説明

基板処理装置および基板処理方法

【課題】SPM処理の際に、基板上における処理液の温度低下を抑制する。
【解決手段】基板処理装置1では、基板回転機構5により回転する基板9の上面91に向けて処理液供給部3から液体が吐出される。処理液供給部3は、硫酸供給部31、過酸化水素水供給部32、混合液生成部33およびノズル34を備える。基板処理装置1では、硫酸供給部31により加熱された硫酸がノズル34から基板9に供給され、基板9に対する予備加熱処理が行われる。その後、硫酸供給部31からの加熱された硫酸と過酸化水素水供給部32からの過酸化水素水とが混合液生成部33にて混合されてSPM液が生成され、SPM液が基板9に供給されてSPM処理が行われる。予備加熱処理が行われることにより、SPM処理の際に、基板9上に供給された高温のSPM液の温度低下を抑制することができる。その結果、SPM処理の効率を向上することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板を処理する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、半導体基板(以下、単に「基板」という。)の製造工程では、基板処理装置を用いて酸化膜等の絶縁膜を有する基板に対して様々な処理が施される。例えば、表面上にレジストのパターンが形成された基板に処理液を供給することにより、基板の表面に対してエッチング等の処理が行われる。また、エッチング等の終了後、基板上のレジストを除去する処理も行われる。
【0003】
例えば、特許文献1のレジスト除去装置では、水平に回転する基板上に、硫酸と過酸化水素水の混合液であるSPM(sulfuric acid / hydrogen peroxide mixture)液がノズルから供給され、SPM液に含まれるカロ酸の強酸化力により基板上のレジストが除去される。当該レジスト除去装置では、加熱された硫酸と常温(すなわち、室温と同程度の温度)の過酸化水素水とを混合することによりSPM液が生成される。硫酸と過酸化水素水との混合時には大きな反応熱が生じるため、基板上に供給されるSPM液の温度は、加熱された硫酸の温度よりも高くなる。SPM液を用いたレジスト除去処理では、効率的にレジストを除去するために、SPM液の温度を高く維持することが好ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−59816号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1のレジスト除去装置では、装置を駆動した直後は、硫酸をノズルへと導く配管等の温度も常温であるため、ノズルから供給されるSPM液の温度が所望の温度よりも低下してしまうおそれがある。また、常温の基板上に高温のSPM液が供給されるため、SPM液の温度が基板上において低下してしまい、レジスト除去の効率が低下してしまうおそれがある。さらに、基板の回転により、SPM液が基板の中央部からエッジに向かって移動する間にもSPM液の温度は低下するため、基板の中央部とエッジ近傍の部位とでレジスト除去の状態が異なり、エッジ近傍の部位でレジストの一部が除去されずに残ってしまう可能性がある。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、SPM処理の際に、基板上における処理液の温度低下を抑制することを主な目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の発明は、基板を処理する基板処理装置であって、基板を保持する基板保持部と、加熱された硫酸を供給する硫酸供給部と過酸化水素水を供給する過酸化水素水供給部とを有する処理液供給部と、前記処理液供給部を制御することにより、過酸化水素水の供給を停止した状態で、加熱された硫酸を前記基板に供給して前記基板を所定の温度まで加熱する予備加熱処理を行った後、加熱された硫酸と過酸化水素水とを前記処理液供給部により混合しつつ前記基板の主面に供給して前記基板に対するSPM処理を行う制御部とを備える。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の基板処理装置であって、前記予備加熱処理の際に前記基板に供給された硫酸を回収し、前記硫酸供給部へと戻す回収部をさらに備える。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の基板処理装置であって、前記予備加熱処理時の硫酸の流量が、前記SPM処理時の硫酸の流量よりも多い。
【0010】
請求項4に記載の発明は、請求項1ないし3のいずれかに記載の基板処理装置であって、前記処理液供給部が、前記硫酸供給部および前記過酸化水素水供給部に接続され、前記SPM処理の際に、前記硫酸供給部からの加熱された硫酸と前記過酸化水素水供給部からの過酸化水素水を混合して混合液を生成する混合液生成部をさらに備える。
【0011】
請求項5に記載の発明は、請求項1ないし4のいずれかに記載の基板処理装置であって、前記予備加熱処理時の前記硫酸供給部における硫酸の温度が、前記SPM処理時の前記硫酸供給部における硫酸の温度に等しい。
【0012】
請求項6に記載の発明は、基板を処理する基板処理方法であって、a)基板に対する過酸化水素水の供給を停止した状態で、加熱された硫酸を前記基板に供給して前記基板を所定の温度まで加熱する予備加熱処理を行う工程と、b)加熱された硫酸と過酸化水素水とを混合しつつ前記予備加熱処理が行われた前記基板の主面に供給して前記基板に対するSPM処理を行う工程とを備える。
【発明の効果】
【0013】
本発明では、SPM処理の際に、基板上における処理液の温度低下を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】一の実施の形態に係る基板処理装置の構成を示す図である。
【図2】基板の処理の流れを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1は、本発明の一の実施の形態に係る基板処理装置1の構成を示す図である。図1に示すように、基板処理装置1は、半導体基板9(以下、単に「基板9」という。)を1枚ずつ処理する枚葉式の装置である。基板処理装置1では、基板9にSPM(sulfuric acid / hydrogen peroxide mixture)液が供給されてSPM処理、すなわち、基板9上のレジスト膜の除去処理が行われる。
【0016】
基板処理装置1は、基板9の一方の主面91(以下、「上面91」という。)を上側に向けた状態で基板9を保持する基板保持部2、基板9の上面91に向けてSPM液等の液体を吐出する処理液供給部3、基板9および基板保持部2の周囲を囲むカップ部4、基板9を基板保持部2と共に水平に回転する基板回転機構5、カップ部4から液体を回収する回収部6、基板9の上面91にリンス液を供給するリンス液供給部7、並びに、これらの機構を制御する制御部8を備える。基板9は、基板回転機構5により、基板9の中心を通るとともに基板9の上面91に垂直な回転軸を中心として基板保持部2と共に回転する。基板処理装置1では、基板保持部2、カップ部4、基板回転機構5等が、図示省略のチャンバ内に収容される。
【0017】
処理液供給部3は、硫酸を供給する硫酸供給部31、過酸化水素水を供給する過酸化水素水供給部32、硫酸供給部31および過酸化水素水供給部32に接続される混合液生成部33、基板9の上方に配置されて基板9に向けて液体を吐出するノズル34、並びに、ノズル34を回動軸351を中心として水平に回動するノズル回動機構35を備える。ノズル回動機構35は、回転軸351から水平方向に延びるとともにノズル34が取り付けられるアーム352を備える。
【0018】
硫酸供給部31は、硫酸を貯溜する硫酸貯溜部311、硫酸貯溜部311および混合液生成部33に接続される硫酸配管312、硫酸貯溜部311から硫酸配管312を介して混合液生成部33へと硫酸を供給する硫酸ポンプ313、硫酸配管312上に設けられる硫酸バルブ314、並びに、硫酸ポンプ313と硫酸バルブ314との間で硫酸配管312上に設けられて硫酸を加熱する硫酸加熱部315を備える。硫酸配管312は硫酸加熱部315と硫酸バルブ314との間で分岐して硫酸貯溜部311へと接続されており、硫酸バルブ314が閉じられている状態では、硫酸加熱部315により加熱された硫酸は、硫酸貯溜部311と硫酸加熱部315とを循環する。
【0019】
過酸化水素水供給部32は、過酸化水素水を貯溜する過酸化水素水貯溜部321、過酸化水素水貯溜部321および混合液生成部33に接続される過酸化水素水配管322、過酸化水素水貯溜部321から過酸化水素水配管322を介して混合液生成部33へと過酸化水素水を供給する過酸化水素水ポンプ323、並びに、過酸化水素水配管322上に設けられる過酸化水素水バルブ324を備える。なお、硫酸貯溜部311および過酸化水素水貯溜部321は、基板処理装置1の外部に設けられ、硫酸供給部31および過酸化水素水供給部32がそれぞれ接続されてもよい。
【0020】
混合液生成部33は、硫酸配管312および過酸化水素水配管322が接続されるミキシングバルブ331、ミキシングバルブ331およびノズル34に接続される吐出用配管332、並びに、吐出用配管332上に設けられる攪拌流通管333を備える。混合液生成部33では、硫酸供給部31からの加熱された硫酸と、過酸化水素水供給部32からの常温(すなわち、室温と同程度の温度)の過酸化水素水とが、ミキシングバルブ331において混合されて混合液であるSPM液(硫酸過水)が生成される。SPM液は攪拌流通管333および吐出用配管332を通過してノズル34へと送られる。攪拌流通管333では、SPM液が攪拌されることにより、硫酸と過酸化水素水との化学反応が促進される。SPM液は、ノズル34の先端の吐出口から基板9の上面91に向けて吐出される。本実施の形態では、硫酸加熱部315により約130℃〜150℃に加熱された硫酸が硫酸供給部31から混合液生成部33へと供給される。なお、硫酸供給部31から供給される硫酸の温度は適宜変更されてよい。
【0021】
回収部6は、カップ部4の底部に接続される使用済液体配管61、使用済液体配管61に接続される三方バルブ62、三方バルブ62と廃液回収部63とを接続する廃液配管64、三方バルブ62と硫酸貯溜部311とを接続する硫酸回収用配管65、および、硫酸回収用配管65上に設けられ、カップ部4から回収した硫酸を硫酸貯溜部311へと送る硫酸回収ポンプ66を備える。
【0022】
図2は、基板処理装置1における基板9の処理の流れを示す図である。基板処理装置1では、まず、基板9が搬入されて基板保持部2により保持される。続いて、制御部8により基板回転機構5が制御されることにより、基板9の回転が開始される。また、ノズル回動機構35によるノズル34の回動が開始され、ノズル34が基板9の中心部とエッジとの間で往復運動を繰り返す(ステップS11)。なお、基板処理装置1では、基板9の中心部の上方にて停止したノズル34から、後述する液体の供給が行われてもよい。
【0023】
次に、制御部8により処理液供給部3が制御されることにより、硫酸供給部31の硫酸バルブ314が開かれ、硫酸加熱部315により約130℃〜150℃に加熱された硫酸が、硫酸配管312を介して混合液生成部33へと所定の流量にて供給される。このとき、過酸化水素水バルブ324は閉じられている。
【0024】
加熱された硫酸は、過酸化水素水の供給が停止された状態で、混合液生成部33のミキシングバルブ331、吐出用配管332および攪拌流通管333を通過し、ノズル34から基板9の上面91へと供給される。基板9上の硫酸は、基板9の回転により基板9のエッジに向かって上面91上を移動し、これにより、基板9の上面91が全面に亘って硫酸により加熱される。基板9上を移動する硫酸は、基板9のエッジから外側へと飛散する。基板9から飛散した硫酸は、カップ部4の側壁の内面を伝わって、あるいは、直接カップ部4の底部へと移動し、カップ部4の底部に接続された回収部6により回収される。回収部6では、三方バルブ62により使用済液体配管61と硫酸回収用配管65とが接続されており、硫酸回収ポンプ66が駆動されることにより、カップ部4から回収された硫酸が、硫酸供給部31の硫酸貯溜部311へと戻される。硫酸貯溜部311へと戻された硫酸は、硫酸供給部31から混合液生成部33へと再度供給される。
【0025】
基板処理装置1では、基板9に対する加熱された硫酸の供給が所定時間だけ連続的に行われされ、基板9の上面91の温度を所定の温度(例えば、約130℃〜150℃)まで加熱する予備加熱処理が行われる(ステップS12)。予備加熱処理が行われている間、回収部6による硫酸の回収、および、硫酸供給部31への送出は連続的に行われる。硫酸供給部31では、加熱された硫酸が流れることにより、硫酸配管312、ミキシングバルブ331、吐出用配管332、攪拌流通管333およびノズル34も所定の温度(例えば、約130℃〜150℃)まで加熱される。
【0026】
予備加熱処理が終了すると、制御部8により硫酸バルブ314が調整され、硫酸供給部31から混合液生成部33に供給される硫酸の流量がSPM処理時の所定の流量に変更される。本実施の形態では、予備加熱処理時に硫酸供給部31から混合液生成部33に供給される硫酸の流量は、SPM処理時に硫酸供給部31から混合液生成部33に供給される硫酸の流量よりも多い。一方、SPM処理時の硫酸供給部31における硫酸の温度は、予備加熱処理時の硫酸供給部31における硫酸の温度におよそ等しく、約130℃〜150℃である。
【0027】
処理液供給部3では、制御部8により過酸化水素水バルブ324が開かれ、常温の過酸化水素水が、過酸化水素水貯溜部321から過酸化水素水配管322を介してミキシングバルブ331へと所定の流量にて供給される。ミキシングバルブ331では、加熱された硫酸と常温の過酸化水素水とが混合されてSPM液が生成される。SPM液の温度は、硫酸と過酸化水素水との反応により、硫酸供給部31から供給される硫酸の温度よりも高く、約150℃〜195℃となる。SPM液は、吐出用配管332および攪拌流通管333を通過し、ノズル34から、予備加熱処理が行われた基板9の上面91に対して供給される。換言すれば、処理液供給部3により、加熱された硫酸と過酸化水素水とが混合されつつ基板9の上面91に供給される。
【0028】
SPM液は、基板9の回転により、基板9の上面91の全面に拡がり、基板9のエッジから外側へと飛散してカップ部4により受けられる。回収部6では、三方バルブ62が切り換えられて使用済液体配管61と廃液配管64とが接続されており、廃液回収部63が駆動されることにより、カップ部4から回収されたSPM液が廃棄される。基板処理装置1では、基板9に対するSPM液の供給が所定時間だけ連続的に行われ、基板9に対するSPM処理、すなわち、SPM液に含まれるカロ酸の強酸化力による基板9上のレジスト膜の除去処理が行われる(ステップS13)。
【0029】
SPM処理が終了すると、過酸化水素水バルブ324が開かれた状態で硫酸バルブ314が閉じられ、過酸化水素水が、ミキシングバルブ331、吐出用配管332および攪拌流通管333を通過し、ノズル34から、レジスト膜が除去された基板9上に供給される(ステップS14)。当該過酸化水素水供給処理により、ミキシングバルブ331、吐出用配管332、攪拌流通管333およびノズル34内に残っているSPM液が除去される。また、基板9上に供給された過酸化水素水は、基板9の回転により、基板9の上面91の全面に拡がり、基板9上に残っているSPM液を、基板9のエッジから外側へと押し出して除去する。基板9のエッジから外側に飛散したSPM液および過酸化水素水は、上記と同様に、回収部6により廃棄される。
【0030】
過酸化水素水供給処理が終了すると、過酸化水素水バルブ324が閉じられて過酸化水素水の供給が停止され、ノズル回動機構35により、ノズル34が基板9の外側の待機位置へと移動される(ステップS15)。次に、リンス液供給部7から基板9の上面91に、リンス液である純水(DIW:deionized water)が供給されるリンス処理が行われる(ステップS16)。リンス液は、基板9の回転により、基板9の上面91の全面に拡がる。これにより、基板9上に残っている過酸化水素水が洗い流される。リンス処理が所定時間だけ連続的に行われると、リンス液の供給が停止される。そして、基板9の回転数を増大させ、基板9の回転により基板9上に残っているリンス液を除去する乾燥処理が行われる(ステップS17)。その後、基板9の回転が停止され(ステップS18)、基板9が基板処理装置1から搬出される。
【0031】
以上に説明したように、基板処理装置1では、基板9に対するSPM処理が行われるよりも前に、加熱された硫酸が処理液供給部3により基板9に供給され、基板9が加熱される。このように、基板9に対する予備加熱処理が行われることにより、SPM処理の際に、基板9上に供給された高温のSPM液の温度低下を抑制することができる。その結果、SPM処理の効率を向上することができる。また、基板9の上面91上を移動する際のSPM液の温度低下も抑制することができるため、基板9の上面91全体におけるSPM処理の均一性、および、膜減りや膜成長の均一性を向上することもできる。
【0032】
さらに、SPM処理の開始前に、硫酸配管312、ミキシングバルブ331、吐出用配管332、攪拌流通管333およびノズル34も加熱されるため、ミキシングバルブ331への過酸化水素水の供給開始から、ノズル34から吐出されるSPM液の温度が所望の温度に達するまでの時間を短縮することができる。その結果、SPM処理に要する時間を短縮することができる。
【0033】
基板処理装置1では、予備加熱処理の際に基板9に供給された硫酸を回収して硫酸供給部31へと戻す回収部6が設けられることにより、硫酸の使用量の増大を防止することができる。また、処理液供給部3が、硫酸供給部31からの硫酸と過酸化水素水供給部32からの過酸化水素水を混合してSPM液を生成する混合液生成部33を備えることにより、硫酸と過酸化水素水とを個別の吐出口から基板9に供給する場合に比べて、SPM処理の効率をより向上することができるとともに基板9の上面91全体におけるSPM処理の均一性をより向上することができる。
【0034】
上述のように、基板処理装置1では、予備加熱処理時の硫酸供給部31における硫酸の流量を、SPM処理時の硫酸供給部31における硫酸の流量よりも多くすることにより、予備加熱処理に要する時間を短くすることができる。さらに、予備加熱処理時の硫酸供給部31における硫酸の温度が、SPM処理時の硫酸供給部31における硫酸の温度に等しいため、予備加熱処理からSPM処理へと移行する際に、硫酸供給部31において硫酸の温度変更を行う必要がない。その結果、基板処理装置1における上述の一連の処理に要する時間を短くすることができる。
【0035】
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、様々な変更が可能である。
【0036】
予備加熱処理時の硫酸供給部31における硫酸の温度は、SPM処理時の硫酸供給部31における硫酸の温度と異なっていてもよい。例えば、予備加熱処理の際のみ作動する加熱部が硫酸配管312上に追加され、予備加熱処理時の硫酸の温度が、SPM処理時のSPM液の温度とおよそ等しくされてもよい。予備加熱処理に要する時間が十分に短いのであれば、予備加熱処理時の硫酸の流量は、例えば、SPM処理時の硫酸の流量とおよそ等しくてもよい。
【0037】
SPM処理の効率および均一性が許容範囲内であれば、処理液供給部3から混合液生成部33が省略され、硫酸供給部31から、加熱された硫酸が基板9に向けて吐出され、過酸化水素水供給部32から過酸化水素水が基板9に向けて吐出される。この場合も、上記実施の形態と同様に、硫酸供給部31から加熱された硫酸を基板9に供給して予備加熱処理が行われた後に、加熱された硫酸と過酸化水素水とを処理液供給部3により混合しつつ基板9の上面91に供給して基板9に対するSPM処理が行われる。これにより、基板9上に供給された処理液(すなわち、硫酸と過酸化水素水との混合液)の温度低下を抑制することができる。また、基板9の上面91全体におけるSPM処理の均一性を向上することもできる。さらに、硫酸供給部31の硫酸配管312をSPM処理前に加熱することができるため、基板9上の処理液の温度が所望の温度に達するまでの時間を短縮することができる。
【0038】
上記実施の形態および各変形例における構成は、相互に矛盾しない限り適宜組み合わされてよい。
【符号の説明】
【0039】
1 基板処理装置
2 基板保持部
3 処理液供給部
6 回収部
8 制御部
9 基板
31 硫酸供給部
32 過酸化水素水供給部
33 混合液生成部
91 上面
S11〜S18 ステップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を処理する基板処理装置であって、
基板を保持する基板保持部と、
加熱された硫酸を供給する硫酸供給部と過酸化水素水を供給する過酸化水素水供給部とを有する処理液供給部と、
前記処理液供給部を制御することにより、過酸化水素水の供給を停止した状態で、加熱された硫酸を前記基板に供給して前記基板を所定の温度まで加熱する予備加熱処理を行った後、加熱された硫酸と過酸化水素水とを前記処理液供給部により混合しつつ前記基板の主面に供給して前記基板に対するSPM処理を行う制御部と、
を備えることを特徴とする基板処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の基板処理装置であって、
前記予備加熱処理の際に前記基板に供給された硫酸を回収し、前記硫酸供給部へと戻す回収部をさらに備えることを特徴とする基板処理装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の基板処理装置であって、
前記予備加熱処理時の硫酸の流量が、前記SPM処理時の硫酸の流量よりも多いことを特徴とする基板処理装置。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかに記載の基板処理装置であって、
前記処理液供給部が、
前記硫酸供給部および前記過酸化水素水供給部に接続され、前記SPM処理の際に、前記硫酸供給部からの加熱された硫酸と前記過酸化水素水供給部からの過酸化水素水を混合して混合液を生成する混合液生成部をさらに備えることを特徴とする基板処理装置。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれかに記載の基板処理装置であって、
前記予備加熱処理時の前記硫酸供給部における硫酸の温度が、前記SPM処理時の前記硫酸供給部における硫酸の温度に等しいことを特徴とする基板処理装置。
【請求項6】
基板を処理する基板処理方法であって、
a)基板に対する過酸化水素水の供給を停止した状態で、加熱された硫酸を前記基板に供給して前記基板を所定の温度まで加熱する予備加熱処理を行う工程と、
b)加熱された硫酸と過酸化水素水とを混合しつつ前記予備加熱処理が行われた前記基板の主面に供給して前記基板に対するSPM処理を行う工程と、
を備えることを特徴とする基板処理方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2013−74090(P2013−74090A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−211889(P2011−211889)
【出願日】平成23年9月28日(2011.9.28)
【出願人】(000207551)大日本スクリーン製造株式会社 (2,640)
【Fターム(参考)】