説明

圧力検出機能を有する弁装置

【課題】煩雑な配管レイアウトを要することなく圧力スイッチおよび試験連通弁を弁箱に取り付けることができる圧力検出機能を有する弁装置を提供する。
【解決手段】水圧を検知する圧力スイッチ15と、弁箱2に内蔵され、圧力スイッチ15の検知信号に基づいて開閉するバタフライ弁等の制御弁と、制御弁を挟んで水路の一次側と二次側とをつなぐ連通路に設けられる連通試験弁12と、を備えた予作動弁装置1であって、弁箱2に取り付けられて前記連通路を構成するマニホールド7を設け、このマニホールド7に圧力スイッチ15および連通試験弁12を取り付ける構成とした。圧力スイッチ15および連通試験弁12がマニホールド7を介して弁箱2に一括して取り付けられるため、弁箱2周りの空間を整然と広く確保でき、予作動弁装置1の小型化が図れる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧力検出機能を有する弁装置に関し、特に、水路に設けられる予作動弁装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
圧力検出機能を有する弁装置において、例えば、スプリンクラー等に使用される予作動弁装置として、水路の水圧を検知する圧力スイッチと、圧力スイッチの検知信号に基づいて水路を開閉する制御弁と、制御弁を挟んで水路の一次側(上流側)と二次側(下流側)とをつなぐ連通路に設けられる連通試験弁と、を備えた構成のものが挙げられる(例えば特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1の図1、図4等にも記載されているように、従来、弁箱に前記圧力センサや連通試験弁を取り付けるにあたり、弁箱に複数の孔を形成しそれぞれの孔に圧力センサ用の配管や連通試験弁用の配管を接続する構造が採られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−142601号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
弁箱に複数の孔を形成してそれぞれの孔に配管を接続する構造では、弁箱周りの配管レイアウトが煩雑なものとなるので、予作動弁装置の小型化の妨げとなり、各機器(圧力センサ、連通試験弁)のメンテナンス性も低下しやすい。
【0006】
本発明は、このような問題を解決するために創作されたものであり、煩雑な配管レイアウトを要することなく圧力スイッチや試験連通弁を弁箱に取り付けることができる圧力検出機能を有する弁装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するため、本発明は、水圧を検知する圧力スイッチと、弁箱に内蔵され、前記圧力スイッチの検知信号に基づいて開閉する制御弁と、該制御弁を挟んで水路の一次側と二次側とをつなぐ連通路に設けられる連通試験弁と、を備えた圧力検出機能を有する弁装置であって、前記弁箱に取り付けられて前記連通路を構成するマニホールドを備え、該マニホールドに前記圧力スイッチおよび連通試験弁を取り付ける構成としたことを特徴とする。
【0008】
当該構成の圧力検出機能を有する弁装置によれば、圧力スイッチおよび連通試験弁がマニホールドを介して弁箱に一括して取り付けられることから、従来のように弁箱周りに連通試験弁、圧力スイッチのそれぞれの配管を引き回す構造に比べ、弁箱周りの空間を整然と広く確保でき、弁装置の小型化が図れる。また、連通試験弁および圧力スイッチがマニホールドに集中して取り付けられるため組み付け工数の削減が図れる。さらに、作業員は作業姿勢をさほど変えることなく連通試験弁および圧力スイッチのメンテナンスを行えることになり、メンテナンス性が向上する。
【0009】
また本発明は、前記連通試験弁を前記マニホールドに内蔵させたことを特徴とする。
【0010】
当該構成の圧力検出機能を有する弁装置によれば、連通試験弁をマニホールドに内蔵させたことにより、弁装置の一層の小型化が図れる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、連通試験弁および圧力スイッチがマニホールドを介して弁箱に一括して取り付けられることから、弁箱周りの空間を整然と広く確保でき、圧力検出機能を有する弁装置の小型化が図れる。また、連通試験弁および圧力スイッチがマニホールドに集中して取り付けられるため組み付け工数の削減が図れる。さらに、作業員は作業姿勢をさほど変えることなく連通試験弁および圧力スイッチのメンテナンスを行えることになり、メンテナンス性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明に係る予作動弁装置の平面図である。
【図2】本発明に係る予作動弁装置の正面図である。
【図3】本発明に係る予作動弁装置の側面図である。
【図4】本発明に係る予作動弁装置の分解斜視図である。
【図5】本発明に係る予作動弁装置の構成ブロック図である。
【図6】本発明に係る予作動弁装置の第1変形例の図であり、マニホールドの側断面図である。
【図7】図6におけるA−A断面図である。
【図8】本発明に係る予作動弁装置の第2変形例の図であり、マニホールドの側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1ないし図4において、本発明の圧力検出機能を有する弁装置である予作動弁装置1は、円筒状の弁箱2に内蔵され水路を開閉する制御弁3を備える。制御弁3は例えばバタフライ弁である。弁箱2の外面にはモータ取付座4を介して駆動モータ5が取り付けられ、この駆動モータ5の出力軸系統はモータ取付座4内を挿通して制御弁3の回転軸3Aに連結している。駆動モータ5によって回転軸3Aを回転させることにより、制御弁3が弁箱2内の一次側(上流側)と二次側(下流側)とを連通或いは遮断する。モータ取付座4は弁箱2に対し一体に成形されたもの、別部材からなるもののどちらでもよい。
【0014】
弁箱2の外面にはマニホールド取付座6が突設されており、その先端は略矩形状の平坦面を呈してマニホールド7を取り付けるための座面6Aを構成している。マニホールド取付座6は弁箱2に対し一体に成形されたもの、別部材からなるもののどちらでもよい。マニホールド取付座6には、弁箱2内の一次側と座面6Aとにわたり弁箱2の径方向に延びる一次側貫通路6Bと、弁箱2内の二次側と座面6Aとにわたり一次側貫通路6Bと平行であって弁箱2の径方向に延びる二次側貫通路6Cとが形成されている。
【0015】
本発明において「マニホールド」とは、後記するように内部に連通試験弁12用の連通路の一部が形成されるとともに、少なくとも圧力スイッチ15に通じる流路が形成されたものをいう。マニホールド7は略直方体状の外郭を呈しており、その一面の取付面7Aが座面6Aに接面した状態でボルト18によりマニホールド取付座6に締結固定される。以降、マニホールド7の外面のうち、前記取付面7Aと反対の面(図2における紙面手前の面)を正面7B、一方の側面を第1側面7C、他方の側面を第2側面7D、上面を上面7E,下面を下面7Fというものとする。
【0016】
マニホールド7の取付面7Aには、図3に示すように、前記一次側貫通路6B、二次側貫通路6Cと同軸に連通するように一直線状の一次側連通路8、二次側連通路9が穿孔されている。一次側連通路8および二次側連通路9の各通路末端は正面7Bまで貫通することなくマニホールド7内に位置しており、これら各通路末端近傍から第1側面7Cにわたり一次側連結路10、二次側連結路11が貫通形成されている。そして、図2に示すように、第1側面7Cには、一次側連結路10、二次側連結路11の双方を連通する連通配管13が取り付けられ、この連通配管13には手動開閉式の連通試験弁12が取り付けられている。この連通試験弁12は、制御弁3(バタフライ弁)が閉じている時に、連通試験弁12を開けることで、一次側の圧力により圧力スイッチ15の作動確認をするために設けられるものであって、通常時は閉状態にあって連通配管13内を非連通にしており、メンテナンス時等においてのみ作業員によって開状態とされて連通配管13内を連通させる。
【0017】
以上により、上流側から順に、一次側貫通路6B、一次側連通路8、一次側連結路10、連通配管13、二次側連結路11、二次側連通路9および二次側貫通路6Cは、制御弁3を挟んで水路の一次側と二次側とをバイパスしてつなぐ連通路を構成する。
【0018】
二次側連通路9の通路末端近傍には分岐路14が連通している。具体的には、二次側連通路9の通路末端近傍において、第2側面7Dに向けて延設する第1分岐路14Aの一端が連通している。第1分岐路14Aの他端は、上下方向に延設する第2分岐路14Bの上部周りと連通している。マニホールド7の上面7E、第2側面7D、下面7Fにはそれぞれ第2分岐路14Bと連通するように、水圧を検知する圧力スイッチ15、水圧を計測表示する圧力計16、通常時は閉じられ、メンテナンス時等において作業員が開いて第2分岐路14B内の水を排水する手動開閉式のドレン弁17が取り付けられる。つまり、圧力スイッチ15、圧力計16、ドレン弁17は、前記連通路において連通試験弁12よりも二次側寄りに連通するように取り付けられる。以上の予作動弁装置1の構成ブロックは図5の通りである。
【0019】
本発明の予作動弁装置1の作用について、予作動弁装置1をスプリンクラー装置の配管上に用いた場合を例にして説明する。スプリンクラー装置の非作動時には、制御弁3は図3に実線にて示すように弁箱2内の水路を閉じており、水路の一次側、二次側ともに水が静水状態で充填されている。連通試験弁12は閉状態である。圧力スイッチ15には、二次側貫通路6C、二次側連通路9、第1分岐路14Aおよび第2分岐路14Bを介して水路の2次側の水圧がかかっている。
【0020】
そして、スプリンクラー装置が作動して水が噴射されることにより水路の二次側の水圧が下がると、圧力スイッチ15により水圧の低下が検知される。この圧力スイッチ15の検知信号に基づいて駆動モータ5が駆動して制御弁3が図3に仮想線にて示すように開き、一次側と2次側とを連通させて水を常にスプリンクラー装置に供給できる状態にする。また、メンテナンス時等には、制御弁3が閉じている状態で連通試験弁12を開けることで連通配管13を連通させ、1次側の圧力をかけることにより圧力スイッチ15の作動確認をする。
【0021】
本発明の予作動弁装置1によれば、少なくとも連通試験弁12および圧力スイッチ15がマニホールド7を介して弁箱2に一括して取り付けられることから、従来のように弁箱2周りに連通試験弁12、圧力スイッチ15のそれぞれの配管を引き回す構造に比べ、弁箱2周りの空間を整然と広くでき、予作動弁装置1の小型化が図れる。また、連通試験弁12および圧力スイッチ15がマニホールド7に集中して取り付けられるため組み付け工数の削減が図れる。さらに、作業員は作業姿勢をさほど変えることなく連通試験弁12および圧力スイッチ15のメンテナンスを行えることになり、メンテナンス性が向上する。
【0022】
「第1変形例」
図6および図7は予作動弁装置1の第1変形例の図であり、図6はマニホールド7の側断面図、図7は図6におけるA−A断面図である。マニホールド7の取付面7Aにおいて、マニホールド取付座6の一次側貫通路6B、二次側貫通路6Cと同軸に連通するように一直線状の一次側連通路8、二次側連通路9が穿孔されている点と、図7に示すように二次側連通路9に分岐路14(第1分岐路14A、第2分岐路14B)が連通形成されてマニホールド7の上面7E、第2側面7D、下面7Fにそれぞれ圧力スイッチ15、圧力計16、ドレン弁17が取り付けられる点については、図1〜図4に示した形態と同じである。
【0023】
なお、図6に示すように、取付面7Aにおける一次側連通路8、二次側連通路9の各開口部周りには環状の嵌合壁31、32を立設しており、これら嵌合壁31、32をマニホールド取付座6の一次側貫通路6B、二次側貫通路6Cに差し込む構造とすることにより、座面6Aに対するマニホールド7の位置決め作業の向上と各貫通路−連通路間の密閉性の向上を図っている。勿論この構造は図1〜図4に示したマニホールド7にも適用可能である。
【0024】
図1〜図4に示した予作動弁装置1が、連通配管13を介して連通試験弁12をマニホールド7の外部に設けた構造であったのに対し、この第1変形例の予作動弁装置1は、連通試験弁12がマニホールド7に内蔵されていることを特徴とする。一次側連通路8と二次側連通路9とは、図6に示すように、途中に弁室20を形成した一次側連結路21および二次側連結路22によりマニホールド7内で連通している。つまり、上流側から順に、一次側貫通路6B、一次側連通路8、一次側連結路21、弁室20、二次側連結路22、二次側連通路9および二次側貫通路6Cは、制御弁3(図3等)を挟んで水路の一次側と二次側とをバイパスしてつなぐ連通路を構成する。
【0025】
連通試験弁12は、その筐体を構成する中弁箱23が正面7Bの穿孔部に嵌め込まれる態様でマニホールド7に内蔵される。符号24はキャップ部材、符号25、26は止水シールである。ハンドル27はマニホールド7の外部に位置しており、中弁箱23と螺合した弁軸28がこのハンドル27の回転操作によりマニホールド7内を進退する。弁軸28の先端には、弁室20における一次側連結路21の開口部を開閉する弁体29が取り付けられている。この第1変形例によれば、連通試験弁12をマニホールド7に内蔵させたことにより、予作動弁装置1の一層の小型化が図れる。
【0026】
「第2変形例」
図8は予作動弁装置1の第2変形例の図であってマニホールド7の側断面図である。この第2変形例も連通試験弁12をマニホールド7に内蔵させた構造であるが、第1変形例では弁体29が弁室20における一次側連結路21の開口部を開閉する構造であったのに対し、第2変形例は弁体29が弁室20における二次側連結路22の開口部を開閉する構造となっている。
【0027】
この第2変形例によれば、水路の一次側の圧力、すなわち正圧が弁体29に加わるため、二次側連結路22の開口部に対する止水性が高まり、連通試験弁12の止水性が向上する。
【0028】
以上、本発明の好適な実施形態を説明したが、本発明は図面に記載したものに限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲で様々な設計変更が可能であり、用途としてもスプリンクラー装置以外に適用できる。
【符号の説明】
【0029】
1 予作動弁装置(圧力検出機能を有する弁装置)
2 弁箱
3 制御弁
5 駆動モータ
7 マニホールド
8 一次側連通路(連通路の一部)
9 二次側連通路(連通路の一部)
10 一次側連結路(連通路の一部)
11 二次側連結路(連通路の一部)
12 連通試験弁
13 連通配管(連通路の一部)
14 分岐路
15 圧力スイッチ
16 圧力計
17 ドレン弁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水圧を検知する圧力スイッチと、
弁箱に内蔵され、前記圧力スイッチの検知信号に基づいて開閉する制御弁と、
該制御弁を挟んで水路の一次側と二次側とをつなぐ連通路に設けられる連通試験弁と、
を備えた圧力検出機能を有する弁装置であって、
前記弁箱に取り付けられて前記連通路を構成するマニホールドを備え、
該マニホールドに前記圧力スイッチおよび連通試験弁を取り付ける構成としたことを特徴とする圧力検出機能を有する弁装置。
【請求項2】
前記連通試験弁を前記マニホールドに内蔵させたことを特徴とする請求項1に記載の圧力検出機能を有する弁装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−229693(P2011−229693A)
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−102896(P2010−102896)
【出願日】平成22年4月28日(2010.4.28)
【出願人】(390014074)前澤工業株式会社 (134)
【Fターム(参考)】