地盤改良併用鋼構造基礎

【課題】地上や海底の軟弱な地盤に、基礎構造物に対して作用する転倒曲げモーメント荷重に十分な構造物支持力を持つ構造物基礎を設置することを課題とする。
【解決手段】セメント固化により改良された軟弱な地盤を利用した転倒曲げモーメントへの抵抗力を有する構造体の内部に、翼状の突起部をもつ鋼構造物を設置することにより、軟弱な地盤であっても転倒曲げモーメントに対する十分な支持力を持つ構造物基礎を設置することが出来る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、鋼構造の形状と設置施工手順、地盤改良の形状と施工手順に工夫を加えることにより、軟弱な地盤において転倒曲げモーメントに抵抗する構造物基礎の設置を実現する。
【背景技術】
【０００２】
従来の基礎構造において、転倒しようとする外力である転倒曲げモーメントに抵抗するためには、大きな重量で抵抗する重力式や、脚部の支点距離ないしは底版長さを長くして抵抗するアウトリガー式、高い剛性を有する杭を十分な水平抵抗が得られる地盤まで打ち込み、曲げ抵抗を得る単杭基礎方式などがある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００３】
しかし、従来の工法ではいずれも、鉛直、水平荷重や、曲げモーメント等の外力に抵抗することの出来る地盤の耐力と、大規模な基礎構造物が必要であり、地上や海底の軟弱な地盤ではその施工が難しいという問題がある。本発明は、そのような地上や海底の軟弱な地盤に、十分な構造物支持力を持つ構造物基礎を設置することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【０００４】
この課題を解決するための請求項１の発明は、セメント固化により改良された軟弱な地盤を利用した転倒曲げモーメントへの抵抗力を有する構造体の内部に、請求項２の発明による方法で翼状の突起部をもつ鋼構造物を設置することにより、軟弱な地盤であっても転倒曲げモーメントに対する十分な支持力を持つ構造物基礎を設置することが出来る。
【発明の効果】
【０００５】
本発明により、従来設置することの出来なかった軟弱な地盤に、転倒曲げモーメントに対する十分な支持力を持つ構造物基礎を設置することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【０００６】
【図１】構造物基礎を設置する地上または海底の軟弱な地盤
【図２】深層混合処理によりセメントと撹拌して改良された構造物支持地盤
【図３】改良された地盤上まで沈埋された鋼構造物
【図４】配管からコンクリートで打設された鋼構造物の底版
【図５】改良された構造物支持地盤上に設置された翼状の突起部をもつ鋼構造物
【図６】深層混合処理によりセメントと撹拌して改良された鋼構造物の翼状の突起部周りの軟弱地盤
【図７】改良された支持地盤により翼状の突起部が水平抵抗力を得た構造物基礎
【符号の説明】
【０００７】
１構造物基礎を設置する地上または海底の軟弱な地盤
２深層混合処理によりセメントと撹拌して改良された構造物支持地盤
３翼状の突起部をもつ鋼構造物
４翼状の突起部
５高圧水噴射及びコンクリート打設用配管
６鋼構造物のコンクリート底版
７深層混合処理によりセメントと撹拌して改良された軟弱地盤
【発明を実施するための形態】
【０００８】
以下、本発明の実施の形態を図１〜図７に基づいて説明する。
【０００９】
図１の１は、構造物基礎を設置しようとする地上または海底の軟弱な地盤を示す。
【００１０】
次に図２に示すように、軟弱な地盤の内部に深層混合処理によるセメント固化により、所定の強度を有する２の構造物支持地盤を形成する。
【００１１】
次に図３に示すように、４の翼状の突起部と、５の高圧水噴射及びコンクリート打設用配管を持つ３の鋼構造物を、先端から高圧水を噴出させながら、２の構造物支持地盤まで沈埋する。
【００１２】
次に図４に示すように、５のコンクリート打設用配管から３の鋼構造物の底部にコンクリートを打設して６のコンクリート底版を形成し、構造物の鉛直方向の支持力を確保する。
【００１３】
次に図５に示すような２と３の周囲を、図６の７に示すように、４の翼状の突起部の水平方向の抵抗力を確保するための地盤改良を行う。
【００１４】
以上のような実施形態により図７に示すような基礎構造物を形成することにより、転倒曲げモーメントに対する十分な支持力を持つ構造物基礎を設置することが出来る。
【産業上の利用可能性】
【００１５】
本発明により、従来の方法では設置が困難であった軟弱な地盤の海洋部に、洋上風車などのタワー構造物を設置することが出来る。

【特許請求の範囲】
【請求項１】
基礎構造物に作用する転倒曲げモーメント荷重を、改良された地盤と鋼構造物の翼状の突起部で支持する構造
【請求項２】
地盤改良を併用した軟弱地盤上に設置する鋼構造物基礎の施工手順

【図１】