説明

土壌細粒分含有洗浄液の処理方法並びに再生処理システム及び汚染土壌浄化システム

【課題】本発明は、汚染土壌を洗浄した後の洗浄液中に含まれる土壌細粒分を効率的に除去することができる土壌細粒分含有洗浄液の処理方法並びに再生処理システム及び汚染土壌浄化システムを提供する。
【解決手段】土壌細粒分を含む洗浄液に、凝集剤を添加し、前記凝集剤が添加された洗浄液を、攪拌装置で攪拌して反応させ、その後固液分離装置で固液分離する、固液分離処理工程と、前記固液分離処理工程で分離された分離液を、蒸発濃縮装置で蒸発及び濃縮させる蒸発濃縮処理工程とを含むことを特徴とする土壌細粒分含有洗浄液の処理方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、土壌細粒分含有洗浄液の処理方法並びに再生処理システム及び汚染土壌浄化システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、企業の工場跡地等の再開発等に伴い、重金属、揮発性有機化合物等の有害物質による土壌汚染が顕在化している。ここ数年で新たに判明した土壌汚染の事例数は、高い水準で推移している。この土壌汚染を放置しておくと人の健康に影響を及ぼすことが懸念されることから、平成15年2月に土壌汚染対策法が施行された。この土壌汚染対策法では、有害物質の直接摂取によるリスクの観点より、重金属等を含む第2種特定有害物質については、土壌溶出量基準と共に土壌含有量基準が指定されている。
【0003】
従来、汚染された土壌は、コンクリート又は不透水性材料で製造された空間への封じ込め、非汚染土による覆土、重金属固定化剤による不溶安定化、セメント等による固化等によって処理されることが主流であった。しかし、これらの処理法では、土壌中に汚染重金属がそのまま残留してしまい、土壌汚染対策法における土壌含有量基準を満たすことはできない。
【0004】
土壌中から汚染重金属を除去する方法としては、土壌を洗浄して、物理的、化学的に汚染重金属物質を遊離、溶出させることによって抽出分離する処理法が行われている(例えば、特許文献1及び2)。
【0005】
これまで実施されてきた汚染土壌の物理的な洗浄方法としては、例えば図5に示すような方法が挙げられる。この方法では、搬入された重金属汚染土壌をショベルローダー101でベルトフィーダー102に供給し、振動篩103で土壌に含まれるガラ(ごみ、金属等)及び礫分を取り除く。その後土壌は、ドラムウォッシャー104に投入され、洗浄水と混合攪拌される。洗浄液と混合された土壌は、トロンメル分級機105に投入され、土壌の粒径により分級される。分級された土壌は振動篩106、107でさらに洗浄分級される。
【0006】
洗浄貯槽108に溜められた、土壌を洗浄した後の洗浄液には、粒径の小さな(0.075mm以下)土壌細粒分が含まれている。この洗浄液は、水処理工程200に送られる。各反応槽210、220、230において、pH調整剤、酸化剤又は還元剤、キレート剤、高分子凝集剤、無機凝結剤等211、212、221、222、223、231が添加され、重金属及び細粒分を含んだ凝集物と水とに分離処理される。
【0007】
凝集物と水の混合液は、脱水工程300に送られる。この混合液は、シックナー310で沈降分離され、水を多量に含んだ凝集物はフィルタープレス330で脱水処理される。一方、シックナー上澄み液は、濾過装置320で濾過された後、一旦処理液貯槽340に溜められ、洗浄液として再利用される。
【0008】
重金属を含まない砂礫分は、路盤材、埋め立て材等に再利用される。また、フィルタープレス330から排出される脱水ケーキは、必要に応じて重金属不溶化剤で添加処理した後、廃棄物処分場へ運搬廃棄される。
【0009】
このような従来の処理方法は、大規模な汚染土壌の原位置浄化及び固定式汚染土壌処理施設で採用されている。しかし、汚染土壌を洗浄処理する場合、土壌1m当たり3m以上の洗浄水が必要である。したがって、洗浄、分級後には、多量の土壌細粒分を含んだ懸濁液が発生する。従来法では、ポリ塩化アルミニウム等で凝集後、フィルタープレスで脱水処理を行うが、このような装置は、含有する細粒分濃度の変化により、処理能力が大幅に低下する。このため、細粒分含有量の調整、管理及び凝集剤添加量の管理が非常に難しく煩雑となる。また、装置に用いられる濾布は目詰まりし易く、常に洗浄しなければならないため、管理がさらに煩雑となる。
【0010】
さらに、フィルタープレスで脱水する前の分離液に含まれる重金属を処理するために、pH調整剤、酸化剤又は還元剤、キレート剤等の多くの薬品を添加しなければならない。また、従来法では、シックナー等の付属設備が必要であり、薬剤添加濃度の管理等が複雑となる。
これらの問題点から、従来の処理方法では、多くの設備と作業員が必要となり、処理コストが高くなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2003−340450号公報
【特許文献2】特開平11−131965号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は上記事情に鑑み、汚染土壌を洗浄した後の洗浄液中に含まれる土壌細粒分を効率的に除去することができる土壌細粒分含有洗浄液の処理方法並びに再生処理システム及び汚染土壌浄化システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記の課題を解決するため、本発明によれば、土壌細粒分を含む洗浄液に、凝集剤を添加し、前記凝集剤が添加された洗浄液を、攪拌装置で攪拌して反応させ、その後固液分離装置で固液分離する、固液分離処理工程と、前記固液分離処理工程で分離された分離液を、蒸発濃縮装置で蒸発及び濃縮させる蒸発濃縮処理工程とを含むことを特徴とする土壌細粒分含有洗浄液の処理方法が提供される。
前記固液分離装置は、振動篩であることが好適である。
前記振動篩の振動は、直線運動型又はバランス楕円運動型であること好適である。
前記蒸発濃縮装置は、真空多管式であることが好適である。
前記蒸発濃縮処理工程は、前記固液分離処理工程で分離された分離液を熱交換器で加熱する工程と、前記加熱された分離液を、予め減圧された蒸発容器内に供給する工程と、前記供給された分離液を熱管群上に散布することによって、濃縮液を得る工程とを含むことが好適である。
前記蒸発濃縮処理工程は、前記熱管群の熱によって蒸発した、前記供給された分離液中の水分を前記熱管群内に再度送る工程と、前記熱管群内に送られた水分を、前記熱管群外を流れる濃縮液によって凝縮し、蒸留水を得る工程とをさらに含むことが好適である。
また、本発明によれば、凝集剤が添加された、土壌細粒分を含む洗浄液を攪拌して反応させる攪拌装置と、前記攪拌反応後に生成する凝集物を固液分離する固液分離装置とを備える固液分離処理部と、前記固液分離された分離液を蒸発及び濃縮させる蒸発濃縮装置を備える蒸発濃縮処理部とを備えることを特徴とする土壌細粒分含有洗浄液の再生処理システムが提供される。
前記固液分離装置は、振動篩であることが好適である。
前記振動篩の振動は、直線運動型又はバランス楕円運動型であること好適である。
前記蒸発濃縮装置は、真空多管式であることが好適である。
さらに、本発明によれば、前記土壌細粒分含有洗浄液の再生処理システムを備えることを特徴とする汚染土壌浄化処理システムが提供される。
【発明の効果】
【0014】
本発明の土壌細粒分含有洗浄液の処理方法並びに再生処理システム及び汚染土壌浄化システムによれば、汚染土壌を洗浄した後の洗浄液中に含まれる土壌細粒分を効率的に除去することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明に係る土壌細粒分含有洗浄液の処理方法並びに再生処理システム及び汚染土壌浄化システムの一実施の形態を示す概念図である。
【図2】振動篩におけるスクリーンの運動形態を示す模式図である。
【図3】本発明に使用される蒸発濃縮装置の一実施の形態を示す概念図である。
【図4】実施例1〜9で実施されたシステムのフローチャートである。
【図5】従来の汚染土壌の洗浄方法を示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明に係る土壌細粒分含有洗浄液の処理方法並びに再生処理システム及び汚染土壌浄化システムについて、その実施の形態を参照しながら説明する。
【0017】
図1は、本発明に係る土壌細粒分含有洗浄液の処理方法並びに再生処理システム及び汚染土壌浄化システムに適用される装置構成の一実施の形態を示す概念図である。
図1に示す土壌細粒分含有洗浄液の再生処理システムは、固液分離処理部20と蒸発濃縮処理部30とを備える。
【0018】
固液分離処理部20は、攪拌装置21と、凝集剤貯槽22と、固液分離装置23とを備える。凝集剤貯槽22の下流側に攪拌装置21が配置され、攪拌装置21の下流側に固液分離装置23が配置される。
【0019】
攪拌装置21は、洗浄液と凝集剤を均一に攪拌することができる装置であればよく、例えば、パドルミキサーであることが好ましい。これは、パドルミキサー内で生成する凝集反応物(以下、フロックと呼ぶ。)は、パドルの動きにより攪拌槽内に沈降する事が少ないのに対し、通常の攪拌羽根による攪拌方法の場合は、攪拌槽底部にフロックが沈降し易く、フロックの粉砕が生じる部分と生じない部分ができ、均一なフロックを生成させ難いからである。
【0020】
固液分離装置23は、洗浄液と凝集剤を攪拌して反応させることによって得られた凝集物を、スラッジと分離液とに分離する。固液分離装置23としては、振動篩を採用することが好ましい。これは、フィルタープレス等の固液分離装置では、一度に処理できる能力が小さいばかりでなく、フロックの状態により濾布を目詰まらせるのに対し、振動篩では、一度に処理できる能力が大きく、また、適当なサイズの篩目開きを選択する事により目詰まりを防止できるからである。
この振動篩の固液分離能力は、スクリーンの運動形態に依存する。スクリーンの運動形態には、図2に示すように、アンバランス楕円運動型(a)、バランス円運動型(b)、直線運動型(c)、バランス楕円運動型(d)の4種類を少なくとも挙げることができる。
アンバランス楕円運動型(a)では、バイブレーター23bとスクリーン重心23cの位置が離れているため、スクリーン先端の動きが逆向きとなり、フロックをフィード側23aに運ぶように作用する。
バランス円運動型(b)では、バイブレーター23bとスクリーン重心23cとを一致させている為、全体的に均一な円運動をするように作用する。
直線運動型(c)では、回転方向が互いに反対である2個のバイブレーター23bを備える事により、スクリーンには直線運動のみ作用する。
バランス楕円運動型(d)では、バイブレーター23bとスクリーン重心23cとを一致させている為、全体的に均一な楕円運動をするように作用する。
この運動形態のうち、振動篩の振動は、直線運動型又はバランス楕円運動型であることが特に好ましい。これは、アンバランス楕円運動型(a)では、フロックがスクリーン奥(フィード側23a)に溜まって排出されにくくなるのに対し、直線運動型(c)、バランス楕円運動型(d)では、スクリーンを水平状態としても、傾斜状態(フィード側23aよりフロック排出側23dを角度θ分高くする。ここで、θは0〜6°の範囲であることが好適である。)としても、フロックを十分排出できる為、凝集物の大量供給が可能となり、処理能力が飛躍的に向上するからである。
この運動形態を採用している振動篩としては、例えば、ブラント社製「キングコブラ」、スワコ社製「マングース」等が挙げられる。これらの振動篩は、時間当たりの処理量が最大60mであり、スクリーンメッシュサイズが最大210メッシュ(74μm)まで使用することができる。したがって、これらの振動篩は、一般土木工事で使用されている振動篩の処理能力(最大30m)と比較して高性能である。
【0021】
振動篩は、従来のフィルタープレス脱水機とは異なり、一度に多量の凝集物を含んだ液を処理することができる。また、フィルタープレス脱水機では頻繁な濾布の洗浄が必要であるが、振動篩は破れ等による交換が長期間(2年間以上)必要なく、篩の目詰まりも発生しないため、装置管理が容易である。
【0022】
振動篩への凝集物の供給量、凝集物の凝集状態、又はスクリーンメッシュサイズによっても異なるが、この振動篩により、土壌を洗浄した後の洗浄液中に含まれる土壌細粒分の最大97%を除去することができる。
【0023】
蒸発濃縮処理部30は、分離液貯槽31と、蒸発濃縮装置32と、処理水貯槽33とを備える。分離液貯槽31の下流側に蒸発濃縮装置32が配置され、蒸発濃縮装置32の下流側に処理水貯槽33が配置される。蒸発濃縮装置32の一実施の形態を示す概念図を図3に示す。図3に示す蒸発濃縮装置32は、主たる構成要素として、熱交換器32aと、真空ポンプ32bと、蒸発容器32cと、熱管群32dと、ヒートポンプ32eと、循環ポンプ32fとを備える。
【0024】
蒸発濃縮装置32は、固液分離装置23によって分離された分離液から、濃縮液と蒸留水を生成する。蒸発濃縮装置32は、真空多管式であることが好ましい。この蒸発濃縮装置32を使用することにより、多量の土壌細粒分を含んだ洗浄液は、重金属を全く含まない蒸留水となり、施設外に放流することができる。しかし、本発明では、この蒸留水を洗浄水として再利用する点から、コストセーブとなる。
【0025】
本発明に用いる蒸発濃縮装置32の熱管群32d(水平伝熱管群)は、伝熱温度差が小さくなるように、かつ、単位面積当たりの交換熱量が小さくなるように設けられている。このような水平伝熱管群32dに大量の分離液を散布することにより、流下してくる分離液の流れによって均一な攪拌蒸発が行われる。そのため、自浄効果により、スケールが付きにくくなる。また、本発明に用いるヒートポンプ32eは、省エネルギー型を採用している。そのため、大量の熱を加えて蒸発させ、発生蒸気を凝縮させるために大量の熱を捨てる従来法とは異なり、僅かな熱量で蒸発可能とすることができる。
【0026】
従来の濃縮装置では、スチーム等で加温していたため、伝熱管の表面温度が100℃を超えていた。そのため、粘度及びシルト分を含む土壌細粒分が伝熱管の表面に付着成長し、伝熱効率を低下させていた。これにより蒸発能力を大幅に低下させていたという問題を抱えていた。しかし、本発明に用いる蒸発濃縮装置32は、スケールの付着を劇的に低減することができ、効率の良い蒸発濃縮を達成することができる。
【0027】
本発明に用いる蒸発濃縮装置32では、多量の薬剤を添加する必要がないため、付属設備及び薬品添加濃度の管理等が不要であり、省力化を図ることができる。さらに、本発明に用いる蒸発濃縮装置32は自動運転可能であるため、24時間無人運転が可能であり、一層省力化を図ることができる。
【0028】
本発明に用いる蒸発濃縮装置32としては、上述した機能を有する市販の蒸発濃縮装置であれば特に限定されないが、例えば、ササクラ社製の真空多管式蒸発濃縮装置等が挙げられる。本発明に用いる蒸発濃縮装置32に必要とされる処理能力は、重金属汚染土壌の洗浄処理から発生する土壌細粒分を含んだ洗浄液の発生量に比例するが、本装置1台の処理能力は、時間当たり10〜30mの範囲が適している。低くとも10m以上の処理能力であれば、洗浄液の再生は十分であるため、汚染土壌の処理効率は低下しないからである。高くとも30m以下の処理能力であれば、特殊な工事は不要であるため、設備コストは増加しないからである。また、30m以上の処理能力が要求される場合は、本装置の台数を増やすことにより対応することができる。
【0029】
図1に示す汚染土壌浄化システム10は、上記した固液分離処理部20と蒸発濃縮処理部30とを備える土壌細粒分含有洗浄液の再生処理システムの他、従来用いられているショベルローダー11、ベルトフィーダー12、振動篩13、16、17、ドラムウォッシャー14、洗浄貯槽18等を備えている。これらの機器は、図5について説明した従来の汚染土壌の洗浄方法と同様の構成を持ち、同様の機能となっている。
【0030】
上記した装置構成を利用することにより、本発明に係る土壌細粒分含有洗浄液の処理方法を実施することができる。以下、本発明に係る土壌細粒分含有洗浄液の処理方法について、図1及び図3を参照して説明する。
【0031】
図1に示すように、搬入された重金属汚染土壌は、ショベルローダー11でベルトフィーダー12に供給され、定量的に振動篩13で土壌に含まれるガラ(ごみ、金属等)及び40mm以上の礫分を取り除く。40mm以下の土壌は、ドラムウォッシャー14に投入され、土壌の例えば3倍量の洗浄水と混合攪拌される。
洗浄液と混合された土壌は、トロンメル分級機15に投入され、5〜40mmの土壌と5mm未満の土壌に分級される。5mm未満の土壌は、振動篩16、17でそれぞれ2.25〜5mm、0.075〜2.25mmの土壌にさらに洗浄分級される。
【0032】
洗浄貯槽18に溜められた、土壌を洗浄した後の洗浄液には、粒径の小さな(0.075mm以下)土壌細粒分が含まれている。この洗浄液は、固液分離処理部20に移送され、固液分離処理工程により処理される。
【0033】
固液分離処理工程では、土壌細粒分を含む洗浄液に、凝集剤貯槽22から凝集剤を添加する。凝集剤としては、例えば、ポリアクリルアミド部分加水分解物、ポリアクリルアミド−アクリル酸共重合物、アクリル酸ナトリウム等のアニオン性高分子化合物、ポリアクリルアミドカチオン変性物、ポリエチレンイミン等のカチオン性高分子化合物、アクリルアミド重合物、グアガム等のノニオン性高分子化合物、ポリ塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム等の無機凝集剤等が挙げられる。次に、凝集剤が添加された洗浄液を、攪拌装置21で攪拌して反応させることによって、凝集物を生成する。得られた凝集物は固液分離装置23で固液分離される。分離されたスラッジは、攪拌装置24に移送され、固化剤貯槽から供給される固化剤又は重金属不溶化剤25と混合されて、スラッジ置き場19に保管される。分離されたスラッジには、多量の重金属が含まれているからである。この攪拌装置24としては、例えば、パドルミキサーが挙げられる。固化剤としては、例えば、ポルトランドセメント、高炉B種セメント、アルミナセメント、生石灰、消石灰、無水石膏、半水石膏、二水石膏、酸化マグネシウム等が挙げられる。また、重金属不溶化剤としては、例えば、テルナイト社製品「メタシール」又は「マグハート」、オリエンタル技研工業社製品「オリトールN12」又は「オリトールN4」等が挙げられる。
【0034】
一方、固液分離装置23で分離された分離液は、蒸発濃縮処理部30に移送され、蒸発濃縮処理工程により処理される。
【0035】
蒸発濃縮処理工程では、まず、固液分離装置23で分離された分離液は、一旦、分離液貯槽31に溜められる。その後、分離液貯槽31から蒸発濃縮装置32へポンプで移送され、蒸留水と濃縮液に分離される。蒸留水は処理水貯槽33に溜められ、洗浄液として再利用される。一方、重金属と土壌細粒分を含む濃縮液は、上記した攪拌装置24に移送され、固化剤貯槽から供給される固化剤又は重金属不溶化剤25と混合されて、スラッジ置き場19に保管される。
【0036】
この蒸発濃縮処理工程で使用される蒸発濃縮装置32では、図3に示すように、固液分離装置23で分離された分離液は熱交換器32aで加熱される。加熱された分離液は、予め真空ポンプ32bによって減圧された蒸発容器32c内に、循環ポンプ32fによって供給される。供給された分離液は、熱管群32d上に散布することによって、濃縮液が得られる。一方、熱管群32dの熱によって蒸発した、供給された分離液中の水分は、ヒートポンプ32eで熱管群32d内に再度送られる。熱管群32d内に送られた水分は、熱管群32d外を流れる濃縮液によって凝縮し、蒸留水が得られる。
【0037】
以上のような土壌細粒分含有洗浄液の処理方法並びに再生処理システム及び汚染土壌浄化システムによれば、汚染土壌を洗浄した後の洗浄液中に含まれる土壌細粒分を効率的に除去することができる。
【実施例】
【0038】
以下、実施例等を用いて本発明を具体的に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
【0039】
実施例1〜9
本実施例1〜9は、図4に示すシステムを組立て、実施した。図4に示すシステムの装置構成は、図1又は図3に示す装置構成と一部対応している。対応している装置構成については、図1に付した符号と同じ符号を、図4においても付した。具体的には、図4の模擬洗浄液貯槽タンクは図1の洗浄貯槽18と、図4のパドルミキサーは図1の攪拌装置21と、図4の凝集剤貯槽は図1の凝集剤貯槽22と、図4の振動篩装置は図1の固液分離装置23と、図4の分離液受けタンクは図1の分離液貯槽31と、図4の濃縮装置は図1の蒸発濃縮装置32と、図4の真空ポンプは図3の真空ポンプ32bと、図4の循環ポンプは図3の循環ポンプ32fと、それぞれほぼ対応している。
以下、実施例1〜9の実施方法について説明する。
【0040】
モーノポンプ50で模擬洗浄液を、模擬洗浄液貯槽タンク18からパドルミキサー21へ、1〜5m/時間の供給速度で供給した。パドルミキサー21に模擬洗浄液が供給されると同時に、モーノポンプ51で凝集剤貯槽22から凝集剤水溶液を20〜100L/時間の供給速度で添加し、凝集反応を行った。パドルミキサー21で反応させた凝集液は、一旦凝集物受けタンク52に受け、その後、モーノポンプ53を用いて1〜5m/時間の供給速度で振動篩装置23(ブラント社製キングコブラ)へ供給し、固液分離を行った。得られた分離液は、一旦分離液受けタンク31に受け、その後、サンドポンプ54を用いて、真空ポンプ32bで減圧された濃縮装置32へ移送し、濃縮装置32の循環ポンプ32fで分離液を25L/時間の供給速度で供給し、減圧蒸留濃縮処理を行った。
模擬洗浄液は、市販の笠岡粘土を水道水に添加し、固形分濃度が5質量%の懸濁液を4m作液した。さらに、この懸濁液に硝酸鉛を添加し、液相中の鉛濃度を約10mg/Lとなるように調整した。得られた模擬洗浄液の性状について、表1に示す。
凝集剤水溶液は、テルナイト社製HS−916を水道水に添加し、固形分濃度が2質量%の水溶液を作液した。
【0041】
【表1】

【0042】
実施例1〜9は、表2及び表3に示す試験条件で、それぞれ1時間実施した。実施例1〜9の結果を、表2及び表3に示す。
【0043】
【表2】

【0044】
【表3】

【0045】
表2及び表3の結果より、本発明の土壌細粒分含有洗浄液の処理方法を実施することにより、約10mg/Lの溶出濃度を達成できることが示された。また、土壌細粒分含有洗浄液を、重金属と土壌細粒分を除去した蒸留水に100%再生できることが示された。さらに、振動篩のスクリーンメッシュサイズを小さくすることによって分離効率が高くなり、土壌を洗浄した後の洗浄液中に含まれる土壌細粒分の最大97%を除去できることが示された。
【符号の説明】
【0046】
10 汚染土壌浄化処理システム
11、101 ショベルローダー
12、102 ベルトフィーダー
13、103 振動篩
14、104 ドラムウォッシャー
15、105 トロンメル分級機
16、106 振動篩
17、107 振動篩
18、108 洗浄貯槽
19 スラッジ置き場
20 固液分離処理部
21 攪拌装置
22 凝集剤貯槽
23 固液分離装置
23a フィード側
23b バイブレーター
23c スクリーン重心
23d フロック排出側
θ 角度
24 攪拌装置
25 固化剤又は重金属不溶化剤
30 蒸発濃縮処理部
31 分離液貯槽
32 蒸発濃縮装置
32a 熱交換器
32b 真空ポンプ
32c 蒸発容器
32d 熱管群
32e ヒートポンプ
32f 循環ポンプ
33 処理水貯槽
50 モーノポンプ
51 モーノポンプ
52 凝集物受けタンク
53 モーノポンプ
54 サンドポンプ
200 水処理工程
210、220、230 反応槽
211、212、221、222、223、231 pH調整剤、酸化剤又は還元剤、キレート剤、高分子凝集剤、無機凝結剤等
300 脱水工程
310 シックナー
320 濾過装置
330 フィルタープレス
340 処理液貯槽


【特許請求の範囲】
【請求項1】
土壌細粒分を含む洗浄液に、凝集剤を添加し、前記凝集剤が添加された洗浄液を、攪拌装置で攪拌して反応させ、その後固液分離装置で固液分離する、固液分離処理工程と、
前記固液分離処理工程で分離された分離液を、蒸発濃縮装置で蒸発及び濃縮させる蒸発濃縮処理工程と
を含むことを特徴とする土壌細粒分含有洗浄液の処理方法。
【請求項2】
前記固液分離装置が、振動篩であることを特徴とする請求項1に記載の土壌細粒分含有洗浄液の処理方法。
【請求項3】
前記振動篩の振動が、直線運動型又はバランス楕円運動型であることを特徴とする請求項2に記載の土壌細粒分含有洗浄液の処理方法。
【請求項4】
前記蒸発濃縮装置が、真空多管式であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の土壌細粒分含有洗浄液の処理方法。
【請求項5】
前記蒸発濃縮処理工程が、前記固液分離処理工程で分離された分離液を熱交換器で加熱する工程と、
前記加熱された分離液を、予め減圧された蒸発容器内に供給する工程と、
前記供給された分離液を熱管群上に散布することによって、濃縮液を得る工程と
を含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の土壌細粒分含有洗浄液の処理方法。
【請求項6】
前記蒸発濃縮処理工程が、前記熱管群の熱によって蒸発した、前記供給された分離液中の水分を前記熱管群内に再度送る工程と、
前記熱管群内に送られた水分を、前記熱管群外を流れる濃縮液によって凝縮し、蒸留水を得る工程と
をさらに含むことを特徴とする請求項5に記載の土壌細粒分含有洗浄液の処理方法。
【請求項7】
凝集剤が添加された、土壌細粒分を含む洗浄液を攪拌して反応させる攪拌装置と、前記攪拌反応後に生成する凝集物を固液分離する固液分離装置とを備える固液分離処理部と、
前記固液分離された分離液を蒸発及び濃縮させる蒸発濃縮装置を備える蒸発濃縮処理部と
を備えることを特徴とする土壌細粒分含有洗浄液の再生処理システム。
【請求項8】
前記固液分離装置が、振動篩であることを特徴とする請求項7に記載の土壌細粒分含有洗浄液の再生処理システム。
【請求項9】
前記振動篩の振動が、直線運動型又はバランス楕円運動型であることを特徴とする請求項8に記載の土壌細粒分含有洗浄液の再生処理システム。
【請求項10】
前記蒸発濃縮装置が、真空多管式であることを特徴とする請求項7〜9のいずれかに記載の土壌細粒分含有洗浄液の再生処理システム。
【請求項11】
請求項7〜10のいずれかに記載の土壌細粒分含有洗浄液の再生処理システムを備えることを特徴とする汚染土壌浄化処理システム。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−167592(P2011−167592A)
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−31399(P2010−31399)
【出願日】平成22年2月16日(2010.2.16)
【出願人】(390026446)株式会社テルナイト (17)
【出願人】(510042884)株式会社酒田港リサイクル産業センター (1)
【Fターム(参考)】