説明

圧力調整スイッチ機構およびそれを用いた表示パネル輸送用の筐体装置

【課題】 エアバック等の内圧制御が精度よく行なうことができ、しかも制御設定の自由度がある圧力調整スイッチ機構、およびこの圧力調整スイッチ機構を用いた表示パネル輸送用の筐体装置であって、ガラス基板、液晶パネル等の表示パネルを破損等のトラブルを発生させることなく安全かつ確実に搬送させることができる表示パネル搬送用の筐体装置を提供する。
【解決手段】 本発明の表示パネル搬送用の筐体装置は、エアバックおよび圧力制御機構部を備え、エアバックは、緩衝部材と表示パネルとが実質的に交互に積層された積層体形成後の最上部に押圧用平板を介して配置され、積層体を押圧するように作用するとともに圧力制御機構部によってエアバックの内圧の制御が行われるように構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアバック等の内圧制御を精度よく行なうことができ、しかも制御設定の自由度がある圧力調整スイッチ機構、およびこの圧力調整スイッチ機構を用いた表示パネル輸送用の筐体装置であって、ガラス基板、液晶パネル等の表示パネルを破損等のトラブルを発生させることなく安全かつ確実に搬送させることができる表示パネル搬送用の筐体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
工場内や工場外へガラス基板、液晶パネル等の表示パネルを搬送する場合には、一般に、搬送用物としてコンテナ(筐体)が使用されている。
【0003】
搬送対象物である表示パネルは、その大きさが年々、サイズアップされる傾向にあり、搬送中での破損の危険度は増してきている。このような実状のもと、従来より輸送中での破損等のトラブルを回避するために搬送ケースに関する種々の提案がなされている。
【0004】
例えば、特開平6−286812号公報には、所定の構造を備えるガラス基板収容用カセットの提案がなされており、この提案によれば、ガラス基板を支承する溝付き側板の幅を狭くし、かつカセット1側面あたりのその設置枚数を必要最小限にしても必要な強度があり、しかもガラス基板取り扱い時の帯電を有効に防止でき、さらにはガラス基板との摩擦によっても摩耗粉などの塵埃を生じがたいという効果が得られると報告されている。
【0005】
また、特開2000−7148号公報には、収納されるガラス基板を保持する際のたわみを少なくすること、および異物の付着を防止することを目的として、ガラス基板端部支持部とガラス基板の中央部を支持するように構成された複数のガラス基板支持棒とシャッタを有するガラス基板カセットの提案がなされている。
【0006】
また、特開平10−264970号公報には、輸送中の振動または衝撃から被梱包物を保護することができる梱包箱を提供することを目的として、被梱包物を収納するための収納部が形成され、気体の注入により被梱包物の周辺部を保持する第1の緩衝体と、気体の注入により被梱包物の上面を保持する第2の緩衝体を備える梱包箱の提案がなされている。
また、特開2004−149188号公報には、比較的低コストで表示パネルを梱包して輸送することができる輸送方法を提供することを目的として、表示パネルをカセットに収納し、表示パネルを収納したカセットを梱包部材で梱包し、梱包したカセットを輸送する表示パネルの輸送方法であって、表示パネルの端部にはその端部を支持するクッション部材を含む旨の提案がなされている。
【0007】
しかしながら、近時、輸送の対象とされる液晶ディスプレイガラスの大きさはさらに拡大する傾向にあり、その大きさがいわゆる第六世代の大きさ(例えば、1500mm×1840mm程度の大きさ)以上となると、縦横が格段と大きくなるので、上記従来の提案をそのまま採択したのみでは輸送中に破損等のトラブルが発生してしまうおそれがある。
また、国内外にある工場間の輸送には、船や航空機を使用することがある。この際、輸送環境の変化は極めて大きい。例えば、搭載待ち時には直射日光があたり、コンテナ内の温度は60〜70℃、あるいはそれ以上になることもある。これとは反対に、船又は航空機からコンテナが外に出され、外気温の極めて低い雰囲気中に長時間さらされることもある。
【0008】
このように輸送環境の変化が極めて大きい場合、単に気体の注入により被梱包物の所定個所を保持する緩衝体を用いた従来の提案では、内部に収納したガラス基板の破損のおそれや、ガラス基板の安定した積載状態を保てないおそれ等が生じ得る。
【0009】
【特許文献1】特開平6−286812号公報
【特許文献2】特開2000−7148号公報
【特許文献3】特開平10−264970号公報
【特許文献4】特開2004−149188号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
このような実状のもとに本発明は創案されたものであって、その目的は、輸送の対象とされる液晶ディスプレイガラスの大きさが増大したとしても(例えば、第六世代の大きさ(例えば、1500mm×1840mm程度の大きさ)以上)、輸送中に破損等のトラブル発生がなく安全かつ確実に搬送することできる表示パネル搬送用の筐体装置およびそれに用いられる圧力調整スイッチ機構を提供することにある。さらに、輸送環境に大きな変化があっても、その環境変化に順応することができ、輸送中のトラブル発生がなく安全かつ確実に搬送することできる表示パネル搬送用の筐体装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために本発明の表示パネル輸送用の筐体装置は、緩衝部材、表示パネル、押圧用平板およびエアバックを収納するための開口部を備える筐体本体と、前記筐体本体の開口部を封止するための蓋体と、前記エアバックに連結される圧力制御機構部とを有する表示パネル輸送用の筐体装置であって、前記緩衝部材は、輸送対象物である複数枚の隣接する表示パネルの間に介在されるとともに、表示パネルの振動を吸収するクッション材としての機能を有し、前記エアバックは、緩衝部材と表示パネルとが実質的に交互に積層された積層体形成後に前記押圧用平板を介して最上部に配置され、積層体を押圧するように作用しており、前記圧力制御機構部は、前記エアバックへの気体供給を可能とする空気圧調整機構部と、圧力制御のためのスイッチとして作用する機械的構成からなる圧力調整スイッチ機構部を有しており、前記圧力調整スイッチ機構部は、シリンダ部とボンネット部により形成される筐体と、この筐体の内部下部に前記エアバックと連通する圧力室を形成するように組み込まれたダイヤフラムおよびこのダイヤフラムと一体化された主ピストン部と、この主ピストン部と第1の圧力調整バネを介して接する第1の調圧ネジ部材と、この第1の調圧ネジ部材と螺合される副ピストン部と、この副ピストン部と第2の圧力調整バネを介して接する第2の調圧ネジ部材と、前記第1の調圧ネジ部材と第2の調圧ネジ部材との間に介在されるとともに前記主ピストン部の主軸方向に延設されるピストンバーに固定されているストッパー部材と、前記主ピストン部の主軸方向の移動にともない、前記ピストンバーの先端と順次接触してスイッチ作動することができる第1のスイッチおよび第2のスイッチを有してなるように構成される。
【0012】
また、本発明の表示パネル輸送用の筐体装置の好ましい態様として、前記第1の調圧ネジ部材の中央部は、前記ピストンバーと固定されることなく遊嵌されており、前記第1の調圧ネジ部材の外周部は、前記副ピストン部の内周部と螺合しており、前記第1の圧力調整バネの反力を調整できるように当該第1の調圧ネジ部材の螺合位置を調整することができるようになっており、前記第2の調圧ネジ部材の中央部は、前記ピストンバーと固定されることなく遊嵌されており、前記第2の調圧ネジ部材の外周部は、前記シリンダの上部と螺合しており、前記第2の圧力調整バネの反力を調整できるように当該第2の調圧ネジ部材の螺合位置を調整することができるようになっており、前記シリンダの中央内部には前記副ピストン部が着座することのできる着座部が形成されており、前記主ピストン部は、前記圧力室の圧力上昇に伴い、上方移動する際に前記第1の調圧ネジ部材と係合して一体化したまま移動する係合部を備えてなるように構成される。
【0013】
また、本発明の表示パネル輸送用の筐体装置の好ましい態様として、前記第1のスイッチは、前記主ピストン部が、前記圧力室の圧力上昇に伴い、上方移動を開始してから前記第1の調圧ネジ部材と係合する前に、前記ピストンバーの先端と接触してスイッチ作動することができるように設定される。
【0014】
また、本発明の表示パネル輸送用の筐体装置の好ましい態様として、前記第2のスイッチは、前記副ピストン部が、前記圧力室の圧力上昇に伴い、着座位置から離れて前記ストッパー部材により停止させられるまでの間に、前記ピストンバーの先端と接触してスイッチ作動することができるように設定される。
【0015】
また、本発明の表示パネル輸送用の筐体装置の好ましい態様として、前記第1のスイッチおよび第2のスイッチはそれぞれリミットスイッチであるように構成される。
【0016】
また、本発明の表示パネル輸送用の筐体装置の好ましい態様として、前記空気圧調整機構部は、チェック弁を介して前記エアバックへの気体供給を可能とするエアポンプを有してなるように構成される。
【0017】
また、本発明の表示パネル輸送用の筐体装置の好ましい態様として、前記空気圧調整機構部は、前記エアバックへの気体供給を可能とする気体供給タンク、第1の切り換え弁、減圧弁、およびチェック弁(一方向弁)を順次有する気体供給回路を有してなるように構成される。
【0018】
また、本発明の表示パネル輸送用の筐体装置の好ましい態様として、前記輸送対象物である表示パネルは、その平面の大きさが1500mm×1840mm以上であるように構成される。
【0019】
また、本発明の表示パネル輸送用の筐体装置の好ましい態様として、前記輸送対象物である表示パネルは、ガラス基板または液晶パネルであるように構成される。
【0020】
また、本発明の表示パネル輸送用の筐体装置の好ましい態様として、前記エアバックは、天然ゴム、合成ゴム、または熱可塑性エラストマーの弾性体を主材料とする袋体から構成されてなるように構成される。
【0021】
また、本発明の表示パネル輸送用の筐体装置の好ましい態様として、前記エアバックの主材料となる弾性体は、その肉厚部に基布が埋設されてなるように構成される。
【0022】
また、本発明の表示パネル輸送用の筐体装置の好ましい態様として、前記押圧用平板は、前記エアバックの圧力が前記積層体に均一にかかるように作用すべく剛性を備えた樹脂プレート、セラミックプレート、又は金属プレートからなるように構成される。
【0023】
本発明は、圧力調整対象物となるエアバックへ連通されて用いられ、圧力制御のためのスイッチとして作用する圧力調整スイッチ機構であって、当該圧力調整スイッチ機構は、シリンダ部とボンネット部により形成される筐体と、この筐体の内部下部に前記エアバックと連通する圧力室を形成するように組み込まれたダイヤフラムおよびこのダイヤフラムと一体化された主ピストン部と、この主ピストン部と第1の圧力調整バネを介して接する第1の調圧ネジ部材と、この第1の調圧ネジ部材と螺合される副ピストン部と、この副ピストン部と第2の圧力調整バネを介して接する第2の調圧ネジ部材と、前記第1の調圧ネジ部材と第2の調圧ネジ部材との間に介在されるとともに前記主ピストン部の主軸方向に延設されるピストンバーに固定されているストッパー部材と、前記主ピストン部の主軸方向の移動にともない、前記ピストンバーの先端と順次接触してスイッチ作動することができる第1のスイッチおよび第2のスイッチを有してなるように構成される。
【0024】
また、本発明の圧力調整スイッチ機構の好ましい態様として、前記第1の調圧ネジ部材の中央部は、前記ピストンバーと固定されることなく遊嵌されており、前記第1の調圧ネジ部材の外周部は、前記副ピストン部の内周部と螺合しており、前記第1の圧力調整バネの反力を調整できるように当該第1の調圧ネジ部材の螺合位置を調整することができるようになっており、前記第2の調圧ネジ部材の中央部は、前記ピストンバーと固定されることなく遊嵌されており、前記第2の調圧ネジ部材の外周部は、前記シリンダの上部と螺合しており、前記第2の圧力調整バネの反力を調整できるように当該第2の調圧ネジ部材の螺合位置を調整することができるようになっており、前記シリンダの中央内部には前記副ピストン部が着座することのできる着座部が形成されており、前記主ピストン部は、前記圧力室の圧力上昇に伴い、上方移動する際に前記第1の調圧ネジ部材と係合して一体化したまま移動する係合部を備えてなるように構成される。
【0025】
また、本発明の圧力調整スイッチ機構の好ましい態様として、前記第1のスイッチは、前記主ピストン部が、前記圧力室の圧力上昇に伴い、上方移動を開始してから前記第1の調圧ネジ部材と係合する前に、前記ピストンバーの先端と接触してスイッチ作動することができるように設定される。
【0026】
また、本発明の圧力調整スイッチ機構の好ましい態様として、前記第2のスイッチは、前記副ピストン部が、前記圧力室の圧力上昇に伴い、着座位置から離れて前記ストッパー部材により停止させられるまでの間に、前記ピストンバーの先端と接触してスイッチ作動することができるように設定される。
【0027】
また、本発明の圧力調整スイッチ機構の好ましい態様として、前記第1のスイッチおよび第2のスイッチがそれぞれリミットスイッチから構成される。
【発明の効果】
【0028】
本発明の表示パネル輸送用の筐体装置は、緩衝部材、表示パネル、押圧用平板およびエアバックを収納するための開口部を備える筐体本体と、前記筐体本体の開口部を封止するための蓋体と、前記エアバックに連結される圧力制御機構部とを有する表示パネル輸送用の筐体装置であって、前記緩衝部材は、輸送対象物である複数枚の隣接する表示パネルの間に介在されるとともに、表示パネルの振動を吸収するクッション材としての機能を有し、前記エアバックは、緩衝部材と表示パネルとが実質的に交互に積層された積層体形成後に前記押圧用平板を介して最上部に配置され、積層体を押圧するように作用しており、前記圧力制御機構部は、前記エアバックへの気体供給を可能とする空気圧調整機構部と、圧力制御のためのスイッチとして作用する機械的構成からなる圧力調整スイッチ機構部を有しており、前記圧力調整スイッチ機構部は、シリンダ部とボンネット部により形成される筐体と、この筐体の内部下部に前記エアバックと連通する圧力室を形成するように組み込まれたダイヤフラムおよびこのダイヤフラムと一体化された主ピストン部と、この主ピストン部と第1の圧力調整バネを介して接合される第1の調圧ネジ部材と、この第1の調圧ネジ部材と螺合される副ピストン部と、この副ピストン部と第2の圧力調整バネを介して接合される第2の調圧ネジ部材と、前記第1の調圧ネジ部材と第2の調圧ネジ部材との間に介在されるとともに前記主ピストン部の主軸方向に延設されるピストンバーに固定されているストッパー部材と、前記主ピストン部の主軸方向の移動にともない、前記ピストンバーの先端と順次接触してスイッチ作動することができる第1のスイッチおよび第2のスイッチを有してなるように構成されているので、エアバック内の圧力を広範囲にかつ微妙に高精度で調整することができる。その結果、輸送の対象とされる液晶ディスプレイガラスの大きさが例えば、第六世代の大きさ以上であっても、輸送中に破損等のトラブル発生がなく安全かつ確実に搬送することできるという極めて優れた効果が発現する。さらには、輸送環境に大きな変化があっても、その環境変化に順応することができ、輸送中に破損等のトラブル発生がなく安全かつ確実に搬送することできるという極めて優れた効果が発現する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下、本発明の圧力調整スイッチ機構およびそれを用いた表示パネル輸送用の筐体装置の説明をする前に、本発明との対比の意味も踏まえて、本発明の圧力調整スイッチ機構を用いずに2つの圧力スイッチを用いて行なわれる従来の一般的制御機構について説明しておく。
【0030】
図6には従来の一般的制御機構における空気圧力回路図が示され、図7には従来の一般的制御機構における電気制御回路図が示されている。また、図8には、図7に示される各動作機器や接点の作動状態をそれぞれエアバック内の圧力との関係で示している。以下、動作説明を簡単に行なう。
【0031】
(1)配管・配線の準備を完了させ、電源スイッチを入れる。
【0032】
(2)図6に示されるライン圧注入口(外部空気圧供給回路)からエアバック内に空気を注入する。圧力スイッチ1および2を作動させてエアポンプを起動させてエアポンプ側から空気を注入するようにしてもよいが、ライン圧注入口(外部空気圧供給回路)から空気を注入させることによりエアポンプに初期空気導入時の負荷を軽減でき、例えば電池等の寿命を伸ばすことができる。
【0033】
そして、エアバックの内圧が高圧設定値P2(実際にはヒステリシス分も考慮に入れてP2+Δh2)に達した時点でライン圧注入口(外部空気圧供給回路)が外される。この時、同時に圧力スイッチ2(高圧設定スイッチPSW2)が停止し、エアポンプが停止する。
【0034】
(3)温度変化、膜の膨張(取り付け寸法変化・クリープ)、膜からの浸透等により内圧が低下し、圧力が(P2ーΔh2)になると圧力スイッチ2(高圧設定スイッチPSW2)が作動する(図8参照)。Δh2は高圧設定スイッチPSW2のヒステリシスである。
【0035】
(4)引き続き内圧が低下し、低圧設定値P1付近に達し、内圧が(P1ーΔh1)に達すると圧力スイッチ1(低圧設定スイッチPSW1)が作動し、エアポンプが空気の供給を開始する(図8参照)。Δh1は低圧設定スイッチPSW1のヒステリシスである。
【0036】
(5)内圧が増加し、(P1+Δh1)に達すると、圧力スイッチ1(低圧設定スイッチPSW1)は切れる。低圧設定スイッチPSW1は切れても、高圧設定スイッチPSW2が接続されているために、エアポンプは空気の供給を続ける(図7および図8参照)。
【0037】
(6)さらにどんどん内圧が増加し、(P2+Δh2)に達すると、圧力スイッチ2(高圧設定スイッチPSW2)は切れる。エアポンプの回転が止まり空気の供給を停止する。
【0038】
以後、上記の動作を繰り返し、内圧がP1〜P2に保たれる。ただし、ヒステリシス分の誤差は生じる。具体的な動作は図8を参照されたい。なお、図7や図8に示される主要な符号は以下の通りである。
【0039】
PSW1:圧力スイッチ1(低圧設定スイッチ)
R1:リレー
R2:リレー
PSW2:圧力スイッチ2(高圧設定スイッチ)
PR:圧力リレー
【0040】
〔本発明の表示パネル輸送用の筐体装置の説明〕
次いで、本発明の表示パネル輸送用の筐体装置について詳細に説明する。図1には、本発明の表示パネル輸送用筐体装置の内部の状態が理解し易いように内部を模式的に断面にした図面が示されており、図2には、本発明で用いられるエアバック140に連結される圧力制御機構部の要部システムの好適な一例が示されている。図2に示されるように圧力制御機構部は、エアバック140への気体供給を可能とする空気圧調整機構部200と、圧力制御のためのスイッチとして作用する機械的構成からなる圧力調整スイッチ機構部1を有している。
【0041】
図1に示されるように、本発明の表示パネル輸送用の筐体装置100は、搬送対象物である表示パネル7等を収納するための略直方体形状の筐体本体110と、この筐体本体110の上部に形成されている開口部111を覆って封止するための蓋体120を備えている。
【0042】
本発明における筐体本体110の中には、その上部に開口されている開口部111から緩衝部材130と、表示パネル7が交互に入れられ重ねられた状態(いわゆる積層体の形成)で収納される。このような緩衝部材130と、表示パネル7との収納は、最上部に押圧用平板8を介してエアバック140を収納するためのスペースを残した状態で終えられ、図1に示されるごとく最上部の残存スペースに押圧用平板8を介してエアバック140が載置収納されるようになっている。
【0043】
本発明において輸送対象となる表示パネル7は、その大きさが第六世代の大きさ(例えば、1500mm×1840mm程度の大きさ)以上のもので本願の効果が顕著である。輸送対象となる表示パネル7が第六世代の大きさより小さい、いわゆる第5世代程度の大きさ(例えば、1100mm×1300mm程度の大きさ)となると、内圧制御されるエアバック140の装備がなくても表示パネル7の破損のおそれはあまり大きくならないからである。
【0044】
本発明における表示パネル7を収納する筐体本体110の内寸法(幅×長さ寸法)は、表示パネル7よりもわずかに大きな寸法とすることが好ましい。搬送時のガタツキを防止するためにも必要以上なマージンはないほうがよい。また、表示パネル7の筐体本体110内部への収納には、表示パネル7の平面を真空吸引で把持する機構を備えるロボット等が用いられる。表示パネル7は、筐体本体110の内部に、例えば10〜20枚程度収納される。
【0045】
本発明における表示パネル7は、例えば、ガラス基板、液晶パネル、等のいわゆる表示パネルとして公知の種々のものを含む概念である。
【0046】
緩衝部材130は、上述したように輸送対象物である複数枚の隣接する表示パネル7の間に介在されて配置され、輸送中、表示パネル7の振動を吸収するクッション材としての機能を有する材料が用いられる。振動を吸収するクッション材料であれば、ゴム材質や樹脂材質等いずれであってもよく、特に材質に制限はない。緩衝部材130の大きさは、表示パネル7のそれと同程度あるいはそれ以上の大きさとされる。表示パネル7とできるだけ多くの面積で平面接触できる表面平板形状のものが好ましい。また、表示パネル7との交互積層配置に際し、緩衝部材130は、図1に示されるように筐体本体110の内側底部と、押圧用平板8と接触する部位に必ず配置されるようにすることが好ましい。
【0047】
緩衝部材130と表示パネル7とが実質的に交互に積層された積層体形成後の最上部には、押圧用平板8を介してエアバック140が配置される。
【0048】
押圧用平板8は、エアーバック140の圧力が積層体に均一にかかるように作用すべく、押圧によって変形しない程度の剛性を備え、しかも軽くて薄い平らなプレートが用いられる。具体的には、樹脂プレート、セラミックプレート、金属プレート等が挙げられる。
【0049】
エアバック140が配置された後に、筐体本体110の開口部111を覆うように蓋体120が被着される。蓋体120は筐体本体110に被着された後、筐体本体110にしっかりと固着されるようになっている。
【0050】
エアバック140は、袋状形態をなし、図示していないが気体の導入可能な導入口と、気体を排出する排出口を備えている。導入口と排出口は同一箇所とすることができる。エアバック140を膨らまして内圧を付加させると蓋体120の内面との反力により、緩衝部材130と表示パネル7とが交互に積層された積層体を押圧用平板8を介して下方に押圧するように作用する。
【0051】
エアバック140は、押圧用平板8を介して緩衝部材130と表示パネル7との積層状態を常に適度の良好な加圧状態に維持するために後述する圧力制御機構部が連結されており、この圧力制御機構部によってエアバックの内圧の制御が行われるようになっている。
【0052】
エアバック140はパネル基板7の形態に合わせて四角状袋形態とすることが望ましいが、本発明の作用効果を発現できる限りにおいて、円盤状袋形態であってもよい。
【0053】
このようなエアバック140は、天然ゴム、合成ゴム、または熱可塑性エラストマーの弾性体を主材料として構成することが好ましい。また、袋体強度を維持するために、エアバック140を構成する袋体の肉厚内に基布等を埋設するようにする構成することが好ましい。
【0054】
このようなエアバック140を設けることにより、初期の収納段階で緩衝部材130と表示パネル7とが交互に積層されていき、ピッタリと蓋体120の内側上面まで来なくても、その隙間は押圧用平板8を介してエアバック140によりある程度自由に調整することができる。また、輸送途中に、緩衝部材130と表示パネル7との積層体物が自重により下がり、上部の隙間が大きくなったとしても、生じた隙間は押圧用平板8を介してエアバック140の拡張によってある程度自由に調整される。また、輸送環境に大きな変化(例えば、温度の著しい変化)があっても、その環境変化に順応することができる。
【0055】
このようなエアバック140に連結される圧力制御機構部は、図1には図示していないが、通常、ほとんどの主要装置が筐体本体110の外側底部に隠れるように収納・固着されている。図1において、符号3は紙面の手前ないし奥行き方向に延びる梁であり筐体本体110の強度を保つように作用している。また、符号4は、圧力制御機構部が収納されている制御ボックスを簡易的に示したものである。制御ボックス4からエアバック140までの配管経路の記載は省略してあるが、筐体本体110の側面の上方に向けて配管を這わせるとともに、本体内部のエアバック140の継ぎ手に連結するようにすればよい。配管方法および連結方法は公知の種々の方法を用いるようにすればよい。
【0056】
〔圧力制御機構部の空気圧調整機構部200の説明〕
図2には、エアバック140に連結される圧力制御機構部の要部システム図が示されている。図2において、点線で囲まれたブロックAのエリア以外の各部材が基本的に本発明の表示パネル輸送用の筐体装置100に一緒に組み込まれて筐体に一体化・固定されている。
【0057】
点線で囲まれたブロックAのエリアは、エアバック140へ初期段階の気体供給を行なうための外部気体供給回路であって、使用したとしても一時的なものであり、本発明の筐体装置100に必須のものではない。
【0058】
本発明における圧力制御機構部の要部システムは、前述したようにエアバック140への気体供給を可能とする空気圧調整機構部200と、圧力制御のためのスイッチとして作用する機械的構成からなる圧力調整スイッチ機構部1とを有している。
【0059】
空気圧調整機構部200は、例えば、図2に示されるように、エアバック140への気体供給を可能とする気体供給タンク251、切り換え弁253(2方切り換え弁)、減圧弁254、チェック弁258を順次有する気体供給回路がエアバック140に連結されている。さらに、安全面の観点からリリーフ弁260をエアバック40に連結しておくことが望ましい。気体供給タンク251は、図1における筐体本体110の外側底部に装着できる程度の小型のタンクであり、市販品のものを使用することができる。タンク内容量は5〜20リットル程度、タンク内圧は10〜1MPa・G程度のものが好適に用いられる。
【0060】
このような気体供給タンク251は交換可能に取り付けられており、複数回の使用により気体容量が不足してきた場合には、新しい気体供給タンクに交換できるようになっている。
【0061】
また、図2示される空気圧調整機構部200に代えて、図3に示されるような空気圧調整機構部300とすることもできる。すなわち、チェック弁258を介してエアバック140への気体供給を可能とするエアポンプ360を有してなる空気圧調整機構部300としてもよい。
【0062】
〔圧力制御機構部の圧力調整スイッチ機構部1の説明〕
図2に示されるようにエアバック140には、圧力制御のためのスイッチとして作用する機械的構成からなる圧力調整スイッチ機構部1が接続されている。
【0063】
この圧力調整スイッチ機構部1の構造を図4に基づいて詳細に説明する。
【0064】
圧力調整スイッチ機構部1は、その概略全体構造が図4に示されるように略筐体の形状をなしており、この筐体は、略側面部を形成する略筒状のシリンダ部30と、筐体の底部付近を形成するボンネット部40を有し形成されている。
【0065】
そして、この筐体の内部下部にエアバックと連通する圧力室Pを形成するようにダイヤフラム17と、このダイヤフラム17と一体化された主ピストン部20が組み合わされて構成されている。ダイヤフラム17としては、図示されるようなローリング膜機能を備えるダイヤフラムとすることが好ましい。本実施の態様では、ダイヤフラム17の周縁部がシリンダ部30とボンネット部40の間に挟持されて固定されている。ローリング膜機能を備えるダイヤフラム17は、図面では簡略化して描いてあるが、ローリング移動できるいわゆる折り返し部(Convolution:図面上、湾曲で描かれている)を持つ有底円筒形状のものであって、作動中にその有効受圧面積が一定不変に保たれる円筒形の布入りゴム部材である。
【0066】
また、図4に示されるように、主ピストン部20はその主軸方向にピストンバー26を延設した状態で備えている。そして、主ピストン部20の下部フランジ形状部分20aには、第1の圧力調整バネ81が配置されており、この第1の圧力調整バネ81の上方片端と接するように第1の調圧ネジ部材50が配置されている。なお、主ピストン部20は、圧力室Pの圧力上昇に伴い図面の上方に移動する際に、第1の調圧ネジ部材50と係合して一体化したまま移動できるように係合部22を段差として備えている。この係合部22と係合する第1の調圧ネジ部材50側の係合部は符号51で示されている。
【0067】
図4に示されるように第1の調圧ネジ部材50の中央部は、主ピストン部20のピストンバー26と固定されることなく遊嵌されており、第1の調圧ネジ部材50の外周部55は、副ピストン部60の内周部と螺合して(一体化されて)おり、第1の圧力調整バネ81の反力を調整可能なように第1の調圧ネジ部材50の螺合位置を調整することができるようになっている。従って、第1の調圧ネジ部材50の外周部55には、所定長さに亘ってネジ部が形成されている。
【0068】
また、シリンダ30の中央内部には、副ピストン部60の底部が着座することのできる着座部35が形成されている。副ピストン部60は、着座部35に係止するように着座したりあるいは着座部35から離れて上方移動したりするように動作する。
【0069】
また、副ピストン部60の上面側には第2の圧力調整バネ85が配置されており、この第2の圧力調整バネ85の片端(上側端)と接するように第2の調圧ネジ部材90が配置されている。この第2の調圧ネジ部材90の中央部は、主ピストン部20のピストンバー26と固定されることなく遊嵌されており、第2の調圧ネジ部材90の外周部91は、前記シリンダ30の上部31と螺合して(一体化されて)おり、第2の圧力調整バネ85の反力を調整可能なように第2の調圧ネジ部材90の螺合位置を調整することができるようになっている。従って、第2の調圧ネジ部材90の外周部91には、所定長さに亘ってネジ部が形成されている。
【0070】
さらに、第1の調圧ネジ部材50と第2の調圧ネジ部材90との間には、ストッパー部材70が介在されている。このストッパー部材70は、主ピストン部20の主軸方向に延設されるピストンバー26に固定されている。固定位置は、例えば、割り締め機構等を用いて、任意に位置設定することが可能となっている。
【0071】
図4に示されるごとく、ピストンバー26の上方には、主ピストン部20の主軸方向の上方移動にともない、ピストンバー26の先端と順次接触してスイッチ作動することができる第1のスイッチ98および第2のスイッチ99が配置されている。第1のスイッチ98および第2のスイッチ99はそれぞれ、いわゆるリミットスイッチから構成するのが好ましい。
【0072】
第1のスイッチ98は、主ピストン部20が、圧力室Pの圧力上昇に伴い、上方移動を開始してから第1の調圧ネジ部材50と係合(係合部51と係合部22)する前に、ピストンバー26の先端26aと接触してスイッチ作動することができるように設定されている。一方、第2のスイッチ99は、副ピストン部60が、圧力室Pの圧力上昇に伴い、着座位置(着座部35)から離れてストッパー部材70により停止させられるまでの間に(ストッパー部材70の上面72と第2の調圧ネジ部材90の下面91との係止により停止する)、ピストンバー26の先端26aと接触してスイッチ作動することができるように設定されている。なお、符号4aは、エアバック140との接続口である。
【0073】
以下、圧力制御機構部の圧力調整スイッチ機構部1の動作説明を、図4および図5を参照しつつ詳細に説明する。図5は、主ピストン20のストロークと圧力室Pの圧力(エアバックの圧力と同じ)の関係を示すグラフである。
【0074】
(1)圧力室Pの空気圧が大気圧か、あるいはPA(ΔP1)未満の時には(図5)、ボンネット40の内部底面41(図4)と主ピストン部20の底面21(図4)は接している。
【0075】
(2)圧力室Pの空気圧が徐々に上昇し、圧力PAになると(図5)、主ピストン部20の底面21(図4)は、ボンネット40の内部底面41(図4)から離れる。その後、圧力室Pの上昇に伴い、主ピストン部20は徐々に図面の上方に移動する。
【0076】
(3)圧力室Pの空気圧がさらに上昇し、圧力PBになると主ピストン部20の係合部22と第1の調圧ネジ部材50側の係合部51とが接する(係合する)。
【0077】
(4)第1のスイッチ(リミットスイッチ)98は、主ピストン部20が、圧力室Pの圧力上昇に伴い、上方移動を開始してから第1の調圧ネジ部材50と係合(係合部51と係合部22)する前に、ピストンバー26の先端26aと第1のスイッチ98の滑車98aと接触してスイッチ作動することができるように調整されている。従って、圧力PAと圧力PBの間で第1のスイッチ(リミットスイッチ)98がオンオフさせられる。
【0078】
(5)圧力室Pの空気圧がPBを超してPCになるまで主ピストン20は移動しない。主ピストン部20が第1の調圧ネジ部材50と係合(係合部22と係合部51)した後は、第2の圧力調整バネ85の反力をそのように設定しているためである。
【0079】
(6)圧力室Pの空気圧がPCを超すと、主ピストン部20は、第1の調圧ネジ部材50と係合したまま上方へ移動し始める。
【0080】
(7)次いで、主ピストン部20のピストンバー22に固定されたストッパー部材70が第2の調圧ネジ部材90と接する時の空気圧PDまで、主ピストン部20および第1の調圧ネジ部材50(副ピストン60)は上方へ移動する。
【0081】
(8)第2のスイッチ(リミットスイッチ)99は、副ピストン部60が、圧力室Pの圧力上昇に伴い、着座位置(着座部35)から離れてストッパー部材70により停止させられるまでの間に(ストッパー部材70の上面72と第2の調圧ネジ部材90の下面91との係止により停止する)、ピストンバー26の先端26aと第2のスイッチ99の滑車99aと接触してスイッチ作動することができるように調整されている。すなわち、第2のスイッチ(リミットスイッチ)99は、圧力PCと圧力PDとの間でオンオフさせられる。
【0082】
このような本発明の圧力調整スイッチ機構部1を用いることにより、以下のメリットが生じる。
【0083】
すなわち、第1の調圧ネジ部材50、第2の調圧ネジ部材90により、第1の圧力調整バネ81および第2の圧力調整バネ85の取り付け時に反力が調整可能であり、第1のスイッチ(リミットスイッチ)98、第2のスイッチ(リミットスイッチ)99の位置調整と合わせて、リミットスイッチの圧力を広範囲に、かつ微妙に高精度で調整することができる。さらに、第1のスイッチ(リミットスイッチ)98、第2のスイッチ(リミットスイッチ)99の作動点を、任意にしかも独立して設定することができる。
【0084】
また、このような圧力調整スイッチ機構部1を用いた上記の表示パネル搬送用の筐体装置は、輸送の対象とされる液晶ディスプレイガラスの大きさが例えば、第六世代の大きさ以上であっても、輸送中に破損等のトラブル発生がなく安全かつ確実に搬送することできるという極めて優れた効果が発現する。さらには、輸送環境に大きな変化があっても、その環境変化に順応することができ、輸送中に破損等のトラブル発生がなく安全かつ確実に搬送することできるという極めて優れた効果が発現する。
【産業上の利用可能性】
【0085】
本発明の表示パネル搬送用の筐体装置は、液晶パネル等の表示パネルの製造産業および表示パネルを用いた電気製品の製造産業に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】図1は、本発明の表示パネル輸送用筐体装置の内部の状態が理解し易いように内部を模式的に断面にした概略図である。
【図2】図2は、本発明で用いられるエアバックに連結される圧力制御機構部の要部システムの一例である。
【図3】図3は、本発明で用いられるエアバックに連結される圧力制御機構部の要部システムの一例である。
【図4】図4は、圧力調整スイッチ機構部の概略構造を説明するための半片断面図である。
【図5】図5は、主ピストンのストロークと圧力室Pの圧力(エアバックの圧力)の関係の一例を示すグラフである。
【図6】図6は、従来の一般的制御機構における空気圧力回路の一例を示した図である。
【図7】図7は、従来の一般的制御機構における電気制御回路の一例を示した図である。
【図8】図8は、図7に示される各動作機器や接点の作動状態をそれぞれエアバック内の圧力との関係で示した対応関係図である。
【符号の説明】
【0087】
1…圧力調整スイッチ機構部
17…ダイヤフラム
20…主ピストン部
26…ピストンバー
30…シリンダ
40…ボンネット
50…第1の調圧ネジ部材
60…副ピストン部
70…ストッパー部材
81…第1の圧力調整バネ
85…第2の圧力調整バネ
90…第2の調圧ネジ部材
98…第1のスイッチ(リミットスイッチ)
99…第2のスイッチ(リミットスイッチ)
100…表示パネル輸送用の筐体装置
110…筐体本体
120…蓋体
130…緩衝部材
140…エアバック

【特許請求の範囲】
【請求項1】
緩衝部材、表示パネル、押圧用平板およびエアバックを収納するための開口部を備える筐体本体と、
前記筐体本体の開口部を封止するための蓋体と、
前記エアバックに連結される圧力制御機構部とを有する表示パネル輸送用の筐体装置であって、
前記緩衝部材は、輸送対象物である複数枚の隣接する表示パネルの間に介在されるとともに、表示パネルの振動を吸収するクッション材としての機能を有し、
前記エアバックは、緩衝部材と表示パネルとが実質的に交互に積層された積層体形成後に前記押圧用平板を介して最上部に配置され、積層体を押圧するように作用しており、
前記圧力制御機構部は、前記エアバックへの気体供給を可能とする空気圧調整機構部と、圧力制御のためのスイッチとして作用する機械的構成からなる圧力調整スイッチ機構部を有しており、
前記圧力調整スイッチ機構部は、シリンダ部とボンネット部により形成される筐体と、この筐体の内部下部に前記エアバックと連通する圧力室を形成するように組み込まれたダイヤフラムおよびこのダイヤフラムと一体化された主ピストン部と、この主ピストン部と第1の圧力調整バネを介して接する第1の調圧ネジ部材と、この第1の調圧ネジ部材と螺合される副ピストン部と、この副ピストン部と第2の圧力調整バネを介して接する第2の調圧ネジ部材と、前記第1の調圧ネジ部材と第2の調圧ネジ部材との間に介在されるとともに前記主ピストン部の主軸方向に延設されるピストンバーに固定されているストッパー部材と、前記主ピストン部の主軸方向の移動にともない、前記ピストンバーの先端と順次接触してスイッチ作動することができる第1のスイッチおよび第2のスイッチを有してなることを特徴とする表示パネル輸送用の筐体装置。
【請求項2】
前記第1の調圧ネジ部材の中央部は、前記ピストンバーと固定されることなく遊嵌されており、前記第1の調圧ネジ部材の外周部は、前記副ピストン部の内周部と螺合しており、前記第1の圧力調整バネの反力を調整できるように当該第1の調圧ネジ部材の螺合位置を調整することができるようになっており、
前記第2の調圧ネジ部材の中央部は、前記ピストンバーと固定されることなく遊嵌されており、前記第2の調圧ネジ部材の外周部は、前記シリンダの上部と螺合しており、前記第2の圧力調整バネの反力を調整できるように当該第2の調圧ネジ部材の螺合位置を調整することができるようになっており、
前記シリンダの中央内部には前記副ピストン部が着座することのできる着座部が形成されており、
前記主ピストン部は、前記圧力室の圧力上昇に伴い、上方移動する際に前記第1の調圧ネジ部材と係合して一体化したまま移動する係合部を備えてなる請求項1に記載の表示パネル輸送用の筐体装置。
【請求項3】
前記第1のスイッチは、前記主ピストン部が、前記圧力室の圧力上昇に伴い、上方移動を開始してから前記第1の調圧ネジ部材と係合する前に、前記ピストンバーの先端と接触してスイッチ作動することができるように設定されてなる請求項1または請求項2に記載の表示パネル輸送用の筐体装置。
【請求項4】
前記第2のスイッチは、前記副ピストン部が、前記圧力室の圧力上昇に伴い、着座位置から離れて前記ストッパー部材により停止させられるまでの間に、前記ピストンバーの先端と接触してスイッチ作動することができるように設定されてなる請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の表示パネル輸送用の筐体装置。
【請求項5】
前記第1のスイッチおよび第2のスイッチがそれぞれリミットスイッチである請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の表示パネル輸送用の筐体装置。
【請求項6】
前記空気圧調整機構部は、チェック弁を介して前記エアバックへの気体供給を可能とするエアポンプを有してなる請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の表示パネル輸送用の筐体装置。
【請求項7】
前記空気圧調整機構部は、前記エアバックへの気体供給を可能とする気体供給タンク、第1の切り換え弁、減圧弁、およびチェック弁(一方向弁)を順次有する気体供給回路を有してなる請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の表示パネル輸送用の筐体装置。
【請求項8】
前記輸送対象物である表示パネルは、その平面の大きさが1500mm×1840mm以上である請求項1ないし請求項7のいずれかに記載の表示パネル輸送用の筐体装置。
【請求項9】
前記輸送対象物である表示パネルは、ガラス基板または液晶パネルである請求項1ないし請求項8のいずれかに記載の表示パネル輸送用の筐体装置。
【請求項10】
前記エアバックは、天然ゴム、合成ゴム、または熱可塑性エラストマーの弾性体を主材料とする袋体から構成されてなる請求項1ないし請求項9のいずれかに記載の表示パネル輸送用の筐体装置。
【請求項11】
前記エアバックの主材料となる弾性体は、その肉厚部に基布が埋設されてなる請求項10に記載の表示パネル輸送用の筐体装置。
【請求項12】
前記押圧用平板は、前記エアバックの圧力が前記積層体に均一にかかるように作用すべく剛性を備えた樹脂プレート、セラミックプレート、又は金属プレートである請求項1ないし請求項11のいずれかに記載の表示パネル輸送用の筐体装置。
【請求項13】
圧力調整対象物となるエアバックへ連通されて用いられ、圧力制御のためのスイッチとして作用する圧力調整スイッチ機構であって、
前記圧力調整スイッチ機構は、シリンダ部とボンネット部により形成される筐体と、この筐体の内部下部に前記エアバックと連通する圧力室を形成するように組み込まれたダイヤフラムおよびこのダイヤフラムと一体化された主ピストン部と、この主ピストン部と第1の圧力調整バネを介して接する第1の調圧ネジ部材と、この第1の調圧ネジ部材と螺合される副ピストン部と、この副ピストン部と第2の圧力調整バネを介して接する第2の調圧ネジ部材と、前記第1の調圧ネジ部材と第2の調圧ネジ部材との間に介在されるとともに前記主ピストン部の主軸方向に延設されるピストンバーに固定されているストッパー部材と、前記主ピストン部の主軸方向の移動にともない、前記ピストンバーの先端と順次接触してスイッチ作動することができる第1のスイッチおよび第2のスイッチを有してなることを特徴とする圧力調整スイッチ機構。
【請求項14】
前記第1の調圧ネジ部材の中央部は、前記ピストンバーと固定されることなく遊嵌されており、前記第1の調圧ネジ部材の外周部は、前記副ピストン部の内周部と螺合しており、前記第1の圧力調整バネの反力を調整できるように当該第1の調圧ネジ部材の螺合位置を調整することができるようになっており、
前記第2の調圧ネジ部材の中央部は、前記ピストンバーと固定されることなく遊嵌されており、前記第2の調圧ネジ部材の外周部は、前記シリンダの上部と螺合しており、前記第2の圧力調整バネの反力を調整できるように当該第2の調圧ネジ部材の螺合位置を調整することができるようになっており、
前記シリンダの中央内部には前記副ピストン部が着座することのできる着座部が形成さされており、
前記主ピストン部は、前記圧力室の圧力上昇に伴い、上方移動する際に前記第1の調圧ネジ部材と係合して一体化したまま移動する係合部を備えてなる請求項13に記載の圧力調整スイッチ機構。
【請求項15】
前記第1のスイッチは、前記主ピストン部が、前記圧力室の圧力上昇に伴い、上方移動を開始してから前記第1の調圧ネジ部材と係合する前に、前記ピストンバーの先端と接触してスイッチ作動することができるように設定されてなる請求項13または請求項14に記載の圧力調整スイッチ機構。
【請求項16】
前記第2のスイッチは、前記副ピストン部が、前記圧力室の圧力上昇に伴い、着座位置から離れて前記ストッパー部材により停止させられるまでの間に、前記ピストンバーの先端と接触してスイッチ作動することができるように設定されてなる請求項13ないし請求項15のいずれかに記載の圧力調整スイッチ機構。
【請求項17】
前記第1のスイッチおよび第2のスイッチがそれぞれリミットスイッチである請求項13ないし請求項16のいずれかに記載の圧力調整スイッチ機構。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−197034(P2007−197034A)
【公開日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−16269(P2006−16269)
【出願日】平成18年1月25日(2006.1.25)
【出願人】(000005175)藤倉ゴム工業株式会社 (120)
【Fターム(参考)】