説明

固体撮像装置

【課題】FDリーク、FD外光、PD外光の影響をキャンセルしシェーディングを無くすとともに、ノイズ(雑音)成分を低減したS/Nの高い画像信号を得ることができる固体撮像装置を提供する。
【解決手段】差動アンプ13は、FDがリセットされたときの画素信号を行毎に順次読み出す第1の読み出し動作、およびFDに転送された電荷に基づく画素信号を行毎に順次読み出す第2の読み出し動作のそれぞれにおいて、第1の行群に属する行から得られた画素信号と第2の行群に属する行から得られた画素信号とを用いて差分処理を行い、一行分の信号を得る。差分処理回路16は、第1の読み出し動作において差動アンプ13で得られた信号と、第2の読み出し動作において差動アンプ13で得られた信号とを用いて差分処理を行い、1フレーム分の画像信号を得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光電変換部を有し、所定領域の全画素で蓄積時間を同一とする固体撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、パーソナルコンピューターの急速な普及により、画像入力機器としての電子スチルカメラの需要が拡大している。電子スチルカメラの画質を決定する要素は幾つかあるが、その中でも撮像素子の画素数は撮影像の解像度を決定する大きな要素である。そのため、最近は1000万画素以上の多くの画素数を持った電子スチルカメラも商品化されている。このような高解像度の撮像素子を利用した撮像系では、撮像素子から信号を読み出す速度がボトルネックとなるので、構図決定時等に使用するファインダ用の信号を得るには適していない。このため、精密撮像モードと高速撮像モードを有し、精密撮像モード時には光信号とノイズ信号を読み出し、両者の差分をとることでS/Nの高い画像信号を取り出し、高速撮像モードでは光信号のみを読み出すことにより高速でリアルタイムなビデオ信号を取り出すことを可能にした撮像装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
しかしながら、上記従来例では、高速撮像モード時、全画素一括で光電変換素子をリセットし、蓄積時間が経過した後、全画素一括で光電変換素子から蓄積部(以後FDと呼ぶ)へ信号電荷を転送し、信号電荷に応じた信号を順次読み出すので、読み出しが後の方の画素ではFDに信号を保持する時間が長く、この時間中にFDの欠陥によって発生するリーク電流(以後FDリークと呼ぶ)、FDに光が当たることによって発生する電荷(以後FD外光と呼ぶ)により所望の電位を保てず、画像にシェーディングが発生していた。
【0004】
このため、シェーディングの補正を行う以下の撮像装置が提案されている(例えば、特許文献2参照)。この撮像装置は、高速撮像モード時、全画素一括で光電変換素子をリセットし、さらに全画素一括でリセットを解除した後、蓄積を開始し、蓄積時間が経過した後、隣接する第一の行群と第二の行群の内、第一の行群のみ光電変換素子からFDへ信号電荷を一括転送する。そして、順次信号を読み出す動作において、隣接する第一の行群と第二の行群の信号を減算して1行分の信号を得る。
【0005】
このように、FDにおける保持時間のほぼ等しい、隣接する第一の行と第二の行の信号の差分をとることで、保持時間中にFDの欠陥によって発生するリーク電流(以後FDリークと呼ぶ)、FDに光が当たることによって発生する電荷(以後FD外光と呼ぶ)がキャンセルされ、高速撮像モードではシェーディングが補正された信号を取り出すことが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2000−4403号公報
【特許文献2】特開2006−108889号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、シェーディングの補正を行う上記従来例では、蓄積時間中および順次信号を読み出している期間中に第一および第二の行群の光電変換素子に光が当たることによって発生する電荷がFDにまわりこむことによって発生する電荷(以後PD外光と呼ぶ)により所望の電位を保てず、出力変動が発生していた。また、画素固有のオフセットバラつきによる固定パターン雑音や、FDをリセットすることによって発生するKTC雑音が信号に重畳され、S/Nの高い信号を得ることができなかった。
【0008】
本発明は、上述した課題に鑑みてなされたものであって、FDリーク、FD外光、PD外光の影響をキャンセルしシェーディングを無くすとともに、ノイズ(雑音)成分を低減したS/Nの高い画像信号を得ることができる固体撮像装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたもので、光電変換部と、前記光電変換部で発生した電荷を蓄積する蓄積部と、前記光電変換部から前記蓄積部へ電荷を転送する転送部と、前記光電変換部をリセットする第1のリセット部と、前記蓄積部をリセットする第2のリセット部と、前記蓄積部の電位を画素信号として出力する出力部と、前記画素信号を出力する前記出力部を選択する選択部とを有する画素が行方向および列方向に二次元的に配列されているとともに、前記画素が行単位で第1の行群または第2の行群に属する画素部と、前記蓄積部がリセットされたときの前記画素信号を行毎に順次読み出す第1の読み出し動作において、前記第1の行群と前記第2の行群の前記光電変換部をリセットさせ、前記光電変換部がリセットされた後、前記光電変換部に電荷を蓄積する蓄積時間中、前記第1の行群のみ前記光電変換部をリセットさせ、前記第1の行群と前記第2の行群の前記光電変換部に蓄積された電荷を一括して前記蓄積部に転送する転送動作において、前記第1の行群と前記第2の行群の前記光電変換部のリセット動作を一時的に停止し、前記転送動作により前記蓄積部に転送された電荷に基づく前記画素信号を行毎に順次読み出す第2の読み出し動作において、前記第1の行群と前記第2の行群の前記光電変換部をリセットさせる制御を行う制御部と、前記第1の読み出し動作および前記第2の読み出し動作のそれぞれにおいて、前記第1の行群に属する行から得られた前記画素信号と前記第2の行群に属する行から得られた前記画素信号とを用いて差分処理を行い、一行分の信号を得る第1の差分処理部と、前記第1の読み出し動作において前記第1の差分処理部で得られた信号と、前記第2の読み出し動作において前記第1の差分処理部で得られた信号とを用いて差分処理を行い、1フレーム分の画像信号を得る第2の差分処理部と、を有することを特徴とする固体撮像装置である。
【0010】
また、本発明の固体撮像装置は、前記画素部において、前記第1の行群に属する1または複数の行と、前記第2の行群に属する1または複数の行とが交互に配列されていることを特徴とする。
【0011】
また、本発明の固体撮像装置は、前記蓄積時間内に発光装置を発光させることにより前記第2の差分処理部で得られた1フレーム分の画像と、前記蓄積時間内に前記発光装置の発光を停止することにより前記第2の差分処理部で得られた1フレーム分の画像信号とを用いて差分処理を行い、差分画像信号を得る第3の差分処理部をさらに有することを特徴とする。
【0012】
また、本発明の固体撮像装置において、前記画素の配列はベイヤー配列であり、前記第1の行群と前記第2の行群のカラーフィルタの配列が同一であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、第1の差分処理部による差分処理と、第2の差分処理部による差分処理とによって、FDリーク、FD外光、PD外光の影響をキャンセルしシェーディングを無くすとともに、ノイズ(雑音)成分を低減したS/Nの高い画像信号を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の第1の実施形態による固体撮像装置の構成を示す構成図である。
【図2】本発明の第1の実施形態による固体撮像装置の動作を示すタイミングチャートである。
【図3】本発明の第1の実施形態による固体撮像装置が行う差分処理の概念を示す参考図である。
【図4】本発明の第2の実施形態による固体撮像装置の構成を示す構成図である。
【図5】本発明の第2の実施形態による固体撮像装置の動作を示すタイミングチャートである。
【図6】本発明の第2の実施形態による固体撮像装置が行う差分処理の概念を示す参考図である。
【図7】本発明の第3の実施形態による固体撮像装置の画素配列を示す参考図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照し、本発明の実施形態を説明する。
【0016】
(第1の実施形態)
まず、本発明の第1の実施形態を説明する。図1は、本実施形態による固体撮像装置の構成を示している。図1に示す固体撮像装置は、画素部200、負荷電流源7、光信号転送ゲート8a、ノイズ信号転送ゲート8b、垂直走査回路10、ラインメモリ11、水平走査回路12、差動アンプ13、AD変換回路14、フレームメモリ15、および差分処理回路16を有する。
【0017】
画素部200は複数の画素100を有する。画素100は行方向および列方向に二次元的に配列されている。また、それぞれの画素100は行単位で第1の行群または第2の行群に属している。本実施形態では、一例として、第1の行群は奇数行(以下、ノイズ信号読み出し行とする)の画素100で構成され、第2の行群は偶数行(以下、光信号読み出し行とする)の画素100で構成されている。
【0018】
各画素100は、フォトダイオード1、FD(蓄積部)、転送スイッチ2、FDリセットスイッチ3、画素アンプ4、選択スイッチ5、およびPDリセットスイッチ9を有する。フォトダイオード1は、入射した光を光電変換により信号電荷に変換する。フォトダイオード1に信号電荷を蓄積する時間が蓄積時間である。FDは、蓄積時間中にフォトダイオード1で発生した信号電荷を蓄積する。転送スイッチ2は転送パルスφTXによって駆動され、フォトダイオード1からFDへ信号電荷を転送する。FDリセットスイッチ3はFDリセットパルスφRESによって駆動され、FDをリセットする。画素アンプ4は、FDの電位を入力とし、画素信号を出力する。選択スイッチ5は行選択パルスφSELによって駆動され、画素信号を出力する画素アンプ4を選択する。PDリセットスイッチ9はPDリセットパルスφPRによって駆動され、フォトダイオード1をリセットする。
【0019】
負荷電流源7と画素アンプ4はソースフォロワ回路を構成する。選択スイッチ5によって選択された行の画素信号は、信号出力線6(垂直信号線)に出力される。各画素100からは、蓄積時間中にフォトダイオード1に蓄積され、蓄積時間後にFDに保持された信号電荷に基づく光信号と、FDがリセットされたときのリセット信号と、蓄積時間中にフォトダイオード1がリセットされ、蓄積時間後にFDに保持されたリセット信号であるノイズ信号とが読み出される。光信号転送ゲート8aは、光信号読み出し行の画素100から信号出力線6に出力された画素信号をラインメモリ11へ出力する。ノイズ信号転送ゲート8bは、ノイズ信号読み出し行の画素100から信号出力線6に出力された画素信号をラインメモリ11へ出力する。ラインメモリ11は画素信号を一時記憶する。
【0020】
水平走査回路12は、ラインメモリ11に一時記憶された画素信号を制御パルスφHによって読み出す。差動アンプ13は、水平走査回路12によって読み出された2行分の画素信号の差分をとった信号(差分信号)を出力する。AD変換回路14は、差動アンプ13から出力された差分信号をデジタル信号に変換(AD変換)する。フレームメモリ15は、AD変換回路14から出力された各行の差分信号を1フレーム分まとめて一時記憶する。差分処理回路16は、先行する第1のフレームにおいてフレームメモリ15に記憶された差分信号と、第1のフレームに続く第2のフレームにおいてAD変換回路14から出力された差分信号との差分をとった1フレーム分の画像信号を出力する。
【0021】
垂直走査回路10は、各種駆動パルスを画素100へ出力することによって、画素100における画素信号の読み出しを制御する。また、垂直走査回路10は、フォトダイオード1のリセット動作に関して、以下の制御を行う。
【0022】
垂直走査回路10は、FDがリセットされたときの画素信号を行毎に順次読み出す第1の読み出し動作において、ノイズ信号読み出し行と光信号読み出し行の画素100のフォトダイオード1を一括してリセットさせ、続いて、蓄積時間中、ノイズ信号読み出し行の画素100についてのみフォトダイオード1をリセットさせる。また、垂直走査回路10は、ノイズ信号読み出し行と光信号読み出し行の画素100のフォトダイオード1に蓄積された信号電荷を一括してFDに転送する転送動作において、ノイズ信号読み出し行と光信号読み出し行の画素100におけるフォトダイオード1のリセット動作を一時的に停止する。
【0023】
また、垂直走査回路10は、転送動作によりFDに転送された信号電荷に基づく画素信号を行毎に順次読み出す第2の読み出し動作において、ノイズ信号読み出し行と光信号読み出し行の画素100のフォトダイオード1を一括してリセットさせる。フォトダイオード1のリセットに係る上記の制御の詳細については、固体撮像装置の動作と共に説明する。
【0024】
次に、固体撮像装置の動作を説明する。図2は、垂直走査回路10が出力する駆動パルスの波形を示している。以下では、固体撮像装置が有するストロボの発光量を調整するためのストロボ調光用信号を得る場合を例に説明する。
【0025】
以下では、リセットフレームの読み出し動作、蓄積動作、ビデオフレームの読み出し動作に分けて動作を説明する。リセットフレームの読み出し動作では、FDがリセットされたときのリセット信号がノイズ信号読み出し行および光信号読み出し行の画素100から読み出される。ビデオフレームの読み出し動作では、蓄積時間中にフォトダイオード1に蓄積され、蓄積時間後にFDに保持された信号電荷に基づく光信号が光信号読み出し行の画素100から読み出され、蓄積時間中にフォトダイオード1がリセットされ、蓄積時間後にFDに保持されたリセット信号であるノイズ信号がノイズ信号読み出し行の画素100から読み出される。
【0026】
まず、全ての偶数行(光信号読み出し行)のPDリセットパルスφPR(一括PDリセットパルスφALL_PR(even)とする)と、全ての奇数行(ノイズ信号読み出し行)のPDリセットパルスφPR(一括PDリセットパルスφALL_PR(odd)とする)との両方をHighにすることにより、全画素100のフォトダイオード1が一括でリセットされる。同時に、時系列的に1行目から順次FDリセットパルスφRES(図示せず)をHighにすることにより、FDのリセットが行われ、行選択パルスφSEL(図示せず)により選択された行の画素信号が信号出力線6に出力される。
【0027】
ノイズ信号読み出し行の画素100から信号出力線6に出力された画素信号(VN(1)、VN(3)、・・・)は、ノイズ信号転送ゲート8bを介してラインメモリ11に書き込まれる。VN(2n−1)は、2n−1(n=1,2,・・・)行目の画素100から信号出力線6に出力された画素信号である。また、光信号読み出し行の画素100から信号出力線6に出力された画素信号(VS(2)、VS(4)、・・・)は、光信号転送ゲート8aを介して、ノイズ読み出し行の画素信号が書き込まれた領域とは別の領域のラインメモリ11に書き込まれる。VS(2n)は、2n(n=1,2,・・・)行目の画素100から信号出力線6に出力された画素信号である。
【0028】
続いて、水平走査回路12は、光信号読み出し行とノイズ信号読み出し行のそれぞれの画素信号をラインメモリ11から読み出す。差動アンプ13は、光信号読み出し行の画素信号とノイズ信号読み出し行の画素信号との差分をとった差分信号(VS(2)−VN(1)、VS(4)−VN(3)、・・・)を出力する。この差分信号は、行毎にAD変換回路14によりデジタル信号に変換され、フレームメモリ15に記憶される。全行の画素信号がラインメモリ11から読み出され、差分信号が生成されると、リセットフレームの読み出し動作が終了する。
【0029】
続いて、光信号読み出し行の一括PDリセットパルスφALL_PR(even)をLowにすることにより、信号の蓄積時間が開始される。ノイズ信号読み出し行の一括PDリセットパルスφALL_PR(odd)はHighのままである。所定の時間が経過した後、ノイズ信号読み出し行の一括PDリセットパルスφALL_PR(odd)をLowにすることにより、蓄積時間が終了する。蓄積時間中にはストロボ調光用の発光が行われる。
【0030】
続いて、全行の転送パルス(φALL_TXとする)をHighにすることにより、光信号読み出し行およびノイズ信号読み出し行のフォトダイオード1の信号電荷がFDへ一括で転送される。FDへの信号電荷の転送が終了した後、光信号読み出し行の一括PDリセットパルスφALL_PR(even)およびノイズ信号読み出し行の一括PDリセットパルスφALL_PR(odd)をHighにすることにより、PDのリセットが行われる。
【0031】
さらに、時系列的に1行目から、行選択パルスφSEL(図示せず)により選択された行の画素信号が信号出力線6に出力される。ノイズ信号読み出し行の画素100から信号出力線6に出力された画素信号(VN’(1)、VN’(3)、・・・)は、ノイズ信号転送ゲート8bを介してラインメモリ11に書き込まれる。また、光信号読み出し行の画素100から信号出力線6に出力された画素信号(VS’(2)、VS’(4)、・・・)は、光信号転送ゲート8aを介して、ノイズ読み出し行の画素信号が書き込まれた領域とは別の領域のラインメモリ11に書き込まれる。
【0032】
続いて、水平走査回路12は、光信号読み出し行とノイズ信号読み出し行のそれぞれの画素信号をラインメモリ11から読み出す。差動アンプ13は、光信号読み出し行の画素信号とノイズ信号読み出し行の画素信号との差分をとった差分信号(VS’(2)−VN’(1)、VS’(4)−VN’(3)、・・・)を出力する。この差分信号は、AD変換回路14によりデジタル信号に変換される。また、リセットフレームの読み出し動作時にフレームメモリ15に記憶された差分信号がフレームメモリ15から読み出される。
【0033】
続いて、差分処理回路16は、AD変換回路14から出力された差分信号(VS’(2)−VN’(1)、VS’(4)−VN’(3)、・・・)と、フレームメモリ15から読み出された差分信号(VS(2)−VN(1)、VS(4)−VN(3)、・・・)との差分をとり、1フレーム分の画像信号を出力する。1フレーム分の画像信号が生成されると、ビデオフレームの読み出し動作が終了する。
【0034】
このような動作により、ビデオフレームの読み出し動作時に光信号読み出し行の画素100から読み出される画素信号(VS’(even))には、以下の信号が含まれる。
・蓄積時間中にフォトダイオード1で発生した信号電荷に基づく光信号(この説明ではVPとする)
・ノイズ信号であるFDリーク(この説明ではVSFDリークとする)
・FDに光が当たることにより発生する信号(この説明ではVS外光とする)
・画素毎のオフセットばらつき成分である画素固定パターン雑音(この説明ではVSFPNとする)
・FDをリセットすることにより発生するKTC雑音(この説明ではVSKTCとする)
【0035】
同様に、ビデオフレームの読み出し動作時にノイズ信号読み出し行の画素100から読み出される画素信号(VN’(odd))には、以下の信号が含まれる。
・ノイズ信号であるFDリーク(この説明ではVNFDリークとする)
・FDに光が当たることにより発生する信号(この説明ではVN外光とする)
・画素毎のオフセットばらつき成分である画素固定パターン雑音(この説明ではVNFPNとする)
・FDをリセットすることにより発生するKTC雑音(この説明ではVNKTCとする)
【0036】
一方、リセットフレームの読み出し動作時に光信号読み出し行の画素100から読み出される画素信号(VS’(even))には、以下の信号が含まれる。
・画素毎のオフセットばらつき成分である画素固定パターン雑音(この説明ではVSFPNとする)
・FDをリセットすることにより発生するKTC雑音(この説明ではVSKTCとする)
【0037】
同様に、リセットフレームの読み出し動作時にノイズ信号読み出し行の画素100から読み出される画素信号(VN’(odd))には、以下の信号が含まれる。
・画素毎のオフセットばらつき成分である画素固定パターン雑音(この説明ではVNFPNとする)
・FDをリセットすることにより発生するKTC雑音(この説明ではVNKTCとする)
【0038】
よって、ビデオフレームの読み出し動作時に光信号読み出し行の画素100から読み出される画素信号をVS’(even)として文字式で表すと、(1)式となる。
VS’(even)=VP+VSFDリーク+VS外光+VSFPN+VSKTC ・・・(1)
【0039】
また、ビデオフレームの読み出し動作時にノイズ信号読み出し行の画素100から読み出される画素信号をVN’(odd)として文字式で表すと、(2)式となる。
VN’(odd)=VNFDリーク+VN外光+VNFPN+VNKTC ・・・(2)
【0040】
また、リセットフレームの読み出し動作時に光信号読み出し行の画素100から読み出される画素信号をVS(even)として文字式で表すと、(3)式となる。
VS(even)=VSFPN+VSKTC ・・・(3)
【0041】
また、リセットフレームの読み出し動作時にノイズ信号読み出し行の画素100から読み出される画素信号をVN(odd)として文字式で表すと、(4)式となる。
VN(odd)=VNFPN+VNKTC ・・・(4)
【0042】
図3は、画素信号の差分をとる概念を示している。図3では、差動アンプ13により行われる差分処理が差分処理300,301で表され、差分処理回路16により行われる差分処理が差分処理302で表されている。
【0043】
リセットフレームの読み出し動作時に光信号読み出し行の画素100から読み出される画素信号VS(even)と、ノイズ信号読み出し行の画素100から読み出される画素信号VN(odd)との差分を文字式で表すと、(5)式となる。
VS(even)−VN(odd)
=VSFPN+VSKTC−(VNFPN+VNKTC)
=VSFPN+VSKTC−VNFPN−VNKTC ・・・(5)
【0044】
また、ビデオフレームの読み出し動作時に光信号読み出し行の画素100から読み出される画素信号VS’(even)と、ノイズ信号読み出し行の画素100から読み出される画素信号VN’(odd)との差分を文字式で表すと、(6)式となる。
VS’(even)−VN’(odd)
=VP+VSFDリーク+VS外光+VSFPN+VSKTC−(VNFDリーク+VN外光+VNFPN+VNKTC)
=VP+VSFDリーク+VS外光+VSFPN+VSKTC−VNFDリーク−VN外光−VNFPN−VNKTC ・・・(6)
【0045】
さらに、差分処理回路16により行われる差分処理の結果を文字式で表すと、(7)式となる。
VS’(even)−VN’(odd)−(VS(even)−VN(odd))
=VP+VSFDリーク+VS外光+VSFPN+VSKTC−VNFDリーク−VN外光−VNFPN−VNKTC−(VSFPN+VSKTC−VNFPN−VNKTC)
=VP+VSFDリーク+VS外光+VSFPN+VSKTC−VNFDリーク−VN外光−VNFPN−VNKTC−VSFPN−VSKTC+VNFPN+VNKTC
=VP+VSFDリーク+VS外光−VNFDリーク−VN外光 ・・・(7)
【0046】
本実施形態では、光信号読み出し行とノイズ信号読み出し行は偶数行と奇数行であり、隣接している。これにより、FDに光が当たることによって発生する電荷はほぼ等しいと考えられることから、VS外光≒VN外光となる。
【0047】
一方、FDの暗電流成分であるFDリークについては、以下のようになる。画素信号の読み出しは、1行目から最終行目に向かって順次行われ、隣接している2つの行ではFDの保持時間がほぼ等しいため、FDリークはある程度等しいと考えられることから、VSFDリーク≒VNFDリークとなる。
【0048】
よって、(7)式のように差分をとることで、(8)式のようになり、良好な信号を得ることができる。ここではFDリークの差分をVFDリークばらつきと定義する。
VS’(even)−VN’(odd)−(VS(even)−VN(odd))
=VP+VSFDリーク+VS外光−VNFDリーク−VN外光
=VP+(VFDリークばらつき) ・・・(8)
【0049】
なお、図2において、蓄積時間の経過後、ノイズ信号読み出し行において一括PDリセットパルスφALL_PR(odd)がLowとなり、フォトダイオード1のリセットが解除されている。この理由は、フォトダイオード1をリセットしたままだと、転送パルスφALL_TXがHighになったときにノイズ信号読み出し行のFDが、転送スイッチ2およびPDリセットスイッチ9を介してリセットされ、光信号読み出し行とノイズ信号読み出し行との間でVS外光、KTCノイズ、FDリークが異なるものになってしまうからである。
【0050】
上述したように、本実施形態によれば、蓄積時間中のノイズ信号読み出し行およびビデオフレーム読み出し期間中の全ての行のフォトダイオード1が常時リセット状態となっているため、フォトダイオード1に光が当たることによって発生する電荷がFDにまわりこむことによって発生する電荷(PD外光)が発生しない。また、高速撮像時においてもビデオフレームとリセットフレームの差分処理を行うことで、画素毎のばらつき成分である固定パターン雑音や、FDをリセットすることによって発生するKTC雑音がキャンセルされる。さらに、隣接するノイズ信号読み出し行と光信号読み出し行におけるFD外光およびFDリークがほぼ等しいことから、ビデオフレームとリセットフレームの差分処理を行うことで、FD外光およびFDリークが低減される。
【0051】
したがって、FDリーク、FD外光、PD外光の影響をキャンセルしシェーディングを無くすとともに、ノイズ(雑音)成分を低減したS/Nの高い画像信号を得ることができる。また、より高精度なストロボ調光を行うことができる。より効果を高めるためには、第1の行群に属する1または複数の行と、第2の行群に属する1または複数の行とを交互に配列し、行毎のFDのリセットおよび画素信号の読み出しが、所定領域を構成する第1の行から第2の行に向かって一方向に順次行われることが望ましい。
【0052】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態を説明する。図4は、本実施形態による固体撮像装置の構成を示している。図4に示す構成のうち図1に示した構成と同一の構成については同一の符号を付与し、説明を省略する。図4に示す固体撮像装置は、図1に示した固体撮像装置に対して、フレームメモリ17と差分処理回路18を加えたものである。
【0053】
フレームメモリ17は、差分処理回路16から出力されたフレームの画像信号を一時記憶する。フレームメモリ17はフレームメモリ15と同一でもよい。差分処理回路18は、フレームメモリ17に記憶された画像信号と、差分処理回路16から出力された画像信号との差分をとった1フレーム分の差分画像信号を出力する。
【0054】
次に、本実施形態による固体撮像装置の動作を説明する。図5は、垂直走査回路10が出力する駆動パルスの波形を示している。図5に示す動作において、図2に示す動作との相違点は、第1のリセットフレームの読み出し動作と第2のリセットフレームの読み出し動作との2回のリセットフレームの読み出し動作を行っている点、第1のビデオフレームの読み出し動作と第2のビデオフレームの読み出し動作との2回のビデオフレームの読み出し動作を行っている点、第1のリセットフレームと第1のビデオフレームとの間にストロボを発光させ、第2のリセットフレームと第2のビデオフレームとの間にはストロボを発光させていない点、第1のビデオフレームと第1のリセットフレームとの差分による画像信号と、第2のビデオフレームと第2のリセットフレームとの差分による画像信号との差分処理を行っている点である。ここで、第1のビデオフレームの蓄積時間と、第2のビデオフレームの蓄積時間は等しいものとする。
【0055】
まず、全画素100のフォトダイオード1が一括でリセットされ、さらに時系列的に1行目から順次FDのリセットが行われ、行選択パルスφSEL(図示せず)により選択された行の画素信号が信号出力線6に出力される。ノイズ信号読み出し行の画素100から信号出力線6に出力された画素信号(VN1(1)、VN1(3)、・・・)は、ノイズ信号転送ゲート8bを介してラインメモリ11に書き込まれる。また、光信号読み出し行の画素100から信号出力線6に出力された画素信号(VS1(2)、VS1(4)、・・・)は、光信号転送ゲート8aを介して、ノイズ読み出し行の画素信号が書き込まれた領域とは別の領域のラインメモリ11に書き込まれる。
【0056】
続いて、水平走査回路12によって、光信号読み出し行とノイズ信号読み出し行のそれぞれの画素信号がラインメモリ11から読み出され、差動アンプ13によって、光信号読み出し行の画素信号とノイズ信号読み出し行の画素信号との差分をとった差分信号(VS1(2)−VN1(1)、VS1(4)−VN1(3)、・・・)が生成される。この差分信号は、行毎にAD変換回路14によりデジタル信号に変換され、フレームメモリ15に記憶される。全行の画素信号がラインメモリ11から読み出され、差分信号が生成されると、第1のリセットフレームの読み出し動作が終了する。
【0057】
続いて、信号の蓄積時間が開始され、蓄積時間中にストロボによる発光が行われる。蓄積時間が終了した後、光信号読み出し行およびノイズ信号読み出し行のフォトダイオード1の信号電荷がFDへ一括で転送される。さらに、行選択パルスφSEL(図示せず)により選択された行の画素信号が信号出力線6に出力される。ノイズ信号読み出し行の画素100から信号出力線6に出力された画素信号(VN1’(1)、VN1’(3)、・・・)は、ノイズ信号転送ゲート8bを介してラインメモリ11に書き込まれる。また、光信号読み出し行の画素100から信号出力線6に出力された画素信号(VS1’(2)、VS1’(4)、・・・)は、光信号転送ゲート8aを介して、ノイズ読み出し行の画素信号が書き込まれた領域とは別の領域のラインメモリ11に書き込まれる。
【0058】
続いて、水平走査回路12によって、光信号読み出し行とノイズ信号読み出し行のそれぞれの画素信号がラインメモリ11から読み出され、差動アンプ13によって、光信号読み出し行の画素信号とノイズ信号読み出し行の画素信号との差分をとった差分信号(VS1’(2)−VN1’(1)、VS1’(4)−VN1’(3)、・・・)が生成される。この差分信号は、AD変換回路14によりデジタル信号に変換される。また、第1のリセットフレームの読み出し動作時にフレームメモリ15に記憶された差分信号がフレームメモリ15から読み出される。
【0059】
続いて、差分処理回路16は、AD変換回路14から出力された差分信号(VS1’(2)−VN1’(1)、VS1’(4)−VN1’(3)、・・・)と、フレームメモリ15から読み出された差分信号(VS1(2)−VN1(1)、VS1(4)−VN1(3)、・・・)との差分をとり、1フレーム分の画像信号を出力する。この画像信号はフレームメモリ17に書き込まれる。1フレーム分の画像信号が生成されると、第1のビデオフレームの読み出し動作が終了する。
【0060】
続いて、第2のリセットフレームの読み出し動作が行われ、第1のリセットフレームの読み出し動作と同様に、ノイズ信号読み出し行の画素100から信号出力線6に出力された画素信号(VN2(1)、VN2(3)、・・・)と、光信号読み出し行の画素100から信号出力線6に出力された画素信号(VS2(2)、VS2(4)、・・・)とがラインメモリ11に書き込まれる。
【0061】
続いて、信号の蓄積時間が開始される。この蓄積時間中にストロボによる発光は行われない。
【0062】
続いて、第2のビデオフレームの読み出し動作が行われ、第1のビデオフレームの読み出し動作と同様に、ノイズ信号読み出し行の画素100から信号出力線6に出力された画素信号(VN2’(1)、VN2’(3)、・・・)と、光信号読み出し行の画素100から信号出力線6に出力された画素信号(VS2’(2)、VS2’(4)、・・・)とがラインメモリ11に書き込まれる。
【0063】
続いて、水平走査回路12によって、光信号読み出し行とノイズ信号読み出し行のそれぞれの画素信号がラインメモリ11から読み出され、差動アンプ13によって、光信号読み出し行の画素信号とノイズ信号読み出し行の画素信号との差分をとった差分信号(VS1’(2)−VN1’(1)、VS1’(4)−VN1’(3)、・・・)が生成される。この差分信号は、AD変換回路14によりデジタル信号に変換される。また、第2のリセットフレームの読み出し動作時にフレームメモリ15に記憶された差分信号がフレームメモリ15から読み出される。
【0064】
続いて、差分処理回路16は、AD変換回路14から出力された差分信号(VS2’(2)−VN2’(1)、VS2’(4)−VN2’(3)、・・・)と、フレームメモリ15から読み出された差分信号(VS2(2)−VN2(1)、VS2(4)−VN2(3)、・・・)との差分をとり、1フレーム分の画像信号を出力する。また、第1のビデオフレームの読み出し動作時にフレームメモリ17に記憶された画像信号がフレームメモリ17から読み出される。差分処理回路18は、差分処理回路16から出力された画像信号と、フレームメモリ17から読み出された画像信号との差分をとり、差分画像信号を出力する。
【0065】
図6は、画素信号の差分をとる概念を示している。図6では、差動アンプ13により行われる差分処理が差分処理600,601,602,603で表され、差分処理回路16により行われる差分処理が差分処理604,605で表され、差分処理回路18により行われる差分処理が差分処理606で表されている。
【0066】
第1の実施形態と同様に、第1のビデオフレームの読み出し動作で得られた差分信号と第1のリセットフレームの読み出し動作で得られた差分信号との差分処理を文字式で表すと、(9)式となる。
VS1’(even)−VN1’(odd)−(VS1(even)−VN1(odd))
=VP1+VSFDリーク1+VS外光1+VSFPN1+VSKTC1−VNFDリーク1−VN外光1−VNFPN1−VNKTC1−(VSFPN1+VSKTC1−VNFPN1−VNKTC1)
=VP1+VSFDリーク1+VS外光1+VSFPN1+VSKTC1−VNFDリーク1−VN外光1−VNFPN1−VNKTC1−VSFPN1−VSKTC1+VNFPN1+VNKTC1
=VP1+VSFDリーク1+VS外光1−VNFDリーク1−VN外光1 ・・・(9)
【0067】
また、第2のビデオフレームの読み出し動作で得られた差分信号と第2のリセットフレームの読み出し動作で得られた差分信号との差分処理を文字式で表すと、(10)式となる。
VS2’(even)−VN2’(odd)−(VS2(even)−VN2(odd))
=VP2+VSFDリーク2+VS外光2+VSFPN2+VSKTC2−VNFDリーク2−VN外光2−VNFPN2−VNKTC2−(VSFPN2+VSKTC2−VNFPN2−VNKTC2)
=VP2+VSFDリーク2+VS外光2+VSFPN2+VSKTC2−VNFDリーク2−VN外光2−VNFPN2−VNKTC2−VSFPN2−VSKTC2+VNFPN2+VNKTC2
=VP2+VSFDリーク2+VS外光2−VNFDリーク2−VN外光2 ・・・(10)
【0068】
よって、(9)式と(10)式の差分をとることで得られる出力は(11)式となる。
出力
=VS2’(even)−VN2’(odd)−(VS2(even)−VN2(odd))−VS1’(even)−VN1’(odd)−(VS1(even)−VN1(odd))
=VP1+VSFDリーク1+VS外光1−VNFDリーク1−VN外光1−(VP2+VSFDリーク2+VS外光2−VNFDリーク2−VN外光2)
=VP1+VSFDリーク1+VS外光1−VNFDリーク1−VN外光1−VP2−VSFDリーク2−VS外光2+VNFDリーク2+VN外光2 ・・・(11)
【0069】
第1の実施形態と同様に、光信号読み出し行とノイズ信号読み出し行は偶数行と奇数行であり、隣接している。これにより、FDに光が当たることによって発生する電荷はほぼ等しいと考えられることから、VS外光1≒VN外光1、VS外光2≒VN外光2となる。
【0070】
また、第1のビデオフレームの蓄積時間と第2のビデオフレームの蓄積時間は等しく、第1のビデオフレームの読み出し期間と、第2のビデオフレームの読み出し期間は等しい。よって、VSFDリーク1=VSFDリーク2、VNFDリーク1=VNFDリーク2となる。
【0071】
また、第1のビデオフレームの蓄積時間中にフォトダイオード1で発生した信号電荷に基づく光信号であるVP1には、ストロボ光による信号成分(以後VPSと呼ぶ)と、外光による信号成分(以後VE1と呼ぶ)とが含まれる。また、第2のビデオフレームの蓄積時間中にフォトダイオード1で発生した信号電荷に基づく光信号であるVP2には、第1のビデオフレームの蓄積時間と同一の蓄積時間の外光による信号成分(以後VE2と呼ぶ)が含まれる。よって、(11)式の出力は、(12)式となる。
出力=VPS+VE1−VE2 ・・・(12)
【0072】
ここで、第1のビデオフレームと第2のビデオフレームの蓄積時間は等しいことから、VE1≒VE2となる。よって、最終出力は、出力=VPSとなり、良好な信号を得ることができる。
【0073】
上述したように、本実施形態によれば、第1の実施形態と同様の効果が得られる。さらに、上記のように差分信号同士の差分をとることで、FDの暗電流成分であるFDリークをキャンセルできるとともに、ストロボ光以外の外光の影響をキャンセルできる。これにより、さらに高精度なストロボ調光を行うことができる。
【0074】
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態を説明する。本実施形態による固体撮像装置の構成は、図1または図4に示した構成と同様である。ただし、画素部200における画素100の配列は以下のようになっている。
【0075】
図7は、画素部200における画素100の配列の様子を示している。画素100の前面にはカラーフィルタが配列されており、図7はカラーフィルタの配列に着目して画素100の配列を示している。ある行に着目すると、Gr(Green)、R(Red)、Gr(Green)、R(Red)・・・と画素が交互に配列されており、隣接する行に着目すると、B(Blue)、Gb(Green)、B(Blue)、Gb(Green)・・・と画素が交互に配列されている。そして、2行周期でこの配列が繰り返される、所謂ベイヤー配列が構成されている。
【0076】
このような配列の場合、光信号読み出し行、ノイズ信号読み出し行を、偶数行、奇数行としてしまうと、差分処理の際に異なる色情報の信号を減算してしまうことになる。この場合、適切な画像処理が行えなくなってしまうため、本実施形態においては、2行毎に光信号読み出し行VS、ノイズ信号読み出し行VNを設定し、2行とばしで減算を行う。
【0077】
具体的には、光信号読み出し行VS1から得られた画素信号とノイズ信号読み出し行VN1から得られた画素信号との減算を行い、光信号読み出し行VS2から得られた画素信号とノイズ信号読み出し行VN2から得られた画素信号との減算を行う。光信号読み出し行VS3,VS4およびノイズ信号読み出し行VN3,VN4についても同様に、同一の画素配列の行毎に画素信号の減算を行う。
【0078】
以上のように構成することで、一般的なベイヤー配列を有する固体撮像装置においても、第1の実施形態および第2の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0079】
以上、図面を参照して本発明の実施形態について詳述してきたが、具体的な構成は上記の実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。例えば、上記の各実施形態においては、光信号読み出し行から得られた画素信号と、ノイズ信号読み出し行から得られた画素信号との差分処理を、ラインメモリおよび後段の差動アンプを用いて行ったが、本発明の効果が得られるのであればこの構成である必要はない。また、列毎にA/D変換器を設ける所謂カラムパラレルADC方式を用いても同等の効果が得られるのはいうまでもない。
【符号の説明】
【0080】
1・・・フォトダイオード(光電変換部)、2・・・転送スイッチ(転送部)、3・・・FDリセットスイッチ(第2のリセット部)、4・・・画素アンプ(出力部)、5・・・選択スイッチ(選択部)、6・・・信号出力線、7・・・負荷電流源、8a・・・光信号転送ゲート、8b・・・ノイズ信号転送ゲート、9・・・PDリセットスイッチ(第1のリセット部)、10・・・垂直走査回路(制御部)、11・・・ラインメモリ、12・・・水平走査回路、13・・・差動アンプ(第1の差分処理部)、14・・・AD変換回路、15,17・・・フレームメモリ、16,18・・・差分処理回路(第2の差分処理部、第3の差分処理部)、100・・・画素、200・・・画素部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光電変換部と、前記光電変換部で発生した電荷を蓄積する蓄積部と、前記光電変換部から前記蓄積部へ電荷を転送する転送部と、前記光電変換部をリセットする第1のリセット部と、前記蓄積部をリセットする第2のリセット部と、前記蓄積部の電位を画素信号として出力する出力部と、前記画素信号を出力する前記出力部を選択する選択部とを有する画素が行方向および列方向に二次元的に配列されているとともに、前記画素が行単位で第1の行群または第2の行群に属する画素部と、
前記蓄積部がリセットされたときの前記画素信号を行毎に順次読み出す第1の読み出し動作において、前記第1の行群と前記第2の行群の前記光電変換部をリセットさせ、
前記光電変換部がリセットされた後、前記光電変換部に電荷を蓄積する蓄積時間中、前記第1の行群のみ前記光電変換部をリセットさせ、
前記第1の行群と前記第2の行群の前記光電変換部に蓄積された電荷を一括して前記蓄積部に転送する転送動作において、前記第1の行群と前記第2の行群の前記光電変換部のリセット動作を一時的に停止し、
前記転送動作により前記蓄積部に転送された電荷に基づく前記画素信号を行毎に順次読み出す第2の読み出し動作において、前記第1の行群と前記第2の行群の前記光電変換部をリセットさせる制御を行う制御部と、
前記第1の読み出し動作および前記第2の読み出し動作のそれぞれにおいて、前記第1の行群に属する行から得られた前記画素信号と前記第2の行群に属する行から得られた前記画素信号とを用いて差分処理を行い、一行分の信号を得る第1の差分処理部と、
前記第1の読み出し動作において前記第1の差分処理部で得られた信号と、前記第2の読み出し動作において前記第1の差分処理部で得られた信号とを用いて差分処理を行い、1フレーム分の画像信号を得る第2の差分処理部と、
を有することを特徴とする固体撮像装置。
【請求項2】
前記画素部において、前記第1の行群に属する1または複数の行と、前記第2の行群に属する1または複数の行とが交互に配列されていることを特徴とする請求項1に記載の固体撮像装置。
【請求項3】
前記蓄積時間内に発光装置を発光させることにより前記第2の差分処理部で得られた1フレーム分の画像と、前記蓄積時間内に前記発光装置の発光を停止することにより前記第2の差分処理部で得られた1フレーム分の画像信号とを用いて差分処理を行い、差分画像信号を得る第3の差分処理部をさらに有することを特徴とする請求項1に記載の固体撮像装置。
【請求項4】
前記画素の配列はベイヤー配列であり、前記第1の行群と前記第2の行群のカラーフィルタの配列が同一であることを特徴とする請求項1に記載の固体撮像装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−188200(P2011−188200A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−50766(P2010−50766)
【出願日】平成22年3月8日(2010.3.8)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】