説明

圧力センサおよびその製造方法

【課題】熱膨張係数が大きく異なるセンサ素子と金属ステムとを接合部材を介して接合し得る圧力センサおよびその製造方法を提供する。
【解決手段】センサチップ50と金属ステム40に形成されるダイアフラム43とを接合する接合層60は、第1接合面61の熱膨張係数がセンサチップ50の熱膨張係数に等しく、第2接合面62の熱膨張係数が金属ステム40の熱膨張係数に等しく、第1接合面61から第2接合面62にかけて熱膨張係数が連続的に変化するように形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧力検出用のダイアフラムを有する金属ステムに対してそのダイアフラム上に接合部材を介してセンサ素子が配置される圧力センサおよびその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の圧力センサは、ダイアフラムを有する中空筒状の金属ステムと、このダイアフラムにガラス接合によって配設されダイアフラムの変形に基づく信号を検出するセンサ素子(センサチップ)とを備え、金属ステム内部へ圧力媒体が導入されたときに、ダイアフラムの変形に基づくセンサチップからの信号によって圧力検出を行うように構成されている。
【0003】
ここで、従来の金属ステムの材料は、Si(シリコン)からなるセンサチップを低融点ガラスを介して金属ステムに接合させるため、Siやガラスの熱膨張係数に近い低熱膨張係数を有する金属としてFe−Ni系合金(コバール)を使用していた。しかしながら、従来のFe−Ni系合金を用いた金属ステムの疲労強度は100MPa程度の検出であるため、ディーゼルに用いる燃圧センサ(例えばコモンレールのポンプ圧センサ)等のように、検出圧200MPa程度の高い検出圧が求められるセンサには使用できないという問題がある。
【0004】
そこで、下記特許文献1に開示される圧力センサの製造方法では、Ti、Al及びNb等の析出強化元素が混合されたFe−Ni系合金等よりなる金属材料の固溶体に対して熱処理を加え時効処理を行うことにより、金属ステムの形状を有する金属体を形成し、続いて、上記時効処理の際の熱処理温度よりも低い温度にて、当該金属体におけるダイアフラムに相当する部位にセンサチップをガラス接合する。これにより、従来よりも高圧に耐えうる金属ステムを有する圧力センサを製造することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−275128号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1に開示される圧力センサのように高圧に耐えうるFe−Ni系合金を採用しても、このFe−Ni系合金は耐食性に課題があり、高湿雰囲気等で腐食するという問題がある。さらには、上述のようなFe−Ni系合金を用いて形成される金属ステムは、高コストとなるため、圧力センサの低コスト化の阻害要因となってしまう。
【0007】
このため、強度、耐食性、コストに関して優位性を有するSUS430材等の金属材料を金属ステムに適用することが考えられる。しかしながら、SUS430材等の金属材料からなる金属ステム上にセンサ素子を低融点ガラスによりガラス接合して圧力センサを作製すると、センサ素子が金属ステムから剥離したりセンサ素子自体が破壊する場合がある。これはセンサ素子とSUS430材等の金属材料との熱膨張係数が大きく異なるだけでなく、接合部材として機能する低融点ガラスを400℃以上の高温で焼成する必要があり、接合後の冷却過程で熱膨張の差が大きく影響するからである。
【0008】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、熱膨張係数が大きく異なるセンサ素子と金属ステムとを接合部材を介して好適に接合し得る圧力センサおよびその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の圧力センサは、センサ素子(50)に第1接合面(61)にて接合され金属ステム(40)に形成されるダイアフラム(43)に第2接合面(62)にて接合される接合部材(60)により前記センサ素子が前記ダイアフラムに接合される圧力センサ(10)であって、前記接合部材は、前記第1接合面の熱膨張係数が前記金属ステムの熱膨張係数よりも前記センサ素子の熱膨張係数に近く、前記第2接合面の熱膨張係数が前記センサ素子の熱膨張係数よりも前記金属ステムの熱膨張係数に近く、前記第1接合面から前記第2接合面にかけて熱膨張係数が連続的に変化するように形成されることを特徴とする。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の圧力センサにおいて、前記接合部材は、前記第1接合面の熱膨張係数が前記センサ素子の熱膨張係数に等しくなるように形成されることを特徴とする。
【0011】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の圧力センサにおいて、前記接合部材は、前記第2接合面の熱膨張係数が前記金属ステムの熱膨張係数に等しくなるように形成されることを特徴とする。
【0012】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか一項に記載の圧力センサにおいて、前記接合部材は、前記第1接合面側ほど熱膨張係数の変化度合いが大きくなるように、熱膨張係数が連続的に変化して形成されることを特徴とする。
【0013】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか一項に記載の圧力センサにおいて、前記接合部材は、前記第2接合面側ほど熱膨張係数の変化度合いが大きくなるように、熱膨張係数が連続的に変化して形成されることを特徴とする。
【0014】
請求項6に記載の発明は、請求項1〜5のいずれか一項に記載の圧力センサにおいて、前記接合部材は、その主成分が酸化物からなることを特徴とする。
【0015】
請求項7に記載の発明は、請求項1〜5のいずれか一項に記載の圧力センサにおいて、前記接合部材は、その主成分がガラス質からなることを特徴とする。
【0016】
請求項8に記載の圧力センサの製造方法は、センサ素子(50)に第1接合面(61)にて接合され金属ステム(40)に形成されるダイアフラム(43)に第2接合面(62)にて接合される接合部材(60)により前記センサ素子が前記ダイアフラムに接合される圧力センサ(10)の製造方法であって、前記金属ステムの熱膨張係数よりも前記センサ素子の熱膨張係数に近い熱膨張係数の第1接合材料(60a)と、前記センサ素子の熱膨張係数よりも前記金属ステムの熱膨張係数に近い熱膨張係数の第2接合材料(60b)との2つの接合材料を用意する第1工程と、前記第2接合面が接合される前記ダイアフラム上に、前記第1接合材料および前記第2接合材料を混合した混合材料(60c)をその混合比が連続的に変化するように塗布することで前記接合部材を形成する工程であって、前記第2接合面側ほど前記第2接合材料の混合比が高くなりこの第2接合面から離れるほど前記第1接合材料の混合比が高くなるように前記混合材料を塗布する第2工程と、前記第2工程により前記ダイアフラム上に形成された前記接合部材の前記第1接合面に前記センサ素子を接合することで、当該接合部材を介して前記センサ素子および前記ダイアフラムを接合する第3工程と、を備えることを特徴とする。
【0017】
請求項9に記載の発明は、請求項8に記載の圧力センサの製造方法において、前記第2工程は、前記第1接合面を構成する前記混合材料の熱膨張係数が前記センサ素子の熱膨張係数に等しくなるように、前記混合比を調整して前記接合部材を形成することを特徴とする。
【0018】
請求項10に記載の発明は、請求項8または9に記載の圧力センサの製造方法において、前記第2工程は、前記第2接合面を構成する前記混合材料の熱膨張係数が前記金属ステムの熱膨張係数に等しくなるように、前記混合比を調整して前記接合部材を形成することを特徴とする。
【0019】
請求項11に記載の発明は、請求項8〜10のいずれか一項に記載の圧力センサの製造方法において、前記第2工程は、前記第1接合面側ほど前記混合比の変化度合いが大きく、かつ、当該混合比が連続的に変化するように前記混合材料を塗布することで、前記接合部材を形成することを特徴とする。
【0020】
請求項12に記載の発明は、請求項8〜10のいずれか一項に記載の圧力センサの製造方法において、前記第2工程は、前記第2接合面側ほど前記混合比の変化度合いが大きく、かつ、当該混合比が連続的に変化するように前記混合材料を塗布することで、前記接合部材を形成することを特徴とする。
【0021】
請求項13に記載の発明は、請求項8〜12のいずれか一項に記載の圧力センサの製造方法において、前記第1接合材料および前記第2接合材料は、その主成分が酸化物からなることを特徴とする。
【0022】
請求項14に記載の発明は、請求項8〜12のいずれか一項に記載の圧力センサの製造方法において、前記第1接合材料および前記第2接合材料は、その主成分がガラス質からなることを特徴とする。
なお、上記各括弧内の符号は、後述する各実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【発明の効果】
【0023】
請求項1の発明では、センサ素子と金属ステムに形成されるダイアフラムとを接合する接合部材は、第1接合面の熱膨張係数が金属ステムの熱膨張係数よりもセンサ素子の熱膨張係数に近く、第2接合面の熱膨張係数がセンサ素子の熱膨張係数よりも金属ステムの熱膨張係数に近く、第1接合面から第2接合面にかけて熱膨張係数が連続的に変化するように形成される。
【0024】
また、請求項8の発明では、第1工程により、金属ステムの熱膨張係数よりもセンサ素子の熱膨張係数に近い熱膨張係数の第1接合材料と、センサ素子の熱膨張係数よりも金属ステムの熱膨張係数に近い熱膨張係数の第2接合材料との2つの接合材料が用意される。そして、第2工程により、第2接合面が接合されるダイアフラム上に、第1接合材料および第2接合材料を混合した混合材料をその混合比が連続的に変化するように塗布することで接合部材が形成される。この第2工程では、第2接合面側ほど第2接合材料の混合比が高くなりこの第2接合面から離れるほど第1接合材料の混合比が高くなるように混合材料が塗布される。そして、第3工程により、ダイアフラム上に形成された接合部材の第1接合面にセンサ素子を接合することで、当該接合部材を介してセンサ素子およびダイアフラムが接合される。
【0025】
これにより、接合部材における第1接合面の熱膨張係数が、金属ステムの熱膨張係数よりもセンサ素子の熱膨張係数に近く形成されるため、第1接合面とセンサ素子との熱膨張係数の差を小さくすることができる。このため、第1接合面とセンサ素子との熱膨張係数の差に起因してこの接合界面にて生じる熱応力が緩和されて、当該接合界面での剥離等を抑制することができる。また、接合部材における第2接合面の熱膨張係数が、センサ素子の熱膨張係数よりも金属ステムの熱膨張係数に近く形成されるため、第2接合面と金属ステムとの熱膨張係数の差を小さくすることができる。このため、第2接合面と金属ステムとの熱膨張係数の差に起因してこの接合界面にて生じる熱応力が緩和されて、当該接合界面での剥離等を抑制することができる。
【0026】
さらに、1つの接合部材における第1接合面と第2接合面との熱膨張係数を大きく異ならせることができるので、センサ素子に対して熱膨張係数が大きく異なる金属ステムを採用しても、センサ素子および金属ステムの双方に対して上記接合界面にて生じる熱応力をそれぞれ緩和することができる。
【0027】
特に、接合部材は、その熱膨張係数が第1接合面から第2接合面にかけて連続的に変化するように形成されるため、両接合面の熱膨張係数を大きく異ならせた接合部材であっても、その内部に生じる熱応力が緩和されるので、当該接合部材の熱応力に起因する破損等を抑制することができる。
したがって、熱膨張係数が大きく異なるセンサ素子と金属ステムとを接合部材を介して好適に接合することができる。
【0028】
請求項2の発明では、接合部材は、第1接合面の熱膨張係数がセンサ素子の熱膨張係数に等しくなるように形成されるため、この第1接合面とセンサ素子との接合界面にて生じる熱応力を確実に緩和することができる。
【0029】
請求項3の発明では、接合部材は、第2接合面の熱膨張係数が金属ステムの熱膨張係数に等しくなるように形成されるため、この第2接合面とダイアフラムとの接合界面にて生じる熱応力を確実に緩和することができる。
【0030】
請求項4の発明では、接合部材は、第1接合面側ほど熱膨張係数の変化度合いが大きくなるように、熱膨張係数が連続的に変化して形成されるので、第1接合面とセンサ素子との接合界面にて生じる熱応力をより緩和することができる。
【0031】
請求項5の発明では、接合部材は、第2接合面側ほど熱膨張係数の変化度合いが大きくなるように、熱膨張係数が連続的に変化して形成されるので、第2接合面と金属ステムとの接合界面にて生じる熱応力をより緩和することができる。
【0032】
請求項6の発明では、接合部材は、その主成分が酸化物からなるため、耐食性等を高く維持できるだけでなく、金属ステムからの圧力をセンサ素子に適切に伝達し得る強度を確保することができる。
【0033】
請求項7の発明では、接合部材は、その主成分がガラス質からなるため、この接合部材は、非晶質物質で主成分ガラスは軟化点温度以上で液相を形成することから、液相となった主成分ガラスが接合界面のミクロの凹凸部位に浸透・貫入するので、ポア・亀裂等のような未接合部の少ない接合界面を形成することができる。
【0034】
請求項9の発明では、第2工程により、第1接合面を構成する混合材料の熱膨張係数がセンサ素子の熱膨張係数に等しくなるように、混合比を調整して接合部材が形成されるため、この第1接合面とセンサ素子との接合界面にて生じる熱応力を確実に緩和することができる。
【0035】
請求項10の発明では、第2工程により、第2接合面を構成する混合材料の熱膨張係数が金属ステムの熱膨張係数に等しくなるように、混合比を調整して接合部材が形成されるため、この第2接合面とダイアフラムとの接合界面にて生じる熱応力を確実に緩和することができる。
【0036】
請求項11の発明では、第2工程により、第1接合面側ほど混合比の変化度合いが大きく、かつ、当該混合比が連続的に変化するように混合材料を塗布することで、接合部材が形成されるので、第1接合面とセンサ素子との接合界面にて生じる熱応力をより緩和することができる。
【0037】
請求項12の発明では、第2工程により、第2接合面側ほど混合比の変化度合いが大きく、かつ、当該混合比が連続的に変化するように混合材料を塗布することで、接合部材が形成されるので、第2接合面と金属ステムとの接合界面にて生じる熱応力をより緩和することができる。
【0038】
請求項13の発明では、第1接合材料および第2接合材料は、その主成分が酸化物からなるため、これら両接合材料を混合して形成される接合部材は、耐食性等を高く維持できるだけでなく、金属ステムからの圧力をセンサ素子に適切に伝達し得る強度を確保することができる。
【0039】
請求項14の発明では、第1接合材料および第2接合材料は、その主成分がガラス質からなるため、これら両接合材料を混合して形成される接合部材は、非晶質物質で主成分ガラスは軟化点温度以上で液相を形成することから、液相となった主成分ガラスが接合界面のミクロの凹凸部位に浸透・貫入するので、ポア・亀裂等のような未接合部の少ない接合界面を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本実施形態に係る圧力センサの構成を概略的に示す断面図である。
【図2】図1の接合層近傍を拡大して示す断面図である。
【図3】接合層における熱膨張係数と第2接合面からの距離との関係を示すグラフである。
【図4】ダイアフラム上に接合部材を塗布するディスペンサー装置の概略を示す説明図である。
【図5】冷熱試験結果を示すグラフである。
【図6】高温サイクル試験結果を示すグラフである。
【図7】本実施形態の第1変形例に係る接合層における熱膨張係数と第2接合面からの距離との関係を示すグラフである。
【図8】本実施形態の第2変形例に係る接合層における熱膨張係数と第2接合面からの距離との関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0041】
以下、本発明の圧力センサを具現化した一実施形態について、図面を参照して説明する。図1は、本実施形態に係る圧力センサの構成を概略的に示す断面図である。
この圧力センサ10は、自動車の燃料噴射系(例えばコモンレ−ル)における燃料パイプ(図示せず)に取り付けられ、この燃料パイプ内の圧力媒体としての気体または気液混合気の圧力を検出するものである。図1に示すように、圧力センサ10は、被取付部材としての測定用配管に取付可能なハウジング20と、ピン状のターミナル31がインサート成形等により一体成形されたコネクタケース30とを備えている。
【0042】
ハウジング20は、例えば、ステンレス等の金属により中空形状に形成されており、その下部の外周面には、測定用配管に締結可能な雄ねじ部21が形成されている。このハウジング20の上部には、周壁22に囲まれた開口部23が形成されている。また、ハウジング20の下面には、開口部23に連通する貫通孔24が形成されている。
【0043】
ハウジング20内には、略有底筒状に加工された金属製の金属ステム40が固定されている。この金属ステム40には、その一端側の端面中央に開口部41が形成されるとともに、この開口部41から他端側に延びる媒体導入通路42が形成されている。また、金属ステム40の媒体導入通路42における他端側の先端位置において、金属ステム40が薄肉化されており、この薄肉化された部分によって圧力により変形可能な受圧部としてダイアフラム43が構成されている。また、金属ステム40の他端側(ダイアフラム43側)には、一端側(開口部41側)に比べて外周径が大きい段部44が形成されている。
【0044】
このように形成される金属ステム40が、その段部44にて開口部23の底面に環状に接触するとともに開口部41が貫通孔24から露出するように、ハウジング20に取り付けられることで、ハウジング20が取り付けられた測定用配管を流れる被検出媒体が、開口部41および媒体導入通路42を介してダイアフラム43に導入されることとなる。
【0045】
金属ステム40の材料には、超高圧(例えば、200MPa)を受けることから高強度であること、及び、耐食性を有すること、が求められ、本実施形態では、具体的には、比較的高い熱膨張係数のSUS430が採用されている。
【0046】
また、金属ステム40のダイアフラム43上には、当該ダイアフラム43の変形に応じた電気信号を出力する歪ゲージ等を有するセンサチップ(センサ素子)50が後述する接合層60を介して設けられている。このセンサチップ50は、シリコン製であって、媒体導入通路42を介して導入された被検出媒体の圧力によってダイアフラム43が変位したとき、この変位に応じた歪ゲージの抵抗値の変化を電気信号に変換して出力する検出部として機能するものである。
【0047】
また、金属ステム40の段部44上には、センサチップ50からの電気信号に応じた出力信号を作成する環状基板51が配置されている。この環状基板51は、具体的には、信号変換機能などを有するICチップや、センサチップ50から入力される電気信号の処理を行うと共にそれに応じた出力信号を発生させる信号処理回路、配線パターンなどを備えた回路素子としての機能を有するものである。センサチップ50と環状基板51とは、ボンディングワイヤ52で結線されて電気的に接続されており、センサチップ50の信号が、環状基板51に配置された回路およびICチップに入力されるようになっている。
【0048】
コネクタケース30は、合成樹脂等、ハウジング20よりも比熱が小さな材料により形成されている。コネクタケース30の上部には、周壁32に囲まれた開口部33が形成されている。この開口部33内には、各ターミナル31の一側端部がそれぞれ突出している。コネクタケース30の下端部34には、周壁32に対して外周径が大きい段部35が形成されて、当該下端部34の中央には、各ターミナル31の他側端部がそれぞれ露出している。
【0049】
次に、センサチップ50とダイアフラム43とを接合する接合層60について、図2および図3を用いて説明する。図2は、図1の接合層近傍を拡大して示す断面図である。図3は、接合層60における熱膨張係数と第2接合面62からの距離(界面厚さ)との関係を示すグラフである。なお、図2では、接合層60について、説明の便宜上、黒色が濃くなるほど熱膨張係数が高くなるように図示されている。
【0050】
図2および図3からわかるように、接合層60は、その厚さが100μmであって、センサチップ50に接合される第1接合面61からダイアフラム43に接合される第2接合面62にかけて、熱膨張係数が厚さ方向に連続的に変化しその変化度合いがほぼ一定となるように形成されている。特に、接合層60は、第1接合面61の熱膨張係数がセンサチップ50の熱膨張係数に等しくなるように形成され、第2接合面62の熱膨張係数が金属ステム40の熱膨張係数に近くなるように形成されている。なお、本実施形態にて採用されるシリコン製のセンサチップ50の熱膨張係数は、例えば、30×10−7/℃(20℃〜300℃)であり、SUS430製の金属ステム40の熱膨張係数は、例えば、120×10−7/℃(20℃〜300℃)である。
【0051】
このように、接合層60における第1接合面61の熱膨張係数が、センサチップ50の熱膨張係数に等しくなるように形成されるため、第1接合面61とセンサチップ50との熱膨張係数の差に起因してこの接合界面にて生じる熱応力を緩和することができる。また、接合層60における第2接合面62の熱膨張係数が、センサチップ50の熱膨張係数よりも金属ステム40の熱膨張係数に近くなるように形成されるため、第2接合面62とダイアフラム43との熱膨張係数の差に起因してこの接合界面にて生じる熱応力を緩和することができる。
【0052】
次に、接合層60をダイアフラム43上に設ける工程を含めた圧力センサ10の製造工程について、図4を用いて説明する。図4は、ダイアフラム43上に接合層60を形成するディスペンサー装置70の概略を示す説明図である。なお、図4では、説明の便宜上、金属ステム40の一部(ダイアフラム43等)のみ図示している。
図4に示すディスペンサー装置70は、2つの異なる接合材料(第1接合材料60aおよび第2接合材料60b)を所定の混合比で混合した混合材料をダイアフラム43上に塗布することで、接合層60を形成する装置である。このディスペンサー装置70は、主に、第1接合材料60aが収容される第1タンク71と、第2接合材料60bが収容される第2タンク72と、両タンク71,72からそれぞれ供給される接合材料を所定の混合比で調整して混合する混合手段73と、混合手段73から供給される混合材料60cをダイアフラム43上に塗布するノズル74を備えている。このノズル74は、塗布すべき接合層60の形状等に応じて、混合材料60cの塗布時に平面方向(X軸,Y軸方向)および垂直方向(Z軸方向)に移動可能に制御される。
【0053】
本実施形態では、第1接合材料60aとして、主成分が酸化物からなる接着剤、例えば、シリケート系アルミナにシリカフィラー含有させそのフィラー粒度と組成を制御(調製)した熱膨張係数5〜20×10−7/℃(20℃〜300℃)の接着剤が採用されている。また、第2接合材料60bとして、主成分が酸化物からなる接着剤、例えば、シリケート系アルミナにシリカフィラーを含有させそのフィラー粒度と組成を制御(調製)した熱膨張係数70〜100×10−7/℃(20℃〜300℃)の接着剤が採用されている。
【0054】
そして、第1タンク71から供給される第1接合材料60aの供給量と、第2タンク72から供給される第2接合材料60bの供給量とをそれぞれ制御することで、混合手段73にて混合される混合比、すなわち、混合材料60cの熱膨張係数が制御される。具体的には、接合層60のうち第2接合面62近傍に相当する部位を形成する場合には、第2接合材料60bの供給量を比較的多くするように制御する。これにより、ノズル74から塗布される混合材料60cの熱膨張係数を金属ステム40の熱膨張係数に近付けることができ、所定の混合比(以下、第2混合比という)で混合することで、混合材料60cの熱膨張係数を金属ステム40の熱膨張係数に近づけることができる。
【0055】
また、接合層60のうち第1接合面61近傍に相当する部位を形成する場合には、第1接合材料60aの供給量を比較的多くするように制御する。これにより、ノズル74から塗布される混合材料60cの熱膨張係数をセンサチップ50の熱膨張係数に近付けることができ、所定の混合比(以下、第1混合比という)で混合することで、混合材料60cの熱膨張係数をセンサチップ50の熱膨張係数に等しくすることができる。
【0056】
特に、第1タンク71から供給される第1接合材料60aの供給量と、第2タンク72から供給される第2接合材料60bの供給量とを徐々に変化させてその混合比を連続的に変化させることで、ノズル74から塗布される混合材料60cの熱膨張係数が連続的に変化することとなる。これにより、接合層60を、その熱膨張係数が第1接合面61から第2接合面62にかけて連続的に変化するように形成することができる。
【0057】
次に、具体的な圧力センサ10の製造工程について説明する。
まず、上述のように熱膨張係数が制御された第1接合材料60aおよび第2接合材料60bを用意する。この工程は、特許請求の範囲に記載の「第1工程」の一例に相当し得る。
【0058】
次に、第2接合面62が接合されるダイアフラム43上に、第1接合材料60aおよび第2接合材料60bを混合手段73にて混合した混合材料60cをノズル74を介して塗布する。このとき、混合手段73からノズル74に供給される混合材料60cを、第2接合材料60bの混合比が高い上記第2混合比の混合状態から第1接合材料60aの混合比が高い上記第1混合比の混合状態へ徐々に変化させる。これにより、第1接合面61の熱膨張係数がセンサチップ50の熱膨張係数に等しく、第2接合面62の熱膨張係数がセンサチップ50の熱膨張係数よりも金属ステム40の熱膨張係数に近く、第1接合面61から第2接合面62にかけて熱膨張係数が連続的に変化する接合層60を、ダイアフラム43上に形成することができる。この工程は、特許請求の範囲に記載の「第2工程」の一例に相当し得る。
【0059】
このように接合層60が形成されると、この接合層60の第1接合面61にセンサチップ50を接合することで、当該接合層60を介してセンサチップ50およびダイアフラム43が接合される。この工程は、特許請求の範囲に記載の「第3工程」の一例に相当し得る。
【0060】
続いて、接合層60を介してセンサチップ50がダイアフラム43に接合された金属ステム40に対して、その段部44上に環状基板51を取り付けるとともに、センサチップ50と環状基板51とをボンディングワイヤ52により電気的に接続する。
このように金属ステム40にセンサチップ50および環状基板51とが取り付けられると、この金属ステム40を、その段部44にて開口部23の底面に環状に接触するとともに開口部41が貫通孔24から露出するように、ハウジング20に取り付ける。
【0061】
そして、コネクタケース30の段部35等にハウジング20の周壁22の先端部をかしめることにより、ハウジング20とコネクタケース30とが一体化される。その際、環状基板51上の回路の端子と、対応するターミナル31の他側端部をターミナル54等を介して電気的に接続する。また、コネクタケース30の下端部34の下端面とハウジング20の周壁22の内周面との間にはOリング55が配置され、これらの間の気密性が確保される。
これにより、図1に示す圧力センサ10が完成する。
【0062】
次に、上述のように形成される接合層60の効果について、図5および図6を参照し比較例とともに説明する。図5は、冷熱試験結果を示すグラフである。図6は、高温サイクル試験結果を示すグラフである。なお、図5および図6において、符号S1は、本発明に係る接合層60の試験結果を示し、符号S2は、比較例に係る接合層の試験結果を示している。
【0063】
上述のように熱膨張係数が制御された接合層60と、比較例として熱膨張係数が変化しない接合層とを、センサチップ50とダイアフラム43とを接合する接合部材として採用したときの、冷熱試験と高温サイクル試験とをそれぞれ実施して、図5および図6に試験結果としてまとめた。なお、比較例に係る接合層は、その厚さが接合層60と同じく100μmであって、その熱膨張係数が連続的に変化することなく、55×10−7/℃(20℃〜300℃)程度でほぼ一定となるように形成されている。
【0064】
まず、冷熱試験結果について説明する。この冷熱試験では、本発明に係る接合層60と比較例に係る接合層とのいずれかの接合層を介して接合されたセンサチップ50および金属ステム40を、−192℃の液体窒素中に30秒間浸漬させる試験工程を複数回繰り返して、剥離状況を確認する。
図5からわかるように、本発明に係る接合層60(図5のS1参照)では、10回繰り返しても剥離状態になっておらず、比較例に係る接合層(図5のS2参照)では、3回目に剥離状態になっている。この試験結果から、上述のように構成される接合層60を用いて接合することで、接合界面にて生じる熱応力が緩和されて、接合界面での剥離が生じにくくなっていることが分かる。
【0065】
次に、高温サイクル試験結果について説明する。この高温サイクル試験では、本発明に係る接合層60と比較例に係る接合層とのいずれかの接合層を介して接合されたセンサチップ50および金属ステム40を、150℃の温度環境に30分さらした後に23℃の温度環境に15分さらす試験工程を1サイクルとして、複数サイクル繰り返して、剥離状況を確認する。
図6からわかるように、本発明に係る接合層60(図6のS1参照)では、1000サイクル後でも剥離状態になっておらず、比較例に係る接合層(図6のS2参照)では、10サイクルで剥離状態になっている。この試験結果から、上述のように構成される接合層60を用いて接合することで、接合界面にて生じる熱応力が緩和されて、接合界面での剥離が生じにくくなっていることが分かる。
【0066】
以上説明したように、本実施形態に係る圧力センサ10では、センサチップ50と金属ステム40に形成されるダイアフラム43とを接合する接合層60は、第1接合面61の熱膨張係数がセンサチップ50の熱膨張係数に等しく、第2接合面62の熱膨張係数が金属ステム40の熱膨張係数に近く、第1接合面61から第2接合面62にかけて熱膨張係数が連続的に変化するように形成されている。
【0067】
また、本実施形態に係る圧力センサ10の製造方法としては、第1工程により、金属ステム40の熱膨張係数よりもセンサチップ50の熱膨張係数に近い熱膨張係数の第1接合材料60aと、センサチップ50の熱膨張係数よりも金属ステム40の熱膨張係数に近い熱膨張係数の第2接合材料60bとの2つの接合材料が用意される。そして、第2工程により、第2接合面62が接合されるダイアフラム43上に、第1接合材料60aおよび第2接合材料60bを混合した混合材料60cをその混合比が連続的に変化するように塗布することで接合層60が形成される。この第2工程では、第2接合面62側ほど第2接合材料60bの混合比が高くなりこの第2接合面62から離れるほど第1接合材料60aの混合比が高くなるように混合材料60cが塗布される。そして、第3工程により、ダイアフラム43上に形成された接合層60の第1接合面61にセンサチップ50を接合することで、当該接合層60を介してセンサチップ50およびダイアフラム43が接合される。
【0068】
これにより、接合層60における第1接合面61の熱膨張係数がセンサチップ50の熱膨張係数に等しく形成されるため、第1接合面61とセンサチップ50との熱膨張係数の差に起因してこの接合界面にて生じる熱応力が緩和されて、当該接合界面での剥離等を抑制することができる。また、接合層60における第2接合面62の熱膨張係数がセンサチップ50の熱膨張係数よりも金属ステム40の熱膨張係数に近く形成されるため、第2接合面62と金属ステム40のダイアフラム43との熱膨張係数の差に起因してこの接合界面にて生じる熱応力が緩和されて、当該接合界面での剥離等を抑制することができる。
【0069】
さらに、1つの接合層60における第1接合面61と第2接合面62との熱膨張係数を大きく異ならせることができるので、センサチップ50に対して熱膨張係数が大きく異なる金属ステム40を採用しても、センサチップ50および金属ステム40の双方に対して上記接合界面にて生じる熱応力をそれぞれ緩和することができる。
【0070】
特に、接合層60は、その熱膨張係数が第1接合面61から第2接合面62にかけて連続的に変化するように形成されるため、両接合面61,62の熱膨張係数を大きく異ならせた接合層であっても、その内部に生じる熱応力が緩和されるので、当該接合層60の熱応力に起因する破損等を抑制することができる。
したがって、熱膨張係数が大きく異なるセンサチップ50と金属ステム40とを接合層60を介して好適に接合することができる。
【0071】
また、接合層60は、その主成分が酸化物からなるため、耐食性等を高く維持できるだけでなく、金属ステム40からの圧力をセンサチップ50に適切に伝達し得る強度を確保することができる。
【0072】
ここで、本実施形態の第1変形例に係る接合層60について、図7を用いて説明する。図7は、本実施形態の第1変形例に係る接合層60における熱膨張係数と第2接合面62からの距離(界面厚さ)との関係を示すグラフである。なお、本第1変形例に係る接合層60の厚さは、上記実施形態の接合層の厚さと同じく100μmである。
図7に示すように、接合層60は、第1接合面61側(センサチップ50側)ほど熱膨張係数の変化度合いが大きくなるように、熱膨張係数が連続的に変化して形成されてもよい。これにより、第1接合面61とセンサチップ50との接合界面にて生じる熱応力をより緩和することができる。
【0073】
次に、本実施形態の第2変形例に係る接合層60について、図8を用いて説明する。図8は、本実施形態の第2変形例に係る接合層60における熱膨張係数と第2接合面62からの距離(界面厚さ)との関係を示すグラフである。なお、本第2変形例に係る接合層60の厚さは、上記実施形態の接合層の厚さと同じく100μmである。
図8に示すように、接合層60は、第2接合面62側(ダイアフラム43側)ほど熱膨張係数の変化度合いが大きくなるように、熱膨張係数が連続的に変化して形成されてもよい。これにより、第2接合面62と金属ステム40のダイアフラム43との接合界面にて生じる熱応力をより緩和することができる。
【0074】
次に、本実施形態の第3変形例に係る接合層60について説明する。
接合層60は、その主成分が酸化物から構成されることに限らず、例えば、その主成分がガラス質から構成されてもよい。具体的には、主成分ガラスとして、バリウム(Ba)、ビスマス(Bi)、ホウ素(B)、シリコン(Si)アルミニウム(Al)、スズ(Sn)、バナジウム(V)、りん(P)等成分を含有する無鉛ガラスや、鉛(Pb)を含有する鉛ガラスに、熱膨張係数を制御する粒子であるコージェライトやリン酸ジルコン酸タングステン、アルミナ、シリカや鉄(Fe)、コバルト(Co)、タングステン(W)、銅(Cu)、ストロンチウム(Sr)、銀(Ag)、ニオブ(Nb)、タンタル(Ta)、セリウム(Ce)、ガリウム(Ga)、アンチモン(Sb)、テルル(Te)の酸化物を含有したガラスペーストを使用することができる。なお、ガラスペースト中のフィラー粒度は、0.1μmから50μmまで選択でき、主に接合層60の厚みや被接合体(金属ステム40及びセンサチップ50)の表面粗さ(ラフネス)により選択される。
【0075】
例えば、接合層60は、第1接合材料60aとして、粒度約1〜3μmに制御した熱膨張係数5〜20×10−7/℃(20℃〜300℃)の接着材であるガラスペーストと、第2接合材料60bとして、粒度約1〜3μmに制御した熱膨張係数70〜100×10−7/℃(20℃〜300℃)の接着材であるガラスペーストとを、ディスペンサー装置70を用いて徐々にその混合比を変化させるように混合してダイアフラム43上に塗布することで、形成することができる。
【0076】
このように、接合層60の主成分をガラス質から構成することで、この接合層60は、非晶質物質で主成分ガラスは軟化点温度以上で液相を形成することから、液相となった主成分ガラスが接合界面のミクロの凹凸部位に浸透・貫入するので、ポア・亀裂等のような未接合部の少ない接合界面を形成することができる。
【0077】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、以下のように具体化してもよい。
(1)接合層60は、第1接合面61の熱膨張係数が、センサチップ50の熱膨張係数に等しくなるように形成されることに限らず、第1接合面61の熱膨張係数を金属ステム40の熱膨張係数よりもセンサチップ50の熱膨張係数に近くすることで、第1接合面61とセンサチップ50との熱膨張係数の差を小さくするように形成されてもよい。
【0078】
(2)接合層60は、第2接合面62の熱膨張係数が、センサチップ50の熱膨張係数よりも金属ステム40の熱膨張係数に近くなるように形成されることに限らず、第2接合面62の熱膨張係数を金属ステム40の熱膨張係数に等しくすることで、第2接合面62と金属ステム40との熱膨張係数の差をより小さくするように形成されてもよい。
【0079】
(3)金属ステム40は、SUS430から構成されることに限らず、例えば、SUS630等、強度、耐食性、コストに関して優位性を有し高い熱膨張係数の金属材料から構成されてもよい。この場合、金属ステム40として採用された金属材料に応じて、第1接合材料60aおよび第2接合材料60bの熱膨張係数やその混合比が調製されてもよい。
【0080】
(4)センサチップ50は、シリコンから構成されることに限らず、例えば、他の材料から構成されてもよい。この場合、センサチップ50として採用された材料に応じて、第1接合材料60aおよび第2接合材料60bの熱膨張係数やその混合比が調製されてもよい。
【0081】
(5)接合層60は、ディスペンサー装置70を用いることでダイアフラム43上に形成されることに限らず、例えば、予めシート状に形成されて、シート状の接合層をダイアフラム43上に配置するように形成されてもよい。
【符号の説明】
【0082】
10…圧力センサ
20…ハウジング
30…コネクタケース
40…金属ステム
42…媒体導入通路
43…ダイアフラム
50…センサチップ(センサ素子)
60…接合層(接合部材)
60a…第1接合材料
60b…第2接合材料
60c…混合材料
61…第1接合面
62…第2接合面
70…ディスペンサー装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
センサ素子に第1接合面にて接合され金属ステムに形成されるダイアフラムに第2接合面にて接合される接合部材により前記センサ素子が前記ダイアフラムに接合される圧力センサであって、
前記接合部材は、前記第1接合面の熱膨張係数が前記金属ステムの熱膨張係数よりも前記センサ素子の熱膨張係数に近く、前記第2接合面の熱膨張係数が前記センサ素子の熱膨張係数よりも前記金属ステムの熱膨張係数に近く、前記第1接合面から前記第2接合面にかけて熱膨張係数が連続的に変化するように形成されることを特徴とする圧力センサ。
【請求項2】
前記接合部材は、前記第1接合面の熱膨張係数が前記センサ素子の熱膨張係数に等しくなるように形成されることを特徴とする請求項1に記載の圧力センサ。
【請求項3】
前記接合部材は、前記第2接合面の熱膨張係数が前記金属ステムの熱膨張係数に等しくなるように形成されることを特徴とする請求項1または2に記載の圧力センサ。
【請求項4】
前記接合部材は、前記第1接合面側ほど熱膨張係数の変化度合いが大きくなるように、熱膨張係数が連続的に変化して形成されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の圧力センサ。
【請求項5】
前記接合部材は、前記第2接合面側ほど熱膨張係数の変化度合いが大きくなるように、熱膨張係数が連続的に変化して形成されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の圧力センサ。
【請求項6】
前記接合部材は、その主成分が酸化物からなることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の圧力センサ。
【請求項7】
前記接合部材は、その主成分がガラス質からなることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の圧力センサ。
【請求項8】
センサ素子に第1接合面にて接合され金属ステムに形成されるダイアフラムに第2接合面にて接合される接合部材により前記センサ素子が前記ダイアフラムに接合される圧力センサの製造方法であって、
前記金属ステムの熱膨張係数よりも前記センサ素子の熱膨張係数に近い熱膨張係数の第1接合材料と、前記センサ素子の熱膨張係数よりも前記金属ステムの熱膨張係数に近い熱膨張係数の第2接合材料との2つの接合材料を用意する第1工程と、
前記第2接合面が接合される前記ダイアフラム上に、前記第1接合材料および前記第2接合材料を混合した混合材料をその混合比が連続的に変化するように塗布することで前記接合部材を形成する工程であって、前記第2接合面側ほど前記第2接合材料の混合比が高くなりこの第2接合面から離れるほど前記第1接合材料の混合比が高くなるように前記混合材料を塗布する第2工程と、
前記第2工程により前記ダイアフラム上に形成された前記接合部材の前記第1接合面に前記センサ素子を接合することで、当該接合部材を介して前記センサ素子および前記ダイアフラムを接合する第3工程と、
を備えることを特徴とする圧力センサの製造方法。
【請求項9】
前記第2工程は、前記第1接合面を構成する前記混合材料の熱膨張係数が前記センサ素子の熱膨張係数に等しくなるように、前記混合比を調整して前記接合部材を形成することを特徴とする請求項8に記載の圧力センサの製造方法。
【請求項10】
前記第2工程は、前記第2接合面を構成する前記混合材料の熱膨張係数が前記金属ステムの熱膨張係数に等しくなるように、前記混合比を調整して前記接合部材を形成することを特徴とする請求項8または9に記載の圧力センサの製造方法。
【請求項11】
前記第2工程は、前記第1接合面側ほど前記混合比の変化度合いが大きく、かつ、当該混合比が連続的に変化するように前記混合材料を塗布することで、前記接合部材を形成することを特徴とする請求項8〜10のいずれか一項に記載の圧力センサの製造方法。
【請求項12】
前記第2工程は、前記第2接合面側ほど前記混合比の変化度合いが大きく、かつ、当該混合比が連続的に変化するように前記混合材料を塗布することで、前記接合部材を形成することを特徴とする請求項8〜10のいずれか一項に記載の圧力センサの製造方法。
【請求項13】
前記第1接合材料および前記第2接合材料は、その主成分が酸化物からなることを特徴とする請求項8〜12のいずれか一項に記載の圧力センサの製造方法。
【請求項14】
前記第1接合材料および前記第2接合材料は、その主成分がガラス質からなることを特徴とする請求項8〜12のいずれか一項に記載の圧力センサの製造方法。

【図1】
image rotate

【図3】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図2】
image rotate

【図4】
image rotate