説明

基板の製造装置および基板の製造方法

【課題】エッチング対象が透光性を有し、且つパターンが微細である場合であってもエッチング処理の終点検出の精度を向上させることができる基板の製造装置および基板の製造方法を提供することである。
【解決手段】実施形態に係る基板の製造装置は、処理容器と、前記処理容器の内部にガスを供給するガス供給部と、前記処理容器の内部を排気する排気部と、前記処理容器の内部にプラズマを発生させるプラズマ発生部と、前記処理容器の内部に設けられ基板を載置する載置部と、前記載置部に載置された前記基板の前記載置部に対峙する側の面に検出光を入射させ、前記基板からの反射光に基づいてエッチング処理の終点を検出する終点検出部と、を備えている。そして、前記終点検出部は、前記基板の前記面に対して垂直な方向から前記検出光を入射させ、前記基板の透光性を有する材料から形成された部分における前記エッチング処理の終点を検出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、基板の製造装置および基板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置、フラットパネルディスプレイ、フォトマスクなどの製造においては、エッチング処理によりパターンを形成する際にパターン形成の終了、すなわちエッチング処理の終点検出が行われている。
この様なエッチング処理の終点検出においては、基板の裏面に対して所定の角度傾けた方向から検出光を照射し、基板からの反射光を検出することで終点検出を行う技術が提案されている(例えば、特許文献1を参照)。
しかしながら、特許文献1に開示されているような技術を用いるものとすれば、エッチング対象が透光性を有し、且つパターンが微細である場合にエッチング処理の終点検出の精度が著しく低下するおそれがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平4−92444号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、エッチング対象が透光性を有し、且つパターンが微細である場合であってもエッチング処理の終点検出の精度を向上させることができる基板の製造装置および基板の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態に係る基板の製造装置は、処理容器と、前記処理容器の内部にガスを供給するガス供給部と、前記処理容器の内部を排気する排気部と、前記処理容器の内部にプラズマを発生させるプラズマ発生部と、前記処理容器の内部に設けられ基板を載置する載置部と、前記載置部に載置された前記基板の前記載置部に対峙する側の面に検出光を入射させ、前記基板からの反射光に基づいてエッチング処理の終点を検出する終点検出部と、を備えている。そして、前記終点検出部は、前記基板の前記面に対して垂直な方向から前記検出光を入射させ、前記基板の透光性を有する材料から形成された部分における前記エッチング処理の終点を検出する。
【0006】
他の実施形態に係る基板の製造方法は、透光性を有する材料から形成された部分が設けられた基板をエッチング処理することで基板を製造する基板の製造方法である。そして、前記エッチング処理する工程において、前記基板の主面に対して垂直な方向から検出光を入射させ、前記基板からの反射光に基づいて前記基板の透光性を有する材料から形成された部分における前記エッチング処理の終点を検出する。
【発明の効果】
【0007】
本発明の実施形態によれば、エッチング対象が透光性を有し、且つパターンが微細である場合であってもエッチング処理の終点検出の精度を向上させることができる基板の製造装置および基板の製造方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】第1の実施形態に係る基板の製造装置を例示するための模式断面図である。
【図2】終点検出部を例示するための模式図である。
【図3】基板のエッチング処理を例示するための模式断面図である。
【図4】エッチング処理の終点の演算を例示するための模式グラフ図である。
【図5】(a)〜(d)は、位相シフトマスクの製造方法を例示するための模式工程断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しつつ、実施の形態について例示をする。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
[第1の実施形態]
ここでは、一例として、位相シフトマスクを製造する際に用いることができる基板の製造装置について例示をする。
図1は、第1の実施形態に係る基板の製造装置を例示するための模式断面図である。
【0010】
基板の製造装置100(以下、単に製造装置100と称する)は、アルミニウムなどの導電性材料で形成され減圧雰囲気を維持可能な処理容器1を備えている。
処理容器1の天井中央部分には、処理ガスGを導入するための処理ガス導入口2が設けられている。
【0011】
ガス供給部18は、処理ガス導入口2を介して処理容器1の内部に処理ガスGを供給する。なお、処理ガスGは、処理容器1の内部に供給される際に、処理ガス調整部(図示せず)により流量や圧力などが調整される。
ここで、位相シフトマスクを製造する場合には、石英から形成された部分が設けられた基板をエッチング処理することになる。この場合、石英から形成された部分をエッチング処理する際の処理ガスGとしては、例えば、フッ素を含むガスを例示することができる。フッ素を含むガスとしては、例えば、CF、CHF、C、SFなどやこれらの混合ガスを例示することができる。
【0012】
処理容器1の天井部分であって、処理ガス導入口2の径外方向部分には誘電体材料(例えば、石英など)からなる誘電体窓21が設けられている。誘電体窓21の表面には導電体からなるコイル20が設けられている。コイル20の一端は接地され(図示せず)、他端は、整合器16aを介して高周波電源6aに接続されている。
【0013】
処理容器1の内部には、基板200を処理するための空間である処理空間3が設けられている。処理空間3の下方には電極部4が設けられている。電極部4は、台座10を介して処理容器1の底面に設けられている。電極部4には高周波電源6bが整合器16を介して接続されている。また、処理容器1は接地されている。
製造装置100は、上部に誘導結合型電極を有し、下部に容量結合型電極を有する二周波プラズマエッチング装置とすることができる。この場合、電極部4と処理容器1とが容量結合型電極を構成し、また、コイル20が誘導結合型電極を構成する。
【0014】
高周波電源6aは、100KHz〜100MHz程度の周波数を有し、1KW程度の高周波電力を処理容器1に印加するものとすることができる。
高周波電源6bは、100KHz〜100MHz程度の周波数を有し、200W程度の高周波電力を処理容器1に印加するものとすることができる。
整合器16、16aにはチューニング回路(図示せず)が内蔵されており、チューニング回路で反射波を制御することによりプラズマPを制御することができるようになっている。
製造装置100においては、電極部4、処理容器1、高周波電源6a、高周波電源6b、コイル20などが、処理容器1の内部にプラズマPを発生させるプラズマ発生部となる。
また、電極部4が、処理容器1の内部に設けられ基板200を載置する載置部となる。
【0015】
電極部4は、周囲を絶縁リング5で覆われている。電極部4の上面には基板200が載置されるようになっている。また、後述する終点検出部30や基板200の受け渡し部(図示せず)などが内蔵されている。
【0016】
処理容器1の底部には排気口7が設けられ、排気口7には圧力コントローラ8を介して真空ポンプなどのような排気部19が接続されている。排気部19は、処理容器1の内部が所定の圧力となるように排気する。処理容器1の側壁には、基板200を搬入搬出するための搬入搬出口9が設けられ、搬入搬出口9を気密に閉鎖できるようゲートバルブ17が設けられている。ゲートバルブ17は、O(オー)リングのようなシール部材14を備える扉13を有し、ゲート開閉機構(図示せず)により開閉される。扉13が閉まった時には、シール部材14が搬入搬出口9の壁面に押しつけられ、搬入搬出口9は気密に閉鎖される。
【0017】
電極部4の外側には、区画部12が設けられている。基板200の材質によっては、エッチング処理の際に副生成物が比較的多く生成される場合がある。そこで、製造装置100においては、エッチング処理の際に処理空間3を画する区画部12を設けている。すなわち、区画部12を設けることで、区画部12の外部にある処理容器1の側壁や底部などに副生成物が付着することを抑制できるようになっている。なお、区画部12の内壁などにも副生成物が付着するが、区画部12を交換したり区画部12を取り外して清掃したりすることができるので、メンテナンス時間を大幅に短縮することができる。また、区画部12を設けることで外部から処理空間3にパーティクルなどが侵入することを抑制することもできる。
【0018】
区画部12には、側面部12a、底部12b、脚部12cが設けられている。側面部12aは円筒状であり、処理容器1の内壁に近接するように設けられている。底部12bは円板状であり、外周側の端面は側面部12aの下端面付近に固着されている。そして、底部12の内周側の端面は絶縁リング5の近傍に位置するようになっている。なお、側面部12a、底部12bの形態は例示をしたものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。例えば、側面部12aを多角形の筒状としたり、底部12bを多角形の板状としたりすることができる。
【0019】
脚部12cの一端は、底部12bに接続されており、他端は昇降部11に接続されている。脚部12cは円柱状であるがこれに限定されるものではなく、断面が多角形の柱状、円筒状などであってもよい。昇降部11の動力源は、例えば、モータ、エアシリンダ、油圧シリンダなどとすることができるが、これらに限定されるものではなく同様の機能を有する駆動源としてもよい。区画部12の上昇端位置と下降端位置は、検出器(図示せず)からの信号で制御することもできるし、タイマーなどを用いて時間により制御することもできる。
【0020】
次に、終点検出部30についてさらに例示をする。
終点検出部30は、基板200の主面(図1に例示をしたものの場合には、載置部である電極部4に対峙する側の面)に対して垂直な方向から検出光L1を入射させ、基板200の透光性を有する材料から形成された部分におけるエッチング処理の終点を検出する。 図2は、終点検出部を例示するための模式図である。
図2に示すように、終点検出部30には窓部31、接続部32、レンズ33、ホルダ34、伝送部35、光源36、分光部37、制御部38が設けられている。
【0021】
窓部31は、石英などの透光性を有する材料から形成され、電極部4の内部に設けられている。また、窓部31の一端は電極部4の上面から露出し、他端は接続部32の端部に接続されている。
接続部32は、軸方向の端面間を貫通する段付きの孔部32aを有している。孔部32aの一方の開口部には窓部31が設けられ、孔部32aの他方の開口部近傍にはホルダ34が保持されている。
【0022】
ホルダ34は、軸方向の端面間を貫通する段付きの孔部34aを有し、一方の端部近傍が接続部32に保持されている。接続部32に保持される側の孔部34aの開口部近傍にはレンズ33が設けられている。また、接続部32に保持される側とは反対の側の孔部34aの開口部近傍には伝送部35が保持されている。
レンズ33は、検出光L1、反射光L2を集光する。例えば、レンズ33は、伝送部35から出射された検出光L1を基板200における検出位置に集光させる。また、レンズ33は、基板200からの反射光L2を集光して伝送部35に入射させる。なお、1つのレンズ33が設けられる場合を例示したがこれに限定されるわけではない。例えば、複数のレンズが設けられたり、フィルタなどの他の光学要素などが設けられたりするようにすることもできる。なお、レンズ33は、伝送部35を検出位置に接近させるようにして設置すれば設けなくてもよい。
【0023】
伝送部35は、検出光L1、反射光L2を伝送する。例えば、伝送部35は、光源36から出射した検出光L1を伝送し、レンズ33に向けて出射する。また、伝送部35は、レンズ33から出射した反射光L2を伝送し、分光部37に向けて出射する。伝送部35は、例えば、光ファイバーなどを用いたものとすることができる。
光源36は、検出光L1を出射する。検出光L1は、波長が400nm以下の光、例えば、紫外光とすることができる。光源36としては、紫外光領域の中でも強い光量を得られる水銀キセノンランプなどを例示することができる。なお、検出光L1の波長に関する詳細は後述する。
分光部37は、入射した反射光L2から特定の波長の光を分離する。光源36から出射する検出光L1の波長を単一のものとすることが難しい場合がある。その様な場合には、分光部37により特定の波長の光を分離するようにすれば、終点検出の精度を向上させることができる。なお、分光部37は必ずしも必要ではなく、必要に応じて設けるようにすればよい。
【0024】
制御部38は、分光部37を介して入射された反射光L2に基づいて、エッチング処理の終点に関する情報を演算する。演算されたエッチング処理の終点に関する情報は、製造装置100の動作を制御するプロセス制御部100aに送られる。
プロセス制御部100aは、エッチング処理の終点に関する情報に基づいて製造装置100におけるエッチング処理を終了させる。また、プロセス制御部100aは、制御部38を制御して、終点検出部30における検出の開始や検出の終了などを行うようにすることもできる。なお、プロセス制御部100aは、製造装置100に設けられた各要素の動作を制御するようにすることもできる。
【0025】
次に、エッチング処理の終点に関する情報の演算について例示する。
図3は、基板のエッチング処理を例示するための模式断面図である。
基板200には、石英などの透光性を有する材料を用いた透光部201、酸化クロム(CrO)、窒化クロム(CrN)、珪化モリブデン(MoSi)などを用いた遮光部202が設けられている。また、遮光部202は、透光部201の表面にパターン状に形成されている。
基板200は、透光部201の遮光部202が設けられていない部分がエッチング処理される。そのため、エッチング処理を行う際には、パターン状に形成された遮光部202の表面を覆うようにレジストマスク203が形成されている。
【0026】
ここで、基板200の主面に対して傾いた方向から検出光L3を入射させると、エッチング面200aを透過した光が溝部の壁面200bやレジストマスク203の側面などにおいて反射され、エッチング面200aからの反射光のみならず溝部の壁面200bやレジストマスク203の側面などからの反射光をも検出してしまうことになる。近年においては、透光部201に形成される溝が微細化される傾向にあり、基板200の主面に対して傾いた方向から検出光L3を入射させるとエッチング面200a以外からの反射光の影響が大きなものとなる。そのため、エッチング面200aの位置の変化、すなわち、エッチング処理の状態を正確に把握することが困難となるおそれがある。
【0027】
そこで、終点検出部30においては、基板200の主面に対して垂直な方向から検出光L1を入射させるようにしている。基板200の主面に対して垂直な方向から検出光L1を入射させるようにすれば、溝部の壁面200bやレジストマスク203の側面などからの反射光による影響を抑制することができる。なお、検出光L1の内、エッチング面200aに入射するものを検出光L11、遮光部202に入射するものを検出光L12としている。また、反射光L2の内、エッチング面200aからのものを反射光L21、遮光部202からのものを反射光L22としている。
【0028】
この場合、遮光部202はエッチングされないので遮光部202からの反射光L22の位相の変化は極めて少ないことになる。一方、エッチング面200aはエッチングされることによりその位置が変化するため、エッチング面200aからの反射光L21の位相が変化することになる。そのため、反射光L21と反射光L22とによる干渉光である反射光L2の変化を検出すればエッチング処理の終点を知ることができる。
【0029】
図4は、エッチング処理の終点の演算を例示するための模式グラフ図である。なお、図4は反射光L2の変化を模式的に表したものである。
反射光L2の一周期Tの間にエッチングされる量Hは以下の式で求めることができる。
【数1】

ここで、Hは反射光L2の一周期Tの間にエッチングされる量、Sは検出光L1の波長、nは透光部201の屈折率である。
【0030】
この場合、基板200が位相シフトマスクである場合には、透光部201のエッチング量が168nm程度となる。そのため、検出光L1の波長Sを余り長くすると反射光L2の一周期Tの間にエッチングされる量Hが大きくなりすぎてエッチング処理の終点が検出できなくなるおそれがある。
そのため、終点検出部30においては、検出光L1の波長Sを400nm以下としている。例えば、エッチングされる量(エッチング深さ)Hを168nm、透光部201の材料を石英とした時、石英の屈折率nは1.45なので、上記の[数1]式より検出光L1の波長Sは487.2nmとなる。この場合、検出の安定性を考慮して、487.2nmが1.5周期分の長さとなるようにすれば、検出光L1の波長は324.8nmとなるので、この様な条件における検出光L1の波長Sは350nm程度とすることができる。
【0031】
次に、反射光L2の一周期Tにおける処理時間と、エッチングされる量Hとからエッチングレートを求める。
そして、求められたエッチングレートと、所望のエッチング量とからエッチング処理に要する時間、すなわち、エッチング処理の終点を求めることができる。
終点検出部30に設けられた制御部38においては、反射光L2の強度変化、変化時間などから反射光L2の一周期Tの間にエッチングされる量Hを演算し、反射光L2の一周期Tにおける処理時間と演算されたエッチングされる量Hとからエッチングレートを演算する。そして、演算されたエッチングレートと所望のエッチング量とからエッチング処理の終点を演算により求める。
【0032】
基板200における検出領域は、製品としてのパターン(アクティブエリアにパターン状に形成された遮光部202)を含む領域とすることもできるし、アクティブエリア以外の領域に形成された検出パターンを含む領域とすることもできる。検出領域をアクティブエリア以外の領域に形成された領域とした場合には、検出に適した検出パターンの大きさや形状を任意に選択することができる。そのため、終点検出の精度を向上させることができる。
また、検出領域をアクティブエリアに形成した場合、必然的に終点検出部30が電極部4内のアクティブエリアに対応する部分に設けられることになる。そのため、電極部4面内における部材構成に異なる部分が生じ、アクティブエリアにおけるエッチングレートにばらつきが生じるおそれがある。
これに対し、検出領域をアクティブエリア以外の領域に形成された領域とすれば、検出領域においてエッチングレートのばらつきが生じたとしても、アクティブエリアに形成される製品としてのパターンに影響が及ぶことがない。
なお、終点検出部30が形成された箇所に対応する部分と、それ以外の部分とでエッチングレートが異なる場合には、両者のエッチングレートの比を予め測定しておき、その比に応じて終点検出を行うようにすることができる。
【0033】
本実施の形態によれば、エッチング対象が透光性を有し、且つパターンが微細である場合であってもエッチング処理の終点検出の精度を向上させることができる。
例えば、基板200の主面に対して垂直な方向から検出光L1を入射させるようにしているので、エッチング面200a以外からの反射光の影響を抑制することができる。
また、検出光L1の波長Sを400nm以下としているので、エッチング量が微小且つ高い寸法精度が求められる位相シフトマスクなどのエッチング処理にも適用することができる。
また、アクティブエリア以外の領域に形成された検出パターンを含む領域を検出領域とすれば終点検出の精度の向上を図ることができる。
【0034】
[第2の実施形態]
次に、第2の実施形態に係る基板の製造方法について例示をする。
ここでは、一例として、位相シフトマスクを製造する場合について例示をする。
図5は、位相シフトマスクの製造方法を例示するための模式工程断面図である。
図5(a)に示すように、透光部201となる板状部201a、遮光部202となる膜状部202aを有するブランク210を形成し、エッチング処理を行うためのレジストマスク203を膜状部202aの表面に形成する。
板状部201aは、透光性を有する材料から形成されている。板状部201aは、例えば、石英などから形成されるものとすることができる。
膜状部202aは、例えば、酸化クロム(CrO)、窒化クロム(CrN)、珪化モリブデン(MoSi)などから形成されるものとすることができる。
レジストマスク203には、既知のパターンニング技術を用いて開口部203aが形成されている。そのため、開口部203aが形成された部分に膜状部202aの対応部分が露出することになる。
なお、膜状部202aやレジストマスク203の成膜、レジストマスク203に所望の開口部203aを形成することなどには、既知の技術を適用させることができるのでこれらの詳細な説明は省略する。
【0035】
まず、図5(b)に示すように、第1のエッチング処理を行うことで遮光部202を形成する。
この場合、塩素を含むガスを用いたプラズマエッチング処理を行うようにすることができる。塩素を含むガスとしては、例えば、Cl、HCl、CClなどやこれらの混合ガスを例示することができる。
このプラズマエッチング処理においては、発生させたプラズマPにより塩素を含むガスが励起、活性化されて中性活性種、イオン、電子などの反応生成物が生成される。この生成された反応生成物が、開口部203aを介して膜状部202aに供給されることで所望のエッチング処理が行われる。第1のエッチング処理は、板状部201aの表面が露出するまで行われる。第1のエッチング処理の終点検出は、プラズマPの発光強度の変化から知ることができる。また、前述した終点検出部30において例示をした方法を用いて第1のエッチング処理の終点検出を行うようにすることもできる。
【0036】
次に、図5(c)に示すように、第2のエッチング処理を行うことで透光部201を形成する。
この場合、フッ素を含むガスを用いたプラズマエッチング処理を行うようにすることができる。フッ素を含むガスとしては、例えば、CF、CHF、C、SFなどやこれらの混合ガスを例示することができる。
このプラズマエッチング処理においては、発生させたプラズマPによりフッ素を含むガスが励起、活性化されて中性活性種、イオン、電子などの反応生成物が生成される。この生成された反応生成物が、開口部203a、第1のエッチング処理が施された部分を介して板状部201aに供給されることで所望のエッチング処理が行われる。第2のエッチング処理の終点検出は、終点検出部30において例示をした方法により行うようにすることができる。
【0037】
例えば、第2のエッチング処理を行う工程において、板状部201aの主面に対して垂直な方向から検出光L1を入射させ、板状部201aからの反射光L2に基づいて石英などの透光性を有する材料から形成された板状部201aにおける第2のエッチング処理の終点を検出するようにすることができる。
この場合、第2のエッチング処理を行う工程において、前述した式に基づいて反射光L2の一周期の間にエッチングされる量Hを求め、反射光L2の一周期における処理時間と求められたエッチングされる量Hとからエッチングレートを求め、求められたエッチングレートと所望のエッチング量とから第2のエッチング処理の終点を検出するようにすることができる。
また、検出光L1の波長Sは400nm以下とすることができる。
また、アクティブエリア以外の領域に検出パターンを形成し、第2のエッチング処理する工程において、形成された検出パターンを含む領域に検出光L1を入射させることで第2のエッチング処理の終点を検出するようにすることができる。この場合、第1のエッチング処理を行う際に、遮光部202と検出パターンとを形成するようにしてもよいし、検出パターンを形成する工程を別途設けるようにしてもよい。
なお、終点検出の内容は前述したものと同様とすることができるので詳細な説明は省略する。
【0038】
次に、図5(d)に示すように、レジストマスク203を除去する。
この場合、酸素を含むガスを用いたプラズマアッシング処理とすることもできるし、薬液を用いたウェットアッシング処理とすることもできる。
以上のようにして位相シフトマスクを製造することができる。
なお、板状部201a上に複数の層が形成されている場合には、膜状部202aの場合と同様にしてそれぞれの層をエッチング処理するようにすればよい。
また、膜状部202aをエッチング処理してアクティブエリアに遮光部202を形成する際に、アクティブエリア以外の領域に前述した検出パターンが形成されるようにすることもできる。
【0039】
本実施の形態によれば、エッチング対象が透光性を有し、且つパターンが微細である場合であってもエッチング処理の終点検出の精度を向上させることができる。
例えば、板状部201aの主面に対して垂直な方向から検出光L1を入射させるようにするので、板状部201aのエッチング面以外からの反射光の影響を抑制することができる。
また、検出光L1の波長Sを400nm以下としているので、エッチング量が微小且つ高い寸法精度が求められる位相シフトマスクなどのエッチング処理にも適用することができる。
また、アクティブエリア以外の領域に形成された検出パターンを含む領域を検出領域とすれば終点検出の精度の向上を図ることができる。
【0040】
以上、実施の形態について例示をした。しかし、本発明はこれらの記述に限定されるものではない。
前述の実施の形態に関して、当業者が適宜、構成要素の追加、削除若しくは設計変更を行ったもの、または、工程の追加、省略若しくは条件変更を行ったものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。
例えば、製造装置100や基板200などが備える各要素の形状、寸法、材質、配置、数などは、例示をしたものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。
また、一例として、基板が位相シフトマスクである場合を例示したが、エッチング対象が透光性を有し、且つパターンが微細である場合に好適に適用させることができる。例えば、フラットパネルディスプレイなどに用いられるガラス基板などをエッチング処理する際にも適用させることができる。
また、前述した各実施の形態が備える各要素は、可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。
【符号の説明】
【0041】
1 処理容器、4 電極部、6a 高周波電源、6b 高周波電源、18 ガス供給部、19 排気部、20 コイル、30 終点検出部、31 窓部、32 接続部、33 レンズ、34 ホルダ、35 伝送部、36 光源、37 分光部、38 制御部、100 製造装置、200 基板、201 透光部、201a 板状部、202 遮光部、202a 膜状部、203 レジストマスク、210 ブランク、G 処理ガス、P プラズマ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理容器と、
前記処理容器の内部にガスを供給するガス供給部と、
前記処理容器の内部を排気する排気部と、
前記処理容器の内部にプラズマを発生させるプラズマ発生部と、
前記処理容器の内部に設けられ基板を載置する載置部と、
前記載置部に載置された前記基板の前記載置部に対峙する側の面に検出光を入射させ、前記基板からの反射光に基づいてエッチング処理の終点を検出する終点検出部と、
を備え、
前記終点検出部は、前記基板の前記面に対して垂直な方向から前記検出光を入射させ、前記基板の透光性を有する材料から形成された部分における前記エッチング処理の終点を検出することを特徴とする基板の製造装置。
【請求項2】
前記終点検出部は、以下の式に基づいて前記反射光の一周期の間にエッチングされる量を求め、前記反射光の一周期における処理時間と前記求められたエッチングされる量とからエッチングレートを求め、前記求められたエッチングレートと所望のエッチング量とから前記エッチング処理の終点を検出することを特徴とする請求項1記載の基板の製造装置。
【数2】

ここで、Hは反射光の一周期の間にエッチングされる量、Sは検出光の波長、nは透光性を有する材料の屈折率である。
【請求項3】
前記検出光の波長は、400nm以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の基板の製造装置。
【請求項4】
前記基板は、位相シフトマスクであり、前記透光性を有する材料は石英を含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の基板の製造装置。
【請求項5】
前記基板は、位相シフトマスクであり、前記透光性を有する材料から形成された部分の表面に遮光部が形成されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の基板の製造装置。
【請求項6】
透光性を有する材料から形成された部分が設けられた基板をエッチング処理することで基板を製造する基板の製造方法であって、
前記エッチング処理する工程において、前記基板の主面に対して垂直な方向から検出光を入射させ、前記基板からの反射光に基づいて前記基板の透光性を有する材料から形成された部分における前記エッチング処理の終点を検出することを特徴とする基板の製造方法。
【請求項7】
前記エッチング処理する工程において、以下の式に基づいて前記反射光の一周期の間にエッチングされる量を求め、前記反射光の一周期における処理時間と前記求められたエッチングされる量とからエッチングレートを求め、前記求められたエッチングレートと所望のエッチング量とから前記エッチング処理の終点を検出することを特徴とする請求項6記載の基板の製造方法。
【数3】

ここで、Hは反射光の一周期の間にエッチングされる量、Sは検出光の波長、nは透光性を有する材料の屈折率である。
【請求項8】
前記検出光の波長は、400nm以下であることを特徴とする請求項6または7に記載の基板の製造方法。
【請求項9】
前記基板は、位相シフトマスクであり、前記透光性を有する材料は石英を含むことを特徴とする請求項6〜8のいずれか1つに記載の基板の製造方法。
【請求項10】
前記基板のアクティブエリア以外の領域に検出パターンを形成し、
前記エッチング処理する工程において、前記形成された検出パターンを含む領域に前記検出光を入射させることで前記エッチング処理の終点を検出することを特徴とする請求項6〜9のいずれか1つに記載の基板の製造方法。
【請求項11】
前記基板は、位相シフトマスクであり、前記透光性を有する材料から形成された部分の表面に遮光部が形成されていることを特徴とする請求項6〜10のいずれか1つに記載の基板の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図5】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−253142(P2012−253142A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−123540(P2011−123540)
【出願日】平成23年6月1日(2011.6.1)
【出願人】(000002428)芝浦メカトロニクス株式会社 (907)
【Fターム(参考)】