説明

圧着端子及び圧着端子付き電線

【課題】電線の端末部に圧着される圧着端子において、電線の端末部に止水部を形成する際に端子上に供給される止水用の樹脂が、端子から外部に漏れるのを防ぐことができるようにする。
【解決手段】端子板部2にワイヤバレル4とインシュレーションバレル5とを設けた圧着端子1において、インシュレーションバレル5が圧着された電線7の被覆部701の端部から該被覆部の内側に液状の樹脂9を浸透させて止水部を形成する際に上方から供給される樹脂9を受け止める樹脂受け用凹部6cを備えた樹脂受け部6を、ワイヤバレル4とインシュレーションバレル6との間に位置させて端子板部2に一体に形成し、樹脂受け用凹部6cにより受け止めた樹脂をインシュレーションバレル5側に流して、端子板部2の中央部に向けて流下させるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、絶縁被覆電線の端末部に取り付けられる圧着端子及び圧着端子が端末部に取り付けられた電線に関するものである。
【背景技術】
【0002】
被覆部の端部から芯線の端部が導出されている電線の端末部に接続される圧着端子として、電線の端末部に添わせて配置される端子板部と、端子板部の長さ方向に間隔をあけて該端子板部に一体に設けられたワイヤバレル及びインシュレーションバレルとを備えて、該ワイヤバレル及びインシュレーションバレルがそれぞれ電線の端末部で該電線の芯線及び被覆部に圧着されるものが用いられている。
【0003】
自動車に用いるアース用電線のように、被覆部の内側に水が浸入しやすい箇所で用いられる電線においては、例えば特許文献1に示されているように、圧着端子が取り付けられた電線の端末部に止水処理を施して、電線の被覆部の内側に水が浸入するのを防いでいる。この種の止水処理方法では、止水処理を行わない電線の他の端末部側から電線の被覆部部内を真空引きしながら、止水処理を行う端末部に取り付けられた圧着端子の端子板部の上にシリコーン樹脂等の止水性を有する液状の樹脂を滴下させて、該樹脂を電線の被覆部の端部からその内部に浸透させるようにしている。
【0004】
上記の方法で電線の端末部に欠陥(樹脂と樹脂の間に形成される気泡や空隙)の少ない止水部を形成するためには、電線内を真空引きする際に、インシュレーションバレルが圧着された電線の被覆部の端部(樹脂の浸透口)に樹脂が存在する状態を保持する必要がある。電線内に樹脂を浸透させる際に、電線の被覆部の端部に樹脂が存在しない状態が生じると、被覆部内に空気が引き込まれるため、電線内に均等に樹脂を浸透させることができず、止水性が損なわれることになる。
【0005】
電線の被覆部の端部に樹脂が存在する状態を保持する方法として、圧着端子の端子板部の上に供給した樹脂をその表面張力により端子板部の上に盛り上げた状態で保持する方法がある。しかし、従来の方法では、圧着端子の端子板部の上に直接樹脂液を滴下していたため、端子板部の上に適量の樹脂をその表面張力で保持させることが難しく、滴下された樹脂により、端子板部上の樹脂の山が崩れて、樹脂が端子板部の幅方向の両端から作業台上に流れ落ちることがあった。端子板部上の樹脂が作業台上に流れ落ちると、電線の被覆部の端部付近に存在する樹脂の量が不足する状態が生じるため、電線の被覆部内に空気が引き込まれるのを防ぐことができない。また端子板部から作業台上に樹脂が流れ落ちた場合には、次の電線に止水処理を施す際に、該電線の止水処理が行われない端末部側の芯線や端子、或いは、止水処理を行う端末部側の端子であって他の導体との接続を行うために用いられる非絶縁部(例えば雄端子または雌端子のタブや舌片部分)に樹脂が付着して、導通不良が生じたり、電線の被覆部の表面が樹脂で汚損されたりするため、止水処理を行う毎に作業台上の樹脂を拭き取る必要があるが、作業台上に多量の樹脂が漏れていると、この拭き取り作業が非常に面倒であった。
【0006】
そこで、特許文献1に示された方法では、圧着端子の端子板部の上に滴下させた樹脂が端子板部の側方に流れ落ちるのを防ぐために、圧着端子の端子板部の幅方向の両端に密着して樹脂液漏出防止用の障壁部を形成する治具を用意して、この治具により、圧着端子の端子板部上に滴下させた樹脂が端子板部の幅方向の両端から側方に流出するのを防止しながら電線内の真空引きを行うようにしている。
【特許文献1】特開2007−134054号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に示された方法による場合には、止水処理を行う際に、圧着端子の端子板部から樹脂が漏れるのを防ぐために、端子板部の幅方向の両端に密着して樹脂液漏出防止用の障壁部を形成する特別の治具を用意する必要があるため面倒であった。また特許文献1に示された方法による場合には、電線の止水処理を行う毎に治具が樹脂で汚れるため、1本の電線の止水処理が終わる毎に治具から樹脂を拭き取る工程を行うか、または治具を使い捨てにする必要があり、止水処理を行うために必要なコストが高くなるという問題があった。
【0008】
さらに特許文献1に示された方法による場合では、圧着端子の長手方向(または電線長手方向)における樹脂の供給方向がコントロールできないので、本来インシュレーションバレル側に向かって樹脂を供給すべきところ、ワイヤバレル側に樹脂がこぼれて漏れ出しやすいという問題があった。
【0009】
本発明の目的は、電線の端末部に対して止水処理を行なう際に、特別な治具を用いることなく樹脂の漏れを防止し、かつワイヤバレル側への樹脂の漏れ出しを抑制することができる圧着端子及びこの圧着端子が端末部に取り付けられた圧着端子付き電線を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、被覆部の端部から芯線の端部が導出されている電線の端末部に添わせて配置される端子板部と、この端子板部の長さ方向に間隔をあけて該端子板部に一体に設けられたワイヤバレル及びインシュレーションバレルとを備えて、ワイヤバレル及びインシュレーションバレルがそれぞれ電線の端末部で該電線の芯線及び被覆部に圧着される圧着端子に係わるものである。
【0011】
本発明においては、インシュレーションバレルが圧着された電線の被覆部の端部から該被覆部の内側に液状の樹脂を浸透させて止水部を形成する際に上方から供給される樹脂を受け止める樹脂受け用凹部を備えた樹脂受け部が、ワイヤバレルとインシュレーションバレルとの間に位置させて端子板部に一体に形成される。
【0012】
また上記樹脂受け用凹部は、受け止めた樹脂を、インシュレーションバレル側、すなわち圧着端子長手方向において電線における被覆部の端部が固定される側に向って流下させるように案内する案内面を有している。すなわち該案内面により圧着端子の長手方向(または電線長手方向)における樹脂の供給方向を、インシュレーションバレル側に向かう方向にコントロールできるようになる。
【0013】
上記のように、電線の端末部に止水処理を行う際に上方から供給される樹脂を受け止めて、受け止めた樹脂を、インシュレーションバレル側に向って流下させるように案内する案内面を有する樹脂受け用凹部を備えた樹脂受け部を、ワイヤバレルとインシュレーションバレルとの間に位置させて端子板部に一体に形成しておくと、供給された樹脂を一旦樹脂受け用凹部で受けて、ある程度そこに保持することができ、かつ案内面により樹脂をインシュレーションバレル側に向かって流下させることができる。従って特別の治具を用いなくても、樹脂を端子板部上から漏出させることなく電線内への樹脂の供給を行うことができる。しかも樹脂は、案内面によりインシュレーションバレル側に向かって流下されることで、インシュレーションバレル側に優先的に供給されるので、ワイヤバレル側への樹脂の漏れ出しを抑制することができる。
【0014】
上記樹脂受け用凹部は、受け止めた樹脂を、インシュレーションバレルが圧着される電線の被覆部の端部が配置される位置に隣接する領域で端子板部の幅方向の中央部に向けて案内するように設けられていることが好ましい。
【0015】
上記のように構成すると、樹脂を、より確実に電線の芯線上に流下させ、芯線内へ浸透させることができる。
【0016】
本発明の好ましい態様では、上記樹脂受け部が、端子板部の幅方向の両端からワイヤバレル及びインシュレーションバレルが設けられた側と同じ側に起立した一対の起立壁部と、前記端子板部との間に電線の被覆部から導出された芯線を通過させるための隙間を形成するようにして一対の起立壁部の少なくとも一方の先端に一体に設けられた端部壁とを有して、端部壁の端子板部に対向する面と反対側の面に樹脂受け用凹部が設けられ、一対の起立壁により、端子板部側に流下した樹脂が該端子板部の幅方向の両端から外部に流出するのを阻止する堰が構成される。
【0017】
本発明の他の好ましい態様では、上記樹脂受け部が、端子板部の幅方向の両端からワイヤバレル及びインシュレーションバレルが設けられた側と同じ側に起立した一対の起立壁部と、該一対の起立壁部のそれぞれの先端から互いに接近する方向に直角に折れ曲って先端が狭間隙を介して対向させられると共に端子板部との間に電線の被覆部から導出された芯線を通過させるための隙間を形成する一対の端部壁とを一体に有して、一対の端部壁の端子板部に対向する面と反対側の面に跨って樹脂受け用凹部が形成され、該一対の起立壁部により、樹脂受け用凹部から端子板部側に供給された樹脂が該端子板部の幅方向の両端から外部に流出するのを阻止する堰が構成される。
【0018】
上記のように、端子板部の幅方向の両端からワイヤバレル及びインシュレーションバレルが設けられた側と同じ側に起立した一対の起立壁部を樹脂受け部に設けて、該一対の起立壁部により、端子板部側に供給された樹脂が該端子板部の幅方向の両端から外部に流出するのを阻止する堰を構成するようにしておくと、樹脂受け用凹部から端子板部上に供給される樹脂の流速が速すぎて、樹脂を表面張力により端子板部上に保持することができない状態が生じた場合に、樹脂受け部の一対の起立壁により樹脂が端子板部の幅方向の両端から外方に漏れるのを防ぐことができる。本発明では、端子板部の上から樹脂が漏れるのを防ぐ起立壁部が端子板部に一体に設けられているため、特別の治具を用意することなく端子板部から樹脂が漏れるのを確実に防いで均一な品質の止水部を得ることができる。
【0019】
本発明の好ましい態様では、上記樹脂受け用凹部が、樹脂を受け止める際に上方に向けた状態で配置される第1の開口部と、インシュレーションバレルが電線の被覆部に圧着された際に該被覆部の端部が配置される位置に隣接する領域でインシュレーションバレル側に開口した状態にされる第2の開口部とを備えて、受け止めた樹脂液を第2の開口部から端子板部の幅方向の中央に向けて流下させるように形成されている。
【0020】
本発明に係わる圧着端子の他の好ましい態様では、端子板部の幅方向の両端からワイヤバレル及びインシュレータバレルが設けられた側に起立して電線の芯線及び被覆部にワイヤバレル及びインシュレーションバレルを圧着する際に先端寄りの部分が互いに接近する側に直角に折り曲げられる一対の樹脂受け部形成用起立片が、ワイヤバレルとインシュレーションバレルとの間に位置させて端子板部に一体に設けられる。
【0021】
この場合、一対の樹脂受け部形成用起立片のそれぞれの先端部には、該一対の樹脂受け部形成用起立片の外側面及び先端面に開口し、かつ前記インシュレーションバレル側にも開口した窪み部が形成され、一対の樹脂受け部形成用起立片の先端寄りの部分を互いに接近する方向に直角に折り曲げた際に、一対の樹脂受け部形成用起立片の先端部にそれぞれ形成された窪み部により、インシュレーションバレルが圧着された電線の被覆部の端部から該被覆部の内側に樹脂を浸透させて止水部を形成する際に上方から供給される液状の樹脂を受け止める樹脂受け用凹部が形成されるように、各窪み部の内面形状が設定される。樹脂受け用凹部は、受け止めた樹脂をインシュレーションバレル側に流してインシュレーションバレルが圧着される電線の被覆部の端部が配置される位置に隣接する領域で端子板部の幅方向の中央部に向けて流下させるように案内する案内面を内側に有する形状に形成され、一対の樹脂受け部形成用起立片の前記端子板部寄りの部分により、樹脂受け用凹部から端子板部上に供給された樹脂が該端子板部の幅方向の両端から外部に流出するのを阻止する堰が構成されている。
【0022】
上記のように構成すると、圧着端子を電線に取り付けるためにワイヤバレル及びインシュレーションバレルを加締める工程で、樹脂受け部形成用起立片を折り曲げることにより、樹脂受け部を形成できるため、圧着端子への樹脂受け部の形成を容易に行うことができる。また圧着端子を電線に取り付ける際には、最初樹脂受け部形成用起立片を起立した状態として、電線の芯線及び被覆部をそれぞれワイヤバレルの間及びインシュレーションバレルの間に挿入した後、ワイヤバレル及びインシュレーションバレルを加締める工程で同時に樹脂受け部形成用起立片を折り曲げて樹脂受け部を形成できるため、電線の端末部への圧着端子の取付容易性を何ら損なうことなく、圧着端子に樹脂受け部を設けることができる。
【0023】
本発明によればまた、被覆部の端部から芯線の端部が導出されている電線の端末部に、端子板部と該端子板部の長さ方向に間隔をあけて該端子板部に一体に設けられたワイヤバレル及びインシュレーションバレルとを備えた圧着端子が、端子板部を電線の端末部に添わせ、ワイヤバレル及びインシュレーションバレルをそれぞれ電線の芯線及び被覆部に圧着した状態で取り付けられている圧着端子付き電線が提供される。
【0024】
本発明に係わる圧着端子付き電線においては、上方から供給される液状の樹脂を受け止めて、受け止めた樹脂を電線の被覆部の端部に隣接する領域で端子板部の幅方向の中央部に向けて案内する案内面を内側に有する形状に形成された凹部を備えた樹脂受け部がワイヤバレルとインシュレーションバレルとの間に位置させて圧着端子の端子板部に一体に設けられ、樹脂受け部の樹脂受け用凹部から端子板部側に供給された樹脂が被覆部の端部から該被覆部部の内側に浸透させられて電線の端末部に止水部が形成されている。
【発明の効果】
【0025】
請求項1ないし6の何れかに記載された発明によれば、電線の端末部に止水処理を行う際に上方から供給される樹脂を受け止めて、受け止めた樹脂を、インシュレーションバレル側に向って流下させるように案内する案内面を有する樹脂受け用凹部を備えた樹脂受け部が、ワイヤバレルとインシュレーションバレルとの間に位置させて端子板部に一体に形成されているので、電線の端末部に対して止水処理を行なう際に、特別な治具を用いることなく樹脂の漏れを防止し、かつワイヤバレル側への樹脂の漏れ出しを抑制することができる圧着端子及びこの圧着端子が端末部に取り付けられた圧着端子付き電線を提供することができる。
【0026】
特に請求項3,4または6に記載された発明によれば、端子板部の幅方向の両端に立設されて樹脂受け用凹部から端子板部側に流下した樹脂が該端子板部の幅方向の両端から外部に流出するのを阻止する堰を構成する起立壁部が樹脂受け部に一体に設けられているので、樹脂受け用凹部から端子板部上に供給される樹脂の流速が速すぎて、端子板部上で樹脂を表面張力により保持することができない状態が生じた場合に、樹脂受け部の起立壁により樹脂が端子板部から側方に漏れるのを防ぐことができ、特別の治具を用意することなく端子板部から樹脂が漏れるのを確実に防ぐことができる。
【0027】
また請求項6に記載された発明によれば、ワイヤバレルとインシュレーションバレルとの間で端子板部の幅方向の両端から起立させた一対の樹脂受け部形成用起立片のそれぞれの先端部に窪みを設けておいて、一対の樹脂受け部形成用起立片を折り曲げた際に前記窪みにより樹脂受け用凹部が形成されるようにしたので、電線に圧着端子を取り付けるためにワイヤバレルの間及びインシュレーションバレルの間にそれぞれ電線の芯線及び被覆部を挿入する際に樹脂受け部が邪魔になるのを防ぐことができる。従って本発明によれば、電線への圧着端子の取付容易性をなんら損なうことなく、圧着端子に樹脂受け部を設けることができる。
【0028】
請求項7に記載された発明によれば、電線の端末部に止水処理を行う際に上方から供給される樹脂を受け止めて、受け止めた樹脂を電線の被覆部の端部が配置される位置に隣接する領域で端子板部の幅方向の中央部に向けて案内するように形成された樹脂受け用凹部を有する樹脂受け部を備えた圧着端子が電線の端末部に取り付けられているので、電線の端末部の止水処理を容易に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下図面を参照して本発明の好ましい実施形態を詳細に説明する。
図1〜図8は本実施形態に係わる圧着端子の一実施形態を示したもので、図1は本実施形態に係わる圧着端子の電線に取り付けられる前の状態を示した正面図、図2は図1に示した圧着端子の斜視図、図3は同圧着端子において樹脂受け部を形成した状態を示した斜視図である。また図4は本実施形態の圧着端子を電線に取り付けた状態を示した正面図、図5は本実施形態の圧着端子を電線に取り付けた状態を一部断面して示した正面図、図6は図4の平面図、図7は図5のVII−VII線断面図、図8は本実施形態に係わる圧着端子が取り付けられた電線の端末部に止水処理を施している状態を一部断面して示した正面図である。
【0030】
図1及び図2に示されているように、本実施形態の圧着端子1は、端子板部2と、端子板部2の一端に一体に形成された雌端子3と、端子板部2の長手方向に間隔を隔てて該端子板部に一体に形成されたワイヤバレル4及びインシュレーションバレル5と、ワイヤバレル4とインシュレーションバレル5との間に位置させて、端子板部2の幅方向の両端からワイヤバレル4及びインシュレーションバレル5と同じ側に起立させられた一対の樹脂受け部形成用起立片601,601とを備えている。
【0031】
図示の雌端子3は、端子板部2の長手方向の一端寄りの部分の幅方向の両端から直角に起立した一対の側壁部301,301と、これらの側壁部の先端から互いに接近する方向に直角に折れ曲って先端が突き合わされた折り曲げ部302,302とにより、ほぼ角筒状に形成されている。
【0032】
ワイヤバレル4は、端子板部2の雌端子3寄りの位置で該端子板部の幅方向の両端から雌端子部3が設けられた側と同じ側に起立させられた一対のワイヤバレル形成用起立片401,401からなっている。またインシュレーションバレル5は、端子板部2の長手方向の他端(雌端子3が設けられた端部と反対側の端部)側で、端子板部2の幅方向の両端からワイヤバレル4と同じ側に起立させられた一対のインシュレーションバレル形成用起立片501,501からなっている。
【0033】
図1及び図2に示されているように、一対の樹脂受け部形成用起立片601,601のそれぞれの先端部には、該一対の樹脂受け部形成用起立片の外側面及び先端面に開口し、かつインシュレーションバレル5側にも開口した窪み部602,602が形成されている。また本実施形態では、樹脂受け部形成用起立片601,601の基部に、インシュレーションバレル形成用起立片501,501に近接した位置まで延びる延長部601a,601aが形成されている。
【0034】
圧着端子1は、図4〜図8に示したように、被覆部701の端部701aから一定長さの芯線702が導出された電線7の端末部に取り付けられる。圧着端子1は、その端子板部2を電線7の端末部に添わせて、ワイヤバレル形成用起立片401,401の間及び樹脂受け部形成用起立片601,602の間に電線7の芯線702を受け入れ、インシュレーションバレル形成用起立片501,501の間に電線7の被覆部701で覆われた部分を受け入れた状態で配置される。そして、起立片401,401が芯線702を抱え込むように加締められてワイヤバレル4が芯線702に圧着され、起立片501,501が電線の端末部の被覆部701が設けられた部分を抱え込むように加締められて、インシュレーションバレル5が被覆部702に圧着される。このようにして圧着端子1が電線の端末部に正しく取り付けられた状態では、電線の被覆部701及び芯線702が端子板部2の幅方向のほぼ中央部に配置された状態にされる。
【0035】
本実施形態では、上記のようにして圧着端子1を電線の端末部に取り付けた状態で、電線の芯線702が曲げられることなく、端子板部2の上に直線状に配置されるように、端子板部2の芯線702に添う部分と被覆部701に添う部分との間に被覆部701の厚み分に相当する段差2aが形成されている。
【0036】
本実施形態に係わる圧着端子1においては、ワイヤバレル4及びインシュレーションバレル5が電線の芯線702及び被覆部701に圧着される際に同時に、一対の樹脂受け部形成用起立片601,601の先端部寄りの部分が互いに接近する方向に直角に折り曲げられることにより、樹脂受け部6が形成される。樹脂受け部6の構造をわかりやすく示すために、電線を省略し、ワイヤバレル4及びインシュレーションバレル5を加締める前の状態のままとして、樹脂受け部形成用起立片601,601のみを折り曲げて樹脂受け部6を形成した状態を図3に模式的に示してある。
【0037】
図3から明らかなように、樹脂受け部6においては、一対の樹脂受け部形成用起立片601,601の折り曲げられた部分により、先端が狭間隙g1を介して対向させられると共に,端子板部2との間に電線7の被覆部701から導出された芯線702を通過させるための隙間g2を形成する一対の端部壁6b,6bが形成される。
【0038】
また樹脂受け部形成用起立片601,601の先端部寄りの部分が折り曲げられて端部壁6b,6bが形成された際に、窪み602,602により、端部壁6b,6bの端子板部2と反対側の面に跨って樹脂受け用凹部6cが形成される。
【0039】
樹脂受け部6においてはまた、一対の樹脂受け部形成用起立片601,601の延長部601a,601aを含む基端部寄りの部分(端子板部の幅方向の両端から起立している部分)により、端子板部2の幅方向の両端からワイヤバレル4及びインシュレーションバレル5が設けられた側と同じ側に起立した一対の起立壁部6a,6aが形成されている。これらの起立壁部6a,6aにより、電線7の端末部に止水部を形成する際に、電線の被覆部の端部701aが配置された位置に隣接する領域で端子板部2の上に供給される樹脂が端子板部2の幅方向の両端から外側に流出するのを阻止する堰が構成される。電線の端末部に止水処理を施す際に端子板部2の上に供給される樹脂が、端子板部2の幅方向の両端から外部に流出するのを防ぐことができるように、起立壁部6a,6aの長さ(端子板部の長手方向に測った寸法)及び高さ寸法を設定しておく。
【0040】
樹脂受け用凹部6cは、電線の被覆部の端部701aから該被覆部の内側に液状の樹脂を浸透させて止水部を形成する際に、図8に示すように上方から供給される樹脂9を受け止めて、受け止めた樹脂を端子板部2の幅方向の中央部に向けて、インシュレーションバレル5側に流すように案内する案内面を内側に有するように形成されている。
【0041】
本実施形態の樹脂受け用凹部6cは、図5、図8に示すように、止水部形成用の樹脂9が供給される際に上方に向けた状態で配置される第1の開口部6c1と、インシュレーションバレル5が電線の被覆部701に圧着された際に該被覆部の端部701aが配置される位置に隣接する領域でインシュレーションバレル側に開口した状態にされる第2の開口部6c2とを備えて、受け止めた樹脂液を第2の開口部6c2から端子板部2の幅方向の中央に向けて流下させるように案内する傾斜した案内面6c3を内側に有する形状に形成されている。
【0042】
即ち、本実施形態では、樹脂受け部形成用起立片601,601の先端寄りの部分を互いに接近する方向に直角に折り曲げて樹脂受け部6を形成した際に、端部壁6b,6bに跨って上記のような形状の樹脂受け用凹部6cが形成されるように、各窪み部602の内面形状が設定されている。
【0043】
本実施形態の圧着端子1が取り付けられた電線7の端末部に止水部を形成する際には、図8に示すように、樹脂受け用凹部6cを上方に向けた状態で電線の端末部を図示しない作業台上に配置して、電線7の圧着端子1が取り付けられた端末部とは反対側の他の端末部を真空ポンプにより吸引される吸引口10に接続して電線7内を真空引きし、樹脂受け用凹部6cの上に液状のシール用樹脂(例えばシリコーン樹脂)を滴下する。
【0044】
滴下された樹脂9は樹脂受け用凹部6cにより受け止められる。樹脂受け用凹部6cにより受け止められた樹脂9は、樹脂受け用凹部6cの内面(案内面)に沿って、端子板部2の幅方向の中央部に向けてインシュレーションバレル側に比較的ゆっくりと流れ、電線の被覆部701の端部701aが配置された位置に隣接する領域で端子板部2の幅方向の中央部に向って流れ落ちる(樹脂の流下速度調整は案内面の傾斜等の設定によって任意に可能である)。端子板部2の幅方向の中央部には被覆部701の端部から導出された芯線702が配置されているため、樹脂受け用凹部6cにより案内された樹脂は、実際には芯線702の上に流れ落ち、芯線702に浸透していく。また芯線に直接浸透しなかった樹脂は、表面張力により、端子板部2の上に盛り上がった状態で保持される。このとき端子板部上の樹脂が電線7の被覆部701の端部701aに接する位置に達しているように、樹脂受け用凹部6cの第2の開口部6c2の位置を設定しておく。端子板部の上に供給された樹脂は、電線の被覆部701の端部から該被覆部内に吸引されて被覆部701内の芯線に浸透するため、電線の端末部の被覆部の内側に止水部が形成される。
【0045】
端子板部の上に樹脂を供給する際には、樹脂が表面張力により端子板部2上に保持された状態が維持されるように、樹脂の供給速度を調整する。本実施形態においては、樹脂を端子板部上に直接滴下するのではなく、一旦樹脂受け用凹部6cで受けて、受けた樹脂を該凹部の内面に沿ってゆっくりと流しながら端子板部の幅方向の中央部に向けて流下させるため、端子板部上への樹脂の供給速度を容易に調整することができる。
【0046】
シール用の樹脂が表面張力により芯線702を覆った状態を保つためには、樹脂受け用凹部6cから電線の芯線702上に樹脂を円滑に移行させるようにしておくことが好ましく、そのためには、図8に示されているように、樹脂受け用凹部の第2の開口部6c2が芯線702に接するようにしておくことが好ましい。
【0047】
本実施形態では、樹脂受け用凹部6cの中央部に隙間g1が形成されるが、隙間g1を十分に狭くし、凹部6c内に滴下される樹脂にある程度の粘度を持たせておけば、樹脂の表面張力により、隙間g1から樹脂が下方に漏れるのを防ぐことができる。
【0048】
なお電線内の真空引きは、樹脂受け用凹部6cの上に滴下させた液状のシール用樹脂が電線7の芯線内に十分に浸透した後に開始するようにしてもよい。シール用樹脂が電線7の芯線内に十分に浸透した後に電線内の真空引きを開始すると、電線内に空気が吸い込まれるおそれを無くすことができるため、欠陥が少ない止水部を得ることができる。
【0049】
上記のように、本実施形態では、電線の端末部に止水処理を行う際に上方から供給される樹脂9を受け止めて、受け止めた樹脂を電線の被覆部の端部が配置される位置に隣接する領域で端子板部2の幅方向の中央部に向けて流下させるように案内する案内面を有する樹脂受け用凹部6cを備えた樹脂受け部6を、ワイヤバレル4とインシュレーションバレル5との間に位置させて端子板部2に一体に形成したので、供給された樹脂を一旦樹脂受け用凹部6cで受けて、樹脂の流速をコントロールしながら端子板部2上にゆっくりと流下させて、端子板部の上に適量の樹脂が表面張力により保持された状態を維持することができる。従って、特別の治具を用いなくても、樹脂を端子板部上から漏出させることなく、電線の端部付近に適量の樹脂が存在した状態を維持しつつ電線内への樹脂の浸透を行わせて、均一な品質の止水部を得ることができる。また本実施形態の圧着端子1は既存の圧着端子の製造とさほど変わらない工程数で製造することができ、しかも樹脂の漏れを防止するのに特別な治具を用いずに済むので、製造コストについても安価にすることができる。さらに樹脂は、案内面によりインシュレーションバレル5側に向かって流下されることで、インシュレーションバレル5側に優先的に供給され、そのまま電線内の真空引きにより被覆部701内部に吸引されていくので、ワイヤバレル4側への樹脂の漏れ出しを抑制することができる。これにより、樹脂の電線内部への供給効率が高まる上、ワイヤバレル4側の、例えば雌端子3に樹脂が付着して、導通不良など、端子としての機能が損なわれる問題が防止される。
【0050】
また上記樹脂受け用凹部6cは、受け止めた樹脂を、インシュレーションバレル5が圧着される電線の被覆部の端部が配置される位置に隣接する領域で端子板部2の幅方向の中央部に向けて案内するように設けられているので、樹脂を、確実に電線の芯線の上に流下させ、芯線内へ浸透させることができる。
【0051】
また本実施形態では、端子板部2の幅方向の両端に立設されて樹脂受け用凹部から端子板部側に流下した樹脂が該端子板部の幅方向の両端から外部に流出するのを阻止する堰を構成する起立壁部6aが樹脂受け部6に一体に設けられているので、万一、樹脂受け用凹部6cから端子板部2上に供給される樹脂の流速が速すぎて、端子板部上で樹脂を表面張力により保持することができない状態が生じた場合でも、樹脂が端子板部から側方に漏れるのを防ぐことができ、特別の治具を用意することなく端子板部から樹脂が漏れるのを防いで均一な品質の止水部を得ることができる。
【0052】
また、本実施形態によれば、端子板部から樹脂が漏れないようにすることができ、万一漏れたとしても、漏れる樹脂の量を極僅かとすることができるため、電線の止水処理を行う際の作業台の清掃を省略するか、または少なくとも清掃作業を軽減することができる。
【0053】
本実施形態に係わる圧着端子は、電線に取り付ける際に、図1及び図2に示したように、端子板部に立設した一対の樹脂受け部形成用起立片601,601を起立させたままの状態で提供して、電線の端末部に圧着端子を取り付けるためにワイヤバレル4及びインシュレーションバレル5を加締める工程で、同時に樹脂受け部形成用起立片601,601を折り曲げて樹脂受け部6を構成するのが好ましいが、図3に示したように、予め樹脂受け部形成用起立片601,601を折り曲げて樹脂受け部6を形成しておいて、電線7の端末部の芯線702を樹脂受け部6の内側を通してワイヤバレル4の間に挿入して、圧着端子を取り付けるようにしても良い。
【0054】
なお本実施形態では、端子板部を平板状に形成して、ワイヤバレル及びインシュレーションバレルが設けられた部分の横断面の輪郭形状が、それぞれのバレルが加締められた状態でほぼ方形または方形に近い形状を呈するように構成された圧着端子を例にとったが、本発明を適用する圧着端子はこのような形状のものに限定されるものではなく、例えば、端子板部の横断面の形状を円弧状として、ワイヤバレル及びインシュレーションバレルが加締められた状態で、両バレルが設けられた部分の横断面の輪郭形状がほぼ円形ないしは楕円形を呈するように構成される圧着端子にも、本発明を適用することができるのはもちろんである。
【0055】
上記の実施形態では、ワイヤバレル4とインシュレーションバレル5との間で端子板部2の幅方向の両端から起立させた一対の起立壁部6a,6aのそれぞれに一体に端部壁6b,6bを形成するようにしたが、端部壁6bは起立壁部6a,6aの少なくとも一方に一体化されていればよく、一対の起立壁部6a,6aの内の一方の起立壁6aの先端に端子板部2の幅方向のほぼ全体に亘る長さの端部壁6bを形成して、この端部壁に樹脂受け用凹部6cを形成するようにしてもよい。
【0056】
本実施形態においては、上方から供給されるシール用の樹脂を受け止めて、電線の被覆部の端部が配置される位置に隣接する領域で端子板部2の幅方向の中央部に向けて流下させるように案内する案内面を有する樹脂受け用凹部6cをワイヤバレル4とインシュレーションバレル5との間に設けることを基本とし、このような樹脂受け用凹部を設けることにより、端子板部2上に供給された樹脂が端子板部の幅方向の両端から外部に漏れるのを抑制する。端子板部から樹脂が漏れるのを防止する効果を高めるためには、上記の実施形態のように、端子板部2の幅方向の両端から起立して、端子板部から樹脂が漏れるのを阻止する堰を構成する一対の起立壁部6a,6aを設けることが好ましいが、本実施形態において、これらの起立壁部を設けることは必須ではない。
【0057】
例えば、端子板部2の幅方向の片側にのみ起立壁部6aを設けて、この起立壁部の先端に樹脂受け用凹部6cが形成された端部壁6bを一体に設けるようにしても良い。
【0058】
上記の実施形態では、端子板部2の先端に雌端子3を設けたが、端子板部2の先端側に設ける端子部は雌端子に限られるものではなく、雄端子やラグ端子などでもよい。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本実施形態に係わる圧着端子の電線に取り付けられる前の状態を示した正面図である。
【図2】図1に示した圧着端子の斜視図である。
【図3】同圧着端子において樹脂受け部を形成した状態を模式的に示した斜視図である。
【図4】本実施形態の圧着端子を電線に取り付けた状態を示した正面図である。
【図5】本実施形態の圧着端子を電線に取り付けた状態を一部断面して示した正面図である。
【図6】図4の平面図である。
【図7】図5のVII−VII線断面図である。
【図8】本実施形態に係わる圧着端子が取り付けられた電線の端末部に止水処理を施している状態を一部断面して示した正面図である。
【符号の説明】
【0060】
1 圧着端子
2 端子板部
3 雌端子
4 ワイヤバレル
5 インシュレーションバレル
6 樹脂受け部
601 樹脂受け部形成用起立片
602 窪み部
6a 起立壁部
6b 端部壁
6c 樹脂受け用凹部
7 電線
701 被覆部
702 芯線
9 樹脂

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被覆部の端部から芯線の端部が導出されている電線の端末部に添わせて配置される端子板部と、前記端子板部の長さ方向に間隔をあけて該端子板部に一体に設けられたワイヤバレル及びインシュレーションバレルとを備えて、前記ワイヤバレル及びインシュレーションバレルがそれぞれ前記電線の端末部で該電線の芯線及び被覆部に圧着される圧着端子であって、
前記インシュレーションバレルが圧着された電線の被覆部の端部から該被覆部の内側に液状の樹脂を浸透させて止水部を形成する際に上方から供給される樹脂を受け止める樹脂受け用凹部を備えた樹脂受け部が、前記ワイヤバレルとインシュレーションバレルとの間に位置させて前記端子板部に一体に形成され、
前記樹脂受け用凹部は、受け止めた樹脂を、前記インシュレーションバレル側に向って流下させるように案内する案内面を有していること、
を特徴とする圧着端子。
【請求項2】
前記案内面は、前記受け止めた樹脂を、前記インシュレーションバレルが圧着される電線の被覆部の端部が配置される位置に隣接する領域で前記端子板部の幅方向の中央部に向けて案内するように設けられていること、
を特徴とする請求項1に記載の圧着端子。
【請求項3】
前記樹脂受け部は、前記端子板部の幅方向の両端から前記ワイヤバレル及びインシュレーションバレルが設けられた側と同じ側に起立した一対の起立壁部と、前記端子板部との間に前記電線の被覆部から導出された芯線を通過させるための隙間を形成するようにして前記一対の起立壁部の少なくとも一方の先端に一体に設けられた端部壁とを有して、前記端部壁の前記端子板部に対向する面と反対側の面に前記樹脂受け用凹部が設けられ、前記一対の起立壁により、前記端子板部側に流下した樹脂が該端子板部の幅方向の両端から外部に流出するのを阻止する堰が構成されている請求項1または2に記載の圧着端子。
【請求項4】
前記樹脂受け部は、前記端子板部の幅方向の両端から前記ワイヤバレル及びインシュレーションバレルが設けられた側と同じ側に起立した一対の起立壁部と、該一対の起立壁部のそれぞれの先端から互いに接近する方向に直角に折れ曲って先端が狭間隙を介して対向させられると共に前記端子板部との間に前記電線の被覆部から導出された芯線を通過させるための隙間を形成する一対の端部壁とを一体に有して、前記一対の端部壁の前記端子板部に対向する面と反対側の面に跨って前記樹脂受け用凹部が形成され、
前記一対の起立壁部により、前記樹脂受け用凹部から前記端子板部側に供給された樹脂が該端子板部の幅方向の両端から外部に流出するのを阻止する堰が構成されていること、
を特徴とする請求項1または2に記載の圧着端子。
【請求項5】
前記樹脂受け用凹部は、前記樹脂を受け止める際に上方に向けた状態で配置される第1の開口部と、前記インシュレーションバレルが電線の被覆部に圧着された際に該被覆部の端部が配置される位置に隣接する領域で前記インシュレーションバレル側に開口した状態にされる第2の開口部とを備えて、受け止めた樹脂液を前記第2の開口部から前記端子板部の幅方向の中央に向けて流下させるように形成されていること、
を特徴とする請求項1,2,3または4に記載の圧着端子。
【請求項6】
被覆部の端部から心線の端部が導出されている電線の端末部に添わせて配置される端子板部と、前記端子板部の長さ方向に間隔をあけて該端子板部に一体に設けられたワイヤバレル及びインシュレーションバレルとを備えて、前記ワイヤバレル及びインシュレーションバレルがそれぞれ前記電線の端末部で該電線の心線及び被覆部に圧着される圧着端子であって、
前記端子板部の幅方向の両端から前記ワイヤバレル及びインシュレータバレルが設けられた側に起立して前記電線の心線及び被覆部に前記ワイヤバレル及びインシュレーションバレルを圧着する際に先端寄りの部分が互いに接近する側に直角に折り曲げられる一対の樹脂受け部形成用起立片が前記ワイヤバレルとインシュレーションバレルとの間に位置させて前記端子板部に一体に設けられ、
前記一対の樹脂受け部形成用起立片のそれぞれの先端部に、該一対の樹脂受け部形成用起立片の外側面及び先端面に開口し、かつ前記インシュレーションバレル側にも開口した窪み部が形成され、
前記一対の樹脂受け部形成用起立片の先端寄りの部分を互いに接近する方向に直角に折り曲げた際に、前記一対の樹脂受け部形成用起立片の先端部にそれぞれ形成された前記窪み部により、前記インシュレーションバレルが圧着された電線の被覆部の端部から該被覆部の内側に樹脂を浸透させて止水部を形成する際に上方から供給される液状の樹脂を受け止める樹脂受け用凹部が形成されるように、各窪み部の内面形状が設定され、
前記樹脂受け用凹部は、受け止めた樹脂を前記インシュレーションバレル側に流して前記インシュレーションバレルが圧着される電線の被覆部の端部が配置される位置に隣接する領域で前記端子板部の幅方向の中央部に向けて流下させるように案内する案内面を内側に有する形状に形成され、
前記一対の樹脂受け部形成用起立片の前記端子板部寄りの部分により、前記樹脂受け用凹部から前記端子板部上に供給された樹脂が該端子板部の幅方向の両端から外部に流出するのを阻止する堰が構成されていること、
を特徴とする圧着端子。
【請求項7】
被覆部の端部から芯線の端部が導出されている電線の端末部に請求項1に記載された圧着端子が取り付けられ、
前記圧着端子の樹脂受け部の樹脂受け用凹部から前記端子板部側に供給された樹脂が前記被覆部の端部から該被覆部の内側に浸透させられて前記電線の端末部に止水部が形成されていること、
を特徴とする圧着端子付き電線。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−245807(P2009−245807A)
【公開日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−92194(P2008−92194)
【出願日】平成20年3月31日(2008.3.31)
【出願人】(000005290)古河電気工業株式会社 (4,457)
【出願人】(391045897)古河AS株式会社 (571)
【Fターム(参考)】