圃場の地熱及び/又は茶果樹熱の放熱等をエアカーテンで防止する圃場用の送風方法
【課題】従来の防霜を意図した送風方法としては、建柱上に設けた送風ファンを利用した方法が一般的であったが、さらなる防霜効果の拡充を意図して、筒状のケーシングとファンでなる新規な防霜方法が市場で期待される状況となっている。この新規な防霜方法は、原則として従来の延長線上の防霜方法であるので、さらなる改良が望まれている。
【構成】本発明は、圃場の送風ファンを介して圃場の略全体に送風することを必須要件とする圃場の地熱・茶果樹熱の放熱等をエアカーテンで防止する送風方法であって、:少なくとも送風は、気流の流れ方向に行う:圃場の略全体をカバーし、この圃場の作物の全体を包み込む暖気の送風を行うことで、エアカーテンによる覆いを確保する:一定方向に常時及び/又は直線的な暖気の送風を行う:圃場の地熱の放熱を無くす暖気の送風を行う送風方法。
【構成】本発明は、圃場の送風ファンを介して圃場の略全体に送風することを必須要件とする圃場の地熱・茶果樹熱の放熱等をエアカーテンで防止する送風方法であって、:少なくとも送風は、気流の流れ方向に行う:圃場の略全体をカバーし、この圃場の作物の全体を包み込む暖気の送風を行うことで、エアカーテンによる覆いを確保する:一定方向に常時及び/又は直線的な暖気の送風を行う:圃場の地熱の放熱を無くす暖気の送風を行う送風方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地熱・逆転層の暖気利用及び/又は防霜(生育環境の確保及び/又は外的条件に有効に対応できる資質、或いは環境の保護等)を意図した圃場の地熱及び/又は茶果樹熱の放熱等をエアカーテンで防止する圃場用の送風方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の防霜を意図した送風方法としては、建柱上に設けた防霜ファンを利用した方法が一般的であったが、さらなる防霜効果の拡充を意図して、筒状のケーシングとファン(羽根車)でなる防霜方法(新しい防霜方法とする)が市場で期待される状況となっている。この新しい防霜方法としては、本出願人が提案する特開2004−190629の「多頭方式の低所式防霜ファン装置」(文献(1)とする)がある。この発明は、円筒状の筒体に設けた防霜用のファン及び整流板と、並びに防霜ファンと、この防霜ファンを駆動するモータで構成した低所式防霜ファンであって、この低所式防霜ファンを複数基設けたことを特徴とする。そして、この発明は、防霜ファンの送風範囲をワイドに設定することで、小さい首振り動作を介して効率的に送風するとともに、送風を広範囲で効率的に行うことで、効率的な防霜効果を達成すること、又は低所式防霜ファン装置の台数の減少と、コストの削減化を図ること等を意図する。
【0003】
また本発明は、前述した防霜ファンによる送風方法に代替する新規発明で、優れた防霜効果を有し、かつ自然の摂理を利用した送風方法を提案する。そして、これに類する先行文献は検索できなかった。但し、熱気、冷気等を包み込む概念(エアカーテン、膜の構造)を利用したシステムは存在する。例えば、特開2004−188105の「室内空気の清浄化方法」(文献(2)とする)と、特開2005−172379の「冷却装置」(文献(3)とする)とが挙げられる。この文献(2)は、清浄化しようとする室内空気を、それ以外の室内空気からエアカーテンにより遮断し、かつ清浄化しようとする室内空気の清浄化装置を備えた構成であり、この清浄化装置で清浄化された室内空気を、吹出口を介して排気可能とした室内空気の清浄化システムが提供できる。そして、この文献(3)は、凝縮器を通過した直後の暖排気の一部が、案内板で案内された後、排気口から機械室の下面における背部側の領域に向けて強制的に吹出されるエアカーテンを設けた構成であり、この暖排気が前方へ流れようとするのを阻止することで、暖排気が前面側から機械室内に回り込んでしまうショートサイクルの発生を回避できる特徴がある。
【0004】
【特許文献1】特開2004−190629
【特許文献2】特開2004−188105
【特許文献3】特開2005−172379
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
文献(1)は、従来の防霜ファンによる送風方法に比し、効果があり、また作物に好影響を与えることが、実施の結果理解されている。しかし、この送風方法は、逆転層の空気を、直線的に、また遠方に送風することであって、地熱の状況に関する対応と、この地熱が保護されることに関連し、圃場の生育環境の確保及び/又は作物の外的条件に有効に対応できる資質、或いは地球環境の保護等において必ずしも十分とは云えないものと考えられる。本発明は、これらの文献(1)では達成できない新たな問題点の解消と、当業者及び/又は需要者等によるさらなる要望に応え得る防霜を意図した(防霜ファンによる)送風方法を提供する。
【0006】
尚、文献(2)及び/又は文献(3)は、従来のエアカーテンを、台所等の建屋内に配備し、浄化空気及び/又は汚染空気等の空気の分別化と、この分別化による空気の確保を図ることに留まっている。従って、この文献(2)及び/又は文献(3)では、下記に示した本発明の意図を達成することは不可能である。
【0007】
そして、また、この文献(1)では、エアカーテン及び/又は逆転層の暖気との相乗効果により、圃場の温度管理(後述する地熱の放熱及び/又は暖気を利用した総合的な温度管理)をすることを想定していないものと考えられる。また文献(2)、(3)では、単なるエアカーテンの利用に留まり、それ以上の考え方と、前記の相乗効果を期待することは不可能である。
【0008】
本発明が意図する構成は、1) 気流の流れ及び/又は送風ファンの送風と暖気を利用して、圃場(茶果樹を含む)を略完全に包み込む空気及び/又は逆転層の暖気を、遠方に送風し、地熱の放射を無くして、この地熱の状況を確保すること、2) この圃場の地熱及び/又は茶果樹熱(樹木、葉、芽等の植物全体が保持する熱)、所謂、熱媒体の放熱等を防止しつつ、圃場の生育環境(生体温度)の確保及び/又は作物の外的条件に有効に対応できる資質を確保すること、3) 地球環境の保護を図ること、また4) 圃場の作物のやや上方にエアカーテンを生成することで、作物の近傍における低温化を回避すること、5) 前述の如く、圃場を略完全に包み込む空気及び/又は逆転層の暖気で、冷気の侵入防止を介して前述1)、2)等を達成すること、また害虫、害獣、人等の妨害物の侵入防止を介して作物の保護と、収穫の拡充、地上の環境保護を図ること、さらに薬剤の侵入防止を介して無農薬栽培及び/又は環境と地上保護の確立を図ること、そして、また6) 暖気の風及び/又は人工的な気流による防霜効果を発揮すること等である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1の発明は、前述の1)〜6)の目的を達成することを意図する。
【0010】
請求項1は、圃場に設けた送風ファンと、この送風ファンを介して送風し、この圃場の略全体に送風することを必須要件とする圃場の地熱及び/又は茶果樹熱の放熱等をエアカーテンで防止する圃場用の送風方法であって、
この送風方法は、次のような方法により行うことを条件とする。
1) 少なくとも送風は、気流の流れ方向に行うこと、
2) 圃場の略全体をカバーし、この圃場の作物の全体を包み込む送風を行うことで、エアカーテンによる覆いを確保すること、
3) 送風ファンで所定方向に送風を行うこと、
4) 圃場に逆転層の暖気を略直下型に送風を行うこと、
5) 圃場の地熱の放熱を無くすような送風を行うこと、
【0011】
請求項2・3の発明は、請求項1の目的を達成すること、またこの目的を達成するのに最適な送風ファンを提供することを意図する。
【0012】
請求項2は、請求項1に記載の送風ファンを、建柱に設けた架台に俯角調整可能及び/又は首振り可能とした筒状のケーシングと、このケーシングに内蔵した羽根車と、この羽根車を駆動するモータと、前記ケーシングに渦巻状の整流板とを備えた構成とした圃場の地熱及び/又は茶果樹熱の放熱等をエアカーテンで防止する圃場用の送風方法である。
【0013】
請求項3は、請求項1に記載の送風ファンを、建柱に設けた架台に俯角調整可能及び/又は首振り可能とした送風ファンのベースと、このベースに回転自在に設けたファン及びファン用のモータとで構成した圃場の地熱及び/又は茶果樹熱の放熱等をエアカーテンで防止する圃場用の送風方法である。
【0014】
請求項4の発明は、請求項1の目的を達成すること、またこの目的を達成するのに最適な送風ファンによる複数態様の送風方法の一例を提案することを意図する。
【0015】
請求項4は、請求項1に記載の送風ファンが、建柱に設けた架台に俯角調整可能及び/又は首振り可能とした構成であって、
この送風ファンを介して所定方向に送風するに際し、この送風ファンの固定で一定方向、又は送風ファンの首振りで首振り方向に送風する構成とした圃場の地熱及び/又は茶果樹熱の放熱等をエアカーテンで防止する圃場用の送風方法である。
【0016】
請求項5の発明は、請求項1の目的を達成すること、またこの目的を達成するのに最適な複数の送風ファンによる送風方法の一例を提案することを意図する。
【0017】
請求項5は、請求項1に記載の送風ファンを、建柱の上方で逆転層に設けた略直下型の送風ファンと、この建柱の中央で逆転層の下方に設けた略水平型の送風ファンとで構成し、それぞれの送風ファンより、同時又は個別に送風可能とする構成とした圃場の地熱及び/又は茶果樹熱の放熱等をエアカーテンで防止する圃場用の送風方法である。
【0018】
請求項6・7の発明は、請求項5の目的を達成すること、またこの目的を達成するのに最適な複数の送風の一例を提案することを意図する。
【0019】
請求項6は、請求項5に記載の送風ファンが、略直下型の送風ファンであって、この送風ファンは、建柱の上方に設けた架台に設けた送風ファンのベースと、このベースに回転自在に設けたファン及びファン用のモータとで構成した圃場の地熱及び/又は茶果樹熱の放熱等をエアカーテンで防止する圃場用の送風方法である。
【0020】
請求項7は、請求項1に記載の送風ファンが、略水平型の送風ファンであって、この送風ファンは、建柱の中央に設けた架台に俯角調整可能及び/又は首振り可能とした送風ファンのベースと、このベースに回転自在に設けたファン及びファン用のモータとで構成した圃場の地熱及び/又は茶果樹熱の放熱等をエアカーテンで防止する圃場用の送風方法である。
【0021】
請求項8の発明は、請求項5及び請求項7の目的を達成すること、またこの目的を達成するのに最適な送風ファンの設置場所及び/又はこの目的を達成するのに最適な送風による特性の一例を提案すること等を意図する。
【0022】
請求項8は、請求項5及び請求項7に記載の略水平型の送風ファンを、逆転層に設ける構成とした圃場の地熱及び/又は茶果樹熱の放熱等をエアカーテンで防止する圃場用の送風方法である。
【0023】
請求項9の発明は、請求項1の目的を達成すること、またこの目的を達成するのに最適な圃場の一例を提案することを意図する。
【0024】
請求項9は、請求項1に記載の圃場を、茶果樹を栽培する茶果樹園とする構成とした圃場の地熱及び/又は茶果樹熱の放熱等をエアカーテンで防止する圃場用の送風方法である。
【0025】
請求項10の発明は、請求項1の目的を達成すること、またこの目的を達成するのに最適な送風方法を提案することを意図する。
【0026】
請求項10は、請求項1に記載の送風を、茶果樹園で栽培する茶果樹を防霜する構成とした圃場の地熱及び/又は茶果樹熱の放熱等をエアカーテンで防止する圃場用の送風方法である。
【発明の効果】
【0027】
請求項1の発明は、圃場に設けた送風ファンと、送風ファンを介して送風し、圃場の略全体に送風することを必須要件とする圃場の地熱及び/又は茶果樹熱の放熱等をエアカーテンで防止する圃場用の送風方法であって、
送風方法は、次のような方法により行うことを条件とする。
1) 少なくとも送風は、気流の流れ方向に行うこと、
2) 圃場の略全体をカバーし、圃場の作物の全体を包み込む送風を行うことで、エアカーテンによる覆いを確保すること、
3) 送風ファンで所定方向に送風を行うこと、
4) 圃場に逆転層の暖気を略直下型に送風を行うこと、
5) 圃場の地熱の放熱を無くすような送風を行うこと、
【0028】
従って、請求項1は、1) 気流の流れ及び/又は送風ファンの送風と暖気を利用して、圃場(茶果樹を含む)を略完全に包み込む空気及び/又は逆転層の暖気を、遠方に送風し、地熱の放射を無くして、この地熱の状況を確保できること、2) この圃場の地熱及び/又は茶果樹熱(樹木、葉、芽等の植物全体が保持する熱)、所謂、熱媒体の放熱等を防止しつつ、圃場の生育環境(生体温度)の確保及び/又は作物の外的条件に有効に対応できる資質を確保できること、3) 地球環境の保護が図れること、また4) 圃場の作物のやや上方にエアカーテンを生成することで、作物の近傍における低温化が回避できること、5) 前述の如く、圃場を略完全に包み込む空気及び/又は逆転層の暖気で、冷気の侵入防止を介して前述1)、2)等を達成すること、また害虫、害獣、人等の妨害物の侵入防止を介して作物の保護と、収穫の拡充、地上の環境保護が図れること、さらに薬剤の侵入防止を介して無農薬栽培及び/又は環境と地上保護の確立が図れること、そして、また6) 暖気の風及び/又は人工的な気流による防霜効果を発揮できること等の特徴を有する。
【0029】
請求項2の発明は、請求項1に記載の送風ファンを、建柱に設けた架台に俯角調整可能及び/又は首振り可能とした筒状のケーシングと、ケーシングに内蔵した羽根車と、羽根車を駆動するモータと、ケーシングに渦巻状の整流板とを備えた構成とした圃場の地熱及び/又は茶果樹熱の放熱等をエアカーテンで防止する圃場用の送風方法である。
【0030】
請求項3の発明は、請求項1に記載の送風ファンを、建柱に設けた架台に俯角調整可能及び/又は首振り可能とした送風ファンのベースと、ベースに回転自在に設けたファン及びファン用のモータとで構成した圃場の地熱及び/又は茶果樹熱の放熱等をエアカーテンで防止する圃場用の送風方法である。
【0031】
従って、請求項2・3は、請求項1の目的を達成できること、またこの目的を達成するのに最適な送風ファンを提供できること等の特徴を有する。
【0032】
請求項4の発明は、請求項1に記載の送風ファンを、建柱に設けた架台に俯角調整可能及び/又は首振り可能とした構成であって、
送風ファンを介して所定方向に送風するに際し、送風ファンの固定で一定方向、又は送風ファンの首振りで首振り方向に送風する構成とした圃場の地熱及び/又は茶果樹熱の放熱等をエアカーテンで防止する圃場用の送風方法である。
【0033】
従って、請求項4は、請求項1の目的を達成できること、またこの目的を達成するのに最適な送風ファンによる複数態様の送風方法の一例を提案できること等の特徴を有する。
【0034】
請求項5の発明は、請求項1に記載の送風ファンを、建柱の上方で逆転層に設けた略直下型の送風ファンと、建柱の中央で逆転層の下方に設けた略水平型の送風ファンとで構成し、それぞれの送風ファンより、同時又は個別に送風可能とする構成とした圃場の地熱及び/又は茶果樹熱の放熱等をエアカーテンで防止する圃場用の送風方法である。
【0035】
従って、請求項5は、請求項1の目的を達成できること、またこの目的を達成するのに最適な複数の送風ファンによる送風方法の一例を提案できること等の特徴を有する。
【0036】
請求項6の発明は、請求項5に記載の送風ファンが、略直下型の送風ファンであって、送風ファンは、建柱の上方に設けた架台に設けた送風ファンのベースと、ベースに回転自在に設けたファン及びファン用のモータとで構成した圃場の地熱及び/又は茶果樹熱の放熱等をエアカーテンで防止する圃場用の送風方法である。
【0037】
請求項7の発明は、請求項5に記載の送風ファンが、略水平型の送風ファンであって、送風ファンは、建柱の中央に設けた架台に俯角調整可能及び/又は首振り可能とした送風ファンのベースと、ベースに回転自在に設けたファン及びファン用のモータとで構成した圃場の地熱及び/又は茶果樹熱の放熱等をエアカーテンで防止する圃場用の送風方法である。
【0038】
従って、請求項6・7は、請求項5の目的を達成できること、またこの目的を達成するのに最適な複数の送風の一例を提案できること等の特徴を有する。
【0039】
請求項8の発明は、請求項5及び請求項7に記載の略水平型の送風ファンを、逆転層に設ける構成とした圃場の地熱及び/又は茶果樹熱の放熱等をエアカーテンで防止する圃場用の送風方法である。
【0040】
従って、請求項8は、請求項5及び請求項7の目的を達成できること、またこの目的を達成するのに最適な送風ファンの設置場所及び/又はこの目的を達成するのに最適な送風による特性の一例を提案できること等の特徴を有する。
【0041】
請求項9の発明は、請求項1に記載の圃場を、茶果樹を栽培する茶果樹園とする構成とした圃場の地熱及び/又は茶果樹熱の放熱等をエアカーテンで防止する圃場用の送風方法である。
【0042】
従って、請求項9は、請求項1の目的を達成できること、またこの目的を達成するのに最適な圃場の一例を提案できること等の特徴を有する。
【0043】
請求項10の発明は、請求項1に記載の送風を、茶果樹園で栽培する茶果樹を防霜する構成とした圃場の地熱及び/又は茶果樹熱の放熱等をエアカーテンで防止する圃場用の送風方法である。
【0044】
従って、請求項10は、請求項1の目的を達成できること、またこの目的を達成するのに最適な送風方法を提案できること等の特徴を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0045】
本発明の一例を説明する。
【0046】
図面の説明をする。図1は茶果樹園の圃場を俯瞰し、逆転層の送風ファンと、この逆転層の下方(下方の空中)の送風ファンを利用したエアカーテンの状態を示した模式図、図2は図1の例の簡略模式図、図3は図1及び/又は図2に示した模式図の一例を示した側面簡略模式図、図4は送風ファンの第一の例を示した正面図、図5は図4の側面図、図6は送風ファンの第二の例を示した側面図、図7は図1の他の例における逆転層の送風ファンと、この逆転層の下方(下方の空中)の送風ファンを利用したエアカーテンの状態を示した模式図、図8図7の例の簡略模式図、図9は茶果樹園の圃場を俯瞰し、逆転層に設けた送風ファンを利用したエアカーテンの状態を示した模式図、図10は図9の例の簡略模式図、図11は図9及び/又は図10に示した模式図の一例を示した側面簡略模式図である。
【0047】
次に発明を実施するための最良の形態を説明する。図1において、圃場Aに立設した建柱1の上方の逆転層X(暖気)には、略直下型の送風ファン20(詳細は後述する。以下、送風ファン20とする)が、また建柱1の中央で逆転層Xの下方、又はその近傍には、一基又は複数基の略水平型の送風ファン2(詳細は後述する。以下、送風ファン2とする)が設けられており、この送風ファン2は後述するように俯角調整可能で、また場合により水平方向における首振りも可能である。そして、この例では、三角形状(一例であり、図示の例の一文字形状[図4、図5、又は図7、図8参照]、図示しない例の凹凸形状、逆三角形状、方形状等)に送風ファン2を設置し、所定の俯角及び/又は首振り等を利用し、望ましくは、送風を略束状に収歛した空気とする。この送風ファン2による送風方向は、図2の平面視した状態では、送風ファン2を基点として略等角度で三方向〜多数方向(送風ファン2及び/又は地形により、一方向も場合によりあり得る)に略均等に、かつ継続して送風し、この圃場Aの略全体を包み込む構成とする。この包み込む送風の確保で、図1に示したように略水平方向のエアカーテンBによる膜が形成される。従って、降霜の状況において地熱G(地温)及び/又は茶果樹熱(以下、地熱Gとする)が奪われる、所謂、放射冷却時の放熱(地熱G及び/又は茶果樹熱の放熱)を、この略水平方向のエアカーテンBで包み込むことで、この放射冷却を回避して放熱を無くす。この放熱を無くすことで、例えば、作物H(茶、果実、作物、果葉類)に対する降霜の被害を無くすとともに、地熱Gの放散の回避(地熱の状況を確保すること)及び/又は降霜の回避(防霜効果の確保)で、作物H(茶樹を図示する)の生育環境(生体温度)の確保及び/又は作物Hの、外的条件に有効に対応できる資質の確保等ができる。そして、地球環境の保護が図れること、また圃場Aに生育する作物Hのやや上方に略水平方向のエアカーテンBを生成することで、作物Hの近傍における低温化を回避できること等の実益がある。そして、後述するが、この略水平方向のエアカーテンBを、圃場Aの気流Cの流れ(気流Cの流れとする)方向に形成することで、前述の放熱は、略0と考えられる。またこの放熱回避が図れることで、前述の効果の確保、地熱の活用、又は送風方法の汎用性の向上等が期待できる。
【0048】
そして、この送風ファン2の利用を、図3に基づいて説明すると、地熱Gは、地面GLより矢印「イ」の方向に上昇する。この上昇する地熱Gを、作物Hの上方に生成した略水平方向のエアカーテンBを介して包み込み、もって、この地熱Gを有効利用し、また前述の各種の効果を発揮できる。殊に、気流Cの流れ方向に暖気を送風することで、優れた効果を発揮できること、また省エネルギーが確保できること等は前述の通りである。
【0049】
続いて、略水平方向のエアカーテンBの流れと、前述の、建柱1の上方で逆転層Xに設置した略直下型の送風ファン20の流れとを併用する構成を、この図3を利用してさらに説明すると、この略水平方向のエアカーテンBの流れを、略直下型の送風ファン20で、建柱1の下方及び/又は近傍に送風し(矢印「ロ」、「ロ’」で示す)、この下方の送風を介して略垂直方向のエアカーテンB1を生成する。そして、この略垂直方向のエアカーテンB1が略水平方向のエアカーテンBと合流することで、圃場Aの略全体を包み込む一体型のエアカーテンB1’となり、圃場Aへの冷気の侵入防止と、害虫、害獣の侵入防止等を達成し、栽培の効率化が図れること、又は薬剤の侵入防止が図れ、もって、無農薬栽培の確立が図れること等の特徴がある。そして、この図例の如く、一例として、逆転層Xの暖気を利用する場合には、地熱Gの保護及び/又は冷気の侵入等に役立ちまことに有益である。また逆転層Xが無い条件下でも、前述の特徴とするところは一部で達成できる。また、この略垂直方向のエアカーテンB1は、略水平方向のエアカーテンBを誘引(誘導[矢印「ハ」で示す])し、さらに遠方への送風と、収斂した送風とが図れることで、これによる前述の効果の確実な達成と、その拡充が図れる特徴がある。
【0050】
そして、さらに略水平方向のエアカーテンB及び/又は略垂直方向のエアカーテンB1の流れを、気流Cの流れ方向に形成する例を図示した図3の状態では、この略水平方向のエアカーテンB及び/又は略垂直方向のエアカーテンB1の流れの拡張と、スムーズな流れを保証し、前述の放熱回避の効果とともに、逆転層Xの暖気を有効利用できる。そして、暖気の有効利用は、前述の地球環境保護の向上に大いに役立つこと、さらに圃場Aの作物Hの近傍における低温化を確実に回避できること等の実益がある。
【0051】
そして、現実に放射冷却が発生する圃場Aに送風ファン2、20を設置し、かつ気流Cの流れがある状況においては、例えば、この気流Cの流れに、この送風ファン2の略水平方向のエアカーテンB及び/又は送風ファン20の略垂直方向のエアカーテンB1による送風との積層を図る構成と、又はこれらの空気を、効率的にミキシングし、たなびくように緩やかな風の流れを図る構成(人工送風)とを確保することで、作物Hに対する保護を図りつつ、作物Hに有効な風の流れを確保できること等の特徴がある。そして、この流れは、気流Cの流れに追従することから、各圃場Aの気象及び/又は地形条件に有効に対処でき、また送風ファン2の送風を制御し、効率的かつ有効な送風を確保できる。尚、この略水平方向のエアカーテンB及び/又は略垂直方向のエアカーテンB1の送風を個別に、又はグループ毎に調整するか、又は暖気の送風のスピード、稼動時間、俯角調整及び/又は首振り方向等を個別、又はグループ毎に調整することで、作物Hに有効な風の流れを確保できる。またこの例では、送風ファン2及び/又は送風ファン20の風をたなびくように流すことで、略水平方向のエアカーテンB及び/又は略垂直方向のエアカーテンB1による包み込む範囲がかなり広くなり、また重なり部分も少なくすることが可能となり(以下、同じ)、効率的な放射冷却の回避と、前述の各種の効果が期待できる。
【0052】
尚、図示しないが、送風ファン2は前述の空中に設けることが理想であるが、圃場Aの作物Hの上方であれば、前述の放熱回避の効果が可能であり、採用できる。また図示しないが、この送風ファン2を設ける箇所及び/又は台数は、前記略水平方向のエアカーテンBによる効果が期待できる場合には、特段、限定されない。
【0053】
そして、図4、図5に示した送風ファン2の第一の例と、図6に示した第二の例を説明する。先ず、第一の例は、この送風ファン2は、筒状のケーシング200と、このケーシング200には網体、整流体等でなる整流板201と、支持体(図示せず)を介して設けた送風用のファン202と、このファン202を駆動するモータ203で構成する。そして、このモータ203をベース3、架台4、筒体5を介して建柱1に固止する。尚、ケーシング200はモータ203に設けたアーム204を介して支持されている。従って、モータ203に設けた出力軸203aの回転を介してファン202が回転することで、暖気の風(風とする)が生成されるとともに、この風は整流板201により整流される。この整流された風は、ケーシング200の先端から、略ビーム形状(円筒形状)の風となって吹出される。所謂、図2に示した略ビーム形状で、略直線的に、また遠方に暖気が送風される特徴がある。また前記の整流板201は、整流効果及び/又は到達距離の拡充と、安全性の確立、小鳥の侵入防止、さらにガードの代替としての役割等が図れる。
【0054】
尚、この送風ファン2は、架台4に設けた俯角調整機構及び/又は首振り機構等を介して俯角調整可能、また首振り可能とすることもできる。そして、これらの機構を利用して地形、気象(気候)条件等に対応可能となっていること、又はこれらの地形、気象(気候)条件等に変化があっても、この変化に追従し、圃場A及び/又は作物Hの保護が図れること等の特徴がある。またこの例では、この送風ファン2は一文字形状に設置されているが一例であり、前述の如く、各種の対応が可能であり、例えば、圃場A、作物H、生育、生育環境等の各状態、圃場Aの形態、気象等の条件で適宜選択及び/又は変更されるものであって、何れにしても最適な条件を基に決定される。
【0055】
次に、第二の例を説明すると、送風ファン2は、モータ203と、このモータ203の出力軸203aに支持した送風用のファン202で構成する。この送風ファン2は、架台4(第一の例と同じ)の上に設ける。この例においても、ファン202の回転で、暖気の風を略直線的に、また遠方に送風する。そして、この第二の例においても前記第一の例と同様であって、その機能的には遜色がない。尚、この例における他の構成及び/又は特徴は、前述の第一の例に準ずる。
【0056】
また略直下型の送風ファン20は、前述の送風ファン2と略同じ構造か、又は図示のモータ2003と、このモータ2003の出力軸2003aに設けたファン2002との簡易な構成も可能である。このファン2002の回転は、図例では水平設置であり、前述の如く、矢印「ロ」、「ロ’」で示した、略垂直方向のエアカーテンB1の送風となる。この送風ファン20の動きは、前述の例に準ずる。
【0057】
図7及び図8は、前述の図1〜図3の送風ファン2を一文字形状とした一例を示しており、この送風ファンの構成及び/又は特徴は、前述の例に準ずる。
【0058】
尚、図1、図2、及び図7、図8の如く、前記略水平方向のエアカーテンB及び略垂直方向のエアカーテンB1を構成することで、前述の侵入防止による遮蔽と、風の流れを保護及び/又は誘導し、遠方への送風と、広範囲の略水平方向のエアカーテンBの包み込みによる天井方式の覆いを確保できること、防霜効果が確保できること、そして、前述の各効果が期待できること等の特徴がある。また図1及び図8の如く、気流Cの下の圃場Aの保護が図れることは勿論である。
【0059】
さらに図9〜図11は、送風ファン2を、逆転層Xに設ける構成とした圃場Aの地熱及び/又は茶果樹熱の放熱等を略水平/傾斜方向のエアカーテンB2で防止する構成である。そして、この略水平/傾斜方向のエアカーテンB2による効果は、前述の略水平方向のエアカーテンBに準ずるが、その一部は、略垂直方向のエアカーテンB1にも準ずる。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】図1は茶果樹園の圃場を俯瞰し、逆転層の送風ファンと、この逆転層の下方(下方の空中)の送風ファンを利用したエアカーテンの状態を示した模式図
【図2】図2は図1の例の簡略模式図
【図3】図3は図1及び/又は図2に示した模式図の一例を示した側面簡略模式図
【図4】図4は送風ファンの第一の例を示した正面図
【図5】図5は図4の側面図
【図6】図6は送風ファンの第二の例を示した側面図
【図7】図7は図1の他の例における逆転層の送風ファンと、この逆転層の下方(下方の空中)の送風ファンを利用したエアカーテンの状態を示した模式図
【図8】図8図7の例の簡略模式図
【図9】図9は茶果樹園の圃場を俯瞰し、逆転層に設けた送風ファンを利用したエアカーテンの状態を示した模式図
【図10】図10は図9の例の簡略模式図
【図11】図11は図9及び/又は図10に示した模式図の一例を示した側面簡略模式図
【符号の説明】
【0061】
1 建柱
2 送風ファン
20 送風ファン
200 ケーシング
201 整流板
202 ファン
203 モータ
203a 出力軸
204 アーム
2002 ファン
2003 モータ
2003a 出力軸
3 ベース
4 架台
5 筒体
A 圃場
B エアカーテン
B1 エアカーテン
B1’ エアカーテン
B2 エアカーテン
C 気流
G 地熱(地温)
GL 地面
H 作物
X 逆転層(暖気)
【技術分野】
【0001】
本発明は、地熱・逆転層の暖気利用及び/又は防霜(生育環境の確保及び/又は外的条件に有効に対応できる資質、或いは環境の保護等)を意図した圃場の地熱及び/又は茶果樹熱の放熱等をエアカーテンで防止する圃場用の送風方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の防霜を意図した送風方法としては、建柱上に設けた防霜ファンを利用した方法が一般的であったが、さらなる防霜効果の拡充を意図して、筒状のケーシングとファン(羽根車)でなる防霜方法(新しい防霜方法とする)が市場で期待される状況となっている。この新しい防霜方法としては、本出願人が提案する特開2004−190629の「多頭方式の低所式防霜ファン装置」(文献(1)とする)がある。この発明は、円筒状の筒体に設けた防霜用のファン及び整流板と、並びに防霜ファンと、この防霜ファンを駆動するモータで構成した低所式防霜ファンであって、この低所式防霜ファンを複数基設けたことを特徴とする。そして、この発明は、防霜ファンの送風範囲をワイドに設定することで、小さい首振り動作を介して効率的に送風するとともに、送風を広範囲で効率的に行うことで、効率的な防霜効果を達成すること、又は低所式防霜ファン装置の台数の減少と、コストの削減化を図ること等を意図する。
【0003】
また本発明は、前述した防霜ファンによる送風方法に代替する新規発明で、優れた防霜効果を有し、かつ自然の摂理を利用した送風方法を提案する。そして、これに類する先行文献は検索できなかった。但し、熱気、冷気等を包み込む概念(エアカーテン、膜の構造)を利用したシステムは存在する。例えば、特開2004−188105の「室内空気の清浄化方法」(文献(2)とする)と、特開2005−172379の「冷却装置」(文献(3)とする)とが挙げられる。この文献(2)は、清浄化しようとする室内空気を、それ以外の室内空気からエアカーテンにより遮断し、かつ清浄化しようとする室内空気の清浄化装置を備えた構成であり、この清浄化装置で清浄化された室内空気を、吹出口を介して排気可能とした室内空気の清浄化システムが提供できる。そして、この文献(3)は、凝縮器を通過した直後の暖排気の一部が、案内板で案内された後、排気口から機械室の下面における背部側の領域に向けて強制的に吹出されるエアカーテンを設けた構成であり、この暖排気が前方へ流れようとするのを阻止することで、暖排気が前面側から機械室内に回り込んでしまうショートサイクルの発生を回避できる特徴がある。
【0004】
【特許文献1】特開2004−190629
【特許文献2】特開2004−188105
【特許文献3】特開2005−172379
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
文献(1)は、従来の防霜ファンによる送風方法に比し、効果があり、また作物に好影響を与えることが、実施の結果理解されている。しかし、この送風方法は、逆転層の空気を、直線的に、また遠方に送風することであって、地熱の状況に関する対応と、この地熱が保護されることに関連し、圃場の生育環境の確保及び/又は作物の外的条件に有効に対応できる資質、或いは地球環境の保護等において必ずしも十分とは云えないものと考えられる。本発明は、これらの文献(1)では達成できない新たな問題点の解消と、当業者及び/又は需要者等によるさらなる要望に応え得る防霜を意図した(防霜ファンによる)送風方法を提供する。
【0006】
尚、文献(2)及び/又は文献(3)は、従来のエアカーテンを、台所等の建屋内に配備し、浄化空気及び/又は汚染空気等の空気の分別化と、この分別化による空気の確保を図ることに留まっている。従って、この文献(2)及び/又は文献(3)では、下記に示した本発明の意図を達成することは不可能である。
【0007】
そして、また、この文献(1)では、エアカーテン及び/又は逆転層の暖気との相乗効果により、圃場の温度管理(後述する地熱の放熱及び/又は暖気を利用した総合的な温度管理)をすることを想定していないものと考えられる。また文献(2)、(3)では、単なるエアカーテンの利用に留まり、それ以上の考え方と、前記の相乗効果を期待することは不可能である。
【0008】
本発明が意図する構成は、1) 気流の流れ及び/又は送風ファンの送風と暖気を利用して、圃場(茶果樹を含む)を略完全に包み込む空気及び/又は逆転層の暖気を、遠方に送風し、地熱の放射を無くして、この地熱の状況を確保すること、2) この圃場の地熱及び/又は茶果樹熱(樹木、葉、芽等の植物全体が保持する熱)、所謂、熱媒体の放熱等を防止しつつ、圃場の生育環境(生体温度)の確保及び/又は作物の外的条件に有効に対応できる資質を確保すること、3) 地球環境の保護を図ること、また4) 圃場の作物のやや上方にエアカーテンを生成することで、作物の近傍における低温化を回避すること、5) 前述の如く、圃場を略完全に包み込む空気及び/又は逆転層の暖気で、冷気の侵入防止を介して前述1)、2)等を達成すること、また害虫、害獣、人等の妨害物の侵入防止を介して作物の保護と、収穫の拡充、地上の環境保護を図ること、さらに薬剤の侵入防止を介して無農薬栽培及び/又は環境と地上保護の確立を図ること、そして、また6) 暖気の風及び/又は人工的な気流による防霜効果を発揮すること等である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1の発明は、前述の1)〜6)の目的を達成することを意図する。
【0010】
請求項1は、圃場に設けた送風ファンと、この送風ファンを介して送風し、この圃場の略全体に送風することを必須要件とする圃場の地熱及び/又は茶果樹熱の放熱等をエアカーテンで防止する圃場用の送風方法であって、
この送風方法は、次のような方法により行うことを条件とする。
1) 少なくとも送風は、気流の流れ方向に行うこと、
2) 圃場の略全体をカバーし、この圃場の作物の全体を包み込む送風を行うことで、エアカーテンによる覆いを確保すること、
3) 送風ファンで所定方向に送風を行うこと、
4) 圃場に逆転層の暖気を略直下型に送風を行うこと、
5) 圃場の地熱の放熱を無くすような送風を行うこと、
【0011】
請求項2・3の発明は、請求項1の目的を達成すること、またこの目的を達成するのに最適な送風ファンを提供することを意図する。
【0012】
請求項2は、請求項1に記載の送風ファンを、建柱に設けた架台に俯角調整可能及び/又は首振り可能とした筒状のケーシングと、このケーシングに内蔵した羽根車と、この羽根車を駆動するモータと、前記ケーシングに渦巻状の整流板とを備えた構成とした圃場の地熱及び/又は茶果樹熱の放熱等をエアカーテンで防止する圃場用の送風方法である。
【0013】
請求項3は、請求項1に記載の送風ファンを、建柱に設けた架台に俯角調整可能及び/又は首振り可能とした送風ファンのベースと、このベースに回転自在に設けたファン及びファン用のモータとで構成した圃場の地熱及び/又は茶果樹熱の放熱等をエアカーテンで防止する圃場用の送風方法である。
【0014】
請求項4の発明は、請求項1の目的を達成すること、またこの目的を達成するのに最適な送風ファンによる複数態様の送風方法の一例を提案することを意図する。
【0015】
請求項4は、請求項1に記載の送風ファンが、建柱に設けた架台に俯角調整可能及び/又は首振り可能とした構成であって、
この送風ファンを介して所定方向に送風するに際し、この送風ファンの固定で一定方向、又は送風ファンの首振りで首振り方向に送風する構成とした圃場の地熱及び/又は茶果樹熱の放熱等をエアカーテンで防止する圃場用の送風方法である。
【0016】
請求項5の発明は、請求項1の目的を達成すること、またこの目的を達成するのに最適な複数の送風ファンによる送風方法の一例を提案することを意図する。
【0017】
請求項5は、請求項1に記載の送風ファンを、建柱の上方で逆転層に設けた略直下型の送風ファンと、この建柱の中央で逆転層の下方に設けた略水平型の送風ファンとで構成し、それぞれの送風ファンより、同時又は個別に送風可能とする構成とした圃場の地熱及び/又は茶果樹熱の放熱等をエアカーテンで防止する圃場用の送風方法である。
【0018】
請求項6・7の発明は、請求項5の目的を達成すること、またこの目的を達成するのに最適な複数の送風の一例を提案することを意図する。
【0019】
請求項6は、請求項5に記載の送風ファンが、略直下型の送風ファンであって、この送風ファンは、建柱の上方に設けた架台に設けた送風ファンのベースと、このベースに回転自在に設けたファン及びファン用のモータとで構成した圃場の地熱及び/又は茶果樹熱の放熱等をエアカーテンで防止する圃場用の送風方法である。
【0020】
請求項7は、請求項1に記載の送風ファンが、略水平型の送風ファンであって、この送風ファンは、建柱の中央に設けた架台に俯角調整可能及び/又は首振り可能とした送風ファンのベースと、このベースに回転自在に設けたファン及びファン用のモータとで構成した圃場の地熱及び/又は茶果樹熱の放熱等をエアカーテンで防止する圃場用の送風方法である。
【0021】
請求項8の発明は、請求項5及び請求項7の目的を達成すること、またこの目的を達成するのに最適な送風ファンの設置場所及び/又はこの目的を達成するのに最適な送風による特性の一例を提案すること等を意図する。
【0022】
請求項8は、請求項5及び請求項7に記載の略水平型の送風ファンを、逆転層に設ける構成とした圃場の地熱及び/又は茶果樹熱の放熱等をエアカーテンで防止する圃場用の送風方法である。
【0023】
請求項9の発明は、請求項1の目的を達成すること、またこの目的を達成するのに最適な圃場の一例を提案することを意図する。
【0024】
請求項9は、請求項1に記載の圃場を、茶果樹を栽培する茶果樹園とする構成とした圃場の地熱及び/又は茶果樹熱の放熱等をエアカーテンで防止する圃場用の送風方法である。
【0025】
請求項10の発明は、請求項1の目的を達成すること、またこの目的を達成するのに最適な送風方法を提案することを意図する。
【0026】
請求項10は、請求項1に記載の送風を、茶果樹園で栽培する茶果樹を防霜する構成とした圃場の地熱及び/又は茶果樹熱の放熱等をエアカーテンで防止する圃場用の送風方法である。
【発明の効果】
【0027】
請求項1の発明は、圃場に設けた送風ファンと、送風ファンを介して送風し、圃場の略全体に送風することを必須要件とする圃場の地熱及び/又は茶果樹熱の放熱等をエアカーテンで防止する圃場用の送風方法であって、
送風方法は、次のような方法により行うことを条件とする。
1) 少なくとも送風は、気流の流れ方向に行うこと、
2) 圃場の略全体をカバーし、圃場の作物の全体を包み込む送風を行うことで、エアカーテンによる覆いを確保すること、
3) 送風ファンで所定方向に送風を行うこと、
4) 圃場に逆転層の暖気を略直下型に送風を行うこと、
5) 圃場の地熱の放熱を無くすような送風を行うこと、
【0028】
従って、請求項1は、1) 気流の流れ及び/又は送風ファンの送風と暖気を利用して、圃場(茶果樹を含む)を略完全に包み込む空気及び/又は逆転層の暖気を、遠方に送風し、地熱の放射を無くして、この地熱の状況を確保できること、2) この圃場の地熱及び/又は茶果樹熱(樹木、葉、芽等の植物全体が保持する熱)、所謂、熱媒体の放熱等を防止しつつ、圃場の生育環境(生体温度)の確保及び/又は作物の外的条件に有効に対応できる資質を確保できること、3) 地球環境の保護が図れること、また4) 圃場の作物のやや上方にエアカーテンを生成することで、作物の近傍における低温化が回避できること、5) 前述の如く、圃場を略完全に包み込む空気及び/又は逆転層の暖気で、冷気の侵入防止を介して前述1)、2)等を達成すること、また害虫、害獣、人等の妨害物の侵入防止を介して作物の保護と、収穫の拡充、地上の環境保護が図れること、さらに薬剤の侵入防止を介して無農薬栽培及び/又は環境と地上保護の確立が図れること、そして、また6) 暖気の風及び/又は人工的な気流による防霜効果を発揮できること等の特徴を有する。
【0029】
請求項2の発明は、請求項1に記載の送風ファンを、建柱に設けた架台に俯角調整可能及び/又は首振り可能とした筒状のケーシングと、ケーシングに内蔵した羽根車と、羽根車を駆動するモータと、ケーシングに渦巻状の整流板とを備えた構成とした圃場の地熱及び/又は茶果樹熱の放熱等をエアカーテンで防止する圃場用の送風方法である。
【0030】
請求項3の発明は、請求項1に記載の送風ファンを、建柱に設けた架台に俯角調整可能及び/又は首振り可能とした送風ファンのベースと、ベースに回転自在に設けたファン及びファン用のモータとで構成した圃場の地熱及び/又は茶果樹熱の放熱等をエアカーテンで防止する圃場用の送風方法である。
【0031】
従って、請求項2・3は、請求項1の目的を達成できること、またこの目的を達成するのに最適な送風ファンを提供できること等の特徴を有する。
【0032】
請求項4の発明は、請求項1に記載の送風ファンを、建柱に設けた架台に俯角調整可能及び/又は首振り可能とした構成であって、
送風ファンを介して所定方向に送風するに際し、送風ファンの固定で一定方向、又は送風ファンの首振りで首振り方向に送風する構成とした圃場の地熱及び/又は茶果樹熱の放熱等をエアカーテンで防止する圃場用の送風方法である。
【0033】
従って、請求項4は、請求項1の目的を達成できること、またこの目的を達成するのに最適な送風ファンによる複数態様の送風方法の一例を提案できること等の特徴を有する。
【0034】
請求項5の発明は、請求項1に記載の送風ファンを、建柱の上方で逆転層に設けた略直下型の送風ファンと、建柱の中央で逆転層の下方に設けた略水平型の送風ファンとで構成し、それぞれの送風ファンより、同時又は個別に送風可能とする構成とした圃場の地熱及び/又は茶果樹熱の放熱等をエアカーテンで防止する圃場用の送風方法である。
【0035】
従って、請求項5は、請求項1の目的を達成できること、またこの目的を達成するのに最適な複数の送風ファンによる送風方法の一例を提案できること等の特徴を有する。
【0036】
請求項6の発明は、請求項5に記載の送風ファンが、略直下型の送風ファンであって、送風ファンは、建柱の上方に設けた架台に設けた送風ファンのベースと、ベースに回転自在に設けたファン及びファン用のモータとで構成した圃場の地熱及び/又は茶果樹熱の放熱等をエアカーテンで防止する圃場用の送風方法である。
【0037】
請求項7の発明は、請求項5に記載の送風ファンが、略水平型の送風ファンであって、送風ファンは、建柱の中央に設けた架台に俯角調整可能及び/又は首振り可能とした送風ファンのベースと、ベースに回転自在に設けたファン及びファン用のモータとで構成した圃場の地熱及び/又は茶果樹熱の放熱等をエアカーテンで防止する圃場用の送風方法である。
【0038】
従って、請求項6・7は、請求項5の目的を達成できること、またこの目的を達成するのに最適な複数の送風の一例を提案できること等の特徴を有する。
【0039】
請求項8の発明は、請求項5及び請求項7に記載の略水平型の送風ファンを、逆転層に設ける構成とした圃場の地熱及び/又は茶果樹熱の放熱等をエアカーテンで防止する圃場用の送風方法である。
【0040】
従って、請求項8は、請求項5及び請求項7の目的を達成できること、またこの目的を達成するのに最適な送風ファンの設置場所及び/又はこの目的を達成するのに最適な送風による特性の一例を提案できること等の特徴を有する。
【0041】
請求項9の発明は、請求項1に記載の圃場を、茶果樹を栽培する茶果樹園とする構成とした圃場の地熱及び/又は茶果樹熱の放熱等をエアカーテンで防止する圃場用の送風方法である。
【0042】
従って、請求項9は、請求項1の目的を達成できること、またこの目的を達成するのに最適な圃場の一例を提案できること等の特徴を有する。
【0043】
請求項10の発明は、請求項1に記載の送風を、茶果樹園で栽培する茶果樹を防霜する構成とした圃場の地熱及び/又は茶果樹熱の放熱等をエアカーテンで防止する圃場用の送風方法である。
【0044】
従って、請求項10は、請求項1の目的を達成できること、またこの目的を達成するのに最適な送風方法を提案できること等の特徴を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0045】
本発明の一例を説明する。
【0046】
図面の説明をする。図1は茶果樹園の圃場を俯瞰し、逆転層の送風ファンと、この逆転層の下方(下方の空中)の送風ファンを利用したエアカーテンの状態を示した模式図、図2は図1の例の簡略模式図、図3は図1及び/又は図2に示した模式図の一例を示した側面簡略模式図、図4は送風ファンの第一の例を示した正面図、図5は図4の側面図、図6は送風ファンの第二の例を示した側面図、図7は図1の他の例における逆転層の送風ファンと、この逆転層の下方(下方の空中)の送風ファンを利用したエアカーテンの状態を示した模式図、図8図7の例の簡略模式図、図9は茶果樹園の圃場を俯瞰し、逆転層に設けた送風ファンを利用したエアカーテンの状態を示した模式図、図10は図9の例の簡略模式図、図11は図9及び/又は図10に示した模式図の一例を示した側面簡略模式図である。
【0047】
次に発明を実施するための最良の形態を説明する。図1において、圃場Aに立設した建柱1の上方の逆転層X(暖気)には、略直下型の送風ファン20(詳細は後述する。以下、送風ファン20とする)が、また建柱1の中央で逆転層Xの下方、又はその近傍には、一基又は複数基の略水平型の送風ファン2(詳細は後述する。以下、送風ファン2とする)が設けられており、この送風ファン2は後述するように俯角調整可能で、また場合により水平方向における首振りも可能である。そして、この例では、三角形状(一例であり、図示の例の一文字形状[図4、図5、又は図7、図8参照]、図示しない例の凹凸形状、逆三角形状、方形状等)に送風ファン2を設置し、所定の俯角及び/又は首振り等を利用し、望ましくは、送風を略束状に収歛した空気とする。この送風ファン2による送風方向は、図2の平面視した状態では、送風ファン2を基点として略等角度で三方向〜多数方向(送風ファン2及び/又は地形により、一方向も場合によりあり得る)に略均等に、かつ継続して送風し、この圃場Aの略全体を包み込む構成とする。この包み込む送風の確保で、図1に示したように略水平方向のエアカーテンBによる膜が形成される。従って、降霜の状況において地熱G(地温)及び/又は茶果樹熱(以下、地熱Gとする)が奪われる、所謂、放射冷却時の放熱(地熱G及び/又は茶果樹熱の放熱)を、この略水平方向のエアカーテンBで包み込むことで、この放射冷却を回避して放熱を無くす。この放熱を無くすことで、例えば、作物H(茶、果実、作物、果葉類)に対する降霜の被害を無くすとともに、地熱Gの放散の回避(地熱の状況を確保すること)及び/又は降霜の回避(防霜効果の確保)で、作物H(茶樹を図示する)の生育環境(生体温度)の確保及び/又は作物Hの、外的条件に有効に対応できる資質の確保等ができる。そして、地球環境の保護が図れること、また圃場Aに生育する作物Hのやや上方に略水平方向のエアカーテンBを生成することで、作物Hの近傍における低温化を回避できること等の実益がある。そして、後述するが、この略水平方向のエアカーテンBを、圃場Aの気流Cの流れ(気流Cの流れとする)方向に形成することで、前述の放熱は、略0と考えられる。またこの放熱回避が図れることで、前述の効果の確保、地熱の活用、又は送風方法の汎用性の向上等が期待できる。
【0048】
そして、この送風ファン2の利用を、図3に基づいて説明すると、地熱Gは、地面GLより矢印「イ」の方向に上昇する。この上昇する地熱Gを、作物Hの上方に生成した略水平方向のエアカーテンBを介して包み込み、もって、この地熱Gを有効利用し、また前述の各種の効果を発揮できる。殊に、気流Cの流れ方向に暖気を送風することで、優れた効果を発揮できること、また省エネルギーが確保できること等は前述の通りである。
【0049】
続いて、略水平方向のエアカーテンBの流れと、前述の、建柱1の上方で逆転層Xに設置した略直下型の送風ファン20の流れとを併用する構成を、この図3を利用してさらに説明すると、この略水平方向のエアカーテンBの流れを、略直下型の送風ファン20で、建柱1の下方及び/又は近傍に送風し(矢印「ロ」、「ロ’」で示す)、この下方の送風を介して略垂直方向のエアカーテンB1を生成する。そして、この略垂直方向のエアカーテンB1が略水平方向のエアカーテンBと合流することで、圃場Aの略全体を包み込む一体型のエアカーテンB1’となり、圃場Aへの冷気の侵入防止と、害虫、害獣の侵入防止等を達成し、栽培の効率化が図れること、又は薬剤の侵入防止が図れ、もって、無農薬栽培の確立が図れること等の特徴がある。そして、この図例の如く、一例として、逆転層Xの暖気を利用する場合には、地熱Gの保護及び/又は冷気の侵入等に役立ちまことに有益である。また逆転層Xが無い条件下でも、前述の特徴とするところは一部で達成できる。また、この略垂直方向のエアカーテンB1は、略水平方向のエアカーテンBを誘引(誘導[矢印「ハ」で示す])し、さらに遠方への送風と、収斂した送風とが図れることで、これによる前述の効果の確実な達成と、その拡充が図れる特徴がある。
【0050】
そして、さらに略水平方向のエアカーテンB及び/又は略垂直方向のエアカーテンB1の流れを、気流Cの流れ方向に形成する例を図示した図3の状態では、この略水平方向のエアカーテンB及び/又は略垂直方向のエアカーテンB1の流れの拡張と、スムーズな流れを保証し、前述の放熱回避の効果とともに、逆転層Xの暖気を有効利用できる。そして、暖気の有効利用は、前述の地球環境保護の向上に大いに役立つこと、さらに圃場Aの作物Hの近傍における低温化を確実に回避できること等の実益がある。
【0051】
そして、現実に放射冷却が発生する圃場Aに送風ファン2、20を設置し、かつ気流Cの流れがある状況においては、例えば、この気流Cの流れに、この送風ファン2の略水平方向のエアカーテンB及び/又は送風ファン20の略垂直方向のエアカーテンB1による送風との積層を図る構成と、又はこれらの空気を、効率的にミキシングし、たなびくように緩やかな風の流れを図る構成(人工送風)とを確保することで、作物Hに対する保護を図りつつ、作物Hに有効な風の流れを確保できること等の特徴がある。そして、この流れは、気流Cの流れに追従することから、各圃場Aの気象及び/又は地形条件に有効に対処でき、また送風ファン2の送風を制御し、効率的かつ有効な送風を確保できる。尚、この略水平方向のエアカーテンB及び/又は略垂直方向のエアカーテンB1の送風を個別に、又はグループ毎に調整するか、又は暖気の送風のスピード、稼動時間、俯角調整及び/又は首振り方向等を個別、又はグループ毎に調整することで、作物Hに有効な風の流れを確保できる。またこの例では、送風ファン2及び/又は送風ファン20の風をたなびくように流すことで、略水平方向のエアカーテンB及び/又は略垂直方向のエアカーテンB1による包み込む範囲がかなり広くなり、また重なり部分も少なくすることが可能となり(以下、同じ)、効率的な放射冷却の回避と、前述の各種の効果が期待できる。
【0052】
尚、図示しないが、送風ファン2は前述の空中に設けることが理想であるが、圃場Aの作物Hの上方であれば、前述の放熱回避の効果が可能であり、採用できる。また図示しないが、この送風ファン2を設ける箇所及び/又は台数は、前記略水平方向のエアカーテンBによる効果が期待できる場合には、特段、限定されない。
【0053】
そして、図4、図5に示した送風ファン2の第一の例と、図6に示した第二の例を説明する。先ず、第一の例は、この送風ファン2は、筒状のケーシング200と、このケーシング200には網体、整流体等でなる整流板201と、支持体(図示せず)を介して設けた送風用のファン202と、このファン202を駆動するモータ203で構成する。そして、このモータ203をベース3、架台4、筒体5を介して建柱1に固止する。尚、ケーシング200はモータ203に設けたアーム204を介して支持されている。従って、モータ203に設けた出力軸203aの回転を介してファン202が回転することで、暖気の風(風とする)が生成されるとともに、この風は整流板201により整流される。この整流された風は、ケーシング200の先端から、略ビーム形状(円筒形状)の風となって吹出される。所謂、図2に示した略ビーム形状で、略直線的に、また遠方に暖気が送風される特徴がある。また前記の整流板201は、整流効果及び/又は到達距離の拡充と、安全性の確立、小鳥の侵入防止、さらにガードの代替としての役割等が図れる。
【0054】
尚、この送風ファン2は、架台4に設けた俯角調整機構及び/又は首振り機構等を介して俯角調整可能、また首振り可能とすることもできる。そして、これらの機構を利用して地形、気象(気候)条件等に対応可能となっていること、又はこれらの地形、気象(気候)条件等に変化があっても、この変化に追従し、圃場A及び/又は作物Hの保護が図れること等の特徴がある。またこの例では、この送風ファン2は一文字形状に設置されているが一例であり、前述の如く、各種の対応が可能であり、例えば、圃場A、作物H、生育、生育環境等の各状態、圃場Aの形態、気象等の条件で適宜選択及び/又は変更されるものであって、何れにしても最適な条件を基に決定される。
【0055】
次に、第二の例を説明すると、送風ファン2は、モータ203と、このモータ203の出力軸203aに支持した送風用のファン202で構成する。この送風ファン2は、架台4(第一の例と同じ)の上に設ける。この例においても、ファン202の回転で、暖気の風を略直線的に、また遠方に送風する。そして、この第二の例においても前記第一の例と同様であって、その機能的には遜色がない。尚、この例における他の構成及び/又は特徴は、前述の第一の例に準ずる。
【0056】
また略直下型の送風ファン20は、前述の送風ファン2と略同じ構造か、又は図示のモータ2003と、このモータ2003の出力軸2003aに設けたファン2002との簡易な構成も可能である。このファン2002の回転は、図例では水平設置であり、前述の如く、矢印「ロ」、「ロ’」で示した、略垂直方向のエアカーテンB1の送風となる。この送風ファン20の動きは、前述の例に準ずる。
【0057】
図7及び図8は、前述の図1〜図3の送風ファン2を一文字形状とした一例を示しており、この送風ファンの構成及び/又は特徴は、前述の例に準ずる。
【0058】
尚、図1、図2、及び図7、図8の如く、前記略水平方向のエアカーテンB及び略垂直方向のエアカーテンB1を構成することで、前述の侵入防止による遮蔽と、風の流れを保護及び/又は誘導し、遠方への送風と、広範囲の略水平方向のエアカーテンBの包み込みによる天井方式の覆いを確保できること、防霜効果が確保できること、そして、前述の各効果が期待できること等の特徴がある。また図1及び図8の如く、気流Cの下の圃場Aの保護が図れることは勿論である。
【0059】
さらに図9〜図11は、送風ファン2を、逆転層Xに設ける構成とした圃場Aの地熱及び/又は茶果樹熱の放熱等を略水平/傾斜方向のエアカーテンB2で防止する構成である。そして、この略水平/傾斜方向のエアカーテンB2による効果は、前述の略水平方向のエアカーテンBに準ずるが、その一部は、略垂直方向のエアカーテンB1にも準ずる。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】図1は茶果樹園の圃場を俯瞰し、逆転層の送風ファンと、この逆転層の下方(下方の空中)の送風ファンを利用したエアカーテンの状態を示した模式図
【図2】図2は図1の例の簡略模式図
【図3】図3は図1及び/又は図2に示した模式図の一例を示した側面簡略模式図
【図4】図4は送風ファンの第一の例を示した正面図
【図5】図5は図4の側面図
【図6】図6は送風ファンの第二の例を示した側面図
【図7】図7は図1の他の例における逆転層の送風ファンと、この逆転層の下方(下方の空中)の送風ファンを利用したエアカーテンの状態を示した模式図
【図8】図8図7の例の簡略模式図
【図9】図9は茶果樹園の圃場を俯瞰し、逆転層に設けた送風ファンを利用したエアカーテンの状態を示した模式図
【図10】図10は図9の例の簡略模式図
【図11】図11は図9及び/又は図10に示した模式図の一例を示した側面簡略模式図
【符号の説明】
【0061】
1 建柱
2 送風ファン
20 送風ファン
200 ケーシング
201 整流板
202 ファン
203 モータ
203a 出力軸
204 アーム
2002 ファン
2003 モータ
2003a 出力軸
3 ベース
4 架台
5 筒体
A 圃場
B エアカーテン
B1 エアカーテン
B1’ エアカーテン
B2 エアカーテン
C 気流
G 地熱(地温)
GL 地面
H 作物
X 逆転層(暖気)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
圃場に設けた送風ファンと、この送風ファンを介して送風し、この圃場の略全体に送風することを必須要件とする圃場の地熱及び/又は茶果樹熱の放熱等をエアカーテンで防止する圃場用の送風方法であって、
この送風方法は、次のような方法により行うことを条件とする。
1) 少なくとも送風は、気流の流れ方向に行うこと、
2) 圃場の略全体をカバーし、この圃場の作物の全体を包み込む送風を行うことで、エアカーテンによる覆いを確保すること、
3) 送風ファンで所定方向に送風を行うこと、
4) 圃場に逆転層の暖気を略直下型に送風を行うこと、
5) 圃場の地熱の放熱を無くすような送風を行うこと、
【請求項2】
請求項1に記載の送風ファンは、建柱に設けた架台に俯角調整可能及び/又は首振り可能とした筒状のケーシングと、このケーシングに内蔵した羽根車と、この羽根車を駆動するモータと、前記ケーシングに渦巻状の整流板とを備えた構成とした圃場の地熱及び/又は茶果樹熱の放熱等をエアカーテンで防止する圃場用の送風方法。
【請求項3】
請求項1に記載の送風ファンは、建柱に設けた架台に俯角調整可能及び/又は首振り可能とした送風ファンのベースと、このベースに回転自在に設けたファン及びファン用のモータとで構成した圃場の地熱及び/又は茶果樹熱の放熱等をエアカーテンで防止する圃場用の送風方法。
【請求項4】
請求項1に記載の送風ファンは、建柱に設けた架台に俯角調整可能及び/又は首振り可能とした構成であって、
この送風ファンを介して所定方向に送風するに際し、この送風ファンの固定で一定方向、又は送風ファンの首振りで首振り方向に送風する構成とした圃場の地熱及び/又は茶果樹熱の放熱等をエアカーテンで防止する圃場用の送風方法。
【請求項5】
請求項1に記載の送風ファンは、建柱の上方で逆転層に設けた略直下型の送風ファンと、この建柱の中央で逆転層の下方に設けた略水平型の送風ファンとで構成し、それぞれの送風ファンより、同時又は個別に送風可能とする構成とした圃場の地熱及び/又は茶果樹熱の放熱等をエアカーテンで防止する圃場用の送風方法。
【請求項6】
請求項5に記載の送風ファンは、略直下型の送風ファンであって、この送風ファンは、建柱の上方に設けた架台に設けた送風ファンのベースと、このベースに回転自在に設けたファン及びファン用のモータとで構成した圃場の地熱及び/又は茶果樹熱の放熱等をエアカーテンで防止する圃場用の送風方法。
【請求項7】
請求項5に記載の送風ファンは、略水平型の送風ファンであって、この送風ファンは、建柱の中央に設けた架台に俯角調整可能及び/又は首振り可能とした送風ファンのベースと、このベースに回転自在に設けたファン及びファン用のモータとで構成した圃場の地熱及び/又は茶果樹熱の放熱等をエアカーテンで防止する圃場用の送風方法。
【請求項8】
請求項5及び請求項7に記載の略水平型の送風ファンを、逆転層に設ける構成とした圃場の地熱及び/又は茶果樹熱の放熱等をエアカーテンで防止する圃場用の送風方法。
【請求項9】
請求項1に記載の圃場は、茶果樹を栽培する茶果樹園とする構成とした圃場の地熱及び/又は茶果樹熱の放熱等をエアカーテンで防止する圃場用の送風方法。
【請求項10】
請求項1に記載の送風は、茶果樹園で栽培する茶果樹を防霜する構成とした圃場の地熱及び/又は茶果樹熱の放熱等をエアカーテンで防止する圃場用の送風方法。
【請求項1】
圃場に設けた送風ファンと、この送風ファンを介して送風し、この圃場の略全体に送風することを必須要件とする圃場の地熱及び/又は茶果樹熱の放熱等をエアカーテンで防止する圃場用の送風方法であって、
この送風方法は、次のような方法により行うことを条件とする。
1) 少なくとも送風は、気流の流れ方向に行うこと、
2) 圃場の略全体をカバーし、この圃場の作物の全体を包み込む送風を行うことで、エアカーテンによる覆いを確保すること、
3) 送風ファンで所定方向に送風を行うこと、
4) 圃場に逆転層の暖気を略直下型に送風を行うこと、
5) 圃場の地熱の放熱を無くすような送風を行うこと、
【請求項2】
請求項1に記載の送風ファンは、建柱に設けた架台に俯角調整可能及び/又は首振り可能とした筒状のケーシングと、このケーシングに内蔵した羽根車と、この羽根車を駆動するモータと、前記ケーシングに渦巻状の整流板とを備えた構成とした圃場の地熱及び/又は茶果樹熱の放熱等をエアカーテンで防止する圃場用の送風方法。
【請求項3】
請求項1に記載の送風ファンは、建柱に設けた架台に俯角調整可能及び/又は首振り可能とした送風ファンのベースと、このベースに回転自在に設けたファン及びファン用のモータとで構成した圃場の地熱及び/又は茶果樹熱の放熱等をエアカーテンで防止する圃場用の送風方法。
【請求項4】
請求項1に記載の送風ファンは、建柱に設けた架台に俯角調整可能及び/又は首振り可能とした構成であって、
この送風ファンを介して所定方向に送風するに際し、この送風ファンの固定で一定方向、又は送風ファンの首振りで首振り方向に送風する構成とした圃場の地熱及び/又は茶果樹熱の放熱等をエアカーテンで防止する圃場用の送風方法。
【請求項5】
請求項1に記載の送風ファンは、建柱の上方で逆転層に設けた略直下型の送風ファンと、この建柱の中央で逆転層の下方に設けた略水平型の送風ファンとで構成し、それぞれの送風ファンより、同時又は個別に送風可能とする構成とした圃場の地熱及び/又は茶果樹熱の放熱等をエアカーテンで防止する圃場用の送風方法。
【請求項6】
請求項5に記載の送風ファンは、略直下型の送風ファンであって、この送風ファンは、建柱の上方に設けた架台に設けた送風ファンのベースと、このベースに回転自在に設けたファン及びファン用のモータとで構成した圃場の地熱及び/又は茶果樹熱の放熱等をエアカーテンで防止する圃場用の送風方法。
【請求項7】
請求項5に記載の送風ファンは、略水平型の送風ファンであって、この送風ファンは、建柱の中央に設けた架台に俯角調整可能及び/又は首振り可能とした送風ファンのベースと、このベースに回転自在に設けたファン及びファン用のモータとで構成した圃場の地熱及び/又は茶果樹熱の放熱等をエアカーテンで防止する圃場用の送風方法。
【請求項8】
請求項5及び請求項7に記載の略水平型の送風ファンを、逆転層に設ける構成とした圃場の地熱及び/又は茶果樹熱の放熱等をエアカーテンで防止する圃場用の送風方法。
【請求項9】
請求項1に記載の圃場は、茶果樹を栽培する茶果樹園とする構成とした圃場の地熱及び/又は茶果樹熱の放熱等をエアカーテンで防止する圃場用の送風方法。
【請求項10】
請求項1に記載の送風は、茶果樹園で栽培する茶果樹を防霜する構成とした圃場の地熱及び/又は茶果樹熱の放熱等をエアカーテンで防止する圃場用の送風方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2007−215493(P2007−215493A)
【公開日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−40517(P2006−40517)
【出願日】平成18年2月17日(2006.2.17)
【出願人】(391008294)フルタ電機株式会社 (176)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年2月17日(2006.2.17)
【出願人】(391008294)フルタ電機株式会社 (176)
【Fターム(参考)】
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