設けたが、例えば一方の側板13にロック機構を内装するなど、本体箱11にロック機構を設けてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本実施形態の回収ボックスを示す斜視図。
【図2】本体箱の取出口を開放した状態を示す斜視図。
【図3】蓋体をロックした状態を示す正面図。
【図4】蓋体のロックを解除した状態を示す正面図。
【符号の説明】
【0023】
11…本体箱、16…投入口、17…取出口、18…蓋体、19…施錠部、20…操作部。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の回収物を収容するための本体箱と、該回収物を出し入れするために該本体箱に設けられた投入口及び取出口と、該取出口を閉塞するための蓋体と、該蓋体又は該本体箱に設けられたロック機構とを備えた回収ボックスであって、
該ロック機構は、該本体箱に対して該蓋体をロックする施錠部と、該施錠部を操作する操作部とを有するとともに、
該施錠部は、該蓋体又は該本体箱の一縁部と、該一縁部に対向する他縁部との少なくとも2箇所に設けられており、該操作部は、該蓋体又は該本体箱の1箇所にのみ設けられ、かつ各施錠部を連動させて操作するものであることを特徴とする回収ボックス。
【請求項2】
該本体箱には、所定の盗難防止具を取り付けるための取付金具が固定されている請求項1に記載の回収ボックス。
【請求項3】
該本体箱は、床面上に載置されて使用されるものであり、該投入口は、該本体箱の上面に設けられており、該取出口は、該本体箱の前面に設けられており、該施錠部は、該蓋体又は該本体箱の一縁部である上部と他縁部である下部とに設けられており、該操作部は、該蓋体又は該本体箱の上部に設けられている請求項1又は請求項2に記載の回収ボックス。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−145404(P2007−145404A)
【公開日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−345626(P2005−345626)
【出願日】平成17年11月30日(2005.11.30)
【出願人】(000000505)アロン化成株式会社 (317)
【Fターム(参考)】