説明

埋設構造物の継手構造および埋設構造物の継手構造の補強方法

【課題】 埋設構造物を形成する函体同士を接続する継手構造において、隣接する2つの函体間に掛け渡されている、可撓性を有する止水ゴムを保護し、補強するための継手構造および継手構造の補強方法を提供する。
【解決手段】 隣接する2つの函体10a,10bの開口間に、可撓性を有する2次止水ゴム21を掛け渡し、この2次止水ゴム21よりも函体の開口中央側xにおいて、一方の函体10aの開口に、その内周面沿いに間隔をおいて、かつ、他方の函体10b側へ突出させて、複数のリブ25を配置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、沈埋トンネル、シールドトンネルなどの埋設構造物における継手構造と、その補強方法とに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に記載されているように、接続すべき一対の暗渠と、この一対の暗渠の各端面に取り付けられた環状の碇着部材と、この一対の碇着部材間の外周側に設けられた1次止水部材と、上記一対の碇着部材間の内周側に設けられた短筒状の2次可撓止水部材と、を備える暗渠の継手が知られている。
この暗渠の継手は、1次止水部材と2次可撓止水部材との間の空間に緩衝材を備え、さらに、この空間に予設定値以上の水圧が加わると、上記緩衝材が圧縮変形することを特徴としている。また、上記の暗渠の継手によれば、上記空間内に水が溜まった状態で地震が発生して、両暗渠が互いに接近する方向に変位し、上記空間が狭くなったとしても、上記緩衝材の圧縮変形によって水の逃げ場が確保されて、2次可撓止水部材の破壊に至る上記空間内での水圧の上昇を防止することができる。
【特許文献1】特開平7−91574号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、特許文献1の図1〜図5に示されているように、1次止水部材と2次可撓止水部材との間の空間に、緩衝材としての発泡樹脂、発泡ゴム、エアバッグ、環状のゴムチューブなどを設けることは、緩衝材自体がある程度の大きさを有する部材であることからして、困難を伴う。特に、既に施工された継手構造に対して、上記空間内に上記緩衝材を配置することは、2次可撓止水部材を全て取り外すといった大掛かりな作業を必要とすることから、実際上、極めて困難である。
【0004】
そこで、本発明の目的は、埋設される函体の開口同士を接続するための、可撓性を有する止水ゴムを用いた継手構造であって、上記止水ゴムを補強し、水圧の上昇による破壊から保護することのできる継手構造と、簡易な方法によって補強することのできる上記継手構造の補強方法とを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明は、
(1) 埋設される函体の開口同士を接続する継手構造であって、
接続する2つの函体の開口間に掛け渡された、可撓性を有する止水ゴムと、
前記2つの函体における一方の函体の開口に、その内周面沿いに間隔をおいて、他方の函体側へ突出して配置された複数のリブと、を備え、
前記リブが、前記止水ゴムよりも函体の開口中央側に配置されて、この開口中央側への前記止水ゴムの伸張を制止するものであることを特徴とする、埋設構造物の継手構造、
(2) 前記止水ゴムよりも函体の開口外周面側に、接続する2つの函体の開口間に挟持されまたは掛け渡された1次止水ゴムを備えることを特徴とする、前記(1)に記載の埋設構造物の継手構造、
(3) 前記止水ゴムと前記1次止水ゴムとの間に、発泡ビーズが充填されていることを特徴とする、前記(2)に記載の埋設構造物の継手構造、
(4) 2以上のリブ間に掛け渡された耐圧プレートを備え、この耐圧プレートが、前記リブとともに、前記開口中央側への前記止水ゴムの伸張を制止するものであることを特徴とする、前記(1)〜(3)のいずれかに埋設構造物の継手構造、
(5) 前記止水ゴムよりも函体の開口中央側に、さらに、接続する2つの函体の開口間に掛け渡された、可撓性を有する3次止水ゴムを備えることを特徴とする、前記(1)〜(4)のいずれかに記載の埋設構造物の継手構造、
(6) 接続する2つの函体の開口間に、可撓性を有する止水ゴムが掛け渡された埋設構造物の継手構造を補強する方法であって、
前記2つの函体における一方の函体の開口のうち、前記止水ゴムよりも函体の開口中央側に、前記一方の函体の開口における内周面沿いに間隔をおいて、他方の函体側へ突出したリブを配置することを特徴とする、埋設構造物の継手構造の補強方法、
を提供する。
【0006】
上記(1)に示す埋設構造物の継手構造によれば、例えば、上記の可撓性を有する止水ゴムに水圧がかかっている場合に、この止水ゴムが、埋設構造物を形成する函体の開口中央側に伸張しようとするのを、上記リブによって制止することができる。それゆえ、上記の可撓性を有する止水ゴムにクリープが生じて、その強度が低下するといった事態が生じることを防止できる。
【0007】
また、上記止水ゴムよりも函体の開口外周面側に、別の止水ゴム(1次止水ゴム)が備えられている場合において、この1次止水ゴムと、上記止水ゴム(2次止水ゴム)との間の空間に水が充満した状態で圧縮されると、この空間内の水圧が異常に大きくなって、2次止水ゴムに過大な負担がかかるという問題がある。しかし、上記(2)に示す埋設構造物の継手構造のように、埋設構造物を形成する函体の開口中央側に上記リブを備えている場合には、上記止水ゴム(2次止水ゴム)の伸張を上記リブによって制止することができ、この伸張に伴う上記止水ゴムの破損を防止することができる。
【0008】
上記(3)に示す埋設構造物の継手構造において、1次止水ゴムと上記止水ゴム(2次止水ゴム)との間の空間に充填されている発泡ビーズは、完全に発泡済みの、粒子状または球状の発泡プラスチックである。すなわち、この発泡ビーズは、発泡スチロールなどの製造原料となる未発泡または予備発泡されたビーズ(いわゆる、発泡性ビーズ「expandable beads」)ではなく、完全に発泡済みで、圧縮率の高いビーズ(expanded beads)である。
【0009】
上記継手構造においては、1次止水ゴムと2次止水ゴムとの間の空間に、圧縮率の高い発泡ビーズが充填されていることから、例えば、地震などによって、接続する2つの函体の開口間の距離が狭まる方向に変位が生じて、上記空間に過大な水圧がかかった場合であっても、発泡ビーズが圧縮することによって、水の逃げ場を確保することができ、2次止水ゴムの破壊に至る上記空間内での水圧の上昇を防止することができる。
【0010】
上記(4)に示す埋設構造物の継手構造によれば、上記止水ゴム(2次止水ゴム)が、埋設構造物を形成する函体の開口中央側へ伸張しようとするのを、函体の開口の内周面沿いに連なる耐圧プレートによって抑止することができる。上記リブは、函体の開口の内周面沿いに間隔をおいて設けられているものであることから、このリブのみで上記止水ゴムの伸張を制止する場合には、上記止水ゴムを点で支えていることになるのに対し、上記耐圧プレートを備えている場合には、上記止水ゴムを面で支えていることになる。従って、上記止水ゴムの伸張をより一層効果的に制止することができる。
【0011】
上記(5)に示す埋設構造物の継手構造によれば、上記止水ゴム(2次止水ゴム)よりも埋設構造物を形成する函体の開口中央側に、さらにもう1つの止水ゴム(3次止水ゴム)を備えていることから、函体の開口間における止水をより一層確実なものとすることができる。
上記(6)に示す埋設構造物の継手構造の補強方法によれば、止水ゴム(2次止水ゴム)よりも埋設構造物を形成する函体の開口中央側に、上記リブを配置するという簡易な処置をとることによって、上記止水ゴムが函体の開口中央側へ過度に伸張するという事態が生じることを防止できる。また、かかる処置は、既に、埋設構造物を形成する函体の開口同士が止水ゴムで接続されている場合であっても、この止水ゴムを取り外すといった手間のかかる処理を経ることなく実行することができる。それゆえ、継手構造の補強作業を実行する際の手間を省くことができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、埋設構造物の継手構造に対して、簡易な構成の部材を設置することだけで、しかも、簡易な方法によって、埋設する2つの函体の開口間に掛け渡されている可撓性を有する止水ゴムを保護して、埋設構造物の継手構造を補強することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の埋設構造物の継手構造に係る一実施形態を示す断面図であって、図2は、図1に示す実施形態を説明するための斜視図である。図2では、図1に示す継手構造のうち、隣接する函体の一方や、1次止水ゴム20、2次止水ゴム21などを省略している。
【0014】
図1および図2に示す実施形態において、埋設構造物を形成する函体10a,10bとしては、例えば、略直方体であって、一の面からこの面に対向する面へとつながる空洞を備えているもの、または、略円筒体であるものが挙げられる。なお、図1および図2においては、略直方体の函体を示している。
一方の函体10aは、外周面12aと、函体内部の空洞を区画する内周面13aと、を備えている。また、函体10aの開口における開口端11aには、一方の開口端から他方の開口端へと向かう方向(函体が略円筒体である場合には、その軸方向。以下、「接続方向」という。)zに沿って突出するガスケットビーム14aを備えている。
【0015】
他方の函体10bは、上記一方の函体10aと同様に、開口端11bと、外周面12bと、内周面13bと、ガスケットビーム14bと、を備えている。図1に示すように、2つの函体10a,10bを、それぞれの開口同士を向かい合わせて並べた場合において、他方の函体10bにおける各部は、一方の函体10aと対称に配置されている。
ガスケットビーム14aの接続方向zにおける端面は、隣接する函体10bとの接続面15aとなっており、この接続面15aと、他方の函体10bにおいて対応する接続面15bとの間に、後述する1次止水ゴム20が挟持される。
【0016】
ガスケットビーム14aのうち、函体10aの開口中央側xは、後述する2次止水ゴム21をボルト22で固定するための締着面16aとなっており、この締着面16aと、他方の函体10bにおいて対応する締着面16bとの間に、後述する2次止水ゴム21が掛け渡される。
図1および図2に示す実施形態において、隣接する2つの函体を接続する継手構造は、1次止水ゴム20と、2次止水ゴム21と、複数のリブ25と、耐圧プレート26と、を備えている。
【0017】
1次止水ゴム20は、前述のように、接続する2つの函体10a,10bにおける各ガスケットビーム14a,14bの接続面15a,15b間に挟持されている。この1次止水ゴム20は、本発明において任意の構成要素であって、両函体10a,10bの接続面15a,15b間にて、函体の外周面12a,12b沿いに連続して配置される無端状の部材である。
【0018】
1次止水ゴムとしては、例えば、図1に示す、いわゆるジーナ型のゴムガスケットや、後述する2次止水ゴムと同じオメガジョイントといった、可撓性を有する止水ゴム(フレキシブルジョイント)、主として沈埋函の継手構造に使用される、いわゆるクラウンシール継手などが挙げられる。1次止水ゴムがオメガジョイントなどのフレキシブルジョイントや、クラウンシール継手である場合には、1次止水ゴムは、2つの函体間にて圧縮、挟持されずに、2つの函体間に掛け渡して配置される。
【0019】
2次止水ゴム21は、前述のように、接続する2つの函体10a,10bにおける各ガスケットビーム14a,14bの締着面16a,16b間に掛け渡されている。この2次止水ゴム21は、本発明において必須の構成要素であって、両函体10a,10bの開口端11a,11b間で、1次止水ゴム20よりも函体の開口中央側xに、かつ、函体の開口端11a,11bに沿って連続して配置される、可撓性を有する無端状の部材である。
【0020】
2次止水ゴムとしては、可撓性を有する止水ゴムであること以外は、特に限定されるものではなく、例えば、図1に示す、いわゆるオメガジョイントなどの、種々の形状のフレキシブルジョイントが挙げられる。
複数のリブ25は、本発明において必須の構成要素であって、接続する2つの函体のうち、一方の函体10aの開口端11aに取り付けられるものである。このリブ25は、函体10aの内周面13a沿いに、間隔をおいて、かつ、他方の函体10b側へ突出した状態で、複数配置されている。また、このリブ25は、2次止水ゴム21よりも函体の開口中央側xに配置される。
【0021】
リブ25の形成、個数、配置間隔については特に限定されるものではなく、2次止水ゴム21に対して函体の開口中央側xに伸張させようとする負荷がかかったときに、2次止水ゴム21を支えて、その伸張を抑制することができる程度に設定すればよい。また、後述する耐圧プレート26を、隣接する2以上のリブ25間に掛け渡す場合においては、耐圧プレート26が上記負荷によって変形するのを防止できる程度に設定すればよい。例えば、これに限定されるものではないが、開口部において外周面に沿った総周長が90m程度である函体において、幅が1cm程度であるリブを、函体の内周面沿いに間隔をおいて配置し、さらに、このリブにおける函体の外周部側に、厚さ16mm程度である鋼板(耐圧プレート)を配置する場合には、リブの配置間隔を約2〜5mとすればよい。なお、リブの幅、配置間隔、耐圧プレートの厚さなどは、函体に作用する水圧の大きさなどに応じて決定されるものであって、必要な寸法は、作用水圧によって大きく変動するものである。それゆえ、函体を施工する都度、強度計算などを行って、必要な寸法を求める必要がある。
【0022】
リブ25の材質については特に限定されるものではないが、例えば、函体10aにおけるリブ25の取付け面が金属である場合には、リブ25を金属製とすることが好ましい。この場合、函体10aの取付け面にリブ25を溶接して固定することができることから、リブ25の取付け作業を簡易なものとすることができる。
リブ25は、上述のとおり、隣接する2つの函体における一方の函体10a上に固定されるものであって、1つのリブ25を、両方の函体10a,10bのそれぞれに固定することは避ける必要がある。このように設定することで、例えば地震などに起因して、隣接する2つの函体10a,10bの位置にずれや目開きが生じた場合であっても、リブ25が変形、破損したり、函体10aとの接続部分が破損したりするといった問題が発生することを防止できる。
【0023】
複数のリブ25は、図2に示すように、隣接する2つの函体のうちの一方の函体10a上のみに固定されるほか、例えば、一方の函体10aに固定されるリブと、他方の函体10bに固定されるリブとが規則的に(例えば、交互に)現れるように配置されていてもよい。この場合においても、一つのリブは、隣接する2つの函体のうちのいずれか一方の函体上にのみ固定させる必要がある。
【0024】
耐圧プレート26は、本発明において任意の構成要素であって、2以上のリブ25間に掛け渡して配置されるものである。具体的には、耐圧プレート26は、リブ25のうち、函体の開口外周面側yの面25aに載置、固定される。
耐圧プレート26を固定するリブ25は、例えば図2に示すように、接続する2つの函体10a,10bのうち、一方の函体10aにのみ固定されているものであることが必要となる。また、上述のように、一方の函体10aに固定されるリブと、他方の函体10bに固定されるリブとが混在している場合には、耐圧プレート26が、いずれか一方の函体に固定されているリブ25のみに対して、固定されていることが必要となる。一の耐圧プレート26中に、一方の函体10aに固定されているリブと接合している部分と、他方の函体10bに固定されているリブと接合している部分とが混在するのを防止することによって、隣接する2つの函体10a,10bの位置にずれや目開きが生じたとしても、リブ25や耐圧プレート26が変形、破損したり、接続部分が破損したりすることを防止できる。
【0025】
耐圧プレート26の材質としては、特に限定されるものではないが、例えば、鋼板などの板状部材が挙げられる。
図3は、本発明の埋設構造物の継手構造に係る他の実施形態を示す断面図である。
図3に示す実施形態において、埋設構造物を形成する函体30a,30bとしては、図1および図2に示す実施形態の場合と同様に、例えば、略直方体であって、一の面からこの面に対向する面へとつながる空洞を備えているもの、または、略円筒体であるものが挙げられる。
【0026】
一方の函体30aは、外周面32aと、函体内部の空洞を区画する内周面33aと、を備えている。また、函体30aの開口における開口端31aには、一方の開口端から他方の開口端へと向かう方向(接続方向;函体が略円筒体である場合には、その軸方向)zに沿って突出する取付け部34aを備えている。
他方の函体30bは、上記一方の函体30aと同様に、開口端31bと、外周面32bと、内周面33bと、取付け部34bと、を備えている。図3に示すように、2つの函体30a,30bを、それぞれの開口同士を向かい合わせて並べた場合において、他方の函体30bにおける各部は、一方の函体30aと対称に配置されている。
【0027】
取付け部34aの接続方向zにおける端面は、隣接する函体30bとの接続面35aとなっており、この接続面35aと、他方の函体30bにおいて対応する接続面35bとの間に、後述する1次止水ゴム40が掛け渡される。
取付け部34aのうち、函体30aの開口中央側xは、後述する2次止水ゴム41を固定するための締着面36aとなっており、この締着面36aと、他方の函体30bにおいて対応する締着面36bとの間に、後述する2次止水ゴム41が掛け渡される。
【0028】
図3に示す実施形態において、隣接する2つの函体を接続する継手構造は、1次止水ゴム40と、2次止水ゴム41と、複数のリブ25と、耐圧プレート26とを備えている。
図3に示す実施形態では、1次止水ゴム40は、接続する2つの函体30a,30bにおける各取付け部34a,34bの接続面35a,35b間に掛け渡されている。この1次止水ゴム40は、いわゆるクラウンシール継手であって、両函体30a,30bの接続面35a,35b間にて、函体の外周面32a,32b沿いに連続して配置される、可撓性を有する無端状の部材である。
【0029】
また、図3に示す実施形態では、2次止水ゴム41は、接続する2つの函体30a,30bにおける各取付け部34a,34bの締着面36a,36b間に掛け渡されている。この2次止水ゴム41は、いわゆるフレキシブルジョイントであって、両函体30a,30bの開口端31a,31b間で、1次止水ゴム40よりも函体の開口中央側xに、かつ、函体の開口端31a,31bに沿って連続して配置される、可撓性を有する無端状の部材である。
【0030】
図3に示す実施形態において、リブ25および耐圧プレート26としては、図1に示す実施形態と同様である。
図4は、本発明の埋設構造物の継手構造に係るさらに他の実施形態を示す断面図である。
図4に示す実施形態において、埋設構造物を形成する函体10a,10bとしては、図1に示す実施形態と同様である。
【0031】
図4に示す実施形態において、隣接する2つの函体を接続する継手構造は、1次止水ゴム20と、2次止水ゴム21と、複数のリブ25と、耐圧プレート26と、3次止水ゴム28とを備えている。また、1次止水ゴム20と2次止水ゴム21との間の空間には、発泡ビーズ27が充填されている。
図4に示す実施形態において、1次止水ゴム20、2次止水ゴム21、リブ25および耐圧プレート26としては、図1に示す実施形態と同様である。
【0032】
3次止水ゴム28は、本発明において任意の構成要素である。この3次止水ゴムとしては、例えば、図4に示すフレキシブルジョイントなどのフレキシブルジョイントが挙げられる。
図4に示す実施形態において、3次止水ゴム(フレキシブルジョイント)28は、2次止水ゴム21よりも函体の開口中央側xにおいて、2つの函体10a,10bの開口端11a,11b間に掛け渡されている。符号29a,29bは、開口端11a,11bに固定された、3次止水ゴム28用の取付け部材である。この3次止水ゴム28は、いわゆるフレキシブルジョイントであって、函体の内周面12a,12b沿いに連続して配置される、可撓性を有する無端状の部材である。
【0033】
3次止水ゴムは、可撓性を有する止水ゴムであること以外は、特に限定されるものではなく、図4に示すフレキシブルジョイントのほかにも、種々の形状のフレキシブルジョイントを採用することができる。
1次止水ゴム20と2次止水ゴム21との間の空間に充填される発泡ビーズ27は、本発明において任意の構成要素である。
【0034】
発泡ビーズの材質は特に限定されるものではなく、発泡スチロールなどの種々の発泡プラスチックを採用することができる。
発泡ビーズの粒径は、1次止水ゴム20と2次止水ゴム21との間の空間に充填し易いことや、圧縮による変形代を大きくとれることなどの観点から適宜設定すればよい。それゆえ、発泡ビーズの粒径は特に限定されるものではないが、通常、直径数mm程度の小粒径のものから、直径数cm程度のもの(例えば、ソフトボール大のもの)まで、種々の範囲で設定することができる。また、例えば、上記空間内での発泡ビーズの充填率を向上させるという観点から、粒径が異なる発泡ビーズを混合して使用してもよい。
【0035】
発泡ビーズに圧縮変形が生じる圧力の値は、発泡ビーズを形成する樹脂材料、樹脂中の配合剤やその処方などを調整することによって、適宜設定することができる。
なお、例えば、埋設構造物の継手構造が水深30mの位置に埋設される場合には、埋設構造物に対して約3kgの水圧がかかることになり、1次止水ゴム20から漏水が生じている場合には、特段の負荷をかけなくても、2次止水ゴム21に対して約3kgの水圧がかかっていることになる。それゆえ、例えば、埋設構造物が上記の水深にて埋設される場合には、発泡ビーズ27として、圧縮変形を生じさせるのに必要な圧力が3kg以上であるものを使用することが求められる。
【0036】
1次止水ゴム20と2次止水ゴム21との間の空間に発泡ビーズ27を充填する方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、2次止水ゴム21の取付け部材を部分的に取り外して、上記空間に発泡ビーズ27を充填すればよい。個々の発泡ビーズは粒径が小さなものであることから、2次止水ゴム21全体を取り外さなくても、発泡ビーズの充填作業を実行することができる。
【0037】
特に、2次止水ゴム21の取付け部材を部分的に取り外した部位に対して、ノズルを挿入して、このノズルから、空気とともに、上記空間内に発泡ビーズ27を流入させたときは、その充填作業を効率よく実行することができる。
本発明は、以上の記載に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した事項の範囲において、種々の設計変更を施すことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の一実施形態を示す断面図である。
【図2】図1に示す実施形態を説明するための斜視図である。
【図3】本発明の他の実施形態を示す断面図である。
【図4】本発明のさらに他の実施形態を示す断面図である。
【符号の説明】
【0039】
10a,10b 函体
11a,11b 開口端
20 1次止水ゴム
21 2次止水ゴム
25 リブ
26 耐圧プレート
27 発泡ビーズ
28 3次止水ゴム
30a,30b 函体
31a,31b 開口端
40 1次止水ゴム
41 2次止水ゴム
x 開口中央側
y 開口外周面側

【特許請求の範囲】
【請求項1】
埋設される函体の開口同士を接続する継手構造であって、
接続する2つの函体の開口間に掛け渡された、可撓性を有する止水ゴムと、
前記2つの函体における一方の函体の開口に、その内周面沿いに間隔をおいて、他方の函体側へ突出して配置された複数のリブと、を備え、
前記リブが、前記止水ゴムよりも函体の開口中央側に配置されて、この開口中央側への前記止水ゴムの伸張を制止するものであることを特徴とする、埋設構造物の継手構造。
【請求項2】
前記止水ゴムよりも函体の開口外周面側に、接続する2つの函体の開口間に挟持されまたは掛け渡された1次止水ゴムを備えることを特徴とする、請求項1に記載の埋設構造物の継手構造。
【請求項3】
前記止水ゴムと前記1次止水ゴムとの間に、発泡ビーズが充填されていることを特徴とする、請求項2に記載の埋設構造物の継手構造。
【請求項4】
2以上のリブ間に掛け渡された耐圧プレートを備え、この耐圧プレートが、前記リブとともに、前記開口中央側への前記止水ゴムの伸張を制止するものであることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに埋設構造物の継手構造。
【請求項5】
前記止水ゴムよりも函体の開口中央側に、さらに、接続する2つの函体の開口間に掛け渡された、可撓性を有する3次止水ゴムを備えることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の埋設構造物の継手構造。
【請求項6】
接続する2つの函体の開口間に、可撓性を有する止水ゴムが掛け渡された埋設構造物の継手構造を補強する方法であって、
前記2つの函体における一方の函体の開口のうち、前記止水ゴムよりも函体の開口中央側に、前記一方の函体の開口における内周面沿いに間隔をおいて、他方の函体側へ突出したリブを配置することを特徴とする、埋設構造物の継手構造の補強方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−83547(P2006−83547A)
【公開日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−267231(P2004−267231)
【出願日】平成16年9月14日(2004.9.14)
【出願人】(000183233)住友ゴム工業株式会社 (3,458)
【出願人】(000166627)五洋建設株式会社 (364)
【Fターム(参考)】