説明

基板の表面改質方法、プログラム、コンピュータ記憶媒体及び基板の表面改質装置

【課題】基板の表面を改質し、当該基板の表面と結合対象物との密着性を向上させる。
【解決手段】表面改質ユニットにおいて、テンプレートの表面に紫外線を照射し、当該テンプレートの表面を洗浄する(工程A2)。続いて、表面改質ユニットにおいて、テンプレートの表面に紫外線を照射しながら、当該テンプレートの表面に表面改質液を供給して、テンプレートの表面に多量の水酸基を付与する(工程A3)。その後、塗布ユニットにおいて、テンプレートの表面に紫外線を照射しながら、当該テンプレートの表面に離型剤を塗布する(工程A4)。その後、リンスユニットにおいて、離型剤をリンスして、当該離型剤の未反応部を除去する(工程A5)。こうしてテンプレートの表面に離型剤が所定の膜厚で成膜される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板の表面を改質する表面改質方法、プログラム、コンピュータ記憶媒体及び基板の表面改質装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば半導体デバイスの製造工程では、例えば半導体ウェハ(以下、「ウェハ」という。)にフォトリソグラフィー処理を行い、ウェハ上に所定のレジストパターンを形成することが行われている。
【0003】
上述したレジストパターンを形成する際には、半導体デバイスのさらなる高集積化を図るため、当該レジストパターンの微細化が求められている。一般にフォトリソグラフィー処理における微細化の限界は、露光処理に用いる光の波長程度である。このため、従来より露光処理の光を短波長化することが進められている。しかしながら、露光光源の短波長化には技術的、コスト的な限界があり、光の短波長化を進める方法のみでは、例えば数ナノメートルオーダーの微細なレジストパターンを形成するのが困難な状況にある。
【0004】
そこで、近年、ウェハにフォトリソグラフィー処理を行う代わりに、いわゆるインプリントと呼ばれる方法を用いてウェハ上に微細なレジストパターンを形成することが提案されている。この方法は、表面に微細なパターンを有するテンプレート(モールドや型と呼ばれることもある。)をウェハ上に形成したレジスト表面に圧着させ、その後剥離し、当該レジスト表面に直接パターンの転写を行うものである(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−43998号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述のインプリント方法で用いられるテンプレートの表面には、テンプレートをレジストから剥離し易くするため、通常、レジストに対して撥液性を有する離型剤が成膜されている。
【0007】
テンプレートの表面に離型剤を成膜する際には、先ず、テンプレートの表面を洗浄した後、当該テンプレートの表面に離型剤を塗布する。次に、成膜される離型剤が所定の接触角を有してレジストに対する撥液性機能を発揮できるようにするため、離型剤をテンプレートの表面に密着させる。具体的には、離型剤とテンプレートの表面を化学反応させ、すなわち離型剤分子とテンプレートの表面の水酸基とを脱水縮合により結合させる。そして、離型剤中に含まれる成分のうち、レジストに対して撥液性を有する成分、例えばフッ化物成分をテンプレートの表面に吸着させる。その後、離型剤の未反応部を除去して、テンプレートの表面に所定の膜厚の離型剤が成膜される。なお、離型剤の未反応部とは、離型剤がテンプレートの表面と化学反応して密着する部分以外をいう。
【0008】
上述のように離型剤を成膜する場合において、離型剤をテンプレートの表面に十分に密着させるためには、テンプレートの表面に多くの水酸基が存在していることが必要となる。しかしながら、例えばテンプレートの表面に十分な前処理が行われていない場合や、例えばテンプレートの表面の材質が水酸基を形成し難い材質である場合には、当該テンプレートの表面に形成される水酸基が少なくなる。かかる場合、離型剤をテンプレートの表面に十分に密着させることができなかった。
【0009】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、基板の表面を改質し、当該基板の表面と結合対象物との密着性を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記の目的を達成するため、本発明は、基板の表面を改質する方法であって、基板の表面に紫外線を照射しながら、基板の表面に表面改質液を供給して、当該基板の表面に水酸基を付与することを特徴としている。
【0011】
本発明によれば、基板の表面に紫外線を照射するので、当該基板の表面を活性化できる。そして、基板の表面を活性化しながら、当該基板の表面に表面改質液を供給するので、基板の表面に多量の水酸基を付与することができる。このように基板の表面を十分に改質できるので、その後基板の表面と結合対象物が化学結合する際に、当該基板の表面と結合対象物との密着性を向上させることができる。
【0012】
前記表面改質液には、基板の表面の材質によって最適な液を選択することができる。前記表面改質液は、第3級アルコールであってもよいし、アルカリ溶液であってもよいし、過酸化水素水であってもよい。発明者らが鋭意検討した結果、特に表面改質液として第3級アルコールやアルカリ溶液を用いた場合、基板の表面の材質を問わず、基板の表面に多量の水酸基を付与できることが分かった。また、表面改質液として過酸化水素水を用いた場合、特に基板の表面の材質がタングステンであれば、当該基板の表面に多量の水酸基を付与できることが分かった。
【0013】
前記基板の表面に前記紫外線を照射中に、当該基板の表面への前記表面改質液の供給を開始してもよい。
【0014】
また、前記基板の表面と当該表面と対向して配置された支持板との間に前記表面改質液が供給された状態で、前記基板の表面への前記紫外線の照射を開始してもよい。かかる場合、前記支持板は、前記紫外線を透過させてもよい。
【0015】
前記基板は、表面に転写パターンが形成され、且つ前記転写パターンを他の基板上のレジスト膜に転写してレジストパターンを形成するためのテンプレートであってもよい。
【0016】
別な観点による本発明によれば、前記基板の表面改質方法を表面改質装置によって実行させるために、当該表面改質装置を制御する制御部のコンピュータ上で動作するプログラムが提供される。
【0017】
また別な観点による本発明によれば、前記プログラムを格納した読み取り可能なコンピュータ記憶媒体が提供される。
【0018】
さらに別な観点による本発明は、基板の表面を改質する表面改質装置であって、基板の表面に紫外線を照射する紫外線照射部と、基板の表面に水酸基を付与するための表面改質液を供給する表面改質液供給部と、基板の表面に前記紫外線を照射しながら、基板の表面に前記表面改質液を供給するように、前記紫外線照射部と前記表面改質液供給部を制御する制御部と、を有することを特徴としている。
【0019】
前記表面改質液は、第3級アルコールであってもよいし、アルカリ溶液であってもよいし、過酸化水素水であってもよい。
【0020】
前記制御部は、前記基板の表面に前記紫外線を照射中に当該基板の表面への前記表面改質液の供給を開始するように、前記紫外線照射部と前記表面改質液供給部を制御してもよい。
【0021】
前記表面改質装置は、前記基板の表面と対向して配置された支持板を有し、前記制御部は、前記基板の表面と前記支持板との間に前記表面改質液が供給された状態で前記基板の表面への前記紫外線の照射を開始するように、前記紫外線照射部と前記表面改質液供給部を制御してもよい。かかる場合、前記支持板は、前記紫外線を透過させてもよい。
【0022】
前記基板は、表面に転写パターンが形成され、且つ前記転写パターンを他の基板上のレジスト膜に転写してレジストパターンを形成するためのテンプレートであってもよい。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、基板の表面を改質し、当該基板の表面と結合対象物との密着性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本実施の形態にかかるテンプレート処理装置の構成の概略を示す平面図である。
【図2】本実施の形態にかかるテンプレート処理装置の構成の概略を示す側面図である。
【図3】本実施の形態にかかるテンプレート処理装置の構成の概略を示す側面図である。
【図4】テンプレートの斜視図である。
【図5】表面改質ユニットの構成の概略を示す縦断面図である。
【図6】保持部材の構成の概略を示す平面図である。
【図7】表面改質ユニットの構成の概略を示す横断面図である。
【図8】リンスユニットの構成の概略を示す縦断面図である。
【図9】テンプレート処理の各工程を示したフローチャートである。
【図10】テンプレート処理の各工程におけるテンプレートの状態を模式的に示した説明図であり、(a)はテンプレートの表面を洗浄する様子を示し、(b)はテンプレートの表面に紫外線を照射しながら、当該テンプレートの表面に表面改質液を供給する様子を示し、(c)はテンプレートの表面に紫外線を照射しながら、当該テンプレートの表面に離型剤を塗布する様子を示し、(d)はテンプレート上に離型剤が成膜された様子を示す。
【図11】他の実施の形態にかかる表面改質ユニットの構成の概略を示す縦断面図である。
【図12】他の実施の形態にかかるテンプレート処理の各工程におけるテンプレートの状態を模式的に示した説明図であり、(a)はテンプレートの表面を洗浄する様子を示し、(b)はテンプレートの表面と支持板との間に表面改質液を供給する様子を示し、(c)はテンプレートの表面に表面改質液が供給された状態で、当該テンプレートの表面に紫外線を照射する様子を示し、(d)はテンプレート上に離型剤が成膜された様子を示す。
【図13】テンプレートの裏面側から表面に紫外線を照射する様子を示す説明図である。
【図14】洗浄ユニットの構成の概略を示す縦断面図である。
【図15】洗浄ユニットの構成の概略を示す横断面図である。
【図16】本実施の形態にかかるテンプレート処理装置を備えたインプリントシステムの構成の概略を示す平面図である。
【図17】インプリントユニットの構成の概略を示す縦断面図である。
【図18】インプリントユニットの構成の概略を示す横断面図である。
【図19】インプリント処理の各工程を示したフローチャートである。
【図20】インプリント処理の各工程におけるテンプレートとウェハの状態を模式的に示した説明図であり、(a)はウェハ上にレジスト液が塗布された様子を示し、(b)はウェハ上のレジスト膜を光重合させる様子を示し、(c)はウェハ上にレジストパターンが形成された様子を示し、(d)はウェハ上の残存膜が除去された様子を示す。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施の形態について説明する。図1は、本実施の形態にかかるテンプレート処理装置1の構成の概略を示す平面図である。図2及び図3は、テンプレート処理装置1の構成の概略を示す側面図である。
【0026】
本実施の形態のテンプレート処理装置1では、図4に示すように直方体形状を有し、表面に所定の転写パターンCが形成された、基板としてのテンプレートTが用いられる。以下、転写パターンCが形成されているテンプレートTの面を表面Tといい、当該表面Tと反対側の面を裏面Tという。なお、テンプレートTには、可視光、近紫外光、紫外線などの光を透過可能な透明材料、例えば石英ガラスが用いられる。
【0027】
テンプレート処理装置1は、図1に示すように複数、例えば5枚のテンプレートTをカセット単位で外部とテンプレート処理装置1との間で搬入出したり、テンプレートカセットCに対してテンプレートTを搬入出したりするテンプレート搬入出ステーション2と、テンプレートTに所定の処理を施す複数の処理ユニットを備えた処理ステーション3とを一体に接続した構成を有している。
【0028】
テンプレート搬入出ステーション2には、カセット載置台10が設けられている。カセット載置台10は、複数のテンプレートカセットCをX方向(図1中の上下方向)に一列に載置自在になっている。すなわち、テンプレート搬入出ステーション2は、複数のテンプレートTを保有可能に構成されている。
【0029】
テンプレート搬入出ステーション2には、X方向に延伸する搬送路11上を移動可能なテンプレート搬送体12が設けられている。テンプレート搬送体12は、鉛直方向及び鉛直周り(θ方向)にも移動自在であり、テンプレートカセットCと処理ステーション3との間でテンプレートTを搬送できる。
【0030】
処理ステーション3には、その中心部に搬送ユニット20が設けられている。この搬送ユニット20の周辺には、各種処理ユニットが多段に配置された、例えば4つの処理ブロックG1〜G4が配置されている。処理ステーション3の正面側(図1のX方向負方向側)には、テンプレート搬入出ステーション2側から第1の処理ブロックG1、第2の処理ブロックG2が順に配置されている。処理ステーション3の背面側(図1のX方向正方向側)には、テンプレート搬入出ステーション2側から第3の処理ブロックG3、第4の処理ブロックG4が順に配置されている。処理ステーション3のテンプレート搬入出ステーション2側には、テンプレートTの受け渡しを行うためのトランジションユニット21が配置されている。
【0031】
搬送ユニット20は、テンプレートTを保持して搬送し、且つ水平方向、鉛直方向及び鉛直周りに移動自在な搬送アームを有している。そして、搬送ユニット20は、処理ブロックG1〜G4内に配置された後述する各種処理ユニット、及びトランジションユニット21に対してテンプレートTを搬送できる。
【0032】
第1の処理ブロックG1には、図2に示すように複数の液処理ユニット、例えばテンプレートTの表面Tに紫外線を照射しながら、当該テンプレートTの表面Tに表面改質液を供給する表面改質装置としての表面改質ユニット30、テンプレートTの表面Tに紫外線を照射しながら、当該テンプレートTの表面Tに離型剤を塗布する塗布ユニット31が下から順に2段に重ねられている。第2の処理ブロックG2も同様に、表面改質ユニット32、塗布ユニット33が下から順に2段に重ねられている。また、第1の処理ブロックG1及び第2の処理ブロックG2の最下段には、前記液処理ユニットに各種処理液を供給するためのケミカル室34、35がそれぞれ設けられている。
【0033】
第3の処理ブロックG3には、図3に示すように複数の液処理ユニット、例えばテンプレートT上の離型剤をリンスするリンスユニット40、41が下から順に2段に重ねられている。第4の処理ブロックG4も同様に、リンスユニット42、43が下から順に2段に重ねられている。また、第3の処理ブロックG3及び第4の処理ブロックG4の最下段には、前記液処理ユニットに各種処理液を供給するためのケミカル室44、45がそれぞれ設けられている。
【0034】
次に、上述した表面改質ユニット30、32の構成について説明する。表面改質ユニット30は、図5に示すように側面にテンプレートTの搬入出口(図示せず)が形成された処理容器100を有している。
【0035】
処理容器100の天井面には、処理容器100の内部に向けて不活性ガス、例えば窒素ガスを供給するためのガス供給口101が形成されている。ガス供給口101には、ガス供給管102を介して窒素ガスを供給するガス供給源103が接続されている。
【0036】
処理容器100の底面には、処理容器100の内部の雰囲気を排気するための排気口104が形成されている。排気口104には、排気管105を介して処理容器100の内部の雰囲気を真空引きする排気ポンプ106が接続されている。
【0037】
処理容器100内の中央部には、テンプレートTを保持して回転させる保持部材110が設けられている。保持部材110の中央部分は下方に窪み、テンプレートTを収容する収容部111が形成されている。収容部111の下部には、テンプレートTの外形より小さい溝部111aが形成されている。したがって、収容部111内では、溝部111aによってテンプレートTの下面内周部は保持部材110と接しておらず、テンプレートTの下面外周部のみが保持部材110に支持されている。収容部111は、図6に示すようにテンプレートTの外形に適合した略四角形の平面形状を有している。収容部111には、側面から内側に突出した突出部112が複数形成され、この突出部112により、収容部111に収容されるテンプレートTの位置決めがされる。また、搬送ユニット20の搬送アームから収容部111にテンプレートTを受け渡す際に、当該搬送アームが収容部111と干渉するのを避けるため、収容部111の外周には、切欠き部113が4箇所に形成されている。
【0038】
保持部材110は、図5に示すようにカバー体114に取り付けられ、保持部材110の下方には、シャフト115を介して回転駆動部116が設けられている。この回転駆動部116により、保持部材110は鉛直周りに所定の速度で回転でき、且つ昇降できる。
【0039】
保持部材110の周囲には、テンプレートTから飛散又は落下する表面改質液を受け止め、回収するカップ120が設けられている。カップ120の下面には、回収した表面改質液を排出する排出管121と、カップ120内の雰囲気を排気する排気管122が接続されている。
【0040】
図7に示すようにカップ120のX方向負方向(図7の下方向)側には、Y方向(図7の左右方向)に沿って延伸するレール130が形成されている。レール130は、例えばカップ120のY方向負方向(図7の左方向)側の外方からY方向正方向(図7の右方向)側の外方まで形成されている。レール130には、アーム131が取り付けられている。
【0041】
アーム131には、テンプレートTの表面Tに表面改質液を供給する表面改質液供給部としての表面改質液ノズル132が支持されている。アーム131は、ノズル駆動部133により、レール130上を移動自在である。これにより、表面改質液ノズル132は、カップ120のY方向正方向側の外方に設置された待機部134からカップ120内のテンプレートTの中心部上方まで移動できる。また、アーム131は、ノズル駆動部133によって昇降自在であり、表面改質液ノズル132の高さを調整できる。なお、表面改質液には、後述するようにテンプレートTの表面Tに水酸基を付与することができる材料が用いられる。本実施の形態においては、かかる表面改質液の材料として、例えば第3級アルコールであるt−ペンチルアルコールが用いられる。
【0042】
処理容器100内の天井面であって、保持部材110の上方には、テンプレートTの表面Tに例えば172nmの波長の紫外線(キセノンエキシマUV)を照射する紫外線照射部140が設けられている。紫外線照射部140は、例えば保持部材110に保持されたテンプレートTの表面Tに対向し、当該表面T全面を覆うように配置されている。
【0043】
なお、例えば保持部材110の溝部111a内に、洗浄液、例えば有機溶剤を噴射する洗浄液ノズルを設けてもよい。この洗浄液ノズルからテンプレートTの裏面Tに洗浄液を噴射することによって、当該裏面Tを洗浄することができる。
【0044】
なお、表面改質ユニット32の構成は、上述した表面改質ユニット30の構成と同様であるので説明を省略する。
【0045】
また、塗布ユニット31、33の構成は、上述した表面改質ユニット30において、表面改質液ノズル132を離型剤ノズルに置換した構成を有している。離型剤ノズルは、テンプレートT上に離型剤を供給できる。なお、塗布ユニット31、33のその他の構成は、表面改質ユニット30の構成と同様であるので説明を省略する。また、離型剤の材料には、後述するウェハ上のレジスト膜に対して撥液性を有する材料、例えばフッ素炭素系化合物等が用いられる。
【0046】
次に、上述したリンスユニット40〜43の構成について説明する。リンスユニット40は、図8に示すように側面にテンプレートTの搬入出口(図示せず)が形成された処理容器150を有している。
【0047】
処理容器150内の底面には、テンプレートTを浸漬させる浸漬槽151が設けられている。浸漬槽151内には、テンプレートT上の離型剤をリンスするためのリンス液、例えば有機溶剤が貯留されている。
【0048】
処理容器150内の天井面であって、浸漬槽151の上方には、テンプレートTを保持する保持部152が設けられている。保持部152は、テンプレートTの裏面Tの外周部を吸着保持するチャック153を有している。テンプレートTは、その表面Tが上方を向くようにチャック153に保持される。チャック153は、昇降機構154により昇降できる。そして、テンプレートTは、保持部152に保持された状態で浸漬槽151に貯留された有機溶剤に浸漬され、当該テンプレートT上の離型剤がリンスされる。
【0049】
保持部152は、チャック153に保持されたテンプレートTの上方に設けられた気体供給部155を有している。気体供給部155は、例えば窒素等の不活性ガスや乾燥空気などの気体ガスを下方、すなわちチャック153に保持されたテンプレートTの表面Tに吹き付けることができる。これにより、浸漬槽151でリンスされたテンプレートTの表面Tを乾燥させることができる。なお、リンスユニット40には、内部の雰囲気を排気する排気管(図示せず)が接続されている。
【0050】
なお、リンスユニット41〜43の構成は、上述したリンスユニット40の構成と同様であるので説明を省略する。
【0051】
以上のテンプレート処理装置1には、図1に示すように制御部160が設けられている。制御部160は、例えばコンピュータであり、プログラム格納部(図示せず)を有している。プログラム格納部には、テンプレート搬入出ステーション2と処理ステーション3との間のテンプレートTの搬送や、処理ステーション3における駆動系の動作などを制御して、テンプレート処理装置1における後述するテンプレート処理を実行するプログラムが格納されている。なお、このプログラムは、例えばコンピュータ読み取り可能なハードディスク(HD)、フレキシブルディスク(FD)、コンパクトディスク(CD)、マグネットオプティカルディスク(MO)、メモリーカードなどのコンピュータに読み取り可能な記憶媒体に記録されていたものであって、その記憶媒体から制御部160にインストールされたものであってもよい。
【0052】
本実施の形態にかかるテンプレート処理装置1は以上のように構成されている。次に、そのテンプレート処理装置1で行われるテンプレート処理について説明する。図9は、このテンプレート処理の主な処理フローを示し、図10は、各工程におけるテンプレートTの状態を示している。
【0053】
先ず、テンプレート搬送体12によって、カセット載置台10上のテンプレートカセットCからテンプレートTが取り出され、処理ステーション3のトランジションユニット21に搬送される(図9の工程A1)。このとき、テンプレートカセットC内には、テンプレートTは、転写パターンCが形成された表面Tが上方を向くように収容されており、この状態でテンプレートTはトランジションユニット21に搬送される。
【0054】
その後、搬送ユニット20によって、テンプレートTは、表面改質ユニット30に搬送され、保持部材110に受け渡される。続いて、ガス供給口101から窒素ガスが処理容器100内に供給される。このとき、排気口104から処理容器100の内部の雰囲気が排気されて、処理容器100の内部は窒素ガス雰囲気に置換される。その後、図10(a)に示すように紫外線照射部140からテンプレートTの表面T全面に紫外線が照射される。そして、テンプレートTの表面Tの有機物が除去され、当該テンプレートTの表面Tが洗浄される(図9の工程A2)。
【0055】
その後、表面改質液ノズル132をテンプレートTの中心部上方まで移動させると共に、テンプレートTを回転させる。そして、図10(b)に示すように引き続き紫外線照射部140からテンプレートTの表面Tにエネルギーの高い紫外線を照射しながら、表面改質液ノズル132から回転中のテンプレートT上に表面改質液Mを供給する。すなわち、紫外線の照射中に、テンプレートTの表面Tへの表面改質液Mの供給を開始する。供給された表面改質液Mは遠心力によりテンプレートTの表面T全面に拡散する。
【0056】
ここで、発明者らが鋭意検討したところ、このようにテンプレートTの表面Tに紫外線を照射すると、当該表面Tが活性化することが分かった。そして、石英ガラスからなるテンプレートTの活性化した表面Tに対して、t−ペンチルアルコールである表面改質液Mを供給すると、表面Tに多量の水酸基(OH基)が付与されることが分かった。こうして、テンプレートTの表面Tが改質される(図9の工程A3)。なお、この工程A3において、処理容器100の内部は窒素ガス雰囲気に維持されている。また、表面Tの改質後、紫外線照射部140からの紫外線の照射と表面改質液ノズル132からの表面改質液Mの供給を停止した後、引き続きテンプレートTを回転させて、当該テンプレートTの表面Tを振り切り乾燥させる。
【0057】
なお、表面改質液Mには、テンプレートTの表面Tの材質によって最適な液を選択できる。本実施の形態においては、石英ガラスであるテンプレートTに対して表面改質液Mとして第3級アルコール(t−ペンチルアルコール)を用いたが、その他の組み合わせについては後述する。
【0058】
その後、搬送ユニット20によって、テンプレートTは、塗布ユニット31に搬送され、保持部材110に受け渡される。続いて、ガス供給口101から窒素ガスが処理容器100内に供給される。このとき、排気口104から処理容器100の内部の雰囲気が排気されて、処理容器100の内部は窒素ガス雰囲気に置換される。
【0059】
その後、離型剤ノズルをテンプレートTの中心部上方まで移動させると共に、テンプレートTを回転させる。そして、図10(c)に示すように紫外線照射部140からテンプレートTの表面Tに紫外線を照射しながら、離型剤ノズルから回転中のテンプレートT上に離型剤Sを供給する。すなわち、紫外線の照射中に、テンプレートTの表面Tへの離型剤Sの供給を開始する。供給された離型剤Sは遠心力によりテンプレートT上で拡散し、当該テンプレートTの表面T全面に塗布される(図9の工程A4)。その塗布後、紫外線照射部140からの紫外線の照射と離型剤ノズルからの離型剤Sの供給を停止した後、引き続きテンプレートTを回転させて、当該テンプレートTの表面Tを振り切り乾燥させる。
【0060】
この工程A4では、紫外線が照射されることによって、テンプレートTの表面T上の水酸基の酸素と水素の結合が切断される。そして、このように水酸基の結合が切断された直後に、テンプレートTの表面Tと離型剤分子が脱水縮合により結合される。さらに、テンプレートTの表面Tに照射された紫外線によって、隣接する離型剤分子同士が脱水縮合により結合する。こうして、テンプレートTの表面Tと離型剤Sとの化学反応が促進され、当該テンプレートTの表面Tと離型剤Sとの密着性が向上する。
【0061】
その後、搬送ユニット20によって、テンプレートTはリンスユニット40に搬送され、保持部152に保持される。続いて、保持部152を下降させ、テンプレートTを浸漬槽151に貯留された有機溶剤に浸漬させる。所定時間経過すると、離型剤Sの未反応部のみ、すなわち離型剤SがテンプレートTの表面Tと化学反応して当該表面Tと密着する部分以外のみが剥離する。このとき、上述の工程A4においてテンプレートTの表面Tに離型剤Sが密着しているので、テンプレートTの表面Tから所定の距離の離型剤Sが剥離することはない。また、テンプレートT上の離型剤Sの接触角は所定の角度、例えば110度以上になっており、離型剤Sは後述するレジスト膜に対して十分な撥液性を有し、その離型機能を発揮することができる。こうして、図10(d)に示すようにテンプレートT上に転写パターンCに沿った離型剤Sが所定の膜厚で成膜される(図9の工程A5)。その後、保持部152を上昇させ、気体供給部155から気体ガスをテンプレートTに吹き付け、その表面Tを乾燥させる。
【0062】
その後、搬送ユニット20によって、テンプレートTはトランジションユニット21に搬送され、テンプレート搬送体12によってテンプレートカセットCに戻される(図9の工程A6)。こうしてテンプレート処理装置1における一連のテンプレート処理が終了し、テンプレートTの表面Tに、転写パターンCの形状に沿った離型剤Sが所定の膜厚で成膜される。
【0063】
以上の実施の形態によれば、工程A3において、テンプレートTの表面Tに紫外線を照射するので、当該表面Tを活性化できる。そして、テンプレートTの表面Tを活性化しながら、当該表面Tに表面改質液Mを供給するので、テンプレートTの表面Tに多量の水酸基を付与することができる。このようにテンプレートTの表面Tを十分に改質できるので、その後テンプレートTの表面Tと離型剤Sが化学結合する際に、当該表面Tと離型剤Sとの密着性を向上させることができる。
【0064】
以上の実施の形態では、石英ガラスのテンプレートTに対して第3級アルコールの表面改質液Mを用いたが、表面改質液Mには基板の表面の材質によって最適な液を選択することができる。なお、基板の表面の材質とは、基板自体が表面に露出している場合には当該基板自体の材質を指し、基板の表面に膜が形成されている場合には当該基板の表面の膜の材質を指す。
【0065】
発明者らが鋭意検討したところ、例えば上述した第3級アルコールは、石英ガラスに限らず、種々の材質の基板の表面に多量の水酸基を付与できることが分かった。例えば基板の表面がチタン(Ti)、タングステン(W)、アルミナ(Al)、ダイヤモンドライクカーボン(DLC)の場合にも、基板の表面に多量の水酸基を付与できることが分かった。かかる場合、基板の表面を十分に改質できるので、基板の表面と結合対象物との密着性を向上させることができる。例えば上記実施の形態のように基板がテンプレートTであって、結合対象物が離型剤Sの場合、テンプレートTの表面Tと離型剤Sとの密着性を向上させることができ、離型剤Sの接触角を例えば110度以上にまで向上させることができる。
【0066】
同様に、表面改質液Mとしてアルカリ溶液、例えばアンモニアを用いた場合も、基板の表面の材質を問わず、基板の表面に多量の水酸基を付与できることが分かった。かかる場合、基板の表面にアルカリ溶液を供給することで、当該基板の表面がエッチングされる。そして、エッチングされた基板の表面に紫外線を照射しながら、さらにアルカリ溶液が供給されることで、当該基板の表面に多量の水酸基が付与される。そして、例えば上記実施の形態のように基板がテンプレートTであって、結合対象物が離型剤Sの場合、テンプレートTの表面Tと離型剤Sとの密着性を向上させることができ、離型剤Sの接触角を例えば110度以上にまで向上させることができる。
【0067】
また、表面改質液Mとして過酸化水素水を用いた場合、特に基板の表面の材質がタングステンの場合、当該基板の表面を十分に改質できることが分かった。かかる場合、基板の表面に過酸化水素水を供給することで、当該基板の表面がエッチングされる。そして、エッチングされた基板の表面に紫外線を照射しながら、さらに過酸化水素水が供給されることで、当該基板の表面に多量の水酸基が付与される。そして、例えば上記実施の形態のように基板がテンプレートTであって、結合対象物が離型剤Sの場合、テンプレートTの表面Tと離型剤Sとの密着性を向上させることができ、離型剤Sの接触角を例えば118度という高い接触角まで向上させることができた。
【0068】
以上の実施の形態では、表面改質液MによるテンプレートTの表面Tの改質と当該表面Tへの離型剤Sの塗布とは、それぞれ表面改質ユニット30、32と塗布ユニット31、33の別のユニットで行われていたが、一のユニットで行ってもよい。かかる場合、例えば表面改質ユニット30内に、表面改質液ノズル132と離型剤ノズルが共に設けられる。そして、一のユニット内でテンプレートTを移動させることなく、表面改質液MによるテンプレートTの表面Tの改質と当該表面Tへの離型剤Sの塗布とを行うことができる。したがって、テンプレート処理のスループットを向上させることができる。また、テンプレート処理装置1の構成を簡略化することもできる。
【0069】
以上の実施の形態では、工程A3において紫外線を照射中にテンプレートTの表面Tへの表面改質液Mの供給を開始していたが、テンプレートTの表面Tに表面改質液Mが供給された状態で、テンプレートTの表面Tへの紫外線の照射を開始してもよい。
【0070】
かかる場合、工程A3を行うため、例えば図11に示す表面改質ユニット30が用いられる。表面改質ユニット30は、側面にテンプレートTの搬入出口(図示せず)が形成された処理容器200を有している。
【0071】
処理容器200の天井面には、処理容器200の内部に向けて不活性ガス、例えば窒素ガスを供給するためのガス供給口201が形成されている。ガス供給口201には、ガス供給管202を介して窒素ガスを供給するガス供給源203が接続されている。なお、処理容器200の内部は、窒素ガスと水蒸気の混合ガスを供給してもよい。
【0072】
処理容器200の底面には、処理容器200の内部の雰囲気を排気するための排気口204が形成されている。排気口204には、排気管205を介して処理容器200の内部の雰囲気を真空引きする排気ポンプ206が接続されている。
【0073】
処理容器200内の底面には、テンプレートTが載置される載置台210が設けられている。テンプレートTは、その表面Tが上方を向くように載置台210の上面に載置される。載置台210内には、テンプレートTを下方から支持し昇降させるための昇降ピン211が設けられている。昇降ピン211は、昇降駆動部212により上下動できる。載置台210の上面には、当該上面を厚み方向に貫通する貫通孔213が形成されおり、昇降ピン211は、貫通孔213を挿通するようになっている。
【0074】
処理容器200内の天井面であって、載置台210の上方には、テンプレートTの表面Tに例えば172nmの波長の紫外線を照射する紫外線照射部220が設けられている。紫外線照射部220は、例えば載置台210上に載置されたテンプレートTの表面Tに対向し、当該表面T全面を覆うように配置されている。
【0075】
載置台210と紫外線照射部220との間には、支持板221が配置されている。支持板221は、例えば所定の隙間を介して載置台210上に載置されたテンプレートTの表面Tと対向し、当該表面T全面を覆うように配置されている。なお、支持板221は移動機構(図示せず)によって処理容器200内を移動可能になっている。また、支持板221は、紫外線を透過可能な透明材料が用いられ、本実施の形態においてはテンプレートTと同じ材料の石英ガラスが用いられる。
【0076】
処理容器200の内部には、載置台210上に載置されたテンプレートTの表面Tと支持板221との間に表面改質液Mを供給する、表面改質液供給部としての表面改質液ノズル230が配置されている。表面改質液ノズル230は、例えばその下端部の供給口230aが斜め下方に向くように配置されている。表面改質液ノズル230は、アーム231に支持されている。アーム231には移動機構(図示せず)が取り付けられ、表面改質液ノズル230は、処理容器200内を可能になっている。
【0077】
なお、表面改質ユニット32の構成は、上述した表面改質ユニット30の構成と同様であるので説明を省略する。また、テンプレート処理装置1のその他の構成は、上記実施の形態のテンプレート処理装置1の構成と同様であるので説明を省略する。
【0078】
次に、本実施の形態のテンプレート処理装置1で行われるテンプレート処理について説明する。図12は、テンプレート処理の各工程におけるテンプレートTの状態を示している。なお、本実施の形態におけるテンプレート処理の処理フローは図9で示した処理フローと同様である。
【0079】
先ず、テンプレート搬送体12によって、カセット載置台10上のテンプレートカセットC内のテンプレートTがトランジションユニット21に搬送される(図9の工程A1)。
【0080】
その後、搬送ユニット20によって、テンプレートTは、表面改質ユニット30に搬送される。表面改質ユニット30に搬入されたテンプレートTは、昇降ピン211に受け渡され、載置台210に載置される。続いて、ガス供給口201から窒素ガスが処理容器200内に供給される。このとき、排気口204から処理容器200の内部の雰囲気が排気されて、処理容器200の内部は窒素ガス雰囲気に置換される。その後、図12(a)に示すように紫外線照射部220からテンプレートTの表面T全面に紫外線が照射される。そして、テンプレートTの表面Tの有機物が除去され、当該テンプレートTの表面Tが洗浄される(図9の工程A2)。
【0081】
その後、紫外線照射部220からの紫外線の照射を一旦停止し、図12(b)に示すようにテンプレートTの表面Tと支持板221が所定の隙間を介して対向するように支持板221を配置する。そして、表面改質液ノズル230からテンプレートTの表面Tと支持板221との間に、表面改質液Mが供給される。供給された表面改質液Mは、毛細管現象によってテンプレートTの表面Tと支持板221との間を拡散する。続いて、図12(c)に示すようにテンプレートTの表面Tと支持板221と間に表面改質液Mが供給された状態で、紫外線照射部220から下方に紫外線が照射される。紫外線は、支持板221を通過してテンプレートTの表面T全面に照射される。なお、この工程A3において、処理容器200の内部は窒素ガス雰囲気に維持されている。そして、この工程A3により、テンプレートTの表面Tに多量の水酸基が付与され、当該表面Tが改質される(図9の工程A3)。表面Tの改質後、紫外線照射部220からの紫外線の照射と表面改質液ノズル230からの表面改質液Mの供給を停止した後、例えば窒素等の不活性ガスや乾燥空気などの気体ガスをテンプレートTの表面Tに吹き付けて、当該表面Tを乾燥させる。なお、テンプレートTの表面Tの改質の態様は、上記実施の形態の工程A3における表面改質と同様であるので詳細な説明を省略する。
【0082】
その後、搬送ユニット20によって、テンプレートTは、塗布ユニット31に搬送され、テンプレートTの表面Tに紫外線を照射しながら、回転中のテンプレートT上に離型剤Sを供給する。供給された離型剤Sは遠心力によりテンプレートT上で拡散し、当該テンプレートTの表面T全面に塗布される(図9の工程A4)。なお、この工程A4は、上記実施の形態の工程A4と同様であるので詳細な説明を省略する。
【0083】
その後、搬送ユニット20によって、テンプレートTはリンスユニット40に搬送されてリンスされ、図12(d)に示すようにテンプレートT上に転写パターンCに沿った離型剤Sが所定の膜厚で成膜される(図9の工程A5)。なお、この工程A5は、上記実施の形態の工程A5と同様であるので詳細な説明を省略する。
【0084】
その後、搬送ユニット20によって、テンプレートTはトランジションユニット21に搬送され、テンプレート搬送体12によってテンプレートカセットCに戻される(図9の工程A6)。こうしてテンプレート処理装置1における一連のテンプレート処理が終了し、テンプレートTの表面Tに、転写パターンCの形状に沿った離型剤Sが所定の膜厚で成膜される。
【0085】
本実施の形態においても、上記実施の形態の効果と同様の効果を享受できる。すなわち工程A3において、テンプレートTの表面Tに紫外線を照射しながら、当該テンプレートTの表面Tに表面改質液Mを供給するので、テンプレートTの表面Tに多量の水酸基を付与することができる。
【0086】
なお、本実施の形態の工程A3では、毛細管現象を利用してテンプレートTの表面Tと支持板221との間に表面改質液Mを供給していたが、表面改質液Mの供給方法はこれに限定されない。例えばテンプレートTの表面Tと支持板221との間に表面改質液Mを圧入してもよい。
【0087】
また、本実施の形態の工程A3では、テンプレートTの表面Tと支持板221との間に表面改質液Mを供給する際、紫外線照射部220からの紫外線の照射を一旦停止していたが、当該紫外線の照射を継続して行ってもよい。すなわち、工程A2と工程A3において、紫外線照射部220からの紫外線の照射を継続して行ってもよい。
【0088】
以上の実施の形態では、工程A3において、支持板221側からテンプレートTの表面Tに紫外線を照射していたが、図13に示すようにテンプレートTの裏面T側から表面Tに紫外線を照射してもよい。このように紫外線を照射するため、表面改質ユニット30では、テンプレートTと支持板221の上下配置を反対にしてもよい、すなわちテンプレートTを支持板221の上方に配置してもよい。あるいは、処理容器200の天井面に配置された紫外線照射部220をテンプレートTの下方に配置してもよい。
【0089】
かかる場合、図13に示すようにテンプレートTの裏面T側から照射された紫外線は、テンプレートTを通過し、当該テンプレートTの表面Tに照射される。こうしてテンプレートTの表面Tに紫外線を照射しながら、テンプレートT上に表面改質液Mが供給される。そうすると、テンプレートTの表面Tに多量の水酸基を付与することができ、当該表面Tを十分に改質することができる。
【0090】
本実施の形態によれば、テンプレートTの裏面T側から表面Tに紫外線を照射しているので、紫外線は表面改質液Mに邪魔されることなくテンプレートTの表面Tと表面改質液Mの界面に到達する。このため、紫外線は表面改質液Mによって減衰することなくテンプレートTの表面Tに照射される。したがって、テンプレートTの表面Tより効率よく改質することができる。
【0091】
以上の実施の形態では、工程A2におけるテンプレートTの表面Tの洗浄は、工程A3を行う表面改質ユニット30で行われていたが、別の洗浄ユニットで行われてもよい。この洗浄ユニットは、例えばテンプレート処理装置1の処理ブロックG1〜G4のいずれかに配置される。
【0092】
かかる場合、図14及び図15に示すように洗浄ユニット240は、側面にテンプレートTの搬入出口(図示せず)が形成された処理容器250を有している。
【0093】
処理容器250内には、テンプレートTを吸着保持するチャック251が設けられている。チャック251は、テンプレートTの表面Tが上方を向くように、その裏面Tを吸着保持する。チャック251の下方には、チャック駆動部252が設けられている。このチャック駆動部252は、処理容器250内の底面に設けられ、Y方向に沿って延伸するレール253上に取付けられている。このチャック駆動部252により、チャック251はレール253に沿って移動できる。
【0094】
処理容器250内の天井面であって、レール253の上方には、チャック251に保持されたテンプレートTに紫外線を照射する紫外線照射部254が設けられている。紫外線照射部254は、図15に示すようにX方向に延伸している。
【0095】
そして、洗浄ユニット240に搬送されたテンプレートTは、チャック251に吸着保持される。続いて、チャック駆動部252によってテンプレートTをレール253に沿って移動させながら、紫外線照射部254から当該テンプレートTに紫外線が照射される。こうして、テンプレートTの表面T全面に紫外線が照射され、テンプレートTの表面Tが洗浄される。
【0096】
以上の実施の形態では、表面改質ユニット30において、回転中のテンプレートT上に表面改質液Mを供給していたが、例えばテンプレートTの幅方向に延伸し、下面にスリット状の供給口が形成された表面改質液ノズルを用いてテンプレートT上に表面改質液Mを供給してもよい。かかる場合、表面改質液ノズルをテンプレートTの辺方向に移動させながら、供給口から表面改質液Mが供給される。
【0097】
以上の実施の形態のリンスユニット40では、浸漬槽151に貯留された有機溶剤にテンプレートTを浸漬することで離型剤Sをリンスしていたが、図5及び図7に示した表面改質ユニット30と同様の構成を有するリンスユニットを用いてもよい。かかる場合、表面改質ユニット30の表面改質液ノズル132に代えて、テンプレートT上に離型剤Sのリンス液としての有機溶剤を供給するリンス液ノズルが用いられる。
【0098】
そして、このリンスユニットでは、回転中のテンプレートT上に有機溶剤を供給し、テンプレートTの表面T全面をリンスする。所定時間経過すると、離型剤Sの未反応部のみが剥離し、テンプレートT上に転写パターンCに沿った離型剤Sが成膜される。その後、有機溶剤の供給を停止した後、さらにテンプレートTを回転させ続け、その表面Tを振り切り乾燥させる。このようにして、テンプレートT上の離型剤Sがリンスされる。
【0099】
以上の実施の形態では、工程A4において、テンプレートTの表面Tに紫外線を照射しながら、当該表面Tに離型剤Sを塗布していたが、テンプレートTの表面Tと離型剤Sとを密着性させる方法はこれに限定されない。例えばテンプレートTの表面Tに離型剤Sを塗布した後、当該離型剤Sを加熱してもよい。あるいは、テンプレートTの表面Tに離型剤Sを塗布した後、当該離型剤S上にアルコールを塗布してもよい。いずれの場合でも、テンプレートTの表面Tと離型剤Sとを密着させることができる。
【0100】
以上の実施の形態では、処理ステーション3において、搬送ユニット20によってテンプレートTを搬送していたが、いわゆる平流し形式を用いてテンプレートTを搬送ローラ上で搬送してもよい。かかる場合、処理ステーション3には、表面改質ユニット、塗布ユニット、リンスユニットがこの順で配置される。そして、テンプレート搬入出ステーション2から搬出されたテンプレートTは、搬送ローラを用いた搬送によってこれら処理ユニットに順次搬送される。各処理ユニットでは、搬送中のテンプレートTに所定の処理が行われる。こうしてテンプレートT上に離型剤Sが成膜されると、テンプレートTがテンプレート搬入出ステーション2に戻され、一連のテンプレート処理が終了する。この場合、各処理ユニットにおいてテンプレートTの搬送中に所定の処理が行われるので、テンプレート処理のスループットをより向上させることができる。
【0101】
以上の実施の形態のテンプレート処理装置1は、図16に示すようにインプリントシステム300に配置されていてもよい。インプリントシステム300は、テンプレートTを用いて他の基板としてのウェハW上にレジストパターンを形成するインプリントユニット310と、複数、例えば25枚のウェハWをカセット単位で外部とインプリントシステム300との間で搬入出したり、ウェハカセットCに対してウェハWを搬入出したりするウェハ搬入出ステーション311とを有している。また、テンプレート処理装置1とインプリントユニット310との間には、テンプレートTの受け渡しを行うインターフェイスステーション312が配置されている。インプリントシステム300は、これらテンプレート処理装置1、インターフェイスステーション312、インプリントユニット310、ウェハ搬入出ステーション311を一体に接続した構成を有している。
【0102】
ウェハ搬入出ステーション311には、カセット載置台320が設けられている。カセット載置台320は、複数のウェハカセットCをX方向(図16中の上下方向)に一列に載置自在になっている。すなわち、ウェハ搬入出ステーション311は、複数のウェハWを保有可能に構成されている。
【0103】
ウェハ搬入出ステーション311には、X方向に延伸する搬送路321上を移動可能なウェハ搬送体322が設けられている。ウェハ搬送体322は、鉛直方向及び鉛直周り(θ方向)にも移動自在であり、ウェハカセットCとインプリントユニット310との間でウェハWを搬送できる。
【0104】
ウェハ搬入出ステーション311には、ウェハWの向きを調整するアライメントユニット323がさらに設けられている。アライメントユニット323では、例えばウェハWのノッチ部の位置に基づいて、ウェハWの向きが調整される。
【0105】
インターフェイスステーション312には、X方向に延伸する搬送路330上を移動するテンプレート搬送体331が設けられている。また、搬送路330のX方向正方向側には、テンプレートTの表裏面を反転させる反転ユニット332が配置され、搬送路330のX方向負方向側には、複数のテンプレートTを一時的に保管するバッファカセット333が配置されている。テンプレート搬送体331は、鉛直方向及び鉛直周り(θ方向)にも移動自在であり、処理ステーション3、反転ユニット332、バッファカセット333、インプリントユニット310との間でテンプレートTを搬送できる。
【0106】
テンプレート処理装置1の処理ステーション3には、搬送ユニット20のインターフェイスステーション312側に、テンプレートTの受け渡しを行うためのトランジションユニット334が配置されている。
【0107】
次に、上述したインプリントユニット310の構成について説明する。インプリントユニット310は、図17に示すように側面にテンプレートTの搬入出口(図示せず)とウェハWの搬入出口(図示せず)が形成された処理容器340を有している。
【0108】
処理容器340内の底面には、ウェハWが載置されて保持されるウェハ保持部341が設けられている。ウェハWは、その被処理面が上方を向くようにウェハ保持部341の上面に載置される。ウェハ保持部341内には、ウェハWを下方から支持し昇降させるための昇降ピン342が設けられている。昇降ピン342は、昇降駆動部343により上下動できる。ウェハ保持部341の上面には、当該上面を厚み方向に貫通する貫通孔344が形成されおり、昇降ピン342は、貫通孔344を挿通するようになっている。また、ウェハ保持部341は、当該ウェハ保持部341の下方に設けられた移動機構345により、水平方向に移動可能で、且つ鉛直周りに回転自在である。
【0109】
図18に示すようにウェハ保持部341のX方向負方向(図18の下方向)側には、Y方向(図18の左右方向)に沿って延伸するレール350が設けられている。レール350は、例えばウェハ保持部341のY方向負方向(図18の左方向)側の外方からY方向正方向(図18の右方向)側の外方まで形成されている。レール350には、アーム351が取り付けられている。
【0110】
アーム351には、ウェハW上にレジスト液を供給するレジスト液ノズル352が支持されている。レジスト液ノズル352は、例えばウェハWの直径寸法と同じかそれよりも長い、X方向に沿った細長形状を有している。レジスト液ノズル352には、例えばインクジェット方式のノズルが用いられ、レジスト液ノズル352の下部には、長手方向に沿って一列に形成された複数の供給口(図示せず)が形成されている。そして、レジスト液ノズル352は、レジスト液の供給タイミング、レジスト液の供給量等を厳密に制御できる。
【0111】
アーム351は、ノズル駆動部353により、レール350上を移動自在である。これにより、レジスト液ノズル352は、ウェハ保持部341のY方向正方向側の外方に設置された待機部354からウェハ保持部341上のウェハWの上方まで移動でき、さらに当該ウェハWの表面上をウェハWの径方向に移動できる。また、アーム351は、ノズル駆動部353によって昇降自在であり、レジスト液ノズル352の高さを調整できる。
【0112】
処理容器340内の天井面であって、ウェハ保持部341の上方には、図17に示すようにテンプレートTを保持するテンプレート保持部360が設けられている。すなわち、ウェハ保持部341とテンプレート保持部360は、ウェハ保持部341に載置されたウェハWと、テンプレート保持部360に保持されたテンプレートTが対向するように配置されている。また、テンプレート保持部360は、テンプレートTの裏面Tの外周部を吸着保持するチャック361を有している。チャック361は、当該チャック361の上方に設けられた移動機構362により、鉛直方向に移動自在で、且つ鉛直周りに回転自在になっている。これにより、テンプレートTは、ウェハ保持部341上のウェハWに対して所定の向きに回転し昇降できる。
【0113】
テンプレート保持部360は、チャック361に保持されたテンプレートTの上方に設けられた光源363を有している。光源363からは、例えば可視光、近紫外光、紫外線などの光が発せられ、この光源363からの光は、テンプレートTを透過して下方に照射される。
【0114】
本実施の形態にかかるインプリントシステム300は以上のように構成されている。次に、そのインプリントシステム300で行われるインプリント処理について説明する。図19は、このインプリント処理の主な処理フローを示し、図20は、このインプリント処理の各工程におけるテンプレートTとウェハWの状態を示している。
【0115】
先ず、テンプレート搬送体12によって、テンプレート搬入出ステーション2から処理ステーション3にテンプレートTが搬送される(図19の工程B1)。処理ステーション3では、テンプレートTの表面Tの洗浄(図19の工程B2)、表面Tへの紫外線の照射及び表面Tへの表面改質液Mの供給による表面Tの改質(図19の工程B3)、表面Tへの紫外線の照射及び表面Tへの離型剤Sの塗布(図19の工程B4)、離型剤Sのリンス(図19の工程B5)が順次行われ、テンプレートTの表面Tに離型剤Sが成膜される。なお、これら工程B2〜B5は、前記実施の形態における工程A2〜A5と同様であるので、詳細な説明を省略する。
【0116】
離型剤Sが成膜されたテンプレートTは、トランジションユニット334に搬送される。続いて、テンプレートTは、インターフェイスステーション312のテンプレート搬送体331によって、反転ユニット332に搬送されて、テンプレートTの表裏面が反転される。すなわち、テンプレートTの裏面Tが上方に向けられる。その後、テンプレートTは、テンプレート搬送体331によってインプリントユニット310に搬送され、テンプレート保持部360のチャック361に吸着保持される。
【0117】
このように処理ステーション3においてテンプレートTにテンプレート処理を行い、インプリントユニット310へテンプレートTを搬送中に、ウェハ搬入出ステーション311では、ウェハ搬送体322により、カセット載置台320上のウェハカセットCからウェハWが取り出され、アライメントユニット323に搬送される。そして、アライメントユニット323において、ウェハWのノッチ部の位置に基づいて、ウェハWの向きが調整される。その後、ウェハWは、ウェハ搬送体322によってインプリントユニット310に搬送される(図19の工程B6)。なお、ウェハ搬入出ステーション311において、ウェハカセットC内のウェハWは、その被処理面が上方を向くように収容されており、この状態でウェハWはインプリントユニット310に搬送される。
【0118】
インプリントユニット310に搬入されたウェハWは、昇降ピン342に受け渡され、ウェハ保持部341上に載置され保持される。続いて、ウェハ保持部341に保持されたウェハWを水平方向の所定の位置に移動させて位置合わせをした後、レジスト液ノズル352をウェハWの径方向に移動させ、図20(a)に示すようにウェハW上にレジスト液が塗布され、レジスト膜Rが形成される(図19の工程B7)。このとき、制御部160により、レジスト液ノズル352から供給されるレジスト液の供給タイミングや供給量等が制御される。すなわち、ウェハW上に形成されるレジストパターンにおいて、凸部に対応する部分(テンプレートTの転写パターンCにおける凹部に対応する部分)に塗布されるレジスト液の量は多く、凹部に対応する部分(転写パターンCにおける凸部に対応する部分)に塗布されるレジスト液の量は少なくなるように塗布される。このように転写パターンCの開口率に応じてウェハW上にレジスト液が塗布される。
【0119】
ウェハW上にレジスト膜Rが形成されると、ウェハ保持部341に保持されたウェハWを水平方向の所定の位置に移動させて位置合わせを行うと共に、テンプレート保持部360に保持されたテンプレートTを所定の向きに回転させる。そして、図20(a)の矢印に示すようにテンプレートTをウェハW側に下降させる。テンプレートTは所定の位置まで下降し、テンプレートTの表面TがウェハW上のレジスト膜Rに押し付けられる。なお、この所定の位置は、ウェハW上に形成されるレジストパターンの高さに基づいて設定される。続いて、光源363から光が照射される。光源363からの光は、図20(b)に示すようにテンプレートTを透過してウェハW上のレジスト膜Rに照射され、これによりレジスト膜Rは光重合する。このようにして、ウェハW上のレジスト膜RにテンプレートTの転写パターンCが転写され、レジストパターンPが形成される(図19の工程B8)。
【0120】
その後、図20(c)に示すようにテンプレートTを上昇させて、ウェハW上にレジストパターンPを形成する。このとき、テンプレートTの表面Tには離型剤Sが塗布されているので、ウェハW上のレジストがテンプレートTの表面Tに付着することはない。その後、ウェハWは、昇降ピン342によりウェハ搬送体322に受け渡され、インプリントユニット310からウェハ搬入出ステーション311に搬送され、ウェハカセットCに戻される(図19の工程B9)。なお、ウェハW上に形成されたレジストパターンPの凹部には、薄いレジストの残存膜Lが残る場合があるが、例えばインプリントシステム300の外部において、図20(d)に示すように当該残存膜Lを除去してもよい。
【0121】
以上の工程B6〜B9(図19中の点線で囲った部分)を繰り返し行い、一のテンプレートTを用いて、複数のウェハW上にレジストパターンPをそれぞれ形成する。この間、上述した工程B1〜B5を繰り返し行い、複数のテンプレートTの表面T上に離型剤Sを成膜する。離型剤Sが成膜されたテンプレートTは、インターフェイスステーション312のバッファカセット333に保管される。
【0122】
そして、所定枚数のウェハWに対して工程B6〜B9が行われると、テンプレート搬送体331によって、使用済みのテンプレートTがインプリントユニット310から搬出され、反転ユニット332に搬送される(図19の工程B10)。続いて、テンプレート搬送体331によって、バッファカセット333内のテンプレートTがインプリントユニット310に搬送される。こうして、インプリントユニット310内のテンプレートTが交換される。なお、テンプレートTを交換するタイミングは、テンプレートTの劣化等を考慮して設定される。また、ウェハWに異なるレジストパターンPを形成する場合にも、テンプレートTが交換される。そして、例えばテンプレートTを1回使用する度に当該テンプレートTを交換してもよい。また、例えば1枚のウェハW毎にテンプレートTを交換してもよいし、例えば1ロット毎にテンプレートTを交換してもよい。
【0123】
反転ユニット332に搬送された使用済みのテンプレートTは、その表裏面が反転される。その後、テンプレート搬送体331、搬送ユニット20、テンプレート搬送体12によって、テンプレートTはテンプレートカセットCに戻される。このようにして、インプリントシステム300において、テンプレートTを連続的に交換しつつ、複数のウェハWに対して所定のレジストパターンPが連続的に形成される。
【0124】
以上の実施の形態のインプリントシステム300はテンプレート処理装置1を有しているので、インプリントシステム300において、テンプレートT上に離型剤Sを成膜しつつ、当該テンプレートTをインプリントユニット310に連続的に供給できる。これによって、例えばテンプレートTが劣化する前、あるいは複数のウェハW上に異なるレジストパターンPを形成する場合でも、インプリントユニット310内のテンプレートTを連続して効率よく交換することができる。したがって、複数のウェハWに対して所定のレジストパターンPを連続的に形成することができる。また、これによって、半導体デバイスの量産化を実現することも可能となる。
【0125】
以上の実施の形態では、基板としてのテンプレートTの表面Tと離型剤Sとを密着させるために当該表面Tを改質したが、本発明は別の基板の表面を改質する際にも適用できる。
【0126】
例えば近年、半導体デバイスの高集積化が進んでおり、当該半導体デバイスを3次元に積層する3次元集積技術を用いることが提案されている。この3次元集積技術においては、例えば2枚の基板としての半導体ウェハ(以下、「ウェハ」という。)の接合が行われる。かかる場合、ウェハ上に形成された水酸基同士が脱水縮により結合されることで、ウェハ同士が強固に接合される。そこで、このウェハ同士の結合をより強固にするため、例えば酸素プラズマをウェハに照射して、当該ウェハ上により多量の水酸基を形成することが行われている。しかしながら、この場合、酸素プラズマによってウェハの表面が物理的なダメージやチャージアップダメージを被るおそれがある。この点、本発明のようにウェハの表面に紫外線を照射しながら、表面改質液を供給すると、当該ウェハの表面に多量の水酸基を付与することができる。したがって、本発明によればウェハの表面にダメージを与えることなく当該ウェハの表面を改質することができ、本発明はかかるウェハの接合にも有用である。
【0127】
また、本発明は、基板が例えばFPD(フラットパネルディスプレイ)、フォトマスク用のマスクレチクルなどの別の基板である場合にも適用できる。
【0128】
さらに、本発明は、基板を別の対象結合物、例えば別のシランカップリング剤と結合させる場合にも適用できる。すなわち、基板の表面に水酸基を多量に付与することで、当該基板の表面とシランカップリング剤との結合が促進される。
【0129】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【符号の説明】
【0130】
1 テンプレート処理装置
30、32 表面改質ユニット
31、33 塗布ユニット
40〜43 リンスユニット
132 表面改質液ノズル
140 紫外線照射部
160 制御部
220 紫外線照射部
221 支持板
230 表面改質液ノズル
C 転写パターン
M 表面改質液
P レジストパターン
R レジスト膜
S 離型剤
T テンプレート
W ウェハ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の表面を改質する方法であって、
基板の表面に紫外線を照射しながら、基板の表面に表面改質液を供給して、当該基板の表面に水酸基を付与することを特徴とする、基板の表面改質方法。
【請求項2】
前記表面改質液は、第3級アルコールであることを特徴とする、請求項1に記載の基板の表面改質方法。
【請求項3】
前記表面改質液は、アルカリ溶液であることを特徴とする、請求項1に記載の基板の表面改質方法。
【請求項4】
前記表面改質液は、過酸化水素水であることを特徴とする、請求項1に記載の基板の表面改質方法。
【請求項5】
前記基板の表面に前記紫外線を照射中に、当該基板の表面への前記表面改質液の供給を開始することを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の基板の表面改質方法。
【請求項6】
前記基板の表面と当該表面と対向して配置された支持板との間に前記表面改質液が供給された状態で、前記基板の表面への前記紫外線の照射を開始することを特徴とする、請求項1〜4のいずれか記載に記載の基板の表面改質方法。
【請求項7】
前記支持板は、前記紫外線を透過させることを特徴とする、請求項6に記載の基板の表面改質方法。
【請求項8】
前記基板は、表面に転写パターンが形成され、且つ前記転写パターンを他の基板上のレジスト膜に転写してレジストパターンを形成するためのテンプレートであることを特徴とする、請求項1〜7のいずれかに記載の基板の表面改質方法。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれかに記載の基板の表面改質方法を表面改質装置によって実行させるために、当該表面改質装置を制御する制御部のコンピュータ上で動作するプログラム。
【請求項10】
請求項9に記載のプログラムを格納した読み取り可能なコンピュータ記憶媒体。
【請求項11】
基板の表面を改質する表面改質装置であって、
基板の表面に紫外線を照射する紫外線照射部と、
基板の表面に水酸基を付与するための表面改質液を供給する表面改質液供給部と、
基板の表面に前記紫外線を照射しながら、基板の表面に前記表面改質液を供給するように、前記紫外線照射部と前記表面改質液供給部を制御する制御部と、を有することを特徴とする、基板の表面改質装置。
【請求項12】
前記表面改質液は、第3級アルコールであることを特徴とする、請求項11に記載の基板の表面改質装置。
【請求項13】
前記表面改質液は、アルカリ溶液であることを特徴とする、請求項11に記載の基板の表面改質装置。
【請求項14】
前記表面改質液は、過酸化水素水であることを特徴とする、請求項11に記載の基板の表面改質装置。
【請求項15】
前記制御部は、前記基板の表面に前記紫外線を照射中に当該基板の表面への前記表面改質液の供給を開始するように、前記紫外線照射部と前記表面改質液供給部を制御することを特徴とする、請求項11〜14のいずれかに記載の基板の表面改質装置。
【請求項16】
前記基板の表面と対向して配置された支持板を有し、
前記制御部は、前記基板の表面と前記支持板との間に前記表面改質液が供給された状態で前記基板の表面への前記紫外線の照射を開始するように、前記紫外線照射部と前記表面改質液供給部を制御することを特徴とする、請求項11〜14のいずれかに記載の基板の表面改質装置。
【請求項17】
前記支持板は、前記紫外線を透過させることを特徴とする、請求項16に記載の基板の表面改質装置。
【請求項18】
前記基板は、表面に転写パターンが形成され、且つ前記転写パターンを他の基板上のレジスト膜に転写してレジストパターンを形成するためのテンプレートであることを特徴とする、請求項11〜17に記載の基板の表面改質装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2012−99677(P2012−99677A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−246891(P2010−246891)
【出願日】平成22年11月2日(2010.11.2)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】