説明

基板支持構造及び制御装置並びに電子機器

【課題】電子機器の機構部に関わらず基板を機構部の上方に水平配置することができる基板支持構造及びその基板支持構造を備えた制御装置並びにその制御装置を備えた電子機器を提供すること。
【解決手段】電子機器100のハウジング101内の上部に水平配置された基板171を支持する独立構成の支持柱181を備えている。この基板は、ハウジング内に配設される機構部150、160のフレーム103の上方に離間して配置されている。これにより、電子機器の機構部に左右されずに機構部の上方に水平配置される基板を支持することができる。そして、機構部のフレームと基板とは直接接触しないので、機構部が基板を上方に水平配置する機種専用となることを防止することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器のハウジングの上方に水平配置された基板を支持する基板支持構造及びその基板支持構造を備えた制御装置並びにその制御装置を備えた電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
電子機器の1つである例えばプリンタの小型化を進める上でプリンタ本体に内蔵される回路基板の配置は重要であるが、プリンタ本体の上方に水平配置することが小型化に有効であることが知られている。この場合、プリンタ本体の上方に水平配置される回路基板の下方には、プリンタ本体に内蔵される記録部や用紙搬送部等の機構部が配設されているため、当該回路基板は当該機構部が配設されるフレームに支持されている(特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2005−246883号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した従来の基板支持構造は、記録部のヘッドの移動軌跡や用紙搬送部の給紙経路を避ける形で回路基板を支持するが、当該機構部が回路基板を上方に水平配置する機種専用となる。
【0005】
本発明は、上記のような課題に鑑みなされたものであり、その目的は、電子機器の機構部に関わらず基板を機構部の上方に水平配置することができる基板支持構造及びその基板支持構造を備えた制御装置並びにその制御装置を備えた電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的達成のため、本発明の基板支持構造では、電子機器のハウジング内の上部に水平配置された基板を支持する独立構成の支持柱を備えたことを特徴としている。これにより、電子機器の機構部に左右されずに機構部の上方に水平配置される基板を支持することができる。また、前記基板は、前記ハウジング内に配設される機構部のフレームの上方に離間して配置されていることを特徴としている。これにより、機構部のフレームと基板とは直接接触しないので、機構部が基板を上方に水平配置する機種専用となることを防止することができる。
【0007】
また、前記支持柱は、下部の前記ハウジングに設置されていることを特徴としている。これにより、機構部の形状に左右されずに空いている所に支持柱を配置することができる。また、前記基板は、前記支持柱のみにより支持されていることを特徴としている。これにより、特に上部のハウジングを最後まで組付けなくても電子機器の生産時の機構部のテストが可能となる。また、前記支持柱は、前記基板の一角部を支持することを特徴としている。これにより、支持柱は1本のみで良いので、支持柱の配置の自由度を高めることができる。また、前記支持柱は、板金により製作されていることを特徴としている。これにより、支持柱を低コストで製作することができる。
【0008】
上記目的達成のため、本発明の制御装置は、基板を備えた制御装置であって、上記各基板支持構造を備えたことを特徴としている。また、上記目的達成のため、本発明の電子機器は、上記制御装置を備えたことを特徴としている。これにより、上記各作用効果を奏する基板支持構造又は電子機器を提供することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。尚、以下に説明する実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではなく、また実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0010】
図1は、本発明の一実施の形態に係る基板支持構造を備えた電子機器である記録装置の外観構成の全体を示す斜視図、図2は、その内部構造を示す斜視図である。この記録装置はインクジェット式プリンタ100であり、例えば名刺、カード、L判/2L判、ハガキ、六切やJIS規格のA6判からA4判までのサイズの単票紙に記録することができる機能を備えている。このインクジェット式プリンタ100は、図1に示すように、全体が略直方体状のハウジング101で覆われている。ハウジング101の上部開口部は、開閉自在なカバー102によって覆われている。このカバー102は、後端の回転軸を中心に図示矢印a方向に回動可能に取り付けられている。ユーザは、カバー102を開放することにより、インクカートリッジの交換作業や内部機構のメンテナンス作業等を容易に行うことができる。また、ハウジング101の上面における前面側には操作部110が配設され、前面における中央上部にはメモリカードスロット部120が配設され、上面における背面側には給紙部130が配設され、前面側には排紙部140が配設されている。また、ハウジング101の内部には、図2に示すように、用紙搬送部150、記録部160及び本実施形態の基板支持構造180を含む制御部170が配設されている。
【0011】
操作部110は、略長矩形状の操作パネル111を備えている。この操作パネル111には、操作状態等を表示するユニット化された液晶ディスプレイ112と、パワーをオン・オフするパワー系、用紙の頭出し等を操作したりインクのフラッシング等を操作する操作系、画像処理等を行う処理系等の複数のボタン113が配設されている。ユーザは、液晶ディスプレイ112を見て確認しながら各種のボタン113を操作することができるので、誤操作を防止することができる。
【0012】
メモリカードスロット部120は、図示矢印b方向に開閉自在なカバー121で覆われている。このメモリカードスロット部120は、複数スロット形成され、複数種類のメモリカードに対応可能に構成されている。ユーザは、インクジェット式プリンタ100をパーソナルコンピュータに接続しなくても、インクジェット式プリンタ100単独の状態でメモリカードスロット部120にメモリカードを差し込むのみで、メモリカードに格納されている画像等を記録することができる。
【0013】
給紙部130は、上方に向かって矩形状に開口した給紙口131を開閉する機能と、給紙する用紙を1枚もしくは複数枚サポートする機能を併せ持ったペーパーサポート132を備えている。このペーパーサポート132は、後端の回転軸を中心に図示矢印c方向に回動可能に取り付けられている。ユーザは、インクジェット式プリンタ100を使用又は不使用のときは、ペーパーサポート132の両側に指を掛けてペーパーサポート132を開閉することができるので、用紙の差し入れを容易に行うことができ、また給紙口131内への埃の侵入を防止することができる。
【0014】
排紙部140は、前方に向かって矩形状に開口した排紙口141を開閉する機能と、内部に設けられた排紙される用紙を1枚もしくは複数枚スタックするスタッカ143(図2参照)を覆う機能を併せ持ったカバースタッカ142を備えている。このカバースタッカ142は、下端の回転軸を中心に図示矢印d方向に回動可能に取り付けられている。ユーザは、インクジェット式プリンタ100を使用又は不使用のときは、カバースタッカ142の上部に指を掛けてカバースタッカ142を開閉することができるので、セッティングを容易に行うことができ、また排紙口141内への埃の侵入を防止することができる。更に、記録後の用紙は常に前面側から排紙されるので、ユーザは用紙を容易に取り出すことができる。
【0015】
用紙搬送部150は、紙送りローラ151及び排紙ローラ152等を備えている。給紙部130から給送される用紙は、図示しない紙送りモータにより回転される紙送りローラ151及び排紙ローラ152により搬送されて排紙される。この紙送りモータは、ロータリーエンコーダ153により駆動制御される。記録部160は、キャリッジ161及び図示しない記録ヘッド等を備えている。紙送りローラ151により搬送される用紙は、図示しないキャリッジモータにより走査されるキャリッジ161に搭載された記録ヘッドにより記録される。この記録ヘッドは、フルカラー印刷が可能なように、キャリッジ161内に収納された例えばイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの計4色の図示しないインクカートリッジから各色インクが供給される。
【0016】
制御部170は、プリンタコントローラを構成するメイン基板171を備えている。このメイン基板171は、CPU、ROM、RAM、ASIC等の制御素子172、記憶素子やその他の各種回路素子173並びにケーブルコネクタ174及びUSB等のインターフェイスコネクタ175が実装され、プリントエンジンを構成する用紙搬送部150と記録部160の図示上方左側に水平配置されている。このメイン基板171が、本実施形態の基板支持構造180に支持されており、以下図面を参照して説明する。
【0017】
図3は、上記基板支持構造180を示す斜視図、図4は、上記基板支持構造180に支持されたメイン基板171を示す斜視図、図5は、上記基板支持構造180に支持されたメイン基板171のインクジェット式プリンタ100における装着状態を示す斜視図である。この基板支持構造180は、図3〜図5に示す支持柱181、図4に示す基板固定ネジ182及び図5に示す支持柱固定ネジ183を備えている。支持柱181は、板金により水平断面形状が略L字の柱状に形成されており、頂部181aは内側に直角に折り曲げられて基板固定ネジ182が螺合されるネジ穴181bが開けられ、底部181cは外側に直角に折り曲げられて支持柱固定ネジ183が螺合されるネジ穴181dが開けられている。
【0018】
このような構成において、基板支持構造180を用いてメイン基板171をインクジェット式プリンタ100に装着する手順について説明する。先ず、図5に示すように、上部のハウジング101を取り付ける前のインクジェット式プリンタ100に対し、支持柱181を下部のハウジング101の図示左背面側に配置する。そして、支持柱181の底部181cに穿孔されているネジ穴181dと、下部のハウジング101に立設されているリブ101aの頂部に穿孔されている図示しないネジ穴とを合わせる。そして、支持柱固定ネジ183を、支持柱181の底部181c側からネジ穴181dに挿入して、ハウジング101のリブ101aのネジ穴に螺合して締結する。以上により、下部のハウジング101に支持柱181を取り付けることができる。
【0019】
次に、図4に示すように、支持柱181の頂部181aにメイン基板171の一角部171a、この例ではインターフェイスコネクタ175が実装されている側の一角部171aを載置する。そして、支持柱181の頂部181aに穿孔されているネジ穴181bと、メイン基板171の一角部171aに穿孔されている図示しないネジ穴とを合わせる。そして、基板固定ネジ182を、メイン基板171側から一角部171aのネジ穴に挿入して、支持柱181の頂部181aのネジ穴181bに螺合して締結する。以上により、支持柱181にメイン基板171を取り付けることができ、メイン基板171を用紙搬送部150と記録部160の図示上方左側に水平配置することができる。
【0020】
図6は、上記基板支持構造180の別例を図3に対応させて示す斜視図、図7は、図6の基板支持構造180に支持されたメイン基板171を図4に対応させて示す斜視図、図8は、図6の基板支持構造180に支持されたメイン基板171のインクジェット式プリンタ100における装着状態を図5に対応させて示す斜視図であり、同一構成箇所は同一番号を付して説明を省略する。この基板支持構造180は、支持柱184が図3等に示す支持柱181と異なる形状、即ち板金により水平断面形状がコの字の角柱棒状に形成されており、頂部184aは塞がれて基板固定ネジ182が螺合されるネジ穴184bが開けられ、底部184cは外側三方に折り曲げられて対向する折り曲げ部に支持柱固定ネジ183が螺合されるネジ穴184dが開けられている。このような形状の支持柱184の場合は、メイン基板171の重量を支持柱184のみにより支持することが困難であるおそれがあるため、メイン基板171の前側の2つの角部171b、171cをネジ185、186によりハウジング101bに固定して補強する。尚、必要に応じてメイン基板171の後側の角部171dをハウジング101から吊り下げるようにしても良い。
【0021】
以上のように、本実施形態の基板支持構造180によれば、ハウジング101の上方に水平配置されたメイン基板171を支持する独立構成の支持柱181、184を備えているので、インクジェット式プリンタ100の機構部である用紙搬送部150や記録部160に左右されずに用紙搬送部150や記録部160の上方に水平配置されるメイン基板171を支持することができる。このメイン基板171は、用紙搬送部150や記録部160が配設される図5に示すフレーム103の上方に離間して配置されるので、上記フレーム103とメイン基板171とは直接接触せず、用紙搬送部150や記録部160がメイン基板171を上方に水平配置する機種専用となることを防止することができる。
【0022】
また、支持柱181、184は、下部のハウジング101に設置されているので、用紙搬送部150や記録部160の形状に左右されずに空いている所に支持柱181を配置することができる。また、メイン基板171は、支持柱181のみ、もしくは支持柱184とハウジング101bにより支持されているので、上部のハウジング101を最後まで組付けなくてもインクジェット式プリンタ100の生産時における記録等のテストが可能となる。また、支持柱181、184は、メイン基板171の一角部171aを支持するので、支持柱181、184は1本のみで良く、支持柱181、184の下部のハウジング内における配置の自由度を高めることができる。また、支持柱181、184は、板金により製作されているので、支持柱181、184を低コストで製作することができる。
【産業上の利用可能性】
【0023】
基板支持構造180を備えた電子機器であれば、例えばファクシミリ装置、コピー装置、スキャナ等の記録装置を含む一般的な電子機器であっても適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の一実施の形態に係る基板支持構造を備えた電子機器である記録装置の外観構成の全体を示す斜視図である。
【図2】図1の記録装置の内部構造を示す斜視図である。
【図3】図1の記録装置の基板支持構造を示す斜視図である。
【図4】図3の基板支持構造に支持されたメイン基板を示す斜視図である。
【図5】図3の基板支持構造に支持されたメイン基板の記録装置における装着状態を示す斜視図である。
【図6】図1の記録装置の基板支持構造の別例を示す斜視図である。
【図7】図6の基板支持構造に支持されたメイン基板を示す斜視図である。
【図8】図6の基板支持構造に支持されたメイン基板の記録装置における装着状態を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0025】
100 インクジェット式プリンタ、101 ハウジング、103 フレーム、110 操作部、111 操作パネル、112 液晶ディスプレイ、113 ボタン、120 メモリカードスロット部、130 給紙部、140 排紙部、150 用紙搬送部、160 記録部、170 制御部、171 メイン基板、180 基板支持構造、181、184 支持柱、182 基板固定ネジ、183 支持柱固定ネジ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子機器のハウジング内の上部に水平配置された基板を支持する独立構成の支持柱を備えたことを特徴とする基板支持構造。
【請求項2】
前記基板は、前記ハウジング内に配設される機構部のフレームの上方に離間して配置されていることを特徴とする請求項1に記載の基板支持構造。
【請求項3】
前記支持柱は、下部の前記ハウジングに設置されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の基板支持構造。
【請求項4】
前記基板は、前記支持柱のみにより支持されていることを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の基板支持構造。
【請求項5】
前記支持柱は、前記基板の一角部を支持することを特徴とする請求項4に記載の基板支持構造。
【請求項6】
前記支持柱は、板金により製作されていることを特徴とする請求項1〜5の何れか一項に記載の基板支持構造。
【請求項7】
基板を備えた制御装置であって、
請求項1〜6の何れか一項に記載の基板支持構造を備えたことを特徴とする制御装置。
【請求項8】
請求項7に記載の制御装置を備えたことを特徴とする電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−44132(P2008−44132A)
【公開日】平成20年2月28日(2008.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−219317(P2006−219317)
【出願日】平成18年8月11日(2006.8.11)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】