説明

垂直断面形状読み取り装置および不良品選別システム

【課題】 垂直切断面全面をその外形エッジを含めて垂直の姿勢のまま正確に読み取ることができる垂直断面形状読み取り装置を提供する。
【解決手段】 搬送系により3次元物体を搬送する。スライダーは所定位置に来た3次元物体をスライドさせてその垂直断面方向が所定方向となるように姿勢しつつ搬送系の終端まで導く。さらにスライダーは3次元物体のみを撮像装置30の方向に押し出して、その垂直断面を撮像装置30に対向する所定位置までスライドさせる。撮像装置30のスキャン焦点深度の位置は、搬送系の終端位置と撮像装置30の画像読み取りガラス面位置との間に調整されている。撮像装置のスキャン焦点は搬送系の終端には合わず、3次元物体の垂直断面のみに合い、3次元物体の垂直断面のみが強調された画像データを読み取ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、垂直断面を持つ3次元物体の当該垂直断面を読み取る垂直断面形状読み取り装置、および、読み取った3次元物体の垂直断面形状の画像データを画像処理して解析する垂直断面形状解析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術において、紙などに描かれた2次元画像をフラットベッド型のスキャナで読み取る場合、原稿エッジ部分の読み取り・解析が難しいという点と、原稿を傾き(スキュー)なくセットする点に注意が必要である。
【0003】
前者の原稿エッジ部分の読み取り・解析が難しいという点については、他の先行出願でも従来技術における課題として指摘されており、例えば、特開平10−224563号に指摘されているように、原稿エッジが正しく解析されるためには、スキャン副方向において原稿エッジ付近が紙余白の白画素、原稿外に反転の黒画素が連続しており、かつ、スキャン主方向においてもそのしきいが連続していることが好ましいとされている。ただし、これは、対象物である原稿が定形紙であり、エッジが直線であるということを前提としており、もし、対象物のエッジが直線ではなく、歪み、ギザなどがある場合、対象物のエッジの読み取り・解析がさらに困難であると言える。
【0004】
後者の原稿を傾き(スキュー)なくセットする点は、後工程である画像データの画像処理を容易にするために要請されるものであり、2次元図形の読み取りはスキャナのスキャン方向に対していわゆる傾き(スキュー)を発生させることなく、原稿の側面エッジを当該スキャン方向に正確に合わせてセットすることが好ましいとされている。なお、原稿の画像読み取りガラス面へのセットにおいて、紙媒体がシートフィーダ搬送に適さない場合、手作業で定形紙を原稿読み取りガラス面上にセットすることとなる。フラットベッド型のスキャナでは、定形紙のエッジをスキャン方向に対してスキューなく正確に合わせやすいように、一般には原稿読み取りガラス面の周囲に設けられたプラスチック製や金属製のフレームを、定形紙原稿のエッジを合わせるためのフレームガイドとして兼用せしめている。例えば、原稿読み取りガラス面の右上角のフレーム隅に原稿の右上角を合わせ、原稿の上辺エッジを上端フレームガイド、右辺エッジを右端フレームガイドに合わせて原稿をセットする。このように、画像読み取りに際し、フレームガイドと原稿エッジが接する状態となっている。
【0005】
ここで、上記2点に鑑みて、原稿のエッジの形状そのものを読み取り、解析する場合、原稿のエッジ形状そのものは、もともと読みにくく解析しずらい上に、フレームガイドのエッジと接しているため正確に読み取るには不適切な状態にあると言える。しかし、通常は、原稿のエッジ形状そのものをスキャナで読み取ることはなく、読み取るべき対象である画像は、原稿の内側領域(外周辺のマージン領域の内側領域)にあるため、通常のスキャナによる画像読み取りにおいては、原稿のエッジ部分がフレームガイドのエッジに接していること自体は問題とはならない。
【0006】
しかし、原稿のエッジ形状の輪郭を読み取って解析する場合は問題となる。従来のフラットベッド型スキャナでは、原稿のエッジ形状自体や原稿のエッジ部分の画像を読み取るためには、原稿のエッジをフレームガイドには合わせず、オフセットを設けて原稿を画像読み取りガラス面の少し内側に載せ置けば読み取り条件が改善する。もっとも、フレームガイドに合わせる訳ではなく目測で角度を調整するので精密にスキューなく原稿を画像読み取りガラス面上に載せ置くことは難しいが、原稿のエッジ形状の輪郭や原稿のエッジ部分の画像の読み取り条件は改善する。
なお、上記オフセット位置への調整は、フラットベッドスキャナの原稿読み取りガラス面が水平面であることを前提としている。重力方向と原稿読み取りガラス面が直交しているため原稿を自由に載せ置くことが可能であり、原稿位置の調整が容易にできるからである。なお、原稿を載せ置いた後、原稿を安定させるためおよび外界光の入射を遮断するなどの目的のため原稿台カバーを上から被せて原稿を圧着させることは広く行なわれている。
【0007】
【特許文献1】特開平10−224563号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ここで、3次元物体の垂直断面を読み取る場合を想定してみる。
このような用途は、例えば、プラスチック、アルミニウム、ステンレス鋼などを材料として異形押し出し工法により加工され、押し出された連続体を切断して単品成型した窓枠などの建築資材、土木資材などの切断面検査など多様なものが想定される。この切断面検査では切断面の内部状態のみならず、切断面の外形エッジそのものを読み取る必要がある。つまり、押し出し成型時点で外形が歪んでいたり、切断加工により外形が歪んだりする場合があり、これら不具合も検知する必要があるからである。
3次元物体の垂直断面を読み取る用途に、従来のフラットベッド型スキャナを転用することを検討してみると、例えば、3次元物体を上下方向に90度回転させ、その垂直断面を下面とし、フラットベッド型スキャナの原稿読み取りガラス面に密着させて読み取ることが想定される。この場合、背景技術でも指摘したように、対象物のエッジをフレームガイドに接することは避けてフラットベッド型スキャナの原稿読み取りガラス面のやや内側に載せ置いて読み取れば良い。この場合、後工程の画像処理を踏まえて、慎重にスキューなくセットすれば良い。
【0009】
しかし、生産現場において、ベルトコンベアなどの搬送系により搬送されつつある建築資材などの垂直切断面をその場で読み取って検査するニーズが存在する。つまり、それら資材を回転させたりフラットベッド型スキャナの原稿読み取りガラス面の所定位置に精密に置き直したりする時間や手間をかけずに、垂直断面を垂直の姿勢のまま読み取ることが求められる。
つまり、資材などの3次元物体は生産現場においてベルトコンベアなどに載せ置かれた状態で資材がフラットベッド型スキャナの画像読み取りガラス面上に搬送されるので、3次元物体の垂直切断面とフラットベッド型スキャナの画像読み取りガラス面の両者が垂直に対向し合った状態で読み取りが実行されるが、3次元物体の垂直切断面を垂直のまま読み取る場合は、垂直切断面の外形エッジの読み取りには以下の問題が発生する。
【0010】
第1は、搬送系の影響である。3次元物体を移動台やベルトコンベアなどで支持しつつ搬送・移動して画像読み取りガラス面上に導くため、3次元物体は支持体としての搬送系上に載せ置かれている。そのため、3次元物体の垂直切断面の下辺エッジ部分は搬送系筐体との境界にあり、外形エッジ形状の輪郭の読み取りが正確には行なえない。
【0011】
第2は、搬送ガイドの影響である。搬送される3次元物体を画像読み取りガラス面上に正確に対向するように位置制御、姿勢制御するためには搬送ガイドが必要であるが、搬送ガイドが3次元物体のエッジに接しているため、当該接触面において外形エッジの読み取りが正確には行なえない。
【0012】
上記問題点に鑑み、本発明は、生産現場において搬送系により搬送されつつある建築資材などの垂直切断面全面をその外形エッジを含めて垂直の姿勢のまま正確に読み取ることができる垂直断面形状読み取り装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するため、本発明の垂直断面形状読み取り装置は、3次元物体の垂直断面の形状を読み取る垂直断面形状読み取り装置であって、前記3次元物体を搬送する搬送系と、前記搬送系の終端付近に位置し、前記搬送方向に直交する画像読み取りガラス面を持ち、前記搬送系により導かれた前記3次元物体の垂直断面を読み取る撮像装置を備え、前記撮像装置の焦点深度の位置を、前記搬送系の終端位置と前記画像読み取りガラス面位置の間に設定し、前記3次元物体のみを、その垂直断面の位置が前記搬送系の終端位置から前記焦点深度の位置となるまでスライドさせることを特徴とする。
また、本発明の垂直断面形状読み取り装置は、3次元物体の垂直断面の形状を読み取る垂直断面形状読み取り装置であって、前記3次元物体を搬送する搬送系と、前記搬送系において搬送されてきた前記3次元物体の読み取るべき垂直断面の配置方向が所定方向となるように前記3次元物体の姿勢を制御する搬送ガイドと、前記搬送系および前記搬送ガイドの終端付近に位置し、前記搬送方向に直交する画像読み取りガラス面を持ち、前記搬送系および前記搬送ガイドにより導かれた前記3次元物体の垂直断面を読み取る撮像装置を備え、前記撮像装置の焦点深度の位置を、前記搬送系の終端位置および前記搬送ガイドの終端位置と前記画像読み取りガラス面位置の間に設定し、前記3次元物体のみを、その垂直断面の位置が前記搬送系の終端位置から前記焦点深度の位置となるまでスライドさせることを特徴とする。
【0014】
上記構成により、スキャナの焦点深度の位置が搬送系の終端および搬送ガイドの終端と撮像装置の画像読み取りガラス面との間に合わされているため、搬送系の終端および搬送ガイドの終端にはスキャナの焦点が合わず、かつ、3次元物体の垂直断面のみにスキャナの焦点が合うため、3次元物体の垂直断面のみが強調されて画像読み取りされることとなり、その外形エッジも含めて3次元物体の垂直断面全体を正確に読み取ることができる。
また、焦点深度の位置が撮像装置の画像読み取りガラス面上となっていないので、3次元物体の垂直断面を画像読み取りガラス面まで移動せず、撮像装置の焦点深度の位置まで移動させれば正確にその垂直断面を読み取ることが可能となり、3次元物体の垂直断面を画像読み取りガラス面まで移動して密着させる必要がなくなる。例えば、押し出し加工されて切断加工された3次元物体の切断面には切りくずなどの小片やゴミが付着しているケースも多いが、この切断面が撮像装置の画像読み取りガラス面に接することは、撮像装置の画像読み取りガラス面に汚れが付着するリスクが大きくなる。しかし、本発明の垂直断面形状読み取り装置では、3次元物体の垂直切断面を直接、撮像装置の画像読み取りガラス面に密着させることはなく、当該リスクを小さくすることができる。
また、押し出し加工の生産現場は空中にゴミや塵などが多い場合もあり、撮像装置の画像読み取りガラス面に汚れが付着することが多いが、撮像装置の焦点深度の位置が画像読み取りガラス面には合わされていないので、撮像装置の画像読み取りガラス面に付着した汚れの影響が少なくなるという有利な効果も得られることとなる。
【0015】
本発明の不良品選別システムは、3次元物体の垂直断面形状の画像データを読み取る本発明の垂直断面形状読み取り装置と、前記垂直断面形状読み取り装置から受け取った前記3次元物体の垂直断面形状の画像データと設計上の垂直断面形状の画像データとを比較し、前記3次元物体が設計上の許容誤差範囲内の良品かそれ以外の不良品かを判別する画像処理解析装置と、前記画像処理解析装置による前記3次元物体の良品か不良品かの判別に従い、不良品と判別されたもののはじき出しを行なう選別装置を備えたものである。
【発明の効果】
【0016】
本発明の垂直断面形状読み取り装置は、搬送系の終端および搬送ガイドの終端にはスキャナの焦点が合わず、かつ、3次元物体の垂直断面のみにスキャナの焦点が合うため、3次元物体の垂直断面のみが強調されて画像読み取りされることとなり、その外形エッジも含めて3次元物体の垂直断面全体を正確に読み取ることができる。
本発明の垂直断面形状読み取り装置は、スキャナの焦点深度の位置が画像読み取りガラス面の位置からずらされているため、3次元物体の垂直断面を画像読み取りガラス面まで移動して密着させる必要がなく、3次元物体の切断面の切りくずやゴミが画像読み取りガラス面に付着するおそれが少なくなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、図面を参照しつつ、本発明の垂直断面形状読み取り装置の実施例を説明する。ただし、本発明の範囲は以下の実施例に示した具体的な用途、形状、個数などには限定されないことは言うまでもない。
【実施例1】
【0018】
実施例1にかかる本発明の垂直断面形状読み取り装置の例を示す。
ここでは、一例として、プラスチックを材料として異形押し出し工法により加工され、押し出された連続体を切断して単品成型した窓枠などの建築資材、土木資材などの切断面検査を行なう用途に用いるものを説明する。
【0019】
図1に本発明の垂直断面形状読み取り装置の概念を模式的に表した図を示す。図1(a)は垂直切断面の検査対象となるプラスチック材料の資材1の一例を示す。垂直切断面を正面から見た斜視図となっている。ここでは、ハッチングを施している垂直切断面を正面1aとし、背面を1b、右側面を1c、左側面を1d、上面を1e、底面を1fとする。全体がブロック状であり、例えば、高さ(H)50mm、正面の幅(W)200mm、側面の長さ(D)1000mmとする。
資材1は、上流工程において異形押し出し装置(図示せず)により押し出し加工され、切断装置(図示せず)により切断されて単品成型されたものである。押し出し工法により押し出されて当初連続体となっている状態から切断装置により垂直に切断して形成された前面が当該正面1aである。
【0020】
なお、この例の資材1は、正面1aから背面1bへ貫通している多数の貫通孔2が内部に設けられている。つまり、押し出し加工の過程でこのような貫通孔2が多数形成されたものである。貫通孔2の用途は特に限定されないが、資材1の用途に応じて、例えば、ケーブルを挿入したり、パイプを挿入したり、粉体を収納したりすることも可能である。また、貫通孔2の形状も四角形に限定されず、多角形、円形、楕円形など多様な形状があり得る。また、貫通孔2は資材の重量を小さくしつつ構造的強度を高める目的で設けられる場合もある。例えば、資材の中にいわゆるハニカム構造を設け、全体の重量を軽くしつつ、外界からの圧力に抗する構造的強度を与えることがある。
このように資材1の垂直切断面の画像読み取りには、資材1の外形に基づく外形エッジの形状と、資材1の内部構造に基づく貫通孔2により形成される断面形状の両者を正確に読み取る必要がある。
図1(a)に示した資材1が上流工程において押し出し加工、切断加工されて単品成型され、正面1aを前面として後述する垂直断面形状読み取り装置の搬送系に受け取られ、搬送されて行く。
【0021】
図1(b)は本発明の垂直断面形状読み取り装置による資材1の垂直切断面の画像読み取りの概念を示している。搬送系により流れてくる資材1をスライダーにより位置制御および姿勢制御を行い、画像を読み取るべき垂直切断面1aの位置が撮像装置30のスキャナ焦点深度の位置となるように調整され、撮像装置30により資材1の垂直切断面1aが読み取られる。読み取られた画像データは、用途に応じた後工程の処理に利用される。例えば画像処理装置により画像処理や画像解析が施される。
【0022】
図2は、本発明の垂直断面形状読み取り装置の構成例を模式的に示した図である。スライダーなどの各構成要素は模式的に示している。また、搬送される資材1の図示は省略している。
図2に示す構成例では、3次元物体を搬送する搬送系として、上流側のメインパス用の搬送系10、スキャンパス用の搬送系11、下流側のメインパス用の搬送系12を備えている。
【0023】
上流側のメインパス用の搬送系10は、上流工程において押し出し加工され、切断されて単品成型された資材1を上流工程から受け取り下流工程に流すものである。ここで搬送系とは、いわゆるベルトコンベアのように駆動力を備えて上面に載せ置かれた3次元物体を運ぶタイプに加え、駆動力を持たず3次元物体が移動する通り道を提供する台座タイプも含む概念である。この例では、上流側のメインパス用の搬送系10はいわゆる台座タイプの例とし、上流側のメインパス用の搬送系10上での資材1の移動は、上流工程の押し出し加工により次々と押し出されてくる資材1が下流の資材1を押し出すことにより行なわれるものとする。図2の例では左から右の方向を順方向として、資材1が左から右へと押し出されつつ流されて行く。資材1の姿勢は、前面が垂直切断面である正面1aとなっている。
【0024】
スキャンパス用の搬送系11も台座タイプとし、上流側のメインパス用の搬送系10と並行に設けられた台座であり、切断面検査を行なうため上流側のメインパス用の搬送系10から一時的に資材1を受け入れ、後述する撮像装置30による垂直切断面の画像読み取りを実行させる場所(台座)を提供するものである。
【0025】
資材1はスキャンパス用の搬送系11での垂直切断面の画像読み取り終了後、下流側のメインパス用の搬送系12に載せ換えられる。下流側のメインパス用搬送系12は、スキャンパス用の搬送系11での切断面検査終了後の資材1をスキャンパス用の搬送系11から受け取り下流工程に流すものである。ここで、下流側のメインパス用の搬送系12を上流側のメインパス用の搬送系10と同じ側に設ける構成も可能であるが、反対側に設けることも可能である。この例では下流側のメインパス用の搬送系12をスキャンパス用搬送系11を挟んで上流側のメインパス用の搬送系10とは反対側に設け、また、その配置方向が90度ずれるように設けられている。
【0026】
20は搬送ガイドであり、上流側のメインパス用の搬送系10から後述する横方向スライダー41によるスライド制御によりスキャンパス用の搬送系11に受け入れられた資材1の横方向の側面エッジ(左側面1dのエッジ)をガイドして姿勢を制御するものであり、読み取るべき垂直切断面(正面1a)の配置方向が所定方向(図中の真右方向)となるように資材1の姿勢を制御する。なお、後述するように、スキャンパス用の搬送系11から下流側のメインパス用の搬送系12に移動する際には上または下(例えば下)に移動し、載せ換えの障害とならないように工夫されている。
【0027】
30は撮像装置であり、搬送系(スキャンパス用の搬送系11)および搬送ガイド20の終端付近に位置し、搬送方向(右方向)に直交する画像読み取りガラス面を持ち、搬送系のスキャンパス用の搬送系11および搬送ガイド20により導かれた資材1の垂直切断面(正面1a)を読み取る。
撮像装置の種類、構造については限定しないが、例えば、撮像素子としてCCDラインを備え、キャリッジ駆動方式で照射光を移動させ、その反射光を読み取るいわゆるCCDタイプのスキャナとする。
【0028】
31はストッパーであり、スキャンパス用の搬送系11に受け入れられた資材1の垂直切断面である正面1aが撮像装置30の前面の所定位置に来るように後述する順方向スライダー42により順方向(右方向)にスライドさせるが、当該資材1が撮像装置30の画像読み取りガラス面に衝突しないように、撮像装置30の画像読み取りガラス面の前面に設けておく緩衝材である。例えば、硬質のプラスチックや金属板とする。ストッパーの厚さは後述する撮像装置の画像読み取りガラス面位置と焦点深度位置との差で決まるが、例えば、2mmから20mm程度、この例では5mmとする。
なお、ストッパー31は、資材1の順方向スライド時には必要であるが、撮像装置30による資材1の垂直切断面(正面1a)の画像読み取り時には写り込んでしまうと不具合となるので、当該ストッパー31は上下いずれかまたは左右いずれかに移動可能なものとする。つまり、資材1の順方向スライド時には撮像装置30の画像読み取りガラス面の前面に位置し、その後、例えば上方向に移動し、撮像装置30による資材1の垂直切断面(正面1a)の画像読み取り時には撮像装置30の画像読み取りガラス面の前面(資材1の垂直切断面(正面1a))を覆わないように制御する。
【0029】
なお、各搬送系の高さは略同一でも良いが、この例では搬送系間の移動がしやすいように、上流側のメインパス用の搬送系10、スキャンパス用の搬送系11、下流側のメインパス用搬送系12の順で高さが少しずつ低くなるように工夫をしている。図2(b)は上流側のメインパス用の搬送系10、スキャンパス用の搬送系11、下流側のメインパス用の搬送系12、横方向スライダー41、搬送ガイド20の関係を正面から見た様子を模式的に説明する図である。まず、横方向スライダー41により上流側のメインパス用の搬送系10からスキャンパス用の搬送系11に載せ換えられ、搬送ガイド20により姿勢制御が行なわれる。スキャンパス用の搬送系11における垂直切断面の画像読み取りが終了すれば、搬送ガイド20が下に移動し、横方向スライダー41によりスキャンパス用の搬送系11から下流側のメインパス用の搬送系12に載せ換えられる。
【0030】
次に、図3〜図6を参照しながら、横方向スライダー41、順方向スライダー42の動作を詳しく説明する。
【0031】
図3(a)〜図3(b)は横方向スライダー41の動作を上面から見た様子を説明する図である。
横方向スライダー41は、上流側のメインパス用の搬送系10を流れている資材1を、当該上流側のメインパス用の搬送系10からスキャンパス用の搬送系11にスライドさせるものである。図3(a)のように横方向スライダー41は資材1の右側面1cを押圧して資材1を横方向(図中手前側)にスライドさせ、図3(b)のように資材1の左側面1dをスキャンパス用の搬送系11に設けられた搬送ガイド20に密着するまでスライドさせる。
【0032】
図4(a)〜図4(b)は順方向スライダー42の動作を上面から見た様子を説明する図である。
順方向スライダー42は、スキャンパス用の搬送系11に載せられた資材1を、撮像装置30の前面の所定位置にまでスライドさせるものである。図4(a)のように順方向スライダー42は資材1の背面1bを押圧して資材1を順方向(図中右側)にスライドさせ、図4(b)のように資材1の正面1aを撮像装置30前面のストッパー31に密着するまでスライドさせる。
なお、順方向に正確に押してやるので横方向への変位は生じず、さらに、資材の左側面1dが搬送ガイド20に導かれて横方向への変位は生じないように工夫されている。
ここで、この資材1の垂直切断面である正面1aの位置を位置Aとする。例えば、スキャンパス用の搬送系11の端面と撮像装置30の前面との間の距離を50mmとし、ストッパーの幅10mmとすると、位置Aは、スキャンパス用の搬送系11の端面から40mm、撮像装置30の前面である画像読み取りガラス面から10mmの位置となる。
【0033】
なお、ストッパー31は、この後、図5のように、資材1の垂直切断面(正面1a)を覆わないように上下いずれかまたは左右いずれかに移動する。例えば下方向に引き抜くこととし(図示せず)、図5ではストッパー31の図示を省略した。
この図5の状態において、撮像装置30を稼動して資材1の垂直切断面(正面1a)をスキャンしてその画像を読み取る。
【0034】
ここで、このように順方向スライダー42により、順方向にスライドさせ、資材1の垂直切断面(正面1a)を位置Aに配置する理由は以下のとおりである。
本実施例の垂直断面形状読み取り装置は、建築資材などの垂直切断面の全面をその外形エッジを含めて垂直の姿勢のまま正確に読み取るものであり、資材1の垂直切断面およびその外形エッジが周囲の物体と触れているとその境界面での画像がうまく読み取れないおそれがあり、画像データ採取が正確には行なえない。
【0035】
そこで、撮像装置30のスキャン焦点深度の位置を、搬送系の終端(スキャンパス用の搬送系11の終端)および搬送ガイド20の終端よりも搬送方向(順方向)に深くして図中右寄りの位置Aとし、資材1の垂直切断面である正面1aが当該焦点深度の位置Aとなるまでスライドさせるものである。このように撮像装置30のスキャナ焦点深度の位置が位置Aとなっているため、搬送系の終端(スキャンパス用の搬送系11の終端)および搬送ガイド20の終端にはスキャナの焦点が合わず、かつ、資材1の垂直切断面である正面1aのみにスキャナ焦点が合うため、資材1の垂直切断面である正面1aのみが強調されて画像読み取りされることとなり、その外形エッジも含めて資材1の垂直切断面全体を正確に読み取ることができるからである。この例ではスキャンパス用の搬送系11の端面および搬送ガイド20の端面位置はスキャナ焦点深度である位置Aから40mm離れているので十分に距離があり焦点が合わず、位置Aにある資材1の垂直切断面である正面1aのみにスキャナ焦点が合うものとなっている。
【0036】
また、ストッパー31を撮像装置30の前面に設け、資材1の垂直切断面の正面1aを位置Aに配置することによりもう一つの有利な効果を得ることができる。
撮像装置の焦点深度の位置Aは、スキャンパス用の搬送系11の終端および搬送ガイド20の終端と撮像装置30の前面である画像読み取りガラス面との間となっている。つまり、位置Aは撮像装置30の前面である画像読み取りガラス面よりも搬送方向(順方向)に浅いもの(図中左寄り)となっており、資材1の垂直切断面である正面1aは撮像装置30の前面である画像読み取りガラス面と接することがない。このように、画像読み取りガラス面に密着させないことにより、資材1の垂直切断面にある切りくずなどの小片やゴミが撮像装置の画像読み取りガラス面に付着するリスクを小さくすることができる。また、押し出し加工の生産現場は空中にゴミや塵などが多い場合もあり、撮像装置の画像読み取りガラス面に汚れが付着することが多いが、撮像装置の焦点深度が位置Aであり、画像読み取りガラス面には合わされていないので、撮像装置の画像読み取りガラス面に付着した汚れの影響が少なくなるという有利な効果も得られることとなる。
【0037】
図6(a)〜図6(b)は横方向スライダー41の動作を上面から見た様子を説明する図である。
撮像装置30により資材1の垂直切断面全体を正確に読み取った後、横方向スライダー41は資材1をスキャンパス用の搬送系11から下流側のメインパス用の搬送系12にスライドさせる。図6(a)のように横方向スライダー41は資材1の右側面1cを押圧して資材1を横方向(図中手前側)にスライドさせ、図6(b)のように資材1が確実に下流側のメインパス用の搬送系12の中央付近までスライドさせる。この際、既に下流側のメインパス用の搬送系12上に載せられている資材1を順方向(図中手前側)に押し出す。なお、その間に順方向スライダー42は元の位置(図2に示す状態)に戻る。
【0038】
図7は、図6(b)の後、次の資材1の処理のために図2の状態まで戻る様子を示す図である。横方向スライダー41は図6(b)の後、次の資材1を横方向にスライドさせるべく元の位置(図2に示す状態)に戻るが、次の資材1は図3から図6までの間に上流側のメインパス用の搬送系10上を順方向に移動しているので、横方向スライダー41が元の位置に戻る際には当該資材1の左側面1dに当たらないように工夫する必要がある。例えば、横方向スライダー41が資材1の上面1eよりも上方に退避移動してから横方向に移動し、資材1の上面1eの上を通過した後、下方に回復移動して元の位置(図2に示す状態)に戻る。
【0039】
図8(a)は本発明の垂直断面形状読み取り装置により図1(a)に示した資材1の垂直切断面1aを読み取った画像を示した図であり、図8(b)は従来型のフラットベッドタイプのスキャナ(本発明のように各スライダーによるスライド制御や焦点深度の工夫がされていないもの)を用いて図1(a)に示した資材の垂直切断面1aを読み取った画像を示した図である。
この例では資材1の垂直切断面1aのエッジには不具合があり、下辺部分に歪み、左側面にはバリ(切削突起)があるものとする。従来型のフラットベッドタイプのスキャナを用いた図8(b)のものでは資材1の垂直切断面1aのエッジがスキャンパス用の搬送系11、搬送ガイド20の側壁と密着しているのでエッジ形状の輪郭を含めて正確に読み取ることが困難であり、その後の画像処理工程における画像処理、画像解析によりこれら不具合を正確に判別することが難しい。本発明の垂直断面形状読み取り装置を用いた図8(a)のものでは資材1の垂直切断面1aがエッジ形状の輪郭を含めて正確に読み取ることでき、下辺部分に歪み、左側面にはバリ(切削突起)があることが読み取られ、その後の画像処理工程における画像処理、画像解析によりこれら不具合を正確に判別することができると期待される。
【0040】
以上の実施例1の構成例において、上流側のメインパス用の搬送系10、スキャンパス用の搬送系11、下流側のメインパス用の搬送系12をいずれも台座タイプとして説明したが、駆動系を持つベルトコンベアタイプであっても良い。
また、上流側のメインパス用の搬送系10、スキャンパス用の搬送系11、下流側のメインパス用の搬送系12の配置方向は一例であり、多様な配置関係が可能である。
また、下流側のメインパス用の搬送系12をスタック型の台座タイプとして次々と積み重ねて行く方式としたり、さらに、台座の下に車輪を付けていわゆる台車タイプとして垂直切断面の検査後の資材の手押し移動を容易にすることも可能である。
【実施例2】
【0041】
実施例2にかかる本発明の不良品選別システムの例を示す。
ここでも、同様に、プラスチックを材料として異形押し出し工法により加工され、押し出された連続体を切断して単品成型された資材の切断面解析を行なうものとして説明する。
【0042】
図9は、本発明の不良品選別システムの例を簡単に示すブロック図である。
100は実施例1に説明した本発明の垂直断面形状読み取り装置である。3次元物体の垂直断面形状の画像データを読み取る。
【0043】
210は画像処理解析装置であり、垂直断面形状読み取り装置100から受け取った3次元物体の垂直断面形状の画像データと設計上の垂直断面形状の画像データとを比較し、当該3次元物体が設計上の許容誤差範囲内の良品かそれ以外の不良品かを判別する装置である。画像処理解析装置210は、完品である資材1の垂直断面形状パターンを記憶した完品形状データベース230を備え、垂直切断面検査に用いる完品の垂直断面形状パターンと、垂直断面形状読み取り装置100から渡される搬送中の各資材1の垂直断面形状パターンを、パターンマッチングにより比較し、両者の一致、相違(誤差)を計算する。
例えば、対象物である押し出し成型により加工された資材1の許容誤差が0.1mmであれば、垂直断面形状パターンにおいて、完品との誤差が0.1mmとなる部分があるか否かを解析する。
解析の結果、資材1の加工誤差が許容誤差範囲内であれば、良品と判断し、資材1の加工誤差が許容誤差範囲内でなければ、不良品と判断する。
【0044】
220は選別装置であり、画像処理装置210から通知された良品/不良品の解析結果を受けて良品と不良品を選別し、不良品をはじき出し、良品のみを通常の搬送ルートに載せる。
【0045】
図10は、不良品選別システムの解析の処理の流れを簡単に示したフローチャートである。
【0046】
まず、完品形状データベース230から、垂直断面検査に用いる完品の垂直断面形状パターンを読み込んで記憶する(ステップS1001)。そして、垂直断面形状読み取り装置100からの入力待ち状態に入る(ステップS1003)。
垂直断面形状検査のため、搬送系から資材1が流されてくると、垂直断面形状読み取り装置100による垂直断面形状の画像読み取り処理が行なわれ、垂直断面形状読み取り装置100から当該資材1の垂直断面形状の画像読み取りデータが画像処理装置210に入力される。垂直断面形状読み取り装置100から入力があった場合(ステップS1003:Y)、画像処理装置210は各資材1の垂直断面形状画像読み取りデータと完品の垂直断面形状パターンとの比較処理を行ない、両者の誤差を計算する(ステップS1004)。
【0047】
画像処理装置210は両者の誤差が許容誤差範囲内にあるか否かをチェックし(ステップS1005)、両者の誤差が許容誤差範囲内にある場合(ステップS1005:Y)、当該垂直断面検査中の資材1を良品として下流工程に流すべく、画像処理装置210は選別装置220に指令を出して下流工程への搬送系に振り分ける(ステップS1006)。両者の誤差が許容誤差範囲内にはない場合(ステップS1005:N)、当該垂直断面検査中の資材1を不良品として下流工程に流さないために、画像処理装置210は選別装置220に指令を出して搬送系からはじき出す(ステップS1007)。
【0048】
以上、本発明の好ましい実施形態を図示して説明してきたが、本発明は、押し出し加工された資材などの垂直断面形状の画像読み取り用途に限られず、3次元物体の垂直断面形状の画像読み取り用途に広く適用することができる。
また、特許発明の範囲、明細書の記載を通じて、「垂直」と記載している部分は、正確に水平面に対して正確に90度に屹立していると限定する意図ではなく、ここでいう垂直断面とは水平面に対して実質的に屹立している状態の断面を含む概念である。
本発明の技術的範囲を逸脱することなく種々の変更が可能であることは理解されるであろう。従って本発明の技術的範囲は添付された特許請求の範囲の記載によってのみ限定されるものである。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の垂直断面形状読み取り装置の概念を模式的に表した図
【図2】本発明の垂直断面形状読み取り装置の構成例を模式的に示した図
【図3】横方向スライダー41の動作を上面から見た様子を説明する図
【図4】順方向スライダー42の動作を上面から見た様子を説明する図
【図5】ストッパー31を移動させた様子を説明する図
【図6】横方向スライダー41の動作を上面から見た様子を説明する図
【図7】次の資材1の処理のために図2の状態まで戻る様子を示す図
【図8】本発明の垂直断面形状読み取り装置および従来のフラットベッド型スキャナによる資材切断面の読み取り画像の比較を示す図
【図9】本発明の不良品選別システムの例を簡単に示すブロック図
【図10】不良品選別システムの処理の流れを簡単に示したフローチャート
【符号の説明】
【0050】
1 資材
2 貫通孔
10 上流側のメインパス用の搬送系
11 スキャンパス用の搬送系
12 下流側のメインパス用の搬送系
20 搬送ガイド
30 撮像装置
31 ストッパー
41 横方向スライダー
42 順方向スライダー
100 垂直断面形状読み取り装置
200 垂直断面形状解析装置
210 画像処理装置
220 選別装置
230 完品形状DB

【特許請求の範囲】
【請求項1】
3次元物体の垂直断面の形状を読み取る垂直断面形状読み取り装置であって、
前記3次元物体を搬送する搬送系と、
前記搬送系の終端付近に位置し、前記搬送方向に直交する画像読み取りガラス面を持ち、前記搬送系により導かれた前記3次元物体の垂直断面を読み取る撮像装置を備え、
前記撮像装置の焦点深度の位置を、前記搬送系の終端位置と前記画像読み取りガラス面位置の間に設定し、前記3次元物体のみを、その垂直断面の位置が前記搬送系の終端位置から前記焦点深度の位置となるまでスライドさせることを特徴とした垂直断面形状読み取り装置。
【請求項2】
3次元物体の垂直断面の形状を読み取る垂直断面形状読み取り装置であって、
前記3次元物体を搬送する搬送系と、
前記搬送系において搬送されてきた前記3次元物体の読み取るべき垂直断面の配置方向が所定方向となるように前記3次元物体の姿勢を制御する搬送ガイドと、
前記搬送系および前記搬送ガイドの終端付近に位置し、前記搬送方向に直交する画像読み取りガラス面を持ち、前記搬送系および前記搬送ガイドにより導かれた前記3次元物体の垂直断面を読み取る撮像装置を備え、
前記撮像装置の焦点深度の位置を、前記搬送系の終端位置および前記搬送ガイドの終端位置と前記画像読み取りガラス面位置の間に設定し、前記3次元物体のみを、その垂直断面の位置が前記搬送系の終端位置から前記焦点深度の位置となるまでスライドさせることを特徴とした垂直断面形状読み取り装置。
【請求項3】
前記撮像装置の焦点深度の位置が、前記撮像装置の画像読み取りガラス面の位置から2mm乃至20mm離れていることを特徴とした請求項1から2のいずれかに記載の垂直断面形状読み取り装置。
【請求項4】
3次元物体の垂直断面形状の画像データを読み取る請求項1または2に記載の垂直断面形状読み取り装置と、
前記垂直断面形状読み取り装置から受け取った前記3次元物体の垂直断面形状の画像データと設計上の垂直断面形状の画像データとを比較し、前記3次元物体が設計上の許容誤差範囲内の良品かそれ以外の不良品かを判別する画像処理解析装置と、
前記画像処理解析装置による前記3次元物体の良品か不良品かの判別に従い、不良品と判別されたもののはじき出しを行なう選別装置を備えた不良品選別システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−185285(P2006−185285A)
【公開日】平成18年7月13日(2006.7.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−379623(P2004−379623)
【出願日】平成16年12月28日(2004.12.28)
【出願人】(501170080)株式会社創発システム研究所 (10)
【出願人】(594079464)金森化学工業株式会社 (4)
【Fターム(参考)】