説明

地中熱交換器及びその埋設構造

【課題】掘削する竪穴の深さや掘削溝等の長さを従来の1/3〜1/20程度にすることができ掘削コストを大幅に削減でき、また掘削量が少ないので掘削作業性に優れるとともに施工性に優れ、また少量の充填材で竪穴や掘削溝等を埋め戻すことができ埋め戻し作業性にも優れ、また埋め戻される際の充填材の圧力によって変形することがなく局部的に過剰な応力が働き難くピッチングが生じ難いため耐久性に優れ、さらに地盤中に熱媒の流路を均等に配置させることができ熱交換斑が生じ難く高い熱交換効率を維持できる地中熱交換器を提供することを目的とする。
【解決手段】少なくとも一部が螺旋状に形成され内部を熱媒が流れる螺旋状流路2と、下端が螺旋状流路2の下端に接続され螺旋状流路2の螺旋軸と略平行に配設された地中熱媒流路5と、螺旋状流路2の間隔を保持する間隔保持部材6と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地中に埋設され大地との間で熱交換を行う地中熱交換器及びその埋設構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
地中の深部は年間を通じて温度がほぼ一定であり(例えば15℃)、外気と比べて夏は冷たく冬は暖かいという性質を有している。この性質を利用して地中からの採熱、或いは地中への放熱を行うため、地中に埋設する地中熱交換器が知られている。地中熱交換器はヒートポンプ,冷暖房装置,融雪装置等の負荷装置に接続され、負荷装置との間で空気,水,不凍液等の熱媒が循環され、負荷装置において熱媒から冷熱や温熱が取り出されることで大地熱が利用されるものである。
従来の地中熱交換器としては、(特許文献1)に示すような「平行な直管部分の下端部同士を連通したU字管タイプ」、(特許文献2)に示すような「長手方向に延びる複数の貫通孔の下端部同士を連通した貫通孔内蔵タイプ」が知られている。
また、(特許文献1)や(特許文献2)に開示された剛性の高い地中熱交換器とは異なり、(特許文献3)に示す「熱良導体の金属パイプで形成され地中に打ち込まれた中空の基礎杭を利用した竪穴に配設され、基礎杭内部に貯留された井戸水と熱媒とを熱交換させるコイルばね形状の可撓性に富む地中熱交換器」も知られている。
【特許文献1】特開平11−182943号公報
【特許文献2】特開2001−255081号公報
【特許文献3】特開2006−10098号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら上記従来の技術においては、以下のような課題を有していた。
(1)(特許文献1)や(特許文献2)に開示のU字管タイプや貫通孔内蔵タイプの地中熱交換器は、大地と熱交換を行う伝熱面積を大きくするため直管部分を30〜200m程度の長尺にしなければならない。そのため、地中熱交換器を地中に埋設するには地表から30〜200m程度の深さまで竪穴を掘削しなければならないので、多大な掘削コストを要するとともに掘削作業性に欠けるという課題を有していた。
(2)地中熱交換器を埋設するための竪穴が深いので、竪穴を埋め戻すための充填材を多量に要し、さらに埋め戻し作業性に欠けるという課題を有していた。
(3)(特許文献3)に開示の技術は地中に打ち込まれた中空の基礎杭を利用した竪穴に地中熱交換器を配設するものなので、地中熱交換器を配設した後に竪穴を充填材で埋め戻す必要がないため、地中熱交換器のコイルばね形状を維持させることができる。しかしながら、ボーリング等によって地中に形成された竪穴に地中熱交換器を配設し充填材で埋め戻す場合には、充填材の圧力によってコイルばね形状の地中熱交換器が変形して、局部的に過剰な応力が働きピッチング(局部的な腐食による孔部)が生じ易くなり耐久性に欠けるという課題を有していた。
(4)また、充填材の圧力によって、地中熱交換器のコイルばねの間隔が一様ではなくなり狭くなったり広くなったりするので、地中に地中熱交換器を均等に配置させることができず斑が生じるので、熱交換効率が低下するという課題を有していた。
(5)また、基礎杭の内部の空洞に地中熱交換器を配設する場合には、大地内を流動する地下水による伝熱促進効果が基礎杭の外面にしか作用しないため、大地からの伝熱量は基礎杭と大地との接触面積に制限され地中熱交換器の表面積にはほとんど依存しないので、地中熱交換器の熱交換量を大きくすることが困難であるという課題を有していた。
【0004】
本発明は上記従来の課題を解決するもので、長尺状の直管部分を有する地中熱交換器と同等の伝熱面積を得るために長さを1/3〜1/20程度に短くすることができるので、埋設する竪穴の深さや掘削溝等の長さを従来の1/3〜1/20程度にすることができ掘削コストを大幅に削減でき、また掘削量が少ないので掘削作業性に優れるとともに施工性に優れ、また少量の充填材で竪穴や掘削溝等を埋め戻すことができ埋め戻し作業性にも優れ、また埋め戻される際の充填材の圧力によって変形することがなく局部的に過剰な応力が働き難くピッチングが生じ難いため耐久性に優れ、さらに地中に熱媒の流路を均等に配置させることができ熱交換斑が生じ難く高い熱交換効率を維持できる地中熱交換器を提供することを目的とする。
また、本発明は、竪穴や掘削溝等の掘削部内に充填された充填材や、大地内を流動する地下水による伝熱促進効果によって大きな熱交換量が得られる地中熱交換器の埋設構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記従来の課題を解決するために本発明の地中熱交換器及びその埋設構造は、以下の構成を有している。
本発明の請求項1に記載の地中熱交換器は、少なくとも一部が螺旋状に形成され内部を熱媒が流れる螺旋状流路と、下端が前記螺旋状流路の下端に接続され前記螺旋状流路の螺旋軸と略平行に配設された地中熱媒流路と、前記螺旋状流路の間隔を保持する間隔保持部材と、を備えた構成を有している。
この構成により、以下のような作用が得られる。
(1)熱媒が内部を流れる螺旋状流路を備えているので、長尺状の直管部分を有する地中熱交換器と同等の伝熱面積を得るために螺旋軸方向の長さを1/3〜1/20程度に短くすることができる。そのため、埋設する竪穴の深さや掘削溝等の長さを従来の1/3〜1/20程度にすることができ、掘削コストを大幅に削減でき、さらに掘削量が少ないので掘削作業性に優れるとともに施工性に優れる。
(2)地中熱交換器を埋設するための竪穴を浅くでき、掘削溝等を短くできるので、少量の充填材で竪穴や掘削溝等を埋め戻すことができ、埋め戻し作業性にも優れる。
(3)螺旋状流路の間隔を保持する間隔保持部材を備えているので、埋め戻される際の充填材の圧力によって螺旋状流路が変形することがなく、局部的に過剰な応力が働き難くピッチングが生じ難いので耐久性に優れる。
(4)また、間隔保持部材を備えているので、充填材の圧力によって螺旋状流路の間隔が狭くなったり広くなったりするのを防止して、地中に螺旋状流路を間隔保持部材の間隔で均等に配置させることができ大地との熱交換斑が生じ難く高い熱交換効率を維持できる。
【0006】
ここで、螺旋状流路や地中熱媒流路としては、ポリプロピレン,ポリブテン,ポリアミド等の合成樹脂製、チタン等の金属製等で形成されたものが用いられる。なかでも、合成樹脂製が好適に用いられる。成形性に優れるとともに腐食し難く残留応力等によるピッチングも生じ難いからである。
【0007】
螺旋状流路は、例えば、螺旋の外径が10〜20cm程度、螺旋軸方向の長さが10〜20m程度の螺旋状に少なくとも一部が形成されたものが用いられる。螺旋状流路の下端は地中熱媒流路の下端と、エルボ管等の連結部材で接続させることができる。
地中熱媒流路は、螺旋状に形成されたもの、直管状に形成されたもの等を用いることができる。地中熱媒流路も螺旋状に形成した場合、地中熱交換器全体の管摩擦抵抗が地中熱媒流路を直管状に形成した場合の約2倍になる。そのため、熱媒を地中熱交換器に送るポンプの容量を大きくしなければならずランニングコストが増加するため、地中熱媒流路は直管状に形成するのが好ましい。
【0008】
螺旋状流路や地中熱媒流路は、例えば、5m程度の長さに形成したものを嵌着や螺着,継手等によって施工現場で連結して長尺化させることができる。
【0009】
間隔保持部材としては、例えば、地中熱媒流路に配設固定される基部と、基部に延設されたアーム部と、アーム部に形成され螺旋状流路が嵌着される嵌着部とを備えたものを用いることができる。また、地中熱媒流路と一体に形成されたリブ部と、リブ部に形成され螺旋状流路が嵌着される嵌着部と、を備えたものも用いることができる。いずれも、基部が地中熱媒流路に固定され端部で螺旋状流路を嵌着等によって固定し、螺旋状流路の間隔を保持するものであれば適宜選択して用いることができる。
また、間隔保持部材としては、篭状や枠状等に形成された支持部材を螺旋状流路の外側又は内側に配設し、螺旋状流路を結束バンド等の係止具を用いて支持部材に固定し、螺旋状流路の間隔を保持するものも用いることができる。なお、間隔保持部材の支持部材としては、例えば、金属製や合成樹脂製の線材や棒材等で形成された1乃至複数本の縦材と、環状に形成され縦材に適当な間隔をあけて複数本接合された固定リングと、を備えたものが用いられる。また、その他の支持部材としては、金属製や合成樹脂製等で亀甲状等に形成された網状体を、巻いて筒状に形成したものも用いることができる。
【0010】
本発明の請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の地中熱交換器であって、前記地中熱媒流路が、前記螺旋状流路の流路で囲まれる螺旋軸空間内に配設された構成を有している。
この構成により、請求項1で得られる作用に加え、以下のような作用が得られる。
(1)地中熱媒流路が螺旋状流路の流路で囲まれる螺旋軸空間内に配設されているので、地中に埋設された螺旋状流路の周囲の大地から採熱し、また埋設された螺旋状流路の周囲に放熱させることができ、螺旋状流路の外径より少し大きな内径の竪穴や螺旋状流路の外径より少し幅広の掘削溝等を掘削し、その中に地中熱媒流路を配設することで、大地と螺旋状流路との間で効率的に熱交換できる。
(2)螺旋状流路の螺旋軸空間内に地中熱媒流路が配設されているので、螺旋状流路の螺旋の外径を大きくすることができ流路の全長を長くすることができ、伝熱面積を大きくすることができる。
【0011】
本発明の請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の地中熱交換器であって、前記螺旋状流路が分岐して多条に複数配設された構成を有している。
この構成により、請求項1又は2で得られる作用に加え、以下のような作用が得られる。
(1)螺旋状流路が分岐して多条に複数配設されているので、各々の螺旋状流路を流れる熱媒の流速は小さいまま螺旋状流路の全体を流れる熱媒の流量を条数倍に増加させることができ、熱媒と大地熱との単位時間当たりの熱交換量を増加させることができる。
【0012】
ここで、螺旋状流路の条数としては2〜5条が好適に用いられる。条数が5条より大きくなると、螺旋状流路が密集し螺旋状流路の間隔が狭くなり、埋め戻しの際に充填材が充填できない空隙が生じ易く、地盤沈下の原因となったり充填材との接触面積が小さくなり熱伝導率が低下したりするため好ましくない。
【0013】
本発明の請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の地中熱交換器であって、前記地中熱媒流路が、複数の前記螺旋状流路の下端の各々が接続されたヘッダ部を備えた構成を有している。
この構成により、請求項3で得られる作用に加え、以下のような作用が得られる。
(1)地中熱媒流路が、分岐した複数の螺旋状流路が接続されたヘッダ部を備えているので地中熱媒流路を一本化させられるため、各々の螺旋状流路に地中熱媒流路を一本ずつ接続して複数の地中熱媒流路を地中に配設する場合と比較して施工性を高めることができる。
【0014】
本発明の請求項5に記載の地中熱交換器の埋設構造は、大地に形成された掘削部と、前記掘削部に配設された請求項1乃至4の内いずれか1に記載の地中熱交換器と、前記掘削部に充填された充填材と、を備えた構成を有している。
この構成により、以下のような作用が得られる。
(1)地中熱交換器が内部を熱媒が流れる螺旋状流路を備えているので、長尺状の直管部分を有する地中熱交換器と同等の伝熱面積を得るために螺旋軸方向の長さを1/3〜1/20程度に短くして配設する竪穴の深さや掘削溝等の長さを10m程度にすることができ、掘削コストを大幅に削減でき、さらに掘削量が少ないので掘削作業性に優れるとともに施工性に優れる。
(2)地中熱交換器を埋設するための竪穴を浅くでき、掘削溝等の長さを短くできるので、少量の充填材で竪穴や掘削溝等を埋め戻すことができ、埋め戻し作業性にも優れる。
(3)螺旋状流路の間隔を保持する間隔保持部材を備えているので、埋め戻される際の充填材の圧力によって螺旋状流路が変形することがなく、局部的に過剰な応力が働き難く耐久性に優れる。
(4)また、間隔保持部材を備えているので、充填材の圧力によって螺旋状流路の間隔が狭くなったり広くなったりするのを防止して、地中に螺旋状流路を均等に配置させることができ熱交換斑が生じ難く高い熱交換効率を維持できる。
【0015】
掘削部としては、地中の深部に向かって掘削した竪穴、地表面を横方向に掘削した掘削溝や窪み、竪穴や掘削溝,窪みから地中の横方向に掘削した横孔等が用いられる。竪穴としては、地中にボーリングによって形成された竪穴、先端にスクリュー状のフィンを設けた杭を回転させながら埋設することによって形成された竪穴等が挙げられる。掘削溝や窪みとしては、油圧ショベル等のバケットで掘削した溝等が用いられる。横孔としては、フレキシブルホースから高圧ジェット水を噴射して掘削したもの等が用いられる。
竪穴等の掘削部に地中熱交換器を配設した後、掘削部は充填材を地面又は地面付近まで充填して埋め戻される。
充填材としては、熱伝導率の良いものを用いることが好ましく、例えば、コンクリート,モルタル,土砂,土,砂等を用いることができる。なお、充填材として、コンクリート,モルタル等の水硬材ではなく、土砂,土,砂,ケイ砂,廃シリコン等のケイ素粒等の粒状の充填材を用いることにより、大地内を流動する地下水が掘削部に充填された充填材の粒子間に浸透し、地下水によって地中熱交換器と大地との熱交換が促進されるので好ましい。
なお、竪穴に配設された地中熱交換器では、熱媒は、地中熱交換器の往路管(螺旋状流路又は地中熱媒流路のいずれか)を通って地中の深部に向かい復路管から地表に取り出されるが、往路管や復路管の地表から深さ5m程度までの部分を断熱構造にするのが好ましい。地表から深さ5m程度までの大地は季節によって温度変化が大きいからである。特に、復路管を断熱構造にするのが好ましい。大地との熱交換を終えた熱媒の熱損失を防ぐためである。
【発明の効果】
【0016】
以上のように、本発明の地中熱交換器及びその埋設構造によれば、以下のような有利な効果が得られる。
請求項1に記載の発明によれば、
(1)長尺状の直管部分を有する地中熱交換器と同等の伝熱面積を得るために螺旋軸方向の長さを1/3〜1/20程度に短くすることができるので、竪穴の深さや掘削溝等の長さを従来の1/3〜1/20程度にすることができ掘削コストを大幅に削減でき、さらに掘削量が少ないので掘削作業性に優れるとともに施工性に優れた地中熱交換器を提供できる。
(2)地中熱交換器を埋設するための竪穴を浅くできる、掘削溝等を短くできるので、少量の充填材で竪穴や掘削溝等を埋め戻すことができ、埋め戻し作業性にも優れた地中熱交換器を提供できる。
(3)螺旋状流路の間隔を保持する間隔保持部材を備えているので、埋め戻される際の充填材の圧力によって螺旋状流路が変形することがなく、局部的に過剰な応力が働き難く耐久性に優れた地中熱交換器を提供できる。
(4)間隔保持部材を備えているので、充填材の圧力によって螺旋状流路の間隔が狭くなったり広くなったりするのを防止して、地中に螺旋状流路を均等に配置させることができ熱交換斑が生じ難く高い熱交換効率を維持できる地中熱交換器を提供できる。
【0017】
請求項2に記載の発明によれば、請求項1の効果に加え、
(1)地中に埋設された螺旋状流路の周囲の大地から採熱し、また埋設された螺旋状流路の周囲に放熱させることができ、螺旋状流路の外径より少し大きな内径の竪穴や螺旋状流路の外径より少し幅広の掘削溝等を掘削し、その中に地中熱媒流路を配設することで、大地と螺旋状流路との間で効率的に熱交換できる熱交換効率の高い地中熱交換器を提供できる。
(2)螺旋状流路の螺旋軸空間内に地中熱媒流路が配設されているので、螺旋状流路の螺旋の外径を大きくすることができ流路の全長を長くすることができ、伝熱面積が大きく熱交換効率の高い地中熱交換器を提供できる。
【0018】
請求項3に記載の発明によれば、請求項1又は2の効果に加え、
(1)螺旋状流路が多条に複数配設され、複数の螺旋状流路の各々が接続されたヘッダを備えているので、各々の螺旋状流路を流れる熱媒の流速は小さいまま螺旋状流路の全体を流れる熱媒の流量を条数倍に増加させることができ、熱媒と大地熱との単位時間当たりの熱交換量を増加させることができ熱交換効率の高い地中熱交換器を提供できる。
【0019】
請求項4に記載の発明によれば、請求項3の効果に加え、
(1)地中熱媒流路がヘッダで分岐された複数の螺旋状流路が接続されたヘッダ部を備えているので、複数の螺旋状流路を地中熱媒流路に接続して一本化できるため施工性に優れた地中熱交換器を提供できる。
【0020】
請求項5に記載の発明によれば、
(1)長尺状の直管部分を有する地中熱交換器と同等の伝熱面積を得るために螺旋軸方向の長さを1/3〜1/20程度に短くすることができるので、竪穴の深さや掘削溝等の長さを従来の1/3〜1/20程度にすることができ掘削コストを大幅に削減でき、さらに掘削量が少ないので掘削作業性に優れるとともに施工性に優れた地中熱交換器の埋設構造を提供できる。
(2)地中熱交換器を埋設するための竪穴を浅くでき、掘削溝等を短くできるので、少量の充填材で竪穴を埋め戻すことができ、埋め戻し作業性にも優れた地中熱交換器の埋設構造を提供できる。
(3)螺旋状流路の間隔を保持する間隔保持部材を備えているので、埋め戻される際の充填材の圧力によって螺旋状流路が変形することがなく、局部的に過剰な応力が働き難く耐久性に優れた地中熱交換器の埋設構造を提供できる。
(4)間隔保持部材を備えているので、充填材の圧力によって螺旋状流路の間隔が狭くなったり広くなったりするのを防止して、地中に螺旋状流路を均等に配置させることができ熱交換斑が生じ難く高い熱交換効率を維持できる地中熱交換器の埋設構造を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明を実施するための最良の形態を、図面を参照しながら説明する。
(実施の形態1)
図1は実施の形態1における地中熱交換器の斜視図であり、図2は実施の形態1における地中熱交換器の埋設構造を示す模式図である。
図1において、1は本発明の実施の形態1における地中熱交換器、2はポリプロピレン,ポリブテン,ポリアミド等の合成樹脂製、チタン等の金属製等で少なくとも一部が螺旋状に形成され内部を空気,水,不凍液等の熱媒が流れる螺旋状流路、3は螺旋状流路2の内側(螺旋内)の螺旋軸の周囲に形成された螺旋軸空間、4は螺旋状流路2の下端に接続されたエルボ管からなる連結部材、5はポリプロピレン,ポリブテン,ポリアミド等の合成樹脂製、ステンレス製,チタン等の金属製等で直管状に形成され連結部材4を介して螺旋状流路2の下端と接続され螺旋状流路2の螺旋軸方向と略平行に螺旋軸空間3内に配設された地中熱媒流路、6は地中熱媒流路5に沿って適当な間隔をあけて配設された間隔保持部材、7は環状に形成され地中熱媒流路5が嵌挿又は嵌着された間隔保持部材6の基部、8は基部7に延設されたアーム部、9はアーム部8の端部に形成され螺旋状流路2が嵌着された嵌着部である。
図2において、10は大地、10aは大地10にボーリングや先端にスクリュー状のフィンを設けた杭を回転させながら埋設する等によって形成された掘削部としての竪穴、10bは地中熱交換器1が配設された竪穴10aに充填された砂,土砂,土,モルタル等の充填材である。
【0022】
以上のように構成された本発明の実施の形態1における地中熱交換器の埋設構造について、以下その施工方法の一例を説明する。
まず、大地10に所定の径(本実施の形態では200mm)で地中熱交換器1の先端部を残して埋設できる深さの竪穴10a(掘削部)を形成する。
螺旋状流路2、地中熱媒流路5、連結部材4、間隔保持部材6を準備し、地中熱媒流路5に間隔保持部材6の基部7を適当な間隔をあけて配設固定する。次に、地中熱媒流路5を螺旋状流路2の内側に挿入し、その下端に連結部材4を装着した後、連結部材4に螺旋状流路2の下端を接続する。地中熱媒流路5に配設固定した間隔保持部材6の嵌着部9に螺旋状流路2を嵌着しながら、地中熱媒流路5の下端から竪穴10aに挿入し、竪穴10aの全長に亘って地中熱媒流路5及び螺旋状流路2を配設する。
最後に、竪穴10a内に配設された地中熱交換器1の地中熱媒流路5及び螺旋状流路2の周囲にコンクリート,モルタル,土砂,土,砂等の充填材10bを地面又は地面付近まで充填して、竪穴10aを埋め戻す。
【0023】
以上のようにして地中に配設された実施の形態1における地中熱交換器1は、螺旋状流路2及び地中熱媒流路5の上端をヒートポンプ,冷暖房装置,融雪装置等の図示しない負荷装置に接続し、負荷装置で冷熱や温熱が熱交換された熱媒を螺旋状流路2の上端から下端に向かって流し大地10との間で熱交換させ、熱交換した熱媒を地中熱媒流路5の上端から負荷装置に流して循環させる。
なお、熱媒を流す方向はこれに限定するものではなく、これとは逆に、熱媒を地中熱媒流路5の上端から地中熱交換器1に導入し、螺旋状流路2の上端から取り出し、負荷装置に流すようにしてもよい。この場合も同様の作用が得られる。
【0024】
以上のように、本発明の実施の形態1における地中熱交換器は構成されているので、以下のような作用が得られる。
(1)熱媒が内部を流れる螺旋状流路2を備えているので、長尺状の直管部分を有する地中熱交換器と同等の伝熱面積を得るために螺旋軸方向の長さを1/3〜1/20程度に短くすることができる。そのため、地中熱交換器1を配設する竪穴の深さを、従来の直管状の地中熱交換器の場合の竪穴の深さの1/3〜1/20程度にすることができ、竪穴の掘削コストを大幅に削減でき、さらに掘削量が少ないので掘削作業性に優れるとともに施工性に優れる。
(2)地中熱交換器1を埋設するための竪穴を浅くできるので、少量の充填材で竪穴を埋め戻すことができ、埋め戻し作業性にも優れる。
(3)螺旋状流路2の間隔を保持する間隔保持部材6を備えているので、埋め戻される際の充填材の圧力によって螺旋状流路2が変形することがなく、局部的に過剰な応力が働き難くピッチングが生じ難いので耐久性に優れる。
(4)また、間隔保持部材6を備えているので、充填材の圧力によって螺旋状流路2の間隔が狭くなったり広くなったりするのを防止して、大地に螺旋状流路2を間隔保持部材6の間隔で均等に配置させることができ熱交換斑が生じ難く高い熱交換効率を維持できる。
(5)間隔保持部材6で螺旋状流路2の間隔を保持できるので、合成樹脂製でコイル状に形成された伸縮性を有するスパイラルチューブで螺旋状流路2を形成することができ、汎用性に著しく優れる。
(6)合成樹脂製でコイル状に形成された伸縮性を有するスパイラルチューブで螺旋状流路2を形成した場合は、螺旋軸方向に伸縮するので施工現場まで輸送する際は縮んだ状態のためコンパクトで搬送性に優れ、施工現場では伸ばしながら間隔保持部材6で固定して容易に施工することができ施工性に優れる。
【0025】
なお、地中熱媒流路5に配設固定された間隔保持部材6は、螺旋状流路2の間隔を保持できるように、その間隔や数量を適宜選択することができる。
【0026】
また、以上のように構成された本発明の実施の形態1における地中熱交換器の埋設構造によれば、以下のような作用が得られる。
(1)竪穴10aに、螺旋状流路2を有する地中熱交換器1が配設され充填材10bが充填されているので、竪穴10aが浅くても充填材10bと螺旋状流路2との接触面積を広くすることができ、竪穴10aの単位深さ当たりの熱交換量を大きくすることができる。
【0027】
ここで、本実施の形態においては、竪穴10aの全長に亘って地中熱交換器1の螺旋状流路2が配設された場合について説明したが、竪穴10aの一部、例えば、深さ5m以上の深部にだけ螺旋状流路2を配設し、そこから地表までは直管状の流路を接続する場合もある。地表から深さ5m程度までの大地は季節によって温度変化が大きく、熱媒との熱交換に適さないため(冬季は地表付近の大地10の温度が低下するため熱媒が大地10へ放熱したり、夏季は地表付近の大地10の温度が上昇するため熱媒が大地10から採熱したりする。)、地表付近の大地10内を熱媒が通過する時間を短くして熱損失を少なくするためである。
また、同様の理由から、グラスウール等の断熱材を地中熱交換器1の地表付近の流路の外面に配設する場合もある。また、竪穴10a内に充填する充填材10bとして、地表付近だけ軽石,発泡ガラス等の断熱材を用いる場合もある。これにより、熱媒と地表付近の大地10との熱交換を抑制して熱損失を少なくすることができる。
【0028】
また、本実施の形態における地中熱交換器の埋設構造においては、地中熱交換器1が掘削部としての竪穴10aに配設された場合について説明したが、竪穴10aに代えて、油圧ショベル等のバケットで掘削して、地表面に掘削部としての掘削溝が形成される場合もある。この場合は、まず地中熱交換器1を配設できる掘削溝を形成する。掘削溝の深さ,幅,長さは、地中熱交換器1の螺旋状流路2の外径及び長さを考慮して決められる。次に、螺旋状流路2、地中熱媒流路5、連結部材4、間隔保持部材6を準備し、地中熱媒流路5に間隔保持部材6の基部7を適当な間隔をあけて配設固定する。次に、地中熱媒流路5を螺旋状流路2の内側に挿入し、その下端に連結部材4を装着した後、連結部材4に螺旋状流路2の下端を接続する。地中熱媒流路5に配設固定した間隔保持部材6の嵌着部9に螺旋状流路2を嵌着しながら、地中熱媒流路5の下端から掘削溝に落とし込み、掘削溝の全長に亘って地中熱媒流路5及び螺旋状流路2を配設する。最後に、掘削溝内に配設された地中熱交換器1の地中熱媒流路5及び螺旋状流路2の周囲にコンクリート,モルタル,土砂,土,砂等の充填材を充填して、掘削溝を埋め戻す。
この構成により、竪穴内に地中熱交換器を配設する場合に比較して、掘削コストを削減できるという作用が得られる。
なお、地中熱媒流路5が直管状に形成された場合について説明したが、直管状の複数の地中熱媒流路を、エルボ管等を用いて接続することにより、地中熱媒流路5を曲線状やU字状等に形成し、地中熱交換器の全長をコンパクト化する場合もある。この場合は、掘削溝の幅を広げた窪みを掘削部として用いることにより、地中熱交換器を埋設することができる。これにより、敷地や地形の関係で長い掘削溝を形成できない場合でも、地中熱交換器を埋設することができ自在性に優れる。
【0029】
(実施の形態2)
図3(a)は実施の形態2における地中熱交換器の側面図であり、図3(b)は実施の形態2における地中熱交換器の横断面図である。
図中、11は本発明の実施の形態2における地中熱交換器、12はポリプロピレン,ポリブテン,ポリアミド等の合成樹脂製で形成されたパイプ部材、12aはパイプ部材12と一体にパイプ部材12の外周面に断面が略方形状に形成された螺旋状流路である。本実施の形態においては、螺旋状流路12aがパイプ部材12と一体に形成されたことによって螺旋状流路12aの間隔が保持されているので、パイプ部材12が間隔保持部材として機能している。13は螺旋状流路12aの内側の螺旋軸の周囲に形成されたパイプ部材12内の螺旋軸空間、14はパイプ部材12の下端に装着され内部に後述する地中熱媒流路15の下端と螺旋状流路12aの下端とを連結する連結流路14aが形成された蓋状の連結部材、14bは連結部材14の内側に形成された嵌合部、15はポリプロピレン,ポリブテン,ポリアミド等の合成樹脂製、チタン等の金属製等で形成され下部が嵌合部14bに嵌合されて連結流路14aに接続され螺旋状流路12aの螺旋軸方向と略平行に螺旋軸空間13内(パイプ部材12内)に配設された直管状の地中熱媒流路である。
【0030】
以上のように、本発明の実施の形態2における地中熱交換器は構成されているので、実施の形態1に記載した作用に加え、以下のような作用が得られる。
(1)螺旋状流路12aがパイプ部材12と一体に形成されて螺旋状流路12aの間隔が保持されているので、充填材によって螺旋状流路12aが変形することがなく耐久性に優れるとともに、地中に螺旋状流路12aを均等に配置させることができ熱交換斑が生じ難く高い熱交換効率を維持できる。
(2)竪穴に配設した後、埋め戻す際に螺旋状流路12aと地中熱媒流路15との間に充填材を充填しなければ、螺旋状流路12aと地中熱媒流路15とはパイプ部材12内の空気で断熱することができる。このため、地上の負荷装置で冷熱や温熱が取り出された熱媒を螺旋状流路12aの上端から下端に向かって流すことで採熱若しくは放熱させることができ、次いで、地中熱媒流路15の下端から上端に向かって流すことで、螺旋状流路12aや大地の熱の影響を受けずに熱媒を取り出すことができ熱交換効率を高めることができる。
【0031】
本実施の形態においては、螺旋状流路12aの断面が略方形状に形成された場合について説明したが、これに限定されるものではなく、円形,半円形等適宜選択することができる。これらの場合も同様の作用が得られる。なお、充填材の充填斑を少なくするためには、螺旋状流路12aの外形は角張らせずに丸みを付けるのが望ましい。
【0032】
(実施の形態3)
図4は実施の形態3における地中熱交換器の斜視図である。
図中、21は本発明の実施の形態3における地中熱交換器、22,22はポリプロピレン,ポリブテン,ポリアミド等の合成樹脂製、チタン等の金属製等で少なくとも一部が螺旋状に形成され内部を空気,水,不凍液等の熱媒が流れる螺旋状流路であり、本実施の形態においては2本並設されて2条に形成されている。22a螺旋状流路22,22の上端の各々が接続されたヘッダ、23は螺旋状流路22,22の内側の螺旋軸の周囲に形成された螺旋軸空間、24,24は螺旋状流路22,22の下端の各々に接続されたエルボ管からなる連結部材、25,25はポリプロピレン,ポリブテン,ポリアミド等の合成樹脂製、チタン等の金属製等で直管状に形成され連結部材24,24を介して螺旋状流路22,22の下端と接続され螺旋状流路22,22の螺旋軸方向と略平行に螺旋軸空間23内に配設された地中熱媒流路、25aは地中熱媒流路25,25の上端が接続されたヘッダ、26は地中熱媒流路25,25に沿って適当な間隔をあけて配設された間隔保持部材、27は地中熱媒流路25,25が嵌挿された間隔保持部材26の基部、28は基部27に延設されたアーム部、29はアーム部28の端部に形成され螺旋状流路22,22が嵌着された嵌着部である。
【0033】
以上のように、本発明の実施の形態3における地中熱交換器は構成されているので、実施の形態1に記載した作用に加え、以下のような作用が得られる。
(1)螺旋状流路22,22が2条に配設され、2本の螺旋状流路22,22の上端の各々が接続されたヘッダ22aを備えているので、各々の螺旋状流路22,22を流れる熱媒の流速は小さいまま螺旋状流路22,22の全体を流れる熱媒の流量を2倍に増加させることができ、熱媒と大地熱との単位時間当たりの熱交換量を増加させることができる。
【0034】
なお、本実施の形態においては、螺旋状流路が2本並設されて2条に形成された場合について説明したが、条数は熱媒の流量との関係で適宜選択することができ、3本以上並設させて3条以上にする場合もある。これらの場合も同様の作用が得られる。
また、ヘッダ25aが地中熱媒流路25,25の上端に接続されている場合について説明したが、ヘッダ25aを螺旋状流路22,22の下端に接続する場合もある。この場合は、螺旋状流路22,22の下端に接続されたヘッダ25aで熱媒を集約して、螺旋状流路22,22の流路内(螺旋内)に地中熱媒流路を一本挿入し、挿入した地中熱媒流路の下端とヘッダ25aとを接続する。この場合も同様の作用が得られる。
【0035】
(実施の形態4)
図5(a)は実施の形態4における地中熱交換器の斜視図であり、図5(b)はA−A線における地中熱交換器の縦断面図である。なお、実施の形態3と同様のものは、同じ符号を付して説明を省略する。
図中、31は本発明の実施の形態4における地中熱交換器、32は後述する地中熱媒流路34の下端部に一体に形成されたヘッダ部、33はヘッダ部32に接続され螺旋状流路22,22の下端が接続された継手部、34はポリプロピレン,ポリブテン,ポリアミド等の合成樹脂製等でヘッダ部32と一体に直管状に形成され螺旋状流路22,22の螺旋軸方向と略平行に螺旋軸空間23内に配設された地中熱媒流路、34aは地中熱媒流路34の上端側の内径を細く絞った絞り部、34bは絞り部34aの周囲に配設されたグラスウール,ロックウール等の断熱材、35は地中熱媒流路34の長手方向に沿って対称状に一体に形成された2枚のリブ部、36はリブ部35の外側に長手方向に沿って適当な間隔をあけて凹状に形成され螺旋状流路22,22が嵌着された嵌着部である。
【0036】
以上のように、本発明の実施の形態4における地中熱交換器は構成されているので、実施の形態3に記載した作用に加え、以下のような作用が得られる。
(1)地中熱媒流路34が2本の螺旋状流路22,22が接続されたヘッダ部32と一体に形成されているので、2本の螺旋状流路22,22が地中熱媒流路34に確実に接続され施工性に優れる。
(2)地中熱媒流路34の長手方向に沿ってリブ部35が形成されているので、地中熱媒流路34を堅牢にすることができる。
(3)地中熱媒流路34の上端側に内径を細く絞った絞り部34aが形成されているので、絞り部34aを通過する熱媒は流速が速いため、埋設された大地と熱交換する時間が短くなる。また、絞り部34aの外表面積を小さくすることができ、大地との伝熱面積を狭くすることができる。このため、地表から深さ5m程度までのところに絞り部34aが位置するように地中熱交換器31を埋設すれば、季節によって温度変化が大きい地表付近の温度変動の影響を受け難くすることができ熱損失を防止できる。
(4)地中熱媒流路34の絞り部34aの外周に断熱材34bが配設されているので、地表から深さ5m程度までのところに断熱材24bが配設された絞り部34aが位置するように地中熱交換器31を埋設すれば、断熱材34bの断熱性によって温度変化が大きい地表付近の温度変動の影響を受け難くすることができ熱損失を防止できる。
【0037】
なお、本実施の形態においては、リブ部35が2本形成された場合について説明したが、3本以上形成する場合もある。この場合も同様の作用が得られる。
また、ヘッダ部32が地中熱媒流路34と一体に形成された場合について説明したが、ヘッダ部を地中熱媒流路34とは別個に形成して、地中熱媒流路34の下端に接着,溶着,嵌着,螺着等の手段で固定する場合もある。この場合も同様の作用が得られる。
また、断熱材34bは、充填材として軽石状の多孔質セラミックスやガラス発泡体等を用いることによっても同様の作用が得られる。
【0038】
(実施の形態5)
図6は実施の形態5における地中熱交換器の斜視図である。なお、実施の形態1で説明したものと同様のものは、同じ符号を付して説明を省略する。
図中、41は本発明の実施の形態5における地中熱交換器、42は後述する支持部材45及び係止具46を備えた地中熱交換器41の外側に配設された間隔保持部材、43は金属製や合成樹脂製の線材や棒材等で形成された縦材、44は環状に形成され縦材43に適当な間隔をあけて溶着等によって複数本接合された固定リング、45は縦材43と固定リング44とにより枠状に形成され螺旋状流路2の外側に配設された支持部材、46は支持部材45の縦材43や固定リング44に螺旋状流路2を固定する結束バンド等の係止具である。
【0039】
以上のように、本発明の実施の形態5における地中熱交換器は構成されているので、実施の形態1に記載した作用に加え、以下のような作用が得られる。
(1)間隔保持部材42が螺旋状流路2の外側に配設された支持部材45を備えており、螺旋状流路2が外側から取り囲まれているので、支持部材45で螺旋状流路2や地中熱媒流路5を保護して掘削した竪穴や掘削溝等にスムーズに挿入することができ、挿入作業性に優れる。
【0040】
ここで、本実施の形態においては、縦材43と固定リング44とにより枠状に形成された支持部材45を用いた場合について説明したが、金属製や合成樹脂製等で亀甲状等に形成された網状体を、巻いて筒状に形成したものを支持部材として用いる場合もある。この場合は、網フェンス等に用いられる網状体を利用して支持部材を形成することができるため、汎用性に優れる。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明は、地中に埋設され大地との間で熱交換を行う地中熱交換器及びその埋設構造に関し、長尺状の直管部分を有する地中熱交換器と同等の伝熱面積を得るために長さを1/3〜1/20程度に短くすることができるので、埋設する竪穴の深さ等を従来の1/3〜1/20程度に浅くすることができ掘削コストを大幅に削減でき、また掘削量が少ないので掘削作業性に優れるとともに施工性に優れ、また少量の充填材で竪穴等を埋め戻すことができ埋め戻し作業性にも優れ、また埋め戻される際の充填材の圧力によって変形することがなく局部的に過剰な応力が働き難く耐久性に優れ、さらに地中に熱媒の流路を均等に配置させることができ斑が生じ難く高い熱交換効率を維持できる地中熱交換器を提供することができ、また、竪穴等の掘削部内に充填された充填材や大地内を流動する地下水による伝熱促進効果によって大きな熱交換量が得られる地中熱交換器の埋設構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】実施の形態1における地中熱交換器の斜視図
【図2】実施の形態1における地中熱交換器の埋設構造の模式図
【図3】(a)実施の形態2における地中熱交換器の側面図 (b)実施の形態2における地中熱交換器の横断面図
【図4】実施の形態3における地中熱交換器の斜視図
【図5】(a)実施の形態4における地中熱交換器の斜視図 (b)A−A線における地中熱交換器の縦断面図
【図6】実施の形態5における地中熱交換器の斜視図
【符号の説明】
【0043】
1,11,21,31,41 地中熱交換器
2,12a,22 螺旋状流路
3,13,23 螺旋軸空間
4,14,24 連結部材
5,15,34 地中熱媒流路
6,26 間隔保持部材
7,27 基部
8,28 アーム部
9,29,36 嵌着部
10 大地
10a 竪穴
10b 充填材
12 パイプ部材(間隔保持部材)
14b 嵌合部
22a,25a ヘッダ
32 ヘッダ部
33 継手部
34a 絞り部
34b 断熱材
35 リブ部
42 間隔保持部材
43 縦材
44 固定リング
45 支持部材
46 係止具

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一部が螺旋状に形成され内部を熱媒が流れる螺旋状流路と、下端が前記螺旋状流路の下端に接続され前記螺旋状流路の螺旋軸と略平行に配設された地中熱媒流路と、前記螺旋状流路の間隔を保持する間隔保持部材と、を備えていることを特徴とする地中熱交換器。
【請求項2】
前記地中熱媒流路が、前記螺旋状流路の流路で囲まれる螺旋軸空間内に配設されていることを特徴とする請求項1に記載の地中熱交換器。
【請求項3】
前記螺旋状流路が分岐して多条に複数配設されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の地中熱交換器。
【請求項4】
前記地中熱媒流路が、複数の前記螺旋状流路の下端の各々が接続されたヘッダ部を備えていることを特徴とする請求項3に記載の地中熱交換器。
【請求項5】
大地に形成された掘削部と、前記掘削部に配設された請求項1乃至4の内いずれか1に記載の地中熱交換器と、前記掘削部に充填された充填材と、を備えていることを特徴とする地中熱交換器の埋設構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−315742(P2007−315742A)
【公開日】平成19年12月6日(2007.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−120158(P2007−120158)
【出願日】平成19年4月27日(2007.4.27)
【出願人】(301057967)株式会社ジャスト東海 (8)
【Fターム(参考)】